JP2013107637A - 剛性が強化されたトレッド - Google Patents

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Abstract

【課題】公知の性能面の欠点を最小限に抑えつつタイヤトレッドの各部の剛性特性を向上させる方法が必要である。
【解決手段】 空気入りタイヤ10は、第1の材料36で構成されたトレッドベース34と、第2の材料38で構成されたトレッドキャップ32と、第3の材料39で構成されたリング40、42とを含む。トレッドキャップ32は、トレッドベース34の半径方向外側に、地面に動作可能に接触するように配置される。リング40、42は、少なくとも一部がトレッドキャップ32内に配置され、半径方向にトレッドベース34から離れるように延びる。リング40、42は、半径方向の剛性が周方向および横方向の剛性よりも高い。第3の材料39は、空気入りタイヤ10の動作時にヒステリシスが第2の材料38よりも実質的に低くなる。第3の材料39は、地面に至る導電経路を構成する。
【選択図】 図2

Description

本発明は概して、空気入りタイヤに関する方法および装置に関し、特に、ヒステリシスが低く剛性が高い材料がよりヒステリシスが高くより剛性が低い材料を貫通して延びる1つ以上の環状のリングを含むトレッドを有する空気入りタイヤに関する方法および装置に関する。
当業者には、空気入りタイヤのトレッドパターンの性能全体(ウェットハンドリング、ドライハンドリング、および停止のような性能基準を含む)がトレッド部材の剛性特性によって損なわれることがあることが知られている。トレッド部材の剛性を高める公知の方法には、比較的剛性の高いトレッド基材を使用する方法と、比較的剛性の高いトレッドキャップ材料を使用する方法とが含まれる。
H.A.Palowski,et al、「Rubber World」、1992年6月および1997年1月 「Rubber&Plastic News」、1993年4月26日および1993年5月10日 Temple、「Mechanics of Pneumatic Tires」(2005年) Mayni、「Composite Effects of Tire Mechancs」(2005年) United States Department of Transportation、「Mechanics of Pneumatic Tires」、207〜208頁(1981年)
しかし、これらの方法は通常、他のトレッド性能基準が損なわれるという欠点を有する。
第1の弾性率を有する第1の材料によって形成されたセクタと、第2の弾性率を有する第2の材料によって形成された他のセクタと、を有するタイヤトレッドを設けることも公知である。公知の性能面の欠点を最小限に抑えつつタイヤトレッドの各部の剛性特性を向上させる方法が必要である。
本発明による空気入りタイヤは、第1の材料で構成されたトレッドベースと、第2の材料で構成されたトレッドキャップと、第3の材料で構成されたリングとを含む。トレッドキャップは、トレッドベースの半径方向外側に、地面に動作可能に接触するように配置される。リングは、少なくとも一部がトレッドキャップ内に配置され、半径方向にトレッドベースから離れるように延びる。リングは、半径方向の剛性が周方向および横方向の剛性よりも高い。第3の材料は、空気入りタイヤの動作時にヒステリシスが第2の材料よりも実質的に低くなる。
本発明の他の態様によれば、リングは、トレッドキャップのショルダ部内に配置され、空気入りタイヤの転がり抵抗を低減させる。
本発明のさらに別の態様によれば、第3の材料は、弾性率が第2の材料よりも実質的に高い。
本発明のさらに別の態様によれば、第3の材料は、弾性率が第1の材料よりも実質的に高い。
本発明のさらに別の態様によれば、第3の材料は金属である。
本発明のさらに別の態様によれば、第3の材料はポリマーである。
本発明のさらに別の態様によれば、第3の材料はシンジオタクチックポリブタジエンポリマーである。
本発明のさらに別の態様によれば、トレッドキャップとトレッドベースとリングは、同時に硬化される。
本発明のさらに別の態様によれば、第3の材料は、動的損失弾性率が1000KPaから8000KPaの間である。
本発明のさらに別の態様によれば、第3の材料は、動的損失弾性率が1500KPaから5000KPaの間である。
本発明のさらに別の態様によれば、第2の材料は、動的損失弾性率が250KPaから3000KPaの間である。
本発明のさらに別の態様によれば、第2の材料は、動的損失弾性率が500KPaから2500KPaの間である。
