JP2012201042A - 透湿防水性布帛 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた耐水圧、透湿防水性および耐久性(洗濯耐久性)を有し激しい降雨時などにおいても、外観に優れた透湿防水性布帛を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の透湿防水性布帛は、繊維布帛の片面にポリウレタン系樹脂膜が形成され、以下の(I)〜(V)を満足することを特徴とする。
(I)ポリウレタン系樹脂膜は乾式微多孔質膜および乾式無孔質膜を含み、該乾式微多孔質膜は繊維布帛に接する面に設けられており、該乾式無孔質膜が乾式微多孔湿膜における繊維布帛と反対側の面に設けられている。
(II)乾式無孔質膜がエーテル系ポリウレタンを主成分とする。
(III)乾式微多孔質膜がフッ素系撥水剤を含有している。
(IV)乾式無孔質膜が5〜15%の膨潤率を有し、かつ乾式微多孔質膜の膨潤率が乾式無孔質膜の膨潤率より低いものである。
(V)60〜500kPaの耐水圧、JIS L−1099 A−1法に従って測定された4000〜10000g/m・24hrsの透湿度、およびJIS L−1099 B−1法に従って測定された8000〜15000g/m・24hrsの透湿度を有している。
【選択図】なし

Description

本発明は、スポーツ、アウトドア用途等に好適に使用される透湿防水性布帛に関するものである。
透湿性と防水性とを併せ持つ透湿防水性布帛は、スポーツ衣料や防寒衣料などにおいて、好適に用いられている。透湿性とは身体からの発汗による水蒸気を衣服外へ放出させる性質であり、防水性は雨などの水分が衣服内に侵入するのを防ぐ性質である。
このような透湿防水性布帛の構成としては、繊維布帛の片面にポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド又はポリテトラフルオロエチレンなどの樹脂からなる微多孔質膜や無孔質膜を形成した構成が広く知られている。
微多孔質膜を得るためには、一般的に、湿式法が用いられる。しかしながら、湿式法により親水性樹脂を用いて該微多孔質膜を得る場合には、該親水性樹脂の凝固が遅いなどの問題がある。そのため、疎水性の樹脂、例えばエステル系ポリウレタン樹脂などを用い、凝固皮膜化することで微多孔湿膜を形成するという手法が採用されている。このようにして得られた疎水性の微多孔質膜の透湿度をJIS L−1099 A−1法(塩化カルシウム法)により測定すると、その透湿性は優れていることが認められる。しかしながら、湿式法により微多孔湿膜を得る場合には、一般的に、装置コストや回収コストが高くなったり、多量の水や地下水を必要とすることに起因して加工場の立地条件が制限されたりするという問題があった。
一方、無孔質膜を得るためには、一般的に、乾式法が用いられる。しかしながら、疎水性の樹脂を用いて乾式法により無孔質膜を得る場合には、透湿性などが不十分であるという問題がある。そのため、親水性の樹脂、例えばエーテル系ポリウレタン樹脂などを用い、乾燥皮膜化することで無孔質膜を形成するという手法が採用されている。乾式法により得られた親水性の無孔質膜の透湿度をJIS L−1099 B−1法(酢酸カリウム法)により測定すると、その透湿性に優れていることが認められる。加えて、前記の湿式法より、コスト面などにおいて優れるという利点がある。しかしながら、乾式法により得られた親水性の無孔質膜は、膨潤しやすいため、これを単に使用しただけでは得られる透湿防水性布帛の外観が損なわれやすいという問題がある。
より高い透湿防水性を得ることを目的として、例えば、特許文献1では、水膨潤性の高分子材料を主成分とする樹脂膜層を含む透湿防水性布帛が提案されている。具体的には、特許文献1の実施例1では、ポリエステル織物の片面に微多孔質膜を形成し、さらに17%の水膨潤度を有するポリウレタン樹脂を主成分とする無孔質膜を該微多孔質膜上に熱圧着して、透湿防水性布帛を得ている。特許文献1で得られた透湿防水性布帛は、衣服やテントなどの用途に用いられている。
また、特許文献2では、繊維布帛上に15〜25%の膨潤率を有する樹脂膜が形成され、該樹脂膜上に0〜12%の膨潤率を有する別の樹脂膜が配された構成を有する、透湿防水性ラミネート布帛の製造方法が提案されている。
特開2001−239623号公報 特開2003−20574号公報
しかしながら、特許文献1に記載された発明の場合、外気に曝される層が大きく膨潤する膜であるため、発汗した場合や洗濯回数が多くなったときには、膜の耐久性に加え透湿防水性布帛の外観、品位が低下するという問題があった。一般に透湿防水性布帛の分野では、基材たる繊維布帛としてナイロン織物が多用されるが、特許文献1記載の発明において、ポリエステル織物に代えてナイロン織物を適用すると、透湿防水性布帛の外観、品位の低下は顕著となる傾向にある。
また、特許文献2の場合は、高膨潤率の樹脂膜を低膨潤率の樹脂膜で被覆しているため、外観が変化し難い透湿防水性ラミネート布帛が得られている。このような透湿防水性ラミネート布帛は高い耐水圧を有するため、洗濯耐久性において優れるものである。しかしながら、樹脂膜として無孔質膜のみを使用しているため、透質性が十分でなく、特にA−1法により測定される透湿性が十分でないという問題があった。
