JP2017194542A - 静電荷像現像用トナーの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、潤滑剤を含有し、画像面内で印字率差の大きい画像を連続して出力した場合においても画像品質の低下を抑制できる静電荷像現像用トナーの製造方法を提供することである。【解決手段】本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法は、少なくとも結着樹脂及び着色剤を含有するトナー母体粒子と、潤滑剤粒子と、を含有する静電荷像現像用トナーの製造方法であって、脂肪酸金属塩と、ポリエチレン及びポリプロピレンの少なくとも一方とを混合して前記潤滑剤粒子を調製する工程と、前記トナー母体粒子に前記潤滑剤粒子を添加する工程と、を有し、前記ポリエチレン及びポリプロピレンの少なくとも一方の酸価が、1mgKOH/g以上の範囲内であることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、静電荷像現像用トナーの製造方法に関する。本発明は、特に、潤滑剤を含有し、画像面内で印字率差の大きい画像を連続して出力した場合においても画像品質の低下を抑制できる静電荷像現像用トナーの製造方法に関する。
従来、電子写真方式の画像形成装置では、感光体上に潤滑剤を供給して感光体とクリーニングブレードとの摩擦力を小さくすることで、静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」ともいう。)のすり抜けを防止したり、感光体の耐摩耗特性を向上させたりすることが知られている。潤滑剤を感光体表面に供給する方法には大きく分けて、(1)アプリケーターにより感光体表面に供給する方法、(2)潤滑剤を感光体の感光層又は表面層に含有させる方法、及び(3)トナーを含む現像剤に潤滑剤を添加する方法、の3種類が知られている。
上記(1)の方法としては、例えば、感光体の回転方向において中間転写体よりも下流側であってクリーニングブレードよりも上流側に、潤滑剤の塗布装置を設置する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この方法によれば、感光体表面に均一に潤滑剤を塗布できるので、出力画像の履歴による影響が小さく感光体表面の全体で潤滑剤の効果を発揮させることができるが、装置の大型化と複雑化が避けられないという問題がある。更に、塗布部材が劣化すると潤滑剤の塗布ムラが生じたり、潤滑剤の補給手段が別途必要になったりする等、装置や保守整備が煩雑化するという問題がある。
上記(2)の方法としては、例えば、潤滑剤を感光体の表面層に含有させる技術が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。この方法は、帯電及び露光の繰り返しによって感光体表面に生じる窒素酸化物や親水性化合物の除去効果(リフレッシュ性)を向上させる一定の効果を有している。しかしながら、潤滑剤粒子が含有されていると感光体の表面が不均一になるので、帯電特性や感度特性等の電気特性が低下し、画像欠陥が生じやすくなる。また、潤滑剤粒子の存在の有無により局所的に硬さが異なるので、画像履歴(画像部と非画像部)に依存して感光体表面の摩耗量や電気特性のばらつきが生じ、画像流れを抑制することが困難となる場合がある。
上記(3)の方法としては、例えば、トナーに外添剤として潤滑剤を添加する技術が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。この方法は、装置の小型化を図ることができる点、感光体上に簡便に潤滑剤を供給することができる点等の利点を有し、クリーニングブレード等の各部材の耐久性を考慮すると、この方法が最も好ましい。また、トナーに添加される潤滑剤としては、脂肪酸金属塩、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、ワックス等が挙げられるが、摩擦を低減する効果や撥水性という観点から脂肪酸金属塩が広く用いられている。
しかしながら、上記特許文献3に記載の技術によれば、潤滑剤が感光体から剥離することにより発生する塗布量ムラの抑制に対して、十分な効果が得られない。具体的には、電子写真プロセスにおける転写・クリーニング工程において、ドラム表面に擦過力が働いた際に潤滑剤が剥離するが、画像面内において印字率が高くトナー量の多い部分は、印字率が低くトナー量の少ない部分よりも相対的に擦過力が大きくなり、剥離されやすくなる。そのため、画像面内で印字率差の大きい画像を連続して出力した場合に、出力履歴に応じて感光体上の潤滑剤の塗布ムラが発生し、形成された画像上で濃度ムラが視認されてしまう。
特開2002−365973号公報 特開昭63−244039号公報 特開平1−281458号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、潤滑剤を含有し、画像面内で印字率差の大きい画像を連続して出力した場合においても画像品質の低下を抑制できる静電荷像現像用トナーの製造方法を提供することである。
本発明に係る上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討した結果、脂肪酸金属塩と、ポリエチレン及びポリプロピレンの少なくとも一方とを混合して潤滑剤粒子を調製する工程と、トナー母体粒子に潤滑剤粒子を添加する工程とを有し、当該ポリエチレン及びポリプロピレンの酸価が、1mgKOH/g以上の範囲内であることで、画像面内で印字率差の大きい画像を連続して出力した場合においても画像品質の低下を抑制できる静電荷像現像用トナーを製造できることを見いだした。
すなわち、本発明に係る課題は、以下の手段により解決される。
1.少なくとも結着樹脂及び着色剤を含有するトナー母体粒子と、潤滑剤粒子と、を含有する静電荷像現像用トナーの製造方法であって、
脂肪酸金属塩と、ポリエチレン及びポリプロピレンの少なくとも一方とを混合して前記潤滑剤粒子を調製する工程と、
前記トナー母体粒子に前記潤滑剤粒子を添加する工程と、を有し、
前記ポリエチレン及びポリプロピレンの少なくとも一方の酸価が、1mgKOH/g以上の範囲内であることを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