本発明のさらに別の態様によれば、第3の材料と第2の材料との動的損失弾性率の差は500KPaよりも大きい。
本発明のさらに別の態様によれば、第3の材料と第2の材料との動的損失弾性率の差は1000KPaよりも大きい。
本発明による他のタイヤは、カーカスと、第1の材料で形成されたトレッドベース、第1の材料と実質的に異なる剛性特性を有する第2の材料で形成されたトレッドキャップ、および第1の材料と実質的に異なる剛性特性を有する第3の材料で形成されたリングを有するトレッドとを含む。リングは、トレッドベースからトレッドキャップを貫通してトレッドの地面接触面まで延びる。
[定義]
「エイペックス」は、ビードコアの半径方向上方およびプライと折返しプライとの間に配置された弾性フィラーを意味する。
「環状の」は、リング状に形成されることを意味する。
「アスペクト比」は、断面幅に対する断面高さの比を意味する。
「軸線方向の」および「軸線方向に」は、本明細書では、タイヤの回転軸線に平行なラインまたは方向を指すのに使用される。
「ビード」は、プライコードによって覆われ、設計リムに嵌るように、フリッパ、チッパ、エイペックス、トウガード、およびチェーファーのような他の補強部材とともにまたはそのような他の補強部材なしで形作られた環状の引張り部材を有するタイヤの部分を意味する。
「ベルト構造」は、織物または不織布であり、トレッドの下方に位置し、ビードに固定されず、タイヤの赤道面に対して傾斜したコードを有する、互いに平行な複数のコードの少なくとも2つの環状の層つまりプライを意味する。ベルト構造は、比較的小さい角度に傾斜し、制限層として働く、互いに平行な複数のコードのプライを含んでもよい。
「バイアスタイヤ」(クロスプライ)は、カーカスプライ内の各補強コードがタイヤを対角方向にビードからビードへとタイヤの赤道面に対して約25°〜65°の角度で横切って延びるタイヤを意味する。複数のプライが存在する場合、プライコードは交互に入れ替わる層において互いに逆の角度に延びる。
「ブレーカー」は、タイヤの赤道面に対して、カーカスプライ内の互いに平行な複数の補強コードと同じ角度を有する互いに平行な複数の補強コードの少なくとも2つの環状の層つまりプライを意味する。ブレーカーは通常、バイアスタイヤと組み合わされる。
「ケーブル」は、2本以上の糸を撚り合わせることによって形成されたコードを意味する。
「カーカス」は、プライの上方のベルト構造、トレッド、アンダートレッド、およびサイドウォールゴム以外であるが、ビードを含むタイヤ構造を意味する。
「ケーシング」は、トレッドおよびアンダートレッドを除く、タイヤのカーカス、ベルト構造、ビード、サイドウォール、および他のすべての構成部材、すなわちタイヤ全体を意味する。
「チッパ」は、ビード領域に配置され、機能がビード領域を補強しサイドウォールの半径方向において最も内側の部分を安定化することである、ファブリック製または鋼製のコードの狭いバンドを指す。
「周方向の」は、赤道面(EP)に平行でかつ軸線方向に垂直な環状のタイヤの表面の周縁に沿って延びるラインまたは方向を意味する。「周方向の」は、断面図で見たときに半径がトレッドの軸線方向の曲率を定める互いに隣接する複数の円曲線から成る数組の円曲線の方向を指すこともある。
「コード」は、タイヤの補強構造を構成する複数の補強ストランドの1つを指す。
「コード角度」は、赤道面に対してコードによって形成される、タイヤの平面図における左右の鋭角を意味する。「コード角度」は硬化されているが膨張していないタイヤで測定される。
「クラウン」は、タイヤトレッドの幅限界内の、タイヤの部分を意味する。
「デニール(Denier)」は、9000メートル当たりのグラム単位重量(線密度を表す単位)を意味する。「デシテックス(Dtex)」は10000メートル当たりのグラム単位重量を意味する。
「密度」は単位長さ当たり重量を意味する。
「エラストマ」は、変形後にサイズおよび形状を回復することのできる弾性材料を意味する。
「赤道面(EP)」は、タイヤの回転軸に垂直でありかつタイヤのトレッドの中心を通過する平面、またはトレッドの周方向の中心線を含む平面を意味する。
「織物」は、撚ることができ、高弾性率材料の(同じく撚ることのできる)複数のフィラメントで構成された、基本的に一方向に延びるコードの網状構造を意味する。
「繊維」は、フィラメントの基本要素を形成する自然または人工の物質の単位である。繊維は、長さが繊維の直径または幅の少なくとも100倍であることを特徴とする。
「フィラメント数」は、糸を構成するフィラメントの数を意味する。たとえば、1000デニールのポリエステルは約190本のフィラメントを有する。
