JP2017145158A - 着色ジルコニア焼結体 - Google Patents

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Abstract

【課題】
紫色を呈色するジルコニア焼結体であって、工業的な製造に適したものを提供する
【解決手段】
コバルトとアルミニウムとの複合酸化物、酸化エルビウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム及びジルコニアを含有し、なおかつ、コバルト、アルミニウム及び亜鉛の合計含有量が酸化物換算で5重量%以下であり、アルミニウムに対する亜鉛の重量比が酸化物換算で0.9未満であるジルコニア焼結体。
【選択図】なし

Description

本発明は、着色成分を含有するジルコニア焼結体に係る。より詳細には、本発明は、紫系の色調を呈するジルコニア焼結体に関する。
高い機械的強度と高い審美性を兼ね備えることから、着色ジルコニア焼結体は時計バンドやアクセサリー等の装飾部材に用いられている。さらに、最近はこれらの用途に加え、高級建材、各種構造部材等の機械部材、電子部品基板等のセラミックス電子部材、携帯電話、モバイル家電製品等の外装部材等への適用が検討されている。
着色ジルコニア焼結体のひとつに、赤色から青色の中間的な色調として紫色を呈色する着色ジルコニア焼結体が検討されている。
例えば酸化エルビウム、酸化ユーロピウム又は酸化ホルミウムのいずれかと、酸化亜鉛及び酸化アルミニウムを含有するジルコニア焼結体を含有するジルコニア焼結体が紫色を呈することが報告されている(特許文献1)。さらに、Nd又はCoOを含有するジルコニア−アルミナ複合酸化物が薄紫色を呈することが開示されている(特許文献2)。
また、VとAlとを含むジルコニア焼結体が紫色を呈することが開示されている(特許文献3)。
さらに、酸化エルビウムと安定化剤を含有するZrOにより淡桃白色を呈することが開示されている(特許文献4)。
国際公開2009/157508号 特開平01−234364号 特開平01−157462号 特開平04−002658号
特許文献1で開示されたジルコニア焼結体は、灰色に近い色調を呈するジルコニア焼結体であり、いわゆる紫色とは異なる色調を呈する。また、特許文献2及び3のジルコニア焼結体も灰色に近い色調を有するものであり、なおかつ、HIP処理によりはじめて製造できるものであった。HIP処理を行わない焼結体は紫色とは大きく異なる色調を呈するものであった。また、特許文献4はピンク色又は薄いピンク色を呈するジルコニア焼結体であり、紫色と異なる色調を呈する。
本発明は、紫色を呈色するジルコニア焼結体であって、工業的な製造に適したものを提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題に対して検討した。その結果、着色剤として主にコバルトとアルミニウムの複合酸化物と酸化エルビウムとを含み、なおかつ、亜鉛とアルミニウムとを一定の割合で含有するジルコニア焼結体が、紫色の色調を呈し、なおかつ、これが安定的に得られることを見出した。
すなわち、本発明は、コバルトとアルミニウムとの複合酸化物、酸化エルビウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム及びジルコニアを含有し、なおかつ、コバルト、アルミニウム及び亜鉛の合計含有量が酸化物換算で5重量%以下であり、アルミニウムに対する亜鉛の重量比が酸化物換算で0.9未満であるジルコニア焼結体である。
以下、本発明のジルコニア焼結体について説明する。
本発明のジルコニア焼結体は、コバルトとアルミニウムとの複合酸化物、酸化亜鉛、酸化アルミニウム及び酸化エルビウム(以下、これらを個々に又はまとめて「着色酸化物」ともいう。)を含む。ジルコニア焼結体中のコバルト、アルミニウム、亜鉛及びエルビウムは着色剤として機能する。これら4つの異なる着色酸化物を含有することで、本発明のジルコニア焼結体が紫色、さらには赤味と青味を帯びた紫色を呈する。
