本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、その形態および詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。また、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、図面を用いて発明の構成を説明するにあたり、同じものを指す符号は異なる図面間でも共通して用いる。なお、同様のものを指す際にはハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
なお、ある一つの実施の形態の中で述べる内容(一部の内容でもよい)は、その実施の形態で述べる別の内容(一部の内容でもよい)に対して、適用、組み合わせ、または置き換えなどを行うことが出来る。
なお、図において、大きさ、層の厚さ、または領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。
なお、図は、理想的な例を模式的に示したものであり、図に示す形状または値などに限定されない。例えば、製造技術による形状のばらつき、誤差による形状のばらつき、ノイズによる信号、電圧、若しくは電流のばらつき、または、タイミングのずれによる信号、電圧、若しくは電流のばらつきなどを含むことが可能である。
また、電圧は、ある電位と、基準の電位(例えば接地電位(GND)またはソース電位)との電位差のことを示す場合が多い。よって、電圧を電位と言い換えることが可能である。
本明細書においては、「電気的に接続する」と表現される場合であっても、現実の回路においては、物理的な接続部分がなく、配線が延在しているだけの場合もある。
なお、第1、第2として付される序数詞は便宜上用いるものであり、工程順または積層順を示すものではない。また、本明細書において発明を特定するための事項として固有の名称を示すものではない。
本明細書において、例えば、物体の形状を「径」、「粒径」、「大きさ」、「サイズ」、「幅」などで規定する場合、物体が収まる最小の立方体における一辺の長さ、または物体の一断面における円相当径と読み替えてもよい。物体の一断面における円相当径とは、物体の一断面と等しい面積となる正円の直径をいう。
なお、「半導体」と表記した場合でも、例えば、導電性が十分低い場合は「絶縁体」としての特性を有する場合がある。また、「半導体」と「絶縁体」は境界が曖昧であり、厳密に区別できない場合がある。従って、本明細書に記載の「半導体」は、「絶縁体」と言い換えることができる場合がある。同様に、本明細書に記載の「絶縁体」は、「半導体」と言い換えることができる場合がある。
また、「半導体」と表記した場合でも、例えば、導電性が十分高い場合は「導電体」としての特性を有する場合がある。また、「半導体」と「導電体」は境界が曖昧であり、厳密に区別できない場合がある。従って、本明細書に記載の「半導体」は、「導電体」と言い換えることができる場合がある。同様に、本明細書に記載の「導電体」は、「半導体」と言い換えることができる場合がある。
なお、半導体層の不純物とは、例えば、半導体層を構成する主成分以外をいう。例えば、濃度が0.1atomic%未満の元素は不純物である。不純物が含まれることにより、例えば、半導体層にDOS(Density of State)が形成されることや、キャリア移動度が低下することや、結晶性が低下することなどが起こる場合がある。半導体層が酸化物半導体層である場合、半導体層の特性を変化させる不純物としては、例えば、第1族元素、第2族元素、第14族元素、第15族元素、主成分以外の遷移金属などがあり、特に、例えば、水素(水にも含まれる)、リチウム、ナトリウム、シリコン、ホウ素、リン、炭素、窒素などがある。酸化物半導体の場合、不純物の混入によって酸素欠損を形成する場合がある。また、半導体層がシリコン層である場合、半導体層の特性を変化させる不純物としては、例えば、酸素、水素を除く第1族元素、第2族元素、第13族元素、第15族元素などがある。
また、本明細書において、過剰酸素とは、例えば、化学量論的組成を超えて含まれる酸素をいう。または、過剰酸素とは、例えば、加熱することで放出される酸素をいう。過剰酸素は、例えば、膜や層の内部を移動することができる。過剰酸素の移動は、膜や層の原子間を移動する場合と、膜や層を構成する酸素と置き換わりながら玉突き的に移動する場合とがある。また、過剰酸素を含む絶縁膜は、例えば、加熱処理によって酸素を放出する機能を有する絶縁膜である。
<多層膜を有するトランジスタのオン電流について>
以下では、酸化物半導体層を含む多層膜を有するトランジスタにおいて、オン電流(Ion)と各層の物性または厚さとの関係を確かめるための計算を行った。
図1(A)に、計算に用いたトランジスタの断面模式図を示す。トランジスタは、下地絶縁膜(BI)と、下地絶縁膜(BI)上の酸化物半導体層(S1)と、酸化物半導体層(S1)上の酸化物半導体層(S2)と、酸化物半導体層(S2)上のソース電極(SE)およびドレイン電極(DE)と、酸化物半導体層(S2)上、ソース電極(SE)上およびドレイン電極(DE)上の酸化物半導体層(S3)と、酸化物半導体層(S3)上のゲート絶縁膜(GI)と、ゲート絶縁膜(GI)上のゲート電極(GE)と、を有する。なお、酸化物半導体層(S2)は、ソース電極(SE)およびドレイン電極(DE)と接する領域にn型領域を有する。
このとき、酸化物半導体層(S1)、酸化物半導体層(S2)および酸化物半導体層(S3)をまとめて多層膜と呼ぶ。
計算には、以下に示す数値を用いた。下地絶縁膜(BI)は、酸化窒化シリコン膜を想定し、厚さを300nm、比誘電率を4.1とした。
酸化物半導体層(S1)は、Gaの原子数比の高いIn−Ga−Zn酸化物を想定し、厚さを20nm、比誘電率を15、電子親和力を3条件(4.2eV、4.3eV、4.4eV)、エネルギーギャップを3.6eV、ドナー密度を1×10−9個/cm3、電子移動度を0.1cm2/Vs、正孔移動度を0.01cm2/Vsとした。電子親和力とは、真空準位と伝導帯下端のエネルギー(Ec)との差をいう。
酸化物半導体層(S2)は、InとGaの原子数比が同程度のIn−Ga−Zn酸化物を想定し、厚さを15nm、比誘電率を15、電子親和力を4.6eV、エネルギーギャップを3.2eV、ドナー密度を1×10−9個/cm3、電子移動度を10cm2/Vs、正孔移動度を0.01cm2/Vsとした。なお、n型領域は、ドナー密度を5×1018個/cm3とした。
酸化物半導体層(S3)は、Gaの原子数比の高いIn−Ga−Zn酸化物を想定し、厚さを7条件(0nm、5nm、10nm、20nm、30nm、40nm、50nm)、比誘電率を15、電子親和力を3条件(4.2eV、4.3eV、4.4eV)、エネルギーギャップを3.6eV、ドナー密度を1×10−9個/cm3、電子移動度を0.1cm2/Vs、正孔移動度を0.01cm2/Vsとした。なお、酸化物半導体層(S1)と酸化物半導体層(S3)の電子親和力は同じとした。
ゲート絶縁膜(GI)は、酸化窒化シリコン膜を想定し、厚さを3条件(10nm、20nm、30nm)、比誘電率を4.1とした。
ゲート電極(GE)は、タングステン膜を想定し、仕事関数を5.0eVとした。
また、トランジスタは、チャネル長を0.8μm、チャネル幅を0.8μmとした。なお、酸化物半導体層(S2)のチャネルが形成される領域は、上面から見たとき、ゲート電極(GE)と重なり、かつソース電極(SE)とドレイン電極(DE)との間にある領域となる。従って、当該トランジスタのチャネル長は、上面から見たとき、ソース電極(SE)とドレイン電極(DE)との間の距離である。また、当該トランジスタのチャネル幅は、上面から見たとき、チャネル形成領域の、チャネル長方向と垂直な長さである。
図1(A)に断面を示すトランジスタは、酸化物半導体層(S1)、酸化物半導体層(S2)、酸化物半導体層(S3)の電子親和力の関係から、一点鎖線H1−H2において、図1(B)に示すバンド構造を有する。このとき、酸化物半導体層(S2)にウェルが形成される。酸化物半導体層(S2)と、酸化物半導体層(S1)および酸化物半導体層(S3)と、の電子親和力の差(伝導帯下端のエネルギーの差)をウェル深さと呼ぶ。
ここで、酸化物半導体層(S2)の電子親和力は4.6eVである。そのため、酸化物半導体層(S1)および酸化物半導体層(S3)の電子親和力が4.2eV、4.3eV、4.4eVのときのウェル深さは、それぞれ0.4eV、0.3eV、0.2eVとなる。
一般に、半導体層と下地絶縁膜との界面、半導体層とゲート絶縁膜との界面などには、DOSが形成される。DOSは、オン電流の低下や信頼性の低下の要因となる場合がある。一方、図1(A)に示したトランジスタは、多層膜中の酸化物半導体層(S2)であるウェルにチャネルを形成することが可能である。その場合、下地絶縁膜(BI)と酸化物半導体層(S1)との界面、酸化物半導体層(S3)とゲート絶縁膜(GI)との界面の影響は相対的に小さくなり、オン電流の低下や信頼性の低下が抑制できる場合がある。
以上に示した条件をもとに、シルバコ社製デバイスシミュレーションソフト「Atlas」を使用し、計算を行った。ただし、計算は、理想的な状態を仮定して行った。例えば、下地絶縁膜(BI)と酸化物半導体層(S1)との界面、酸化物半導体層(S3)とゲート絶縁膜(GI)との界面などにDOSを設けていない場合について計算を行った。即ち、本計算は、多層膜によるウェルの効果を示すためのものではなく、オン電流と各層の物性または厚さとの関係を示すために行ったものである。
図2は、酸化物半導体層(S3)の厚さに対してオン電流(Ion)をプロットした図である。なお、オン電流は、ゲート電圧Vgが3V、ドレイン電圧Vdが3Vのときのドレイン電流Idである。図2では、上段にウェル深さが0.4eV、中段にウェル深さが0.3eV、下段にウェル深さが0.2eVにおけるオン電流のプロットを示す。また、図中のシンボル白丸はゲート絶縁膜(GI)の厚さが10nm、シンボル白三角はゲート絶縁膜(GI)の厚さが20nm、シンボル白四角はゲート絶縁膜(GI)の厚さが30nmにおけるオン電流のプロットを示す。
図2より、酸化物半導体層(S3)の厚さが大きいほど、オン電流は小さくなることがわかった。また、ウェル深さが小さいほど、酸化物半導体層(S3)の厚さに対するオン電流の低下が顕著となることがわかった。また、ゲート絶縁膜(GI)の厚さが大きいほど、オン電流は小さくなることがわかった。
界面を含む酸化物半導体層(S2)にのみチャネルが形成される場合、酸化物半導体層(S3)は、ゲート絶縁膜の一部として機能する。なお、トランジスタのオン電流は、ゲート絶縁膜の容量に比例することが知られている。
図3左列は、酸化物半導体層(S3)とゲート絶縁膜(GI)との合成容量を横軸にとり、トランジスタのオン電流を縦軸にとり、データをプロットすることで作成した図である。図3右列は、酸化物半導体層(S3)とゲート絶縁膜(GI)との合成容量をゲート絶縁膜(GI)の容量で除した値(規格化容量)を横軸にとり、トランジスタのオン電流を酸化物半導体層(S3)をなし(0nm)とした場合のオン電流で除した値(規格化オン電流またはIon比)を縦軸にとり、データをプロットすることで作成した図である。
また、図3右列には、傾き1の直線を示す。酸化物半導体層(S3)がゲート絶縁膜の一部として機能する場合、理想的には規格化容量と規格化オン電流とは、傾き1の直線上にプロットされる。ところが、ウェル深さが0.3eVの一部、ウェル深さが0.2eVの一部条件においては、プロットが傾き1の直線よりも下となる場合があった。これは、酸化物半導体層(S3)がゲート絶縁膜として機能していないためと考えられる。
つまり、条件によっては、ゲート電極(GE)の電界によって酸化物半導体層(S3)に電子が誘起され、電子密度の高まった酸化物半導体層(S3)によってゲート電極(GE)の電界が遮蔽された結果、酸化物半導体層(S2)へ印加される電界が弱まり、トランジスタのオン電流が低下してしまった可能性がある。
そこで、次に、酸化物半導体層(S2)と酸化物半導体層(S3)との界面(S2\S3界面)または酸化物半導体層(S3)とゲート絶縁膜(GI)との界面(S3\GI界面)における、電流密度および電子密度を計算した結果について説明する。
図4左列は、酸化物半導体層(S3)の厚さに対して界面の電流密度をプロットした図である。なお、電流密度は、ゲート電圧Vgが3V、ドレイン電圧Vdが3Vのときの電流密度である。また、S2\S3界面はシンボルを白丸、白三角および白四角とし、S3\GI界面はシンボルを黒丸、黒三角および黒四角とした。図4左列では、上段にウェル深さが0.4eV、中段にウェル深さが0.3eV、下段にウェル深さが0.2eVにおける電流密度のプロットを示す。また、図中のシンボル丸はゲート絶縁膜(GI)の厚さが10nm、シンボル三角はゲート絶縁膜(GI)の厚さが20nm、シンボル四角はゲート絶縁膜(GI)の厚さが30nmにおける電流密度のプロットを示す。
図4左列より、いずれの条件においても、S2\S3界面の電流密度がS3\GI界面の電流密度よりも高くなった。従って、当該トランジスタのチャネルがS2\S3界面に形成されることがわかった。
ただし、本計算では、酸化物半導体層(S3)の電子移動度を、酸化物半導体層(S2)の電子移動度よりも低く見積もっている。そのため、酸化物半導体層(S3)と酸化物半導体層(S2)の電子移動度の差により、S2\S3界面にチャネルが形成された可能性もある。
図4右列は、酸化物半導体層(S3)の厚さに対して界面の電子密度をプロットした図である。なお、電子密度は、ゲート電圧Vgが3V、ドレイン電圧Vdが3Vのときの電子密度である。また、S2\S3界面はシンボルを白とし、S3\GI界面はシンボルを黒とした。図4右列では、上段にウェル深さが0.4eV、中段にウェル深さが0.3eV、下段にウェル深さが0.2eVにおける電子密度のプロットを示す。また、図中のシンボル丸はゲート絶縁膜(GI)の厚さが10nm、シンボル三角はゲート絶縁膜(GI)の厚さが20nm、シンボル四角はゲート絶縁膜(GI)の厚さが30nmにおける電子密度のプロットを示す。
図4右列より、一部の条件では、S2\S3界面の電子密度が、S3\GI界面の電子密度と同じか高くなることがわかった。即ち、ゲート電極(GE)の電界によって、酸化物半導体層(S3)に電子が多数誘起される場合があることがわかった。酸化物半導体層(S3)に電子が多数誘起された場合、電子密度の高まった酸化物半導体層(S3)によってゲート電極(GE)の電界が遮蔽される。その結果、酸化物半導体層(S2)へ印加される電界が弱まり、トランジスタのオン電流が低下したと考えられる。
具体的には、ウェル深さが0.2eVでは、ゲート絶縁膜(GI)の厚さが10nmのとき、酸化物半導体層(S3)の厚さによらず(5nm以上50nm以下の範囲において)、S3\GI界面の電子密度が1×1018個/cm3以上となった。また、ウェル深さが0.2eVでは、ゲート絶縁膜(GI)の厚さが20nmのとき、酸化物半導体層(S3)の厚さが10nm以上50nm以下において、S3\GI界面の電子密度が1×1018個/cm3以上となった。また、ウェル深さが0.2eVでは、ゲート絶縁膜(GI)の厚さが30nmのとき、酸化物半導体層(S3)の厚さが20nm以上50nm以下において、S3\GI界面の電子密度が1×1018個/cm3以上となった。
また、ウェル深さが0.3eVでは、ゲート絶縁膜(GI)の厚さが10nmのとき、酸化物半導体層(S3)の厚さが10nm以上50nm以下において、S3\GI界面の電子密度が1×1018個/cm3以上となった。また、ウェル深さが0.3eVでは、ゲート絶縁膜(GI)の厚さが20nmのとき、酸化物半導体層(S3)の厚さが40nm以上50nm以下において、S3\GI界面の電子密度が1×1018個/cm3以上となった。また、ウェル深さが0.3eVでは、ゲート絶縁膜(GI)の厚さが30nmのとき、酸化物半導体層(S3)の厚さによらず(5nm以上50nm以下の範囲において)、S3\GI界面の電子密度が1×1018個/cm3以上となることはなかった。
また、ウェル深さが0.4eVでは、いずれの条件においても、S2\S3界面の電子密度が1×1018個/cm3以上となることはなかった。
以上に示したように、条件によっては、酸化物半導体層(S3)がトランジスタのオン電流を低下させる要因となることがわかった。
従って、トランジスタのオン電流を低下させない条件で各層を選択すると好ましいとわかる。
具体的には、ウェル深さが0.2eVでは、ゲート絶縁膜(GI)の厚さが20nmのとき、酸化物半導体層(S3)の厚さを10nm未満(または5nm以下)とすればよい。また、ウェル深さが0.2eVでは、ゲート絶縁膜(GI)の厚さが30nmのとき、酸化物半導体層(S3)の厚さを20nm未満(または10nm以下)とすればよい。
また、ウェル深さが0.3eVでは、ゲート絶縁膜(GI)の厚さが10nmのとき、酸化物半導体層(S3)の厚さを10nm未満(または5nm以下)とすればよい。また、ウェル深さが0.3eVでは、ゲート絶縁膜(GI)の厚さが20nmのとき、酸化物半導体層(S3)の厚さを40nm未満(または30nm以下)とすればよい。
または、ウェル深さを0.4eV以上とすればよい。
<DOSによる劣化の小さいトランジスタ構造について>
前述したように、酸化物半導体層を有するトランジスタにおいて、酸化物半導体層と絶縁膜との界面には、DOSが形成される場合がある。また、形成されたDOSに電荷が捕獲されると、トランジスタのしきい値電圧を変化させる要因となる。
例えば、多層膜を有するトランジスタ構造を採用することによって、チャネルとDOSを遠ざけることができるが、DOS自体は完全に無くすことはできない。そこで、以下では、DOSが、トランジスタのしきい値電圧を変化させる劣化モデルについて考察した。また、しきい値電圧の変化を小さくする構造について考察した。
図5(A)は、酸化物半導体層を有するトランジスタの断面図の一例である。図5(A)に示すトランジスタは、ゲート電極(bg)と、ゲート電極(bg)上のゲート絶縁膜(bg)と、ゲート絶縁膜(bg)上の酸化物半導体層(S1)と、酸化物半導体層(S1)上の酸化物半導体層(S2)と、酸化物半導体層(S2)上のソース電極およびドレイン電極と、酸化物半導体層(S2)上、ソース電極上およびドレイン電極上の酸化物半導体層(S3)と、酸化物半導体層(S3)上のゲート絶縁膜(tg)と、ゲート絶縁膜(tg)上のゲート電極(tg)と、を有する。なお、図5(A)に示すトランジスタは、理解を容易にするためゲート電極(bg)を有するが、以下の劣化モデルをゲート電極(bg)を有さないトランジスタに適用してもよい。また、ゲート電極(bg)を有さない場合、ゲート絶縁膜(bg)は下地絶縁膜となる。
ここで、酸化物半導体層(S1)および酸化物半導体層(S3)は、例えば、酸化物半導体層(S2)を構成する金属元素を一種以上、好ましくは二種以上、さらに好ましくは三種以上有する。また、ゲート絶縁膜(bg)は、例えば、酸化物半導体層(S1)を構成する金属元素を有さない。また、ゲート絶縁膜(tg)は、例えば、酸化物半導体層(S3)を構成する金属元素を有さない。
ゲート絶縁膜(bg)と酸化物半導体層(S1)との界面は、異種物質間の接合界面となるため、DOSが多くなる。また、ゲート絶縁膜(tg)と酸化物半導体層(S3)との界面は、異種物質間の接合界面となるため、DOSが多くなる。一方、酸化物半導体層(S1)と酸化物半導体層(S2)との界面は、同種物質間の接合界面となるため、DOSが少なくなる。また、酸化物半導体層(S3)と酸化物半導体層(S2)との界面は、同種物質間の接合界面となるため、DOSが少なくなる。
ここでは、ゲート絶縁膜(bg)と酸化物半導体層(S1)との界面におけるDOSは電荷トラップと仮定した。また、ゲート絶縁膜(tg)と酸化物半導体層(S3)との界面におけるDOSを電荷トラップと仮定した。また、当該DOSに捕獲された電荷が極めて長い緩和時間を有すると仮定すると、当該電荷は、トランジスタのしきい値電圧を変化させる場合がある。DOSには、トランジスタの動作ストレスに起因して電荷が捕獲されうる。
ここで、ゲート絶縁膜(bg)と酸化物半導体層(S1)との界面のDOSに捕獲される電荷をQssbとした。また、ゲート絶縁膜(tg)と酸化物半導体層(S3)との界面のDOSに捕獲される電荷をQsstとした。このとき、Qssb、Qsstが、トランジスタのしきい値電圧を変化せることを検証する。
なお、ゲート電極(bg)は、例えば、電位を固定する。従って、トランジスタのオン/オフの制御は、例えば、ゲート電極(tg)によって行われる。なお、図5(A)では、ゲート電極(bg)およびゲート絶縁膜(bg)が設けられている場合について述べたが、これに限定されない。ゲート電極(bg)として、導電層、半導体層、不純物が導入された半導体層(例えば、p型半導体やn型半導体)が設けられていてもよい。また、ゲート電極(bg)は、必ずしも、ゲート電極としての機能を有さなくてもよい。また、ゲート絶縁膜(bg)は、必ずしも、ゲート絶縁膜としての機能を有さなくてもよい。
図5(B)は、図5(A)のトランジスタにおいて、ゲート電極(bg)からゲート電極(tg)までの積層構造に対応する等価回路である。ここで、ゲート絶縁膜(bg)の容量をCbg、酸化物半導体層(S1)の容量をCS1、酸化物半導体層(S2)の容量をCS2、酸化物半導体層(S3)の容量をCS3、ゲート絶縁膜(tg)の容量をCtgとする。図5(B)より、図5(A)に示すトランジスタにおいて、ゲート電極(bg)からゲート電極(tg)までの積層構造は、ゲート電極(bg)とゲート電極(tg)との間を、直列に接続したゲート絶縁膜(bg)、酸化物半導体層(S1)、酸化物半導体層(S2)、酸化物半導体層(S3)およびゲート絶縁膜(tg)に対応するキャパシタを有する等価回路として示すことができる。
ゲート電極(bg)のポテンシャルをVbg、ゲート電極(tg)のポテンシャルをVtgとする。また、ゲート絶縁膜(bg)と酸化物半導体層(S1)との界面のポテンシャルをφssb、酸化物半導体層(S1)と酸化物半導体層(S2)との界面のポテンシャルをφS2b、酸化物半導体層(S2)と酸化物半導体層(S3)との界面のポテンシャルをφS2t、酸化物半導体層(S3)とゲート絶縁膜(tg)との界面のポテンシャルをφsstとする。
ゲート絶縁膜(bg)は、ゲート電極(bg)側に電荷−(Qssb+QS1)を有し、酸化物半導体層(S1)側に電荷Qssb+QS1を有する。酸化物半導体層(S1)は、ゲート絶縁膜(bg)側に電荷−QS1を有し、酸化物半導体層(S2)側に電荷QS1を有する。酸化物半導体層(S2)は、酸化物半導体層(S1)側に電荷−QS2を有し、酸化物半導体層(S3)側に電荷QS2を有する。酸化物半導体層(S3)は、酸化物半導体層(S2)側に電荷−QS3を有し、ゲート絶縁膜(tg)側に電荷QS3を有する。ゲート絶縁膜(tg)は、酸化物半導体層(S3)側に電荷Qsst−QS3を有し、ゲート電極(tg)側に電荷−(Qsst−QS3)を有する。
以下に、各容量と電荷との関係を示す。ただし、酸化物半導体層(S1)および酸化物半導体層(S3)は、絶縁体と仮定する。
ゲート絶縁膜(tg)において、容量と電荷との関係は数式(1)のように表される。
酸化物半導体層(S3)において、容量と電荷との関係は数式(2)のように表される。
酸化物半導体層(S2)において、容量と電荷との関係は数式(3)のように表される。
酸化物半導体層(S1)において、容量と電荷との関係は数式(4)のように表される。
ゲート絶縁膜(bg)において、容量と電荷との関係は数式(5)のように表される。
次に、数式(1)および数式(2)より、φsstを消去すると、数式(6)のようになる。なお、Vfbtはフラットバンド電圧である。
また、数式(4)および数式(5)より、φssbを消去すると、数式(7)のようになる。なお、Vfbbはフラットバンド電圧である。
酸化物半導体層(S2)の全体が空乏化していると仮定する。即ち、0<x<tS2のとき、φ(x)<0とする。tS2は酸化物半導体層(S2)の厚さを示す。このとき、酸化物半導体層(S2)におけるポアソン方程式は、数式(8)のように表される。
ただし、eは電気素量を示す。また、NDは酸化物半導体層(S2)のドナー密度を示す。また、nは酸化物半導体層(S2)の電子密度を示す。また、εS2は酸化物半導体層(S2)の誘電率を示す。
酸化物半導体層(S2)の全体が空乏化しているとき、ND>>nであるため、数式(8)は数式(9)のように近似できる。
次に、数式(9)を、数式(10)および数式(11)とする。E(x)は膜厚方向の電界、k1およびk2は未定係数である。
境界条件φ(0)=φS2t、φ(tS2)=φS2bより、数式(10)および数式(11)から、k1およびk2は、それぞれ数式(12)および数式(13)のように求まる。
また、ガウスの法則より、表面電荷密度は数式(14)および数式(15)で表される。
従って、QS3およびQS1は、以下の数式(16)および数式(17)のように求まる。
数式(16)および数式(17)を、数式(6)および数式(7)に代入して整理すると、数式(18)および数式(19)が得られる。
ここで、トランジスタのチャネルが、酸化物半導体層(S1)と酸化物半導体層(S2)との界面側から形成されると仮定すると、しきい値電圧Vthは、φS2b=0のときのVtgとなる。従って、数式(18)および数式(19)を連立し、φS2tを消去すると、しきい値電圧Vthは数式(20)のように求まる。
従って、電荷Qsstおよび電荷Qssbによるしきい値電圧Vthの変化量ΔVthは数式(21)で表される。
従って、ΔVthは、CS3を大きくする(例えば、酸化物半導体層(S3)を薄くする)ことでQssbの寄与が小さくなることがわかる。また、ΔVthは、CS2を大きくする(例えば、酸化物半導体層(S2)を薄くする)ことでQssbの寄与が小さくなることがわかる。また、ΔVthは、CS1を小さくする(例えば、酸化物半導体層(S1)を厚くする)ことでQssbの寄与が小さくなることがわかる。
また、Ctgを大きくする(ゲート絶縁膜(tg)を薄くする)ことでQssbの寄与が小さくなることがわかる。また、Cbgを大きくする(ゲート絶縁膜(bg)を薄くする)ことでQssbの寄与が小さくなることがわかる。