「フリッパ」は、強度を向上させビードワイヤをタイヤ本体に結合するビードワイヤの周りの補強織物を指す。
「ゲージ」は、概して測定値を指し、特に厚さ測定値を指す。
「高張力鋼(HT)」は、引張り強さがフィラメント直径0.20mm当たり少なくとも3400MPaである炭素鋼を意味する。
「インナー」はタイヤの内側の方を意味し、「アウター」はタイヤの外側の方を意味する。
「インナーライナ」は、チューブレスタイヤの内面を形成し、かつタイヤ内に膨張流体を閉じ込めるエラストマまたは他の材料の1つ以上の層を意味する。
「LASE」は、指定された伸びにおける荷重である。
「横方向」は軸線方向を意味する。
「撚り長さ」は、撚られたフィラメントまたはストランドが他のフィラメントまたはストランドの周りを360°回転するのに移動する距離を意味する。
「荷重範囲」は、タイヤ・リム協会の表によって定義されるような特定の種類の用途に使用される所与のタイヤに関する荷重および膨張の限界を意味する。
「メガ張力鋼(MT)」は、引張り強さがフィラメント直径0.20mm当たり少なくとも4500MPaである炭素鋼を意味する。
「標準荷重」は、タイヤの使用条件についての然るべき標準化機構によって定められた特定の設計空気圧および設計荷重を意味する。
「標準張力鋼(NT)」は、引張り強さがフィラメント直径0.20mm当たり少なくとも2800MPaである炭素鋼を意味する。
「プライ」は、ゴムで被覆され、半径方向に配置されるかまたは他の方法で互いに平行にされた複数のコードから成るコード補強層を意味する。
「半径方向の(ラジアル)」および「半径方向に」は、タイヤの回転軸の方へ向かうかまたは回転軸から離れる方向を意味するのに使用される。
「ラジアルプライ構造」は、少なくとも1つのプライがタイヤの赤道面に対して65°から90°の間の角度に向けられた補強コードを有する1つ以上のカーカスプライを意味する。
「ラジアルプライタイヤ」は、1つのプライコードがビードからビードへと延びかつタイヤの赤道面に対して65°から90°の間のコード角度に配置された、ベルトが巻かれるかまたは周方向に制限された空気入りタイヤを意味する。
「リベット」は、層内のコード同士の間の開放空間を意味する。
「断面高さ」は、タイヤの赤道面における公称リム直径からタイヤの外径までの半径方向距離を意味する。
「断面幅」は、タイヤの軸に平行な、タイヤの各サイドウォールの外側同士の間の最大直線距離であって、タイヤが標準空気圧で24時間にわたって荷重を受けずに膨張させられたときおよびその後の、ラベル、装飾、または保護バンドによるサイドウォールの隆起を除く最大直線距離を意味する。
「サイドウォール」は、トレッドとビードとの間のタイヤの部分を意味する。
「剛性比」は、コントロールベルト(control belt)構造の剛性の値を他のベルト構造の剛性の値で割った比を意味し、これらの値は、コードの両端が、支持され、この固定された端部同士に芯合わせされた荷重によってたわまされる固定3点曲げ試験によって求められる。
「スーパー張力鋼(ST)」は、引張り強さがフィラメント直径0.20mm当たり少なくとも3650MPaである炭素鋼を意味する。
「引っ張り強さ(Tenacity)」は、ひずみの生じていない試験片の単位線密度当たりの力として表される応力である(gm/texまたはgm/denier)。織物に関して使用される。
「張力(Tensile)」は、力/断面積で表される応力である。デニール当たりのグラム単位のテナシティに比重を掛け、その積を12800倍したpsi単位の強度である。
「トウガード」は、各ビードの軸線方向内側に位置する、タイヤの周方向に配置されたエストラマリム接触部分を指す。
「トレッド」は、タイヤケーシングへの結合時に、タイヤが標準空気圧で膨張させられかつ標準荷重を受けているときに路面に接触するタイヤの部分を含む、成形されたゴム構成部材を意味する。
「トレッド幅」は、タイヤの回転軸を含む平面内のトレッド面のアーク長を意味する。
「折返し端部」は、プライで覆われたビードから上向きに(すなわち、半径方向外側に)折り返されるカーカスプライの部分を意味する。
「ウルトラ張力鋼(UT)」は、引張り強さがフィラメント直径0.20mm当たり少なくとも4000MPaである炭素鋼を意味する。
「糸」は、織物繊維またはフィラメントの連続したストランドの総称である。糸は以下の形態を有する。1)撚り合わされた数本の繊維、2)撚らずにまとめられた数本のフィラメント、3)ある程度撚ってまとめられた数本のフィラメント、4)撚ることも撚らないこともある単一のフィラメント(モノフィラメント)、5)撚ることも撚らないこともある材料の狭いストリップ。
