JP2008123770A - 電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】正負極の極間距離を確保することによって優れた耐短絡性を備えサイクル繰り返し後の出力低下が抑制された電池を提供する。この電池を用いることによって寿命性能劣化が抑制された組電池を提供する。
【解決手段】短冊状の正極板と負極板とをセパレータを介して巻回した極群を備え、前記両極板のうち少なくとも一方の極板は活物質を金属多孔体に充填したものである電池であって、前記少なくとも一方の極板は、長辺側の端部の表面にポリテトラフルオロエチレンとフッ素ゴムとを含む混合物が塗布されていることを特徴とする電池。
【選択図】なし

Description

本発明は、金属多孔体の基板に活物質を充填した電極板を用いた電池に関するものであり、さらに詳しくはその生産性の改善と信頼性の向上に関するものである。
近年、モバイルコンピュータ、デジタルカメラなどの移動体電子機器を始めとする小型軽量を求められる電動機器が急速に増加する傾向にある。これらの機器の電源として、金属多孔体に水酸化ニッケルを主体とする活物質等を充填してなる正極(=以下、非焼結式ニッケル極板と記載する)を用いた密閉型アルカリ蓄電池は、焼結式ニッケル極板を用いたニッケルカドミウム蓄電池や鉛蓄電池等よりも単位体積および単位質量当たりのエネルギーが高い。また、これらのうち、負極に水素吸蔵合金からなる電極を用いたニッケル水素蓄電池は、とくに環境にクリーンな電源と前記電動機器用電源として広く用いられ、ハイブリッド形電気自動車(HEV)や従来ニッケルカドミウム電池が用いられていた電動工具や玩具などの電源のように高出力特性に優れ、かつ長寿命特性が要求される分野への適用も始まっている。
非焼結式ニッケル極板は、耐アルカリ性の金属多孔体に、水酸化ニッケルを主体とする活物質、コバルトを主体とする導電剤前駆体および結着剤等の材料を充填した後に、圧縮成形、所定寸法に裁断することにより製造される。上記材料を充填する塗工は、上記材料の粉末を増粘剤を溶解した水溶液等でペースト状にして、金属多孔体を該ペースト中に浸漬したり、該ペーストを金属多孔体に塗布したりすることにより行う。ここで活物質、もしくは水酸化ニッケルを主体とする活物質とは、ニッケルを主体としてコバルトと亜鉛とを含有した水酸化物及び酸化物の事を指す。非焼結式ニッケル極板は、このような方法で製作できるため、焼結式ニッケル極板と比較して活物質を多量に充填できることおよび工程が簡略化され生産性が高いという利点がある。
しかしながら、非焼結式ニッケル極板では、極板端面に保持されている正極粉体が脱落して金属多孔体の端部が露出するという問題があった。露出した金属多孔体の端部は、粉体を保持していないので強度が極端に低く、そのためこの部分に加わるわずかな外力によりバリが形成されていた。たとえば、正極板と負極板とをセパレータを介して捲回する工程では、正極板を捲回中心に向けて搬送するための台に設けられたガイドレールに極板端面が擦れて正極粉体が脱落し、それにつづいて金属多孔体の端部が電極面に対して垂直方向にバリ立つ。このバリは、正極板と負極板をセパレータを介して捲回する際にセパレータを突き破って短絡を発生させる原因となる。なお、ここでいう正極粉体とは、前記水酸化ニッケルを主体とする活物質、コバルトを主体とする導電剤前駆体、希土類化合物および結着剤等の混合物のことを指す。希土類化合物としては希土類水酸化物または酸化物が用いられる。
また、金属多孔体の端部に生じたバリは、セパレータを突き破って短絡を発生しないまでも、セパレータに食い込み極間距離を短くするのでつぎのような問題を発生させる。すなわち、極間距離が短くなった電池では、充放電によって正極が膨張した際に短絡するという問題がある。さらに、極間距離が短くなった電池では、正極や負極中のコバルトや負極の水素吸蔵合金に含まれるマンガンなどが溶出してセパレータ中に析出して若干電導性を有し、その析出したものがセパレータに食い込んだバリに接触して微短絡に至るといった問題がある。
従来は上記のような問題を解決するため以下の方法が施されてきた。
特許文献1では、金属製バリがセパレータを貫通するのを防ぐ方法として、「正極の周縁部および(または)負極の周縁部をその切断端面をも含んで耐アルカリ性の熱融着性樹脂で被覆する」(特許文献1、段落[0004])方法が提案されている。しかし、特許文献1のように耐アルカリ性の熱融着性樹脂で極板周縁部を被覆した場合でも、金属多孔体の端部のバリに起因する短絡の問題はほとんど改善されなかった。なぜなら、被覆されている耐アルカリ性の熱融着性樹脂は、摺動性が十分なものでないので極板の表面から容易に脱落するからである。たとえば、熱融着性樹脂で極板周縁部を被覆した正極板と負極板をセパレータを介して捲回する際、被覆した部分がガイドレールなどに擦れると、熱融着性樹脂は早い段階で脱落して正極粉体が露出する。露出した正極粉体もガイドレールに擦れて脱落し、結果的に、むき出しになった金属多孔体の端部にバリが生じることとなる。また、ほかの問題として、特許文献1のように熱溶着性樹脂で電極の周縁部をその切断端面をも含んで被覆すると、被覆した部分の電極は反応しにくくなるので放電性能が低下するということもあった。
また、特許文献2では、正極粉体が極板から脱落するのを防ぐ方法として、「水酸化ニッケル、水、増粘剤、および結着剤を混練して成る活物質ペーストが導電性基板に充填され、更にその表面に結着剤が塗布されていることを特徴とするニッケル正極板」(特許文献2、請求項1)が提案されており、表面に塗布される結着剤の一例としてポリテトラフルオロエチレン粉末が挙げられている。しかし、特許文献2のようにポリテトラフルオロエチレン粉末を極板表面に塗布した場合でも、金属多孔体の端部にバリが生じるという問題は、ほとんど改善されなかった。なぜなら、ポリテトラフルオロエチレン粉末は、極板への付着力が十分でないので極板を取り扱う際に極板の表面から容易に脱落するからである。たとえば、ポリテトラフルオロエチレン粉末を表面に塗布した正極板と負極板をセパレータを介して捲回する際、塗布した部分がガイドレールなどに擦れると、ポリテトラフルオロエチレン粉末は早い段階で脱落して正極粉体が露出する。露出した正極粉体もガイドレールに擦れて脱落し、結果的に、むき出しになった金属多孔体の端部にバリが生じることとなる。