一方、CS3、CS2、CS1は、Qsstの寄与に影響しないことがわかる。また、ΔVthは、Ctgを大きくする(ゲート絶縁膜(tg)を薄くする)ことでQsstの寄与が小さくなることがわかる。
従って、図5(A)に示したトランジスタにおいて、DOSに起因するしきい値電圧の変化を小さくするためには、酸化物半導体層(S3)を薄くすればよい。または、酸化物半導体層(S2)を薄くすればよい。または、酸化物半導体層(S1)を厚くすればよい。または、ゲート絶縁膜(tg)を薄くすればよい。または、ゲート絶縁膜(bg)を薄くすればよい。
ところで、トランジスタのチャネルは酸化物半導体層(S2)に形成される。即ち、酸化物半導体層(S1)および酸化物半導体層(S3)が、酸化物半導体層(S2)よりも高い伝導帯下端のエネルギー(Ec)を有する。このとき、トランジスタのバンド構造の模式図を図6に示す。
上述した劣化モデルは、ゲート絶縁膜(bg)と酸化物半導体層(S1)との界面のDOSのポテンシャル、およびゲート絶縁膜(tg)と酸化物半導体層(S3)との界面のDOSのポテンシャルが、フェルミ準位よりも低い場合について説明した。この場合、ゲート電極(bg)およびゲート電極(tg)が0Vにおいても、それぞれの界面のDOSに電子が捕獲され、電荷Qssbおよび電荷Qsstが蓄積される(図6(A)参照。)。
一方、酸化物半導体層(S1)および酸化物半導体層(S3)を有する場合、酸化物半導体層(S1)および酸化物半導体層(S3)を有さない場合と比べて、それぞれの界面のDOSのポテンシャルが、フェルミ準位よりも高くなる場合(伝導帯下端のエネルギーに近くなる場合)がある。このように、それぞれの界面のDOSのポテンシャルが、フェルミ準位よりも高い場合、それぞれの界面のDOSには電子が捕獲されないため、電荷Qssbおよび電荷Qsstは蓄積されない(図6(B)参照。)。なお、ゲート電極(tg)などに電圧が印加されることで、それぞれの界面のDOSにも電荷が捕獲される場合がある。捕獲された電荷は、それぞれの界面のDOSのポテンシャルが伝導帯下端のエネルギーに近いため、短い緩和時間で消滅する。従って、それぞれの界面のDOSは、トランジスタのしきい値電圧を変化させる要因とはなりにくい。
図6(B)に示したように、それぞれの界面のDOSのポテンシャルとフェルミ準位との大小関係により、酸化物半導体層(S3)を設けることで電荷Qsstが蓄積されない場合がある。電荷Qsstが蓄積されない場合、劣化の要因自体が無くなることにより、トランジスタの信頼性は高くなる。
以上に示した劣化モデルより、多層膜を有するトランジスタにおいて、しきい値電圧の変化量の小さくなる構造について説明した。DOSに起因するしきい値電圧の変化を小さくするためには、トランジスタのオン/オフを制御するゲート電極から近い酸化物半導体層を薄くすればよいことがわかる。また、トランジスタのオン/オフを制御するゲート電極から遠い酸化物半導体層を厚くすればよいことがわかる。
<酸化物半導体層におけるDOS、および原因元素の関係を説明するモデル>
前述したように、酸化物半導体層内部、および酸化物半導体層と外部との界面近傍において、DOSが存在すると、酸化物半導体層を有するトランジスタを劣化させる要因などとなる。従って、酸化物半導体層におけるDOSの起源を知ることは、トランジスタの劣化の要因を知ることに繋がる。
酸化物半導体層内部、およびその界面近傍のDOSは、酸素(O)、酸素欠損(Vo)および水素(H)の位置や結合関係によって説明することができる。以下、我々のモデルの概要を説明する。
結論からいうと、酸化物半導体層内部、およびその界面近傍のDOSを低減するためには、酸素欠損および水素を低減することが必要となる。以下に、酸化物半導体層内部、およびその界面近傍のDOSについて、なぜ、酸素欠損および水素を低減することが必要であるかを、モデルを用いて説明する。
図7は、酸化物半導体層内部、およびその界面近傍のDOSを示すバンド構造である。以下では、酸化物半導体層がインジウム、ガリウムおよび亜鉛を有する酸化物半導体層である場合について説明する。
まず、一般に、DOSには、浅い位置のDOS(shallow level DOS)と深い位置のDOS(deep level DOS)とがある。なお、本明細書において、浅い位置のDOS(shallow level DOS)は、伝導帯下端のエネルギー(Ec)とミッドギャップ(mid gap)のエネルギーとの間にあるDOSのことをいう。従って、例えば、浅い位置のDOS(shallow level DOS)は、伝導帯下端のエネルギーの近くに位置する。また、本明細書において、深い位置のDOS(deep level DOS)は、価電子帯上端のエネルギー(Ev)とミッドギャップのエネルギーとの間にあるDOSのことをいう。従って、例えば、深い位置のDOS(deep level DOS)は、価電子帯上端のエネルギーよりもミッドギャップのエネルギーの近くに位置する。
そこで、酸化物半導体層におけるDOSについて考えてみると、浅い位置のDOS(shallow level DOS)は2種類ある。1つ目の浅い位置のDOS(shallow level DOS)は、酸化物半導体層の表面近傍(絶縁膜との界面またはその近傍)のDOS(surface shallow DOS)である。2つ目の浅い位置のDOS(shallow level DOS)は、酸化物半導体層内部のDOS(bulk shallow DOS)である。一方、深い位置のDOS(deep level DOS)としては、酸化物半導体層内部のDOS(bulk deep DOS)がある。
これらのDOSは、以下のように作用する可能性がある。まず、酸化物半導体層の表面近傍のsurface shallow DOSは、伝導帯下端から浅い位置にあるため、電荷の捕獲および消失が容易に起こりうる。次に、酸化物半導体層内部のbulk shallow DOSは、酸化物半導体層の表面近傍のsurface shallow DOSと比べると伝導帯下端から深い位置にあるため、電荷の消失が起こりにくい。
以下では、酸化物半導体層にDOSを作る原因元素について説明する。
例えば、酸化物半導体層上に酸化シリコン膜を形成する場合、酸化シリコン膜中に酸化物半導体層に含まれるインジウムが入り込み、シリコンと置換することで、浅い位置のDOS(shallow level DOS)を作る場合がある。
また、例えば、酸化物半導体層と酸化シリコン膜との界面では酸化物半導体層に含まれるインジウムと酸素との結合が切れ、当該酸素とシリコンとの結合が生じる。これは、シリコンと酸素との結合エネルギーがインジウムと酸素との結合エネルギーよりも高いこと、およびシリコン(4価)がインジウム(3価)よりも価数が多いことに起因する。そして、酸化物半導体層に含まれる酸素がシリコンに奪われることによって、インジウムと結合していた酸素のサイトは酸素欠損となる。また、この現象は、表面だけでなく、酸化物半導体層内部にシリコンが入っていった場合も、同様に生じる。これらの酸素欠損は、深い位置のDOS(deep level DOS)を形成する。
また、シリコンだけでなく、別の要因によっても、インジウムと酸素との結合が切れる場合がある。例えば、インジウム、ガリウムおよび亜鉛を有する酸化物半導体層において、インジウムと酸素との結合は、ガリウムや亜鉛と酸素との結合よりも弱くて切れやすい。そのため、例えば、プラズマによるダメージやスパッタ粒子によるダメージなどによっても、インジウムと酸素との結合が切れ、酸素欠損が生じうる。この酸素欠損は、深い位置のDOS(deep level DOS)を形成する。この深い位置のDOS(deep level DOS)は、正孔を捕獲することができるため、正孔トラップ(正孔捕獲中心)となる。つまり、この酸素欠損が、酸化物半導体層内部のbulk deep DOSを形成する。
これらの酸素欠損による深い位置のDOS(deep level DOS)は、後で説明するように、水素が原因となって、酸化物半導体層の表面近傍のsurface shallow DOSや、酸化物半導体層内部のbulk shallow DOSを形成するための要因の一つとなる。
これらの酸素欠損は、DOSを形成するため、酸化物半導体層の不安定要因となる。また、酸化物半導体層中の酸素欠損は、水素を捕獲することで準安定状態となる。つまり、深い位置のDOS(deep level DOS)であり、正孔を捕獲することができる正孔トラップであった酸素欠損が、水素を捕獲すると、浅い位置のDOS(shallow level DOS)を形成する。その結果、浅い位置のDOS(shallow level DOS)は、電子を捕獲することができる電子トラップとなったり、電子の発生源となったりすることができるようになる。このように、酸素欠損は水素を捕獲する。しかし、あとで述べるように、酸化物半導体層中の水素の位置次第では、プラス(中性またはプラス)にもマイナス(中性またはマイナス)にも帯電しうる。そのため、酸化物半導体層を有するトランジスタに対して、水素は悪影響を及ぼす可能性がある。
一例として、図8に、ボトムゲートトップコンタクト構造のトランジスタの断面模式図を示す。酸化物半導体層(OS)は、絶縁膜との界面近傍にsurface shallow DOSを有する。surface shallow DOSには、電子が捕獲されており、マイナスに帯電している。そのため、surface shallow DOSは、トランジスタのしきい値電圧を変化させる要因となる。
そこで、酸素欠損がトランジスタに対して悪影響を及ぼさないようにするためには、酸素欠損の密度を低減することが重要となる。酸化物半導体層の酸素欠損の密度は、酸化物半導体層に過剰な酸素を供給する、即ち酸素欠損を過剰酸素で埋めることによって低減することができる。つまり、酸素欠損は、過剰酸素が入ることで安定状態とすることができる。例えば、酸化物半導体層の内部、または酸化物半導体層の界面近傍に設けられた絶縁膜中に、過剰酸素を有せしめるとする。すると、その過剰酸素が酸化物半導体層の酸素欠損を埋めることによって、酸化物半導体層の酸素欠損を効果的に消滅または低減することができる。
このように、酸素欠損は、水素または酸素のいずれかによって、準安定状態または安定状態となる。酸化物半導体層中の水素濃度が高い場合、酸素欠損は、水素を捕獲するものが多くなる。一方、酸素欠損中に水素が存在する場合、過剰酸素を供給しても、過剰酸素は、まずは水素を取り除くために用いられる。そのため、過剰酸素は、水素を取り除いた後に、ようやく酸素欠損を埋めるために用いられる。従って、酸化物半導体層中の水素濃度が高い場合は、過剰酸素によって低減できる酸素欠損が少なくなる。逆に、酸化物半導体層中の水素濃度が低い場合、酸素欠損に捕獲される水素が少なくなる。そのため、過剰酸素を供給することによって、酸素欠損の密度を大幅に低減することが可能となる。
既に述べたように、酸素欠損は水素を捕獲するが、水素の捕獲の仕方次第では、プラス(中性またはプラス)にもマイナス(中性またはマイナス)にも帯電しうる。ここでは、酸化物半導体層内部のbulk shallow DOSと、表面近傍のsurface shallow DOSとについて考える。これらのshallow level DOSが、中性もしくはマイナス、または中性もしくはプラス、のいずれかに帯電することは、水素(水素結合)、酸素欠損および酸素の相対的な位置を考えるのみで統一的に理解できる。例えば、酸化物半導体層内部において、水素が酸素欠損に捕獲され、VoHが形成されると、中性またはプラスに帯電する。つまり、H++e−が、酸化物半導体層内部のbulk shallow DOSを形成し、酸化物半導体層にn型領域を形成する要因となる。
一方、水素は、中性またはプラスに帯電する場合だけでなく、中性またはマイナスに帯電する場合もある。それらを考慮すると、酸化物半導体層内部のbulk shallow DOSと、酸化物半導体層の表面近傍のsurface shallow DOSとを形成するような以下のモデルが考えられる。なお、モデル中の「…」は結合を示すものではない。なお、モデル中の「…」は原子間のイオン性結合を示すモデル中の「―」と区別するために用いている。
まず、酸化物半導体層に含まれるインジウムと酸素との結合が切れ、当該酸素とシリコンとの結合が生じ、さらに水素が存在する場合について、モデルを表1に列挙する。
例えば、水素が酸素と結合したモデルAがある。
また、例えば、水素が酸素欠損に捕獲されたモデルBがある。
また、シリコンをインジウムに置き換えた場合も同様である。例えば、水素が酸素と結合したモデルCがある。
また、例えば、水素が酸素欠損に捕獲されたモデルDがある。
このように4つのモデルA乃至Dが考えられる。このモデルにより、中性またはプラスだけでなく、中性またはマイナスの、いずれかに帯電することを説明することができる。ただし、インジウムよりシリコンの結合が強いため、モデルDに比べてモデルBの可能性は低いと考えられる。
従って、水素、酸素欠損および酸素の相対的な位置関係によって、水素はプラスとマイナスの両方に帯電しうる可能性がある。即ち、酸素欠損と水素は、プラスに帯電するDOSとマイナスに帯電するDOSの両方を形成しうる。それらは、周囲の環境(周囲に配置される元素の電気陰性度)に応じて、プラスとマイナスのいずれかに帯電しうる可能性がある。
<酸化物半導体層を有するトランジスタの暗状態におけるヒステリシス劣化モデル>
次に、酸化物半導体層を有するトランジスタの劣化のメカニズムについて述べる。酸化物半導体層を有するトランジスタは、光が照射されている場合と、光が照射されていない場合とで、特性が劣化するときの挙動が異なる。光が照射されている場合は、酸化物半導体層内部の深い位置のDOS(bulk deep DOS)が大きく影響する可能性がある。光が照射されていない場合は、酸化物半導体層の表面近傍(絶縁膜との界面またはその近傍)の浅い位置のDOS(surface shallow DOS)が関係している可能性がある。
そこで、まず、酸化物半導体層を有するトランジスタに光が照射されていない場合(暗状態)について述べる。この場合には、酸化物半導体層の表面近傍(絶縁膜との界面またはその近傍)の浅い位置のDOS(surface shallow DOS)による電荷の捕獲、放出の関係から、トランジスタの劣化メカニズムについて説明することができる。
酸化物半導体層を有するトランジスタに対し、暗状態においてゲートBT(bias temperature)ストレス試験を繰り返し行った場合のしきい値電圧(Vth)の変化を図9に示す。図9から分かる通り、プラスゲートBTストレス試験(+GBT)を行うことでしきい値電圧はプラス方向へと変化する。次に、続けてマイナスゲートBTストレス試験(−GBT)を行うと、しきい値電圧はマイナス方向へと変化して、初期値(Initial)と同程度のしきい値電圧となる。このように、プラスゲートBTストレス試験と、マイナスゲートBTストレス試験とを交互に繰り返し行うと、しきい値電圧が上下に変化する(ヒステリシスが生じる)。つまり、光を照射しない状態で、マイナスゲートBTストレス試験と、プラスゲートBTストレス試験とを繰り返し行っていくと、しきい値電圧はプラス方向とマイナス方向へと、繰り返し変化していくが、全体としては、一定の範囲内での変化にとどまることがわかった。
このような暗状態でのゲートBTストレス試験におけるトランジスタのしきい値電圧の変化は、酸化物半導体層の表面近傍のsurface shallow DOSによって説明することができる。図10に、酸化物半導体層を含むバンド構造と、バンド構造に対応するフローチャートを示す。なお、ここでは、光が照射されていない場合における劣化のメカニズムについて考えているため、ゲートBTストレス試験の前も、ゲートBTストレス試験中も、ゲートBTストレス試験後も、光は照射されない場合について述べているものとする。
ゲートBTストレスの印加前(ゲート電圧(Vg)は0)は、酸化物半導体層の表面近傍のsurface shallow DOSは、フェルミ準位(Ef)よりもエネルギーが高く、電子が捕獲されていないため電気的に中性である(ステップS101)。このとき、測定したしきい値電圧を、ゲートBTストレスの印加前の初期値とする。
次に、プラスゲートBTストレス試験(暗状態)を行い、プラスのゲート電圧を印加する。すると、プラスのゲート電圧を印加することで、伝導帯のバンドが曲がり、酸化物半導体層の表面近傍のsurface shallow DOSがフェルミ準位よりも低いエネルギーとなる。そのため、酸化物半導体層の表面近傍のsurface shallow DOSには電子が捕獲され、マイナスに帯電する(ステップS102)。
次に、ストレスを止め、ゲート電圧を0にする。ゲート電圧を0にすることで、酸化物半導体層の表面近傍のsurface shallow DOSがフェルミ準位よりも高いエネルギーとなる。ところが、酸化物半導体層の表面近傍のsurface shallow DOSに捕獲された電子が放出するまでに長い時間を要する。そのため、酸化物半導体層の表面近傍のsurface shallow DOSはマイナスに帯電したままとなる(ステップS103)。このとき、トランジスタのチャネル形成領域にはゲート電圧のほかに、マイナスの電圧が印加され続けている状態となる。従って、トランジスタをオンするために、初期値よりも高いゲート電圧を印加しなくてはならず、しきい値電圧はプラス方向に変化する。つまり、ノーマリオフ化しやすくなる可能性がある。
次に、マイナスゲートBTストレス試験(暗状態)を行い、マイナスのゲート電圧を印加する。マイナスのゲート電圧を印加することで、伝導帯のバンドが曲がり、酸化物半導体層の表面近傍のsurface shallow DOSがさらに高いエネルギーとなる。そのため、酸化物半導体層の表面近傍のsurface shallow DOSに捕獲された電子が放出し、電気的に中性となる(ステップS104)。この電子の放出が要因となって、しきい値電圧が、ゲートBTストレス試験を行う前の初期値と概ね等しい大きさに戻る可能性がある。
次に、ストレスを止め、ゲート電圧を0にする。このとき、酸化物半導体層の表面近傍のsurface shallow DOSは、捕獲された電子を放出済みであるため、電気的に中性である(ステップS101)。そのため、しきい値電圧は、プラス方向に変化し、結果として、ゲートBTストレスの印加前の初期値に戻る。つまり、光を照射しない状態で、マイナスゲートBTストレス試験と、プラスゲートBTストレス試験とを繰り返し行っていくと、しきい値電圧はプラス方向とマイナス方向へと、繰り返し変化していく。しかし、酸化物半導体層の表面近傍のsurface shallow DOSにおいて、プラスゲートBTストレス試験時に捕獲された電子が、マイナスゲートBTストレス試験時に放出されるため、全体としては、しきい値電圧は一定の範囲内で変化することがわかった。
以上のように、暗状態におけるゲートBTストレス試験によるトランジスタのしきい値電圧の変化は、酸化物半導体層の表面近傍のsurface shallow DOSを理解することによって説明することができる。
<酸化物半導体層を有するトランジスタにおける光照射下での劣化モデル>
既に述べたように、酸化物半導体層を有するトランジスタの劣化については、光が照射された場合と、光が照射されていない場合とで、挙動が異なる。光が照射されていない場合については既に述べた。従って、ここでは、光が照射されている場合における劣化のメカニズムについて述べる。光が照射されている場合は、酸化物半導体層内部の深い位置のDOS(bulk deep DOS)が関係している。ここでは、酸化物半導体層内部の深い位置のDOS(bulk deep DOS)による電荷の捕獲、放出の関係から、光が照射されている場合(明状態)のトランジスタの劣化のメカニズムについて説明する。
酸化物半導体層を有するトランジスタに対し、光照射下においてゲートBTストレス試験を繰り返し行った場合のしきい値電圧(Vth)の変化を図11に示す。図11から分かるように、しきい値電圧(Vth)は初期値(Initial)から変化する。
図11では、まず最初に、しきい値電圧の初期値として、ゲートBTストレスを加えずに、光を遮光した状態(暗状態)において測定した結果をプロットした。次に、ゲートBTストレスを加えずに、光を照射した状態(明状態)において、しきい値電圧を測定した。その結果、光を遮光した状態(暗状態)でのしきい値電圧と比べて、光を照射した状態(明状態)でのしきい値電圧は、マイナス方向に大きく変化することがわかった。これは、光を照射することによって、電子および正孔(ホール)が生成され、生成された電子が伝導帯へ励起されるためである可能性がある。つまり、ゲートBTストレスを加えない場合であっても、光の照射によって、酸化物半導体層を有するトランジスタのしきい値電圧は、マイナス方向へシフトし、ノーマリオン化しやすくなるといえる。この場合、酸化物半導体層のエネルギーギャップが大きいほど、または、ギャップ内のDOSが少ないほど、励起される電子は少なくなる。そのため、そのような場合は、光を照射することのみによるしきい値電圧の変化は小さくなる。
次に、光を照射したままの状態で、マイナスゲートBTストレス試験(−GBT)を行うと、しきい値電圧はさらにマイナス方向に変化した。これは、酸化物半導体層内部のbulk deep DOSに捕獲された正孔が、電界によってゲート絶縁膜(GI)中の非架橋酸素正孔捕獲中心(NBOHC:Non Bridging Oxygen Hole Center)に注入され、プラスに帯電したためである可能性がある。
その後、光を照射したままの状態で、プラスゲートBTストレス試験(+GBT)を行うと、しきい値電圧はプラス方向に変化した。これは、電界によって、ゲート絶縁膜中の非架橋酸素正孔捕獲中心(NBOHC)から正孔が低減したためである可能性がある。しかしながら、しきい値電圧が初期値まで戻りきっていないことから、ゲート絶縁膜中に取り込まれた正孔は、その全てが放出されるわけではないと判断できる。
さらに、光を照射したままの状態で、マイナスゲートBTストレス試験と、プラスゲートBT試験とを繰り返し行っていくと、しきい値電圧はプラス方向とマイナス方向へと、繰り返し変化しながら、全体としては、徐々にマイナス方向へ変化していくことがわかった。このような結果となったのは、ゲート絶縁膜中の非架橋酸素正孔捕獲中心(NBOHC)の正孔が原因である可能性がある。つまり、プラスゲートBTストレス試験によって、ゲート絶縁膜中の非架橋酸素正孔捕獲中心(NBOHC)の正孔が減少する。ただし、その正孔は、全てが放出されるのではなく、正孔の一部が、ゲート絶縁膜中の非架橋酸素正孔捕獲中心(NBOHC)に残存する。そしてさらに、正孔が僅かに残存したまま状態で、マイナスゲートBTストレス試験を行うと、残存した正孔に上積みするようにゲート絶縁膜中の非架橋酸素正孔捕獲中心(NBOHC)の正孔が追加されて蓄積していく。そして、再度プラスゲートBTストレス試験を行うことによって、ゲート絶縁膜中の非架橋酸素正孔捕獲中心(NBOHC)の正孔が僅かに減少するが、次にマイナスゲートBTストレス試験を行うと、正孔が再度追加される。つまり、プラスゲートBTストレス試験を行うと、ゲート絶縁膜中の非架橋酸素正孔捕獲中心(NBOHC)に正孔が減少するが僅かに残り、マイナスゲートBTストレス試験を行うと、ゲート絶縁膜中の非架橋酸素正孔捕獲中心(NBOHC)に正孔がさらに追加されるため、しきい値電圧はプラス方向とマイナス方向へと、繰り返し変化しながら、全体としては、徐々にマイナス方向へ変化していくものと考えられる。
以上に示した光照射下でのゲートBTストレス試験(プラスゲートBTとマイナスゲートBTの繰り返し試験)において、トランジスタのしきい値電圧が変化していくメカニズムについて、図12および図13に示すバンド構造を用いて説明する。図12および図13では、酸化物半導体層内部のbulk deep DOS、およびゲート絶縁膜中の非架橋酸素正孔捕獲中心(NBOHC1およびNBOHC2)を用いて説明する。なお、非架橋酸素正孔捕獲中心(NBOHC1)は、非架橋酸素正孔捕獲中心(NBOHC2)よりも、酸化物半導体層との界面に近い位置(表面側)にある非架橋酸素正孔捕獲中心(NBOHC)である。
ゲートBTストレスの印加と光の照射とを行う前(ゲート電圧(Vg)は0)、酸化物半導体層内部のbulk deep DOSは、フェルミ準位(Ef)よりもエネルギーが低く、正孔が捕獲されていないため電気的に中性である(ステップS111)。このとき、暗状態で測定したしきい値電圧を、暗状態の初期値とする。
次に、ゲートBTストレスを加えずに、酸化物半導体層に光を照射すると、電子および正孔が生成される(ステップS112)。生成された電子は、伝導帯に励起され、しきい値電圧をマイナス方向へ変化させる(以降のステップでは電子を省略して示す。)。また、正孔が生成されることで、正孔の擬フェルミ準位(Efp)が下がる。正孔の擬フェルミ準位(Efp)が下がることで、酸化物半導体層内部のbulk deep DOSに正孔が捕獲される(ステップS113)。従って、ゲートBTストレスを加えずに、光を照射すると、暗状態のときと比べて、しきい値電圧がマイナス方向に変化し、ノーマリオン化しやすくなる可能性がある。
次に、光を照射したままの状態で、マイナスゲートBTストレス試験を行うと、電界勾配が生じ、酸化物半導体層内部のbulk deep DOSに捕獲された正孔が、ゲート絶縁膜中の非架橋酸素正孔捕獲中心(NBOHC1)に注入される(ステップS114)。また、図13に示すように、電界により、ゲート絶縁膜のさらに内部の非架橋酸素正孔捕獲中心(NBOHC2)へも正孔の一部が移動する(ステップS115)。ゲート絶縁膜中で非架橋酸素正孔捕獲中心(NBOHC1)から非架橋酸素正孔捕獲中心(NBOHC2)への正孔の移動は、電界を印加する時間が長いほど進行する。ゲート絶縁膜中の非架橋酸素正孔捕獲中心(NBOHC1およびNBOHC2)の正孔は、プラスの固定電荷として振る舞うため、しきい値電圧をマイナス方向に変化させ、ノーマリオン化しやすくなる。
なお、ここでは、理解を容易にするため、光照射とマイナスゲートBTストレス試験とを異なるステップに分けて示したが、これに限定して解釈されるものではない。例えば、ステップS112乃至ステップS115が、並行して起こるステップであると考えても構わない。
