JP2017191823A - 金属化フィルムコンデンサ - Google Patents
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Abstract
【課題】高耐電圧化、安全性、発熱特性および耐湿性を満足させながら、金属化フィルムの薄膜化ひいては金属化フィルムコンデンサの小型化を実現し、総合的評価を優れたものにする。【解決手段】金属化フィルムを重ね合わせ軸方向の両端に金属電極3p、3nを形成したコンデンサ素子と、コンデンサ素子の各金属電極に接続された陽極側および陰極側の外部引き出し端子とを備える。第1の金属化フィルムF1は、その金属蒸着電極2pが分割され相互にヒューズ部2p2を介して繋がれた状態の第1の電極パターンP1を有し、陽極側の外部引き出し端子に接続されている。第2の金属化フィルムF2は、その金属蒸着電極2nが連続したままの非分割状態または第1の金属化フィルムF1より大きな面積で分割された状態の第2の電極パターンを有し、その膜抵抗値は第1の金属化フィルムF1より大きく、陰極側の外部引き出し端子に接続されている。【選択図】図1
Description
本発明は、誘電体フィルム上に金属蒸着電極が形成された一対の金属化フィルムを重ね合わせた上で軸方向の一端および他端にそれぞれ金属電極を形成してなるコンデンサ素子と、前記コンデンサ素子の前記各金属電極に接続された陽極側および陰極側の外部引き出し端子とを備えた金属化フィルムコンデンサに関する。
近時、コンデンサの小型化に際しては、誘電体フィルムの厚さを薄くすること(薄膜化)が強く求められている。この場合に、誘電体フィルムの薄膜化を図りながらも、コンデンサの耐電圧性能、保安性能(セルフヒーリング)についてはともに、従来のフィルム厚さのコンデンサと同等以上の性能を確保する必要がある。すなわち、同一厚さの観点からすると、従来よりもさらに高耐電圧化することが望まれている。
コンデンサの高耐電圧化を具現化する主なアプローチとしては、
(1)誘電体フィルム材料の高耐電圧化
(2)蒸着仕様(蒸着パターン・蒸着膜抵抗値)の最適化によるコンデンサ素子の高耐電圧化
の2点が挙げられる。
(1)誘電体フィルム材料の高耐電圧化
(2)蒸着仕様(蒸着パターン・蒸着膜抵抗値)の最適化によるコンデンサ素子の高耐電圧化
の2点が挙げられる。
本願では、従前の誘電体フィルム材料を用いながらコンデンサの高耐電圧化を図る。すなわち、(2)のアプローチによりコンデンサの高耐電圧化を図る。ここで、(2)の蒸着膜抵抗値の最適化とは、具体的には蒸着膜抵抗値の高膜抵抗化を示し、蒸着膜抵抗値の高膜抵抗化によりコンデンサ素子の高耐電圧化が図れることは自明である。
しかし、蒸着膜抵抗値を高膜抵抗化することはコンデンサ素子の等価直列抵抗(ESR)の増加を伴う。そして、リプル電流の印加時にはコンデンサ素子の発熱温度が上昇することがあるため、単純な蒸着膜抵抗値の高膜抵抗化は容易には課題解決に結びつかない。
コンデンサ素子の軸方向の一端および他端にそれぞれ形成された金属電極は各々陽極側の外部引き出し端子および陰極側の外部引き出し端子に接続される。陽極側の外部引き出し端子に接続された金属蒸着電極は陽極の電極膜となり、陰極側の外部引き出し端子に接続された金属蒸着電極は陰極の電極膜となる。
ここで、耐湿負荷試験においては高温高湿雰囲気下で電圧を印加し、そのときに発生する陽極酸化反応(陽極の電極膜の酸化)による電極消失の問題がある。
すなわち、上記の蒸着膜抵抗値の高膜抵抗化は蒸着金属の薄膜化によって実現しようとするものであるが、薄膜化が一定限度を超えたものになると、陽極酸化反応による電極消失がむしろ従来より短時間で発生するようになってしまい、耐湿性能の悪化を招来するという別の課題が生じる。
上記は耐電圧性能についての課題であるが、これとは別に安全性の課題がある。
充分に高い安全性が求められる用途(例えばHV、産業機器、鉄道車両など)の金属化フィルムコンデンサにおいては、金属蒸着電極の電極パターンとして、一般的にヒューズ部機構(保安機構)を伴う分割電極パターンが用いられる。これまでに数多くの保安機構付きの蒸着パターンが開発されているが、大別すると下記の3種類となる。
(1)誘電体フィルム1枚の全面に分割電極が形成されたパターンを2枚ペアにするタイプ(例えば特許文献1参照)。
(2)誘電体フィルム1枚の中に分割電極と非分割電極をレイアウトしたものを2枚ペアにするタイプ(例えば特許文献2参照)。