また、特許文献3では、正極粉体の脱落を防ぐほかの方法として、「活物質を塗布した芯材の端部にフッ素ゴム、又はオレフィン系のラテックス状バインダーを塗布・乾燥する」(特許文献3、請求項1)方法が提案されている。特許文献3のようにフッ素ゴム又はオレフィン系のラテックス状バインダーを極板端部に塗布した場合でも、金属多孔体の端部にバリが生じるという問題は、十分に改善されなかった。なぜなら、特許文献3では、極板の端面には樹脂が塗布されていないし、仮に塗布したとしてもフッ素ゴム、又はオレフィン系のラテックス状バインダーは、粘着性が高いためこれらを塗布した部分の摺動性が十分なものでなく、外部の部材で擦れた際に極板の表面から容易に脱落するからである。たとえば、フッ素ゴム、又はオレフィン系のラテックス状バインダーを端部に塗布した正極板と負極板をセパレータを介して捲回する際、塗布した部分がガイドレールなどに擦れると、フッ素ゴム、又はオレフィン系のラテックス状バインダーは早い段階で脱落して正極粉体が露出する。露出した正極粉体もガイドレールに擦れて脱落し、結果的に、むき出しになった金属多孔体の端部にバリが生じることとなる。
特開平05-190200 特開平09-161794 特開平2004−179119
上記のように、非焼結式ニッケル極板を用いた従来のアルカリ蓄電池のように活物質を金属多孔体に充填する方法で製作した電極を用いた電池は、耐短絡性が十分でなく、そのため、製造時に短絡が生じたり、充放電サイクルを繰り返した際に短絡あるいは微短絡が生じたりといった問題があった。そして、そのような電池を用いて構成した組電池では、微短絡が加速されるのでサイクル寿命性能が短いという問題があった。なお、この微短絡は、過充電および過放電の際に電極が膨張収縮することによって生じるものである。過充電および過放電は、個々の電池間で容量や充放電特性がばらつくことに起因するものである。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、正負極の極間距離を確保して電池の耐短絡性を向上すること、サイクル繰り返し後の出力低下を抑制することおよび組電池の寿命性能劣化を抑制することである。
本発明者らは鋭意検討の結果、上述した問題点の原因の大部分を正極板に生じたバリが占めることを発見し、つぎの手段を採用することにより正極板を特定の構成とすることによって優れた耐短絡性と優れた放電性能とを兼ね備える電池を実現できることを見出した。
すなわち本発明は、短冊状の正極板と負極板とをセパレータを介して巻回した極群を備え、前記両極板のうち少なくとも一方の極板は活物質を金属多孔体に充填したものである電池であって、前記少なくとも一方の極板は、長辺側の端部の表面にポリテトラフルオロエチレンとフッ素ゴムとを含む混合物が塗布されていることを特徴とする電池である。
本発明の電池では、ポリテトラフルオロエチレンとフッ素ゴムとを含む混合物中のフッ素ゴムの含有割合は、ポリテトラフルオロエチレンとフッ素ゴムとの合計重量に対して10%以上30%以下であることが好ましい。
本発明の電池では、ポリテトラフルオロエチレンの塗布量は塗布面積1cmあたり0.4mg以上であることが好ましい。
本発明の電池では、電池がニッケル水素蓄電池であること、正極板が水酸化ニッケルを主成分とする活物質を金属多孔体に充填したものであることおよび前記正極板の長辺側の端部の表面にポリテトラフルオロエチレンとフッ素ゴムとを含む混合物が塗布されていることが好ましい。
本発明によれば、電池の出力性能を低下させることなく、電池組み立て時の短絡不良発生を大幅に低減させ、かつサイクル経過時においても電池の短絡発生率を大幅に低減させることができる。
また、本発明の電池を用いて集合組電池を構成することにより、組電池特有の電池容量ばらつきや、充電、放電の特性のばらつきによって発生する過充電、過放電による電極の膨張収縮によって加速する微短絡を抑制し、耐久性を向上させることができるので、極めて優れたサイクル寿命性能を有する組電池が得られる。
短冊状の正極板と負極板とをセパレータを介して巻回した極群を備え、前記両極板のうち少なくとも一方の極板は活物質を金属多孔体に充填したものである電池においては、前記少なくとも一方の極板の長辺側の端部の表面にポリテトラフルオロエチレンとフッ素ゴムとを含む混合物を塗布することよって、当該極板の端部に保持されている活物質等の粉体の脱落を確実に防止することができる。端部における活物質等粉体の脱落は、バリの発生の第1段階であり、これを抑えることにより、金属多孔体の端部が露出することがなくなるのでバリが形成されることがなくなる。そのため、本発明の電池では、正負極間の極間距離が十分に確保されることとなり、その結果、優れた耐短絡性が得られる。また、本発明の電池は、サイクル寿命後の耐短絡性が優れているので信頼性が極めて高い。
本発明の電池において、ポリテトラフルオロエチレンとフッ素ゴムとを含む混合物中のポリテトラフルオロエチレンは、極板の表面と他の部材とのすべりやすさを大幅に向上する作用がある。そのため、この混合物が端部の表面に塗布された極板は、巻き込み時にガイドレールなど外部の部材に擦れた場合でも活物質等の粉体が脱落することが防がれる。すべりやすさが大幅に向上する理由は、極板表面に塗布されたポリテトラフルオロエチレンとガイドレール等の外部部材との接触が点接触あるいは極端に小さい面積での接触となっているためであって、その結果、摩擦抵抗が低いレベルとなっているためである。接触が点接触あるいは極端に小さい面積での接触となるのは、ポリテトラフルオロエチレンが粒子状または繊維状で存在しているためである。
本発明の電池において、ポリテトラフルオロエチレンとフッ素ゴムとを含む混合物中のフッ素ゴムは、この混合物中のポリテトラフルオロエチレンが極板から脱落するのを防ぐ作用がある。フッ素ゴムを用いない場合、ポリテトラフルオロエチレンは極板との結着性が十分でないので極板から脱落しやすいという問題がある。たとえば、ポリテトラフルオロエチレンを単独で端部の表面に塗布した正極板と負極板をセパレータを介して捲回する際、塗布した部分がガイドレールなどに擦れると、ポリテトラフルオロエチレンの粒子は脱落して正極粉体が露出する。脱落が生じたばあい、上述したようなポリテトラフルオロエチレンの粒子によるすべりやすさの向上の効果は得られない。すなわち、ポリテトラフルオロエチレンによる極板の表面の摺動性を高める効果は、フッ素ゴムを混合して用いることによって得られるものである。本発明で使用するフッ素ゴムは、正極電位にて分解されにくいものであることが好ましく、たとえば、フッ化ビニリデン系(FKM)、ポリテトラフルオロエチレンプロピレン系(FEPM)、テトラフルオロエチレン-パープルオロビニルエーテル系(FFKM)等が挙げられる。中でも、入手のしやすさ、価格の安さから、フッ化ビニリデン系ゴムが好ましい。