次に、光を照射したままの状態でプラスゲートBTストレス試験を行うと、プラスのゲート電圧を印加することによって、酸化物半導体層内部のbulk deep DOSに捕獲された正孔、およびゲート絶縁膜中の非架橋酸素正孔捕獲中心(NBOHC1)の正孔が放出される(ステップS116)。その結果、しきい値電圧はプラス方向に変化する。ただし、ゲート絶縁膜中の非架橋酸素正孔捕獲中心(NBOHC2)は、ゲート絶縁膜の内部の深い位置であるため、光を照射したままの状態でプラスゲートBTストレス試験を行ったとしても、直接正孔が放出されることはほとんど起こりえない。ゲート絶縁膜中の非架橋酸素正孔捕獲中心(NBOHC2)の正孔を放出するためには、一度、表面側の非架橋酸素正孔捕獲中心(NBOHC1)に移動しなくてはならない。ゲート絶縁膜中の非架橋酸素正孔捕獲中心(NBOHC2)から非架橋酸素正孔捕獲中心(NBOHC1)への正孔の移動は、電界を印加した時間に応じて少しずつ起こる。従って、しきい値電圧のプラス方向への変化量も小さく、初期値まで戻り切らない。
また、ゲート絶縁膜中の非架橋酸素正孔捕獲中心(NBOHC1)と、酸化物半導体層内部のbulk deep DOSとの間でも、正孔のやりとりが起こる。しかし、酸化物半導体層内部のbulk deep DOSには、既に多くの正孔が捕獲されている状態となっているため、酸化物半導体層およびゲート絶縁膜全体の帯電量はほとんど減少しない可能性がある。
次に、再び、光を照射したままの状態で、マイナスゲートBTストレス試験を行うと、電界勾配が生じ、酸化物半導体層内部のbulk deep DOSに捕獲された正孔が、ゲート絶縁膜中の非架橋酸素正孔捕獲中心(NBOHC1)に注入される。また、電界により、ゲート絶縁膜のさらに内部の非架橋酸素正孔捕獲中心(NBOHC2)へも正孔の一部が注入される(ステップS117)。なお、ゲート絶縁膜中の非架橋酸素正孔捕獲中心(NBOHC2)は、ステップS115で入った正孔が放出せずに残ったままの状態である。そのため、さらに正孔が注入されることで、固定電荷として振る舞う正孔数はさらに増える。しきい値電圧をさらにマイナス方向に変化させ、よりノーマリオン化しやすくなる。
次に、光を照射したままの状態でプラスゲートBTストレス試験を行うと、プラスのゲート電圧を印加することによって、酸化物半導体層内部のbulk deep DOSに捕獲された正孔、およびゲート絶縁膜中の非架橋酸素正孔捕獲中心(NBOHC1)の正孔が放出される(ステップS118)。その結果、しきい値電圧はプラス方向に変化する。ただし、ゲート絶縁膜中の非架橋酸素正孔捕獲中心(NBOHC2)の正孔は、ほとんど放出されない。従って、しきい値電圧のプラス方向への変化量も小さく、初期値まで戻り切らない。
以上のように、光を照射した状態において、マイナスゲートBTストレス試験とプラスゲートBTストレス試験とを繰り返し行うことによって、しきい値電圧はプラス方向とマイナス方向へと、繰り返し変化しながら、全体としては、徐々にマイナス方向へ変化していくものと考えられる。
以上のように、光照射下でのゲートBTストレス試験におけるトランジスタのしきい値電圧の変化は、酸化物半導体層内部のbulk deep DOS、およびゲート絶縁膜中の非架橋酸素正孔捕獲中心(NBOHC1およびNBOHC2)を理解することによって説明することができる。
<酸化物半導体層の脱水化および脱水素化、ならびに加酸素化のプロセスモデル>
トランジスタに安定した電気特性を付与するためには、酸化物半導体層内部、およびその界面近傍にDOSをより少なくすること(高純度真性化)が重要である。以下では、酸化物半導体層の高純度真性化のプロセスモデルについて説明する。そこで、まずは、酸化物半導体層の、脱水化および脱水素化について説明し、次に、酸素欠損(Vo)を酸素で埋めることによる加酸素化について説明する。
以下では、インジウムと酸素との結合が切れ、酸素欠損が形成されるモデルについて説明する。
インジウムと酸素との結合が切れると、酸素が脱離し、インジウムと結合していた酸素のサイトが酸素欠損となる。酸素欠損は、酸化物半導体層の深い位置のDOS(deep level DOS)を形成する。酸化物半導体層の酸素欠損は、不安定であるため、酸素または水素を捕獲することで安定しようとする。そのため、酸素欠損の近くに水素があると、酸素欠損が水素を捕獲することでVoHとなる。VoHは、酸化物半導体層の浅い位置のDOS(shallow level DOS)を形成する。
次に、酸化物半導体層のVoHに酸素が近づいてくると、酸素は、VoHから水素を奪い、水酸基(OH)の状態で、水素を脱離させる(図14(A)および図14(B)参照。)。酸素は、加熱処理などによって酸化物半導体層中を移動することで近づいてくる。
さらに、脱離した水酸基は、別の酸化物半導体層のVoHに近づくと、VoHから水素を奪い、水分子(H2O)の状態で、さらに水素を脱離させる(図14(C)および図14(D)参照。)。以上のように、1つの酸素は、酸化物半導体層の2つの水素を脱離させる。これを、酸化物半導体層の脱水化および脱水素化と呼ぶ。脱水化および脱水素化によって、酸化物半導体層の浅い位置のDOS(shallow level DOS)が低減され、深い位置のDOS(deep level DOS)が形成される。
次に、酸化物半導体層の酸素欠損に酸素が近づいてくると、酸素は、酸素欠損に捕獲され、酸素欠損が消失する(図14(E)および図14(F)参照。)。これを、酸化物半導体層の加酸素化と呼ぶ。加酸素化によって、酸化物半導体層の深い位置のDOS(deep level DOS)を低減することができる。
以上のようにして、酸化物半導体層の脱水化および脱水素化、ならびに加酸素化を行うと、酸化物半導体層の浅い位置のDOS(shallow level DOS)および深い位置のDOS(deep level DOS)を低減することができる。これを酸化物半導体の高純度真性化と呼ぶ。
<多層膜を有するトランジスタの構造および作製方法についての説明>
以下では、多層膜を有するトランジスタの構造および作製方法について説明する。
<トランジスタ構造(1)>
まず、トップゲートトップコンタクト型のトランジスタの一例について説明する。
図15は、トランジスタの上面図および断面図である。図15(A)は、トランジスタの上面図を示す。図15(A)において、一点鎖線A1−A2に対応する断面図を図15(B)に示す。また、図15(A)において、一点鎖線A3−A4に対応する断面図を図15(C)に示す。
図15(B)に示すトランジスタは、基板100上の下地絶縁膜102と、下地絶縁膜102上の酸化物半導体層106aと、酸化物半導体層106a上の酸化物半導体層106bと、酸化物半導体層106b上の酸化物半導体層106cと、酸化物半導体層106cと接するソース電極116aおよびドレイン電極116bと、酸化物半導体層106c、ソース電極116aおよびドレイン電極116b上のゲート絶縁膜112と、ゲート絶縁膜112上のゲート電極104と、を有する。なお、好ましくは、ゲート絶縁膜112およびゲート電極104上に、保護絶縁膜108と、保護絶縁膜108上の保護絶縁膜118と、を設ける。なお、トランジスタは、下地絶縁膜102を有さなくても構わない。
なお、図15(B)に示すトランジスタにおいて、保護絶縁膜108と保護絶縁膜118との積層順を入れ替えた構造であっても構わない(図16参照。)。図16に示すトランジスタは、図15に示すトランジスタよりも下地絶縁膜102から放出される過剰酸素の外方拡散が起こりにくい場合がある。従って、図15に示すトランジスタよりも、酸化物半導体層106a、酸化物半導体層106bおよび酸化物半導体層106cの酸素欠損を低減できる(DOSを低減できる)可能性がある。
図15に示すトランジスタの酸化物半導体層106aは、例えば、図1(A)に示す酸化物半導体層(S1)に対応する。また、図15に示すトランジスタの酸化物半導体層106bは、例えば、図1(A)に示す酸化物半導体層(S2)に対応する。また、図15に示すトランジスタの酸化物半導体層106cは、例えば、図1(A)に示す酸化物半導体層(S3)に対応する。
図15に示すトランジスタの下地絶縁膜102は、例えば、図5(A)に示すトランジスタのゲート絶縁膜(bg)に相当する。また、図15に示すトランジスタは、例えば、図5(A)に示すトランジスタのゲート電極(bg)を有してもよい。図15に示すトランジスタは、例えば、ゲート電極104に対向して、下地絶縁膜102の下面と接するバックゲート電極を有してもよい。また、図15に示すトランジスタにおいて、基板100が導電性を有する場合、例えば、基板100が図5(A)に示すトランジスタのゲート絶縁膜(bg)に相当してもよい。また、図15に示すトランジスタにおいて、下地絶縁膜102より下に配線などの導電膜を有する場合、例えば、当該導電膜が図5(A)に示すトランジスタのゲート絶縁膜(bg)に相当してもよい。
なお、ソース電極116aおよびドレイン電極116bに用いる導電膜の種類によっては、酸化物半導体層106b、酸化物半導体層106cの一部から酸素を奪い、または混合層を形成し、酸化物半導体層106b、酸化物半導体層106c中にn型領域(低抵抗領域)を形成することがある。
図15(A)において、ゲート電極104と重なる領域において、ソース電極116aとドレイン電極116bとの間隔をチャネル長という。ただし、トランジスタが、n型領域を含む場合、ゲート電極104と重なる領域において、ソース領域とドレイン領域との間隔をチャネル長といってもよい。
なお、チャネル形成領域とは、酸化物半導体層106a、酸化物半導体層106bおよび酸化物半導体層106cにおいて、ゲート電極104と重なり、かつソース電極116aとドレイン電極116bとに挟まれる領域をいう(図15(B)参照。)。また、チャネルとは、チャネル形成領域において、電流が主として流れる領域をいう。
なお、酸化物半導体層106bは、図15(A)に示すように、上面図においてゲート電極104の外側まで設けられる。ただし、酸化物半導体層106bがゲート電極104の内側に設けられても構わない。こうすることで、ゲート電極104側から光が入射した際に、酸化物半導体層106b中で光によってキャリアが生成されることを抑制することができる。即ち、ゲート電極104は遮光膜としての機能を有する。
以下では、酸化物半導体層106a、酸化物半導体層106bおよび酸化物半導体層106cを含む多層膜について説明する。
酸化物半導体層106bは、インジウムを含む酸化物である。酸化物は、例えば、インジウムを含むと、キャリア移動度(電子移動度)が高くなる。また、酸化物半導体層106bは、元素Mを含むと好ましい。元素Mとして、例えば、アルミニウム、ガリウム、イットリウムまたはスズなどがある。元素Mは、例えば、酸素との結合エネルギーが高い元素である。元素Mは、例えば、酸化物のエネルギーギャップを大きくする機能を有する元素である。また、酸化物半導体層106bは、亜鉛を含むと好ましい。酸化物が亜鉛を含むと、例えば、酸化物を結晶化しやすくなる。酸化物の価電子帯上端のエネルギーは、例えば、亜鉛の原子数比によって制御できる。
ただし、酸化物半導体層106bは、インジウムを含む酸化物に限定されない。酸化物半導体層106bは、例えば、Zn−Sn酸化物、Ga−Sn酸化物であっても構わない。
酸化物半導体層106aは、酸化物半導体層106bを構成する酸素以外の元素一種以上、または二種以上から構成される酸化物半導体層である。酸化物半導体層106bを構成する酸素以外の元素一種以上、または二種以上から酸化物半導体層106aが構成されるため、酸化物半導体層106bと酸化物半導体層106aとの界面において、DOSが形成されにくい。
酸化物半導体層106cは、酸化物半導体層106bを構成する酸素以外の元素一種以上、または二種以上から構成される酸化物半導体層である。酸化物半導体層106bを構成する酸素以外の元素一種以上、または二種以上から酸化物半導体層106cが構成されるため、酸化物半導体層106bと酸化物半導体層106cとの界面において、DOSが形成されにくい。
なお、酸化物半導体層106aがIn−M−Zn酸化物のとき、InおよびMの和を100atomic%としたとき、好ましくはInが50atomic%未満、Mが50atomic%以上、さらに好ましくはInが25atomic%未満、Mが75atomic%以上とする。また、酸化物半導体層106bがIn−M−Zn酸化物のとき、InおよびMの和を100atomic%としたとき、好ましくはInが25atomic%以上、Mが75atomic%未満、さらに好ましくはInが34atomic%以上、Mが66atomic%未満とする。また、酸化物半導体層106cがIn−M−Zn酸化物のとき、InおよびMの和を100atomic%としたとき、好ましくはInが50atomic%未満、Mが50atomic%以上、さらに好ましくはInが25atomic%未満、Mが75atomic%以上とする。なお、酸化物半導体層106cは、酸化物半導体層106aと同種の酸化物を用いても構わない。
ここで、酸化物半導体層106aと酸化物半導体層106bとの間には、酸化物半導体層106aと酸化物半導体層106bとの混合領域を有する場合がある。また、酸化物半導体層106bと酸化物半導体層106cとの間には、酸化物半導体層106bと酸化物半導体層106cとの混合領域を有する場合がある。混合領域は、DOSが少なくなる。そのため、酸化物半導体層106a、酸化物半導体層106bおよび酸化物半導体層106cの積層体は、それぞれの界面近傍において、エネルギーが連続的に変化する(連続接合ともいう。)バンド構造となる(図28参照。)。ただし、酸化物半導体層106aの伝導帯下端のエネルギーをEcA、酸化物半導体層106bの伝導帯下端のエネルギーをEcB、酸化物半導体層106cの伝導帯下端のエネルギーをEcCとする。
また酸化物半導体層106bは、エネルギーギャップが大きい酸化物を用いる。酸化物半導体層106bのエネルギーギャップは、例えば、2.5eV以上4.2eV以下、好ましくは2.8eV以上3.8eV以下、さらに好ましくは3eV以上3.5eV以下とする。また、酸化物半導体層106cのエネルギーギャップは、例えば、2.7eV以上4.9eV以下、好ましくは3eV以上4.7eV以下、さらに好ましくは3.2eV以上4.4eV以下とする。
また、酸化物半導体層106aは、エネルギーギャップが大きい酸化物を用いる。例えば、酸化物半導体層106aのエネルギーギャップは、2.7eV以上4.9eV以下、好ましくは3eV以上4.7eV以下、さらに好ましくは3.2eV以上4.4eV以下とする。
また、酸化物半導体層106cは、エネルギーギャップが大きい酸化物を用いる。例えば、酸化物半導体層106cのエネルギーギャップは、2.7eV以上4.9eV以下、好ましくは3eV以上4.7eV以下、さらに好ましくは3.2eV以上4.4eV以下とする。ただし、酸化物半導体層106aおよび酸化物半導体層106cは、酸化物半導体層106bよりもエネルギーギャップが大きい酸化物とする。
酸化物半導体層106bは、酸化物半導体層106aよりも電子親和力の大きい酸化物を用いる。例えば、酸化物半導体層106bとして、酸化物半導体層106aよりも電子親和力の0.07eV以上1.3eV以下、好ましくは0.1eV以上0.7eV以下、さらに好ましくは0.15eV以上0.4eV以下大きい酸化物を用いる。なお、電子親和力は、真空準位と伝導帯下端のエネルギーとの差である。
また、酸化物半導体層106bとして、酸化物半導体層106cよりも電子親和力の大きい酸化物を用いる。例えば、酸化物半導体層106bとして、酸化物半導体層106cよりも電子親和力の0.07eV以上1.3eV以下、好ましくは0.1eV以上0.7eV以下、さらに好ましくは0.15eV以上0.4eV以下大きい酸化物を用いる。
このとき、ゲート電極104に電界を印加すると、酸化物半導体層106a、酸化物半導体層106b、酸化物半導体層106cのうち、電子親和力の大きい酸化物である酸化物半導体層106bにチャネルが形成される。
また、図1乃至図4を用いて説明したように、トランジスタのオン電流向上のためには、酸化物半導体層106cの厚さは小さいほど好ましい。例えば、酸化物半導体層106cは、10nm未満、好ましくは5nm以下、さらに好ましくは3nm以下とする。一方、酸化物半導体層106cは、チャネルの形成される酸化物半導体層106bへ、ゲート絶縁膜112を構成する酸素以外の元素(シリコンなど)が入り込まないようブロックする機能を有する。そのため、酸化物半導体層106cは、ある程度の厚さを有することが好ましい。例えば、酸化物半導体層106cの厚さは、0.3nm以上、好ましくは1nm以上、さらに好ましくは2nm以上とする。
また、先のトランジスタの劣化モデルで示したように、酸化物半導体層106aは厚く、酸化物半導体層106bは薄く、酸化物半導体層106cは薄く設けられることが好ましい。具体的には、酸化物半導体層106aの厚さは、20nm以上、好ましくは30nm以上、さらに好ましくは40nm以上、より好ましくは60nm以上とする。酸化物半導体層106aの厚さを、20nm以上、好ましくは30nm以上、さらに好ましくは40nm以上、より好ましくは60nm以上とすることで、下地絶縁膜102と酸化物半導体層106aとの界面からチャネルの形成される酸化物半導体層106bまでを20nm以上、好ましくは30nm以上、さらに好ましくは40nm以上、より好ましくは60nm以上離すことができる。ただし、半導体装置の生産性が低下する場合があるため、酸化物半導体層106aの厚さは、200nm以下、好ましくは120nm以下、さらに好ましくは80nm以下とする。また、酸化物半導体層106bの厚さは、3nm以上100nm以下、好ましくは3nm以上80nm以下、さらに好ましくは3nm以上50nm以下とする。
例えば、酸化物半導体層106aの厚さは酸化物半導体層106bの厚さより厚く、酸化物半導体層106bの厚さは酸化物半導体層106cの厚さより厚くすればよい。
なお、酸化物半導体層106a、酸化物半導体層106bおよび酸化物半導体層106cの3層からなる多層膜について説明したが、これに限定されない。例えば、酸化物半導体層106bのみとしても構わない。また、例えば、酸化物半導体層106aおよび酸化物半導体層106bの2層からなる多層膜、または酸化物半導体層106bおよび酸化物半導体層106cの2層からなる多層膜としても構わない。また、例えば、酸化物半導体層106aと酸化物半導体層106bとの間に酸化物半導体層を有する4層以上からなる多層膜としても構わない。この場合、酸化物半導体層106aと酸化物半導体層106bとの間にある酸化物半導体層は、例えば、酸化物半導体層106aの電子親和力以上、酸化物半導体層106bの電子親和力以下の電子親和力である酸化物とする。また、例えば、酸化物半導体層106cと酸化物半導体層106bとの間に酸化物半導体層を有する4層以上からなる多層膜としても構わない。この場合、酸化物半導体層106cと酸化物半導体層106bとの間にある酸化物半導体層は、例えば、酸化物半導体層106cの電子親和力以上、酸化物半導体層106bの電子親和力以下の電子親和力である酸化物とする。
なお、酸化物半導体層106a、酸化物半導体層106bおよび酸化物半導体層106cをスパッタリング法で成膜する場合、パーティクル数を増大させないために、インジウムを含むターゲットを用いると好ましい。また、元素Mの原子数比が高い酸化物ターゲットを用いた場合、ターゲットの導電性が低くなる場合がある。元素Mとして、例えば、アルミニウム、ガリウム、イットリウムまたはスズなどがある。インジウムを含むターゲットを用いる場合、ターゲットの導電率を高めることができ、DC放電、AC放電が容易となるため、大面積の基板へ対応しやすくなる。従って、半導体装置の生産性を高めることができる。
酸化物半導体層106aをスパッタリング法で成膜する場合、ターゲットの原子数比は、In:M:Znが1:1:0.5、1:1:1、1:1:2、1:3:1、1:3:2、1:3:4、1:3:6、1:6:2、1:6:4、1:6:6、1:6:8、1:6:10、1:9:2、1:9:4、1:9:6、1:9:8、1:9:10などとすればよい。
酸化物半導体層106bをスパッタリング法で成膜する場合、ターゲットの原子数比は、In:M:Znが3:1:1、3:1:2、3:1:4、1:1:0.5、1:1:1、1:1:2、などとすればよい。
酸化物半導体層106cをスパッタリング法で成膜する場合、ターゲットの原子数比は、In:M:Znが1:1:0.5、1:1:1、1:1:2、1:3:1、1:3:2、1:3:4、1:3:6、1:6:2、1:6:4、1:6:6、1:6:8、1:6:10、1:9:2、1:9:4、1:9:6、1:9:8、1:9:10などとすればよい。
酸化物半導体層106a、酸化物半導体層106bおよび酸化物半導体層106cをスパッタリング法で成膜する場合、ターゲットの原子数比からずれた原子数比の膜が形成される場合がある。特に、亜鉛は、ターゲットの原子数比よりも膜の原子数比が小さくなる場合がある。具体的には、ターゲットに含まれる亜鉛の原子数比の40atomic%以上90atomic%程度以下となる場合がある。
以下では、酸化物中におけるシリコンの影響について説明する。なお、トランジスタの電気特性を安定にするためには、酸化物半導体層106b中の不純物濃度を低減し、高純度真性化することが有効である。なお、酸化物半導体層106bのキャリア密度は、1×1017/cm3未満、1×1015/cm3未満、または1×1013/cm3未満とする。なお、酸化物において、主成分以外(1atomic%未満)の軽元素、半金属元素、金属元素などは不純物となる。例えば、水素、リチウム、炭素、窒素、フッ素、ナトリウム、シリコン、塩素、カリウム、カルシウム、チタン、鉄、ニッケル、銅、ゲルマニウム、ストロンチウム、ジルコニウムおよびハフニウムは酸化物中で不純物となる場合がある。従って、近接する膜中の不純物濃度も低減することが好ましい。
例えば、前述したように、酸化物にシリコンが含まれることでDOSを形成する場合がある。また、酸化物半導体層106bの表層にシリコンがあることでDOSを形成する場合がある。そのため、酸化物半導体層106bと酸化物半導体層106aとの間におけるシリコン濃度を1×1019atoms/cm3未満、好ましくは5×1018atoms/cm3未満、さらに好ましくは2×1018atoms/cm3未満とする。また、酸化物半導体層106bと酸化物半導体層106cとの間におけるシリコン濃度を1×1019atoms/cm3未満、好ましくは5×1018atoms/cm3未満、さらに好ましくは2×1018atoms/cm3未満とする。
また、前述したように、酸化物中で水素は、DOSを形成し、キャリア密度を増大させてしまう場合がある。酸化物半導体層106bの水素濃度は二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)において、2×1020atoms/cm3以下、好ましくは5×1019atoms/cm3以下、より好ましくは1×1019atoms/cm3以下、さらに好ましくは5×1018atoms/cm3以下とする。また、酸化物中で窒素は、DOSを形成し、キャリア密度を増大させてしまう場合がある。酸化物半導体層106bの窒素濃度は、SIMSにおいて、5×1019atoms/cm3未満、好ましくは5×1018atoms/cm3以下、より好ましくは1×1018atoms/cm3以下、さらに好ましくは5×1017atoms/cm3以下とする。
また、酸化物半導体層106bの水素濃度を低減するために、酸化物半導体層106aの水素濃度を低減すると好ましい。酸化物半導体層106aの水素濃度はSIMSにおいて、2×1020atoms/cm3以下、好ましくは5×1019atoms/cm3以下、より好ましくは1×1019atoms/cm3以下、さらに好ましくは5×1018atoms/cm3以下とする。また、酸化物半導体層106bの窒素濃度を低減するために、酸化物半導体層106aの窒素濃度を低減すると好ましい。酸化物半導体層106aの窒素濃度は、SIMSにおいて、5×1019atoms/cm3未満、好ましくは5×1018atoms/cm3以下、より好ましくは1×1018atoms/cm3以下、さらに好ましくは5×1017atoms/cm3以下とする。
また、酸化物半導体層106bの水素濃度を低減するために、酸化物半導体層106cの水素濃度を低減すると好ましい。酸化物半導体層106cの水素濃度はSIMSにおいて、2×1020atoms/cm3以下、好ましくは5×1019atoms/cm3以下、より好ましくは1×1019atoms/cm3以下、さらに好ましくは5×1018atoms/cm3以下とする。また、酸化物半導体層106bの窒素濃度を低減するために、酸化物半導体層106cの窒素濃度を低減すると好ましい。酸化物半導体層106cの窒素濃度は、SIMSにおいて、5×1019atoms/cm3未満、好ましくは5×1018atoms/cm3以下、より好ましくは1×1018atoms/cm3以下、さらに好ましくは5×1017atoms/cm3以下とする。
以下では、酸化物半導体層106bなどに用いることのできる酸化物半導体について説明する。酸化物半導体は、例えば非単結晶を有してもよい。非単結晶は、例えば、CAAC(C Axis Aligned Crystal)、多結晶、微結晶、非晶質部を有する。
酸化物半導体は、例えばCAACを有してもよい。なお、CAACを有する酸化物半導体を、CAAC−OS(C Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)と呼ぶ。
