JP2009000188A - 透析器 - Google Patents

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弘明 井坂
Haruhiko Tsutsumi
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Abstract

【課題】
本発明の目的は、血液流路と透析液流路と分離膜とを有する透析器において、菌体毒素など人体への悪影響が考えられる物質を吸着除去できる透析器、およびかかる透析器の製造方法を提供することにある。
【解決手段】
血液流路、透析液流路および分離膜を有し、前記透析液流路に抗菌性を有する物質が保持されてなる透析器。
【選択図】図1

Description

本発明は、人工透析、血液濾過に用いられる透析器およびその製造方法に関するものである。
処理液と被処理液により物質の濾過、拡散、吸着を行う分離膜モジュールは単位容積当たりの有効膜面積を大きく取れるため、これまで精密濾過、限外濾過などの水処理関係、窒素、酸素、水素等のガス分離関係、薬品関係、バイオ関係等多くの分野で使用されており、とりわけ血液透析、血液濾過等の血液処理器として好適に使用されている。
透析器を血液透析、血液濾過等の血液処理器として用いる場合、分離膜を介しての血液との両方向性の物質移動(不足物質の補充、過剰物質の除去)を行うため、細胞外液に類似するよう調整された透析液が用いられている。
このように、透析治療に於いて血液処理器と並んで根本的な構成要素である透析液は通常、塩化ナトリウム、塩化カルシウムなどを成分とするA液と重炭酸などを成分とするB液を使用直前に逆浸透膜を透過させた逆浸透水で希釈、混合することで調整される。逆浸透水については、重金属や菌、菌体毒素(エンドトキシン、ペプチドグリカンなど)などが混入していると生体への悪影響が考えられるため、清浄度を十分保つ必要があるが、逆浸透膜の劣化やピンホールによる除去率低下、配管への通常の薬液消毒方法では除去出来ない強固なバイオフィルムの形成により逆浸透水の清浄度が低下してしまう。このとき、透析治療に高透水性の透析器を用いた場合、分離膜を介して透析液側流路から血液側流路に透析液が濾過流入する逆濾過現象が発生する可能性があった。
それら問題を解決するため、特許文献1では、透析液供給装置の特定部位を局部的に加熱し殺菌する方法が提案されているが、菌が死滅した後に発生する菌体毒素の除去等について課題が残されている。また、菌体毒素の除去について特許文献2では、不溶性ビニル重合体成形品に塩基性窒素原子を有する官能基とポリミキシン分子を結合してなる解毒吸着剤が提案されているが、透析器に用いる分離膜にこのような吸着能を付与することは困難であった。
特開2006−255153号公報 特開昭60−209525号公報
本発明の目的は、血液流路と透析液流路と分離膜とを有する透析器において、菌体毒素など人体への悪影響が考えられる物質を吸着除去できる透析器、およびかかる透析器の製造方法を提供することにある。
上記課題を達成するため、本発明は以下の構成をとる。すなわち、
1.血液流路、透析液流路および分離膜を有し、前記透析液流路に抗菌性を有する物質が保持されてなる透析器。
2.前記抗菌性を有する物質の素材が多孔性セラミックスである、前記1に記載の透析器。
3.前記多孔性セラミックスがアルミナ、シリカ、ジルコニア、アパタイトから選ばれる一つ以上の成分を含むものである、前記2に記載の透析器。
4.前記抗菌性を有する物質が粒状物質である、前記1〜3のいずれかに記載の透析器。
5.前記粒状物質の平均粒子径が100μm〜5000μmの範囲内にある、前記4に記載の透析器。
6.前記分離膜が平膜または中空糸膜の形態を有する、前記1〜5のいずれかに記載の透析器。
7.血液流路、透析液流路および分離膜を有する透析器に、抗菌性を有する物質を含む無菌水を供給し、透析液流路内に抗菌性を有する物質を保持させる透析器の製造方法。
本発明によれば、透析液製造装置をはじめとする配管の殺菌消毒などでは除去できない菌体毒素をはじめ、逆浸透膜の劣化やピンホールにより混入する可能性がある人体への悪影響が考えられる物質についても、解毒吸着剤を分離膜自体に付与することなく吸着除去することが可能となる。とりわけ高透水性の透析器を用いた場合に菌体毒素などの逆濾過現象を防止することが出来る。