本発明は、正負極間の極間距離が十分に確保されることにより課題を解決するものであるから、蓄電池であっても適用することができ、さらには、放電反応または充放電反応の方式が異なる電池や蓄電池であっても適用することができる。たとえば、本発明は、アルカリ蓄電池、鉛蓄電池および非水電解質を用いた蓄電池に適用することができる。とくに、高いエネルギー密度、長寿命および高い高率放電性能をえられることから非焼結式ニッケル極板を正極として用いたニッケル水素蓄電池に適用することが好ましい。
本発明の電池で用いるポリテトラフルオロエチレンとフッ素ゴムとを含む混合物中のポリテトラフルオロエチレンの割合は、ポリテトラフルオロエチレンとフッ素ゴムと合計重量に対して70%以上とすることが好ましい。含有量70%以上とすることによって、ガイドレールへの擦れ時のすべりやすさがいっそう高まるので塗布した混合物の剥離と活物質等の粉体の脱落とを大幅に改善することができる。
本発明の電池で用いるフッ素ゴムの含有量は、ポリテトラフルオロエチレンとフッ素ゴムとの合計重量に対して10%以上30%以下であることが好ましい。含有量を10%以上とすることにより、ポリテトラフルオロエチレンの粒子の結着性が更に高まり、この粒子の剥離を大幅に改善することができる。含有量が30%以下とすることにより、ポリテトラフルオロエチレンとフッ素ゴムとを含む混合物を塗布した部分の粘着性が高くなりすぎることを抑制することができ、その結果、巻き込み時にガイドレールなどへ付着する等の不具合が抑制されることができる。
本発明の電池では塗布した混合物のうちポリテトラフルオロエチレンの塗布量は、耐短絡性能が確実に向上することから0.4mg/cm以上であることが好ましく、さらに優れた耐短絡性を得られることから0.8mg/cm以上であることが好ましい。
本発明の電池では、ポリテトラフルオロエチレンの粒子とフッ素ゴムとを含む混合物を塗布する極板の端部は、少なくとも端面を含むものであれば本発明の効果が得られ、その端面から0.5mm以上の高さの側面部分を含むものとすれば、極めて優れた耐短絡性能を得ることができる。上記の端部およびそれに含まれる端面としては、巻き込み時に対極に挟みこまれる長辺側のものであることが好ましい。これは、非焼結式ニッケル極板の正極板の場合、その正極板の長辺側のうち負極板に挟みこまれる側の端部は、巻き込み時に少量のバリが発生するとセパレータを突き破り、短絡に至る恐れが有るからである。
本発明の電池において、ポリテトラフルオロエチレンとフッ素ゴムとを含む混合物を極板の端部の表面に塗布する方法としては、濃度20%以上濃度60%以下のポリテトラフルオロエチレンの粒子のディスパージョンを用いると簡易に塗布が可能となるので好ましい。濃度が20%を下回ると、耐短絡性を維持するため一定の量を塗布することが難しくなるので好ましくない。濃度が60%を超えると、塗布される量が大きくなりすぎるため、20%以上60%以下の濃度の溶液を用いることが好ましい。また、フッ素ゴムは、濃度10%から濃度35%のフッ素ゴム含有ディスパージョンを用いると簡易に塗布が可能となるので好ましい。濃度が10%を下回ると、耐短絡性を維持するため一定の量を塗布することが難しくなるので好ましくない。濃度が高すぎると、塗布される量が大きくなりすぎるため、10%から35%の濃度の溶液を用いることが好ましい。
前記ディスパージョンを極板に塗布する方法は、極板をディスパージョンに浸漬した刷毛やスポンジを当接させたり、液面に浸漬したりすることによって塗布することが出来るが、塗装ロールに定量塗装し、塗装ロールから電極に転写して塗布すると、定量がコントロールしやすいので更に好ましい。
本発明の電池では、ポリテトラフルオロエチレンとフッ素ゴムとを含む混合物を塗布して乾燥した後、塗布した部分を擦ることによりポリテトラフルオロエチレンの粒子を繊維状にすると、粉体の保持性が飛躍的に向上するので好ましい。
本発明の電池では、ポリテトラフルオロエチレンを粒子状または繊維状の状態で用いることによって、優れた高率放電特性を得ることができる。
本発明をニッケル水素蓄電池に適用する場合、正極活物質としては、水酸化ニッケルに水酸化亜鉛、水酸化コバルトを混合したものが用いられるが、これらを共沈法によって均一に分散せしめて得た水酸化ニッケル複合水酸化物の使用が好ましい。水酸化ニッケル複合酸化物以外の添加物には、導電性改質剤として水酸化コバルト、酸化コバルト等を用いるが、前期水酸化ニッケル複合酸化物に水酸化コバルトを被覆したものや、これらの水酸化ニッケル複合酸化物の一部を酸素または含酸素気体、または、K、次亜塩素酸などの薬剤を用いて酸化したものを用いることができる。さらに、添加剤としては酸素過電圧を向上させる物質としてY、Yb等の希土類元素の酸化物や水酸化物を用いることができる。
本発明をニッケル水素蓄電池に適用する場合、負極活物質としては、主構成要素である水素吸蔵合金は、水素吸蔵が可能な、一般にAB系、またはAB系と呼ばれる合金であれば、その組成には特別の制限はない。特に好ましくは、AB型の合金のMmNi5(Mmは希土類元素の混合物)のNiの一部をCo,Mn,Al,Cu等で置換した合金が、優れた充放電サイクル寿命特性と高い放電容量を持つので好ましい。防蝕添加剤として、イットリウム、イッテルビウム、エルビウムの他に、ガドリニウム、セリウムの酸化物や水酸化物を添加したり、予め水素吸蔵合金にこれらの元素を金属として含有させてもよい。
本発明をニッケル水素蓄電池に適用する場合、正極活物質の粉体及び負極材料の粉体は、平均粒子サイズ50μm以下であることが望ましい。特に、負極活物質である水素吸蔵合金の粉体は、密閉型ニッケル水素蓄電池の高出力特性を向上する目的で粒径は40μm以下の小さいもの方が良いが、高いサイクル寿命を得るためには粒径が20μmを下回らないことが望ましい。水素吸蔵合金内部にNi含有比率の大きい層を合金の表層と内部に50nm以上400nm以下で配置した場合、大きい粒径でも優れた高率放電性能が得られるため、平均粒径としては30μmから50μmがより好ましい。