本発明はこのような問題を解決するために、優れた耐水圧、透湿防水性および耐久性(洗濯耐久性)を有し、激しい降雨時などにおいても、外観に優れた透湿防水性布帛を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決する為に鋭意研究の結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明の趣旨は下記の通りである。
(1)繊維布帛の片面にポリウレタン系樹脂膜が形成され、以下の(I)〜(V)を満足することを特徴とする非膨潤性を有する透湿防水性布帛。
(I)ポリウレタン系樹脂膜は乾式微多孔質膜および乾式無孔質膜を含み、該乾式微多孔質膜は繊維布帛に接する面に設けられており、該乾式無孔質膜が乾式微多孔湿膜における繊維布帛と反対側の面に設けられている。
(II)乾式無孔質膜がエーテル系ポリウレタンを主成分とする。
(III)乾式微多孔質膜がフッ素系撥水剤を含有している。
(IV)乾式無孔質膜が5〜15%の膨潤率を有し、かつ乾式微多孔質膜の膨潤率が乾式無孔質膜の膨潤率より低いものである。
(V)60〜500kPaの耐水圧、JIS L−1099 A−1法に従って測定された4000〜10000g/m・24hrsの透湿度、およびJIS L−1099 B−1法に従って測定された8000〜15000g/m・24hrsの透湿度を有している。
(2)乾式微多孔質膜および/または乾式無孔質膜が、2層構造を有するものである(1)の透湿防水性布帛。
(3)100洗後の耐水圧保持率が60%以上である、(1)または(2)の透湿防水性布帛。
本発明の透湿防水性布帛は、乾式微多孔質膜と乾式無孔質膜とが積層されることにより、優れた透湿防水性、耐水圧および耐久性を有するものである。また、風合いがソフトであり、布帛全体としては非膨潤性であるため外観の低下を抑制することができるという顕著な効果を奏する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の透湿防水性布帛は、繊維布帛の片面にポリウレタン系樹脂膜が形成されてなるものである。そして、該ポリウレタン系樹脂膜は、乾式コーティング法により形成された微多孔質膜(以下、乾式微多孔質膜)および乾式コーティング法により形成された無孔質膜(以下、乾式無孔質膜)を含むものである。乾式微多孔質膜は繊維布帛上に設けられており、乾式無孔質膜は乾式微多孔湿膜における繊維布帛の反対側の面に設けられている。
本発明で用いられる繊維布帛としては、繊維からなる織物、編物又は不織布などがあげられる。該繊維としては、例えば、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド系合成繊維;ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系合成繊維;ポリアクリルニトリル系合成繊維;ポリビニルアルコール系合成繊維などの合成繊維;トリアセテートなどの半合成繊維;ナイロン6/綿、ポリエチレンテレフタレート/綿などの混合繊維などが挙げられる。なかでも、透湿防水性布帛の風合い、堅牢度の観点から、ポリアミド系合成繊維が好ましく、透湿防水性布帛の防水性の観点からポリエステル系合成繊維が好ましい。なお、同一規格の繊維布帛で比較した場合、ポリエステル系合成繊維を用いるとポリアミド系合成繊維を用いる場合に比べ透湿防水性布帛の防水性を10〜20%程度高めることができる。
本発明においては、繊維布帛の片面にポリウレタン系樹脂膜を形成する前に、乾式微多孔質膜を形成する樹脂が繊維布帛へ浸透することを抑制する目的で、繊維布帛の表面に撥水加工が施されていることが好ましい。
撥水加工は、繊維布帛に精練や染色などの処理を施した後、公知の方法にておこなうことができる。その方法としては、特に制限されないが、パディング法、コーティング法、グラビアコーティング法、スプレー法などが挙げられる。
撥水加工に用いられる撥水剤としては、通常のものが挙げられ、例えば、パラフィン系撥水剤、ポリシロキサン系撥水剤、フッ素系撥水剤などが挙げられる。なかでも、撥水耐久性の観点からは、フッ素系撥水剤が好ましい。特に、環境面からは、炭素数が1〜6のパーフルオロアルキル基を主体とするパーフルオロオクタン酸非含有のフッ素系撥水剤が特に好ましい。
なお、本発明でいうパーフルオロオクタン酸非含有のフッ素系撥水剤とは、以下のような撥水剤を意味する。つまり、パーフルオロオクタン酸とその類縁物質、またはその前駆体物質を含まない撥水剤を意味する。あるいは、高速液体クロマトグラフ質量分析装置により測定したとき、パーフルオロオクタン酸とその類縁物質、またはその前駆体物質を定性することができない撥水剤を意味する。
パーフルオロオクタン酸非含有のフッ素系撥水剤は、市販品も好適に使用することができ、例えば、旭硝子社製 商品名「アサヒガードAG-E061」、「アサヒガードAG-E082」、「アサヒガードAG-E500D」;ダイキン工業社製 商品名「ユニダインTG-5521」、「ユニダインTG-5541」、「ユニダインTG-5601」;クラリアントジャパン社製 商品名「NUVA N2114 LIQ」、「NUVA N2116 LIQ」などが挙げられる。