本発明における透析器は、血液流路と透析液流路と分離膜を備えており、分離膜は対称膜、非対称膜のいずれの構造でもよく、平膜、中空糸膜のいずれの形態でもよい。
中空糸膜型透析器の例を図1に示す。中空糸膜型透析器は、中空糸膜を複数本束ねて本体ケース1に挿入し、本体ケース端部に隔壁注型用キャップを取り付けた後に、隔壁用ポリマーをケース端部に注入し、隔壁3を形成することで、中空糸膜束2を本体ケースに固定する。隔壁3が固化した後に、端部における中空糸膜が両面とも外側に向かって開口するように隔壁部材をカットし、カット後の本体ケース1の両端部にヘッダー4を液密に取り付け、中空糸膜型透析器とする。血液は透析器の一方の血液流路6に供給され中空糸膜束2の内側を通液し、他方の血液流路6’から排出される。透析液は本体ケース1の一方の透析液ノズル5から供給され透析液流路7を通液し、他方の透析液ノズル5’から排出される。このとき、通常は血液と透析液は互いに向流の関係になるように通液される。
このような透析器において抗菌性を有する物質は、透析液流路7に保持されるものであり、透析器の使用時、製造時に透析液と共に流れ出ないよう保持されていればよい。抗菌性を有する物質を透析液と一緒に流れ出ないよう保持させる場所は、透析液流路であればいずれの場所でも良いが、透析液との接触機会を最大にするため透析液流路全体に保持されることが好ましい。血液と透析液との物質移動が活発に行われる以前に人体への悪影響が考えられる物質を出来うる限り除去するため、透析液入口側により多く保持させることがより好ましい。
また、抗菌性を有する物質を保持させる形態としては、本体ケース1や中空糸膜束2に吸着させる方法や、本体ケース1や中空糸膜束2の隙間に無菌水とともに設ける方法などを用いることが出来る。後者である無菌水とともに設ける方法を用いた場合、透析液入口側に設けられた抗菌性を有する物質を透析液と一緒に流れ出ないよう保持させるためには、中空糸膜束2の隙間や本体ケース1と中空糸膜束2の隙間よりも、抗菌性を有する物質の粒子経を大きくすることで容易に保持させることが可能である。一方、透析液出口に近い場所に抗菌性を有する物質を保持させる場合は、透析液と一緒に流れ出ないようとりわけ注意が必要であり、その例としては、抗菌性を有する物質の粒子経よりも小さな網目を備えた材料で透析液ノズルに蓋をする方法を用いることが出来る。
抗菌性を有する物質は大腸菌への最小発育阻止濃度が200ppm以下の物質であることが好ましい。抗菌性を有していない素材を用いる場合は、大腸菌への最小発育阻止濃度が200ppm以下になるよう抗菌性を付与すればよい。抗菌性の付与には、例えば銀や銅を用いればよく、これらを担持させればよい。担持させる方法としては、例えば被覆や反応を用いればよく、被覆する場合は、透析液との接触面積を大きくするために蒸着被覆などによって出来るだけ薄く被覆することが好ましい。
抗菌性を有する物質に用いる素材としては、活性炭、多孔性樹脂、多孔性セラミックスなどを用いることができるが、中でも抗菌性をより多く付与することができる多孔性セラミックスが好ましい。
多孔性セラミックスとしては、例えば、アルミナ、シリカ、ジルコニア、アパタイト、酸化チタン、チタン酸カリウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などが用いられる。これらの中で、得られるセラミックスの加工のしやすさを考慮すると、アルミナ、シリカ、ジルコニア、アパタイトまたはこれら成分の一つ以上を含むセラミックスを用いることが好ましい。
抗菌性を有する物質は、透析液との接触面積を大きくするため粒状物質であることが好ましく、粒子径の測定方法として投影面積円相当径を用いて測定した場合の平均粒子経が5000μm以下であることが好ましい。また、透析液流路に保持後、透析液と一緒に流れ出ないことなどを考慮し、100μm以上であることが好ましく、透析液流路への保持のし易さを考えると500μm以上、3000μm以下であることがより好ましい。