本発明によって構成された例示的なタイヤの正面図である。 図1の例示的なタイヤの部分断面図である。
次に、各図面を参照する。各図面は、本発明の各実施形態を限定するためのものではなく、本発明の各実施形態を例示することのみのためのものであり、同じ参照番号は同じ構成部材を指すものと理解され、図1および図2は、本発明による例示的なトレッド30を有する空気入りタイヤ10を示している。例示的なトレッド30は、例示的なカーカス12上に位置させてもよい。例示的なカーカス12は、第1および第2の環状のビード14の対と、第1および第2の環状のビード14の半径方向上方に位置する一対のエイペックス16とを含む。例示的なカーカス12は、ビード14の周りを延びてもよい1つ以上のプライ18を含んでもよい。例示的なカーカス12は、クラウン領域26と一対のサイドウォール28とをさらに形成してもよい。カーカス12は、インナーライナ20、サイドウォールゴム部分22、およびベルトパッケージ24のような他の部材を含んでもよい。
例示的なタイヤトレッド30は、図1および図2では硬化済み完成状態で示されている。トレッド30は、第1の材料36で形成されたトレッドキャップ32と、第2の材料38で形成されたトレッドベース34とを有してもよい。第1の材料36は、第2の材料38と実質的に異なる剛性特性(弾性率)を有してもよい。第2の材料38は、第1の材料36よりも実質的に高い剛性特性を有してもよい。トレッド30は、タイヤ10の周りを周方向に延び、かつトレッドベース34からトレッドキャップ32を貫通してレッドの外側地面接触面46まで半径方向に延びる第3の材料39からなる第1の環状のリング40を有してもよい。トレッド30は、タイヤ10の周りを周方向に延び、かつトレッドベース34からトレッドキャップ32を貫通してレッドの外側地面接触面46まで半径方向に延びる第3の材料39(あるいは異なる第4の材料)の第2の環状のリング42を有してもよい。第1のリング40は、トレッド30の第1のショルダ50内に位置させてもよく、第2のリング42は、トレッドの第2のショルダ52内に位置させてもよい。
ショルダ50、52の剛性は、いくつかのタイヤ性能特性に影響を及ぼすように調整されてもよい。プラグリング40、42はトレッド部材54、56内に位置するように示されているが、各リングは、図1および図2の溝58、60のようなトレッド30の他の部分に位置してもよい。リング40、42は矩形の断面を形成するように示されているが、リング40、42には、タイヤサイズおよび所望の性能特性に応じて任意の数の断面および/または寸法を使用してもよい。リング40、42は、完全にトレッドベース34とトレッド面46との間の全体にわたって延びても、部分的に延びていてもよい。
本発明のリング40、42を用いた場合、トレッド30は方向に応じた剛性を示す。一例として、リング40、42を含むトレッド30は、Z方向における圧縮ひずみが大幅に低減することから垂直方向つまりZ方向の弾性率が高い。リング40、42を含むトレッド30は、周囲のより柔らかいトレッドキャップ32により周方向つまりX方向および/または横方向つまりY方向の弾性率を大幅に低減させることができる。したがって、リング40、42のZ方向において弾性率が高いかまたはリングとタイヤ10の他の複数の構造の作用が組み合わされるため、タイヤ10の転がり抵抗(RR)を、他のタイヤ性能基準をそれほど損なわずに著しく低減させることができる。
厚さ方向つまりZ方向における弾性率を向上させた材料/構成を使用することによって繰返しのトレッドの圧縮ひずみを著しく低減させてもよい。これによって、Z方向の耐荷重作用によってRRが弱くなり、それに関連してX方向およびY方向の変形が低減される。したがって、これらのすべての機構からのRRを低減できるように同時繰返しの応力ひずみのサイクルを管理するには、弾性率をZ方向において比較的高くし、X方向および/またはY方向において比較的低くすることが必要になることがある。
このような所望の方向性の剛性特性を実現する1つの方法は、トレッド内に複数の材料の組合せを使用することである。Z方向の所望の剛性は、比較的弾性率の高い材料39を固有の形状を有する比較的弾性率の低いゴム製マトリックス36内に埋め込めばよい。たとえば、本発明によれば、実質的にZ方向に延びる弾性率の高い材料39の環状のリング40、42は、Z方向の応力に抵抗することができ、一方、リング同士を相互に連結する周囲のトレッドキャップ材料36は、X方向およびY方向において比較的低い弾性率特性を示すことができる。