本発明のジルコニア焼結体において、着色酸化物の合計含有量は20重量%以下、更には15重量%以下であればよい。着色酸化物及び含有量とすることで紫色を呈するジルコニア焼結体とすることができる。これに加え、繰返しの製造、特に繰返しの常圧焼結による製造においても色調の再現性が高くなる。呈色を明確にするため、着色酸化物の合計含有量は5重量%以上、更には7重量%以上であることが好ましい。
なお、本発明のジルコニア焼結体における着色酸化物の含有量は、ジルコニア焼結体の重量に対する、各着色酸化物の重量割合である。各着色酸化物は、コバルトとアルミニウムとの複合酸化物をCoAl、酸化コバルトをCoO、酸化アルミニウムをAl、酸化エルビウムをEr及び酸化亜鉛をZnOとして、その含有量を求めればよい。
本発明のジルコニア焼結体はコバルトとアルミニウムとの複合酸化物(以下、「Co−Al複合酸化物」ともいう。)を含有する。Co−Al複合酸化物と、酸化エルビウムとを含有することで、本発明のジルコニア焼結体が紫系の色調を呈する。
Co−Al複合酸化物は、スピネル構造を有するCo−Al複合酸化物であることが好ましく、コバルトアルミネート(CoAl)であることがより好ましい。コバルトアルミネートは一定の比率のコバルトとアルミニウムを均一に含有する。これにより、本発明のジルコニア焼結体はムラのない色調を呈する。一方、酸化コバルトと酸化アルミニウムとをそれぞれの酸化物として含むジルコニア焼結体は、焼結体中のコバルトとアルミニウムの分布が不均一になり易い。その結果、焼結体中に色ムラが生じやすい。特に単体としての酸化コバルトは、Co−Al複合酸化物とは異なった色調を呈し、目立つ色ムラが生じやすい。そのため、本発明のジルコニア焼結体はアルミニウムとの複合酸化物を形成していない酸化コバルトを含有しないこと、更には酸化コバルト、また更にはCoO及びCoを含有しないことが好ましい。
本発明のジルコニア焼結体の色調は、主にCo−Al複合酸化物の含有量と酸化エルビウムの含有量との影響を受ける。そのため、酸化エルビウムの含有量により、Co−Al複合酸化物の好ましい含有量は異なる。Co−Al複合酸化物の含有量は、酸化物(CoAl)として換算した場合に0.01重量%以上1重量%以下、更には0.01重量%以上0.3重量%以下、また更には0.05重量%以上0.3重量%以下であることが挙げられる。
本発明のジルコニア焼結体は酸化エルビウムを含む。Co−Al複合酸化物及び酸化エルビウムを含むことで紫味を帯びた色調を呈する。これに加え、酸化エルビウムはジルコニアの安定化剤としての機能がある。酸化エルビウムの含有量は5重量%以上、更には7重量%以上であることが好ましい。これにより、本発明のジルコニア焼結体が明るい紫色を呈することができる。一方、酸化エルビウムは15重量%以下、更には13重量%以下、また更には9重量%以下であることが好ましい。
酸化エルビウムは、ジルコニアに固溶した状態又は酸化物の状態で、含有されていればよい。焼結体中の色ムラがより生じにくくなるため、酸化エルビウムはジルコニアに固溶した状態であること、すなわち、ジルコニアが酸化エルビウム含有ジルコニアであることが好ましい。
酸化エルビウムがジルコニアに固溶しているか否かは、ジルコニア焼結体の粉末X線回折(以下、「XRD」とする。)パターンにより確認することができる。すなわち、酸化エルビウムがジルコニアに固溶している場合、そのXRDパターンにおいて独立した酸化エルビウムのXRDピークが確認されない。
本発明のジルコニア焼結体は、酸化アルミニウム及び酸化亜鉛を含有する。Co−Al複合酸化物以外に酸化アルミニウムを含み、なおかつ、酸化亜鉛を含むことで、本発明のジルコニア焼結体の明度Lと色度bを制御することが可能であり、なおかつ、常圧焼結による繰返し製造において再現性高く紫色調を得ることができる。
さらに、本発明のジルコニア焼結体は、アルミニウムに対する亜鉛の重量比(以下、「Zn/Al比」ともいう。)が酸化物換算で0.9未満、更には0.89以下である。Zn/Al比が高くなると、黄色味が強すぎる色調となり、青色味の弱い紫色色調になる。さらに、Zn/Al比が1.2を超えると焼結時に焼結体が割れやすくなる。明るい紫色を呈する焼結体を再現よく得られるようにするため、Zn/Al比は0.15以上、更には0.19以上であることが好ましい。好ましいZn/Al比の範囲として、0.15以上0.9未満、更には0.15以上0.89以下、また更には0.25以上0.85以下、また更には0.35以上0.6以下を挙げることができる。