また、撥水性を向上させる目的で、トリアジン化合物、イソシアネート化合物などを、撥水剤と併用してもよい。なかでも、環境面からは、イソシアネート化合物が好ましい。特に、撥水剤を水溶液とした場合の加工安定性の観点から、アセトオキシム、フェノール、カプロラクタムなどでイソシアネート基をブロックした熱解離タイプのブロックイソシアネート化合物を併用するとよい。
繊維布帛の表面に撥水加工を施す際の撥水剤の付与量は、繊維布帛全体に対して固形分換算で0.1〜3質量%が好ましく、0.3〜2質量%がより好ましい。付与量が0.1質量%未満であると、十分な撥水性能を付与することができない場合がある。一方、3質量%を超えると、最終的に得られる透湿防水性布帛が硬くなって風合いが低下したり、繊維布帛と乾式微多孔質膜との接着性が低下したり、最終的に得られる透湿防水性布帛の透湿性能が低下するため好ましくない。
さらに、上記と併せ繊維布帛を目潰し加工すると、ポリウレタン系樹脂の繊維布帛内部への浸透をより抑えることができる。目潰し加工は、一般的な方法を用いて施されることが可能である。例えば、公知のカレンダー機を用い、温度コントロール機能を持つ鏡面ロールと、コットンロールまたはプラスチックロールとの間に、鏡面ロール側が、ポリウレタン系樹脂膜が形成される側となるように織物を走行させて、鏡面ロール側から目潰しをおこなえばよい。
本発明においては、上述のように、繊維布帛の片面に乾式微多孔質膜が形成され、続いて乾式微多孔質膜上に乾式無孔質膜が形成されている。このような構成を有することにより、耐水圧および透水性に優れたものとなる。なお、乾式により微多孔質膜および無孔質膜を形成することにより、コストを低減でき、加えて透湿性を向上させることができる。
乾式微多孔質膜について以下に述べる。
乾式微多孔質膜は、ポリウレタン樹脂を主成分とする。ポリウレタン樹脂以外の樹脂を主成分として用いると、微多孔質膜が形成されない。ポリウレタン樹脂としては、従来公知のものを使用することができ、例えば、ポリイソシアネート成分とポリオール成分とを反応させて得られるポリウレタン樹脂が挙げられる。なお、本発明において、主成分とするとは、膜全体に対して70質量%以上含有されていることを意味する。
ポリイソシアネート成分としては、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネートなどが挙げられる。具体的には、トリレン−2,4−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート又は1,4−シクロヘキサンジイソシアネートなどがあげられる。3官能以上のポリイソシアネートを使用してもよい。これらは単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
一方、ポリオール成分としては、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールなどが挙げられる。ポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール又はポリテトラエチレングリコールなどが挙げられる。ポリエステルポリオールとしては、エチレングリコールやプロピレングリコールなどのジオールと、アジピン酸やセバチン酸などの二塩基酸との反応生成物や、カプロラクトンなどの開環重合物、オキシ酸モノマーあるいはそのプレポリマーなどを用いることができる。
乾式微多孔質膜を形成する方法は特に制限されないが、例えば、以下のような方法が挙げられる。すなわち、乾式微多孔質膜を形成するための樹脂溶液を調製し、コンマコータやロールオンナイフコータなどの公知の手段を用いて該樹脂溶液を繊維布帛に塗布する。その後、有機溶剤や水を蒸発させて、微多孔質膜を形成する方法が挙げられる。
微多孔質膜を形成するための樹脂溶液としては、例えば、少量の乳化剤や親水性ポリウレタン樹脂等を使用して、メチルエチルケトンやトルエン等の有機溶剤中にポリウレタン微粒子を乳化分散させたW/O型(油中水滴型)エマルジョンなどが使用できる。エマルジョン中のポリウレタン微粒子の粒子径としては、0.05〜5μm程度が好ましい。
また、微多孔質膜形成用の樹脂溶液を塗布した後、水等を蒸発させて一旦製膜した後、樹脂膜中から特定成分(溶出成分)を溶出させて、微多孔質膜を形成する方法も挙げられる。このような方法で用いられる樹脂溶液には、ポリウレタン微粒子を乳化剤等で水中に分散させたO/W型(水中油滴型)エマルジョン、または乳化剤を用いることなく自己乳化により分散させたO/W型エマルジョンのいずれかに溶出成分を加えたものが好適である。上記溶出成分には、水、温水または熱水によって溶出し得る糊剤、澱粉または水溶性ポリウレタン樹脂などを混合したものが用いられる。これらの成分は、製膜後、温度20〜100℃の水で、5〜20分間程度ソーピングすることにより溶出することができる。
また、ポリウレタン樹脂を水および/または有機溶剤に溶解させた溶液に、ガス発泡剤等を混入して、乾燥製膜時に発泡させることにより、乾式微多孔質膜を形成する方法も採用できる。その他にも、ポリウレタン樹脂溶液に界面活性剤や起泡剤などを加え、安定的に気泡を生じさせて、乾式微多孔質膜を形成する方法も採用できる。