材料36、38、39のトレッドキャップ/トレッドベース/リング組合せの様々な構成を実施してもよい。また、比較的弾性率の高いリング40、42の様々な向きおよび/または断面を実施してもよい。たとえば、矩形の断面を周方向つまりX方向(不図示)に対して45°に向けると、トレッド30のX方向またはY方向の剛性を高めることができる。このことは、コーナリング、制動/走行トラクションなどを向上させるうえで望ましい場合がある。計算によって、RRをZ方向のリング40、42(図1および図2)によって30%超える程度低減させることができることがわかっている。
上述のように、ウェットハンドリングおよびドライハンドリングまたは停止/トラクションに関する所与のトレッドの性能全体が、所与のトレッド部材の剛性が不十分であることによって損なわれることが多い。トレッド部材の剛性を高める要求を満たすには、(1)より剛性の高い基材38を設けてトレッド全体の剛性を高めるか、または(2)トレッドキャップ材料36の剛性を高めればよいが、その場合、他のトレッド性能特性が損なわれる恐れがある。本発明によれば、リング40、42は、個々のトレッド部材に埋め込まれるかまたはタイヤ10の様々なトレッド域に配置されたより剛性の高い材料39で形成される。
高剛性のこれらのリング40、42またはリッジもしくはチャネルは、ナイロン、ポリエチレン、ポリウレタン、およびシンジオタクチックポリブタジエンポリマー(「SPBD」)の少なくとも1つのような様々な種類の可塑性材料または剛体材料で構成されてもよい。SPBDは、硫黄によって加硫されたジエンを含むトレッドキャップまたはトレッドベースの材料36、38との界面の所で同時に硬化し、それによってリング40、42をトレッドキャップ32とトレッドベース34の少なくとも一方に固定することができる。リング40、42の配置は、剛性の高い材料39が従来の剛性を有する外側トレッドキャップ材料36内に密封されたリングを含むグリーントレッド輪郭を作製するうえで適切な押出し成形技術を使用し、かつ適切に材料を選択することによって実施されてもよい。
また、シリカを含むトレッド化合物内のいわゆる「煙突(chimney)」によって電気接地を実現してもよい。この煙突は、電気接地が可能なように導電化合物を表面接触させることができる。このような煙突部は従来、トレッドキャップ内に位置する導電率の高い化合物(たとえば、カーボンブラック)の非常に薄いバンドであり、車両から地面への静電荷伝導用の電路を構成する。本発明によれば、上述の押出し成形手法は、剛性材料39のより広い複数のバンドまたはリッジを形成し、かつトレッド部材(たとえばショルダ50、52)内に適切な位置を確立することができる。したがって、たとえば、より剛性が高いプラスチックのようなリング40、42をショルダ50、52のより剛性の低いトレッドキャップ部材内に配置し、それによって、ショルダトレッド部材の横方向のトルク応答を向上させ、ハンドリング性能およびトレッド摩耗を改善してもよい。SPBDのリング40、42も、静電荷を伝導し、従来の導電性煙突部の要件をなくすことができる。
上述のように、リング40、42用の例示的な材料39は、融点が約150℃より高いSPBDであってもよい。また、材料39は、旧Flexsys Companyおよび旧Monsato ComanyであるAlpha TechnologiesによるRPA2000(登録商標)のようなゴムプロセスアナライザすなわち「RPA」によって試験されてもよい。RPA2000は、非特許文献1および非特許文献2において参照されている。RPA試験結果は、動的せん断モードにおいて周波数11ヘルツおよび動的ひずみ値10%で100℃のときに得られたデータから報告されてもよい。
例示的なリング40、42のY−Z断面は、正方形、三角形、五角形、六角形、七角形、八角形、九角形、または適切な他の形状であってもよい。リングがZ方向に延びるにつれて例示的なリング40、42の横方向厚さつまりY方向厚さも変化してもよい(たとえば、ホイールから半径方向に離れるように延びるにつれて狭くなるリングは、厚さが変化しないリングよりもしっかりとトレッドに固定することができる)。本発明による例示的なリングは、トレッドサイズおよび構成に応じて、横方向つまりY方向の厚さW2が5mmから60mmの間であり、半径方向つまりZ方向の長さが15mmから80mmの間である。