(3)一方の誘電体フィルムの全面を分割電極、もう一方の誘電体フィルムの全面を非分割電極とし、2枚ペアにするタイプ(例えば特許文献3参照)。
なお、上記においては、相対する2枚の電極パターンの膜抵抗値については、同一としている場合が多い。
ところで、ヒューズ部機構は安全性確保の上で必要な要素であるが、ヒューズ部は電極部と比較して高抵抗であることから、ヒューズ部機構を具備していることはコンデンサ素子の発熱温度の上昇につながる。
以上をまとめると、コンデンサの高耐電圧化を図ることは、安全性確保の面から発熱特性と耐湿性能の悪化を背反的に伴うことになる。すなわち、高耐電圧化と、安全性確保、発熱特性および耐湿性能向上とはトレードオフ(二律背反)の関係にある。
蒸着パターンや蒸着膜抵抗値の改良事例として以下の3例が挙げられるが、いずれも耐電圧性能、安全性、発熱特性、耐湿性能の4特性をともに満足するものではない。
(1)陽極酸化の問題として、膜抵抗値を第1の金属化フィルムと第2の金属化フィルムとで異ならせるものがある。すなわち、2枚のフィルムの膜抵抗値に高低差を設けて、耐湿性能と安全性を両立するものが知られている(例えば特許文献4参照)。この技術においては、第1の金属化フィルムの金属蒸着電極の膜抵抗値と第2の金属化フィルムの金属蒸着電極の膜抵抗値とを異ならせている。つまり、陽極側の金属蒸着電極の膜抵抗値を陰極側の金属蒸着電極の膜抵抗値よりも小さく設定している。金属蒸着電極の材質を陽極側と陰極側で同じとすれば、膜抵抗値の大小は膜厚の大小により決定される。すなわち、膜厚が大きいほど膜抵抗値は小さくなる。陽極側の金属蒸着電極の膜抵抗値がより小さいということは、その金属蒸着電極の膜厚がより大きいということである。膜厚が大きい陽極側の金属蒸着電極は、陽極酸化の進行が遅く、耐湿性能の向上が認められる。
(2)内部直列タイプにおいて膜抵抗値に高低差を設けて大電流使用に耐え得るようにしたものが知られている(例えば特許文献5参照)。この技術においては、第1の金属化フィルム上に分割電極(島状電極)からなる第1の電極パターンが形成され、第2の金属化フィルム上に非分割状態で大きな面積の第2の電極パターンが形成されている。第1の金属化フィルムにおいて、フィルム幅方向の一端側の分割電極は陽極側に接続され、他端側の分割電極は陰極側に接続されている。第2の電極パターン(大面積)を低電位側として陽極側の分割電極との間で静電容量が形成されるとともに、同じ第2の電極パターンを高電位側として陰極側の分割電極との間でも静電容量が形成され、両静電容量は直列に接続されている(内部直列タイプ)。そして、第1の電極パターン(陽極側のものと陰極側のものとがある)の膜抵抗値は第2の電極パターンの膜抵抗値より小さく設定されている。コンデンサ素子の軸方向端部の金属電極と分割電極との接触不良があって、その静電容量が欠落することで、接触不良を検出する。これによって、大電流使用に耐え得るとしている。
(3)一方を分割電極、他方を保安電極として、膜抵抗値に高低差を設けて安全性と発熱低減を両立するものが知られている(例えば特許文献6参照)。この技術においては、第1の金属化フィルムも第2の金属化フィルムも、2枚の金属化フィルム要素(4,4)で構成されている(括弧内符号は特許文献所載のもの)。これら2枚の金属化フィルム要素は、それぞれの電極パターンが互いに相違している。一方の金属化フィルム要素は、その金属蒸着電極のパターンが複数の島状の分割電極部(6a)の集合で形成され、他方の金属化フィルム要素は、その金属蒸着電極のパターンが線状の保安電極部(9a,9b)の集合で形成されている。これら2枚の金属化フィルム要素は重ね合わされて1つの金属化フィルムを構成する。線状の保安電極部(9a,9b)は分割電極部(6a)を横断するように配置され、かつ両者は互いに接触して1つの金属蒸着電極を形成している。陽極側の金属化フィルムも陰極側の金属化フィルムも同じように構成されている。このような構成により、第1の金属化フィルムも第2の金属化フィルムもともに、保安電極部の膜抵抗値を分割電極部の膜抵抗値と相違させることが可能となっている。すなわち、分割電極部と保安電極部の膜抵抗値を互いに異なるものにすることが容易に可能となる。
分割電極部はその膜厚を厚くすることにより膜抵抗値を小さくして通電時の発熱を抑制し、一方、保安電極部はその膜厚を薄くすることにより膜抵抗値を大きくして保安性を向上させている。
