JP2009257575A - トルクリミッタ機能付き回転機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】所定の締め付けトルクに対して所定範囲内の軸力を安定的に発生させることが可能な、摩擦係数の小さいねじ締結部を有し、ねじ締結部の耐食性を確保した安価なトルクリミッタ機能付き回転機器を提供する。
【解決手段】ねじ締結部10は、出力側回転体1aに形成された雄ねじ部と入力側回転体9に形成された雌ねじ部とから構成されており、雄ねじ部と雌ねじ部の少なくとも一方の表面が亜鉛ニッケルめっき被覆を有することを特徴とするトルクリミッタ機能付き回転機器。
【選択図】図1
【解決手段】ねじ締結部10は、出力側回転体1aに形成された雄ねじ部と入力側回転体9に形成された雌ねじ部とから構成されており、雄ねじ部と雌ねじ部の少なくとも一方の表面が亜鉛ニッケルめっき被覆を有することを特徴とするトルクリミッタ機能付き回転機器。
【選択図】図1
Description
本発明は、トルクリミッタ機能付き回転機器に関するもので、好適には、車両用空調装置の圧縮機に適用される。
車両用空調装置の圧縮機は、エンジンから動力を得て稼動している。このため、圧縮機の摺動部が焼き付き等により固着したときに、駆動側の機器を保護するため、伝達トルクが所定値以上となったときにトルクの伝達を遮断するトルクリミッタ機能を圧縮機又はプーリに設けている(特許文献1、2)。
そして、トルクリミッタ機能付きプーリまたは圧縮機は、図1に示すように構成されている。すなわち、このプーリまたは圧縮機は、エンジン8(図3参照)から動力を受けて回転するプーリ9と、プーリ9とねじ締結され、プーリ9と一体的に回転するシャフト1aと、を有している。プーリ9とシャフト1aとのねじ締結部10は、プーリ9にエンジン8からの動力が作用したときに、締め付けトルクが増大するようにねじが形成されている。そして、シャフト1aには、ねじ締結部10に作用する締め付けトルクが所定値以上となったときに、締め付けトルクによる引張り軸力により破断する破断予定部1iが設けられている。破断予定部1iは、シャフト1aの他の部位より小径化されて、ねじ締結部10に隣接して設けられている。この方式を軸力破断式と言う。
しかしながら、ねじ締結部10を一定のトルクで締め付けたとき、破断予定部1iの引張り軸力はねじ表面の状態により大きく変動する。一方、通常のねじ締結部の摩擦係数は相当程度大きく、このため製品毎のねじ表面の摩擦係数にばらつきが生じる。これらにより、通常のねじ締結部においてねじ締結部10を一定のトルクで締め付けたとき、破断予定部1iの引張り軸力は大きく変動することとなる。所定のトルクに対して所定範囲内の軸力を安定的に発生させることは品質確保の点で不可欠な条件であり、このためには、締結部の摩擦係数を小さくしてそのばらつきを最小限の範囲に設定する必要がある。また、締結部表面に対しては耐食性確保の要求もある。
ねじ締結部の締め付けトルクに対する軸力を安定化させかつ耐食性を確保するために、従来、耐食性確保のために表面にダクロ処理をした後に、軸力安定化のために軸力安定化処理剤を塗布する技術(トルカー処理)が用いられている。しかし、この処理は2回の処理が必要であり非常に高価である。ダクロ処理とは、金属亜鉛フレーク、無水クロム酸、グリコール等の分散水溶液に被処理物を浸漬した後、被処理物を焼付け炉中で約300℃で加熱することにより金属亜鉛を3価のクロム化合物で結合した高い耐食性を有する銀白色の被膜を被処理物上に形成する処理を言う。トルカー処理とは、特殊な高分子樹脂と界面活性剤を主とする水分散型処理液を塗布する処理を言う。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、所定の締め付けトルクに対して所定範囲内の軸力を安定的に発生させることが可能な、摩擦係数の小さいねじ締結部を有し、ねじ締結部の耐食性を確保した安価なトルクリミッタ機能付き回転機器を提供することである。
本発明は、前記課題を解決するための手段として、特許請求の範囲の各請求項に記載のトルクリミッタ機能付き回転機器を提供する。