2.前記潤滑剤粒子の添加量が、前記トナー母体粒子100質量部に対して0.01〜2.00質量部の範囲内であることを特徴とする第1項に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
3.前記潤滑剤粒子中の前記ポリエチレン及びポリプロピレンの少なくとも一方の含有量が、前記潤滑剤粒子100質量部に対して3〜50質量部の範囲内であることを特徴とする第1項又は第2項に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
4.前記ポリエチレン及びポリプロピレンの少なくとも一方の酸価が、41mgKOH/g以下の範囲内であることを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
5.前記脂肪酸金属塩が、ステアリン酸亜鉛を含有することを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
本発明によれば、潤滑剤を含有し、画像面内で印字率差の大きい画像を連続して出力した場合においても画像品質の低下を抑制できる静電荷像現像用トナーの製造方法を提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
潤滑剤粒子に、酸価が1mgKOH/g以上であるポリエチレン及びポリプロピレンの少なくとも一方を含有させて静電荷像現像用トナーを製造することで、当該静電荷像現像用トナーを使用した際に、潤滑剤の感光体上への付着力が向上し、転写・クリーニング工程における潤滑剤の剥離むらを低減することができる。これは、ポリエチレン・ポリプロピレンが有する高極性部(例えば、カルボキシ基等。)が感光体表面の官能基に対して親和性を示し、ポリエチレン・ポリプロピレンのアルキル基が脂肪酸金属塩のアルキル部に親和性を示すため、感光体への潤滑剤の付着力が向上したことに起因すると考えている。よって、本発明によれば、潤滑剤を含有し、画像面内で印字率差の大きい画像を連続して出力した場合においても画像品質の低下を抑制できる静電荷像現像用トナーを製造することができる。
本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法は、少なくとも結着樹脂及び着色剤を含有するトナー母体粒子と、潤滑剤粒子と、を含有する静電荷像現像用トナーの製造方法であって、脂肪酸金属塩と、ポリエチレン及びポリプロピレンの少なくとも一方とを混合して前記潤滑剤粒子を調製する工程と、前記トナー母体粒子に前記潤滑剤粒子を添加する工程と、を有し、前記ポリエチレン及びポリプロピレンの少なくとも一方の酸価が、1mgKOH/g以上の範囲内であることを特徴とする。この特徴は、各請求項に共通する又は対応する技術的特徴である。
本発明においては、前記潤滑剤粒子の添加量が、前記トナー母体粒子100質量部に対して0.01〜2.00質量部の範囲内であることが好ましい。これにより、感光体に対するポリエチレン及びポリプロピレンの付着力向上効果が十分に得られるとともに、感光体とポリエチレン及びポリプロピレンとの付着力が大きくなり過ぎず、潤滑剤の入れ替わりが十分に起きて、画像品質を更に向上できる静電荷像現像用トナーを製造できる。
また、本発明においては、前記潤滑剤粒子中の前記ポリエチレン及びポリプロピレンの少なくとも一方の含有量が、前記潤滑剤粒子100質量部に対して3〜50質量部の範囲内であることが好ましい。これにより、感光体に対するポリエチレン及びポリプロピレンの付着力向上効果が十分に得られるとともに、感光体とポリエチレン及びポリプロピレンとの付着力が大きくなり過ぎず、潤滑剤の入れ替わりが十分に起きて、画像品質を更に向上できる静電荷像現像用トナーを製造できる。
また、本発明においては、前記ポリエチレン及びポリプロピレンの少なくとも一方の酸価が、41mgKOH/g以下の範囲内であることが好ましい。これにより、感光体とポリエチレン及びポリプロピレンとの接着力が大きくなり過ぎず、潤滑剤の入れ替わりが十分に進み、画像品質を更に向上できる静電荷像現像用トナーを製造できる。
また、本発明においては、前記脂肪酸金属塩が、ステアリン酸亜鉛を含有することが好ましい。これにより、潤滑剤粒子が延展しやすく、画像品質を更に向上できる静電荷像現像用トナーを製造できる。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
《静電荷像現像用トナーの製造方法》
本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法は、少なくとも結着樹脂及び着色剤を含有するトナー母体粒子と、潤滑剤粒子と、を含有する静電荷像現像用トナーの製造方法であって、脂肪酸金属塩と、ポリエチレン及びポリプロピレンの少なくとも一方とを混合して潤滑剤粒子を調製する工程と、トナー母体粒子に潤滑剤粒子を添加する工程と、を有し、当該ポリエチレン及びポリプロピレンの少なくとも一方の酸価が、1mgKOH/g以上の範囲内であることを特徴とする。
《潤滑剤粒子》
本発明の方法で製造する静電荷像現像用トナーには、潤滑剤粒子が含有されている。潤滑剤粒子は、脂肪酸金属塩と、ポリエチレン及びポリプロピレンの少なくとも一方と、を含有する。
潤滑剤粒子がトナー母体粒子とともに感光体上に供給されると、クリーニングブレードによって感光体上に延展され、クリーニングブレードと感光体表面との摩擦を低減することによって、感光体上の転写残トナー(転写媒体に転写されずに感光体上に残ったトナー)のクリーニング性を向上させる。
潤滑剤粒子は、脂肪酸金属塩と、ポリエチレン及びポリプロピレンの少なくとも一方とを混合して調製することができる。両者の混合方法としては、乾式混合及び溶融混合のいずれであっても良い。
潤滑剤粒子中のポリエチレン及びポリプロピレンの含有量の合計は、潤滑剤粒子100質量部に対して、3〜50質量部の範囲内であることが好ましく、より好ましくは10〜20質量部である。ポリエチレン及びポリプロピレンの含有量の合計が3質量部以上であると、感光体に対するポリエチレン及びポリプロピレンの付着力向上効果が十分に得られる。一方、ポリエチレン及びポリプロピレンの含有量の合計が50質量部以下であると、感光体とポリエチレン及びポリプロピレンとの付着力が大きくなり過ぎず、潤滑剤の入れ替わりが十分に起き、画像ボケが発生しにくくなる。