上記の特許文献4の技術においては、陽極側の金属蒸着電極の膜抵抗値を陰極側の金属蒸着電極の膜抵抗値よりも小さくしているが、金属蒸着電極のパターンについては、陽極側と陰極側とで同じであり、ともに分割電極のパターンとされている。陰極側の金属蒸着電極の膜抵抗値が相対的に大きいという意味では通常通電時の高耐電圧化に効果があるものの、金属蒸着電極のパターンが第1の金属化フィルムと第2の金属化フィルムで同じであるために、複数の分割電極とヒューズ部からなる保安機構において所定の効果を発揮させるには、両金属化フィルムとも分割電極の分割数ひいてはヒューズ部の数を一定程度以上に多くする必要がある。
しかしながら、そのように構成すると、上記の通常通電時の高耐電圧化のために膜抵抗値を大きくしていることは、コンデンサ素子の発熱温度の上昇を招き、耐湿性能の悪化をもたらす原因となる。
特許文献5の技術においては、膜抵抗値を大きくして発熱抑制を促し、保安性能の向上を図る考え方は見受けられるものの、その膜抵抗値を大きくすることと、陽極・陰極の極性との関係性および電極パターンとの関係性についての検討がなされていない。結果、陽極酸化に伴う耐湿性能劣化の課題に関して、これを解決することは困難なものとなっている。
特許文献6の技術においては、第1の金属化フィルムも第2の金属化フィルムもともに互いに電極パターンの異なる2枚の蒸着電極要素の重ね合わせという複雑な形態となっている。一方の蒸着電極要素と他方の蒸着電極要素では膜抵抗値は異なるが、それら両蒸着電極要素は同じ金属化フィルム内に存在するものであり、第1の金属化フィルムと第2の金属化フィルムとでは膜抵抗値は互いに等しいと考えられる。要するに、2枚の金属化フィルムの膜抵抗値の相違と、陽極・陰極の極性および電極パターンの相関関係に関して格別な構成を採用することについての言及は何らなされていない。
本発明はこのような事情に鑑みて創作したものであり、金属化フィルムコンデンサに関して、高耐電圧化、安全性、発熱特性および耐湿性を満足させながら、金属化フィルムの薄膜化ひいては金属化フィルムコンデンサの小型化を実現して、総合的評価を優れたものにすることを目的としている。
本発明は、次の手段を講じることにより上記の課題を解決する。
本発明による金属化フィルムコンデンサは、
誘電体フィルム上に金属蒸着電極が形成された、第1の金属化フィルムと第2の金属化フィルムを重ね合わせた上で軸方向の一端および他端にそれぞれ金属電極を形成してなるコンデンサ素子と、前記コンデンサ素子の前記各金属電極に接続された陽極側および陰極側の外部引き出し端子とを備えた金属化フィルムコンデンサであって、
前記第1の金属化フィルムは、その金属蒸着電極が分割され相互にヒューズ部を介して繋がれた状態の第1の電極パターンを有し、かつ前記陽極側の外部引き出し端子に接続され、
一方、前記第2の金属化フィルムは、その金属蒸着電極が連続したままの非分割状態または前記第1の金属化フィルムの金属蒸着電極より大きな面積で分割された状態の第2の電極パターンを有し、かつその膜抵抗値は前記第1の金属化フィルムの金属蒸着電極の膜抵抗値より大きく、かつ前記陰極側の外部引き出し端子に接続されていることを特徴としている。
誘電体フィルム上に金属蒸着電極が形成された、第1の金属化フィルムと第2の金属化フィルムを重ね合わせた上で軸方向の一端および他端にそれぞれ金属電極を形成してなるコンデンサ素子と、前記コンデンサ素子の前記各金属電極に接続された陽極側および陰極側の外部引き出し端子とを備えた金属化フィルムコンデンサであって、
前記第1の金属化フィルムは、その金属蒸着電極が分割され相互にヒューズ部を介して繋がれた状態の第1の電極パターンを有し、かつ前記陽極側の外部引き出し端子に接続され、
一方、前記第2の金属化フィルムは、その金属蒸着電極が連続したままの非分割状態または前記第1の金属化フィルムの金属蒸着電極より大きな面積で分割された状態の第2の電極パターンを有し、かつその膜抵抗値は前記第1の金属化フィルムの金属蒸着電極の膜抵抗値より大きく、かつ前記陰極側の外部引き出し端子に接続されていることを特徴としている。
すなわち、第1の金属化フィルムの電極パターンは、その金属蒸着電極が分割数多数で小面積の分割電極からなり、かつ膜抵抗値が小であり、かつ陽極側となっている。そして、第2の金属化フィルムの電極パターンは、その金属蒸着電極が分割数少数の大面積の分割電極または分割数ゼロの非分割電極からなり、かつ膜抵抗値が大であり、かつ陰極側となっている。換言すれば、第2の電極パターンは、非分割の連続状態、または複数に分けられているが、個々の面積が第1の電極パターンの分割電極の面積より大きな面積状態となっている。