より硬いSPBD材料39は、動的損失弾性率が1000KPaから8000KPaの間または1500KPaから5000KPaの間であってよい。より柔らかいトレッドキャップ材料32は、動的損失弾性率が250KPaから3000KPaの間または500KPaから2500KPaの間であってよい。また、リング材料39とトレッドキャップ材料32の動的損失弾性率の差は、500KPaよりも大きく、または1000KPaよりも大きくてもよい。
ひずみが10%のときに求められる「損失正接」値は、動的貯蔵弾性率に対する動的損失弾性率の比であってよく、ヒステリシスの基準とみなされてもよく、RRを弱めるには、トレッド材料36、38、および39の少なくとも1つのヒステリシスを低くすることが望ましい場合がある。損失正接値が小さくなることは、リング材料39のヒステリシスの望ましい低下に相当する場合がある。したがって、リング40、42用の材料39は低い損失正接および低いヒステリシスを有してもよい。
上述のように、リング40、42の例示的な材料39はSPBDであってもよい。SPBDは、約80%から少なくとも約96%までの範囲であってもよい少なくとも80%のビニル1,2含有量を有するという点で他のポリブタジエンとは異なる(たとえば、cis1,4−ポリブタジエンゴムとは異なる)。SPBDは、可撓性であってもよいが、一般にエラストマとはみなされない。さらに、SPBDは、通常、相溶化剤を添加しさらにおそらく粘着付与樹脂を添加する必要のある1つ以上のエラストマを最初に混合しないかぎり、未硬化の共役ジエンを含むゴム組成に付着するためのビルディングタックをほとんどまたはまったく有さない。
したがって、グリーンタイヤが硬化される前にSPBDのリング40、42がグリーンゴム成分に対して少なくとも部分的に事前に硬化されないかぎり、タイヤ組立てプロセスまたはタイヤ形成プロセスの間に未硬化のゴム成分に対するSPBDのリング40、42の不要な移動が生じることがある。SPBDのリング40、42は、上述の半径方向またはZ方向の剛性をもたらすことができる。したがって、エラストマ、相溶化剤、および粘着付与樹脂のいずれも、ごく少量だけ使用し、それによってSPBDの融点が影響を受けないようするのでないかぎり、エラストマ、相溶化剤、および粘着付与樹脂のいずれもSPBDに物理的に混合しないことが望ましい場合がある。
SPBDは、相溶化剤を添加しないかぎりエラストマにおける可溶性が不十分な比較的剛性の高い(可撓性が限定された)結晶ポリマーであってもよい。本発明では、上記に指摘したように、SPBDは、リング40、42を形成してもよく、それによってある程度の可撓性を実現し、トレッドキャップ32およびトレッドベース34の材料36、38とも相溶化剤とも混合されない。SPBDの融点(MP)は、1,2微細構造の含有量に応じて変化することができる。たとえば、MP値は、微細構造についてのビニル1,2含有量が約80%のときの約120℃からビニル1,2含有量が約96%のときの約200℃〜210℃までの範囲であってよい。
本発明では、SPBDは、融点(MP)が少なくとも150℃、または約160℃〜約220℃であってよく、したがって、リング40、42は顕著な寸法安定度を有し、それによって、トレッドが動的に動作して熱を発生するときに比較的高温でトレッド30に剛性および寸法安定性を付加し、トレッド30を支持する。リング40、42にはMPがより高いことが好ましい場合がある。また、SPBD中に1つ以上の補強フィラーを分散させてもよい。SPBDリング40、42をトレッドキャップおよび32/またはトレッドベース34と一体化するために、各リングを、硫黄によって硬化させることのできるトレッドキャップおよびトレッドベースと同時に硬化すればよい。SPBDリング40、42をそのように同時硬化する場合、トレッドキャップ32とトレッドベース34の少なくとも一方と各リングとの間の界面は、(A)SPBD内に含まれる1つ以上の硫黄硬化剤、(B)トレッドキャップとトレッドベースの少なくとも一方内に含まれる1つ以上の硫黄硬化剤、あるいは(C)SPBDおよびトレッドキャップ32とトレッドベース34の少なくとも一方に含まれる1つ以上の硫黄硬化剤を利用してもよい。
SPBDは、トレッドキャップとトレッドベースの少なくとも一方とSPBDを、トレッドキャップとトレッドベースの少なくとも一方とSPBDとの間の界面の所で互いに一体化することのできる高温で、トレッドキャップとトレッドベースの少なくとも一方とSPBDを同時に硬化することによってトレッドキャップ32とトレッドベース34の少なくとも一方と一体化してもよい。SPBDのリング40、42は、一体化され同時に硬化されたリング/トレッドキャップ/トレッドベース界面によってトレッド30に寸法安定性(たとえば、剛性の程度)をもたらすことができる。