CAAC−OSは、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)による観察像(以下、TEM像という。)で、結晶部を確認することができる場合がある。CAAC−OSに含まれる結晶部は、例えば、TEM像で、一辺100nmの立方体内に収まる大きさであることが多い。また、CAAC−OSは、TEM像で、非晶質部と結晶部との境界、結晶部と結晶部との境界を明確に確認できない場合がある。また、CAAC−OSは、TEM像で、粒界(グレインバウンダリーともいう。)を明確に確認できない場合がある。CAAC−OSは、例えば、明確な粒界を有さないため、不純物が偏析することが少ない。また、CAAC−OSは、例えば、明確な粒界を有さないため、欠陥密度が高く(DOSが多く)なることが少ない。また、CAAC−OSは、例えば、明確な粒界を有さないため、電子移動度の低下が小さい。
CAAC−OSは、例えば、複数の結晶部を有し、当該複数の結晶部においてc軸が被形成面の法線ベクトルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向に揃っている場合がある。また、CAAC−OSは、例えば、X線回折(XRD:X−Ray Diffraction)装置を用い、out−of−plane法による分析を行うと、配向を示す2θが31°近傍のピークが現れる場合がある。また、CAAC−OSは、例えば、電子線回折パターンで、スポット(輝点)が観測される場合がある。なお、特に、ビーム径が10nmφ以下、または5nmφ以下の電子線を用いて得られる電子線回折パターンを、極微電子線回折パターンと呼ぶ。また、CAAC−OSは、例えば、異なる結晶部間で、それぞれa軸およびb軸の向きが揃っていない場合がある。CAAC−OSは、例えば、c軸配向し、a軸または/およびb軸はマクロに揃っていない場合がある。
図29(A)は、CAAC−OSを有する試料の極微電子線回折パターンの一例である。ここでは、試料を、CAAC−OSの被形成面に垂直な方向に切断し、厚さが40nm程度となるように薄片化する。また、ここでは、ビーム径が1nmφの電子線を、試料の切断面に垂直な方向から入射させる。図29(A)より、CAAC−OSの極微電子線回折パターンは、スポットが観測されることがわかる。なお、試料の薄片化は、アルゴンイオンを用いたイオンミリング法によって行った。
CAAC−OSに含まれる結晶部は、例えば、c軸がCAAC−OSの被形成面の法線ベクトルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向になるように揃い、かつab面に垂直な方向から見て金属原子が三角形状または六角形状に配列し、c軸に垂直な方向から見て金属原子が層状または金属原子と酸素原子とが層状に配列している。なお、異なる結晶部間で、それぞれa軸およびb軸の向きが異なっていてもよい。本明細書において、単に垂直と記載する場合、80°以上100°以下、好ましくは85°以上95°以下の範囲も含まれることとする。また、単に平行と記載する場合、−10°以上10°以下、好ましくは−5°以上5°以下の範囲も含まれることとする。
CAAC−OSに含まれる結晶部のc軸は、CAAC−OSの被形成面の法線ベクトルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向になるように揃うため、CAAC−OSの形状(被形成面の断面形状または表面の断面形状)によっては互いに異なる方向を向くことがある。また、結晶部は、成膜したとき、または成膜後に加熱処理などの結晶化処理を行ったときに形成される。従って、結晶部のc軸は、CAAC−OSが形成されたときの被形成面の法線ベクトルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向になるように揃う。
CAAC−OSは、例えば、不純物濃度を低減することで形成することができる場合がある。ここで、不純物は、水素、炭素、シリコン、遷移金属元素などの酸化物半導体の主成分以外の元素である。特に、シリコンなどの元素は、酸化物半導体を構成する金属元素よりも酸素との結合力が強い。従って、当該元素が酸化物半導体から酸素を奪う場合、酸化物半導体の原子配列を乱し、結晶性を低下させることがある。また、鉄やニッケルなどの重金属、アルゴン、二酸化炭素などは、原子半径(または分子半径)が大きいため、酸化物半導体の原子配列を乱し、酸化物半導体の結晶性を低下させることがある。従って、CAAC−OSは、不純物濃度の低い酸化物半導体である。また、酸化物半導体に含まれる不純物は、キャリア発生源となる場合がある。
なお、CAAC−OSにおいて、結晶部の分布が一様でなくてもよい。例えば、CAAC−OSの形成過程において、酸化物半導体の表面側から結晶成長させる場合、被形成面の近傍に対し表面の近傍では結晶部の占める割合が高くなることがある。また、CAAC−OSに不純物が混入することにより、当該不純物混入領域において結晶部が非晶質化または微結晶化することがある。
また、CAAC−OSは、例えば、DOSを低減することで形成することができる。酸化物半導体において、例えば、前述したように、酸素欠損はDOSを形成する。酸素欠損は、正孔トラップとなることや、水素を捕獲することによってキャリア発生源となることがある。CAAC−OSを形成するためには、例えば、酸化物半導体に酸素欠損を生じさせないことが重要となる。従って、CAAC−OSは、DOSの少ない酸化物半導体である。または、CAAC−OSは、酸素欠損の少ない酸化物半導体である。
不純物濃度が低く、DOSの少ない(酸素欠損の少ない)ことを高純度真性または実質的に高純度真性と呼ぶ。高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体は、キャリア発生源が少ないため、キャリア密度を低くすることができる場合がある。従って、当該酸化物半導体をチャネル形成領域に用いたトランジスタは、しきい値電圧がマイナスとなる電気特性(ノーマリーオンともいう。)になることが少ない場合がある。また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体は、DOSが少ないため、電荷トラップも少なくなる場合がある。従って、当該酸化物半導体をチャネル形成領域に用いたトランジスタは、電気特性の変化が小さく、信頼性の高いトランジスタとなる場合がある。なお、酸化物半導体の正孔トラップに捕獲された正孔は、消失するまでに要する時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、正孔トラップの多い酸化物半導体をチャネル形成領域に用いたトランジスタは、電気特性が不安定となる場合がある。
また、高純度真性または実質的に高純度真性であるCAAC−OSを用いたトランジスタは、可視光や紫外光の照射による電気特性の変化が小さい。
CAAC−OSは、例えば、DC電源を用いたスパッタリング法によって形成することができる。
酸化物半導体は、例えば多結晶を有してもよい。なお、多結晶を有する酸化物半導体を、多結晶酸化物半導体と呼ぶ。多結晶酸化物半導体は複数の結晶粒を含む。多結晶酸化物半導体は、例えば、非晶質部を有している場合がある。
多結晶酸化物半導体は、例えば、TEM像で、結晶粒を確認することができる場合がある。多結晶酸化物半導体に含まれる結晶粒は、例えば、TEM像で、2nm以上300nm以下、3nm以上100nm以下または5nm以上50nm以下の粒径であることが多い。また、多結晶酸化物半導体は、例えば、TEM像で、非晶質部と結晶粒との境界、結晶粒と結晶粒との境界を確認できる場合がある。また、多結晶酸化物半導体は、例えば、TEM像で、粒界を確認できる場合がある。
多結晶酸化物半導体は、例えば、複数の結晶粒を有し、当該複数の結晶粒において方位が異なっている場合がある。また、多結晶酸化物半導体は、例えば、XRD装置を用い、out−of−plane法による分析を行うと、単一または複数のピークが現れる場合がある。例えば多結晶のIGZO膜では、配向を示す2θが31°近傍のピーク、または複数種の配向を示す複数のピークが現れる場合がある。また、多結晶酸化物半導体は、例えば、電子線回折パターンで、スポットが観測される場合がある。
多結晶酸化物半導体は、例えば、高い結晶性を有するため、高い電子移動度を有する場合がある。従って、多結晶酸化物半導体をチャネル形成領域に用いたトランジスタは、高い電界効果移動度を有する。ただし、多結晶酸化物半導体は、粒界に不純物が偏析する場合がある。また、多結晶酸化物半導体の粒界は欠陥となる。多結晶酸化物半導体は、粒界がキャリア発生源、電荷トラップとなる場合があるため、多結晶酸化物半導体をチャネル形成領域に用いたトランジスタは、CAAC−OSをチャネル形成領域に用いたトランジスタと比べて、電気特性の変化が大きく、信頼性の低いトランジスタとなる場合がある。
多結晶酸化物半導体は、高温での加熱処理、またはレーザ光処理によって形成することができる。
酸化物半導体は、例えば微結晶を有してもよい。なお、微結晶を有する酸化物半導体を、微結晶酸化物半導体と呼ぶ。
微結晶酸化物半導体は、例えば、TEM像では、明確に結晶部を確認することができない場合がある。微結晶酸化物半導体に含まれる結晶部は、例えば、1nm以上100nm以下、または1nm以上10nm以下の大きさであることが多い。特に、例えば、1nm以上10nm以下の微結晶をナノ結晶(nc:nanocrystal)と呼ぶ。ナノ結晶を有する酸化物半導体を、nc−OS(nanocrystalline Oxide Semiconductor)と呼ぶ。また、nc−OSは、例えば、TEM像では、非晶質部と結晶部との境界、結晶部と結晶部との境界を明確に確認できない場合がある。また、nc−OSは、例えば、TEM像では、明確な粒界を有さないため、不純物が偏析することが少ない。また、nc−OSは、例えば、明確な粒界を有さないため、DOSが多くなることが少ない。また、nc−OSは、例えば、明確な粒界を有さないため、電子移動度の低下が小さい。
nc−OSは、例えば、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する場合がある。また、nc−OSは、例えば、結晶部と結晶部との間で規則性がないため、巨視的には原子配列に周期性が見られない場合、または長距離秩序が見られない場合がある。従って、nc−OSは、例えば、分析方法によっては、非晶質酸化物半導体と区別が付かない場合がある。nc−OSは、例えば、XRD装置を用い、結晶部よりも大きいビーム径のX線でout−of−plane法による分析を行うと、配向を示すピークが検出されない場合がある。また、nc−OSは、例えば、結晶部よりも大きいビーム径(例えば、20nmφ以上、または50nmφ以上)の電子線を用いる電子線回折パターンでは、ハローパターンが観測される場合がある。また、nc−OSは、例えば、結晶部と同じか結晶部より小さいビーム径(例えば、10nmφ以下、または5nmφ以下)の電子線を用いる極微電子線回折パターンでは、スポットが観測される場合がある。また、nc−OSの極微電子線回折パターンは、例えば、円を描くように輝度の高い領域が観測される場合がある。また、nc−OSの極微電子線回折パターンは、例えば、当該領域内に複数のスポットが観測される場合がある。
図29(B)は、nc−OSを有する試料の極微電子線回折パターンの一例である。ここでは、試料を、nc−OSの被形成面に垂直な方向に切断し、厚さが40nm程度となるように薄片化する。また、ここでは、ビーム径が1nmφの電子線を、試料の切断面に垂直な方向から入射させる。図29(B)より、nc−OSの極微電子線回折パターンは、円を描くように輝度の高い領域が観測され、かつ当該領域内に複数のスポットが観測されることがわかる。なお、試料の薄片化は、アルゴンイオンを用いたイオンミリング法によって行った。
また、図29(C1)および図29(C2)は、nc−OSを有する試料の極微電子線回折パターンの一例である。ここでは、試料を、nc−OSの被形成面に垂直な方向に切断し、厚さが5nmから10nm程度となるように薄片化する。また、ここでは、ビーム径が1nmφの電子線を試料の切断面に垂直な方向から入射させることで、観測する位置によって、測定箇所1ではスポット(図29(C1)参照。)が観測され、測定箇所2では円を描くように輝度の高い領域(図29(C2)参照。)が観測された。円を描くように輝度の高い領域が観測される位置では、電子線がペレット状の結晶を透過することで、奥行き方向に存在する別のペレット状の結晶のスポットまで観測しているためである可能性がある。なお、試料の薄片化は、低角度(およそ3°)でアルゴンイオンを入射させるイオンミリング法によって行った。
nc−OSは、微小な領域において原子配列に周期性を有する場合があるため、非晶質酸化物半導体よりもDOSが少なくなる。ただし、nc−OSは、結晶部と結晶部との間で規則性がないため、CAAC−OSと比べてDOSが多くなる。
従って、nc−OSは、CAAC−OSと比べて、キャリア密度が高くなる場合がある。キャリア密度が高い酸化物半導体は、電子移動度が高くなる場合がある。従って、nc−OSをチャネル形成領域に用いたトランジスタは、高い電界効果移動度を有する場合がある。また、nc−OSは、CAAC−OSと比べて、DOSが多いため、電荷トラップも多くなる場合がある。従って、nc−OSをチャネル形成領域に用いたトランジスタは、CAAC−OSをチャネル形成領域に用いたトランジスタと比べて、電気特性の変化が大きく、信頼性の低いトランジスタとなる場合がある。ただし、nc−OSは、比較的不純物が多く含まれていても形成することができるため、CAAC−OSよりも形成が容易となり、用途によっては好適に用いることができる場合がある。例えば、AC電源を用いたスパッタリング法などの成膜方法によってnc−OSを形成してもよい。AC電源を用いたスパッタリング法は、大型基板へ均一性高く成膜することが可能であるため、nc−OSをチャネル形成領域に用いたトランジスタを有する半導体装置は生産性高く作製することができる。
酸化物半導体は、例えば非晶質部を有してもよい。なお、非晶質部を有する酸化物半導体を、非晶質酸化物半導体と呼ぶ。非晶質酸化物半導体は、例えば、原子配列が無秩序であり、結晶部を有さない。または、非晶質酸化物半導体は、例えば、石英のような無定形状態を有し、原子配列に規則性が見られない。
非晶質酸化物半導体は、例えば、TEM像で、結晶部を確認することができない場合がある。
非晶質酸化物半導体は、XRD装置を用い、out−of−plane法による分析を行うと、配向を示すピークが検出されない場合がある。また、非晶質酸化物半導体は、例えば、電子線回折パターンでハローパターンが観測される場合がある。また、非晶質酸化物半導体は、例えば、極微電子線回折パターンでスポットを観測することができず、ハローパターンが観測される場合がある。
非晶質酸化物半導体は、例えば、水素などの不純物を高い濃度で含ませることにより形成することができる場合がある。従って、非晶質酸化物半導体は、例えば、不純物を高い濃度で含む酸化物半導体である。
酸化物半導体に不純物が高い濃度で含まれると、酸化物半導体に酸素欠損などのDOSを形成する場合がある。従って、不純物濃度の高い非晶質酸化物半導体は、DOSが多い。また、非晶質酸化物半導体は、結晶性が低いためCAAC−OSやnc−OSと比べてDOSが多い。
従って、非晶質酸化物半導体は、nc−OSと比べて、さらにキャリア密度が高くなる場合がある。そのため、非晶質酸化物半導体をチャネル形成領域に用いたトランジスタは、ノーマリーオンの電気特性になる場合がある。従って、ノーマリーオンの電気特性が求められるトランジスタに好適に用いることができる場合がある。非晶質酸化物半導体は、DOSが多いため、電荷トラップも多くなる場合がある。従って、非晶質酸化物半導体をチャネル形成領域に用いたトランジスタは、CAAC−OSやnc−OSをチャネル形成領域に用いたトランジスタと比べて、電気特性の変化が大きく、信頼性の低いトランジスタとなる場合がある。ただし、非晶質酸化物半導体は、比較的不純物が多く含まれる成膜方法によっても形成することができるため、形成が容易となり、用途によっては好適に用いることができる場合がある。例えば、スピンコート法、ゾル−ゲル法、浸漬法、スプレー法、スクリーン印刷法、コンタクトプリント法、インクジェット印刷法、ロールコート法、ミストCVD法などの成膜方法によって非晶質酸化物半導体を形成してもよい。従って、非晶質酸化物半導体をチャネル形成領域に用いたトランジスタを有する半導体装置は生産性高く作製することができる。
なお、酸化物半導体が、CAAC−OS、多結晶酸化物半導体、微結晶酸化物半導体、非晶質酸化物半導体の二種以上を有する混合膜であってもよい。混合膜は、例えば、非晶質酸化物半導体の領域、微結晶酸化物半導体の領域、多結晶酸化物半導体の領域、CAAC−OSの領域、のいずれか二種以上の領域を有する場合がある。また、混合膜は、例えば、非晶質酸化物半導体の領域、微結晶酸化物半導体の領域、多結晶酸化物半導体の領域、CAAC−OSの領域、のいずれか二種以上の領域の積層構造を有する場合がある。
酸化物半導体は、例えば、単結晶を有してもよい。なお、単結晶を有する酸化物半導体を、単結晶酸化物半導体と呼ぶ。
単結晶酸化物半導体は、例えば、不純物濃度が低く、DOSが少ない(酸素欠損が少ない)ため、キャリア密度を低くすることができる。従って、単結晶酸化物半導体をチャネル形成領域に用いたトランジスタは、ノーマリーオンの電気特性になることが少ない場合がある。また、単結晶酸化物半導体は、DOSが少ないため、電荷トラップも少なくなる場合がある。従って、単結晶酸化物半導体をチャネル形成領域に用いたトランジスタは、電気特性の変化が小さく、信頼性の高いトランジスタとなる場合がある。
酸化物半導体は、例えば、欠陥が少ないと密度が高くなる。また、酸化物半導体は、例えば、結晶性が高いと密度が高くなる。また、酸化物半導体は、例えば、水素などの不純物濃度が低いと密度が高くなる。例えば、単結晶酸化物半導体は、CAAC−OSよりも密度が高い場合がある。また、例えば、CAAC−OSは、微結晶酸化物半導体よりも密度が高い場合がある。また、例えば、多結晶酸化物半導体は、微結晶酸化物半導体よりも密度が高い場合がある。また、例えば、微結晶酸化物半導体は、非晶質酸化物半導体よりも密度が高い場合がある。
以下では、酸化物半導体層106b中のDOSについて説明する。酸化物半導体層106b中のDOSを低減することで、酸化物半導体層106bを用いたトランジスタに安定した電気特性を付与することができる。酸化物半導体層106bのDOSは、一定光電流測定法(CPM:Constant Photocurrent Method)によって評価可能である。
トランジスタに安定した電気特性を付与するためには、酸化物半導体層106b中のCPM測定で得られるDOSによる吸収係数を、1×10−3cm−1未満、好ましくは3×10−4cm−1未満とすればよい。また、酸化物半導体層106b中のCPM測定で得られるDOSによる吸収係数を、1×10−3cm−1未満、好ましくは3×10−4cm−1未満とすることで、トランジスタの電界効果移動度を高めることができる。なお、酸化物半導体層106b中のCPM測定で得られるDOSによる吸収係数を、1×10−3cm−1未満、好ましくは3×10−4cm−1未満とするためには、酸化物中でDOSを形成する元素である水素、リチウム、炭素、窒素、フッ素、ナトリウム、シリコン、塩素、カリウム、カルシウム、チタン、鉄、ニッケル、銅、ゲルマニウム、ストロンチウム、ジルコニウムおよびハフニウムなどの濃度を、それぞれ2×1019atoms/cm3未満、好ましくは2×1018atoms/cm3未満、さらに好ましくは2×1017atoms/cm3未満とすればよい。
ここで、酸化物半導体層106a、酸化物半導体層106bおよび酸化物半導体層106cの積層を基板上に設けた試料のDOSをCPMによって評価した。
酸化物半導体層106aは、In−Ga−Zn酸化物(In:Ga:Zn=1:3:2[原子数比])であるターゲットを用いて、スパッタリング法にて成膜した。なお、成膜ガスはアルゴンガスを30sccm、および酸素ガスを15sccmとし、圧力は0.4Paとし、基板温度は200℃とし、DC電力は0.5kWとした。
酸化物半導体層106bは、In−Ga−Zn酸化物(In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比])であるターゲットを用いて、スパッタリング法にて成膜した。なお、成膜ガスはアルゴンガスを30sccm、および酸素ガスを15sccmとし、圧力は0.4Paとし、基板温度は200℃とし、DC電力は0.5kWとした。
酸化物半導体層106cは、In−Ga−Zn酸化物(In:Ga:Zn=1:3:2[原子数比])であるターゲットを用いて、スパッタリング法にて成膜した。なお、成膜ガスはアルゴンガスを30sccm、および酸素ガスを15sccmとし、圧力は0.4Paとし、基板温度は200℃とし、DC電力は0.5kWとした。
ここでは、CPM測定の精度を高めるため、酸化物半導体層106aの厚さを30nm、酸化物半導体層106bの厚さを100nm、酸化物半導体層106cの厚さを30nmとした。
CPM測定は、酸化物半導体層106bに接して設けられた第1の電極および第2の電極間に電圧を印加した状態で光電流値が一定となるように端子間の試料面に照射する光量を調整し、照射光量から吸収係数を導出する。ここでは、吸収係数の導出を各波長にて行った。CPM測定では、試料にDOSがあるとき、DOSに応じたエネルギー(波長より換算)における吸収係数が増加する。この吸収係数の増加分に定数を掛けることにより、試料のDOSを導出することができる。
図30に、分光光度計によって測定した吸収係数(点線)と、CPMによって測定した吸収係数(実線)とを酸化物半導体層106bのエネルギーギャップ以上のエネルギー範囲において、フィッティングした結果を示す。なお、CPMによって測定した吸収係数より得られたアーバックエネルギーは78.7meVであった。図30においてCPMによって測定した吸収係数からバックグラウンド(細点線)を差し引き、吸収係数の積分値を導出すると、本試料のDOSによる吸収係数は、2.02×10−4cm−1であることがわかった。
図15に示す下地絶縁膜102は、例えば、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムおよび酸化タンタルを一種以上含む絶縁膜を、単層で、または積層で用いればよい。
下地絶縁膜102は、例えば、1層目を窒化シリコン層とし、2層目を酸化シリコン層とした多層膜とすればよい。この場合、酸化シリコン層は酸化窒化シリコン層でも構わない。また、窒化シリコン層は窒化酸化シリコン層でも構わない。酸化シリコン層は、欠陥密度の小さい酸化シリコン層を用いると好ましい。具体的には、電子スピン共鳴(ESR:Electron Spin Resonance)にてg値が2.001の信号に由来するスピンの密度が3×1017spins/cm3以下、好ましくは5×1016spins/cm3以下である酸化シリコン層を用いる。窒化シリコン層は水素ガスおよびアンモニアガスの放出量が少ない窒化シリコン層を用いる。水素ガス、アンモニアガスの放出量は、昇温脱離ガス分光法(TDS:Thermal Desorption Spectroscopy)分析にて測定すればよい。また、窒化シリコン層は、水素、水および酸素を透過しない、またはほとんど透過しない窒化シリコン層を用いる。
または、下地絶縁膜102は、例えば、1層目を窒化シリコン層とし、2層目を第1の酸化シリコン層とし、3層目を第2の酸化シリコン層とした多層膜とすればよい。この場合、第1の酸化シリコン層または/および第2の酸化シリコン層は酸化窒化シリコン層でも構わない。また、窒化シリコン層は窒化酸化シリコン層でも構わない。第1の酸化シリコン層は、欠陥密度の小さい酸化シリコン層を用いると好ましい。具体的には、ESRにてg値が2.001の信号に由来するスピンの密度が3×1017spins/cm3以下、好ましくは5×1016spins/cm3以下である酸化シリコン層を用いる。第2の酸化シリコン層は、過剰酸素を含む酸化シリコン層を用いる。窒化シリコン層は水素ガスおよびアンモニアガスの放出量が少ない窒化シリコン層を用いる。また、窒化シリコン層は、水素、水および酸素を透過しない、またはほとんど透過しない窒化シリコン層を用いる。
過剰酸素を含む酸化シリコン層とは、加熱処理などによって酸素を放出することができる酸化シリコン層をいう。また、過剰酸素を含む絶縁膜は、加熱処理によって酸素を放出する機能を有する絶縁膜である。
過剰酸素を含む絶縁膜は、酸化物半導体層106b中の酸素欠損を低減することができる。酸化物半導体層106b中で酸素欠損は、DOSを形成し、正孔トラップなどとなる。また、酸素欠損のサイトに水素が入ることによって、キャリアである電子を生成することがある。従って、酸化物半導体層106b中の酸素欠損を低減することで、トランジスタに安定した電気特性を付与することができる。
ここで、加熱処理によって酸素を放出する膜は、TDS分析にて、膜の表面温度が100℃以上700℃以下、または100℃以上500℃以下の範囲で1×1018atoms/cm3以上、1×1019atoms/cm3以上または1×1020atoms/cm3以上の酸素(酸素原子数換算)を放出することもある。
ここで、TDS分析を用いた酸素の放出量の測定方法について、以下に説明する。
測定試料をTDS分析したときの気体の全放出量は、放出ガスのイオン強度の積分値に比例する。そして標準試料との比較により、気体の全放出量を計算することができる。
例えば、標準試料である所定の密度の水素を含むシリコンウェハのTDS分析結果、および測定試料のTDS分析結果から、測定試料の酸素分子の放出量(NO2)は、数式(22)で求めることができる。ここで、TDS分析で得られる質量数32で検出されるガスの全てが酸素分子由来と仮定する。CH3OHの質量数は32であるが、存在する可能性が低いものとしてここでは考慮しない。また、酸素原子の同位体である質量数17の酸素原子および質量数18の酸素原子を含む酸素分子についても、自然界における存在比率が極微量であるため考慮しない。
NH2は、標準試料から脱離した水素分子を密度で換算した値である。SH2は、標準試料をTDS分析したときのイオン強度の積分値である。ここで、標準試料の基準値を、NH2/SH2とする。SO2は、測定試料をTDS分析したときのイオン強度の積分値である。αは、TDS分析におけるイオン強度に影響する係数である。数式(22)の詳細に関しては、特開平6−275697公報を参照する。なお、上記酸素の放出量は、電子科学株式会社製の昇温脱離分析装置EMD−WA1000S/Wを用い、標準試料として1×1016atoms/cm2の水素原子を含むシリコンウェハを用いて測定した。