上記構成の本発明の金属化フィルムコンデンサは、次のような作用を発揮する。
第2の金属化フィルムにおいては、膜抵抗値大としてあることから、膜抵抗値小の場合に比べて通常通電時における高耐電圧化をより優れたものにすることが可能となる。加えて、第2の金属化フィルムにおいては、膜状の電極部に比べて通電抵抗値の大きなヒューズ部の数について、無いかあっても少数であることから、前記のように膜状の電極部の膜抵抗値を大としても(高膜抵抗化しても)、コンデンサ素子の発熱を抑制することが可能となる。
そして、第1の金属化フィルムにおいては、小面積の分割電極の膜抵抗値を小とすることにより、通常通電時における発熱を抑制するとともに、ヒューズ部の数を多くすることで、保安性能を優れたものにすることが可能となる。さらに、この第1の金属化フィルムの金属蒸着電極において、膜抵抗値を小さくしてあるので、陽極酸化反応による電極消失を防止しつつ、通常通電時の発熱抑制とも相まって、耐湿性能も優れたものにすることが可能となる。
以上の相乗により、高耐電圧化、安全性、発熱特性および耐湿性を満足させながら、金属化フィルムの薄膜化ひいては金属化フィルムコンデンサの小型化を実現することが可能となる。
上記構成の本発明の金属化フィルムコンデンサにおいては、
〔1〕前記第1および第2の電極パターンの膜厚について、前記第1の電極パターンの膜厚は前記第2の電極パターンの膜厚より厚く構成されていることにより、前記第2の電極パターンの膜抵抗値が前記第1の電極パターンの膜抵抗値より大きくされている、という態様がある。
〔1〕前記第1および第2の電極パターンの膜厚について、前記第1の電極パターンの膜厚は前記第2の電極パターンの膜厚より厚く構成されていることにより、前記第2の電極パターンの膜抵抗値が前記第1の電極パターンの膜抵抗値より大きくされている、という態様がある。
〔2〕また、前記第1および第2の電極パターンの材質について、互いに同じ材質に構成されている、という態様がある。
このように構成すれば、膜抵抗値の調整が行いやすいものとなる。
本発明によれば、高耐電圧化、安全性、発熱特性および耐湿性を満足させながら、金属化フィルムの薄膜化ひいては金属化フィルムコンデンサの小型化を実現することができる。
以下、上記構成の本発明の金属化フィルムコンデンサにつき、その実施の形態を具体的な実施例のレベルで詳しく説明する。
図1〜図3は本発明の実施例の金属化フィルムコンデンサにかかわり、図1(a)は同コンデンサにおける第1の金属化フィルムの展開図、図1(b)は第1および第2の2枚の金属化フィルムの巻回による重ね合わせの構造を示す断面図、図2(a)は第2の金属化フィルムの展開図、図2(b)は図1(b)の再掲図、図3は金属化フィルムコンデンサの外観を示す斜視図である。これらの図において、陽極側のものと陰極側のものとを符号上で区別する便宜のために、符号の数値の後ろに、陽極側のものには“p”を付し、陰極側のものには“n”を付してある。
図1〜図3において、1はポリプロピレン(PP)などの誘電体フィルム(金属蒸着電極の一部を剥がした状態で図示)、2p,2nは陽極側および陰極側の金属蒸着電極、F1,F2は第1および第2の金属化フィルム、3p,3nは陽極側および陰極側の金属電極、4はコンデンサ素子、5p,5nは陽極側および陰極側の外部引き出し端子である。
図1の展開図に示すように、誘電体フィルム1の片面(上面)に陽極側の金属蒸着電極2pが所定のパターン(後述)をもって形成されて第1の金属化フィルムF1が構成されている。また、図2の展開図に示すように、同じく誘電体フィルム1の片面(上面)に陰極側の金属蒸着電極2nが別の所定のパターン(後述)をもって形成されて第2の金属化フィルムF2が構成されている。
図1(b)および図2(b)に示すように、第1および第2の一対の金属化フィルムF1,F2が重ね合わされた状態で多重に巻回(積層)され、かつ図3に示すように、断面小判状の柱状体に変形され、その軸方向(フィルム幅方向Yと同じ)の両端に陽極側および陰極側の金属電極3p,3nが形成されてコンデンサ素子4が構成されている。扁平柱状体のコンデンサ素子4の軸方向Yの両端の金属電極3p,3nは、金属微粒子の溶射による金属溶射電極(メタリコン)として形成されている。コンデンサ素子4の最外層には誘電体フィルム保護用の外装フィルム6が複数回巻回されている。