請求項1に記載の発明によれば、トルクリミッタ機能付き回転機器は、ねじ締結部10、402は、出力側回転体1a、403に形成された雄ねじ部と入力側回転体9、100に形成された雌ねじ部とから構成されており、雄ねじ部と雌ねじ部の少なくとも一方の表面が亜鉛ニッケルめっき被覆を有することを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、トルクリミッタ機能付き回転機器は、ねじ締結部10、402は、出力側回転体1a、403に形成された雄ねじ部と入力側回転体9、100に形成された雌ねじ部とから構成されており、雄ねじ部と雌ねじ部の少なくとも一方の表面が亜鉛ニッケルめっき被覆を有することを特徴とする。
亜鉛ニッケルめっき被覆により摩擦係数の小さいねじ表面を安価な処理により確保することが可能となる。小さい摩擦係数のねじ表面の存在により、締め付けトルクの一部がねじ表面の摩擦力に変化するだけとなり、締め付けトルクの大部分はシャフトを引張る軸力に変化する。こうして、一定の締め付けトルクに対する引張り軸力のばらつきが少なくなる。さらには、引張り軸力のばらつきが少なくなるので、ねじ締結部を小型化することが可能となる。
亜鉛ニッケルめっきは、一般的には高ニッケル型と低高ニッケル型の2種類がある。高ニッケル型は、ニッケルが12〜18重量%、亜鉛が残りの重量%であり、低ニッケル型は、ニッケルが6〜8重量%、亜鉛が残りの重量%である。また、亜鉛ニッケルめっきは耐食性にも優れためっきであるとともに、亜鉛ニッケルめっきが被覆された表面の摩擦係数は、トルカー処理をされた表面の摩擦係数とほぼ同程度である。
亜鉛ニッケルめっきは、一般的には高ニッケル型と低高ニッケル型の2種類がある。高ニッケル型は、ニッケルが12〜18重量%、亜鉛が残りの重量%であり、低ニッケル型は、ニッケルが6〜8重量%、亜鉛が残りの重量%である。また、亜鉛ニッケルめっきは耐食性にも優れためっきであるとともに、亜鉛ニッケルめっきが被覆された表面の摩擦係数は、トルカー処理をされた表面の摩擦係数とほぼ同程度である。
図4に、各種処理が施されたねじに関するトルクと軸力の関係を表す。ダクロ処理を施したねじは、必要軸力を確保するための締付けトルクが大きくばらついていることが分かる。これは、製品毎にねじ表面の摩擦係数がばらつきが生じており、ダクロ処理ではこの摩擦係数のばらつきを改善できないためである。このダクロ処理に比較して、「ダクロ処理+トルカー処理」または亜鉛ニッケルめっきが施されたねじは、必要軸力を確保するための締付けトルクがばらついていないことが分かる。
請求項2に記載の発明によれば、トルクリミッタ機能付き回転機器は、出力側回転体1aの一部が前記雄ねじ部のねじ径より小さい相当直径を有する相当小径部(1i)を備えており、該相当小径部1iが破断予定部であることを特徴とする。破断予定部の具体的構造を明確にしたものである。
請求項3に記載の発明によれば、トルクリミッタ機能付き回転機器は、入力側回転体100側の部材3であって、ねじ締結部402に固定された部材3が、破断予定部301を備えていることを特徴とする。破断予定部の具体的構造を明確にしたものである。
なお、上記各手段の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
請求項3に記載の発明によれば、トルクリミッタ機能付き回転機器は、入力側回転体100側の部材3であって、ねじ締結部402に固定された部材3が、破断予定部301を備えていることを特徴とする。破断予定部の具体的構造を明確にしたものである。
なお、上記各手段の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
(第1実施形態)
本実施形態は、本発明に係るトルクリミッタ機能付き回転機器を車両用空調装置の圧縮機に適用したものであって、図1は、トルクリミッタ機能付き回転機器の一部であるプーリの断面図である。図2は、トルクリミッタ機能付き回転機器である圧縮機の断面図である。図3は車両用空調装置の模式図である。
本実施形態は、本発明に係るトルクリミッタ機能付き回転機器を車両用空調装置の圧縮機に適用したものであって、図1は、トルクリミッタ機能付き回転機器の一部であるプーリの断面図である。図2は、トルクリミッタ機能付き回転機器である圧縮機の断面図である。図3は車両用空調装置の模式図である。
なお、車両用空調装置は、図3に示すように、圧縮機1で圧縮された高温・高圧の冷媒と外気とを熱交換して冷媒を冷却する放熱器2、放熱器2から流出した冷媒を液相冷媒と気相冷媒とに分離器して余剰冷媒を液相冷媒として蓄えるレシーバ3、レシーバ3から供給された液相冷媒を減圧する減圧器4、及び減圧された低圧・低温冷媒と室内に吹き出す空気と熱交換して液相冷媒を蒸発させる室内熱交換器をなす蒸発器5等からなるものである。