また、TDS分析において、酸素の一部は酸素原子として検出される。酸素分子と酸素原子の比率は、酸素分子のイオン化率から算出することができる。なお、上述のαは酸素分子のイオン化率を含むため、酸素分子の放出量を評価することで、酸素原子の放出量についても見積もることができる。
なお、NO2は酸素分子の放出量である。酸素原子に換算したときの放出量は、酸素分子の放出量の2倍となる。
または、加熱処理によって酸素を放出する膜は、過酸化ラジカルを含むこともある。具体的には、過酸化ラジカルに起因するスピン密度が、5×1017spins/cm3以上であることをいう。なお、過酸化ラジカルを含む膜は、ESRにて、g値が2.01近傍に非対称の信号を有することもある。
または、過剰酸素を含む絶縁膜は、酸素が過剰な酸化シリコン(SiOX(X>2))であってもよい。酸素が過剰な酸化シリコン(SiOX(X>2))は、シリコン原子数の2倍より多い酸素原子を単位体積当たりに含むものである。単位体積当たりのシリコン原子数および酸素原子数は、ラザフォード後方散乱法(RBS:Rutheford Backscattering Spectrometry)により測定した値である。
ソース電極116aおよびドレイン電極116bは、例えば、アルミニウム、チタン、クロム、コバルト、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウム、銀、タンタルおよびタングステンを一種以上含む導電膜を、単層で、または積層で用いればよい。好ましくは、ソース電極116aおよびドレイン電極116bは、銅を含む層を有する多層膜とする。ソース電極116aおよびドレイン電極116bを銅を含む層を有する多層膜とすることで、ソース電極116aおよびドレイン電極116bと同一層で配線を形成する場合、配線抵抗を低くすることができる。なお、ソース電極116aとドレイン電極116bは同一組成であってもよいし、異なる組成であってもよい。
ところで、ソース電極116aおよびドレイン電極116bとして、銅を含む層を有する多層膜を用いる場合、銅が酸化物半導体層106bに入ることで酸化物半導体層106bのキャリア密度が高くなる場合がある。または、銅が、酸化物半導体層106bにDOSを形成し、電荷トラップとして機能する場合がある。このとき、酸化物半導体層106cが銅をブロックする機能を有する場合、銅が酸化物半導体層106bに入ることによるトランジスタのオフ電流の増加、しきい値電圧の変化を抑制できる。
トランジスタのソース電極116aおよびドレイン電極116b近傍の断面図を図17に示す。ソース電極116aおよびドレイン電極116bは、図17に示すいずれの構造としても構わない。なお、図17では、ソース電極116aおよびドレイン電極116bの形成によって、酸化物半導体層106cの上面がえぐれた場合の形状を示す。
図17(A)は、ソース電極116aおよびドレイン電極116bに段差の設けられた構造である。酸化物半導体層106cの破線で示す領域にn型領域が形成される。n型領域は、酸化物半導体層106c上にソース電極116aおよびドレイン電極116bを形成する際のダメージや、ソース電極116aおよびドレイン電極116bである導電膜の作用によって酸化物半導体層106cに酸素欠損が生じることに起因して形成される。例えば、酸素欠損のサイトに水素が入ることで、キャリアである電子を生成する場合がある。なお、n型領域は、酸化物半導体層106cと酸化物半導体層106bとの境界近傍まで形成されているが、これに限定されるものではない。例えば、n型領域が、酸化物半導体層106cおよび酸化物半導体層106b、または酸化物半導体層106cのみに形成されていてもよい。
図17(B)は、ソース電極116aとして、酸化されにくい導電層116a2と、導電層116a2上に設けられた導電層116a1を、ドレイン電極116bとして、酸化されにくい導電層116b2と、導電層116b2上に設けられた導電層116b1を、それぞれ有する構造である。なお、酸化されにくい導電層は、酸化物半導体層106cを還元する作用の弱い導電層である。ソース電極116aおよびドレイン電極116bが、図17(B)に示す構造となることで、n型領域は酸化物半導体層106cのみに形成される。また、チャネル長方向への酸素欠損の広がりが小さく、チャネル形成領域がn型化しにくい。また、導電層116a1および導電層116b1を有するため、導電層116a2および導電層116b2自体は導電性が低くてもよい。従って、導電層116a2および導電層116b2は、厚さが小さくてよく、微細加工にも有利となる。即ち、図17(B)に示す構造は、チャネル長の小さい微細化されたトランジスタに好適な構造である。
なお、導電層116a1と導電層116a2とが同じ導電層であっても構わない。また、導電層116b1と導電層116b2とが同じ導電層であっても構わない。
図17(C)は、ソース電極116aとして、導電層116a3と、導電層116a3上に設けられた酸化されにくい導電層116a4を、ドレイン電極116bとして、導電層116b3と、導電層116b3上に設けられた酸化されにくい導電層116b4を、それぞれ有する構造である。ソース電極116aおよびドレイン電極116bが、図17(C)に示す構造となることで、酸化物半導体層106cに形成されるn型領域は、一部が酸化物半導体層106cと酸化物半導体層106bとの境界近傍まで形成され、一部が酸化物半導体層106cのみに形成される。また、チャネル長方向への酸素欠損の広がりが小さく、チャネル形成領域がn型化しにくい。また、導電層116a3および導電層116b3の下部においては酸化物半導体層106bまでn型領域が形成されるため、ソース電極116aおよびドレイン電極116b間の抵抗が小さくなり、トランジスタの電界効果移動度を高くすることができる。また、導電層116a3および導電層116b3を有するため、導電層116a4および導電層116b4自体は導電性が低くてもよい。従って、導電層116a4および導電層116b4は、厚さが小さくてよく、微細加工にも有利となる。即ち、図17(C)に示す構造は、チャネル長の小さい微細化されたトランジスタに好適な構造である。
なお、導電層116a3と導電層116a4とが同じ導電層であっても構わない。また、導電層116b3と導電層116b4とが同じ導電層であっても構わない。
図15に示すゲート絶縁膜112は、例えば、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムおよび酸化タンタルを一種以上含む絶縁膜を、単層で、または積層で用いればよい。
ゲート絶縁膜112は、例えば、1層目を窒化シリコン層とし、2層目を酸化シリコン層とした多層膜とすればよい。この場合、酸化シリコン層は酸化窒化シリコン層でも構わない。また、窒化シリコン層は窒化酸化シリコン層でも構わない。酸化シリコン層は、欠陥密度の小さい酸化シリコン層を用いると好ましい。具体的にはESRにてg値が2.001の信号に由来するスピンの密度が3×1017spins/cm3以下、好ましくは5×1016spins/cm3以下である酸化シリコン層を用いる。酸化シリコン層は、過剰酸素を含む酸化シリコン層を用いると好ましい。窒化シリコン層は水素ガスおよびアンモニアガスの放出量が少ない窒化シリコン層を用いる。水素ガス、アンモニアガスの放出量は、TDS分析にて測定すればよい。
ゲート絶縁膜112および下地絶縁膜102の少なくとも一方が過剰酸素を含む絶縁膜を含む場合、酸化物半導体層106bの酸素欠損が低減され、トランジスタに安定した電気特性を付与することができる。
ゲート電極104は、例えば、アルミニウム、チタン、クロム、コバルト、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウム、銀、タンタルおよびタングステンを一種以上含む導電膜を、単層で、または積層で用いればよい。
保護絶縁膜108は、例えば、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムおよび酸化タンタルを一種以上含む絶縁膜を、単層で、または積層で用いればよい。
保護絶縁膜108は、例えば、窒化シリコン層を有する。この場合、窒化シリコン層は窒化酸化シリコン層でも構わない。窒化シリコン層は、水素ガスおよびアンモニアガスの放出量が少ないと好ましい。水素ガス、アンモニアガスの放出量は、TDS分析にて測定すればよい。また、窒化シリコン層は、水素、水および酸素を透過しない、またはほとんど透過しないと好ましい。
保護絶縁膜108は、例えば、酸化アルミニウム層を有する。酸化アルミニウム層は、水素ガスの放出量が少ないと好ましい。水素ガスの放出量は、TDS分析にて測定すればよい。また、酸化アルミニウム層は、水素、水および酸素を透過しない、またはほとんど透過しないと好ましい。
保護絶縁膜118は、例えば、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムおよび酸化タンタルを一種以上含む絶縁膜を、単層で、または積層で用いればよい。保護絶縁膜118を設けることにより、保護絶縁膜108を設けなくて構わない場合がある。
基板100に大きな制限はない。例えば、ガラス基板、セラミック基板、石英基板、サファイア基板などを、基板100として用いてもよい。また、シリコンや炭化シリコンなどの単結晶半導体基板、多結晶半導体基板、シリコンゲルマニウムなどの化合物半導体基板、SOI(Silicon On Insulator)基板などを適用することも可能であり、これらの基板上に半導体素子が設けられたものを、基板100として用いてもよい。
また、基板100として、第5世代(1000mm×1200mmまたは1300mm×1500mm)、第6世代(1500mm×1800mm)、第7世代(1870mm×2200mm)、第8世代(2200mm×2500mm)、第9世代(2400mm×2800mm)、第10世代(2880mm×3130mm)などの大型ガラス基板を用いる場合、半導体装置の作製工程における加熱処理などで生じる基板100の縮みによって、微細な加工が困難になる場合ある。そのため、前述したような大型ガラス基板を基板100として用いる場合、加熱処理による縮みの小さいものを用いることが好ましい。例えば、基板100として、400℃、好ましくは450℃、さらに好ましくは500℃の温度で1時間加熱処理を行った後の縮み量が10ppm以下、好ましくは5ppm以下、さらに好ましくは3ppm以下である大型ガラス基板を用いればよい。
また、基板100として、可とう性基板を用いてもよい。なお、可とう性基板上にトランジスタを設ける方法としては、非可とう性の基板上にトランジスタを作製した後、トランジスタを剥離し、可とう性基板である基板100に転置する方法もある。その場合には、非可とう性基板とトランジスタとの間に剥離層を設けるとよい。
<トランジスタ構造(1)の作製方法>
以下では、トランジスタ構造(1)の作製方法の一例について説明する。
図18および図19は、図15(B)に対応する断面図である。
まず、基板100を準備する。
次に、下地絶縁膜102を形成する。下地絶縁膜102は、スパッタリング法、化学気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)法、分子線エピタキシー(MBE:Molecular Beam Epitaxy)法、原子層堆積(ALD:Atomic Layer Deposition)法またはパルスレーザ堆積(PLD:Pulsed Laser Deposition)法を用いて形成すればよい。
または、基板100としてシリコンウェハを用いた場合、下地絶縁膜102は、熱酸化法によって形成してもよい。
次に、下地絶縁膜102の表面を平坦化するために、化学的機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)処理を行ってもよい。CMP処理を行うことで、下地絶縁膜102の平均面粗さ(Ra)を1nm以下、好ましくは0.3nm以下、さらに好ましくは0.1nm以下とする。上述の数値以下のRaとすることで、酸化物半導体層106bの結晶性が高くなる場合がある。なお、Raは、JIS B 0601:2001(ISO4287:1997)で定義されている算術平均粗さを曲面に対して適用できるよう三次元に拡張したものであり、「基準面から指定面までの偏差の絶対値を平均した値」で表現でき、数式(23)にて定義される。
ここで、指定面とは、粗さ計測の対象となる面であり、座標(x1,y1,f(x1,y1)),(x1,y2,f(x1,y2)),(x2,y1,f(x2,y1)),(x2,y2,f(x2,y2))の4点で表される四角形の領域とし、指定面をxy平面に投影した長方形の面積をS0、基準面の高さ(指定面の平均の高さ)をZ0とする。Raは原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)にて測定可能である。
次に、下地絶縁膜102に酸素イオンを添加することにより、過剰酸素を含む絶縁膜を形成しても構わない。酸素イオンの添加は、例えば、イオン注入法により、加速電圧を2kV以上100kV以下とし、ドーズ量を5×1014ions/cm2以上5×1016ions/cm2以下とすればよい。
次に、酸化物半導体層136a、酸化物半導体層136bおよび酸化物半導体層136cを、この順番で形成する(図18(A)参照。)。酸化物半導体層136a、酸化物半導体層136bおよび酸化物半導体層136cは、それぞれ酸化物半導体層106a、酸化物半導体層106bおよび酸化物半導体層106cとして示した酸化物から選択して形成すればよい。酸化物半導体層136bおよび酸化物半導体層136cは、スパッタリング法、CVD法、MBE法、ALD法またはPLD法を用いて形成すればよい。
酸化物半導体層136cを形成した後で、第1の加熱処理を行うと好ましい。第1の加熱処理は、250℃以上650℃以下、好ましくは300℃以上500℃以下で行えばよい。第1の加熱処理の雰囲気は、不活性ガス雰囲気、または酸化性ガスを10ppm以上、1%以上もしくは10%以上含む雰囲気で行う。第1の加熱処理は減圧状態で行ってもよい。または、第1の加熱処理の雰囲気は、不活性ガス雰囲気で加熱処理した後に、脱離した酸素を補うために酸化性ガスを10ppm以上、1%以上または10%以上含む雰囲気で加熱処理を行ってもよい。第1の加熱処理によって、酸化物半導体層136bの結晶性を高め、さらに酸化物半導体層136bから水素や水などの不純物を除去することができる。また、第1の加熱処理によって、酸化物半導体層106bのDOSが低減され、高純度真性化できる。なお、DOSが低減されるモデルについては、高純度真性化についての記載を参照する。
次に、酸化物半導体層136a、酸化物半導体層136bおよび酸化物半導体層136cの一部をエッチングし、島状の酸化物半導体層106a、酸化物半導体層106bおよび酸化物半導体層106cを形成する(図18(B)参照。)。
次に、導電膜116を形成する。導電膜116は、ソース電極116aおよびドレイン電極116bとして示した導電膜から選択して形成すればよい。導電膜116は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、ALD法またはPLD法を用いて形成すればよい。このとき、酸化物半導体層106a、酸化物半導体層106bおよび酸化物半導体層106cの破線で示す領域にn型領域が形成される場合がある(図18(C)参照。)。n型領域は、酸化物半導体層106c上に導電膜116を形成する際のダメージや、導電膜116の作用によって酸化物半導体層106cに酸素欠損が生じることに起因して形成される。例えば、酸素欠損のサイトに水素が入ることで、キャリアである電子を生成する場合がある。なお、n型領域は、酸化物半導体層106cと酸化物半導体層106bとの境界近傍まで形成されているが、これに限定されるものではない。例えば、n型領域が、酸化物半導体層106cおよび酸化物半導体層106b、または酸化物半導体層106cのみに形成されていてもよい。
次に、導電膜116の一部をエッチングし、ソース電極116aおよびドレイン電極116bを形成する(図18(D)参照。)。
次に、第2の加熱処理を行うと好ましい。第2の加熱処理は、第1の加熱処理で示した条件から選択して行えばよい。第2の加熱処理を行うことで、酸化物半導体層106cの露出したn型領域をi型領域にすることができる場合がある(図19(A)参照。)。そのため、酸化物半導体層106cにおいて、ソース電極116aおよびドレイン電極116bの直下の領域のみにn型領域を設けることができる。n型領域を有することで、酸化物半導体層106cとソース電極116aおよびドレイン電極116bとの間の接触抵抗を低減できるため、トランジスタのオン電流を高くすることができる。また、第2の加熱処理を行うことで、第1の加熱処理を行わなくてもよい場合がある。
次に、ゲート絶縁膜112を形成する(図19(B)参照。)。ゲート絶縁膜112は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、ALD法またはPLD法を用いて形成すればよい。
次に、ゲート電極104となる導電膜を形成する。ゲート電極104となる導電膜は、ゲート電極104として示した導電膜から選択して形成すればよい。ゲート電極104となる導電膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、ALD法またはPLD法を用いて形成すればよい。
次に、ゲート電極104となる導電膜の一部をエッチングし、ゲート電極104を形成する(図19(C)参照。)。
次に、保護絶縁膜108を形成する。保護絶縁膜108は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、ALD法またはPLD法を用いて形成すればよい。
次に、保護絶縁膜118を形成する(図19(D)参照。)。保護絶縁膜118は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、ALD法またはPLD法を用いて形成すればよい。
次に、第3の加熱処理を行うと好ましい。第3の加熱処理は、第1の加熱処理で示した条件から選択して行うか、第1の加熱処理および第2の加熱処理よりも低温で行えばよい。
以上のようにして、図15に示したトランジスタを作製することができる。
<製造装置について>
酸化物半導体層106bに含まれる不純物濃度が低く、欠陥密度が低いことによって(即ち、高純度真性であることによって)、トランジスタの電気特性は安定となる。また、酸化物半導体層106bが高い結晶性を有することで、酸化物半導体層106bが非晶質である場合と比べて、トランジスタの電気特性は安定となる。以下では、不純物濃度が低く、結晶性の高い酸化物半導体層106bを成膜するための成膜装置について説明する。なお、以下で説明する成膜装置は、トランジスタの他の構成を成膜する際に用いてもよい。以下で説明する成膜装置を用いることで、他の構成においても不純物濃度を低減することができる。
まずは、成膜時に不純物の入り込みが少ない成膜装置の構成について図31を用いて説明する。
図31(A)は、マルチチャンバーの成膜装置の上面図である。該成膜装置は、基板を収容するカセットポート74を3つ有する大気側基板供給室71と、ロードロック室72aおよびアンロードロック室72bと、搬送室73と、搬送室73aと、搬送室73bと、基板加熱室75と、成膜室70aと、成膜室70bと、を有する。大気側基板供給室71は、ロードロック室72aおよびアンロードロック室72bと接続する。ロードロック室72aおよびアンロードロック室72bは、搬送室73aおよび搬送室73bを介して搬送室73と接続する。基板加熱室75、成膜室70aおよび成膜室70bは、搬送室73とのみ接続する。なお、各室の接続部にはゲートバルブ(GV)が設けられており、大気側基板供給室71を除き、各室を独立して真空状態に保持することができる。また、大気側基板供給室71および搬送室73は、一以上の基板搬送ロボット76を有し、基板を搬送することができる。ここで、基板加熱室75は、プラズマ処理室を兼ねると好ましい。マルチチャンバーの成膜装置は、処理と処理の間で基板を大気暴露することなく搬送可能なため、基板に不純物が吸着することを抑制できる。また、成膜や熱処理などの順番を自由に構築することができる。なお、搬送室、成膜室、ロードロック室、アンロードロック室および基板加熱室の数は、上述の数に限定されるわけではなく、設置スペースやプロセスに併せて適宜決めればよい。
図31(B)は、図31(A)と構成の異なるマルチチャンバーの成膜装置の上面図である。該成膜装置は、カセットポート84を有する大気側基板供給室81と、ロード/アンロードロック室82と、搬送室83と、基板加熱室85と、基板搬送ロボット86と、成膜室80aと、成膜室80bと、成膜室80cと、成膜室80dと、を有する。大気側基板供給室81、基板加熱室85、成膜室80a、成膜室80b、成膜室80cおよび成膜室80dは、搬送室83を介してそれぞれ接続される。
ここで、図32(A)を用いて図31(B)に示す成膜室(スパッタ室)の一例について説明する。例えば、成膜室80bは、ターゲット87と、防着板88と、基板ステージ90と、を有する。なお、ここでは基板ステージ90には、ガラス基板89が設置されている。基板ステージ90は、図示しないが、ガラス基板89を保持する基板保持機構や、ガラス基板89を裏面から加熱する裏面ヒーターなどを備えていても良い。また、防着板88によって、ターゲット87からスパッタされる粒子が不要な領域に堆積することを抑制できる。
また、図32(A)に示す成膜室80bは、マスフローコントローラ97を介して精製機94と接続される。なお、精製機94およびマスフローコントローラ97は、ガス種の数だけ設けられるが、簡単のため一つのみを示す。成膜室80bなどに用いるガスは、露点が−80℃以下、好ましくは−100℃以下、さらに好ましくは−120℃以下であるガスを用いる。露点の低い酸素ガス、希ガス(アルゴンガスなど)などを用いることで、成膜時に混入する水分を低減することができる。
なお、真空ポンプ96は、例えば、ドライポンプおよびメカニカルブースターポンプが直列に接続されたものとすればよい。このような構成とすることで、成膜室80bおよび搬送室83は、大気圧から低真空(0.1Paから10Pa程度)までは真空ポンプ96を用いて排気し、バルブを切り替えて低真空から高真空(1×10−7Paから1×10−4Pa)まではクライオポンプ95aまたはクライオポンプ95bを用いて排気される。
また、図32(B)を用いて図31(B)に示す成膜室の他の一例について説明する。
図32(B)に示す成膜室80bはゲートバルブを介して、搬送室83と接続しており、搬送室83はゲートバルブを介してロード/アンロードロック室82と接続されている。
図32(B)に示す成膜室80bは、ガス加熱機構98を介してマスフローコントローラ97と接続され、ガス加熱機構98はマスフローコントローラ97を介して精製機94と接続される。ガス加熱機構98により、成膜室80bに用いるガスを40℃以上400℃以下、または50℃以上200℃以下に加熱することができる。なお、ガス加熱機構98、精製機94およびマスフローコントローラ97は、ガス種の数だけ設けられるが、簡単のため一つのみを示す。
図32(B)に示す成膜室80bは、バルブを介してターボ分子ポンプ95cおよび真空ポンプ96bと接続される。なお、ターボ分子ポンプ95cは、補助ポンプとしてバルブを介して真空ポンプ96aが設けられる。真空ポンプ96aおよび真空ポンプ96bは真空ポンプ96と同様の構成とすればよい。また、図32(B)に示す成膜室80bは、クライオトラップ99が設けられる。
ターボ分子ポンプ95cは大きいサイズの分子(原子)を安定して排気し、かつメンテナンスの頻度が低いため、生産性に優れる一方、水素や水の排気能力が低いことが知られる。そこで、水などの比較的融点の高い分子(原子)に対する排気能力が高い、クライオトラップ99が成膜室80bに接続された構成としている。クライオトラップ99の冷凍機の温度は100K以下、好ましくは80K以下とする。また、クライオトラップ99が複数の冷凍機を有する場合、冷凍機ごとに温度を変えると、効率的に排気することが可能となるため好ましい。例えば、1段目の冷凍機の温度を100K以下とし、2段目の冷凍機の温度を20K以下とすればよい。
また、図32(B)に示す搬送室83は、真空ポンプ96b、クライオポンプ95dおよびクライオポンプ95eとそれぞれバルブを介して接続される。クライオポンプが1台の場合、クライオポンプをリジェネしている間は排気することができないが、クライオポンプを2台以上並列に接続することで、1台がリジェネ中であっても残りのクライオポンプを使って排気することが可能となる。なお、クライオポンプのリジェネとは、クライオポンプ内にため込まれた分子(原子)を放出する処理をいう。クライオポンプは、分子(原子)をため込みすぎると排気能力が低下してくるため、定期的にリジェネを行う。
また、図32(B)に示すロード/アンロードロック室82は、クライオポンプ95fおよび真空ポンプ96cとそれぞれバルブを介して接続される。なお、真空ポンプ96cは真空ポンプ96と同様の構成とすればよい。
成膜室80bに、ターゲット対向式スパッタ装置を適用してもよい。なお、成膜室80bに、平行平板型スパッタ装置、イオンビームスパッタ装置を適用しても構わない。
次に、図33を用いて図31(B)に示す基板加熱室の一例の排気について説明する。
図33に示す基板加熱室85はゲートバルブを介して、搬送室83と接続している。なお、搬送室83はゲートバルブを介してロード/アンロードロック室82と接続されている。
図33に示す基板加熱室85は、マスフローコントローラ97を介して精製機94と接続される。なお、精製機94およびマスフローコントローラ97は、ガス種の数だけ設けられるが、簡単のため一つのみを示す。また、基板加熱室85は、バルブを介して真空ポンプ96bと接続される。