本発明のジルコニア焼結体の酸化亜鉛及び酸化アルミニウムの含有量は、Zn/Al比が上記の範囲であれば任意の含有量とすればよい。酸化亜鉛の含有量は、0.05重量%以上1.2重量%以下、更には0.15重量%以上1.05重量%以下であることが挙げられる。また、酸化アルミニウムの含有量は、0.25重量%以上2.0重量%以下、更には0.25重量%以上1.50重量%以下、またさらには0.5重量%以上、1.5重量%以下であることが挙げられる。
本発明のジルコニア焼結体は、コバルト、アルミニウム及び亜鉛の合計含有量(以下、「着色金属量」ともいう。)が酸化物換算で5重量%以下である。着色金属量が5重量%を超えると明度Lが低くなりすぎ、明るい色調の焼結体が得られない。着色金属量は4重量%以下、更には2.85重量%以下であることが好ましい。さらに、着色金属量が2.1重量%以下であることで明度Lが高くなりやすく、焼結体の色調が明るくなる傾向がある。着色金属量は0.45重量%以上、更には0.6重量%以上であればよい。
着色金属量は、本発明のジルコニア焼結体の重量に対する、コバルト、アルミニウム及び亜鉛をそれぞれCoO、Al及びZnOに換算した合計重量の割合である。
本発明のジルコニア焼結体は、着色酸化物を含有し、残部がジルコニアである。ジルコニアは、安定化剤含有ジルコニアであることが好ましい。
ジルコニアは安定化剤含有量が、2.0mol%以上5.0mol%以下、更には3.1mol%以上5.0mol%以下、また更には3.1mol%以上3.8mol%以下であればよい。安定化剤を上記の範囲で含むことで、焼結体中のジルコニアが正方晶ジルコニアの単相、又は正方晶を主相とするジルコニアとなる。これにより、本発明のジルコニア焼結体の機械的強度がより高くなる。
本発明のジルコニア焼結体における、安定化剤の含有量(mol%)は、ジルコニア焼結体中のジルコニア及び安定化剤の合計に対する安定化剤のモル割合であり、以下の式により求めることができる。
安定化剤の含有量(mol%)
=安定化剤(mol)/{安定化剤(mol)+ジルコニア(mol)}×100
上記式において、安定化剤は酸化物換算した場合のmol数である。
ジルコニアに含まれる安定化剤は、少なくとも酸化エルビウムを含む。
安定化剤は、酸化エルビウム以外に焼結体の色調に大きく影響しないものを含んでいることが好ましく、酸化イットリウム(Y)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)、及び酸化セリウム(CeO)からなる群の少なくとも1種を含んでいることがより好ましく、ジルコニアは酸化エルビウム及び酸化イットリウム含含有ジルコニアであることが特に好ましい。
ジルコニアが、安定化剤として酸化エルビウムと酸化イットリウムとを含むジルコニアである、酸化エルビウム及び酸化イットリウム含有ジルコニアである場合、酸化イットリウムの含有量に対し酸化エルビウムの含有量が大きいことが好ましく、酸化イットリウムに対する酸化エルビウムのモル割合(以下、「Er/Y比」ともいう。)が1を超える、更には2.5以上8.0以下、また更には3.0以上6.0以下、また更には3.0以上4.0以下であることが好ましい。
本発明のジルコニア焼結体は紫系の色調を呈するが、L表色系におけるL、a及びb(以下、それぞれを単に「L」、「a」及び「b」ともいう。)が、それぞれ、35≦L≦60、2≦a≦20及び−60≦b≦−10であることが挙げられる。
より好ましくは、Lが39.5以上63.4以下、aが3.6以上14.2以下、及びbが−48.5以上−7.8以下である。更には9≦a≦20、及び、−60≦b≦−40であることが好ましい。これにより、本発明のジルコニア焼結体の色調がより鮮明な青紫となりやすい。