また、SPBDを他のエラストマと混合することは、そのような混合によってSPBDリング40、42の寸法安定性が低下することがあるために望ましくない場合がある。上記の説明では、「phr」という用語は「ゴム100重量部当たりの材料の重量部」を意味することができる。「ゴム」および「エラストマ」という用語は、特に指摘がないかぎり区別しないで使用されてもよい。「ゴム成分」および「化合物」という用語は特に指摘がないかぎり区別しないで使用されてもよい。「融点」または「MP」という用語は本明細書では、従来の示差走査熱量測定によって10℃/分の温度上昇を使用して測定されたSPBDの融点を意味することができる。
上述のように、本発明によるリング40、42を含むトレッド30は、空気入りタイヤ10のトレッドにおいてすぐれた方向性のある剛性特性および導電性を有する。したがって、リング40、42は、空気入りタイヤの構造および挙動が複雑であり、そのため完全で満足行く理論が提示されていないにもかかわらず、空気入りタイヤの性能を向上させる。非特許文献3を参照されたい。空気入りタイヤの構造では従来の複合理論の基本が容易に理解されるが、空気入りタイヤの多数の構成部材によって複雑さが増すために、タイヤの性能を予測する問題が複雑になる。非特許文献4を参照されたい。また、ポリマーおよびゴムの非線形時間挙動、振動数挙動、および温度挙動に起因して、空気入りタイヤの解析的設計は、現在の当分野において最も難しくかつ評価されていない工学上の問題の1つになっている。非特許文献4を参照されたい。
空気入りタイヤは、ある基本的な構造部材を有する。非特許文献5を参照されたい。重要な構造部材として、低弾性率高分子材料、通常は天然ゴムまたは合成ゴムのマトリックスに埋め込まれかつ結合された細粒硬鋼または他の金属の多数のコードで通常作られるベルト構造がある。非特許文献5の207〜208頁を参照されたい。
これらのコードは通常、単一層または二重層として配置される。非特許文献5の208頁を参照されたい。当分野の全体にわたるタイヤ製造業者は、空気入りタイヤにおける騒音特性、ハンドリング、耐久性、乗り心地などに対するベルト構造のコードの様々な撚りの効果に同意することもその効果を予測することもできていない。非特許文献5の80頁〜85頁を参照されたい。
これらの複雑さは、タイヤの性能とタイヤ構成部材との相互関係についての以下の表によって示される。
Figure 2013107637
表を見るとわかるように、これらのトレッド特性は、空気入りタイヤの他の構成部材に影響を与え(すなわち、トレッドがベルトに影響を与えることなど)、したがって、いくつかの構成部材が一群の機能特性(騒音、ハンドリング、トラクション、耐久性、転がり抵抗、乗り心地、高速、および質量)に影響を及ぼすように相互に関係付けられかつ相互作用し、そのため、まったく予測不能で複雑な複合体が得られる。したがって、1つの構成部材を変更しただけで、上記の10個もの機能特性を直接向上または低下させることができるとともに、その1つの構成部材と他の6つもの構造部材との間の相互作用を変更することができる。この6つの相互作用はそれぞれ、10個の機能特性を間接的に向上または低下させることができる。これらの機能の各々が向上もしくは低下するかまたは影響を受けないか、およびどれだけ向上もしくは低下するかは、本発明者によって実施された実験および試験なしには間違いなく予測不能であったと考えられる。
したがって、たとえば、空気入りタイヤの1つの機能特性を向上させようとして空気入りタイヤトレッドを修正すると、任意の数の他の機能特性が許容できないほど低下する恐れがある。さらに、トレッドとベルトとの相互作用が空気入りタイヤの機能特性に許容できないほどの悪影響を及ぼすこともある。トレッドを修正しても、このような複雑な相互関係によりその1つの機能特性さえ改善できないこともある。
したがって、上述のように、複数の構成部材の相互関係が複雑であるため、本発明によるトレッド30を修正した場合の実際の結果を考えられる膨大な数の結果から予測または予想することは不可能である。広範囲の実験によって初めて、本発明のリング40、42およびトレッド30が、空気入りタイヤのすぐれた、予期されない、予測不能な選択肢であることが示された。