また、基板加熱室85は、基板ステージ92を有する。基板ステージ92は、少なくとも1枚の基板が設置できればよく、複数の基板を設置可能な基板ステージとしても構わない。また、基板加熱室85は、加熱機構93を有する。加熱機構93は、例えば、抵抗発熱体などを用いて加熱する加熱機構としてもよい。または、加熱されたガスなどの媒体からの熱伝導または熱輻射によって、加熱する加熱機構としてもよい。例えば、GRTA(Gas Rapid Thermal Anneal)、LRTA(Lamp Rapid Thermal Anneal)などのRTA(Rapid Thermal Anneal)を用いることができる。LRTAは、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、高圧ナトリウムランプ、高圧水銀ランプなどのランプから発する光(電磁波)の輻射により、被処理物を加熱する。GRTAは、高温のガスを用いて熱処理を行う。ガスとしては、不活性ガスが用いられる。RTAを用いることにより、短時間の加熱処理が可能となるため、加熱処理によって基板の反り量を低減することができる。特に、大型ガラス基板は、僅かな反り量であっても半導体装置の歩留まりを低下させることがある。従って、基板が反るような高温での加熱処理には、RTAを用いることが好ましい。
なお、成膜室80bおよび基板加熱室85の背圧は、1×10−4Pa以下、好ましくは3×10−5Pa以下、さらに好ましくは1×10−5Pa以下である。また、成膜室80bおよび基板加熱室85は、m/zが18である気体分子(原子)の分圧が3×10−5Pa以下、好ましくは1×10−5Pa以下、さらに好ましくは3×10−6Pa以下である。また、成膜室80bおよび基板加熱室85は、m/zが28である気体分子(原子)の分圧が3×10−5Pa以下、好ましくは1×10−5Pa以下、さらに好ましくは3×10−6Pa以下である。また、成膜室80bおよび基板加熱室85は、m/zが44である気体分子(原子)の分圧が3×10−5Pa以下、好ましくは1×10−5Pa以下、さらに好ましくは3×10−6Pa以下である。
なお、成膜室80bおよび基板加熱室85は、リークレートが3×10−6Pa・m3/s以下、好ましくは1×10−6Pa・m3/s以下である。また、成膜室80bおよび基板加熱室85は、m/zが18である気体分子(原子)のリークレートが1×10−7Pa・m3/s以下、好ましくは3×10−8Pa・m3/s以下である。また、成膜室80bおよび基板加熱室85は、m/zが28である気体分子(原子)のリークレートが1×10−5Pa・m3/s以下、好ましくは1×10−6Pa・m3/s以下である。また、成膜室80bおよび基板加熱室85は、m/zが44である気体分子(原子)のリークレートが3×10−6Pa・m3/s以下、好ましくは1×10−6Pa・m3/s以下である。
なお、成膜室、基板加熱室、搬送室などの真空室内の全圧および分圧は、質量分析計を用いて測定することができる。例えば、株式会社アルバック製四重極形質量分析計(Q−massともいう。)Qulee CGM−051を用いればよい。なお、リークレートに関しては、前述の質量分析計を用いて測定した全圧および分圧から導出すればよい。リークレートは、外部リークおよび内部リークに依存する。外部リークは、微小な穴やシール不良などによって真空系外から気体が流入することである。内部リークは、真空系内のバルブなどの仕切りからの漏れや内部の部材からの放出ガスに起因する。リークレートを上述の数値以下とするために、外部リークおよび内部リークの両面から対策をとる必要がある。
成膜室に存在する吸着物は、内壁などに吸着しているために成膜室の圧力に影響しないが、成膜室を排気した際のガス放出の原因となる。そのため、排気能力の高いポンプを用いて、成膜室に存在する吸着物をできる限り脱離することは重要である。なお、吸着物の脱離を促すために、成膜室をベーキングしてもよい。
または、加熱した希ガスなどの不活性ガスまたは酸素などを流すことで成膜室内の圧力を高め、一定時間経過後に再び成膜室を排気する処理を行うと好ましい。加熱したガスを流すことで成膜室内の吸着物を脱離させることができ、成膜室内に存在する不純物を低減することができる。
また、ダミー成膜を行うことでも吸着物の脱離速度をさらに高めることができる。ダミー成膜とは、ダミー基板に対してスパッタリング法などによる成膜を行うことで、ダミー基板および成膜室内壁に膜を堆積させ、成膜室内の不純物および成膜室内壁の吸着物を膜中に閉じこめることをいう。ダミー基板は、放出ガスの少ない基板が好ましく、例えば後述する基板100と同様の基板を用いてもよい。ダミー成膜を行うことで、後に成膜される膜中の不純物濃度を低減することができる。なお、ダミー成膜はベーキングと同時に行ってもよい。
以上の成膜装置を用いて、酸化物半導体層106bを成膜することで、酸化物半導体層106bへの不純物の入り込みを抑制できる。さらには、以上の成膜装置を用いて、酸化物半導体層106bに接する膜を成膜することで、酸化物半導体層106bに接する膜から酸化物半導体層106bへ不純物の入り込みを抑制できる。
次に、上述した成膜装置を用いて、酸化物半導体層106a、酸化物半導体層106bおよび酸化物半導体層106cを連続して成膜する方法について説明する。
まず、酸化物半導体層106aを成膜する。酸化物半導体層106aは、成膜時の加熱温度が高いほど、不純物濃度が低くなる。例えば、成膜時の基板温度は、150℃以上500℃以下、好ましくは170℃以上450℃以下とする。酸化物半導体層106aは、基板を成膜室に搬送した後、成膜ガスを流し、圧力を安定させるために10秒以上1000秒以下、好ましくは15秒以上720秒以下保持してから成膜する。圧力を安定させるために上述の時間保持することで、酸化物半導体層106aを成膜する際の不純物の混入量を低減できる。
次に、成膜室を移動し、酸化物半導体層106bを成膜する。酸化物半導体層106bは、成膜時の加熱温度が高いほど、不純物濃度が低くなる。例えば、成膜時の基板温度は、150℃以上500℃以下、好ましくは170℃以上450℃以下とする。酸化物半導体層106bは、基板を成膜室に搬送した後、成膜ガスを流し、圧力を安定させるために10秒以上1000秒以下、好ましくは15秒以上720秒以下保持してから成膜する。圧力を安定させるために上述の時間保持することで、酸化物半導体層106bを成膜する際の不純物の混入量を低減できる。
次に、成膜室を移動し、酸化物半導体層106cを成膜する。酸化物半導体層106cは、成膜時の加熱温度が高いほど、不純物濃度が低くなる。例えば、成膜時の基板温度は、150℃以上500℃以下、好ましくは170℃以上450℃以下とする。酸化物半導体層106cは、基板を成膜室に搬送した後、成膜ガスを流し、圧力を安定させるために10秒以上1000秒以下、好ましくは15秒以上720秒以下保持してから成膜する。圧力を安定させるために上述の時間保持することで、酸化物半導体層106cを成膜する際の不純物の混入量を低減できる。
酸化物半導体層106a、酸化物半導体層106bおよび酸化物半導体層106cを複数の基板に対して成膜する場合、成膜していない期間においても希ガスまたは酸素ガスなどを微量流し続けることが好ましい。こうすることで、成膜室の圧力を高く保てるため、真空ポンプなどから不純物が逆流することを抑制できる。また、配管、その他の部材などから不純物が放出することを抑制できる。従って、酸化物半導体層106a、酸化物半導体層106bおよび酸化物半導体層106cへの不純物の混入を低減することができる。例えば、アルゴンを1sccm以上500sccm以下、好ましくは2sccm以上200sccm以下、さらに好ましくは5sccm以上100sccm以下流せばよい。
次に、加熱処理を行う。加熱処理は、不活性雰囲気または酸化性雰囲気で行う。加熱処理は、減圧状態で行っても構わない。加熱処理により、酸化物半導体層106a、酸化物半導体層106bおよび酸化物半導体層106cの不純物濃度を低減することができる。
加熱処理は、不活性雰囲気で加熱処理を行った後、温度を保持しつつ酸化性雰囲気に切り替えてさらに加熱処理を行うと好ましい。これは、不活性雰囲気にて加熱処理を行うと、酸化物半導体層106a、酸化物半導体層106bおよび酸化物半導体層106cの不純物濃度を低減することができるが、同時に酸素欠損も生じてしまうことがあるためであり、このとき生じた酸素欠損を、酸化性雰囲気での加熱処理により低減することができる。
こうして得られた酸化物半導体層106a、酸化物半導体層106bおよび酸化物半導体層106cは、水素濃度が、SIMSにおいて、2×1020atoms/cm3以下、好ましくは5×1019atoms/cm3以下、より好ましくは1×1019atoms/cm3以下、さらに好ましくは5×1018atoms/cm3以下となる。
また、酸化物半導体層106a、酸化物半導体層106bおよび酸化物半導体層106cは、それぞれ炭素濃度が、SIMSにおいて、5×1019atoms/cm3未満、好ましくは5×1018atoms/cm3以下、より好ましくは2×1018atoms/cm3以下、さらに好ましくは5×1017atoms/cm3以下となる。
以上のようにして、酸化物半導体層106a、酸化物半導体層106bおよび酸化物半導体層106cを成膜することで、酸化物半導体層106bの結晶性を高くでき、かつ酸化物半導体層106a、酸化物半導体層106b、酸化物半導体層106c、酸化物半導体層106aと酸化物半導体層106bとの界面、および酸化物半導体層106bと酸化物半導体層106cとの界面における不純物濃度を低減することができる。
<トランジスタ構造(2)>
次に、トランジスタ構造(1)とは異なるトップゲートトップコンタクト型のトランジスタの一例について説明する。
図20は、トランジスタの上面図および断面図である。図20(A)は、トランジスタの上面図を示す。図20(A)において、一点鎖線B1−B2に対応する断面図を図20(B)に示す。また、図20(A)において、一点鎖線B3−B4に対応する断面図を図20(C)に示す。
図20(B)に示すトランジスタは、基板200上の下地絶縁膜202と、下地絶縁膜202上の酸化物半導体層206aと、酸化物半導体層206a上の酸化物半導体層206bと、酸化物半導体層206bと接するソース電極216aおよびドレイン電極216bと、酸化物半導体層206b上、ソース電極216a上およびドレイン電極216b上の酸化物半導体層206cと、酸化物半導体層206c上のゲート絶縁膜212と、ゲート絶縁膜212上のゲート電極204と、を有する。なお、好ましくは、ゲート絶縁膜212およびゲート電極204上に、保護絶縁膜218と、保護絶縁膜218上の保護絶縁膜208と、を設ける。なお、トランジスタは、下地絶縁膜202を有さなくても構わない。
なお、図20(B)に示すトランジスタにおいて、保護絶縁膜208と保護絶縁膜218との積層順を入れ替えた構造であっても構わない(図21参照。)。図21に示すトランジスタは、図20に示すトランジスタよりも下地絶縁膜202から放出される過剰酸素の外方拡散が起こりにくい場合がある。従って、図20に示すトランジスタよりも、酸化物半導体層206a、酸化物半導体層206bおよび酸化物半導体層206cの酸素欠損を低減できる(DOSを低減できる)可能性がある。
図20に示すトランジスタの酸化物半導体層206aは、例えば、図1に示す酸化物半導体層(S1)に対応する。また、図20に示すトランジスタの酸化物半導体層206bは、例えば、図1に示す酸化物半導体層(S2)に対応する。また、図20に示すトランジスタの酸化物半導体層206cは、例えば、図1に示す酸化物半導体層(S3)に対応する。
なお、図20に示すトランジスタの下地絶縁膜202は、例えば、図5(A)に示すトランジスタのゲート絶縁膜(bg)に相当する。また、図20に示すトランジスタは、例えば、図5(A)に示すトランジスタのゲート電極(bg)を有してもよい。図20に示すトランジスタは、例えば、ゲート電極204に対向して、下地絶縁膜202の下面と接するバックゲート電極を有してもよい。また、図20に示すトランジスタにおいて、基板200が導電性を有する場合、例えば、基板200が図5(A)に示すトランジスタのゲート絶縁膜(bg)に相当してもよい。また、図20に示すトランジスタにおいて、下地絶縁膜202より下に配線などの導電膜を有する場合、例えば、当該導電膜が図5(A)に示すトランジスタのゲート絶縁膜(bg)に相当してもよい。
なお、図20には、ゲート電極204、ゲート絶縁膜212および酸化物半導体層206cが、概略同一の上面形状(上面図から見た形状)を有する例について示すが、これに限定されるものではない。例えば、酸化物半導体層206cまたは/およびゲート絶縁膜212が、ゲート電極204の外側まで設けられていても構わない。
なお、ソース電極216aおよびドレイン電極216bに用いる導電膜の種類によっては、酸化物半導体層206bの一部から酸素を奪い、または混合層を形成し、酸化物半導体層206b中にn型領域を形成することがある。
なお、酸化物半導体層206bは、図20(A)に示すように、上面図においてゲート電極204の外側まで設けられる。ただし、酸化物半導体層206bがゲート電極204の内側に設けられても構わない。こうすることで、ゲート電極204側から光が入射した際に、酸化物半導体層206b中で光によってキャリアが生成されることを抑制することができる。即ち、ゲート電極204は遮光膜としての機能を有する。
なお、保護絶縁膜218と保護絶縁膜208との、上下関係を入れ替えても構わない。例えば、保護絶縁膜208上に保護絶縁膜218が設けられていても構わない。
酸化物半導体層206a、酸化物半導体層206bおよび酸化物半導体層206cは、それぞれ酸化物半導体層106a、酸化物半導体層106bおよび酸化物半導体層106cについての記載を参照する。また、下地絶縁膜202は、下地絶縁膜102の記載を参照する。また、ソース電極216aおよびドレイン電極216bは、ソース電極116aおよびドレイン電極116bの記載を参照する。ゲート絶縁膜212は、ゲート絶縁膜112の記載を参照する。ゲート電極204は、ゲート電極104の記載を参照する。保護絶縁膜218は、保護絶縁膜118の記載を参照する。保護絶縁膜208は、保護絶縁膜108の記載を参照する。基板200は、基板100の記載を参照する。
<トランジスタ構造(2)の作製方法>
以下では、トランジスタ構造(2)の作製方法の一例について説明する。
図22および図23は、図20(B)に対応する断面図である。
まず、基板200を準備する。
次に、下地絶縁膜202を形成する。下地絶縁膜202の形成方法は、下地絶縁膜102の記載を参照する。
次に、酸化物半導体層236aおよび酸化物半導体層236bを、この順番で形成する(図22(A)参照。)。酸化物半導体層236aおよび酸化物半導体層236bの形成方法は、それぞれ酸化物半導体層136aおよび酸化物半導体層136bの記載を参照する。
次に、第1の加熱処理を行うと好ましい。第1の加熱処理は、トランジスタ構造(1)の作製方法の記載を参照する。
次に、酸化物半導体層236aおよび酸化物半導体層236bの一部をエッチングし、島状の酸化物半導体層206aおよび酸化物半導体層206bを形成する(図22(B)参照。)。
次に、導電膜216を形成する(図22(C)参照。)。導電膜216の形成方法は、導電膜116の記載を参照する。
次に、導電膜216の一部をエッチングし、ソース電極216aおよびドレイン電極216bを形成する。
次に、第2の加熱処理を行うと好ましい。第2の加熱処理は、トランジスタ構造(1)の作製方法の記載を参照する。第2の加熱処理を行うことで、酸化物半導体層206bの露出したn型領域をi型領域にすることができる場合がある(図22(D)参照。)。
次に、酸化物半導体層236cを形成する(図23(A)参照。)。酸化物半導体層236cの形成方法は、酸化物半導体層136cの記載を参照する。
次に、絶縁膜242を形成する。絶縁膜242の形成方法は、ゲート絶縁膜112の記載を参照する。
絶縁膜242は、例えば、プラズマを用いたCVD法により形成すればよい。CVD法では、基板温度を高くするほど、緻密で欠陥密度の低い絶縁膜が得られる。絶縁膜242は、加工後にゲート絶縁膜212として機能するため、緻密で欠陥密度が低いほどトランジスタの電気特性は安定となる。一方、下地絶縁膜202が過剰酸素を含むとき、トランジスタの電気特性は安定となる。ところが、下地絶縁膜202が露出した状態で基板温度を高くすると、下地絶縁膜202から酸素が放出し、過剰酸素が低減してしまう場合がある。ここでは、絶縁膜242の形成時に、下地絶縁膜202が酸化物半導体層236cで覆われているため、下地絶縁膜202からの酸素放出を抑制することができる。そのため、下地絶縁膜202に含まれる過剰酸素を低減させることなく、絶縁膜242を緻密で欠陥密度の低い絶縁膜とすることができる。そのため、トランジスタの信頼性を高めることができる。
次に、導電膜234を形成する(図23(B)参照。)。導電膜234の形成方法は、ゲート電極104となる導電膜の記載を参照する。
次に、酸化物半導体層236c、絶縁膜242および導電膜234の一部をエッチングし、それぞれ酸化物半導体層206c、ゲート絶縁膜212およびゲート電極204とする(図23(C)参照。)。
次に、保護絶縁膜218を形成する。保護絶縁膜218の形成方法は、保護絶縁膜118の記載を参照する。
次に、保護絶縁膜208を形成する(図23(D)参照。)。保護絶縁膜208の形成方法は、保護絶縁膜108の記載を参照する。
次に、第3の加熱処理を行うと好ましい。第3の加熱処理は、トランジスタ構造(1)の作製方法の記載を参照する。
以上のようにして、図20に示したトランジスタを作製することができる。
<トランジスタ構造(3)>
次に、ボトムゲートトップコンタクト型のトランジスタの一例について説明する。
図24は、トランジスタの上面図および断面図である。図24(A)は、トランジスタの上面図を示す。図24(A)において、一点鎖線C1−C2に対応する断面図を図24(B)に示す。また、図24(A)において、一点鎖線C3−C4に対応する断面図を図24(C)に示す。
図24(B)に示すトランジスタは、基板300上のゲート電極304と、ゲート電極304上のゲート絶縁膜312と、ゲート絶縁膜312上の酸化物半導体層306aと、酸化物半導体層306a上の酸化物半導体層306bと、酸化物半導体層306b上の酸化物半導体層306cと、酸化物半導体層306cと接するソース電極316aおよびドレイン電極316bと、を有する。なお、好ましくは、酸化物半導体層306c上、ソース電極316a上およびドレイン電極316b上の保護絶縁膜318を設ける。
なお、図24に示すトランジスタの保護絶縁膜318は、例えば、図5(A)に示すトランジスタのゲート絶縁膜(bg)に相当する。また、図24に示すトランジスタは、例えば、図5(A)に示すトランジスタのゲート電極(bg)を有してもよい。図24に示すトランジスタは、例えば、ゲート電極304に対向して、保護絶縁膜318の上面と接するバックゲート電極を有してもよい。また、図24に示すトランジスタにおいて、保護絶縁膜318より上に配線などの導電膜を有する場合、例えば、当該導電膜が図5(A)に示すトランジスタのゲート絶縁膜(bg)に相当してもよい。
なお、ソース電極316aおよびドレイン電極316bに用いる導電膜の種類によっては、酸化物半導体層306b、酸化物半導体層306cの一部から酸素を奪い、または混合層を形成し、酸化物半導体層306b、酸化物半導体層306c中にn型領域(低抵抗領域)を形成することがある。
なお、ゲート電極304は、図24(A)に示すように、上面図において酸化物半導体層306bが内側に含まれるように設けられる。こうすることで、ゲート電極304側から光が入射した際に、酸化物半導体層306b中で光によってキャリアが生成されることを抑制することができる。即ち、ゲート電極304は遮光膜としての機能を有する。ただし、ゲート電極304の外側まで酸化物半導体層306bが設けられても構わない。
酸化物半導体層306a、酸化物半導体層306bおよび酸化物半導体層306cは、それぞれ酸化物半導体層106c、酸化物半導体層106bおよび酸化物半導体層106aについての記載を参照する。即ち、ボトムゲートトップコンタクト型のトランジスタでは、トップゲートトップコンタクト型のトランジスタと上下入れ替わったような積層構造となる。
保護絶縁膜318は、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムおよび酸化タンタルを一種以上含む絶縁膜を、単層で、または積層で用いればよい。
保護絶縁膜318は、例えば、1層目を酸化シリコン層とし、2層目を窒化シリコン層とした多層膜とすればよい。この場合、酸化シリコン層は酸化窒化シリコン層でも構わない。また、窒化シリコン層は窒化酸化シリコン層でも構わない。酸化シリコン層は、欠陥密度の小さい酸化シリコン層を用いると好ましい。具体的には、ESRにてg値が2.001の信号に由来するスピンの密度が3×1017spins/cm3以下、好ましくは5×1016spins/cm3以下である酸化シリコン層を用いる。窒化シリコン層は水素ガスおよびアンモニアガスの放出量が少ない窒化シリコン層を用いる。水素ガス、アンモニアガスの放出量は、TDS分析にて測定すればよい。また、窒化シリコン層は、水素、水および酸素を透過しない、またはほとんど透過しない窒化シリコン層を用いる。
または、保護絶縁膜318は、例えば、1層目を第1の酸化シリコン層318aとし、2層目を第2の酸化シリコン層318bとし、3層目を窒化シリコン層318cとした多層膜とすればよい(図24(D)参照。)。この場合、第1の酸化シリコン層318aまたは/および第2の酸化シリコン層318bは酸化窒化シリコン層でも構わない。また、窒化シリコン層は窒化酸化シリコン層でも構わない。第1の酸化シリコン層318aは、欠陥密度の小さい酸化シリコン層を用いると好ましい。具体的には、ESRにてg値が2.001の信号に由来するスピンの密度が3×1017spins/cm3以下、好ましくは5×1016spins/cm3以下である酸化シリコン層を用いる。第2の酸化シリコン層318bは、過剰酸素を含む酸化シリコン層を用いる。窒化シリコン層318cは水素ガスおよびアンモニアガスの放出量が少ない窒化シリコン層を用いる。また、窒化シリコン層318cは、水素、水および酸素を透過しない、またはほとんど透過しない窒化シリコン層を用いる。
過剰酸素を含む酸化シリコン層とは、加熱処理などによって酸素を放出することができる酸化シリコン層をいう。また、過剰酸素を含む絶縁膜は、加熱処理によって酸素を放出する機能を有する絶縁膜である。
過剰酸素を含む絶縁膜は、酸化物半導体層306b中の酸素欠損を低減することができる。酸化物半導体層306b中で酸素欠損は、DOSを形成し、電荷トラップなどとなる。従って、酸化物半導体層306b中の酸素欠損を低減することで、トランジスタに安定した電気特性を付与することができる。
また、ソース電極316aおよびドレイン電極316bは、ソース電極116aおよびドレイン電極116bの記載を参照する。ゲート絶縁膜312は、ゲート絶縁膜112の記載を参照する。ゲート電極304は、ゲート電極104の記載を参照する。基板300は、基板100の記載を参照する。
<トランジスタ構造(3)の作製方法>
以下では、トランジスタ構造(3)の作製方法の一例について説明する。
図25は、図24(B)に対応する断面図である。
まず、基板300を準備する。
次に、ゲート電極304となる導電膜を形成する。ゲート電極304となる導電膜の形成方法は、ゲート電極104となる導電膜の記載を参照する。
次に、ゲート電極304となる導電膜の一部をエッチングし、ゲート電極304を形成する。
次に、ゲート絶縁膜312を形成する。ゲート絶縁膜312の形成方法は、ゲート絶縁膜112の記載を参照する。
ゲート絶縁膜312は、例えば、プラズマを用いたCVD法により形成すればよい。CVD法では、基板温度を高くするほど、緻密で欠陥密度の低い絶縁膜が得られる。ゲート絶縁膜312が緻密で欠陥密度が低いほどトランジスタの電気特性は安定となる。
次に、酸化物半導体層336a、酸化物半導体層336bおよび酸化物半導体層336cを、この順番で形成する(図25(A)参照。)。酸化物半導体層336a、酸化物半導体層336bおよび酸化物半導体層336cの形成方法は、それぞれ酸化物半導体層136c、酸化物半導体層136bおよび酸化物半導体層136aの記載を参照する。
次に、第1の加熱処理を行うと好ましい。第1の加熱処理は、トランジスタ構造(1)の作製方法の記載を参照する。
次に、酸化物半導体層336a、酸化物半導体層336bおよび酸化物半導体層336cの一部をエッチングし、島状の酸化物半導体層306a、酸化物半導体層306bおよび酸化物半導体層306cを形成する(図25(B)参照。)。
次に、ソース電極316aおよびドレイン電極316bとなる導電膜を形成する。ソース電極316aおよびドレイン電極316bとなる導電膜の形成方法は、導電膜116の記載を参照する。このとき、酸化物半導体層306cの破線で示す領域にn型領域が形成される場合がある。n型領域は、酸化物半導体層306c上に導電膜を形成する際のダメージや、導電膜の作用によって酸化物半導体層306cに酸素欠損が生じることに起因して形成される。例えば、酸素欠損のサイトに水素が入ることで、キャリアである電子を生成する場合がある。なお、n型領域は、酸化物半導体層306cと酸化物半導体層306bとの境界近傍まで形成されているが、これに限定されるものではない。例えば、n型領域が、酸化物半導体層306cおよび酸化物半導体層306b、または酸化物半導体層306cのみに形成されていてもよい。
次に、ソース電極316aおよびドレイン電極316bとなる導電膜の一部をエッチングし、ソース電極316aおよびドレイン電極316bを形成する。
次に、第2の加熱処理を行うと好ましい。第2の加熱処理は、トランジスタ構造(1)の作製方法の記載を参照する。第2の加熱処理を行うことで、酸化物半導体層306cまたは/および酸化物半導体層306bの露出したn型領域をi型領域にすることができる場合がある(図25(C)参照。)。