本発明のジルコニア焼結体は強度が高いほど、これを適用できる用途が多くなる。そのため、本発明のジルコニア焼結体は、三点曲げ強度が1100MPa以上、更には1200MPa以上であることが好ましい。三点曲げ強度は1200MPa以上1350MPa以下であることが挙げられる。
次に、本発明のジルコニア焼結体の製造方法について説明する。
本発明のジルコニア焼結体は、コバルトとアルミニウムの複合酸化物、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化エルビウム及びジルコニアを上記の組成を満たすように混合した後に、これを成形及び焼結することで、これを製造することができる。
さらに、本発明のジルコニア焼結体の好ましい製造方法として、コバルトとアルミニウムの複合酸化物、酸化亜鉛及び酸化アルミニウムと、酸化エルビウム含有ジルコニアとを混合する混合工程、得られた混合物を成形する成形工程、及び、得られた成形体を焼結する焼結工程、を含む製造方法を挙げることができる。
混合工程では、コバルトとアルミニウムの複合酸化物(Co−Al複合酸化物)、酸化亜鉛及び酸化アルミニウムと、酸化エルビウム含有ジルコニアとを混合する。酸化エルビウム含有ジルコニアとCo−Al複合酸化物とを混合することで、得られるジルコニア焼結体中のエルビウムと、コバルト及びアルミニウムがより均一に分布する。これにより、より色ムラのなく紫系の呈色を示す焼結体となりやすい。
酸化エルビウム含有ジルコニアは、酸化エルビウム固溶ジルコニアであることが好ましい。より好ましい酸化エルビウム固溶ジルコニアとして、水和ジルコニアゾル水溶液とエルビウム化合物とを混合、乾燥した後、1000℃以上1200℃以下で仮焼して得られた酸化エルビウム固溶ジルコニアを挙げることができる。
エルビウム化合物としては、酸化エルビウム、水和酸化エルビウム、酸化エルビウムゾル、水酸化エルビウム、塩化エルビウム、及び硝酸エルビウムからなる群の少なくとも1種、更には酸化エルビウム又は塩化エルビウムの少なくともいずれかを挙げることができる。
また、水和ジルコニアゾル水溶液とエルビウム化合物とを混合する際に、酸化エルビウム以外の安定化剤又はその前駆体を混合してもよい。これにより、酸化エルビウム及び安定化剤が固溶したジルコニアとすることができる。
安定化剤又はその前駆体として、イットリウム(Y)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、及びセリウム(Ce)からなる群の少なくとも1種の酸化物、水和酸化物、ゾル、水酸化物、塩化物、及び硝酸塩からなる群の少なくとも1種を挙げることができる。
酸化エルビウム以外の安定化剤はイットリアであることが特に好ましいため、安定化剤又はその前駆体は、イットリア、水和イットリア、イットリアゾル、水酸化イットリウム、塩化イットリウム、及び硝酸イットリウムからなる群の少なくとも1種、更にはイットリア又は塩化イットリウムの少なくともいずれかを挙げることができる。
エルビウム化合物、必要に応じて安定化剤又はその前駆体、と混合後の水和ジルコニアゾルは、適宜乾燥及び仮焼すればよい。
Co−Al複合酸化物、酸化亜鉛、及び酸化アルミニウムは、本発明のジルコニア焼結体の組成となるように、これらを酸化エルビウム含有ジルコニアと混合することが好ましい。
混合物中のCo−Al複合酸化物、酸化亜鉛、及び酸化アルミニウムの含有量としては、Co−Al複合酸化物が0.01重量%以上1重量%以下、酸化亜鉛が0.05重量%以上1.2重量%以下、及び酸化アルミニウムが0.25重量%以上2.0重量%以下であることが挙げられる。
さらに、混合物中のZn/Al比が0.15以上0.9未満となるように、酸化アルミニウムと酸化亜鉛とを混合することが好ましい。これにより得られるジルコニア焼結体の明度が高くなり、より明確な紫色を呈する焼結体となる。
得られる混合物の組成が均一になれば混合方法は任意であり、湿式混合又は乾式混合のいずれであってもよい。得られる混合物がより均一になるため混合は湿式混合であることが好ましく、ボールミルを使用した湿式混合であることがより好ましい。