潤滑剤粒子の添加量としては、トナー母体粒子100質量部に対して0.01〜2.00質量部の範囲内が好ましく、0.10〜1.00質量部の範囲内がより好ましい。潤滑剤粒子の添加量が0.01質量部以上であると、感光体に対するポリエチレン及びポリプロピレンの付着力向上効果が十分に得られる。一方、潤滑剤粒子の添加量が2.00質量部以下であると、感光体とポリエチレン及びポリプロピレンとの付着力が大きくなり過ぎず、潤滑剤の入れ替わりが十分に起き、画像ボケが発生しにくくなる。
[脂肪酸金属塩]
脂肪酸金属塩には、電子写真方式の画像形成装置において潤滑剤として使用され得る公知の脂肪酸金属塩(金属石鹸)を用いることができる。脂肪酸金属塩としては、1種類を用いても良いし、2種類以上を用いても良い。
脂肪酸金属塩は、脂肪酸の金属塩であり、例えば、脂肪酸と、金属を含むアルカリ性化合物との中和によって得られる。
脂肪酸の炭素数は、ポリエチレン又はポリプロピレンとの相溶性の観点及び潤滑剤の延展性の観点から、10〜30の範囲内であることが好ましく、12〜28の範囲内であることがより好ましい。脂肪酸としては、例えば、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、オレイン酸及びベヘン酸等が挙げられる。また、金属としては、例えば、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、バリウム及びリチウム等が挙げられる。これらの脂肪酸及び金属から得られる脂肪酸金属塩としては、延展しやすく、疎水化度が最も高いステアリン酸亜鉛が好ましい。
[ポリエチレン及びポリプロピレンの少なくとも一方]
潤滑剤粒子には、酸価が1mgKOH/g以上である、ポリエチレン及びポリプロピレンの少なくとも一方が含有される。すなわち、潤滑剤粒子には、ポリエチレン及びポリプロピレンの両方が含有されても良い。
(ポリエチレン)
本発明に係るポリエチレンとは、酸価が1mgKOH/g以上である変性ポリエチレンをいう。
本発明に係るポリエチレンとしては、例えば、酸化ポリエチレン、及び酸性基を有するポリエチレン(酸変性ポリエチレン)等が挙げられる。
酸化ポリエチレンは、変性前の酸価が0mgKOH/gのポリエチレン(以下、「未変性ポリエチレン」という。)を直接酸化して得られる。酸化ポリエチレンは、公知の方法によって製造することができ、例えば、特開2004−75749号公報、特開平11−80252号公報、特開平10−279624号公報、特開平04−328108号公報、特開平01−022905号公報及び特表2010−515819号公報に記載の方法によって製造することが可能である。
酸性基を有するポリエチレンにおける酸性基としては、例えば、カルボキシ基、カルボン酸無水物基及びヒドロキシ基等が含まれる。酸性基は、1種でも良いし2種以上でも良い。
酸性基を有するポリエチレンは、例えば、酸性基を有する酸性モノマーとエチレンとの共重合体によって調製できる。酸性基を有するポリエチレンとしては、例えば、不飽和カルボン酸とエチレンを共重合して得られる共重合ポリエチレン、及び、不飽和無水カルボン酸とエチレンを共重合して得られる共重合ポリエチレン等が挙げられる。また、酸性モノマーは、例えば、(メタ)アクリロイル基を有する化合物のように、炭素間二重結合と酸性基とを有する化合物である。酸性モノマーとしては、例えば、マレイン酸、アクリル酸、無水マレイン酸及びメタクリル酸等が含まれる。
酸性基を有するポリエチレンは、公知の方法(酸変性)によって製造することができ、例えば、特開2014−198847号公報、特開2011−162797号公報、特開2003−252927号公報、特開2000−26490号公報及び特表平9−506658号公報が含まれる。
(ポリプロピレン)
本発明に係るポリプロピレンとは、酸価が1mgKOH/g以上である変性ポリプロピレンをいう。
本発明に係るポリプロピレンの製造方法としては、変性前の酸価が0mgKOH/gのポリプロピレン(以下、「未変性ポリプロピレン」という。)に無水マレイン酸をグラフト重合することにより変性させる方法を挙げることができる。また、プロピレンと、アクリル酸、メタクリル酸又は無水マレイン酸とを共重合することにより酸変性させる方法を挙げることができる。
未変性ポリプロピレンとしては、例えば、ポリプロピレン単独重合体、エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体、エチレン−α−プロピレン共重合体、プロピレン−α−プロピレン共重合体等を使用できる。
なお、ポリプロピレンの酸価は、上記グラフト重合・共重合に用いられる無水マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸等の酸モノマーの、未変性ポリプロピレンに対する添加比率を調整することにより、所望の値に制御することができる。
(酸価)
酸価は、ポリエチレン又はポリプロピレン1g中の酸成分の中和に必要なKOHの量(mg)を示す値である。
本発明に係るポリエチレン及びポリプロピレンの酸価は、1mgKOH/g以上である。また、ポリエチレン及びポリプロピレンの酸価は、41mgKOH/g以下であることが好ましく、11〜41mgKOH/gの範囲内であることがより好ましい。ポリエチレン及びポリプロピレンの酸価が41mgKOH/g以下であると、感光体とポリエチレン及びポリプロピレンとの接着力が大きくなり過ぎず、潤滑剤の入れ替わりが十分に進み、画像ボケの発生を抑制しやすくなる。
酸価は、JIS K0070で規定される試験方法によって求めることができる。酸価は、例えば、ポリエチレン骨格又はポリプロピレン骨格中への酸性基の導入量や、異なる酸価を有するポリエチレン又はポリプロピレンの混合等によって調整できる。
(その他の物性)