陽極側の金属電極3pに対して陽極側の金属蒸着電極2pにおける電極引き出し接続部2p3 が接続され、陰極側の金属電極3nに対して陰極側の金属蒸着電極2nにおける電極引き出し接続部2n3 が接続されている。
図1、図2において、破線で示す陽極側および陰極側の金属電極3p,3nは、その配置位置を示すだけのものであって、実際の形状を表すものではない。その形状は図3に表されているとおり扁平な小判状となっている。図1(b)、図2(b)では、第1および第2の一対の金属化フィルムF1,F2を重ね合わせたものを巻回した断面状態のうち、2層分を抽出して示している。そこでは、白地で示される誘電体フィルム1が4層あり、黒地で示される陽極側の金属蒸着電極2pが2層、陰極側の金属蒸着電極2nが2層示されている。金属蒸着電極の重ね合わせ状態は、陽極側、陰極側、陽極側、陰極側と交互になっている。陽極側の金属蒸着電極2pと陰極側の金属蒸着電極2nとの間に誘電体フィルム1が挟持されて静電容量を形成していることはいうまでもない。
軸方向両端の金属電極3p,3nのうち第1の金属化フィルムF1における金属蒸着電極2pに接続された陽極側の金属電極3pは、図3に示すように陽極側の外部引き出し端子5pに接続されている。また、第2の金属化フィルムF2における陰極側の金属蒸着電極2nに接続された金属電極3nは、図3に示すように陰極側の金属蒸着電極5nに接続されている。すなわち、第1の金属化フィルムF1における金属蒸着電極2pは陽極として構成され、第2の金属化フィルムF2における金属蒸着電極2nは陰極として構成されている。
次に、陽極側の金属蒸着電極2pのパターンである第1の電極パターンP1と陰極側の金属蒸着電極2nのパターンである第2の電極パターンP2について説明する。第1の金属化フィルムF1における陽極側の金属蒸着電極2pと第2の金属化フィルムF2における陰極側の金属蒸着電極2nとは、その電極パターンが互いに相違している。
すなわち、図1(a)に示すように、第1の金属化フィルムF1の陽極側の金属蒸着電極2pは、第2の金属化フィルムF2の電極パターン(第2の電極パターンP2)より小さな面積で分割された多数の分割電極2p1 と、隣接する分割電極2p1 ,2p1 どうしを相互に繋ぐヒューズ部2p2 とを有する第1の電極パターンP1の状態に形成されている。そのほかに、フィルム幅方向Yの一方端縁に、陽極側の金属蒸着電極2pと陽極側の金属電極3pとを中継的に接続する電極引き出し接続部2p3 が形成されている。電極引き出し接続部2p3 は二点鎖線より外側の細長い帯状領域である。
第1の電極パターンP1における個々の分割電極2p1 についてより詳しく説明すると、次のようである。個々の分割電極2p1 は六角形状(黒地で示されている)を呈し、多数の分割電極2p1 がハニカム状に展開するように整列配置されている。1つの六角形状の分割電極2p1 は、3本の白地で示す直線状スリットがそれぞれの端部で結合されてなるY字形(1本ずつは均等に120°開いている)に構成された絶縁スリット2p4 の3つ分で囲まれて形成されている。囲むのはいずれも3本分のうちの互いに120°開いた2本である。
三角形の形で互いに隣り合う3つの分割電極2p1 ,2p1 ,2p1 には2種類のパターンがある。1つは、3つの分割電極の中心部において3本の直線状スリットがすべて結合されているパターンである。もう1つは、3つの分割電極の中心部において3本の直線状スリットがすべて離れているパターンである。その離れている中心部は金属蒸着電極で形成されており、三角形の形で互いに隣り合う3つの分割電極2p1 ,2p1 ,2p1 を相互に接続するヒューズ部2p2 となっている。よって、第1の電極パターンP1における六角形状の分割電極2p1 はそのすべてがヒューズ部2p2 を介して互いに一体連続的に接続され、端縁で直線状に展開する電極引き出し接続部2p3 とも一体連続的に接続されている。
一方、図2(a)に示すように、第2の金属化フィルムF2に陰極側の金属蒸着電極2nにおいては、誘電体フィルム1のほぼ全面にわたって形成された金属蒸着電極は、連続したままの非分割状態の(隙間なく一面に広がっているべたの状態の)第2の電極パターンP2に形成されている。なお、第2の電極パターンP2は、第1の金属化フィルムF1の電極パターン(第1の電極パターンP1)より大きな面積で分割され相互にヒューズ部を介して繋がれた状態のパターンであってもよい。そのほかに、フィルム幅方向Yの他方端縁に、陰極側の金属蒸着電極2nと陰極側の金属電極3nとを中継的に接続する陰極側の電極引き出し接続部2n3 が形成されている。電極引き出し接続部2n3 は二点鎖線より外側の細長い帯状領域である。