圧縮機1は、図2に示すように、斜板室(クランクケース)1c内の圧力を制御することによりシャフト1aに対する斜板1bの傾斜角を変化させてストン1dの行程を変化させ、吐出容量を変化させることができる周知の可変容量斜板型圧縮機である。
具体的には、圧縮機1の吸入側と斜板室1cとをオリフィスやキャピラリーチューブ等の所定の圧力損失を発生させる絞り(図示せず。)を介して常に連通させるとともに、圧縮機1の吐出側と斜板室1cとを連通させる圧力導入通路(図示せず。)の連通状態を制御する圧力制御弁6を設け、吐出容量を増大させる場合には、圧力導入通路を絞る又は閉じることにより斜板室1c内の圧力を低下させ、吐出容量を減少させるときには、斜板室1c内の圧力を上昇させる。
圧力制御弁6は、図3に示すように、電子制御装置(ECU)7により制御されており、本実施形態では、ECU7は蒸発器5内の圧力(蒸発温度)又は蒸発器5を通過した直後の空気温度が所定の目標温度(TEO)となるように圧力制御弁6をデューティ制御する。
また、圧縮機1は、走行用駆動源をなすエンジン8から動力の供給を受けて稼動するもので、Vベルト及び入力側回転体をなすプーリ9を介してエンジン1の始動・停止に機械的に連動して稼動する。
このため、圧縮機1は、エンジン8の始動とともに稼動し始め、エンジン8の停止とともに停止する。したがって、操作パネル7bに設けられた空調装置の始動スイッチ(A/Cスイッチ)を遮断した場合であっても、エンジン8が稼動している間は、斜板1bやラグプレート1e(図2参照)等は回転し続ける。
次に、プーリ9及び本実施形態に係るトルクリミッタ機能について述べる。図1はプーリ9の拡大断面図であり、プーリ本体9aはVベルトを介してエンジン8から駆動力を受けて回転する略円筒状に形成された金属又は硬質樹脂製の回転体であり、このプーリ9の内周側にはプーリ本体9aを回転可能に支持するラジアル転がり軸受9bが装着される円筒状のプーリハブ9cが一体成形されている。因みに、ラジアル転がり軸受9bの内輪は、圧縮機1のフロントハウジングに圧入装着される。
なお、本実施形態では、プーリ本体9aとして、複数列のV溝9dが設けられたポリードライブベルト対応型のプーリを採用しているとともに、プーリ本体9aを樹脂製としているので、プーリハブ9cのうち軸受9bが装着される内周側には、金属製のスリーブ9eがインサート成形にてプーリハブ9cに一体化されている。
また、センターハブ9fは出力側回転体であるシャフト1aにねじ結合されてシャフト1aと共に回転する回転体であり、このセンターハブ9fは、シャフト1aの先端側外周面に形成された雄ねじと結合する雌ねじが形成されたボス部9g、プーリ本体9a側に突出してプーリ本体9aから供給されるトルクを受ける複数個の突起部9hが形成されたプレート部9i、及びプレート部9iとボス部9gとを機械的に連結してプレート部9iからボス部9gにトルクを伝達するブリッジ部9j等から構成されている。
因みに、本実施形態では、ボス部9g及びブリッジ部9jは鉄系金属により形成され、プレート部9iは樹脂にて成形されており、ブリッジ部9jとプレート部9iとはインサート成形法により一体化されているが、センターハブ9f全体を金属にて一体成形してもよいことは言うまでもない。また、ボス部9g及びブリッジ部9jは、金属粉を焼結することにより一体成形されてもよい。
ここで、シャフト1aの先端側は、雄ねじ部が形成された小径部1gと段付き部1fを形成する大径部1hとからなる段付き形状となっているため、プーリ9をシャフト1aに対してに締め付けると、プーリ9、つまりボス部9gと段付き部1fとの接触面圧が増大しながら小径部1gに作用する引張り軸力、つまりねじ締結部10に発生する締結力及び締め付けトルクが増大する。
そして、本実施形態では、プーリ9、つまりボス部9gとシャフト1aとのねじ締結部10には、プーリ9にエンジン8からの動力が作用したときに、ねじ締結部10での締め付けトルクが増大する向きのねじが形成されているとともに、ねじ締結部10に作用する締め付けトルクが所定値以上となったときに、締め付けに伴って発生する引張り軸力により破断する破断予定部1iが設けられている。