ポリエチレン及びポリプロピレンの数平均分子量は、1000〜10000の範囲内であることが好ましい。ポリエチレン及びポリプロピレンの数平均分子量が1000以上であると、画像形成装置の動作時において、ポリエチレン及びポリプロピレンが感光体に融着せず、潤滑剤の塗布厚を一定にすることができる。一方、ポリエチレン及びポリプロピレンの数平均分子量が10000以下であると、ポリエチレン及びポリプロピレン分子内の極性基の運動が制限されず、感光体表面の極性基との相互作用が大きくなり、感光体に対するポリエチレン及びポリプロピレンの付着力が十分となる。
また、ポリエチレン及びポリプロピレンの融点は、100〜160℃の範囲内であることが好ましい。ポリエチレンの融点が100℃以上であると、画像形成装置の作動持において、ポリエチレン及びポリプロピレンが感光体に融着せず、潤滑剤の塗布厚を一定にすることができる。一方、ポリエチレン及びポリプロピレンの融点が160℃以下であると、ポリエチレン及びポリプロピレン分子内の極性基の運動が制限されず、感光体の極性基との相互作用が大きくなり、感光体に対するポリエチレン及びポリプロピレンの付着力が十分となる。
《トナー母体粒子》
本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法に用いられるトナー母体粒子としては、公知のトナー母体粒子を用いることができる。このようなトナー母体粒子は、具体的には少なくとも結着樹脂(以下、「トナー用樹脂」ともいう。)及び着色剤を含有してなる。また、このトナー母体粒子には、必要に応じて、更に離型剤及び荷電制御剤等の他の成分を含有させることもできる。
(結着樹脂(トナー用樹脂))
トナー母体粒子を構成する結着樹脂としては、熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。
このような結着樹脂としては、一般にトナーを構成する結着樹脂として用いられているものを特に制限なく用いることができ、具体的には、例えば、スチレン系樹脂やアルキルアクリレート及びアルキルメタクリレート等のアクリル系樹脂、スチレンアクリル系共重合体樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、オレフィン系樹脂、アミド樹脂及びエポキシ樹脂等が挙げられる。
この中でも、溶融特性が低粘度で高いシャープメルト性を有するスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレンアクリル系共重合体樹脂、及びポリエステル樹脂が好適に挙げられる。主要樹脂として、スチレンアクリル系共重合体樹脂を50質量%以上用いることが好ましい。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、結着樹脂を得るための重合性単量体としては、例えばスチレン、メチルスチレン、メトキシスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン及びクロロスチレン等のスチレン系単量体;メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート及びエチルヘキシルアクリレート等のアクリル酸エステル系単量体;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート及びエチルヘキシルメタクリレート等のメタクリル酸エステル系単量体;アクリル酸、メタクリル酸及びフマル酸等のカルボン酸系単量体等を使用することができる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
トナー母体粒子を構成する結着樹脂としては、低温定着化の観点からガラス転移点温度(Tg)が30〜50℃であることが好ましい。ガラス転移点温度がこの範囲内であると低温定着性と耐熱保管性が良好となる。
結着樹脂のガラス転移点温度の測定は、「ダイアモンド DSC(Diamond DSC)」(パーキンエルマー社製)を用いて行うことができる。
測定手順としては、結着樹脂3.0mgをアルミニウム製パンに封入し、ホルダーにセットする。リファレンスは空のアルミニウム製パンを使用する。測定条件としては、測定温度0〜200℃、昇温速度10℃/分、降温速度10℃/分で、加熱−冷却−加熱(Heat−Cool−Heat)の温度制御で行い、その2回目の加熱(2nd.Heat)におけるデータを基に解析を行う。
ガラス転移点温度は、第1の吸熱ピークの立ち上がり前のベースラインの延長線と、第1のピークの立ち上がり部分からピーク頂点までの間で最大傾斜を示す接線を引き、その交点をガラス転移点として示す。
トナーのガラス転移点温度(Tg)は、測定試料をトナーとして上記と同様の方法によって測定されるものである。
更に、結着樹脂の軟化点温度が80〜130℃の範囲内であることが好ましく、より好ましくは90〜120℃である。軟化点温度は、フローテスター「CFT−500D」(島津製作所製)によって測定することができる。
軟化点温度は、以下のように測定される。
まず、温度20±1℃、相対湿度50±5%RHの環境下において、試料1.1gをシャーレに入れ平らにならし、12時間以上放置した後、成型器「SSP−10A」(島津製作所製)によって3820kg/cmの力で30秒間加圧し、直径1cmの円柱型の成型サンプルを作製し、次いで、この成型サンプルを、温度24±5℃、湿度50±20%RHの環境下において、フローテスター「CFT−500D」(島津製作所製)により、荷重196N(20kgf)、開始温度60℃、予熱時間300秒間、昇温速度6℃/分の条件で、円柱型ダイの穴(1mm径×1mm)より、直径1cmのピストンを用いて予熱終了時から押し出し、昇温法の溶融温度測定方法でオフセット値5mmの設定で測定したオフセット法温度T0ffsetが、試料の軟化点とされる。
トナーの軟化点温度は、測定試料をトナーとして上記と同様の方法によって測定されるものである。
(着色剤)
トナー母体粒子を構成する着色剤としては、公知の無機又は有機着色剤を使用することができる。
また、着色剤の添加量はトナー全体に対して1〜30質量%、好ましくは2〜20質量%の範囲とされる。
(離型剤)
トナー母体粒子には、離型剤が含有されていても良い。離型剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、ポリエチレンワックス、酸化型ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化型ポリプロピレンワックス等の炭化水素系ワックス、カルナウバワックス、脂肪酸エステルワックス、サゾールワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、ホホバ油ワックス及び蜜ろうワックス等を挙げることができる。