成形工程では、混合工程で得られた混合物を成形する。所望の形状の成形体が得られればその方法は任意である。成形方法として、プレス成形、冷間静水圧成形、シート成形、射出成形、及び鋳込み成形からなる群の少なくとも1種を挙げることができる。
焼結工程では、成形工程で得られた成形体を焼結させる。焼結方法は任意の方法を適用することができる。工業的な観点から、焼結工程は簡便な焼結方法であることが好ましく、常圧焼結であることが好ましい。なお、常圧焼結とは、焼結時に、成形体に対して外的な力を加えず単に加熱することにより焼結する方法である。
焼結雰囲気は、酸化雰囲気、不活性雰囲気、又は還元雰囲気中のいずれかであってよいが、酸化雰囲気であること、更には大気中であることが好ましい。
焼結温度は、1300℃以上1500℃以下であればよい。
常圧焼結後にHIP処理を行う等、2回以上の焼結処理を含む製造方法では、焼結体の色調が変化しやすく、再現性が低くなりやすい。そのため、本発明の製造方法は、900℃以上に加熱する処理が焼結工程のみであることが好ましく、焼結工程を大気中、1400℃以上1500℃以下の常圧焼結とし、当該焼結工程以降に焼結体を900℃以上に加熱処理する工程を有さないことが好ましい。本発明のジルコニア焼結体は、この様な焼結方法であっても、三点曲げ強度が1100MPa以上と高くなりやすい。
本発明により、紫色を呈色するジルコニア焼結体であって、工業的な製造に適したものを提供することができる。
さらに、本発明のジルコニア焼結体は、審美性の高い紫色、更には青紫色を呈するため、公知のジルコニア焼結体の用途のみならず、各種外装部材などの装飾性を必要とする用途に用いることができる。
実施例22のジルコニア焼結体の粉末X線回折パターン
以下、本発明を具体的に説明する。しかしながら、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(密度の測定)
焼結体試料の密度は、アルキメデス法で測定した。
(色調の測定)
焼結体試料の色調は、JISZ8729に規定された色彩パラメーターL、a、bを測定した。色調の測定には焼結体表面を鏡面に研磨した面を測定した。色調の測定は3点行い、その平均値をもって各試料の色調とした。
なお、前処理として焼結体試料の表面を0.3mm研削し、研削痕がなくなるまで、鏡面研磨を実施した。
(焼結体の強度)
JIS R1601に準拠した方法により、焼結体試料の3点曲げ強度を測定した。
実施例1
オキシ塩化ジルコニウム水溶液を加水分解反応して水和ジルコニアゾルを得た。Y濃度が3.0mol%及びEr濃度が3.1mol%となるように、YCl及びErClを当該水和ジルコニアゾルに添加した。
添加後のジルコニアゾルは、180℃で乾燥した後に、1150℃で2時間焼成して粉末とした。得られた粉末を蒸留水で水洗した後に、110℃で乾燥することで、0.72mol%のYと2.41mol%のErを含むジルコニア粉末を得た。
得られたジルコニア粉末に、CoAlが0.1重量%、ZnOが0.45重量%、及び、Alが0.75重量%となるように、得られたジルコニア粉末にCoAl粉末、ZnO粉末及びAl粉末を混合した。
得られた混合粉末に、蒸留水を加えて固形分濃度が45重量%のスラリーを得た。直径10mmのジルコニアボールを用いたボールミルによって、当該スラリーを粉砕混合した。粉砕混合は、混合粉末の粒子径がDmax≦5.5μmとなるようにして行った。
混合後、スラリーを乾燥、目開き180μmを通過させて原料粉末を得た。
当該原料粉末5gを直径25mmの金型に入れ、98MPaの成形圧力でプレス成形して成形体とした後、大気中、1450℃、昇温速度100℃/hr、保持2時間で焼結させて本実施例のジルコニア焼結体を得た。得られたジルコニア焼結体は、密度が6.228g/cmであった。安定化剤含有量を表1、焼結体の組成を表2及び評価結果を表3に示す。
実施例2
CoAl粉末を0.30重量%としたこと、ZnO粉末を0.70重量%としたこと及びAl粉末を0.75重量%としたこと以外は実施例1と同様な方法で本実施例のジルコニア焼結体を得た。得られたジルコニア焼結体の安定化剤含有量を表1、焼結体の組成を表2及び評価結果を表3に示す。