乾式微多孔質膜は、透湿防水性布帛の風合い向上に寄与できる一方、膜強度には劣る傾向にある。そのため、膜強度の向上および繊維布帛との接着性の観点から、微多孔質膜を形成する樹脂溶液の固形分中にイソシアネート系架橋剤を1〜12質量%含有させることが好ましく、3〜10質量%含有させることがより好ましい。イソシアネート系架橋剤の含有量が1質量%未満であると、微多孔質膜の強度や布帛本体との接着力の向上が期待できない場合がある。一方、12質量%を超えると、微多孔質膜の風合いが硬くなる場合がある。
イソシアネート系架橋剤としては、トリレン2,4−ジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどが挙げられる。また、これらのジイソシアネートと、活性水素を含有する化合物との付加反応によって得られるトリイソシアネート類も用いられる。活性水素を含有する化合物としては、例えば、トリメチロールプロパン、グリセリンなどが挙げられる。
なかでも本発明では、イソシアネート系架橋剤として、微多孔膜形成用の樹脂溶液の安定性およびポットライフの観点から、ブロックイソシアネートが好ましく使用できる。ブロックイソシアネートとしては、通常、熱処理によって解離するタイプが好ましく、具体的には、フェノール、ラクタム、メチルケトオキシムなどで付加ブロック体を形成させたものが好適である。
乾式微多孔質膜の厚みは、10〜100μmが好ましく、15〜60μmがより好ましい。10μm未満では、繊維布帛を完全に被覆できない場合があり、そのため耐水圧が不十分となる場合がある。一方、100μmを超える場合は、耐水圧の向上効果が飽和するばかりか、A−1法、B−1法のいずれで測定しても良好な透湿性が得られ難く、しかもコストや風合い面に劣る場合がある。なお、乾式微多孔質膜が後述のように2層構造を有する場合は、その厚みの合計を乾式微多孔質膜の厚みとする。
本発明においては、乾式微多孔質膜がフッ素系撥水剤を含有することが必要である。かかる撥水剤を含有させることで、得られる乾式微多孔質膜をより疎水化でき、膜の防水性と共にその耐久性を向上させることができる。また、膜をより疎水化することで、布帛の外観変化を抑えつつその耐久性を向上させることもできるという利点がある。
撥水剤を乾式微多孔質膜に含有させる方法としては、乾式微多孔質膜を形成するための樹脂溶液に撥水剤を含有させる方法が挙げられる。例えば、この樹脂溶液がW/O型(油中水滴型)エマルジョンであれば、撥水剤を予め水に分散し、後にこれを油中に少しずつ混合してエマルジョン化すればよい。また、該樹脂溶液がO/W型(水中油滴型)等の水溶性タイプである場合は、撥水剤を直接樹脂溶液中に投入すればよい。
撥水剤の添加量は、乾式微多孔質膜に対して固形分換算で0.5〜15質量%であることが好ましく、1〜12質量%がより好ましい。0.5質量%未満では得られる乾式微多孔質膜が耐久性に乏しくなる場合があり、15質量%を超えると耐久性向上効果が飽和し、樹脂溶液の安定性も低下する場合がある。
乾式微多孔質膜の膨潤率は、後述の乾式無孔質膜の膨潤率よりも低いことが必要である。無孔質膜の膨潤率よりも高い膨潤率を有する場合には、透湿防水性布帛として膨潤しやすいものとなり、布帛の良好な外観を維持する観点から好ましくない。
微多孔質膜には、本発明の効果を損なわない範囲内で、必要に応じて、顔料、フィラー、抗菌剤、消臭剤、難燃剤などの各種添加剤を含有させてもよい。
次に乾式無孔質膜について説明する。乾式無孔質膜はエーテル系ポリウレタン樹脂から構成される。本発明におけるエーテル系ポリウレタン樹脂は、膜とした際に適度な吸水・保水性を発揮する。このため、得られる無孔質膜は適度な透湿性を発現しつつ、膨潤性が抑えられたものとなる。
本発明においては、前記乾式微多孔質膜を形成し、続いて、その上に乾式無孔質膜を積層する。この積層は速やかに行なうのが好ましい。速やかに行なうことで乾式微多孔質膜と乾式無孔質膜の接着性が向上し、最終的に得られる透湿防水性布帛の耐水圧や耐久性が向上しやすいという利点がある。乾式無孔質膜の積層を、例えば乾式微多孔質膜の形成後すぐにおこなわず、例えば、2〜3日経過後に行ったときは、微多孔質膜の架橋が進んでしまうことなどに起因して、両者の接着性が低下する場合がある。
乾式無孔質膜の形成方法としては、特に制限されないが、例えば、有機溶剤を主溶媒とし、ポリウレタン樹脂を主溶媒に溶解させた溶剤型ポリウレタン樹脂溶液を、コンマコータ、フローティングナイフコータ等を用いて塗布した後、有機溶剤を蒸発させることにより形成する方法が挙げられる。また、ポリウレタン微粒子を乳化剤などで水に分散させたO/W型エマルジョン、または乳化剤を用いることなく樹脂を自己乳化させたO/W型エマルジョンを、前記と同様の方法で塗布した後、水または有機溶剤を蒸発させることにより無孔質膜を形成する方法も採用できる。
本発明では、エーテル系ポリウレタン樹脂を用いることで、乾式無孔質膜に適度な透湿性を与えることができるが、透湿性をさらに向上させたい場合は、ポリエチレングリコールやポリオキシプロピレン・ポリオキシエチレン共重合体などを含有するエーテル系ポリウレタン樹脂を使用するとよい。ただし、当該ポリウレタン樹脂を含有させ過ぎると、無孔質膜にタック感が発現したり、膜が大きく膨潤し結果として透湿防水性布帛の外観を損ねたりすることがある。このため、当該樹脂を無孔質膜中に含有させる際は、良好な風合い・外観が維持できるように含有量を調製することが好ましい。