粉体を所定の形状で得るためには各種の粉砕機や分級機が用いられる。例えば乳鉢、ボールミル、サンドミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、ジェットミル、カウンタージェトミル、旋回気流型ジェットミル等が用いられる。粉砕時には水、あるいはアルカリ金属水酸化物の水溶液を用いて湿式粉砕を用いることもできる。分級方法としては、特に限定はなく、篩や風力分級機などが使用でき、また、乾式、湿式ともに必要に応じて用いられる。
本発明で用いる前記正極板及び負極板には、主要構成成分である活物質の他に、導電剤、結着剤、増粘剤、フィラー等が、他の構成成分として含有されてもよい。
導電剤としては、電池性能に悪影響を及ぼさない電子伝導性材料であれば限定されない。通常、鱗状黒鉛,鱗片状黒鉛,土状黒鉛等の天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンウイスカー、炭素繊維、気相成長炭素、金属(銅,ニッケル,金等)粉、金属繊維等の導電性材料を1種またはそれらの混合物として含ませることができる。これらの導電剤の中では、電子伝導性及び塗工性の観点よりアセチレンブラックが望ましい。導電剤の添加量は、正極または負極の総重量に対して0.1重量%〜10重量%が好ましい。特にアセチレンブラックを0.1〜0.5μmの超微粒子に粉砕して用いると必要炭素量を削減できるため望ましい。これらの混合方法は、物理的な混合であり、その理想とするところは均一混合である。そのため、V型混合機、S型混合機、擂かい機、ボールミル、遊星ボールミルといったような粉体混合機を乾式、あるいは湿式で使用することが可能である。
結着剤としては、通常、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE),ポリフッ化ビニリデン,ポリエチレン,ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM),スルホン化EPDM,スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム等のゴム弾性を有するポリマーを1種または2種以上の混合物として用いることができる。結着剤の添加量は、正極または負極の総重量に対して0.1〜3重量%が好ましい。前記増粘剤としては、通常、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース等の多糖類等を1種または2種以上の混合物として用いることができる。増粘剤の添加量は、正極または負極の総重量に対して0.1〜3重量%が好ましい。
フィラーとしては、電池性能に悪影響を及ぼさない材料であれば特に制限はない。通常、ポリプロピレン,ポリエチレン等のオレフィン系ポリマー、炭素等が用いられる。フィラーの添加量は、正極または負極の総重量に対して添加量は5重量%以下が好ましい。
本発明で使用する正極板および負極板は、それぞれの活物質、導電剤および結着剤を水に混合させた後、得られた混合物を下記に詳述する金属多孔体又は基体に含浸、又は塗布し、乾燥することによって、好適に作製される。前記塗布方法については、例えば、アプリケーターロールなどのローラーコーティング、スクリーンコーティング、ドクターブレード方式、スピンコーティング、バーコータ等の手段を用いて任意の厚みおよび任意の形状に塗布することが望ましいが、これらに限定されるものではない。
本発明で使用する極板の金属多孔体としては、構成された電池に悪影響を及ぼさない電子伝導体であれば特に選ぶところはない。例えば、ニッケルやニッケルメッキを行った鋼板を好適に用いることができ、発泡体、繊維群の形成体、凸凹加工を施した3次元機材の他に、パンチング鋼板等の2次元機材が用いられる。厚さの限定は特にないが、5〜700μmのものが用いられる。
本発明をニッケル水素蓄電池などのアルカリ蓄電池に適用する場合は、アルカリに対する耐食性と耐酸化性に優れているニッケルを用いることが好ましく、その形状は集電性に優れた構造を持つ発泡体とするのが好ましい。
本発明をニッケル水素蓄電池などのアルカリ蓄電池に適用する場合は、負極の基体としては、安価で、且つ電導性に優れる鉄または鋼の箔ないし板をパンチング加工し、耐還元性向上のためにNiメッキを施した、多孔板を使用することが好ましい。鋼板のパンチングの孔径は1.7mm以下、開口率40%以上であることが好ましく、これにより少量の結着剤でも負極活物質と集電体との密着性は優れたものとなる。焼成炭素繊維、導電性高分子の他に、接着性、導電性および耐酸化性向上の目的で集電体のニッケルの表面をニッケル粉末やカーボンや白金等を付着させて処理したものを用いることができる。これらの材料については表面を酸化処理することも可能である。
本発明で使用するセパレータとしては、既知の優れた高率放電特性を示す多孔膜や不織布等を、単独あるいは併用することができる。セパレータを構成する材料としては、例えばポリエチレン,ポリプロピレン等に代表されるポリオレフィン系樹脂や、ナイロンを挙げることができる。セパレータの空孔率は強度、ガス透過性の観点から80体積%以下が好ましい。また、充放電特性の観点から空孔率は20体積%以上が好ましい。セパレータは親水化処理を施す事が好ましい。例えば、ポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂繊維の表面に親水基のグラフト重合処理、スルフォン化処理、コロナ処理、PVA処理を施したり、これらの処理を既に施された繊維を混合したシートを用いても良い。
本発明をニッケル水素蓄電池などのアルカリ蓄電池に適用する場合は、電解液としては、一般にアルカリ電池等への使用が提案されているものが使用可能である。水を溶媒とし、溶質としてはカリウム、ナトリウム、リチウムの水酸化物の単独またはそれら2種以上の混合物を溶解したもの等を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。合金への防食剤や、正極での過電圧向上のためや、負極の耐食性の向上や、自己放電向上の為の電解液への添加剤として、イットリウム、イッテルビウム、エルビウム、カルシウム、硫黄、亜鉛等の化合物を単独またはそれら2種以上混合して添加することができる。電解液中の電解質塩の濃度としては、高い電池特性を有する電池を確実に得るためには、水酸化カリウムを5〜7mol/l、水酸化リチウムを0.5〜0.8mol/l含む水溶液が好ましい。