ねじ締結部10は、シャフト1aに形成された雄ねじ部とプーリ9のボス部9gに形成された雌ねじ部とから構成されている。そして、雄ねじ部と雌ねじ部の少なくとも一方の表面が亜鉛ニッケルめっき被覆を有している。この亜鉛ニッケルめっき被覆により摩擦係数の小さいねじ表面を安価な処理により確保することが可能となる。
また、プーリ9をシャフト1aに組み付ける際の締め付けトルクは、破断予定部1iが破断するトルク、つまり動力の伝達を遮断してトルクリミッタ機能を発揮させる破断トルク以下であって、圧縮機1を駆動するに必要なトルク以上の所定トルク(以下、このトルクを組み付けトルクと呼ぶ。)である。
なお、本実施形態では、小径部1gの根元側、つまり小径部1gのうち大径部1h側の一部を、雄ねじ部のねじ径より小さい相当直径を有する狭径部とすることにより破断予定部1iを構成している。
ここで、相当直径とは、断面積を円に換算したときの直径を言うもので、本実施形態では、破断予定部1iは円形断面であるので、相当直径は破断予定部1iの直径と一致する。
次に、本実施形態に係るトルクリミッタ機能付き回転機器の特徴的作動を述べる。圧縮機1が正常作動しているときには、圧縮機1を駆動させるための駆動トルクは組み付けトルク以下であるので、ねじ締結部10で発生する軸力に伴う摩擦力を介してエンジン8から出力されたトルクがシャフト1a、つまり圧縮機1に伝達される。
そして、何らかの原因により、圧縮機の摺動部が焼き付く等して固着したときには、プーリ9に伝達されるトルクの増大とともにねじ締結部10での締め付けトルクが増大して引張り軸力が増大するので、破断予定部1iに作用する引張り軸力が破断トルク相当の軸力以上となったときに破断予定部1iが破断してトルクの伝達が遮断される。
(第2実施形態)
第2実施形態は、第1実施形態と同様に、本発明に係るトルクリミッタ機能付き回転機器を車両用空調装置の圧縮機に適用したものである。図5は、トルクリミッタ機能付き回転機器の一部である、第1実施形態とはデザインの異なるプーリ100の断面図である。図6は、図5のプーリ100の正面図である。以下においては、第1実施形態と相違する箇所を中心として説明する。
第1実施形態と大きく相違する箇所は、伝達トルクが所定値以上となったときにトルクの伝達を遮断するトルクリミッタ機能を持つ破断予定部の位置である。第1実施形態において、破断予定部1iは、シャフト1aの他の部位より小径化されて、ねじ締結部10に隣接して設けられている。第2実施形態では、破断予定部301は、入力側回転体100側の部材であってシャフト4にねじ締結された動力遮断部材3に設けられている。
第2実施形態は、第1実施形態と同様に、本発明に係るトルクリミッタ機能付き回転機器を車両用空調装置の圧縮機に適用したものである。図5は、トルクリミッタ機能付き回転機器の一部である、第1実施形態とはデザインの異なるプーリ100の断面図である。図6は、図5のプーリ100の正面図である。以下においては、第1実施形態と相違する箇所を中心として説明する。
第1実施形態と大きく相違する箇所は、伝達トルクが所定値以上となったときにトルクの伝達を遮断するトルクリミッタ機能を持つ破断予定部の位置である。第1実施形態において、破断予定部1iは、シャフト1aの他の部位より小径化されて、ねじ締結部10に隣接して設けられている。第2実施形態では、破断予定部301は、入力側回転体100側の部材であってシャフト4にねじ締結された動力遮断部材3に設けられている。
プーリ本体100aは、外周部にベルトが掛けられて動力を受ける外筒と、ケーシング7に回転可能に支持される内筒と、外筒と内筒とをつなぐ連結部とからなり、後述するポケット部102は、プーリ本体100aのフロント側において、外筒、内筒、連結部とに囲まれた領域である。プーリ本体100aは、圧縮機のケーシング7の一端側に設けられた円筒状のボス部701に、軸受5及びスリーブリング付き留輪104を介して回転可能に装着されている。プーリ本体100aは、好適には熱可塑性の合成樹脂で成型されており、通常はプーリ本体100a、スリーブ付き留輪104及び軸受5はインサート成形により一体化している。