乾式無孔質膜の厚みとしては、2〜15μmが好ましく、3〜13μmがより好ましい。2μm未満では耐水圧に劣る場合がある。一方、15μmを超えると優れた耐水圧を得ることができるが、A−1法により測定される透湿性が低下しやすくなるので好ましくない。なお、乾式無孔質膜が後述のように2層構造を有する場合には、その合計厚みを乾式無孔質膜の厚みとする。
乾式無孔質膜では、樹脂の組成によりその膨潤率が所定範囲に抑えられている。具体的には5〜15%となる。ここで、膨潤率が5%未満、すなわち吸水・保水が過度にし難い膜の場合は、透湿性が低下しやすく、具体的には、透湿防水性布帛として、B−1法により測定される透湿性が8000g/m2・24hrsを下回ることがある。一方、膨潤率が15%を超える、すなわち大きく膨潤する膜の場合は、実用に供する際に、降雨時などに衣服内部に水が浸透して外見上の見栄えが悪くなる等の不具合が生じる。
また、高耐水圧を得るべく、乾式無孔質膜を例えば10〜15μmと厚く形成するときには、透湿防水性布帛の外観保持の観点から、無孔質膜の膨潤率は、3〜12%に抑えるのが好ましい。なお、本発明における膨潤率とは、厚み10μmのフィルム(2cm幅×15cm長)を温度25℃の水に浸漬したときの長さ方向の膨潤率をいい、算出方法は実施例において詳述する。
乾式無孔質膜には、本発明の効果を損なわない範囲内で、必要に応じて、顔料、フィラー、抗菌剤、消臭剤、難燃剤などの各種添加剤が含有されていてもよい。
本発明において、上記の乾式微多孔質膜および/または乾式無孔質膜は、2層構造を有するものでもよい。例えば、繊維布帛として密度が粗く樹脂が浸透しやすいものを適用する場合、1層目の乾式微多孔質膜として厚み5μm以下の薄膜を形成すれば、この膜が目止めとなり、2層目の形成時において樹脂の浸透を抑えることができる。また、1層目の表面に凹部を形成した上で、2層目の形成によりこれを平滑なものとすれば、繊維布帛と乾式微多孔質膜との間の耐剥離性ばかりか、透湿防水性布帛の耐水圧をも向上させることができる。
一方、乾式無孔質膜を2層構造とする場合、例えば、8〜15μm程度の厚い膜を積層する場合に有効である。1回の塗布で所望の膜厚を確保しようとする場合、通常、クリアランスを設けることのできるコンマコータを使用するが、クリアランスを設けると、コーティング筋や塗布斑といった欠点が発生しやすくなる。この点、2回の塗布であれば、クリアランスを設ける必要がないダイレクト方式のナイフコータが使用でき、結果、均一な膜が容易に形成できる。無孔質膜が均一なものであれば、乾式微多孔質膜との接着性は向上するし、乾式無孔質膜の緊密性も向上するという利点がある。さらに、ピンホール等の欠点が発生し難くなって、高耐水圧が得やすくなるという利点もある。
本発明の透湿防水性布帛は、布帛全体として膨潤し難いものである。
具体的には、布帛の裏面(透湿防水性布帛において、ポリウレタン系樹脂膜が形成されてない面)の一部に水をスプレーした後、表面から目視で観察し、水をスプレーしない場合と比べ、外観変化が少ないほど膨潤し難いものと判断される。
より具体的には下記方法で評価した場合、3級以上であれば、透湿防水性布帛として降雨時や発汗時に着用しても、外見上の問題が少ないと想定される。
<評価方法>
JIS L-1092 スプレー法に従って、下記の5段階評価を実施する。但し、スプレーする水の量は100mlとする。
5級:スプレー部分の膨潤は少なく表面からは全く目立たない。
4級:スプレー部分はやや膨潤しているが表面からは殆ど目立たない。
3級:スプレー部分が膨潤しており表面から少し目立つ。
2級:スプレー部分及びその周囲が明らかに膨潤しており表面からかなり目立つ。
1級:スプレー部分及びその周囲が著しく膨潤しており表面から顕著に目立つ。
本発明の透湿防水性布帛では、繊維布帛上に乾式微多孔質膜と乾式無孔質膜とが順次積層されているため、防水性、透湿性が共に優れたものとなる。
防水性は、耐水圧で評価する。具体的には、耐水圧として、60〜500kPaであることが必要であり、100〜500kPaであることがより好ましい。なお、耐水圧の測定方法は、JIS L1092(高水圧法)に従って測定されるものである。
一方、透湿性としては、JIS L−1099 A−1法に従って測定される透湿性の場合、4000〜10000g/m・24hrsであることが必要であり、6000〜10000g/m2・24hrであることがより好ましい。他方、B−1法に従って測定される透湿性の場合、8000〜15000g/m・24hrsであることが必要である。いずれの測定法であっても透湿性の範囲が上記範囲を下回ると、樹脂膜表面が結露しやすく、衣料としたときの着衣快適性が低下し、一方で上記範囲を上回ると、所望の防水性が得られない。
また、本発明の透湿防水性布帛は、100洗後の耐水圧保持率が60%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。所望の耐水圧保持率を得ることは、樹脂の種類になどにもよるが、一般に乾式微多孔質膜中にフッ素系撥水剤を含有させることにより可能である。また、乾式無孔質膜の厚みを5μm以上とすることが、かかる耐水圧保持率の向上に有利である。なお、耐水圧保持率の測定方法においては、実施例において詳述する。