トナー母体粒子中における離型剤の含有割合としては、トナー母体粒子形成用結着樹脂100質量部に対して通常1〜30質量部とされ、より好ましくは、5〜20質量部の範囲内とされる。
(荷電制御剤)
トナーには、荷電制御剤が含有されていても良い。例えば、サリチル酸誘導体の亜鉛やアルミニウムによる金属錯体(サリチル酸金属錯体)、カリックスアレーン系化合物、有機ホウ素化合物、及び含フッ素4級アンモニウム塩化合物等を挙げることができる。
トナー母体粒子中における荷電制御剤の含有割合としては、結着樹脂100質量部に対して通常0.1〜5.0質量部の範囲とされる。
(トナー母体粒子の製造方法)
本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法は、トナー母体粒子に外添剤として潤滑剤粒子を添加するものであるが、当該トナー母体粒子を製造する方法としては、混練粉砕法、懸濁重合法、乳化凝集法、溶解懸濁法、ポリエステル伸長法及び分散重合法等が挙げられる。
これらの中でも、高画質化、高安定性に有利となる粒径の均一性、形状の制御性、コア・シェル構造形成の容易性の観点より、乳化凝集法を採用することが好ましい。
乳化凝集法は、界面活性剤や分散安定剤によって分散された樹脂微粒子の分散液を、必要に応じて着色剤微粒子等のトナー母体粒子構成成分の分散液と混合し、凝集剤を添加することによって所望のトナーの粒径となるまで凝集させ、その後又は凝集と同時に、樹脂微粒子間の融着を行い、形状制御を行うことにより、トナー母体粒子を製造する方法である。
ここで、樹脂微粒子を、任意に離型剤、荷電制御剤等の内添剤を含有したものとしても良く、組成の異なる樹脂よりなる2層以上の複数層で構成された複合粒子とすることもできる。
また、凝集時に、異種の樹脂微粒子を添加し、コア・シェル構造のトナー母体粒子とすることもトナー構造設計の観点から好ましい。
樹脂微粒子は、例えば、乳化重合法、ミニエマルション重合法、転相乳化法等、又はいくつかの製法を組み合わせて製造することができる。樹脂微粒子に内添剤を含有させる場合には、中でもミニエマルション重合法を用いることが好ましい。
本発明に係るトナー母体粒子の体積基準平均粒径は、5.0〜8.0μmの範囲内であることが好ましい。トナー母体粒子の体積基準平均粒径がこの範囲内であると高精細な画像を得ることができる。
トナー母体粒子の平均円形度(形状係数)は、流動性向上の観点から、0.930〜0.990が好ましく、より好ましくは0.955〜0.980である。
(トナー母体粒子の平均円形度及び体積基準平均粒径の測定法)
平均円形度及び体積基準平均粒径は、フロー式粒子像分析装置「FPIA−2100」(シスメックス社製)を用いて測定することができる。具体的には、トナーを界面活性剤入り水溶液にてなじませ、超音波分散処理を1分間行って分散させた後、「FPIA−2100」(シスメックス社製)によって、測定条件HPF(高倍率撮像)モードにて、HPF検出数3000〜10000個の適正濃度で撮影を行い、平均円形度と体積基準平均粒径を測定することができる。
円形度については、個々のトナー母体粒子について下記式(1)により、円形度を算出し、平均円形度を算出する。ここで、「円相当径」とは粒子像と同じ面積を有する円の直径をいう。
式(1):円形度=円相当径から求めた円の周囲長/粒子投影像の周囲長
《トナー母体粒子への潤滑剤粒子の添加方法》
上記した潤滑剤粒子や後述するその他の外添剤を、乾燥処理したトナー母体粒子に添加、混合することにより、静電荷像現像用トナーを製造することができる。
添加方法としては、乾燥されたトナー母体粒子に外添剤を粉体で添加する乾式法が挙げられ、混合装置としては、ヘンシェルミキサーやコーヒーミル等の機械式の混合装置が挙げられる。
《その他の外添剤》
トナー母体粒子には、上記潤滑剤粒子の他にトナーとしての帯電性能や流動性を向上させる観点から、その表面に公知の無機微粒子や有機微粒子等を外添剤として添加することが好ましい。その他の外添剤をトナー母体粒子に添加するタイミングとしては、トナー母体粒子に潤滑剤粒子を添加する前であっても良いし、トナー母体粒子に潤滑剤粒子を添加した後であっても良い。
無機微粒子としては、例えば、シリカ、チタニア又はアルミナ等の無機酸化物微粒子を使用することが好ましく、更に、それらはシランカップリング剤やチタンカップリング剤等によって疎水化処理されていることが好ましい。
有機微粒子としては、例えば、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート又はスチレン−メチルメタクリレート共重合体等の重合体を使用することができる。
上記無機微粒子や有機微粒子の含有量としては、その合計が、トナー母体粒子100質量部に対して0.05〜5質量部の範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.1〜3質量部の範囲内である。
また、トナー母体粒子には、感光体表面の研磨効果を高める目的で、研磨効果の高い金属酸化物微粒子を外添剤として添加することも好ましい。研磨効果の高い金属酸化物微粒子としては、例えば、個数平均一次粒径が100〜300nmの範囲内であるシリカ微粒子、アルミナ微粒子、酸化セリウム微粒子、チタン酸カルシウム微粒子又はチタン酸ストロンチウム微粒子が好ましい。これらの中でも、チタン酸カルシウム微粒子又はチタン酸ストロンチウム微粒子が特に好ましい。
これらの金属酸化物微粒子は、トナー母体粒子に外添剤として含有されることによって、クリーニングブレード先端部分に堆積して研磨剤として感光体表面のリフレッシュ効果を発揮する。すなわち、感光体上に延展された過剰の脂肪酸金属塩を研磨することで感光体表面の黒点状の画像不良の発生を抑制する効果や放電生成物を除去する効果があり、また、トナーの流動性や帯電性能を制御する効果も有している。