これら抗菌性を有する物質は、透析器の製造組立時に透析器の透析液流路に保持すればよく、その方法として抗菌性を有する物質を含む無菌水を供給することで透析液流路に抗菌性を有する物質を保持させる方法が挙げられる。例えば、前述の中空糸膜型透析器の例において、本体ケースの両端部にヘッダーを液密に取り付けた後に抗菌性を有する物質を含む無菌水を通水する方法を用いればよい。このとき、無菌水に含まれる抗菌性を有する物質は、透析液ノズル5から流入し透析液流路7’に到達する。その後、中空糸膜束2の隙間に流れ込み、透析液ノズル5’から排出されるが、抗菌性を有する物質の粒子経を設定する際に中空糸膜束2の隙間を考慮することで透析液流路7’や中空糸膜束2の隙間に抗菌性を有する物質を留め、無菌水のみを排出し、抗菌性を有する物質を保持することができる。もしくは、抗菌性を有する物質を含む無菌水を透析液ノズル5から流入する際に、透析液ノズル5’に抗菌性を有する物質の粒子経よりも小さな網目を備えた材料で蓋をすることによっても、より簡便に抗菌性を有する物質を保持することができる。
また、透析器使用時に行うプライミング(洗浄)に併せて抗菌性を有する物質を含む無菌水を供給することで透析液流路に抗菌性を有する物質を保持させてもよい。これらの方法において、抗菌性を有する物質を含む無菌水の供給速度や、無菌水中の抗菌性を有する物質の濃度に制限はなく、保持させる量や製造条件、プライミング条件等に合わせて任意に設定することが出来る。
[エンドトキシン濃度の測定方法]
逆浸透水を用いて、エンドトキシン濃度が100EU/L、水温36.0℃〜37.0℃となるよう調製したエンドトキシン水溶液2000mLを流量200mL/分で実施例1および比較例1に示す透析器の透析液流路側に1回通水した。このとき透析器の血液側には通水を行わなかった。通水時間が8分に達したところで透析液出口側にて200mLサンプリングし、これを試験液とした。その後、トキシノメーターET−301(和光純薬)を用いて試験液のエンドトキシン濃度を測定した。
[コロニー数の測定方法]
殺菌前の浄水を生菌数100cell/mLに希釈し、水温36.0℃〜37.0℃となるよう調製した水溶液2000mLを流量200mL/分で実施例1および比較例1に示す透析器の透析液側に1回通水した。このとき透析器の血液側には通水を行わなかった。通水時間が8分に達したところで、透析液出口側にて200mLをサンプリングし、これを試験液とした。その後、試験液1.0mLを普通寒天培地を用いて、37℃の条件で5日間培養後、コロニー数をカウントした。
(実施例)
東レ株式会社製透析器(TS−1.8UL)において、透析液流路、血液流路ともに無菌水が充填された状態で、透析液側流路にシネナンゼオミック社製銀担持ゼオライト(平均粒子径1000μm)を10g含む逆浸透水1000mLを両端の透析液ノズルそれぞれから1回ずつ通水し、透析液ノズルに500μm程度の編み目を備えた材料で蓋をして銀担持ゼオライトを保持させた。得られた透析器を前述条件で評価し、エンドトキシン濃度の測定と、試験液1mLを培養後のコロニー数をカウントした。評価結果を表1に示す。
(比較例)
透析液流路に上記銀担持ゼオライトなどの抗菌性を有する抗菌性を有する物質を一切保持しなかった以外は実施例1と同様にして評価した。評価結果を表1に示す。
Figure 2009000188
本発明における透析器全体を例示する側断面図である。
符号の説明
1 :本体ケース
2 :中空糸膜束
3 :隔壁
4 :ヘッダー
5 :透析液ノズル
5’:透析液ノズル
6 :血液流路
6’:血液流路
7 :透析液流路
7’:透析液流路

Claims (7)

  1. 血液流路、透析液流路および分離膜を有し、前記透析液流路に抗菌性を有する物質が保持されてなる透析器。
  2. 前記抗菌性を有する物質の素材が多孔性セラミックスである、請求項1に記載の透析器。
  3. 前記多孔性セラミックスがアルミナ、シリカ、ジルコニア、アパタイトから選ばれる一つ以上の成分を含むものである、請求項2に記載の透析器。
  4. 前記抗菌性を有する物質が粒状物質である、請求項1〜3のいずれかに記載の透析器。
  5. 前記粒状物質の平均粒子径が100μm〜5000μmの範囲内にある、請求項4に記載の透析器。
  6. 前記分離膜が平膜または中空糸膜の形態を有する、請求項1〜5のいずれかに記載の透析器。
  7. 血液流路、透析液流路および分離膜を有する透析器に、抗菌性を有する物質を含む無菌水を供給し、透析液流路内に抗菌性を有する物質を保持させる透析器の製造方法。
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