次に、保護絶縁膜318を形成する(図25(D)参照。)。
ここで、保護絶縁膜318を図24(D)に示すような3層構造とする場合について説明する。まず、第1の酸化シリコン層318aを成膜する。次に、第2の酸化シリコン層318bを成膜する。次に、第2の酸化シリコン層318bに酸素イオンを添加する処理を行ってもよい。酸素イオンを添加する処理は、イオンドーピング装置またはプラズマ処理装置を用いればよい。イオンドーピング装置として、質量分離機能を有するイオンドーピング装置を用いてもよい。酸素イオンの原料として、16O2もしくは18O2などの酸素ガス、亜酸化窒素ガスまたはオゾンガスなどを用いればよい。次に、窒化シリコン層318cを成膜することで、保護絶縁膜318を形成すればよい。
第1の酸化シリコン層318aは、CVD法の一種であるプラズマCVD法によって成膜すると好ましい。具体的には、基板温度を180℃以上400℃以下、好ましくは200℃以上370℃以下とし、シリコンを含む堆積性ガスおよび酸化性ガスを用いて圧力20Pa以上250Pa以下、好ましくは40Pa以上200Pa以下として、電極に高周波電力を供給することで成膜すればよい。なお、シリコンを含む堆積性ガスの代表例としては、シラン、ジシラン、トリシラン、フッ化シラン、などがある。酸化性ガスとしては、酸素、オゾン、亜酸化窒素、二酸化窒素などがある。
なお、シリコンを含む堆積性ガスに対する酸化性ガスの流量を100倍以上とすることで、第1の酸化シリコン層318a中の水素含有量を低減し、かつダングリングボンドを低減することができる。
以上のようにして、欠陥密度の小さい第1の酸化シリコン層318aを成膜する。即ち、第1の酸化シリコン層318aは、ESRにてg値が2.001の信号に由来するスピンの密度が3×1017spins/cm3以下、または5×1016spins/cm3以下とすることができる。
第2の酸化シリコン層318bは、プラズマCVD法によって成膜すると好ましい。具体的には、基板温度を160℃以上350℃以下、好ましくは180℃以上260℃以下とし、シリコンを含む堆積性ガスおよび酸化性ガスを用いて圧力100Pa以上250Pa以下、好ましくは100Pa以上200Pa以下として、電極に0.17W/cm2以上0.5W/cm2以下、好ましくは0.25W/cm2以上0.35W/cm2以下の高周波電力を供給することで成膜すればよい。
上述の方法によって、プラズマ中でのガスの分解効率が高まり、酸素ラジカルが増加し、ガスの酸化が進むため、過剰酸素を含む第2の酸化シリコン層318bを成膜することができる。
窒化シリコン層318cは、プラズマCVD法によって成膜すると好ましい。具体的には、基板温度を180℃以上400℃以下、好ましくは200℃以上370℃以下とし、シリコンを含む堆積性ガス、窒素ガスおよびアンモニアガスを用いて圧力20Pa以上250Pa以下、好ましくは40Pa以上200Pa以下として、電極に高周波電力を供給することで成膜すればよい。
なお、窒素ガスはアンモニアガスの流量の5倍以上50倍以下、好ましくは10倍以上50倍以下とする。なお、アンモニアガスを用いることで、シリコンを含む堆積性ガスおよび窒素ガスの分解を促すことができる、これは、アンモニアガスがプラズマエネルギーおよび熱エネルギーによって解離し、解離することで生じるエネルギーが、シリコンを含む堆積性ガスの結合、および窒素ガスの結合の分解に寄与するためである。
従って、上述の方法によって、水素ガスおよびアンモニアガスの放出量が少ない窒化シリコン層318cを成膜することができる。また、水素の含有量が少ないため、緻密となり、水素、水および酸素を透過しない、またはほとんど透過しない窒化シリコン層318cとすることができる。
以上のようにして保護絶縁膜318を形成すればよい。
次に、第3の加熱処理を行うと好ましい。第3の加熱処理は、トランジスタ構造(1)の作製方法の記載を参照する。
以上のようにして、図24に示したトランジスタを作製することができる。
<トランジスタ構造(4)>
次に、トランジスタ構造(3)とは異なるボトムゲートトップコンタクト型のトランジスタの一例について説明する。
図26は、トランジスタの上面図および断面図である。図26(A)は、トランジスタの上面図を示す。図26(A)において、一点鎖線D1−D2に対応する断面図を図26(B)に示す。また、図26(A)において、一点鎖線D3−D4に対応する断面図を図26(C)に示す。
図26(B)に示すトランジスタは、基板400上のゲート電極404と、ゲート電極404上のゲート絶縁膜412と、ゲート絶縁膜412上の酸化物半導体層406aと、酸化物半導体層406a上の酸化物半導体層406bと、酸化物半導体層406b上の酸化物半導体層406cと、ゲート絶縁膜412上および酸化物半導体層406c上の保護絶縁膜418と、保護絶縁膜418に設けられた開口部を介して酸化物半導体層406cと接するソース電極416aおよびドレイン電極416bと、を有する。
なお、図26に示すトランジスタの保護絶縁膜418は、例えば、図5(A)に示すトランジスタのゲート絶縁膜(bg)に相当する。また、図26に示すトランジスタは、例えば、図5(A)に示すトランジスタのゲート電極(bg)を有してもよい。図26に示すトランジスタは、例えば、保護絶縁膜418上、ソース電極416a上およびドレイン電極416b上にバックゲート絶縁膜を設け、ゲート電極404に対向して、バックゲート絶縁膜の上面と接するバックゲート電極を有してもよい。
なお、ソース電極416aおよびドレイン電極416bに用いる導電膜の種類によっては、酸化物半導体層406b、酸化物半導体層406cの一部から酸素を奪い、または混合層を形成し、酸化物半導体層406b、酸化物半導体層406c中にn型領域(低抵抗領域)を形成することがある。
なお、ゲート電極404は、図26(A)に示すように、上面図において酸化物半導体層406bが内側に含まれるように設けられる。こうすることで、ゲート電極404側から光が入射した際に、酸化物半導体層406b中で光によってキャリアが生成されることを抑制することができる。即ち、ゲート電極404は遮光膜としての機能を有する。ただし、ゲート電極404の外側まで酸化物半導体層406bが設けられても構わない。
酸化物半導体層406a、酸化物半導体層406bおよび酸化物半導体層406cは、それぞれ酸化物半導体層106c、酸化物半導体層106bおよび酸化物半導体層106aについての記載を参照する。即ち、ボトムゲートトップコンタクト型のトランジスタでは、トップゲートトップコンタクト型のトランジスタと上下入れ替わったような積層構造となる。
保護絶縁膜418は、保護絶縁膜318の記載を参照する。
保護絶縁膜418は、過剰酸素を含む絶縁膜を有すると好ましい。過剰酸素を含む絶縁膜は、酸化物半導体層406b中の酸素欠損を低減することができる。酸化物半導体層406b中で酸素欠損は、DOSを形成し、電荷トラップなどとなる。従って、酸化物半導体層406b中の酸素欠損を低減することで、トランジスタに安定した電気特性を付与することができる。
また、ソース電極416aおよびドレイン電極416bは、ソース電極116aおよびドレイン電極116bの記載を参照する。ゲート絶縁膜412は、ゲート絶縁膜112の記載を参照する。ゲート電極404は、ゲート電極104の記載を参照する。基板400は、基板100の記載を参照する。
<トランジスタ構造(4)の作製方法>
以下では、トランジスタ構造(4)の作製方法の一例について説明する。
図27は、図26(B)に対応する断面図である。
まず、基板400を準備する。
次に、ゲート電極404となる導電膜を形成する。ゲート電極404となる導電膜の形成方法は、ゲート電極104となる導電膜の記載を参照する。
次に、ゲート電極404となる導電膜の一部をエッチングし、ゲート電極404を形成する。
次に、ゲート絶縁膜412を形成する。ゲート絶縁膜412の形成方法は、ゲート絶縁膜112の記載を参照する。
ゲート絶縁膜412は、例えば、プラズマを用いたCVD法により形成すればよい。CVD法では、基板温度を高くするほど、緻密で欠陥密度の低い絶縁膜が得られる。ゲート絶縁膜412が緻密で欠陥密度が低いほどトランジスタの電気特性は安定となる。
次に、酸化物半導体層436a、酸化物半導体層436bおよび酸化物半導体層436cを、この順番で形成する(図27(A)参照。)。酸化物半導体層436a、酸化物半導体層436bおよび酸化物半導体層436cの形成方法は、それぞれ酸化物半導体層136c、酸化物半導体層136bおよび酸化物半導体層136aの記載を参照する。
次に、第1の加熱処理を行うと好ましい。第1の加熱処理は、トランジスタ構造(1)の作製方法の記載を参照する。
次に、酸化物半導体層436a、酸化物半導体層436bおよび酸化物半導体層436cの一部をエッチングし、島状の酸化物半導体層406a、酸化物半導体層406bおよび酸化物半導体層406cを形成する(図27(B)参照。)。
次に、保護絶縁膜418となる絶縁膜を形成する。保護絶縁膜418となる絶縁膜の形成方法は、保護絶縁膜318の記載を参照する。
次に、第2の加熱処理を行うと好ましい。第2の加熱処理は、トランジスタ構造(1)の作製方法の記載を参照する。
次に、保護絶縁膜418となる絶縁膜の一部をエッチングすることで保護絶縁膜418を形成する(図27(C)参照。)。
次に、ソース電極416aおよびドレイン電極416bとなる導電膜を形成する。ソース電極416aおよびドレイン電極416bとなる導電膜の形成方法は、導電膜116の記載を参照する。このとき、酸化物半導体層406cの破線で示す領域にn型領域が形成される場合がある。n型領域は、酸化物半導体層406c上に導電膜を形成する際のダメージや、導電膜の作用によって酸化物半導体層406cに酸素欠損が生じることに起因して形成される。例えば、酸素欠損のサイトに水素が入ることで、キャリアである電子を生成する場合がある。なお、n型領域は、酸化物半導体層406cと酸化物半導体層406bとの境界近傍まで形成されているが、これに限定されるものではない。例えば、n型領域が、酸化物半導体層406cおよび酸化物半導体層406b、または酸化物半導体層406cのみに形成されていてもよい。
次に、ソース電極416aおよびドレイン電極416bとなる導電膜の一部をエッチングし、ソース電極416aおよびドレイン電極416bを形成する(図27(D)参照。)。
次に、第3の加熱処理を行うと好ましい。第3の加熱処理は、トランジスタ構造(1)の作製方法の記載を参照する。
以上のようにして、図26に示したトランジスタを作製することができる。
<応用製品について>
以下では、上述したトランジスタを用いた応用製品について説明する。
<マイクロコンピュータ>
上述したトランジスタは、さまざまな電子機器に搭載されるマイクロコンピュータに適用することができる。
以下では、マイクロコンピュータを搭載した電子機器の例として火災報知器の構成および動作について、図34および図35を用いて説明する。
なお、本明細書中において、火災報知器とは、火災の発生を急報する装置全般を示すものであり、例えば、住宅用火災警報器や、自動火災報知設備や、当該自動火災報知設備に用いられる火災感知器なども火災報知器に含むものとする。
図34に示す警報装置は、マイクロコンピュータ500を少なくとも有する。ここで、マイクロコンピュータ500は、警報装置の内部に設けられている。マイクロコンピュータ500は、高電位電源線VDDと電気的に接続されたパワーゲートコントローラ503と、高電位電源線VDDおよびパワーゲートコントローラ503と電気的に接続されたパワーゲート504と、パワーゲート504と電気的に接続されたCPU(Central Processing Unit)505と、パワーゲート504およびCPU505と電気的に接続された検出部509と、が設けられる。また、CPU505には、揮発性記憶部506と不揮発性記憶部507と、が含まれる。
また、CPU505は、インターフェース508を介してバスライン502と電気的に接続されている。インターフェース508もCPU505と同様にパワーゲート504と電気的に接続されている。インターフェース508のバス規格としては、例えば、I2Cバスなどを用いることができる。また、警報装置には、インターフェース508を介してパワーゲート504と電気的に接続される発光素子530が設けられる。
発光素子530は指向性の強い光を放出するものが好ましく、例えば、有機EL素子、無機EL素子、LEDなどを用いることができる。
パワーゲートコントローラ503はタイマーを有し、当該タイマーに従ってパワーゲート504を制御する。パワーゲート504は、パワーゲートコントローラ503の制御に従って、CPU505、検出部509およびインターフェース508に高電位電源線VDDから供給される電源を供給または遮断する。ここで、パワーゲート504としては、例えば、トランジスタなどのスイッチング素子を用いることができる。
このようなパワーゲートコントローラ503およびパワーゲート504を用いることにより、光量を測定する期間に検出部509、CPU505およびインターフェース508への電源供給を行い、測定期間の合間には検出部509、CPU505およびインターフェース508への電源供給を遮断することができる。このように警報装置を動作させることにより、上記の各構成に常時電源供給を行う場合より消費電力の低減を図ることができる。
また、パワーゲート504としてトランジスタを用いる場合、不揮発性記憶部507に用いられる、極めてオフ電流の低いトランジスタ、例えば上述した酸化物半導体層を含む多層膜を用いたトランジスタを用いることが好ましい。このようなトランジスタを用いることにより、パワーゲート504で電源を遮断する際にリーク電流を低減し、消費電力の低減を図ることができる。
警報装置に直流電源501を設け、直流電源501から高電位電源線VDDに電源を供給してもよい。直流電源501の高電位側の電極は、高電位電源線VDDと電気的に接続され、直流電源501の低電位側の電極は、低電位電源線VSSと電気的に接続される。低電位電源線VSSはマイクロコンピュータ500に電気的に接続される。ここで、高電位電源線VDDは、高電位Hが与えられている。また、低電位電源線VSSは、例えば接地電位(GND)などの低電位Lが与えられている。
直流電源501として電池を用いる場合は、例えば、高電位電源線VDDと電気的に接続された電極と、低電位電源線VSSに電気的に接続された電極と、当該電池を保持することができる筐体と、を有する電池ケースを筐体に設ける構成とすればよい。なお、警報装置は、必ずしも直流電源501を設けなくてもよく、例えば、当該警報装置の外部に設けられた交流電源から配線を介して電源を供給する構成としてもよい。
また、上記電池として、二次電池、例えば、リチウムイオン二次電池(リチウムイオン蓄電池、リチウムイオン電池、またはリチウムイオンバッテリーとも呼ぶ。)を用いることもできる。また、当該二次電池を充電できるように太陽電池を設けることが好ましい。
検出部509は、異常に係る物理量を計測して計測値をCPU505に送信する。異常に係る物理量は、警報装置の用途によって異なり、火災報知器として機能する警報装置では、火災に係る物理量を計測する。故に、検出部509には、火災に係る物理量として光量を計測し、煙の存在を感知する。
検出部509は、パワーゲート504と電気的に接続された光センサ511と、パワーゲート504と電気的に接続されたアンプ512と、パワーゲート504およびCPU505と電気的に接続されたADコンバータ513と、を有する。発光素子530、光センサ511、アンプ512およびADコンバータ513は、パワーゲート504が検出部509に電源を供給したときに動作する。
図35(A)に警報装置の断面の一部を示す。なお、図35(A)には、チャネル長方向のA−B断面、およびチャネル長方向と直交するC−D断面を示す。p型の半導体基板451に素子分離領域453を有し、ゲート絶縁膜457およびゲート電極459、n型の不純物領域461a、n型の不純物領域461b、絶縁膜465および絶縁膜467を有するトランジスタ519が形成されている。トランジスタ519は、単結晶シリコンなどの半導体を用いて形成されており、高速動作が可能である。従って、高速なアクセスが可能なCPUの揮発性記憶部を形成することができる。
また、絶縁膜465および絶縁膜467の一部を選択的にエッチングした開口部にコンタクトプラグ469aおよびコンタクトプラグ469bを形成し、絶縁膜467およびコンタクトプラグ469aおよびコンタクトプラグ469b上に溝部を有する絶縁膜471を設けている。また、絶縁膜471の溝部に配線473aおよび配線473bを形成する。また、絶縁膜471、配線473aおよび配線473b上にスパッタリング法、CVD法等により絶縁膜470を形成し、当該絶縁膜470上に、溝部を有する絶縁膜472を形成する。絶縁膜472の溝部に電極474を形成する。電極474は、トランジスタ517のバックゲート電極として機能する電極である。このような電極474を設けることにより、トランジスタ517のしきい値電圧の制御を行うことができる。
また、絶縁膜472および電極474上に、スパッタリング法、CVD法等により、絶縁膜475を設けている。
絶縁膜475上には、トランジスタ517と、光電変換素子514が設けられる。トランジスタ517は、酸化物半導体層106a、酸化物半導体層106bおよび酸化物半導体層106cと、ソース電極116aおよびドレイン電極116bと、ゲート絶縁膜112と、ゲート電極104と、保護絶縁膜108と、保護絶縁膜118を含む。また、光電変換素子514とトランジスタ517を覆う絶縁膜445が設けられ、絶縁膜445上にドレイン電極116bに接して配線449を有する。配線449は、トランジスタ517のドレイン電極116bとトランジスタ519のゲート電極459とを電気的に接続する。
図35(B)は、検出部の回路図である。検出部は、光センサ511と、アンプ512と、ADコンバータ513と、を有する。光センサ511は、光電変換素子514と、容量素子515と、トランジスタ516と、トランジスタ517と、トランジスタ518と、トランジスタ519と、を含む。ここで光電変換素子514としては、例えば、フォトダイオードなどを用いることができる。
光電変換素子514の端子の一方は、低電位電源線VSSと電気的に接続され、端子の他方は、トランジスタ517のソース電極およびドレイン電極の一方に電気的に接続される。トランジスタ517のゲート電極は、電荷蓄積制御信号Txが与えられ、ソース電極およびドレイン電極の他方は、容量素子515の一対の電極の一方と、トランジスタ516のソース電極およびドレイン電極の一方と、トランジスタ519のゲート電極と電気的に接続される(以下、当該ノードをノードFDと呼ぶ場合がある)。容量素子515の一対の電極の他方は、低電位電源線VSSと電気的に接続される。トランジスタ516のゲート電極は、リセット信号Resが与えられ、ソース電極およびドレイン電極の他方は、高電位電源線VDDと電気的に接続される。トランジスタ519のソース電極およびドレイン電極の一方は、トランジスタ518のソース電極およびドレイン電極の一方と、アンプ512と電気的に接続される。また、トランジスタ519のソース電極およびドレイン電極の他方は、高電位電源線VDDと電気的に接続される。トランジスタ518のゲート電極は、バイアス信号Biasが与えられ、ソース電極およびドレイン電極の他方は、低電位電源線VSSと電気的に接続される。
なお、容量素子515は必ずしも設けなくてよく、例えば、トランジスタ519などの寄生容量が十分大きい場合、容量素子を設けない構成としてもよい。
また、トランジスタ516およびトランジスタ517に、極めてオフ電流の低いトランジスタを用いることが好ましい。また、極めてオフ電流の低いトランジスタとしては、上述したトランジスタを用いることが好ましい。このような構成とすることによりノードFDの電位を長時間保持することが可能となる。
また、図35(A)に示す構成は、トランジスタ517と電気的に接続して、絶縁膜475上に光電変換素子514が設けられている。
光電変換素子514は、絶縁膜475上に設けられた半導体膜460と、半導体膜460上に接して設けられたソース電極116a、電極466cと、を有する。ソース電極116aはトランジスタ517のソース電極またはドレイン電極として機能する電極であり、光電変換素子514とトランジスタ517とを電気的に接続している。
半導体膜460、ソース電極116aおよび電極466c上には、ゲート絶縁膜112、保護絶縁膜108、保護絶縁膜118および絶縁膜445が設けられている。また、絶縁膜445上に配線456が設けられており、ゲート絶縁膜112、保護絶縁膜108、保護絶縁膜118および絶縁膜445に設けられた開口を介して電極466cと接する。
電極466cは、ソース電極116aおよびドレイン電極116bと、配線456は、配線449と同様の工程で形成することができる。
半導体膜460としては、光電変換を行うことができる半導体膜を設ければよく、例えば、シリコンやゲルマニウムなどを用いることができる。半導体膜460にシリコンを用いた場合は、可視光を検知する光センサとして機能する。また、シリコンとゲルマニウムでは吸収できる電磁波の波長が異なるため、半導体膜460にゲルマニウムを用いる構成とすると、赤外線を検知するセンサとして用いることができる。
以上のように、マイクロコンピュータ500に、光センサ511を含む検出部509を内蔵して設けることができるので、部品数を削減し、警報装置の筐体を縮小することができる。
上述したICチップを含む火災報知器には、上述したトランジスタを用いた複数の回路を組み合わせ、それらを1つのICチップに搭載したCPU505が用いられる。
<CPU>
図36は、上述したトランジスタを少なくとも一部に用いたCPUの具体的な構成を示すブロック図である。
図36(A)に示すCPUは、基板1190上に、ALU1191(ALU:Arithmetic logic unit、論理演算回路)、ALUコントローラ1192、インストラクションデコーダ1193、インタラプトコントローラ1194、タイミングコントローラ1195、レジスタ1196、レジスタコントローラ1197、バスインターフェース1198、書き換え可能なROM1199、およびROMインターフェース1189を有している。基板1190は、半導体基板、SOI基板、ガラス基板などを用いる。ROM1199およびROMインターフェース1189は、別チップに設けてもよい。もちろん、図36(A)に示すCPUは、その構成を簡略化して示した一例にすぎず、実際のCPUはその用途によって多種多様な構成を有している。
バスインターフェース1198を介してCPUに入力された命令は、インストラクションデコーダ1193に入力され、デコードされた後、ALUコントローラ1192、インタラプトコントローラ1194、レジスタコントローラ1197、タイミングコントローラ1195に入力される。
ALUコントローラ1192、インタラプトコントローラ1194、レジスタコントローラ1197、タイミングコントローラ1195は、デコードされた命令に基づき、各種制御を行なう。具体的にALUコントローラ1192は、ALU1191の動作を制御するための信号を生成する。また、インタラプトコントローラ1194は、CPUのプログラム実行中に、外部の入出力装置や、周辺回路からの割り込み要求を、その優先度やマスク状態から判断し、処理する。レジスタコントローラ1197は、レジスタ1196のアドレスを生成し、CPUの状態に応じてレジスタ1196の読み出しや書き込みを行なう。
また、タイミングコントローラ1195は、ALU1191、ALUコントローラ1192、インストラクションデコーダ1193、インタラプトコントローラ1194、およびレジスタコントローラ1197の動作のタイミングを制御する信号を生成する。例えばタイミングコントローラ1195は、基準クロック信号CLK1を元に、内部クロック信号CLK2を生成する内部クロック生成部を備えており、内部クロック信号CLK2を上記各種回路に供給する。
図36(A)に示すCPUでは、レジスタ1196に、メモリセルが設けられている。レジスタ1196のメモリセルとして、上述したトランジスタを用いることができる。
図36(A)に示すCPUにおいて、レジスタコントローラ1197は、ALU1191からの指示に従い、レジスタ1196における保持動作の選択を行う。即ち、レジスタ1196が有するメモリセルにおいて、フリップフロップによるデータの保持を行うか、容量素子によるデータの保持を行うかを、選択する。フリップフロップによるデータの保持が選択されている場合、レジスタ1196内のメモリセルへの、電源電圧の供給が行われる。容量素子におけるデータの保持が選択されている場合、容量素子へのデータの書き換えが行われ、レジスタ1196内のメモリセルへの電源電圧の供給を停止することができる。
電源停止に関しては、図36(B)または図36(C)に示すように、メモリセル群と、電源電位VDDまたは電源電位VSSの与えられているノード間に、スイッチング素子を設けることにより行うことができる。以下に図36(B)および図36(C)の回路の説明を行う。
図36(B)および図36(C)は、メモリセルへの電源電位の供給を制御するスイッチング素子に、上述したトランジスタを用いた記憶装置である。
図36(B)に示す記憶装置は、スイッチング素子1141と、メモリセル1142を複数有するメモリセル群1143とを有している。具体的に、各メモリセル1142には、上述したトランジスタを用いることができる。メモリセル群1143が有する各メモリセル1142には、スイッチング素子1141を介して、ハイレベルの電源電位VDDが供給されている。さらに、メモリセル群1143が有する各メモリセル1142には、信号INの電位と、ローレベルの電源電位VSSの電位が与えられている。
図36(B)では、スイッチング素子1141として、上述したトランジスタを用いており、該トランジスタは、そのゲート電極層に与えられる信号SigAによりスイッチングが制御される。