プーリ本体100aの外周面にはベルト(図示せず)が巻き掛けられ、エンジンやモータ等の外部からの動力によって回転する。軸受5は、ボス部701の外周面に形成された溝に嵌め込まれたスリーブリング付き留輪(スナップリング)104と、ボス部701の端部及びスリーブリング付き留輪104内に嵌め込まれたリング材103とによって、軸方向の移動が阻止されている。また、ケーシング7とシャフト4とは、軸封装置によって密封されており、冷媒やオイル等が外部に漏れるのを防止している。この軸封装置もまた、ボス部701の内周面に形成された溝に嵌め込まれた留輪(スナップリング)によって軸方向の移動が阻止されている。
圧縮機のシャフト4の先端部はケーシングから突出しており、その先端部は、先端から順に工具に適合するように形成された工具形状部401、外周にねじが形成されているねじ部402及びこのねじ部402より大径の軸部403とよりなり、ねじ部402と軸部403との移行部に段部が形成されて軸側座面404となっている。工具形状部401は、通常は多角形状をしている。シャフト4にはワッシャ8が挿入され、軸側座面404とハブ2のリア側の面との間で挟み込まれている。また、シャフト4のねじ部402には、動力遮断部材3が螺合によって固定されている。
ねじ締結部402は、シャフト4に形成された雄ねじ部と動力遮断部材3に形成された雌ねじ部とから構成されている。そして、雄ねじ部と雌ねじ部の少なくとも一方の表面が亜鉛ニッケルめっき被覆を有している。この亜鉛ニッケルめっき被覆により摩擦係数の小さいねじ表面を安価な処理により確保することが可能となる。また、プーリ100をシャフト4に組み付ける際の締め付けトルクは、破断予定部301が破断するトルク、つまり動力の伝達を遮断してトルクリミッタ機能を発揮させる破断トルク以下であって、圧縮機1を駆動するに必要なトルク以上の所定トルクである。
トルクリミッタとしての役割をもつ動力遮断部材3は、大きな外径の筒状部と小さな外径の筒状部とを一体に連結した構造をしていて、後述するインナーハブ204とシャフト4との間に介装されている。即ち、動力遮断部材3の内周面のリア側の略後半部分には雌ねじが形成されてねじ部303となっていて、シャフト4のねじ部402とねじ嵌合により結合されている。一方、動力遮断部材3の大径の筒状部側には、フランジ部302が設けられて、このフランジ部302がインナーハブ204とカシメにより結合されている。また、動力遮断部材3の両筒状部の結合部には切り欠きが形成されていて、破断予定部301となっている。したがって、動力遮断部材3が過大な軸力を受けたときに、図5に示すように容易に破断予定部301が破断されるようになっている。
ハブ2は、シャフト4側から外方に順に、インナーハブ204、弾性部材よりなる円筒部203、アウターリング202及び弾性部材よりなるハブ側凹凸部201より構成されている。インナーハブ204は、概略円筒形状をしていて、その内周面は、ほぼ動力遮断部材3の外周面に適合する形状に形成されていて、両者は、カシメ部204aをカシメることによって結合されている。なお、両者の結合は、カシメによる結合方法以外に、インナーハブ204の内周面と動力遮断部材3の外周面とを同じ多角形状に形成して両者を嵌合して固定してもよいし、或いは、シャフト4と動力遮断部材3との結合と同じようにねじ嵌合によって結合してもよい。また、インナーハブ204のリア側先端面(圧縮機側の端面)がハブ側座面204bとなっていて、ワッシャ8に当接することによって、インナーハブ204は、動力遮断部材3とワッシャ8とによって挟持されるようにもなっている。
アウターリング202は、円筒状をしていて、インナーハブ204と同様に鉄等の金属材により形成されている。円筒部203は、ゴムや樹脂等の弾性部材から形成され、インナーハブ204とアウターリング202間に配置して保持され、インナーハブ204の外周面及びアウターリング202の内周面に接着等の手段によって結合されている。
同様にアウターリング202の上面には、円筒部203と同様の弾性部材からなるハブ側凹凸部201が設けられている。ハブ側凹凸部201もアウターリング202の上面に接着等の手段によって結合されている。或いは、ハブ3を構成するインナーハブ204、円筒部203、アウターリング202及びハブ側凹凸部201の4者は、インサート成形により一体に形成されてもよい。この場合、アウターリング202の全面が弾性部材で覆われるようにすることが好ましい。円筒部203及びハブ側凹凸部201の弾性部材は、トルク伝達用として機能するだけでなく、トルクダンパとしても機能する。