第1の金属化フィルムF1においては、フィルム幅方向Yで電極引き出し接続部2p3 とは反対側のフィルム長手方向Xに沿った端縁に金属蒸着電極の存在しない白地で示す絶縁マージン2p′が形成されている。同様に、第2の金属化フィルムF2においては、フィルム幅方向Yで電極引き出し接続部2n3 とは反対側のフィルム長手方向Xに沿った端縁に金属蒸着電極の存在しない白地で示す絶縁マージン2n′が形成されている。
図1(b)、図2(b)に示されるように、上から1層目、3層目を初めとして奇数相目の陽極側の電極引き出し接続部2p3 はすべて陽極側の金属電極3pに接続されている。同様に、2層目、4層目を初めとして偶数相目の陰極側の電極引き出し接続部2n3 はすべて陰極側の金属電極3nに接続されている。
上述のとおり、本発明にあっては、
(1)第1の金属化フィルムF1における第1の電極パターンP1と第2の金属化フィルムF2における第2の電極パターンP2とを異ならせること(一方は金属蒸着電極が分割され相互にヒューズ部を介して繋がれた状態、他方は金属蒸着電極が連続したままの非分割状態または前記一方の金属化フィルムより大きな面積で分割された状態)と、
(2)前記一方の金属蒸着電極を陽極とし、かつ前記他方の金属蒸着電極を陰極とすることのほか、
(3)第1の電極パターンP1の膜抵抗値と第2の電極パターンP2の膜抵抗値とを異ならせること(大面積の側の第2の金属化フィルムF2の膜抵抗値を第1の金属化フィルムF1の膜抵抗値より大抵抗(高抵抗)とする)、
の3条件の組み合わせが特徴となっている。以下では、(3)の膜抵抗値の相違について説明する。
(1)第1の金属化フィルムF1における第1の電極パターンP1と第2の金属化フィルムF2における第2の電極パターンP2とを異ならせること(一方は金属蒸着電極が分割され相互にヒューズ部を介して繋がれた状態、他方は金属蒸着電極が連続したままの非分割状態または前記一方の金属化フィルムより大きな面積で分割された状態)と、
(2)前記一方の金属蒸着電極を陽極とし、かつ前記他方の金属蒸着電極を陰極とすることのほか、
(3)第1の電極パターンP1の膜抵抗値と第2の電極パターンP2の膜抵抗値とを異ならせること(大面積の側の第2の金属化フィルムF2の膜抵抗値を第1の金属化フィルムF1の膜抵抗値より大抵抗(高抵抗)とする)、
の3条件の組み合わせが特徴となっている。以下では、(3)の膜抵抗値の相違について説明する。
金属蒸着電極の膜抵抗値については、第1の電極パターンP1と第2の電極パターンP2とでは明らかな大小関係を付けている。すなわち、第1の電極パターンP1における膜抵抗値は第2の電極パターンP2における膜抵抗値に比べてより小さなものに設定している。
この膜抵抗値に大・小の区別をつけるに当たっての手法については特に問うものではない。金属蒸着電極の材質を同じにする(例えばともにアルミニウムにする)場合には、それぞれの膜厚に違いを与えればよい。すなわち、第1の電極パターンP1における金属蒸着電極2pの膜厚をより厚くし、第2の電極パターンP2における金属蒸着電極2nの膜厚をより薄くする。なお、材質を異ならせる(アルミニウムと亜鉛の組み合わせやアルミニウムと亜鉛の合金との組み合わせなど)ことにより、あるいは材質と膜厚との組み合わせ関係を調整することにより、膜抵抗値に差を与えるようにしてもよい。
ちなみに、第1の電極パターンP1の膜抵抗値としては10Ω/□〜20Ω/□が好ましく、第2の電極パターンP2の膜抵抗値としては20Ω/□〜30Ω/□が好ましい。両者の膜抵抗値の差については、第1の電極パターンP1の膜抵抗値を10Ω/□とした場合、両者の膜抵抗値の差を10Ω/□〜20Ω/□(第2の電極パターンP2の膜抵抗値を20Ω/□〜30Ω/□)に設定することが好ましく、15Ω/□近辺(第2の電極パターンP2の膜抵抗値を25Ω/□近辺)に設定することがより好ましい。両者の膜抵抗値の差が小さ過ぎると耐電圧性が悪化し、両者の膜抵抗値の差が大き過ぎると安全性・発熱特性が悪化するからである。一方、第2の電極パターンP2の膜抵抗値を20Ω/□とした場合、両者の膜抵抗値の差を1Ω/□〜10Ω/□(第1の電極パターンP1の膜抵抗値を10Ω/□〜19Ω/□)に設定することが好ましく、5Ω/□近辺(第1の電極パターンP1の膜抵抗値を15Ω/□近辺)に設定することがより好ましい。両者の膜抵抗値の差が小さ過ぎると安全性・発熱特性および耐湿性が悪化し、両者の膜抵抗値の差が大き過ぎると耐電圧性が悪化するからである。