なお、図36(B)では、スイッチング素子1141がトランジスタを一つだけ有する構成を示しているが、特に限定されず、トランジスタを複数有していてもよい。スイッチング素子1141が、スイッチング素子として機能するトランジスタを複数有している場合、上記複数のトランジスタは並列に接続されていてもよいし、直列に接続されていてもよいし、直列と並列が組み合わされて接続されていてもよい。
また、図36(B)では、スイッチング素子1141により、メモリセル群1143が有する各メモリセル1142への、ハイレベルの電源電位VDDの供給が制御されているが、スイッチング素子1141により、ローレベルの電源電位VSSの供給が制御されていてもよい。
また、図36(C)には、メモリセル群1143が有する各メモリセル1142に、スイッチング素子1141を介して、ローレベルの電源電位VSSが供給されている、記憶装置の一例を示す。スイッチング素子1141により、メモリセル群1143が有する各メモリセル1142への、ローレベルの電源電位VSSの供給を制御することができる。
メモリセル群と、電源電位VDDまたは電源電位VSSの与えられているノード間に、スイッチング素子を設け、一時的にCPUの動作を停止し、電源電圧の供給を停止した場合においてもデータを保持することが可能であり、消費電力の低減を行うことができる。具体的には、例えば、パーソナルコンピュータのユーザーが、キーボードなどの入力装置への情報の入力を停止している間でも、CPUの動作を停止することができ、それにより消費電力を低減することができる。
ここでは、CPUを例に挙げて説明したが、DSP(Digital Signal Processor)、カスタムLSI、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のLSIにも応用可能である。
<表示装置>
本項では、上述したトランジスタを適用した表示装置について説明する。
表示装置に設けられる表示素子としては液晶素子(液晶表示素子ともいう。)、発光素子(発光表示素子ともいう。)などを用いることができる。発光素子は、電流または電圧によって輝度が制御される素子をその範疇に含んでおり、具体的には無機EL(Electro Luminescence)、有機ELなどを含む。また、電子インク、電気泳動素子など、電気的作用によりコントラストが変化する表示媒体も表示素子として適用することができる。以下では、表示装置の一例としてEL素子を用いた表示装置および液晶素子を用いた表示装置について説明する。
なお、以下に示す表示装置は、表示素子が封止された状態にあるパネルと、該パネルにコントローラを含むICなどを実装した状態にあるモジュールとを含む。
また、以下に示す表示装置は画像表示デバイスまたは光源(照明装置含む)を指す。また、コネクター、例えばFPC、TCPが取り付けられたモジュール、TCPの先にプリント配線板が設けられたモジュールまたは表示素子にCOG方式によりIC(集積回路)が直接実装されたモジュールも全て表示装置に含むものとする。
<EL表示装置>
まずはEL素子を用いた表示装置(EL表示装置ともいう。)について説明する。
図37(A)は、EL表示装置の画素の回路図の一例である。
なお、本明細書等においては、能動素子(トランジスタ、ダイオードなど)、受動素子(容量素子、抵抗素子など)などが有するすべての端子について、その接続先を特定しなくても、当業者であれば、発明の一態様を構成することは可能な場合がある。つまり、接続先を特定しなくても、発明の一態様が明確であるといえる。そして、接続先が特定された内容が、本明細書等に記載されている場合、接続先を特定しない発明の一態様が、本明細書等に記載されていると判断することが可能な場合がある。特に、端子の接続先が複数のケースが考えられる場合には、その端子の接続先を特定の箇所に限定する必要はない。従って、能動素子(トランジスタ、ダイオードなど)、受動素子(容量素子、抵抗素子など)などが有する一部の端子についてのみ、その接続先を特定することによって、発明の一態様を構成することが可能な場合がある。
なお、本明細書等においては、ある回路について、少なくとも接続先を特定すれば、当業者であれば、発明を特定することが可能な場合がある。または、ある回路について、少なくとも機能を特定すれば、当業者であれば、発明を特定することが可能な場合がある。つまり、機能を特定すれば、発明の一態様が明確であるといえる。そして、機能が特定された発明の一態様が、本明細書等に記載されていると判断することが可能な場合がある。従って、ある回路について、機能を特定しなくても、接続先を特定すれば、発明の一態様として開示されているものであり、発明の一態様を構成することが可能である。または、ある回路について、接続先を特定しなくても、機能を特定すれば、発明の一態様として開示されているものであり、発明の一態様を構成することが可能である。
図37(A)に示すEL表示装置は、スイッチ素子743と、トランジスタ741と、キャパシタ742と、発光素子719と、を有する。
なお、図37(A)などは、回路構成の一例であるため、さらに、トランジスタを追加して設けることが可能である。逆に、図37(A)の各ノードにおいて、追加してトランジスタ、スイッチ、受動素子などを設けないようにすることも可能である。例えば、nodeA、nodeB、nodeC、nodeD、nodeE、nodeF、または/および、nodeGにおいて、直接的に接続されたトランジスタを、これ以上は設けないようにすることが可能である。従って、例えば、nodeCにおいて、直接的に接続されているトランジスタはトランジスタ741のみであり、他のトランジスタはnodeCと直接的に接続されていない、というような構成にすることが可能である。
トランジスタ741のゲートはスイッチ素子743の一端およびキャパシタ742の一端と電気的に接続される。トランジスタ741のソースは、キャパシタ742の他端および発光素子719の一端と電気的に接続される。トランジスタ741のドレインは電源電位VDDが与えられる。スイッチ素子743の他端は信号線744と電気的に接続される。発光素子719の他端は定電位が与えられる。なお、定電位は接地電位GNDまたはそれより小さい電位とする。
なお、トランジスタ741は、上述した酸化物半導体層を含む多層膜を用いたトランジスタを用いる。当該トランジスタは、安定した電気特性を有する。そのため、表示品位の高いEL表示装置とすることができる。
スイッチ素子743としては、トランジスタを用いると好ましい。トランジスタを用いることで、画素の面積を小さくでき、解像度の高いEL表示装置とすることができる。また、スイッチ素子743として、上述した酸化物半導体層を含む多層膜を用いたトランジスタを用いてもよい。スイッチ素子743として当該トランジスタを用いることで、トランジスタ741と同一工程によってスイッチ素子743を作製することができ、EL表示装置の生産性を高めることができる。
図37(B)は、EL表示装置の上面図である。EL表示装置は、基板300と、基板700と、シール材734と、駆動回路735と、駆動回路736と、画素737と、FPC732と、を有する。シール材734は、画素737、駆動回路735および駆動回路736を囲むように基板300と基板700との間に設けられる。なお、駆動回路735または/および駆動回路736をシール材734の外側に設けても構わない。
図37(C)は、図37(B)の一点鎖線M−Nに対応するEL表示装置の断面図である。FPC732は、端子731を介して配線733aと接続される。なお、配線733aは、ゲート電極304と同一層である。
なお、図37(C)は、トランジスタ741とキャパシタ742とが、同一平面に設けられた例を示す。このような構造とすることで、キャパシタ742をトランジスタ741のゲート電極、ゲート絶縁膜およびソース電極(ドレイン電極)と同一平面に作製することができる。このように、トランジスタ741とキャパシタ742とを同一平面に設けることにより、EL表示装置の作製工程を短縮化し、生産性を高めることができる。
図37(C)では、トランジスタ741として、図24に示したトランジスタと同様の構造のトランジスタを適用した例を示す。
図24に示したトランジスタは、しきい値電圧の変化の小さいトランジスタである。従って、僅かなしきい値電圧の変化によっても階調ずれの生じる場合がある、EL表示装置に好適なトランジスタである。
トランジスタ741およびキャパシタ742上には、絶縁膜720が設けられる。ここで、絶縁膜720および保護絶縁膜318には、トランジスタ741のソース電極316aに達する開口部が設けられる。
絶縁膜720上には、電極781が設けられる。電極781は、絶縁膜720および保護絶縁膜318に設けられた開口部を介してトランジスタ741のソース電極316aと接する。
電極781上には、電極781に達する開口部を有する隔壁784が設けられる。隔壁784上には、隔壁784に設けられた開口部で電極781と接する発光層782が設けられる。発光層782上には、電極783が設けられる。電極781、発光層782および電極783の重なる領域が、発光素子719となる。
<液晶表示装置>
次に、液晶素子を用いた表示装置(液晶表示装置ともいう。)について説明する。
図38(A)は、液晶表示装置の画素の構成例を示す回路図である。図38(A)に示す画素750は、トランジスタ751と、キャパシタ752と、一対の電極間に液晶の充填された素子(以下液晶素子ともいう)753とを有する。
トランジスタ751では、ソースおよびドレインの一方が信号線755に電気的に接続され、ゲートが走査線754に電気的に接続されている。
キャパシタ752では、一方の電極がトランジスタ751のソースおよびドレインの他方に電気的に接続され、他方の電極が共通電位を供給する配線に電気的に接続されている。
液晶素子753では、一方の電極がトランジスタ751のソースおよびドレインの他方に電気的に接続され、他方の電極が共通電位を供給する配線に電気的に接続されている。なお、上述のキャパシタ752の他方の電極が電気的に接続する配線に与えられる共通電位と、液晶素子753の他方の電極が電気的に接続する配線に与えられる共通電位とが異なる電位であってもよい。
なお、液晶表示装置も、上面図はEL表示装置と概略同様である。図37(B)の一点鎖線M−Nに対応する液晶表示装置の断面図を図38(B)に示す。図38(B)において、FPC732は、端子731を介して配線733aと接続される。なお、配線733aは、ゲート電極304と同一層である。
図38(B)には、トランジスタ751とキャパシタ752とが、同一平面に設けられた例を示す。このような構造とすることで、キャパシタ752をトランジスタ751のゲート電極、ゲート絶縁膜およびソース電極(ドレイン電極)と同一平面に作製することができる。このように、トランジスタ751とキャパシタ752とを同一平面に設けることにより、液晶表示装置の作製工程を短縮化し、生産性を高めることができる。
トランジスタ751としては、上述したトランジスタを適用することができる。図38(B)においては、図24に示したトランジスタと同様の構造のトランジスタを適用した例を示す。
なお、トランジスタ751は極めてオフ電流の小さいトランジスタとすることができる。従って、キャパシタ752に保持された電荷がリークしにくく、長期間に渡って液晶素子753に印加される電圧を維持することができる。そのため、動きの少ない動画や静止画の表示の際に、トランジスタ751をオフ状態とすることで、トランジスタ751の動作のための電力が不要となり、消費電力の小さい液晶表示装置とすることができる。
トランジスタ751およびキャパシタ752上には、絶縁膜721が設けられる。ここで、絶縁膜721および保護絶縁膜318には、トランジスタ751のドレイン電極316bに達する開口部が設けられる。
絶縁膜721上には、電極791が設けられる。電極791は、絶縁膜721および保護絶縁膜318に設けられた開口部を介してトランジスタ751のドレイン電極316bと接する。
電極791上には、配向膜として機能する絶縁膜792が設けられる。絶縁膜792上には、液晶層793が設けられる。液晶層793上には、配向膜として機能する絶縁膜794が設けられる。絶縁膜794上には、スペーサ795が設けられる。スペーサ795および絶縁膜794上には、電極796が設けられる。電極796上には、基板797が設けられる。
<設置例>
図39(A)において、テレビジョン装置8000は、筐体8001に表示部8002が組み込まれており、表示部8002により映像を表示し、スピーカー部8003から音声を出力することが可能である。上述した表示装置を表示部8002に用いることが可能である。
テレビジョン装置8000は、受信機やモデムなどを備えていてもよい。テレビジョン装置8000は、受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができ、さらにモデムを介して有線または無線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)または双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能である。
また、テレビジョン装置8000は、情報通信を行うためのCPUや、メモリを備えていてもよい。テレビジョン装置8000は、上述したメモリやCPUを用いることが可能である。
図39(A)において、警報装置8100は、住宅用火災警報器であり、検出部と、マイクロコンピュータ8101を有している。マイクロコンピュータ8101には、上述したトランジスタを用いたCPUが含まれる。
図39(A)において、室内機8200および室外機8204を有するエアコンディショナーには、上述したトランジスタを用いたCPUが含まれる。具体的に、室内機8200は、筐体8201、送風口8202、CPU8203等を有する。図39(A)において、CPU8203が、室内機8200に設けられている場合を例示しているが、CPU8203は室外機8204に設けられていてもよい。または、室内機8200と室外機8204の両方に、CPU8203が設けられていてもよい。上述したトランジスタを用いたCPUが含まれることで、エアコンディショナーを省電力化できる。
図39(A)において、電気冷凍冷蔵庫8300には、上述したトランジスタを用いたCPUが含まれる。具体的に、電気冷凍冷蔵庫8300は、筐体8301、冷蔵室用扉8302、冷凍室用扉8303、CPU8304等を有する。図39(A)では、CPU8304が、筐体8301の内部に設けられている。上述したトランジスタを用いたCPU8304が含まれることで、電気冷凍冷蔵庫8300を省電力化できる。
図39(B)および図39(C)に、電気自動車の例を示す。電気自動車9700には、二次電池9701が搭載されている。二次電池9701の電力は、制御回路9702により出力が調整されて、駆動装置9703に供給される。制御回路9702は、図示しないROM、RAM、CPU等を有する処理装置9704によって制御される。上述したトランジスタを用いたCPUが含まれることで、電気自動車9700を省電力化できる。
駆動装置9703は、直流電動機もしくは交流電動機単体、または電動機と内燃機関と、を組み合わせて構成される。処理装置9704は、電気自動車9700の運転者の操作情報(加速、減速、停止など)や走行時の情報(上り坂や下り坂等の情報、駆動輪にかかる負荷情報など)の入力情報に基づき、制御回路9702に制御信号を出力する。制御回路9702は、処理装置9704の制御信号により、二次電池9701から供給される電気エネルギーを調整して駆動装置9703の出力を制御する。交流電動機を搭載している場合は、図示していないが、直流を交流に変換するインバータも内蔵される。
なお、本実施の形態は、基本原理の一例について述べたものである。従って、本実施の形態の一部について、実施の形態の他の一部と、自由に組み合わせることや、適用することや、置き換えて実施することができる。
本実施例では、多層膜を有するトランジスタを作製し、その電気特性を測定した例を示す。
トランジスタの構造は、図20に示す構造とした。そのため、以下では、トランジスタの構造および作製方法については、図20、図22および図23を参照する。
試料は、基板200として、シリコンウェハを用いた。また、下地絶縁膜202として、厚さが100nmの酸化シリコン膜と、過剰酸素を含む厚さが300nmの酸化窒化シリコン膜とが積層された多層膜を用いた。また、ソース電極216aおよびドレイン電極216bとして、厚さが100nmのタングステン膜を用いた。また、ゲート絶縁膜212として、厚さが20nmの酸化窒化シリコン膜を用いた。また、ゲート電極204として、厚さが30nmの窒化タンタル膜と、厚さが135nmのタングステン膜とが積層された多層膜を用いた。また、保護絶縁膜218として、厚さが300nmの酸化窒化シリコン膜を用いた。また、保護絶縁膜208として、厚さが50nmの窒化シリコン膜を用いた。
また、酸化物半導体層206aとして、厚さが20nmのIn−Ga−Zn酸化物膜を用いた。酸化物半導体層206aは、In:Ga:Zn=1:3:2[原子数比]のターゲットを用い、DC電力を0.5kWとし、成膜ガスをアルゴン30sccmおよび酸素15sccmとし、圧力を0.4Paとし、基板温度を200℃としたスパッタリング法により成膜した。
また、酸化物半導体層206bとして、厚さが15nmのIn−Ga−Zn酸化物膜を用いた。酸化物半導体層206bは、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]のターゲットを用い、DC電力を0.5kWとし、成膜ガスをアルゴン30sccmおよび酸素15sccmとし、圧力を0.4Paとし、基板温度を300℃としたスパッタリング法により成膜した。
また、酸化物半導体層206cとして、厚さが5nm、10nm、15nmまたは20nmのIn−Ga−Zn酸化物膜を用いた。酸化物半導体層206cは、In:Ga:Zn=1:3:2[原子数比]のターゲットを用い、DC電力を0.5kWとし、成膜ガスをアルゴン30sccmおよび酸素15sccmとし、圧力を0.4Paとし、基板温度を200℃としたスパッタリング法により成膜した。
ここで、酸化物半導体層206cの厚さが5nmのトランジスタを試料1とした。また、酸化物半導体層206cの厚さが10nmのトランジスタを試料2とした。また、酸化物半導体層206cの厚さが15nmのトランジスタを試料3とした。また、酸化物半導体層206cの厚さが20nmのトランジスタを試料4とした。また、比較のため、酸化物半導体層206aおよび酸化物半導体層206cを設けないトランジスタである試料5を準備した。
以上に示した実施例試料および比較例試料のゲート電圧(Vg)−ドレイン電流(Id)特性を測定した。Vg−Id特性の測定は、ドレイン電圧(Vd)が0.1Vまたは3Vとして、ゲート電圧(Vg)を−3Vから+3Vまで掃引した際のドレイン電流(Id)を測定することで行った。また、ドレイン電圧(Vd)が0.1Vのときの電界効果移動度(μFE)を図40、図41、図42、図43および図44の右軸に示す。
試料1、試料2、試料3、試料4および試料5の電気特性(Vg−Id特性、およびVgに対する電界効果移動度)を25点重ねて、それぞれ図40、図41、図42、図43および図44に示す。なお、図40乃至図44において、上段にチャネル長(L)が0.44μm、チャネル幅(W)が1μmのトランジスタの電気特性を示し、下段にチャネル長(L)が1.09μm、チャネル幅(W)が1μmのトランジスタの電気特性を示す。
図40より、試料1は、いずれもしきい値電圧のばらつきが小さく、ノーマリーオフの電気特性を有することがわかった。
図41より、試料2は、いずれもしきい値電圧のばらつきが小さく、ノーマリーオフの電気特性を有することがわかった。
図42より、試料3は、いずれもしきい値電圧のばらつきが小さく、ノーマリーオフの電気特性を有することがわかった。
図43より、試料4は、いずれもしきい値電圧のばらつきが小さく、ノーマリーオフの電気特性を有することがわかった。
図44より、試料5は、チャネル長(L)が0.44μm、チャネル幅(W)が1μmのトランジスタでは、しきい値電圧のばらつきが大きく、ノーマリーオンの電気特性を有するものの、チャネル長(L)が1.09μm、チャネル幅(W)が1μmのトランジスタでは、しきい値電圧のばらつきも小さく、ノーマリーオフの電気特性を有することがわかった。
図40乃至図44より、試料5は、チャネル長の小さいトランジスタにおいて、電気特性が良好ではなかった。一方、試料1乃至試料4は、チャネル長の小さいトランジスタにおいても、良好な電気特性を有することがわかった。試料1、試料2、試料3、試料4の順に電気特性が良好であることから、酸化物半導体層206cの厚さが小さい順に電気特性が良好であることがわかる。
実施の形態で示した計算結果(図3参照。)と本実施例で示した実測結果との比較を図45に示す。図45では、上段に実測結果を示し、下段に計算結果を示す。
図45は、左列に、酸化物半導体層206c(酸化物半導体層(S3))とゲート絶縁膜212(ゲート絶縁膜(GI))との合成容量を横軸にとり、トランジスタのオン電流を縦軸にとり、データをプロットすることで作成した図である。また図45は、右列に、酸化物半導体層206c(酸化物半導体層(S3))とゲート絶縁膜212(ゲート絶縁膜(GI))との合成容量をゲート絶縁膜212(ゲート絶縁膜(GI))の容量で除した値(規格化容量)を横軸にとり、トランジスタのオン電流を酸化物半導体層206c(酸化物半導体層(S3))をなし(0nm)とした場合のオン電流で除した値(規格化オン電流またはIon比)を縦軸にとり、データをプロットすることで作成した図である。
ただし、試料間のしきい値電圧の差が大きいため、オン電流は、ゲート電圧が3V、ドレイン電圧Vdがトランジスタのしきい値電圧Vth+1Vのときのドレイン電流とした(図3では、オン電流は、ゲート電圧が3V、ドレイン電圧Vdが3Vのときのドレイン電流としていた。)。
なお、図45では、理解を容易にするため、実測結果についても、酸化物半導体層206cを酸化物半導体層(S3)と表記し、ゲート絶縁膜212をゲート絶縁膜(GI)と表記する。
なお、実測結果では、チャネル長(L)が1.09μm、チャネル幅(W)が1μmのトランジスタの結果を示し、計算結果では、チャネル長(L)が0.8μm、チャネル幅(W)が0.8μmのトランジスタの結果を示す。
図40乃至図44より、図45上段に示す実測において、左列では、酸化物半導体層206cの厚さに対応する合成容量に対して、それぞれオン電流を25点ずつプロットした。また、右列では、得られたオン電流の中央値をプロットした。
図45右列より、規格化容量に対する規格化オン電流のプロットについて、実測結果と計算結果とを比較した。計算結果(特にウェル深さが0.3eVにおける計算結果)は、実測結果の傾向をおおむね再現できていることがわかった。
即ち、本実施例に示したトランジスタにおいても、実施の形態で示したオン電流低下のモデルが適用できる可能性がある。具体的には、まず、ゲート電極204の電界によって酸化物半導体層206cに電子が誘起される。次に、酸化物半導体層206cによってゲート電極204の電界が遮蔽される。次に、酸化物半導体層206bへ印加される電界が弱まる。その結果、トランジスタのオン電流が低下する可能性が示された。
本実施例では、実施例1で作製した試料1乃至試料5の信頼性を評価した。信頼性の評価は、ゲートBTストレス試験によって行った。
プラスゲートBTストレス試験(プラスBT)の測定方法について説明する。プラスゲートBTストレス試験の対象となるトランジスタの初期(ストレス印加前)の電気特性を測定するため、基板温度を40℃とし、ドレイン電圧Vdを0.1Vまたは3Vとし、ゲート電圧を−3Vから+3Vまで変化させたときのドレイン電流Idの変化特性、すなわちVg−Id特性を測定した。
次に、基板温度を150℃まで上昇させた後、トランジスタのドレイン電圧Vdを0Vとした。次に、ゲート絶縁膜212へ印加される電界強度が1.65MV/cmとなるようにゲート電圧3.3Vを印加し、3600秒保持した。
なお、マイナスゲートBTストレス試験(マイナスBT)では、ゲート電圧−3.3Vを印加した。
試料1、試料2、試料3、試料4および試料5のゲートBTストレス試験前後の電気特性(Vg−Id特性、およびVgに対する電界効果移動度)を、それぞれ図46、図47、図48、図49および図50に示す。なお、図46乃至図50において、実線はゲートBTストレス試験前(BT前)の電気特性を示し、点線はゲートBTストレス試験後(BT後)の電気特性を示す。また、図46乃至図50において、上段にプラスゲートBTストレス試験前後の電気特性を示し、下段にマイナスゲートBTストレス試験前後の電気特性を示す。
図46乃至図50から得られたゲートBTストレス試験前後のしきい値電圧の変化(ΔVth)およびシフト値の変化(ΔShift)を表2に示す。なお、しきい値電圧(Vth)とは、チャネルが形成されたときのゲート電圧(ソースとゲート間の電圧)をいう。しきい値電圧(Vth)は、ゲート電圧(Vg)を横軸にとり、ドレイン電流(Id)の平方根を縦軸にとり、データをプロットすることで作成した曲線(Vg−√Id特性)において、最大傾きである接線を外挿したときの直線とドレイン電流(Id)の平方根が0(Idが0A)との交点におけるゲート電圧(Vg)として算出した。また、シフト値(Shift)は、ゲート電圧(Vg)を横軸にとり、ドレイン電流(Id)の対数を縦軸にとり、データをプロットすることで作成した曲線(Vg−Id特性)において、最大傾きである接線を外挿したときの直線と、ドレイン電流(Id)が1×10―12Aとの交点におけるゲート電圧(Vg)として算出した。
図46乃至図50、および表2より、試料1乃至試料5は安定した電気特性を有するトランジスタであることがわかった。特に、試料1および試料2は、他の試料と比較してしきい値電圧の変化(ΔVth)およびシフト値の変化(ΔShift)が小さく、極めて安定した電気特性を有するトランジスタであることがわかった。なお、試料1、試料2、試料3、試料4の順に酸化物半導体層206cの厚さが小さい。従って、酸化物半導体層206cの厚さが小さい方が、信頼性の高いトランジスタとなることがわかる。