本発明の電池で用いる電解質は、巻回した極群を電槽に収納してから注液されるのが好ましい。注液法としては、常圧で注液することも可能であるが、真空含浸方法や加圧含浸方法や遠心含浸法も使用可能である。
本発明をニッケル水素蓄電池などのアルカリ蓄電池に適用する場合は、蓄電池の外装体の材料としては、ニッケルメッキした鉄やステンレススチール、ポリオレフィン系樹脂等またはこれらの複合体が挙げられる。
以下に、水酸化ニッケルを主成分とする活物質を金属多孔体に充填した短冊状の正極板と負極板とをセパレータを介して巻回した極群を備えたニッケル水素蓄電池であって、前記正極板の表面のうち一方の長辺側の端部が、ポリテトラフルオロエチレンとフッ素ゴムとを含む混合物が塗布されているという特徴を備えたニッケル水素蓄電池を実施例にあげて本発明を具体的に説明する。
(正極板の作製)
硫酸ニッケルと硫酸亜鉛および硫酸コバルトを所定比で溶解した水溶液に硫酸アンモニウムと苛性ソーダ水溶液を添加してアンミン錯体を生成させた。反応系を激しく撹拌しながら更に苛性ソーダを滴下し、反応系のpHを11〜12に制御して芯層母材となる球状高密度水酸化ニッケル粒子を水酸化ニッケル:水酸化亜鉛:水酸化コバルト=88.45:5.12:1.1の比となるように合成した。
前記高密度水酸化ニッケル粒子を、苛性ソーダでpH10〜13に制御したアルカリ水溶液に投入した。該溶液を撹拌しながら、所定濃度の硫酸コバルト、アンモニアを含む水溶液を滴下した。この間、苛性ソーダ水溶液を適宜滴下して反応浴のpHを11〜12の範囲に維持した。約1時間pHを11〜12の範囲に保持し、水酸化ニッケル粒子表面にCoを含む混合水酸化物から成る表面層を形成させた。該混合水酸化物の表面層の比率は芯層母粒子(以下単に芯層と記述する)に対して、4.0wt%であった。
前記混合水酸化物から成る表面層を有する水酸化ニッケル粒子50gを、温度110℃の30wt%(10N)の苛性ソーダ水溶液に投入し、充分に攪拌した。続いて表面層に含まれるコバルトの水酸化物の当量に対して過剰のK2S2O8を添加し、粒子表面から酸素ガスが発生するのを確認した。活物質粒子をろ過し、水洗、乾燥した。
前記活物質粒子にカルボキシメチルセルロース(CMC)水溶液を添加して前記活物質粒子:CMC溶質:ポリテトラフルオロエチレン=99.2:0.5:0.3%のペースト状とし、該ペーストを450g/mのニッケル多孔体(住友電工(株)社製ニッケルセルメット#8)に充填した。その後80℃で乾燥した後、所定の厚みにプレスし、切断した後、巻き終わり部の端面を包み込むように巾4mmのポリプロピレンテープを貼り付け、幅4mm7.5mm(内、無塗工部1mm)、長さ1150mmの容量6500mAh(6.5Ah)の短冊状のニッケル正極板とした。
(ポリテトラフルオロエチレンとフッ素ゴムとを含む混合物の塗布)
ニッケル正極板の下端部にポリテトラフルオロエチレンとフッ素ゴムとの混合物をつぎの手順で塗布した。フッ素ゴムとしてフッ化ビニリデン系ゴム(ダイエル(TM)ラテックス)を用いた。ポリテトラフルオロエチレンとフッ化ビニリデン系ゴムを90%:10%の重量割合で含む樹脂ディスパージョンを巾1mm深さ1mmの溝加工を施した回転ロールに定量塗布し、その溝に正極板の長辺側の下端面を当接しつつ移動させて樹脂ディスパージョンを長辺側の端部に転写したのちに80℃で乾燥してから所定の厚さにプレスすることによって、下端面とこの端面から高さ0.5mmの電極表面にポリテトラフルオロエチレンとフッ化ビニリデン系ゴムとを塗布した電極板を得た。ポリテトラフルオロエチレンの塗布量は、正極板1m当たり50mgとした。この塗布量は、塗布した部分の面積1cmあたり重量に換算すると4mg/cmである。換算は、正極板1m当たりの塗布重量を塗布面積で割ることによって計算できる。塗布面積は次式で計算できる。S=H×L×2+T×L。この式のSは塗布面積(単位cm)、Hは電極下端面からの塗布高さ(実施例1では0.05cm)、Lは100(単位cm)、Tは電極厚さ(実施例1では0.0226cm)である。なお、ポリテトラフルオロエチレンが粒子状であることは、同様にして製作した電極を硝酸にて溶解し、顕微鏡、SEMにて観察して確認した。また、ポリテトラフルオロエチレンとフッ素ゴムとの混合物とが塗布された部分は白く見えるので、塗布されていない部分との区別は目視にておこなうことができ、この塗布した混合物中のポリテトラフルオロエチレンは、ニッケル多孔体に充填するペーストに混合したポリテトラフルオロエチレンと区別することができる。なお、本発明で使用するポリテトラフルオロエチレンは、正極板の表面への塗布のしやすさや、滑りやすさの点から平均粒径0.2〜0.3μmの粒子を用いることが好ましい。
(負極板の作製)
粒径30μmのAB型希土類系のMmNi3.6Co0.6Al0.3Mn0.35の組成を有する水素吸蔵合金を水素吸蔵処理後の水素吸蔵合金粉末を20℃の比重で48重量%のNaOH水溶液に浸漬し、100℃の水溶液に浸漬し4時間の処理を行った。その後、加圧濾過して処理液と合金を分離した後、純水を合金重量と同重量添加して28KHzの超音波を10分間かけた。その後、緩やかに攪拌しつつ純水を攪拌層下部より注入し、排水をフローさせて合金より遊離する希土類水酸化物を除去した。その後、PH10以下になるまで水洗した後、加圧濾過した。この後、80℃温水に暴露して水素脱離を行った。温水を加圧濾過して、再度の水洗を行い合金を25℃に冷却し、攪拌下4%過酸化水素を合金重量と同量加え、水素脱離を行って、水洗し電極用水素吸蔵合金を得た。得られた合金とスチレンブタジエン共重合体とを99.35:0.65の固形分重量比で混合し、水で分散してペースト状にし、ブレードコーターを用いて、鉄にニッケルメッキを施したパンチング鋼板に塗布した後、80℃で乾燥した後、所定の厚みにプレスして幅47.5mm長さ1175mmの容量11000mAh(11.0Ah)の水素吸蔵合金負極板とした。
(密閉形ニッケル水素極群の製作)
前記負極板とスルホン化処理を施した厚み120μmのポリプロピレンの不織布状セパレータと前記正極板とを組み合わせてロール状に巻回して極群とした。
(密閉形ニッケル水素極群の短絡検査)