本発明に係る透湿防水性布帛は、各種衣料素材としてはもちろんのこと、フィルター用途などにも使用しうるものである。また、耐水圧、透湿防水性、耐久性および外観に優れているので、スポーツ衣料や防寒衣料の他、テント等の登山用具等の素材として、さらに、透湿防水性の必要な各種製品の素材としても使用しうるものである。
次に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
なお、実施例、比較例で得られた布帛の物性評価は、次の方法で行った。
(1)耐水圧
JIS L−1092(高水圧法)に準じて測定した。
(2)耐水圧保持率
JIS L−0217(103法)に準じた洗濯を100回繰り返した後の布帛の耐水圧(B)を測定し、下記式に準じて洗濯前の耐水圧(A)に対する洗濯後の耐水圧(B)の保持率を算出し、この値を布帛の耐水圧保持率とした。
耐水圧保持率(%)=(B/A)×100
(3)透湿度
JIS L−1099 A−1法(塩化カルシウム法)及びB−1法(酢酸カリウム法)に準じて測定した。
(4)耐剥離性
JIS L-1089法に準じ、経方向の樹脂膜の剥離強度を測定した。
(5)乾式無孔質膜の膨潤率
離型紙(リンテック社製、130TPD(商品名))の離型面に、各処方液を厚み10μmになるようフィルムを作成。一昼夜放置後、縦×横のサイズを2cm×15cmにカットしたフィルムを温度25℃の水に浸漬したときの縦方向の膨潤度合いを膨潤率(%)とした。
膨潤率(%)=(膨潤後の長さ−15)/15×100
(6)透湿防水性布帛の外観変化
既述の手法に基づき評価した。すなわち、JIS L-1092 スプレー法に準じ、上記5段階で透湿防水性布帛の外観変化を評価した。
(7)風合い
ハンドリングにて、下記4段階で評価した。
◎:非常にソフトである。
○:ソフトである。
△:やや硬い。
×:硬い。
(実施例1)
経糸、緯糸の双方に、ナイロン6マルチフィラメント78dtex/68fを用いて、経糸密度115本/2.54cm、緯糸密度95本/2.54cmの平組織織物を製織した。得られた織物を精練した後、酸性染料(日本化薬社製「Kayanol Blue N2G」)1.0%omfを用いて染色した。その後、織物に、下記処方1に示すフッ素系撥水剤エマルジョンの6質量%水分散液をパディング法(ウェットピックアップ率40%)にて付与した後、乾燥後、170℃×40秒間熱処理した。続いて、鏡面ロールを有するカレンダー加工機を用いて、温度170℃、圧力300kPa、速度30m/分の条件で織物を目潰し加工した。
(処方1)
アサヒガードAG−E500D 60質量部
(旭硝子社製、フッ素系撥水剤エマルジョン)
メイカネート WEB 10質量部
(明成化学工業社製、ブロックタイプイソシアネート)
イソプロピルアルコール 10質量部
水 920質量部
次に、下記処方2に示す組成のW/O型ポリウレタンエマルジョン(固形分濃度14質量%)を調製するにあたり、まず、ハイムレンATX−10(商品名)と、レザミンX(商品名)とメチルエチルケトン/トルエン混合溶媒とを混ぜ合わせて混合樹脂溶液とした。続いて、ディスパー型攪拌機を用いてこれを500rpmで回転攪拌させながら、水/メチルエチルケトン混合溶媒を上記混合樹脂溶液中に3分程度の間隔を空けて2回投入し、さらに、水/フッ素系撥水剤エマルジョン混合液を3分程度の間隔を空けて2回投入することで、W/O型ポリウレタンエマルジョン(フッ素系撥水剤を2質量%含有)を得た。このエマルジョンの粘度は8000mPa・s/25℃であった。
次に、織物の目潰し加工面に得られたW/O型ポリウレタンエマルジョンをコンマコータにて塗布量180g/m2にて塗布し、その後、80℃で3分間乾燥することで、微多孔質膜を形成した。なお、微多孔質膜の厚みは約45μmであった。
(処方2)
ハイムレンATX−10(商品名) 100質量部
(大日精化工業社製、固形分26質量%のW/O型用ポリウレタン樹脂)
レザミンX(商品名) 2質量部
(大日精化工業社製、イソシアネート系架橋剤)
メチルエチルケトン/トルエン 20質量部/25質量部
水/メチルエチルケトン 25質量部/5質量部
水/アサヒガードAG−E081(商品名) 20質量部/2質量部
(アサヒガードAG−E082(商品名):旭硝子社製、固形分30質量%のフッ素系撥水剤エマルジョン)
引き続き、ディスパー型攪拌機を用いて300rpmで各組成を回転攪拌することにより、下記処方3に示す組成の溶剤型ポリウレタン樹脂溶液を調製した。この樹脂溶液の固形分濃度は22質量%、粘度は4000mPa・s/25℃であった。
その後、前記微多孔質膜上にこの樹脂溶液をフローティングナイフコータにて塗布量20g/m2にて塗布後、100℃で2分間乾燥し、厚み4〜5μmの無孔質膜を形成し、さらに170℃で1分間セット加工し、本発明の透湿防水性布帛を得た。なお、このときの無孔質膜の膨潤率は5%であった。
(処方3)
ハイムレンY237NS(商品名) 100質量部
(大日精化工業社製、固形分25%の溶剤型ポリウレタン樹脂溶液)
メチルエチルケトン 15質量部
(実施例2)