また、これらの研磨効果のある金属酸化物微粒子の含有量は、トナー母体粒子100質量部に対して0.05〜5質量部の範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.1〜3質量部の範囲内である。
また、これらの金属酸化物微粒子は、耐熱保管性及び環境安定性の観点から、シランカップリング剤やチタンカップリング剤、高級脂肪酸、シリコーンオイル等によって表面処理が施されていることが好ましい。
《現像剤》
本発明の方法で製造される静電荷像現像用トナーは、磁性又は非磁性の一成分現像剤として使用することもできるが、キャリアと混合して二成分現像剤として使用しても良い。二成分現像剤として使用する場合におけるキャリアとしては、鉄、フェライト又はマグネタイト等の金属、及び、それらの金属とアルミニウム又は鉛等の金属との合金等の従来公知の材料からなる磁性粒子を用いることができ、特にフェライト粒子が好ましい。また、キャリアとしては、磁性粒子の表面を樹脂等の被覆剤で被覆した樹脂被覆キャリア(コートキャリア)や、バインダー樹脂中に磁性体微粉末を分散してなるバインダー型キャリア等を用いても良い。
樹脂被覆キャリアを構成する被覆樹脂としては、特に限定はないが、例えばオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル樹脂又はフッ素樹脂等が挙げられる。また、バインダー型キャリアを構成するバインダー樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えばスチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂又はフェノール樹脂等を使用することができる。これらの中では、帯電性及び耐久性の観点から、スチレン−アクリル系樹脂やアクリル系樹脂で被覆した樹脂被覆キャリアが好ましい。
キャリアは、高画質の画像が得られること、及びキャリア付着が抑制されることから、その体積平均粒径が20〜100μmの範囲内であることが好ましく、更に好ましくは25〜80μmの範囲内である。キャリアの体積平均粒径は、代表的には湿式分散機を備えたレーザー回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパテック社(Sympatec)製)により測定することができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
《トナー母体粒子の作製》
(1)樹脂微粒子の作製
(1−1)コア部用樹脂微粒子〔1〕の分散液の調製
下記に示す第1段重合、第2段重合及び第3段重合を経て多層構造を有するコア部用樹脂微粒子〔1〕を作製した。
(a)第1段重合(樹脂微粒子〔A1〕の分散液の調製)
撹拌装置、温度センサー、冷却管及び窒素導入装置を取り付けた反応容器に、ポリオキシエチレン−2−ドデシルエーテル硫酸ナトリウム4質量部をイオン交換水3040質量部に溶解させた界面活性剤溶液を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。この界面活性剤溶液に、重合開始剤(過硫酸カリウム:KPS)10質量部をイオン交換水400質量部に溶解させた重合開始剤溶液を添加した。次いで、温度を75℃とした後、スチレン532質量部、n−ブチルアクリレート200質量部、メタクリル酸68質量部及びn−オクチルメルカプタン16.4質量部からなる単量体混合液を1時間かけて滴下し、この系を75℃にて2時間にわたり加熱、撹拌することによって重合(第1段重合)を行い、樹脂微粒子〔A1〕の分散液を調製した。なお、第1段重合で調製した樹脂微粒子〔A1〕の重量平均分子量(Mw)は16500であった。
重量平均分子量(Mw)の測定は、「HLC−8220」(東ソー社製)及びカラム「TSKguardcolumn+TSKgelSuperHZM−M3連」(東ソー社製)を用いた。カラム温度を40℃に保持しながら、キャリア溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を流速0.2mL/minで流した。測定試料を室温において超音波分散機を用いて5分間処理を行う溶解条件で濃度1mg/mLになるようにテトラヒドロフランに溶解させ、次いで、ポアサイズ0.2μmのメンブランフィルターで処理して試料溶液を得た。この試料溶液10μLを上記のキャリア溶媒とともに装置内に注入し、屈折率検出器(RI検出器)を用いて検出し、測定試料の有する分子量分布を単分散のポリスチレン標準粒子を用いて測定した検量線を用いて算出した。検量線測定用の標準ポリスチレン試料としては、Pressure Chemical社製の分子量が6×10、2.1×10、4×10、1.75×10、5.1×10、1.1×10、3.9×10、8.6×10、2×10、4.48×10のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を測定し、検量線を作成した。また、検出器には屈折率検出器を用いた。
(b)第2段重合(樹脂微粒子〔A2〕の分散液の調製:中間層の形成)
撹拌装置を取り付けたフラスコ内において、スチレン101.1質量部、n−ブチルアクリレート62.2質量部、メタクリル酸12.3質量部及びn−オクチルメルカプタン1.75質量部からなる単量体混合液に、離型剤として、パラフィンワックス「HNP−57」(日本精蝋社製)93.8質量部を添加し、90℃に加温して溶解させた。
一方、ポリオキシエチレン−2−ドデシルエーテル硫酸ナトリウム3質量部をイオン交換水1560質量部に溶解させた界面活性剤溶液を98℃に加熱した。この界面活性剤溶液に、前述の樹脂微粒子〔A1〕の分散液32.8質量部(固形分換算)を添加し、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス」(エム・テクニック社製)により、前記パラフィンワックスを含有する単量体溶液を8時間混合分散させ、分散粒径340nmを有する乳化粒子を含む分散液を調製した。次いで、この乳化粒子分散液に、過硫酸カリウム6質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた重合開始剤溶液を添加し、この系を98℃にて12時間にわたり加熱撹拌することにより重合(第2段重合)を行い、樹脂微粒子〔A2〕の分散液を調製した。なお、第2段重合で調製した樹脂微粒子〔A2〕の重量平均分子量(Mw)は23000であった。