上記の説明における文言は、本発明を実施する現在考えられる最良の形態についての文言である。この説明は、本発明の一般原則の例を示すためになされており、本発明を限定するものと解釈すべきではない。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照することによって最も適切に定められる。概略図に示されている参照番号は、本明細書において参照されている参照番号と同じである。本出願では、各図に示されている様々な例はそれぞれ、同様の構成部材について同じ参照番号を使用している。例示的な各構造は、位置または数量が一定ではない同様の構成部材を使用してもよく、それによって、本発明による代替構成が得られる。
10 空気入りタイヤ
30 トレッド
32 トレッドキャップ
34 トレッドベース
36 第1の材料
38 第2の材料
39 第3の材料
40 第1の環状のリング
42 第2の環状のリング
50 第1のショルダ
52 第2のショルダ
54、56 トレッド部材

Claims (14)

  1. 空気入りタイヤであって、
    第1の材料で構成されたトレッドベースと、
    第2の材料で構成され、前記トレッドベースの半径方向外側に、地面に動作可能に接触するように配置されたトレッドキャップと、
    前記空気入りタイヤの動作時にヒステリシスが第2の材料よりも実質的に低く、前記地面に至る導電経路をさらに構成する第3の材料で構成され、少なくとも一部が前記トレッドキャップ内に配置され、半径方向に前記トレッドベースから離れるように延び、前記半径方向の剛性が周方向および横方向の剛性よりも高い環状のリングと、を有することを特徴とする、空気入りタイヤ。
  2. 前記リングは、前記トレッドキャップのショルダ部内に配置され、前記空気入りタイヤの転がり抵抗を低減させる、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記第3の材料は、弾性率が前記第2の材料よりも実質的に高い、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記第3の材料は、弾性率が前記第1の材料よりも実質的に高い、請求項3に記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記第3の材料はポリマーである、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記第3の材料はシンジオタクチックポリブタジエンポリマーである、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  7. 前記トレッドキャップと前記トレッドベースと前記リングは、同時に硬化される、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  8. 前記第3の材料は、動的損失弾性率が1000KPaから8000KPaの間である、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  9. 前記第3の材料は、動的損失弾性率が1500KPaから5000KPaの間である、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  10. 前記第2の材料は、動的損失弾性率が250KPaから3000KPaの間である、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  11. 前記第2の材料は、動的損失弾性率が500KPaから2500KPaの間である、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  12. 前記第3の材料と前記第2の材料との動的損失弾性率の差は500KPaよりも大きい、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  13. 前記第3の材料と前記第2の材料との動的損失弾性率の差は1000KPaよりも大きい、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  14. タイヤであって、
    カーカスと、
    第1の材料で形成されたトレッドベース、前記第1の材料と実質的に異なる剛性特性を有する第2の材料で形成されたトレッドキャップ、および前記第1の材料と実質的に異なる剛性特性を有しかつ地面に至る導電経路を構成する第3の材料で形成され、前記トレッドベースから前記トレッドキャップを貫通して前記トレッドの地面接触面まで延びる環状のリングを有する、トレッドと、を有することを特徴とするタイヤ。
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