いずれにしても、本発明の好ましい実施の形態においては、第1の金属化フィルムF1は、その金属蒸着電極2pが分割数多数で小面積の分割電極2p1 からなる第1の電極パターンP1であり、かつ膜抵抗値が小であり、かつ陽極側となっている。そして、第2の金属化フィルムF2は、その金属蒸着電極2nが分割数ゼロで大面積の非分割電極または分割数少数で大面積の分割電極からなる第2の電極パターンP2であり、かつ膜抵抗値が大であり、かつ陰極側となっている。第2の電極パターンP2について別言すれば、非分割の連続状態または複数に分けられているが個々の面積が第1の電極パターンP1の分割電極の面積より大きな面積状態となっている。
次に、上記のように構成された金属化フィルムコンデンサの利点について説明する。
金属化フィルムの薄膜化に際して、コンデンサの通常通電時での高耐電圧化を図るのに、小面積分割状態の第1の電極パターンP1でその膜抵抗値を大きくするのではなく、非分割の連続状態または複数に分けられているが個々の面積が第1の電極パターンP1の分割電極の面積より大きな面積状態となっている大面積状態の第2の電極パターンP2において、その膜抵抗値を大きくすることで、膜抵抗値小の場合に比べて通常通電時の高耐電圧化を図っている。
そして、第2の金属化フィルムF2における膜状の電極部に比べて通電抵抗値の大きなヒューズ部の数について、第2の電極パターンP2では無いかあっても少数であることから、前記のように膜状の電極部の膜抵抗値を大としても(高膜抵抗化しても)、コンデンサ素子4の発熱を抑制することができる。
加えて、第1の電極パターンP1において通常通電時における発熱を抑制するのに、その小面積の分割電極の膜抵抗値を小とすることによって通常通電時の発熱抑制を図っている。分割電極を小面積とすることは、ヒューズ部2p2 の数を多くすることに繋がり、保安性能を優れたものにすることができる。
さらに、第1の電極パターンP1の金属蒸着電極2pにおいて、その極性を陽極としてあるが、この陽極側の金属蒸着電極2pは膜抵抗値が小で、それに反比例して厚みが大であるので、陽極酸化の進行速度を遅いものとしつつ、前述の小さな膜抵抗値による通常通電時の発熱抑制とも相まって、耐湿性能をも向上させることができる。
以上の相乗により、高耐電圧化・安全性、発熱特性および耐湿性を満足させながら、金属化フィルムの薄膜化ひいては金属化フィルムコンデンサの小型化を実現し、総合的評価を優れたものにできる。
試作品におけるテスト結果について、2つの従来例と比較したものを表1に示す。
素子仕様:容量100μF、定格1650VDC(誘電体フィルム7μm、100mm幅)
耐電圧性:寿命試験:75℃、2100VDC、1000hrs経過後のコンデンサ素子容量変化(サンプル数N=5の平均値)
安全性:寿命試験でのショート発生数
発熱特性:リプル通電試験:15Arms、5kHz、25℃の条件下での素子中心温度上昇値(N=5の平均値)
耐湿性:耐湿負荷試験:85℃、85%R.H.、1650VDC、2000hrs経過後のコンデンサ素子容量変化(N=5の平均値)
表1の蒸着フィルムの上段は電極パターン形状を示し、下段は膜抵抗値を示す。従来例1は、陽極側および陰極側とも電極パターンはハニカム形状で膜抵抗値は10Ω/□で共通である。従来例2は、陽極側および陰極側とも電極パターンはハニカム形状で膜抵抗値は20Ω/□で共通である。実施例は、陽極側の電極パターンをハニカム形状とし、膜抵抗値を10Ω/□とする一方、陰極側の電極パターンを非分割電極とし、膜抵抗値を20Ω/□としている。
耐電圧性:寿命試験:75℃、2100VDC、1000hrs経過後のコンデンサ素子容量変化(サンプル数N=5の平均値)
安全性:寿命試験でのショート発生数
発熱特性:リプル通電試験:15Arms、5kHz、25℃の条件下での素子中心温度上昇値(N=5の平均値)
耐湿性:耐湿負荷試験:85℃、85%R.H.、1650VDC、2000hrs経過後のコンデンサ素子容量変化(N=5の平均値)
表1の蒸着フィルムの上段は電極パターン形状を示し、下段は膜抵抗値を示す。従来例1は、陽極側および陰極側とも電極パターンはハニカム形状で膜抵抗値は10Ω/□で共通である。従来例2は、陽極側および陰極側とも電極パターンはハニカム形状で膜抵抗値は20Ω/□で共通である。実施例は、陽極側の電極パターンをハニカム形状とし、膜抵抗値を10Ω/□とする一方、陰極側の電極パターンを非分割電極とし、膜抵抗値を20Ω/□としている。