前記極群に400Vの電圧を5秒印可し、0.1mA以上の電流が流れる電池を不良として廃棄し、0.1mA以上電流の流れない電池を良品として用いた。
(密閉形ニッケル水素極群の絶縁破壊検査)
前記極群に400Vから600Vまで電圧を100V/2秒の速度で印可する電圧を昇圧し、0.1mA以上の電流が流れた電圧の平均値を極群の絶縁破壊電圧とした。
(密閉形ニッケル水素蓄電池の製作)
前記極群の一方の捲回端面に突出させた正極金属多孔体の端面に、ニッケルメッキを施した鋼板からなる厚さ0.4mm、中央に円形の透孔と8カ所(4スリット)の0.5mmの下駄(電極へのかみ込み部)を設けた半径14.5mmの円板状の上部集電板(正極集電板)を抵抗溶接により接合した。捲回式極群の他方の捲回端面に突出させた負極基体の端面にニッケルメッキを施した鋼板からなる厚さ0.4mmの円板状の下部集電板(負極集電板)を抵抗溶接により接合した。ニッケルメッキを施した鋼板からなる有底円筒状の電槽缶を用意し、前記集電板を取り付けた極板群を、正極集電板が電槽缶の開放端側、負極集電板が電槽缶の底に当接するように電槽缶内に収容し、負極集電板の中央部分を電槽缶の壁面に抵抗溶接により接合した。次いで6.8NのKOHと0.8NのLiOHを含む水溶液からなる電解液を所定量注液した。
厚さ0.4mmのニッケル板を図1の20の形状にプレス加工し、半径が12mm、リード部の最大高さ3mm、頭頂部の突起を4個備え、下部鍔部の突起を4個備えたリードを用意した。その後、前記リードの頭頂部の突起を当接して蓋体の内面にダイレクト方式でスポット溶接して取り付けた。蓋体の外面には、ゴム弁(排気弁)およびキャップ状の端子を取り付けた。蓋体の周縁をつつみ込むように蓋体にリング状のガスケットを装着した。該蓋体を、蓋体に取り付けた補助リードの突片の突起が正極集電板に当接するように極板群の上に載置し、電槽缶の開放端をかしめて気密に密閉した後、圧縮して電池の総高さを調整した。なお、電池の総高さ調整後の蓋と正極端子間の高さが、補助リードの突片の突起と集電板の当接面に押圧力が加わる高さになるように、突片の角度を調整した。なお、蓋の半径は14.5mm キャップの半径は6.5mm ガスケットのカシメ半径は12.5mmである。
キャップ80(正極端子)、電槽60の底面(負極端子)に抵抗溶接機の溶接用出力端子を当接させ、充電方向および放電方向に同じ電流値で同じ通電時間となるように通電条件を設定した。具体的には、電流値を正極板の容量(6.5Ah)1Ah当たり0.46kA/Ah(3.0kA)、通電時間を充電方向に4.0msec、放電方向に4.0msecに設定し、該交流パルス通電を1サイクルとして2サイクル通電ができるようにセットし、矩形波からなる交流パルスを通電し、前記上部集電板の上面に前記リードの底部の接触点を溶接する溶接を実施した。このとき開弁圧を超えてガス発生していないことを確認した。このようにして蓋50と正極集電板2がリードで接続された図1に示されるような密閉形ニッケル水素蓄電池を作製した。
なお、この発明の実施例および比較例に用いた電池の重量はすべて約176gであった。
(化成、内部抵抗および出力密度の測定)
前記密閉形蓄電池を周囲温度25℃において12時間の放置後、130mA(0.02ItA)にて1200mAh充電し、引き続き650mA(0.1ItA)で10時間充電した後、1300mA(0.2ItA)でカット電圧1Vまで放電した。さらに、650mA(0.1ItA)で16時間充電後、1300mA(0.2ItA)でカット電圧1.0Vまで放電し、該充放電を1サイクルとして4サイクル充放電を行った。4サイクル目の放電終了後、1kHzの交流を用いて内部抵抗を測定した。
出力密度の測定方法は、電池1個用いて25℃雰囲気下において、放電末より650mA(0.1ItA)で5時間充電後、60Aで12秒間流した時の10秒目電圧を60A放電時10秒目電圧とし、放電分の電気容量を6Aで充電した後、90Aで12秒流した時の10秒目電圧を90A放電時10秒目電圧とし、放電分の電気容量を6Aで充電した後、120Aで12秒流した時の10秒目電圧を120A放電時10秒目電圧とし、放電分の電気容量を6Aで充電した後、150Aで12秒流した時の10秒目電圧を150A放電時10秒目電圧とし、放電分の電気容量を6Aで充電した後、180Aで12秒流した時の10秒目電圧を180A放電時10秒目電圧とした。この各10秒目電圧を電流値と電圧値を最小自乗法で直線近似し、電流値0Aの時の電圧値をE0とし、傾きをRDCとした。その後、次式を用いて0.8Vカット時の25℃電池における出力密度を計算した。P=(E0−0.8)÷RDC×0.8÷M。この式のPは出力密度(単位はW/kg)、Mは電池重量(単位はkg)を示す。
実施例1の正極下端面に塗布する樹脂ディスパージョンを、ポリテトラフルオロエチレンとフッ化ビニリデン系ゴム(ダイエル(TM)ラテックス)を樹脂含有重量で80%:20%としたことおよび塗布ロールの回転数条件以外は、実施例1と同様にして極群を得た後、実施例1と同様にして短絡検査を行い、その後一部の電池を抜き取り絶縁破壊電圧検査を行った。その後、実施例1と同様にして得られた電池を実施例2の電池とした。この電池を用い、実施例1と同様にして出力密度を測定した。ポリテトラフルオロエチレンの塗布量は4mg/cmであった。この数値は塗布前後の重量の変化から正極板1mあたりの塗布量が50mgであったこと測定したのちに、この測定値を塗布面積で割ることによって計算したものである。また、電極を硝酸にて溶解し、顕微鏡、SEMにて観察して確認した結果、電極にコートされたポリテトラフルオロエチレンとフッ化ビニリデン系ゴムは塊状を含む粒子状であった。
実施例1の正極下端面に塗布する樹脂ディスパージョンを、ポリテトラフルオロエチレンとフッ化ビニリデン系ゴム(ダイエル(TM)ラテックス)を樹脂含有重量で70%:30%としたことおよび塗布ロールの回転数条件以外は、実施例1と同様にして極群を得た後、実施例1と同様にして短絡検査を行い、その後一部の電池を抜き取り絶縁破壊電圧検査を行った。その後、実施例1同様にして得られた電池を実施例3の電池とした。この電池を用い、1と同様にして出力密度を測定した。ポリテトラフルオロエチレンの塗布量は4mg/cmであった。また、電極を硝酸にて溶解し、顕微鏡、SEMにて観察して確認した結果、電極に塗布されたポリテトラフルオロエチレンとフッ化ビニリデン系ゴムは塊状を含む粒子状であった。