処方3に代えて下記処方4に示す組成の溶剤型ポリウレタン樹脂溶液(固形分濃度22質量%、粘度3500mPa・s/25℃)を用いる他は、実施例1と同一の方法により、本発明の透湿防水性布帛を得た。なお、このときの無孔質膜の膨潤率は10%であった。
(処方4)
ハイムレンY237NS(商品名) 50質量部
(大日精化工業社製、固形分25質量%の溶剤型ポリウレタン樹脂溶液)
ハイムレンY261-1NS(商品名) 50質量部
(大日精化工業社製、固形分30質量%の溶剤型ポリウレタン樹脂溶液)
メチルエチルケトン 25質量部
(実施例3)
処方3に代えて下記処方5に示す組成の溶剤型ポリウレタン樹脂溶液(固形分濃度22質量%、粘度3000mPa・s/25℃)を用いる他は、実施例1と同一の方法により、本発明の透湿防水性布帛を得た。なお、このときの無孔質膜の膨潤率は14%であった。
(処方5)
ハイムレンY261-1NS(商品名) 100質量部
(大日精化工業社製、固形分30質量%の溶剤型ポリウレタン樹脂溶液)
メチルエチルケトン 35質量部
(実施例4)
経糸としてポリエステルマルチフィラメント156dtex/68f、緯糸としてポリエステルハイマルチフィラメント156dtex/136fを用いて、経糸密度86本/2.54cm、緯糸密度70本/2.54cmの平組織織物を製織した。得られた織物を精練した後、分散染料(ダイスタージャパン社製「Dianix Blue UN-SE」)0.5%omfを用いて染色した。その後、実施例1と同様にして織物を撥水加工及び目潰し加工した。
次に、下記処方6に示す組成のW/O型ポリウレタンエマルジョン(固形分濃度16質量%)を調液するにあたり、まず、XOLTEX PX−550(商品名)と、メチルエチルケトン/トルエン混合溶媒とを混ぜ合わせて混合樹脂溶液とした。続いて、ディスパー型攪拌機を用いてこれを1000rpmで回転攪拌させながら、水/メチルエチルケトン混合溶媒を上記混合樹脂溶液中に3分程度の間隔を空けて2回投入し、さらに、水/フッ素系撥水剤エマルジョン混合液を3分程度の間隔を空けて2回投入することで、W/O型ポリウレタンエマルジョン(フッ素系撥水剤を2.1質量%含有)を得た。このエマルジョンの粘度は6500mPa・s/25℃であった。
次に、織物の目潰し加工面に得られたW/O型ポリウレタンエマルジョンをコンマコータにて塗布量160g/m2にて塗布し、その後、80℃で3分間乾燥することで、微多孔質膜を形成した。なお、微多孔質膜の厚みは約45μmであった。
(処方6)
XOLTEX PX−550(商品名) 100質量部
(DIC社製、固形分31質量%のW/O型用ポリウレタン樹脂溶液)
レザミンX(商品名) 2質量部
(大日精化工業社製、イソシアネート系架橋剤)
メチルエチルケトン/トルエン 20質量部/25質量部
水/メチルエチルケトン 25質量部/5質量部
水/アサヒガードAG−E082(商品名) 25質量部/3質量部
(アサヒガードAG−E082(商品名):旭硝子社製、固形分20質量%のフッ素系撥水剤エマルジョン)
以降は、実施例2と同様に行い、本発明の透湿防水性布帛を得た。
(実施例5)
微多孔質膜を2層構造のものとする他は、実施例4と同一の方法により、本発明の透湿防水性布帛を得た。ここで、微多孔質膜の形成は以下の方法による。すなわち、織物上に、W/O型ポリウレタンエマルジョンをフローティングナイフコータにて塗布量10g/m2にて塗布し、その後、80℃で1分間乾燥することで、目止めとしての薄膜(1層目)を形成した。そして、かかる薄膜上に、同エマルジョンをコンマコータにて塗布量150g/m2にて塗布し、その後、80℃で3分間乾燥することで、厚膜(2層目)を形成した。
なお、1層目の表面が平滑なものであったため、2層目を精度良く形成することができた。微多孔質膜の厚み(2つの層の合計)は約45μmであった。
(実施例6)
処方4に代えて下記処方7に示す組成の溶剤型ポリウレタン樹脂溶液(固形分24質量%、粘度4800mPa・s/25℃)を用いると共に、塗布量を35g/m2に変更して、厚み8〜9μmの無孔質膜を形成する他は、実施例5と同一の方法により、本発明の透湿防水性布帛を得た。なお、このときの無孔質膜の膨潤率は10%であった。
(処方7)
ハイムレンY237NS(商品名) 50質量部
(大日精化工業社製、固形分25質量%の溶剤型ポリウレタン樹脂溶液)
ハイムレンY261-1NS(商品名) 50質量部
(大日精化工業社製、固形分30質量%の溶剤型ポリウレタン樹脂溶液)
メチルエチルケトン 16質量部
(実施例7)
処方4に代えて下記処方8に示す組成の溶剤型ポリウレタン樹脂溶液(固形分25質量%、粘度6000mPa・s/25℃)を用いると共に、塗布量を50g/m2に変更して、厚み13μmの無孔質膜を形成する他は、実施例4と同一の方法により、本発明の透湿防水性布帛を得た。なお、このときの無孔質膜の膨潤率は10%であった。
(処方8)
ハイムレンY237NS(商品名) 50質量部
(大日精化工業社製、固形分25質量%の溶剤型ポリウレタン樹脂溶液)
ハイムレンY261-1NS(商品名) 50質量部
(大日精化工業社製、固形分30質量%の溶剤型ポリウレタン樹脂溶液)
メチルエチルケトン 8質量部
(実施例8)