表1の結果から明らかなように、従来例1は、安全性、発熱特性、耐湿性を満たすものの、耐電圧性を満たさない(高耐電圧化を図ることができない)。一方で、従来例2は、耐電圧性を満たす(高耐電圧化を図ることができる)ものの、安全性、発熱特性、耐湿性を満たさない。これに対し、実施例によれば、耐電圧性、安全性、発熱特性および耐湿性のすべてを満たすことができる。
なお、上記では、第1の電極パターンP1は、それを構成する分割電極2p1 の形状が六角形となっているが、分割電極2p1 の形状については六角形以外に任意の形状が採用可能である。
また、第2の電極パターンP2は連続したままの非分割状態のもの(べた)であったが、これ以外に、第1の電極パターンP1における分割電極2p1 の面積に比べて充分に大きい面積の状態で分割されたパターンとしてもよい。この場合に、その大きな面積の分割電極どうしは相互にヒューズ部を介して繋がれていてもよいし、あるいは絶縁的に分離されていてもよい。例えば、金属蒸着電極をフィルム幅方向Yで2分割や3分割など複数に分割して、その分割線がフィルム長手方向Xに沿った直線状となっている帯状の大面積分割電極としてもよい。あるいはまた、第1の電極パターンP1における分割電極2p1 の形状と相似形でより大きな面積の分割電極としてもよく、さらにはその形状は任意のものを採用することが可能である。例えば、第1の電極パターンP1を面積の小さな六角形状の分割電極を敷き詰めたハニカム状とし、第2の電極パターンP2を面積のより大きな六角形状の分割電極を敷き詰めたハニカム状とすることなどである。
なお、第1および第2の一対の金属化フィルムF1,F2の重ね合わせについては、上記の巻回のほか積層であってもよい。
本発明は、金属化フィルムコンデンサに関して、金属化フィルムの薄膜化ひいては金属化フィルムコンデンサの小型化を促進するに当たり、高耐電圧化、安全性、発熱特性および耐湿性を相反することなく、いずれも満足させるための技術として有用である。
1 誘電体フィルム
2p 陽極側の金属蒸着電極
2n 陰極側の金属蒸着電極
2p2 ヒューズ部
3p 陽極側の金属電極
3n 陰極側の金属電極
4 コンデンサ素子
5p 陽極側の外部引き出し端子
5n 陰極側の外部引き出し端子
F1 第1の金属化フィルム
F2 第2の金属化フィルム
P1 第1の電極パターン
P2 第2の電極パターン
2p 陽極側の金属蒸着電極
2n 陰極側の金属蒸着電極
2p2 ヒューズ部
3p 陽極側の金属電極
3n 陰極側の金属電極
4 コンデンサ素子
5p 陽極側の外部引き出し端子
5n 陰極側の外部引き出し端子
F1 第1の金属化フィルム
F2 第2の金属化フィルム
P1 第1の電極パターン
P2 第2の電極パターン
Claims (3)
- 誘電体フィルム上に金属蒸着電極が形成された、第1の金属化フィルムと第2の金属化フィルムを重ね合わせた上で軸方向の一端および他端にそれぞれ金属電極を形成してなるコンデンサ素子と、前記コンデンサ素子の前記各金属電極に接続された陽極側および陰極側の外部引き出し端子とを備えた金属化フィルムコンデンサであって、
前記第1の金属化フィルムは、その金属蒸着電極が分割され相互にヒューズ部を介して繋がれた状態の第1の電極パターンを有し、かつ前記陽極側の外部引き出し端子に接続され、
一方、前記第2の金属化フィルムは、その金属蒸着電極が連続したままの非分割状態または前記第1の金属化フィルムの金属蒸着電極より大きな面積で分割された状態の第2の電極パターンを有し、かつその膜抵抗値は前記第1の金属化フィルムの金属蒸着電極の膜抵抗値より大きく、かつ前記陰極側の外部引き出し端子に接続されていることを特徴とする金属化フィルムコンデンサ。 - 前記第1および第2の電極パターンの膜厚について、前記第1の電極パターンの膜厚は前記第2の電極パターンの膜厚より厚く構成されていることにより、前記第2の電極パターンの膜抵抗値が前記第1の電極パターンの膜抵抗値より大きくされている請求項1に記載の金属化フィルムコンデンサ。
- 前記第1および第2の電極パターンの材質について、互いに同じ材質に構成されている請求項2に記載の金属化フィルムコンデンサ。
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