実施例3
ZnO粉末を0.45重量%としたこと及びAl粉末を0.50重量%としたこと以外は実施例1と同様な方法で本実施例のジルコニア焼結体を得た。得られたジルコニア焼結体の安定化剤含有量を表1、焼結体の組成を表2及び評価結果を表3に示す。
実施例4
CoAl粉末を0.20重量%としたこと、ZnO粉末を0.90重量%としたこと及びAl粉末を1.50重量%としたこと以外は実施例1と同様な方法で本実施例のジルコニア焼結体を得た。得られたジルコニア焼結体の安定化剤含有量を表1、焼結体の組成を表2及び評価結果を表3に示す。
実施例5
Al粉末を0.50重量%としたこと以外は実施例1と同様な方法で本実施例のジルコニア焼結体を得た。得られたジルコニア焼結体の安定化剤含有量を表1、焼結体の組成を表2及び評価結果を表3に示す。
実施例6
CoAl粉末を0.05重量%としたこと及びZnO粉末を0.15重量%としたこと以外は実施例1と同様な方法で本実施例のジルコニア焼結体を得た。得られたジルコニア焼結体の安定化剤含有量を表1、焼結体の組成を表2及び評価結果を表3に示す。
実施例7
CoAl粉末を0.20重量%としたこと、ZnO粉末を0.90重量%としたこと、及び、Al粉末を1.00重量%としたこと以外は実施例1と同様な方法で本実施例のジルコニア焼結体を得た。得られたジルコニア焼結体の安定化剤含有量を表1、焼結体の組成を表2及び評価結果を表3に示す。
実施例8
オキシ塩化ジルコニウム水溶液を加水分解反応して水和ジルコニアゾルを得た。Er濃度が4.66mol%となるようにErClを当該水和ジルコニアゾルに添加したしたこと以外は実施例1と同様な方法でジルコニア粉末を得た。得られたジルコニア粉末は4.66mol%のErを含んでいた。
当該ジルコニア粉末を使用したこと以外は実施例1と同様な方法で本実施例のジルコニア焼結体を得た。得られたジルコニア焼結体の安定化剤含有量を表1、焼結体の組成を表2及び評価結果を表3に示す。
実施例9
オキシ塩化ジルコニウム水溶液を加水分解反応して水和ジルコニアゾルを得た。Y濃度が0.36mol%及びEr濃度が2.77mol%となるように、YCl及びErClを当該水和ジルコニアゾルに添加した。得られたジルコニア粉末は0.36mol%のY及び2.77mol%のErを含んでいた。
当該ジルコニア粉末を使用したこと以外は実施例1と同様な方法で本実施例のジルコニア焼結体を得た。得られたジルコニア焼結体の安定化剤含有量を表1、焼結体の組成を表2及び評価結果を表3に示す。
実施例10
CoAl粉末を0.05重量%としたこと、ZnO粉末を0.15重量%としたこと、及び、Al粉末を0.50重量%としたこと以外は実施例1と同様な方法で本実施例のジルコニア焼結体を得た。得られたジルコニア焼結体の安定化剤含有量を表1、焼結体の組成を表2及び評価結果を表3に示す。
実施例11
CoAl粉末を0.05重量%としたこと、及び、ZnO粉末を0.25重量%としたこと以外は実施例1と同様な方法で本実施例のジルコニア焼結体を得た。得られたジルコニア焼結体の安定化剤含有量を表1、焼結体の組成を表2及び評価結果を表3に示す。
実施例12
CoAl粉末を0.20重量%としたこと、ZnO粉末を0.65重量%としたこと、及び、Al粉末を1.50重量%としたこと以外は実施例1と同様な方法で本実施例のジルコニア焼結体を得た。得られたジルコニア焼結体の安定化剤含有量を表1、焼結体の組成を表2及び評価結果を表3に示す。
実施例13
CoAl粉末を0.20重量%としたこと、ZnO粉末を0.75重量%としたこと、及び、Al粉末を1.25重量%としたこと以外は実施例1と同様な方法で本実施例のジルコニア焼結体を得た。得られたジルコニア焼結体の安定化剤含有量を表1、焼結体の組成を表2及び評価結果を表3に示す。
実施例14
CoAl粉末を0.05重量%としたこと、ZnO粉末を0.85重量%としたこと、及び、Al粉末を1.25重量%としたこと以外は実施例1と同様な方法で本実施例のジルコニア焼結体を得た。得られたジルコニア焼結体の安定化剤含有量を表1、焼結体の組成を表2及び評価結果を表3に示す。