(c)第3段重合(コア部用樹脂微粒子〔1〕の分散液の調製:外層の形成)
上記樹脂微粒子〔A2〕に、過硫酸カリウム5.45質量部をイオン交換水220質量部に溶解させた重合開始剤溶液を添加した。次いで、80℃の温度条件下で、スチレン293.8質量部、n−ブチルアクリレート154.1質量部及びn−オクチルメルカプタン7.08質量部からなる単量体混合液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間にわたり加熱撹拌することにより重合(第3段重合)を行った後、28℃まで冷却しコア部用樹脂微粒子〔1〕の分散液を得た。なお、コア部用樹脂微粒子〔1〕の重量平均分子量(Mw)は26800、体積基準平均粒径は125nm、ガラス転移温度(Tg)は30.5℃であった。
(1−2)シェル層用樹脂微粒子〔1〕の分散液の調製
上記コア部用樹脂粒子〔1〕の第1段重合において、スチレンを548質量部、n−ブチルアクリレートを156質量部、メタクリル酸を96質量部、n−オクチルメルカプタンを16.5質量部に変更した単量体混合液を用いた以外は同様にして、重合反応及び反応後の処理を行い、シェル層用樹脂微粒子〔1〕の分散液を調製した。なお、シェル層用樹脂粒子〔1〕のTgは49.8℃であった。
(2)着色剤微粒子分散液〔1〕の調製
ドデシル硫酸ナトリウム90質量部をイオン交換水1600質量部に添加し、この溶液を撹拌しながら、カーボンブラック「リーガル330R」(キャボット社製)420質量部を徐々に添加した。次いで、撹拌装置「クレアミックス」(エム・テクニック社製)を用いて分散処理することにより、着色剤微粒子が分散されてなる着色剤微粒子分散液〔1〕を調製した。
この着色剤微粒子分散液〔1〕における着色剤微粒子の粒径を電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子杜製)を用いて測定したところ、110nmであった。
(3)トナー粒子の作製
(a)コア部の形成
コア部用樹脂微粒子〔1〕の分散液420質量部(固形分換算)と、イオン交換水900質量部と、着色剤微粒子分散液〔1〕100質量部とを、温度センサー、冷却管、窒素導入装置及び撹拌装置を取り付けた反応容器に入れて撹拌した。反応容器内の温度を30℃に調整した後、この溶液に5モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを8〜11に調整した。
次いで、塩化マグネシウム・6水和物60質量部をイオン交換水60質量部に溶解した水溶液を、撹拌下、30℃にて10分間かけて添加した。3分間放置した後に昇温を開始し、この系を80分間かけて80℃(コア部形成温度)まで昇温した。その状態でフロー式粒子像分析装置「FPIA2100」(シスメックス社製)にて粒子の粒径を測定し、粒子の体積基準平均粒径が5.8μmになった時点で、塩化ナトリウム40.2質量部をイオン交換水1000質量部に溶解した水溶液を添加して粒径成長を停止させた。更に、熟成処理として液温度80℃(コア部熟成温度)にて1時間にわたり加熱撹拌することにより融着を継続させ、コア部〔1〕を形成した。なお、コア部〔1〕の円形度をフロー式粒子像分析装置「FPIA2100」(シスメックス社製)にて測定したところ0.930であった。また、電界放出形走査電子顕微鏡「JSM−7401F」(日本電子社製)を用いて走査透過電子顕微鏡法にてコア部〔1〕を10000倍にて観察し、着色剤が結着樹脂に溶解し、着色剤分散微粒子が残っていないことを確認した。
(b)シェル層の形成
次いで、65℃においてシェル層用樹脂微粒子〔1〕の分散液46.8質量部(固形分換算)を添加し、更に塩化マグネシウム・6水和物2質量部をイオン交換水60質量部に溶解した水溶液を、10分間かけて添加した。その後、80℃(シェル化温度)まで昇温し、1時間にわたり撹拌を継続し、コア部〔1〕の表面に、シェル層用樹脂微粒子〔1〕の粒子を融着させた。その後、80℃(シェル熟成温度)で所定の円形度まで熟成処理を行い、シェル層を形成させた。ここで、塩化ナトリウム40.2質量部をイオン交換水1000質量部に溶解した水溶液を加え、8℃/分の条件で30℃まで冷却し、生成した融着粒子を濾過し、45℃のイオン交換水で繰り返し洗浄した。その後、40℃の温風で乾燥することにより、コア部表面にシェル層を有する、体積基準平均粒径が5.9μm、Tgが31℃のトナー母体粒子〔1〕を得た。このトナー母体粒子〔1〕の平均円形度は、0.960であった。
《潤滑剤粒子1の調製》
ステアリン酸亜鉛(脂肪酸金属塩) 70質量部
ポリプロピレン(酸価18mgKOH/g:ハネウェルジャパンA-C 1325P)
30質量部
上記組成をヘシェルミキサー(日本コークス工業社製)で粉体混合し、これを設定温度120℃のエクストルダー(スエヒロEPM社製)により熱混練し、混練物を得た。冷却後、粗粉砕、微粉砕し、潤滑剤粒子1を得た。
《潤滑剤粒子2〜22の調製》
上記潤滑剤粒子1の調製において、脂肪酸金属塩の種類、並びに、ポリエチレン及びポリプロピレンの少なくとも一方の酸価及び含有量を表1に記載のとおりに変更した以外は同様にして、潤滑剤粒子2〜22を調製した。
Figure 2017194542
《静電荷像現像用トナー1の調製》
トナー母体粒子〔1〕100質量部に、潤滑剤粒子1を0.2質量部添加した。次いで、小径シリカ微粒子(「RX−200」ヒュームドシリカ HMDS処理 個数平均粒径12nm;日本アエロジル社製)を0.75質量部、球状シリカ微粒子(「X−24 9600」ゾルゲル製法によるシリカ HMDS処理 個数平均粒径80nm;信越化学社製)を1.50質量部添加し、ヘシェルミキサー(日本コークス工業社製)を用いて、撹拌羽根周速を40m/秒、処理温度30℃で15分間混合した。その後、目開き90μmのふるいを用いて粗大粒子を除去することにより、静電荷像現像用トナー1を調製した。
《静電荷像現像用トナー2〜28の調製》
上記静電荷像現像用トナー1の調製において、潤滑剤粒子の種類及び添加量を表2に記載のとおりに変更した以外は同様にして、静電荷像現像用トナー2〜28を調製した。
《静電荷像現像用トナーの評価》