実施例1の正極下端面に塗布する樹脂ディスパージョンを、ポリテトラフルオロエチレンとフッ化ビニリデン系ゴム(ダイエル(TM)ラテックス)を樹脂含有重量で60%:40%としたことおよび塗布ロールの回転数条件以外は、実施例1と同様にして極群を得た後、実施例1と同様にして短絡検査を行い、その後一部の電池を抜き取り絶縁破壊電圧検査を行った。その後、実施例1同様にして得られた電池を実施例4の電池とした。この電池を用い、1と同様にして出力密度を測定した。ポリテトラフルオロエチレンの塗布量は4mg/cmであった。また、電極を硝酸にて溶解し、顕微鏡、SEMにて観察して確認した結果、電極にコートされたポリテトラフルオロエチレンとフッ化ビニリデン系ゴムは塊状を含む粒子状であった。
(比較例1)
実施例1の正極下端面に樹脂をコートしない正極を用いたこと以外は、実施例1と同様にして極群を得た後、実施例1と同様にして短絡検査を行い、その後一部の電池を抜き取り絶縁破壊電圧検査を行った。その後、実施例1同様にして得られた電池を比較例電池1とした。この電池を用い、実施例1と同様にして出力密度を測定した。
(比較例2)
実施例1の正極下端面に塗布する樹脂ディスパージョンを、ポリテトラフルオロエチレンを60%含有するディスパージョンとしたこと以外は実施例1と同様にして極群を得た後、実施例1と同様にして短絡検査を行い、その後一部の電池を抜き取り絶縁破壊電圧検査を行った。その後、実施例1同様にして得られた電池を比較例2の電池とした。この電池を用い、実施例1と同様にして出力密度を測定した。尚、ポリテトラフルオロエチレンが粒子状であることは、同様にして作成した電極を硝酸にて溶解し、顕微鏡、SEMにて観察して確認した。
(比較例3)
実施例1の正極下端面に塗布する樹脂ディスパージョンを、フッ化ビニリデン系ゴムを25%含有するディスパージョンとしたこと以外は実施例1と同様にして極群を得た後、実施例1と同様にして短絡検査を行い、その後一部の電池を抜き取り絶縁破壊電圧検査を行った。その後、実施例1同様にして得られた電池を比較例3の電池とした。この電池を用い、実施例1と同様にして出力密度を測定した。
(参考例1)
実施例1の正極下端面に塗布する樹脂ディスパージョンをポリテトラフルオロエチレンとスチレンブタジエン共重合ゴム(以下SBRと略す)を樹脂含有重量で70%:30%としたことおよび塗布ロールの回転数条件以外は実施例1と同様にして極群を得た後、実施例1と同様にして短絡検査を行い、その後一部の電池を抜き取り絶縁破壊電圧検査を行った。その後、実施例1同様にして得られた電池を参考例1の電池とした。この電池を用い、実施例1と同様にして出力密度を測定した。尚、ポリテトラフルオロエチレンが粒子状であることは、同様にして作成した電極を硝酸にて溶解し、顕微鏡、SEMにて観察して確認した。
実施例1〜4、参考例1および比較例1〜3の極群の短絡検査の結果、絶縁破壊電圧および電池の出力密度を表1に示す。短絡検査の検査数は50とした。
Figure 2008123770
表1から、実施例1〜4の電池の組み立て時の短絡検査における不良の発生数および絶縁破壊電圧は、比較例1の電池と比べて大幅に改善していることがわかる。このことは、正極板の下端部分にポリテトラフルオロエチレンとフッ素ゴムとを含む混合物を塗布することによって、正負極の極間距離が確保されて耐短絡性が向上したことを意味するものである。
さらに、表1から、実施例1〜4の電池の不良の発生数および絶縁破壊電圧は、比較例2および3の電池と比べて大幅に改善していることがわかる。このことは、ポリテトラフルオロエチレンまたはフッ素樹脂を単独で塗布するより、これらを混合して用いると絶縁破壊電圧が向上し、耐短絡性能が向上することを意味するものである。これは、ポリテトラフルオロエチレンの粒子の脱落がフッ素化ゴムの粘着性によって防止されたことによって、ポリテトラフルオロエチレンによって付与されたすべりやすさが電池の組み立て工程期間を通して維持され、その結果、電極のバリ立ちがより抑制されたことに起因するものである。なお、表1から、比較例3の電池は、比較例1と比較して短絡検査時の不良率が高いことがわかる。これは、正極板と負極板をセパレータを介して捲回する際にFKMがガイドレールやセパレータなどに粘着した結果、正極粉体が金属多孔体から剥離して金属多孔体が露出したことに起因するものである。
また、表1から、実施例1〜3の電池の出力密度は、比較例1の出力密度と同じであることがわかる。このことは、ポリテトラフルオロエチレンを粒子状で塗布することによって、出力を低下させることなく組み立て時の短絡防止効果が得られたことを意味するものである。尚、ポリテトラフルオロエチレンが70%を下回り、フッ素ゴムを30%を超えるとフッ素ゴムによる樹脂の多孔性の低下に起因すると思われる出力の低下を確認した。
実施例1〜4の電池のように耐短絡性能が優れた電池は、サイクル経過時においても電池の短絡発生率が大幅に低減されている点でも優れている。このことは、実施例および比較例の電池を45℃において充放電を繰り返したときに容量が初期の80%に低下するまでの充放電サイクル数を測定したつぎの結果から実証される。すなわち、実施例1〜4の電池、および比較例1および2の電池はのサイクル数はいずれも1200回以上であったが、寿命に達した後の放電末の電池を1週間放置したあとにセル電圧を測定したところ、比較例1および2の電池だけが0.8Vを下回るまで低下したことを確認した。これは、正負極に十分な極板間距離がないため、充放電による電極の膨張により、短絡が発生したため電圧が低下したものと考えられる。
実施例1〜4の電池のように耐短絡性能が優れた電池は、組電池を構成する電池として用いた場合、その組電池のサイクル寿命特性を向上する効果がある。この効果は、実施例3の電池を6個直列に接続した組電池および比較例1の電池を6個直列に接続した組電池を45℃において充放電を繰り返したときに容量が初期の80%に低下するまでの充放電サイクル数を測定したつぎの結果から明らかである。すなわち、実施例3を用いた組電池のサイクル数は1200回であったのに対して、比較例1の電池を用いた組電池は750回であった。これは、必ずしも明らかではないが、僅かに発生した微短絡が電池容量のばらつきを発生させ、電池容量の少ない電池が過放電されたため極端に容量が低下したものと考えられる。