無孔質膜上に処方7に示す組成の溶剤型ポリウレタン樹脂溶液をフローティングナイフコータにて20g/m2塗布後、100℃で2分間乾燥し、厚み4〜5μmの無孔質膜を形成し、さらに、170℃で30秒間セット加工し、本発明の透湿防水性布帛を得た。なお、無孔質膜の厚み(2つの層の合計)は約13μmであった。
(比較例1)
処方2中のアサヒガードAG−E081(商品名)を省く他は、実施例1と同一の方法により、透湿防水性布帛を得た。
(比較例2)
微多孔質膜を形成せずに織物上に直接無孔質膜を形成する他は、実施例1と同一の方法により、透湿防水性布帛を得た。
(比較例3)
無孔質膜を形成しない他は、実施例1と同一の方法により、透湿防水性布帛を得た。
(比較例4)
処方6中のアサヒガードAG−E082(商品名)を省く他は、実施例4と全く同一の方法により、透湿防水性布帛を得た。
(比較例5)
微多孔質膜を形成せずに織物上に直接無孔質膜を形成する他は、実施例4と同一の方法により、透湿防水性布帛を得た。
(比較例6)
無孔質膜を形成しない他は、実施例4と同一の方法により、透湿防水性布帛を得た。
(比較例7)
処方4に代えて下記処方9に示す組成の溶剤型ポリウレタン樹脂溶液(固形分26質量%、粘度8000mP・s/25℃)を用いると共に、厚みを約20μmに変更して無孔質膜を形成する他は、比較例5と同一の方法により、透湿防水性布帛を得た。
(処方9)
ハイムレンY237NS(商品名) 50質量部
(大日精化工業社製、固形分25%の溶剤型ポリウレタン樹脂溶液)
ハイムレンY261-1NS(商品名) 50質量部
(大日精化工業社製、固形分30%の溶剤型ポリウレタン樹脂溶液)
メチルエチルケトン 5質量部
(比較例8)
処方3に代えて下記処方10に示す組成の溶剤型ポリウレタン樹脂溶液(ディスパー型攪拌機にて300rpmで調製、固形分濃度21質量%、粘度4000mPa・s/25℃)を用いる他は、実施例1と同一の方法により、透湿防水性布帛を得た。なお、このときの無孔質膜の膨潤率は0%であった。
(処方10)
ハイムレンNPU−5(商品名) 100質量部
(大日精化工業社製、固形分25%の溶剤型ポリウレタン樹脂溶液)
トルエン/イソプロピルアルコール 10質量部/10質量部
(比較例9)
処方3に代えて下記処方11に示す組成の溶剤型ポリウレタン樹脂溶液(ディスパー型攪拌機にて300rpmで調製、固形分濃度40質量%、粘度4200mPa・s/25℃)を用いると共に、塗布量を10g/m2に変更して、厚み4〜5μmの無孔質膜を形成する他は、実施例1と同一の方法により、透湿防水性布帛を得た。なお、このときの無孔質膜の膨潤率は20%であった。
(処方11)
ハイムレンY265−2(商品名) 100質量部
(大日精化工業社製、固形分50%の溶剤型ポリウレタン樹脂溶液)
メチルエチルケトン/N,N-ジメチルホルムアミド 20質量部/5質量部
上記実施例及び比較例で得られた各布帛の性能を下記表1に示す。
Figure 2012201042
表1の結果から明らかなように、本発明の透湿防水性布帛は、製法が乾式法でありながら、従来にない高度な透湿防水性能や洗濯耐久性などを有し、かつ、布帛としては非膨潤性であり、実用面でも優れていることが確認できた。これに対し、比較例1、4の布帛は略良好な性能を有しているものの、本発明のものより耐水圧保持率がやや劣る結果となった。さらに、比較例2、3、5及び6では、無孔質膜又は微多孔質膜の一方のみしか形成されていないため、特に耐水圧が非常に劣るものであった。さらに、比較例7は透湿度や風合いの点で、比較例8はB−1透湿度の点で、比較例9は外観変化の保持の点で、それぞれ難点があった。

Claims (3)

  1. 繊維布帛の片面にポリウレタン系樹脂膜が形成され、以下の(I)〜(V)を満足することを特徴とする非膨潤性を有する透湿防水性布帛。
    (I)ポリウレタン系樹脂膜は乾式微多孔質膜および乾式無孔質膜を含み、該乾式微多孔質膜は繊維布帛に接する面に設けられており、該乾式無孔質膜が乾式微多孔湿膜における繊維布帛と反対側の面に設けられている。
    (II)乾式無孔質膜がエーテル系ポリウレタンを主成分とする。
    (III)乾式微多孔質膜がフッ素系撥水剤を含有している。
    (IV)乾式無孔質膜が5〜15%の膨潤率を有し、かつ乾式微多孔質膜の膨潤率が乾式無孔質膜の膨潤率より低いものである。
    (V)60〜500kPaの耐水圧、JIS L−1099 A−1法に従って測定された4000〜10000g/m・24hrsの透湿度、およびJIS L−1099 B−1法に従って測定された8000〜15000g/m・24hrsの透湿度を有している。
  2. 乾式微多孔質膜および/または乾式無孔質膜が、2層構造を有するものである請求項1記載の透湿防水性布帛。
  3. 100洗後の耐水圧保持率が60%以上である、請求項1または2に記載の透湿防水性布帛。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101502404B1 (ko) * 2014-05-26 2015-03-24 국방과학연구소 보호복의 외피 원단 및 그 외피 원단의 제조방법

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