ハブ側凹凸部201は、周方向に凹凸が形成された環状をしており、図6に示されるように周方向に間隔をあけて複数のスリット210(図6では6つのスリット)が形成されている。なお、凹凸自体は半径方向の凹凸である。また、ハブ側凹凸部201の凹凸は、後述するプーリ本体100aのポケット部102内にほぼ収まる程の軸方向長さを有している。
一方、プーリ本体100aのフロント側には、環状にポケット部102が形成されており、このポケット部102の上側面(内周面)102aには、周方向に凹凸が形成されたプーリ側凹凸部101が設けられている。この場合でも、凹凸自体は半径方向の凹凸である。更にポケット部102には、周方向に複数の補強用リブ110が設けられている。これらプーリ側凹凸部101の凹凸及びリブ110は、それぞれリブ側凹凸部201の凹凸及びスリット210に対応する周方向の位置に形成されており、ハブ2を軸方向に移動することで、図2に示すようにハブ側凹凸部201とプーリ側凹凸部101とが凹凸嵌合し、同時にスリット210とリブ110とが嵌合するようになっている。このようにして、プーリ本体100aとハブ2とが結合されている。
次に、第2実施形態に係るトルクリミッタ機能付き回転機器の特徴的作動を述べる。圧縮機1が正常作動しているときには、圧縮機1を駆動させるための駆動トルクは破断予定部301の破断力に相当するトルク以下であり、ねじ締結部402で発生する軸力によって、インナーハブ204がワッシャ8を介して軸側座面404に押し付けられ、その摩擦力を介してエンジン8から出力されたトルクがシャフト403、つまり圧縮機1に伝達される。
そして、何らかの原因により、圧縮機の摺動部が焼き付く等して固着したときには、プーリ100に伝達されるトルクが増大するので、破断予定部301に作用する力が破断力以上となったときに破断予定部301が破断してトルクの伝達が遮断される。
以上のように、所定の締め付けトルクに対して所定範囲内の軸力を安定的に発生させることが可能な、摩擦係数の小さいねじ締結部を有し、ねじ締結部の耐食性を確保した安価なトルクリミッタ機能付き回転機器を提供することが可能となる。
1 圧縮機
1a シャフト
1f 段付き部
1g 小径部
1h 大径部
1i 破断予定部
9 プーリ
9a プーリ本体、
9f センターハブ
10 ねじ結合部
100 プーリ
100a プーリ本体、
301 破断予定部
1a シャフト
1f 段付き部
1g 小径部
1h 大径部
1i 破断予定部
9 プーリ
9a プーリ本体、
9f センターハブ
10 ねじ結合部
100 プーリ
100a プーリ本体、
301 破断予定部
Claims (3)
- 駆動源(8)から動力を受けて回転する入力側回転体(9、100)と、
前記入力側回転体(9、100)とねじ締結され、前記入力側回転体(9、100)と一体的に回転する出力側回転体(1a、403)と、を有し、
前記入力側回転体(9、100)と前記出力側回転体(1a、403)とのねじ締結部(10、402)は、前記入力側回転体(9、100)に前記駆動源(8)からの動力が作用したときに、締め付けトルクが増大するようにねじが形成されており、
さらに、前記入力側回転体(9、100)及び前記出力側回転体(1a、403)のうち少なくとも一方には、前記ねじ締結部(10、402)に作用する締め付けトルクが所定値以上となったときに、前記締め付けトルクによる引張り軸力により破断する破断予定部(1i、301)が設けられているトルクリミッタ機能付き回転機器において、
前記ねじ締結部(10、402)は、前記出力側回転体(1a、403)に形成された雄ねじ部と前記入力側回転体(9、100)に形成された雌ねじ部とから構成されており、前記雄ねじ部と前記雌ねじ部の少なくとも一方の表面が亜鉛ニッケルめっき被覆を有することを特徴とするトルクリミッタ機能付き回転機器。 - 前記出力側回転体(1a)の一部が、前記雄ねじ部のねじ径より小さい相当直径を有する相当小径部(1i)を備えており、該相当小径部(1i)が前記破断予定部(1i)であることを特徴とする請求項1に記載のトルクリミッタ機能付き回転機器。
- 前記入力側回転体(100)側の部材(3)であって、前記ねじ締結部(402)に固定された部材(3)が、前記破断予定部(301)を備えていることを特徴とする請求項1に記載のトルクリミッタ機能付き回転機器。
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