さらに、表1から、実施例3と参考例1を比較するとフッ素化ゴムの代わりにSBRを用いても短絡防止効果を高めることができるが、電池の出力は低下することが確認できた。これは必ずしも明らかではないが、SBRが電池の充放電によって分解され電解液にとけ込み、電解液のイオン伝導性低下させたものと考えられる。また、実施例電池を45℃においてサイクル充放電したところ、実施例3の電池は容量が初期の80%に低下するまで1200回の充放電が可能であったが、参考例1では950回の充放電しかできなかった。これは、SBRが電池の充放電によって分解され負極の充電リザーブ容量を圧迫したためであると考えられる。
また、ポリテトラフルオロエチレンを繊維状にすることによって、絶縁破壊電圧が向上することを確認した。これは、樹脂を繊維状としたことによって正極粉体を繊維状の網でカバーされ脱落が抑制されたことと、電極端面の滑りが良くなったため、電極の取り扱い時のバリ立ちがより抑制されたものと考えられる。ここではポリテトラフルオロエチレンの粒子を繊維状にする方法として、正極板の下端部にポリテトラフルオロエチレンの粒子とフッ素化ゴムとの混合物を塗布したのちに、ポリテトラフルオロエチレン樹脂が無色になるまで塗布した部分をニッケル棒で擦る方法を用いた。
また、正極板の下端部分に塗布するポリテトラフルオロエチレンの量を0.4mg/cm、0.8mg/cmおよび2.4mg/cmとした場合についても電池を製作し、他の条件は実施例1と同様にして短絡検査と絶縁破壊電圧の測定とをおこなった。短絡検査の結果、ポリテトラフルオロエチレン塗布量が0.4mg/cm以上の範囲において不良品率が低下する効果が得られることがわかった。このことは、本願の効果が得られるメカニズムによれば塗布量に多少にかかわらず耐短絡性能の向上が得られるが、塗布量は0.4mg/cm以上の範囲とすることによって、耐短絡性能の向上が確実に達成できることを意味するものである。さらに短絡検査の結果、劇的に不良率が改善できることから塗布量を0.8mg/cm以上とするの好ましいことがわかった。さらに、絶縁破壊電圧の測定の結果、絶縁破壊電圧が劇的に向上することから塗布量を4mg/cm以上とすることが好ましいことがわかった。以上の効果は、塗布量0.4mg/cmで十分な摺道性を確保できる程度の緻密さでポリテトラフルオロエチレンが配置されたことにより一定の絶縁層が形成され短絡防止効果が発現し、0.8mg/cmでポリテトラフルオロエチレンの密度がさらに高くなって十分な絶縁層が確保でき、4mg/cm以上でさらに緻密な絶縁層が確保できるためであると考えられる。また、ポリテトラフルオロエチレンの塗布量の上限は、とくに限定されるものではないが、電池の容量設計の観点から、所望の活物質充填量が得られる範囲内とすることが好ましい。なお、ポリテトラフルオロエチレンの塗布量の変更は、塗布ロールの回転数を調整することによっておこない、ほかの製作工程は実施例1と同様にした。また、以上で述べた塗布量範囲を特定したときの効果は、ポリテトラフルオロエチレンとフッ化ビニリデン系ゴムとの配合割合を実施例2〜4のそれと同様にした実験においても認められた。
また、ポリテトラフルオロエチレンとフッ化ビニリデン系ゴムとの混合物を塗布する部分を正極の下端面のみの場合、下端面から高さ1mmの場合、高さ1.5mmの場合についても電池を製作し、他の条件は実施例1と同様にして短絡検査と絶縁破壊電圧の測定とをおこなった。その結果、少なくとも下端面に塗布されていれば本発明の効果が得られ、塗布する部分が広くなっても、不良率、絶縁破壊電圧に変化はないことがわかった。この為、塗布方法として回転ロールを用いる場合は、塗布高さを0.5mm以上に設定できることがわかった。尚、粒子状のポリテトラフルオロエチレンの層は多孔質であるためか、出力に影響はなかった。塗布高さの変更は、塗布に用いる回転ロールに加工した溝の深さを調整することによりおこない、ほかの製作工程は実施例1と同様にした。なお、下端面のみへの塗布は刷毛を用いておこなった。
また、ニッケル多孔体に充填するペースト中のポリテトラフルオロエチレンの含有量を0%とした場合について電池を製作した。他の条件は実施例1〜4と同様にしたものをそれぞれ製作し短絡検査をおこなった。その結果、電極の内部にポリテトラフルオロエチレンを含有していないと、短絡検査時に不良数が2個程度増加する傾向のあることがわかった。このことは、ポリテトラフルオロエチレンを含有している場合は電極に柔軟性があり、巻き込み時に割れ等を発生しないためと思われる。このため、本発明の電池では、電極の内部にポリテトラフルオロエチレンを含有しているものがよく、その含有量はポリテトラフルオロエチレン樹脂で0.3%以上が好ましい。
また、正極板の巻き終わり部の端面にテープを貼り付けたものを用いたが、実施例1の正極巻き終わり部のテープを貼り付けない場合、巻き込み時の不良は50個中2個発生した。また、実施例1の正極巻き終わり部の端面に、テープに変えて、下端面に塗布した樹脂ディスパージョンを塗布すると巻き込み時の不良は50個中0個であり、テープを貼り付けた場合と同レベルの効果が得られることがわかった。したがって、本発明の電池に用いる正極板の短辺側の端面は、ポリテトラフルオロエチレンとフッ素ゴムとを含む混合物が塗布されていることが好ましい。
本発明の実施例の電池の構成を示す図。

Claims (4)

  1. 短冊状の正極板と負極板とをセパレータを介して巻回した極群を備え、前記両極板のうち少なくとも一方の極板は活物質を金属多孔体に充填したものである電池であって、前記少なくとも一方の極板は、長辺側の端部の表面にポリテトラフルオロエチレンとフッ素ゴムとを含む混合物が塗布されていることを特徴とする電池。
  2. ポリテトラフルオロエチレンとフッ素ゴムとを含む混合物中のフッ素ゴムの含有割合は、ポリテトラフルオロエチレンとフッ素ゴムとの合計重量に対して10%以上30%以下であることを特徴とする請求項1記載の電池。
  3. ポリテトラフルオロエチレンの塗布量は塗布面積1cmあたり0.4mg以上であることを特徴とする請求項1〜2記載の電池。
  4. 電池がニッケル水素蓄電池であること、正極板が水酸化ニッケルを主成分とする活物質を金属多孔体に充填したものであることおよび前記正極板の長辺側の端部の表面にポリテトラフルオロエチレンとフッ素ゴムとを含む混合物が塗布されていることを特徴とする請求項1〜3記載の電池。
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