実施例15
オキシ塩化ジルコニウム水溶液を加水分解反応して水和ジルコニアゾルを得た。Er濃度が3.16mol%となるようにErClを当該水和ジルコニアゾルに添加したしたこと以外は実施例1と同様な方法でジルコニア粉末を得た。得られたジルコニア粉末は3.16mol%のErを含んでいた。
当該ジルコニア粉末を使用したこと、CoAl粉末を0.20重量%としたこと、ZnO粉末を0.75重量%としたこと、及び、Al粉末を1.25重量%としたこと以外は実施例1と同様な方法で本実施例のジルコニア焼結体を得た。得られたジルコニア焼結体の安定化剤含有量を表1、焼結体の組成を表2及び評価結果を表3に示す。
実施例16
CoAl粉末を0.30重量%としたこと、ZnO粉末を1.00重量%としたこと、及び、Al粉末を1.50重量%としたこと以外は実施例1と同様な方法で本実施例のジルコニア焼結体を得た。得られたジルコニア焼結体の安定化剤含有量を表1、焼結体の組成を表2及び評価結果を表3に示す。
実施例17
CoAl粉末を0.05重量%としたこと及び、Al粉末を1.00重量%としたこと以外は実施例1と同様な方法で本実施例のジルコニア焼結体を得た。得られたジルコニア焼結体の安定化剤含有量を表1、焼結体の組成を表2及び評価結果を表3に示す。
実施例18
CoAl粉末を0.05重量%としたこと、ZnO粉末を0.85重量%としたこと、及び、Al粉末を1.00重量%としたこと以外は実施例1と同様な方法で本実施例のジルコニア焼結体を得た。得られたジルコニア焼結体の安定化剤含有量を表1、焼結体の組成を表2及び評価結果を表3に示す。
実施例19
CoAl粉末を0.30重量%としたこと、ZnO粉末を0.95重量%としたこと、及び、Al粉末を1.50重量%としたこと以外は実施例1と同様な方法で本実施例のジルコニア焼結体を得た。得られたジルコニア焼結体の安定化剤含有量を表1、焼結体の組成を表2及び評価結果を表3に示す。
実施例20
CoAl粉末を0.05重量%としたこと、ZnO粉末を0.25重量%としたこと、及び、Al粉末を0.50重量%としたこと以外は実施例1と同様な方法で本実施例のジルコニア焼結体を得た。得られたジルコニア焼結体の安定化剤含有量を表1、焼結体の組成を表2及び評価結果を表3に示す。
実施例21
CoAl粉末を0.20重量%としたこと、ZnO粉末を0.70重量%としたこと、及び、Al粉末を1.25重量%としたこと以外は実施例1と同様な方法で本実施例のジルコニア焼結体を得た。得られたジルコニア焼結体の安定化剤含有量を表1、焼結体の組成を表2及び評価結果を表3に示す。
実施例22
実施例15と同様な方法で得られた酸化エルビウム含有ジルコニア粉末を使用したこと以外は実施例1と同様な方法で本実施例のジルコニア焼結体を得た。得られたジルコニア焼結体の安定化剤含有量を表1、焼結体の組成を表2及び評価結果を表3に示す。また、本実施例のジルコニア焼結体の三点曲げ強度は1240MPaであった。本実施例のジルコニア焼結体のXRDパターンを図1に示した。酸化エルビウムのピークがないことから、酸化エルビウムがジルコニアに固溶していることが確認できる。
Figure 2017145158
Figure 2017145158
Figure 2017145158
比較例1
オキシ塩化ジルコニウム水溶液を加水分解反応して水和ジルコニアゾルを得た。Er濃度が3.1mol%となるようにErClを当該水和ジルコニアゾルに添加したしたこと以外は実施例1と同様な方法でジルコニア粉末を得た。得られたジルコニア粉末は3.1mol%のErを含んでいた。
当該ジルコニア粉末を使用したこと、CoAl粉末を0.10重量%としたこと、ZnO粉末を混合しなかったこと、及び、Al粉末を0.15重量%としたこと以外は実施例1と同様な方法で本比較例のジルコニア焼結体を得た。得られたジルコニア焼結体の安定化剤含有量を表4、焼結体の組成を表5及び評価結果を表6に示す。
本比較例のジルコニア焼結体は亜鉛を含有せず、その色調は赤黒い色であった。
比較例2