上記のようにして調製した各静電荷像現像用トナーについて、以下の評価を行った。その評価結果を表2に示す。
(1)画像濃度ムラ
各静電荷像現像用トナーを用いて、温度20℃、湿度50%RHの条件下で、画像形成装置(bizhub PRESS C1100、コニカミノルタ(株)製)にて下記のように印刷を行った。なお、画像形成装置のイメージングユニットに設置されている固定潤滑剤は取り除いた。
まず、用紙の搬送方向において画像の左半分が印字率100%、右半分が印字率0%である画像チャート(以下、「画像チャートA」という。)を、A3サイズのJペーパー(コニカミノルタ製)に100枚出力した。次に、全面に印字率40%の単色ハーフトーン画像である画像チャート(以下、「画像チャートB」という。)をA3サイズのPODグロスコート紙(128g/m)に1枚出力した。最後に、画像チャートBを印刷した用紙において、画像チャートAの印字率100%に対応する領域と、画像チャートAの印字率0%に対応する領域との間に印刷画像の濃度差があるか否かを確認し、以下の基準に基づきランク分けして評価した。なお、各静電荷像現像用トナーについてそれぞれ2回ずつ実験を行い、2回の実験で得られたランクの平均値を表2に示す。
ランク5:倍率20倍のマイクロスコープを用いて拡大観察しても、印刷画像の濃度差を確認できない
ランク4:目視では印刷画像の濃度差を確認できないが、倍率20倍のマイクロスコープを用いて拡大観察すれば印刷画像の濃度差を確認できる
ランク3:通常の目視では、印刷画像の濃度差を確認できないが、蛍光灯の直下に配置した用紙に対して、約10°斜め上方向から至近距離で凝視することにより印刷画像の濃度差を確認できる
ランク2:どのような角度から用紙を観察しても、目視で印刷画像の濃度差を確認できる
ランク1:目視で印刷画像の濃度差が明瞭に確認できる
また、上記2回の実験で得られたランクの平均値が、1以上3未満の場合を×、3以上を合格とし、3以上3.5未満の場合を△、3.5以上5未満の場合を○、5の場合を◎と判定し、その判定結果を表2に併せて示す。
(2)画像ボケ
各静電荷像現像用トナーを用いて、温度30℃、湿度80%RHの条件下で、画像形成装置(bizhub PRESS C1100、コニカミノルタ(株)製)にて下記のように印刷を行った。なお、画像形成装置のイメージングユニットに設置されている固定潤滑剤は取り除いた。
まず、印字率10%の画像をA3サイズのJペーパー(コニカミノルタ製)に1万枚出力した直後に、画像形成装置の主電源を停止した。停止してから12時間経過後に再び電源を入れ、プリント可能状態になった後、直ちにA3サイズのPODグロスコート紙(128g/m)にハーフトーン画像(マクベス濃度計で相対反射濃度0.4)を1枚出力するとともに、A3サイズ全面の6dot格子画像を1枚出力した。印字画像の状態を目視観察し、以下の基準に基づき評価した。なお、△以上を合格とした。
◎:ハーフトーン及び格子画像ともに画像ボケの発生がなく、良好
○:ハーフトーン画像に感光体長軸方向の薄い帯状の濃度低下が認められるが、更に2枚出力後に画像ボケが解消
△:ハーフトーン画像に感光体長軸方向の薄い帯状の濃度低下が認められるが、更に7枚出力後に画像ボケが解消
×:画像ボケによる格子画像の欠損又は線幅の細りが発生し、更に7枚出力後でも画像ボケが解消せず
Figure 2017194542
(3)まとめ
表1及び表2に示すように、本発明に係る静電荷像現像用トナーは、比較例の静電荷像現像用トナーに比べて、画像濃度ムラ及び画像ボケともに抑えられていることが分かる。したがって、本発明によれば、潤滑剤を含有し、画像面内で印字率差の大きい画像を連続して出力した場合においても画像品質の低下を抑制できる静電荷像現像用トナーを製造できるといえる。
また、静電荷像現像用トナー1〜7の比較により、潤滑剤粒子の含有量が、トナー母体粒子100質量部に対して0.01〜2.00質量部の範囲内であると、画像濃度ムラ及び画像ボケがより抑えられることが分かる。
また、静電荷像現像用トナー1、8〜13の比較により、ポリエチレン及びポリプロピレンの少なくとも一方の含有量が、潤滑剤粒子100質量部に対して3〜50質量部の範囲内であると、画像濃度ムラ及び画像ボケがより抑えられることが分かる。
また、静電荷像現像用トナー1、14〜17の比較により、ポリエチレン又はポリプロピレンの少なくとも一方の酸価が、41mgKOH/g以下であると、画像ボケがより抑えられることが分かる。
また、静電荷像現像用トナー1、25の比較により、脂肪酸金属塩がステアリン酸亜鉛であると、画像ボケがより抑えられることが分かる。

Claims (5)

  1. 少なくとも結着樹脂及び着色剤を含有するトナー母体粒子と、潤滑剤粒子と、を含有する静電荷像現像用トナーの製造方法であって、
    脂肪酸金属塩と、ポリエチレン及びポリプロピレンの少なくとも一方とを混合して前記潤滑剤粒子を調製する工程と、
    前記トナー母体粒子に前記潤滑剤粒子を添加する工程と、を有し、
    前記ポリエチレン及びポリプロピレンの少なくとも一方の酸価が、1mgKOH/g以上の範囲内であることを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
  2. 前記潤滑剤粒子の添加量が、前記トナー母体粒子100質量部に対して0.01〜2.00質量部の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  3. 前記潤滑剤粒子中の前記ポリエチレン及びポリプロピレンの少なくとも一方の含有量が、前記潤滑剤粒子100質量部に対して3〜50質量部の範囲内であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  4. 前記ポリエチレン及びポリプロピレンの少なくとも一方の酸価が、41mgKOH/g以下の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  5. 前記脂肪酸金属塩が、ステアリン酸亜鉛を含有することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
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