オキシ塩化ジルコニウム水溶液を加水分解反応して水和ジルコニアゾルを得た。Y濃度が0.23mol%及びEr濃度が3.00mol%となるように、YCl及びErClを当該水和ジルコニアゾルに添加した。得られたジルコニア粉末は0.23mol%のY及び3.00mol%のErを含んでいた。
当該ジルコニア粉末を使用したこと、CoAl粉末を1.50重量%としたこと、ZnO粉末を3.00重量%としたこと、及び、Al粉末を3.00重量%としたこと以外は実施例1と同様な方法で本比較例のジルコニア焼結体を得た。得られたジルコニア焼結体の安定化剤含有量を表4、焼結体の組成を表5及び評価結果を表6に示す。
本比較例のジルコニア焼結体は着色金属を多量に含むため、その色調は暗い青色であった。
比較例3
CoAl粉末を0.05重量%としたこと、ZnO粉末を0.55重量%としたこと、及び、Al粉末を0.50重量%としたこと以外は実施例1と同様な方法で本比較例のジルコニア焼結体を得た。得られたジルコニア焼結体の安定化剤含有量を表4、焼結体の組成を表5及び評価結果を表6に示す。
本比較例のジルコニア焼結体は着色金属を多量に含むため、その色調は微かに青味を帯びた赤色であった。
比較例4
オキシ塩化ジルコニウム水溶液を加水分解反応して水和ジルコニアゾルを得た。Y濃度が0.41mol%及びEr濃度が3.15mol%となるように、YCl及びErClを当該水和ジルコニアゾルに添加した。得られたジルコニア粉末は0.41mol%のY及び3.15mol%)のErを含んでいた。
当該ジルコニア粉末を使用したこと、CoAl粉末を2.50重量%としたこと、ZnO粉末を4.0重量%としたこと、及び、Al粉末を6.0重量%としたこと以外は実施例1と同様な方法で本比較例のジルコニア焼結体を得た。得られたジルコニア焼結体の安定化剤含有量を表4、焼結体の組成を表5及び評価結果を表6に示す。
本比較例のジルコニア焼結体は着色金属を多量に含むため、その色調は鮮やかな青色であった。
比較例5
CoAl粉末を0.10重量%としたこと、ZnO粉末を0.60重量%としたこと、及び、Al粉末を0.25重量%としたこと以外は実施例1と同様な方法で焼結した。しかしながら、焼結によりジルコニア焼結体は割れ、色調の評価ができなかった。得られたジルコニア焼結体の安定化剤含有量を表4及び焼結体の組成を表5に示す。
Figure 2017145158
Figure 2017145158
Figure 2017145158
本発明のジルコニア焼結体は、高密度でなおかつ紫色で、使用により劣化した場合であっても安定した色相を呈する審美性に優れた焼結体であり、傷のつかない高級感のある宝飾品、装飾部材等の部材、例えば、時計部品、携帯用電子機器の外装部品等の様々な部材へ利用することができる。

Claims (6)

  1. コバルトとアルミニウムとの複合酸化物、酸化エルビウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム及びジルコニアを含有し、なおかつ、コバルト、アルミニウム及び亜鉛の合計含有量が酸化物換算で5重量%以下であり、アルミニウムに対する亜鉛の重量比が酸化物換算で0.9未満であるジルコニア焼結体。
  2. コバルトとアルミニウムとの複合酸化物、酸化亜鉛、酸化アルミニウム及び酸化エルビウムの合計含有量が20重量%以下である請求項1に記載のジルコニア焼結体。
  3. 前記ジルコニアの安定化剤含有量が2.0mol%以上5.0mol%以下である請求項1又は2に記載のジルコニア焼結体。
  4. 表色系におけるL、a及びbが、それぞれ、35≦L≦60、2≦a≦20、及び、−60≦b≦−10である請求項1乃至3のいずれか一項に記載のジルコニア焼結体。
  5. コバルトとアルミニウムの複合酸化物、酸化亜鉛及び酸化アルミニウムと、酸化エルビウム含有ジルコニアとを混合する混合工程、得られた混合物を成形する成形工程、及び、得られた成形体を焼結する焼結工程、を含む請求項1乃至4のいずれか一項に記載のジルコニア焼結体の製造方法。
  6. 前記焼結工程が、常圧焼結である請求項5に記載の製造方法。
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