JP2017207397A - ガス濃度検出装置 - Google Patents

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哲哉 伊藤
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Abstract

【課題】限界電流式のガス濃度センサを用いてガス濃度を検出する場合に、精度良くガス濃度を検出できるガス濃度検出装置を提供すること。【解決手段】ステップ130では、ポンプ電流Ipがリッチ側切替電流IpRを下回るか否かを判定する。ステップ140では、ポンプ電流Ipがリッチ側切替電流IpRを下回るので、印加電圧Vpをリッチ側第2電圧値Vp2Rに設定する。ステップ150では、ポンプ電流Ipがリーン側切替電流IpL以下か否かを判定する。ステップ160では、ポンプ電流Ipがリッチ側切替電流IpR以上で、且つ、リーン側切替電流IpR以下であるので、印加電圧Vpを第1電圧値Vp1に設定する。ステップ170では、ポンプ電流Ipがリーン側切替電流IpLを上回るので、印加電圧Vpをリーン側第2電圧値Vp2Lに設定する。【選択図】図6

Description

本発明は、測定対象ガスに含まれる特定ガスの濃度を検出するガス濃度検出装置に関する。
従来、例えば車両のエンジンから排出される排ガス中の酸素濃度(従って空燃比:A//F)を検出する装置として、限界電流式の空燃比センサが知られている。
この種の空燃比センサは、センサ素子として、例えば固体電解質体と固体電解質体に設けられた一対の電極とを備えており、一対の電極間に電圧(印加電圧Vp)を印加することによって、酸素濃度に応じた電流(ポンプ電流Ip)が流れるように構成されている。
このセンサ素子のポンプ電流Ipと印加電圧Vpとの関係を示す出力特性を図4(a)に示すが、出力特性として、電圧軸に対して平行で平坦な領域、即ちポンプ電流Ipが一定となる限界電流の領域(限界電流域)GDがあることが知られている。また、この限界電流域GDのポンプ電流Ipは、酸素濃度が高くなるほど大きくなることが知られている。
従って、従来では、センサ素子に対して、限界電流域GDに応じた印加電圧Vpを付与し、それによって得られるポンプ電流Ipから酸素濃度を検出していた。即ち、いわゆる限界電流方式により、酸素濃度(従って空燃比)を検出していた。
上述した技術では、空燃比を正確に検出するために、印加電圧Vpを限界電流域GDに対応した範囲にて制御する必要があるので、通常、直線を示す一次関数にて、(印加電圧Vpを決めるための)印加電流Vpとポンプ電流Ipとの関係を示す印加電圧線IDを設定して、この印加電圧線IDを用いて印加電圧Vpを決定していた。
ところが、図4(b)に示すように、前記出力特性や前記限界電流域GDは、温度によって変化するので(高温側H、低温側L)、近年では、印加電圧線IDの新しい設定方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。
この設定方法とは、温度条件が相違する複数の出力特性(高温側H、低温側L)において、限界電流域GDが重複する領域を通すようにして、1本の直線(一次関数)にて印加電圧線IDを設定するものである。
特許第4124119号公報
しかしながら、上述したように、単に温度条件を加味して1本の直線にて印加電圧線IDを設定する従来技術では、必ずしも十分ではない。
つまり、実際には、ガス雰囲気(即ち酸素濃度)や各センサ素子に応じて、それぞれ固体電解質体の抵抗値が変わるため、酸素濃度の検出精度が低下する恐れがある。
例えば、温度条件を加味した場合でも、酸素濃度によっては(例えば燃料がストイキより多いリッチの場合などでは)、1本の直線の印加電圧線IDでは限界電流域GDから外れる状態があり、そのときには、この印加電圧線IDを用いた制御を行っても、酸素濃度を精度よく検出できないという問題があった。
そこで、本発明は、限界電流式のガス濃度センサを用いてガス濃度を検出する場合に、精度良くガス濃度を検出できるガス濃度検出装置を提供することを目的とする。
(1)本発明の第1局面は、酸素イオン導電性を有する固体電解質体と該固体電解質体上に形成された一対の電極とを有するセンサ素子を備えたガス濃度センサに対し、前記一対の電極間に印加する電圧と前記一対の電極間に流れる電流との関係を規定する印加電圧線に基づいて、前記一対の電極間に電圧を印加するとともに、該電圧に応じて前記一対の電極間に流れる限界電流を検出し、該限界電流に基づいて、測定対象ガス中の特定成分のガス濃度を検出するガス濃度検出装置に関するものである。
このガス濃度検出装置では、前記ガス濃度を検出する検出範囲にて、前記印加電圧線を、前記ガス濃度が異なる場合のそれぞれの限界電流域と、前記センサ素子の温度条件が異なる場合のそれぞれの前記限界電流域が重複する領域と、の複数の前記限界電流域を通すように設定する。さらに、前記印加電圧線によって設定される前記電圧として、前記ガス濃度に対応した空燃比が所定の第1範囲では同一の第1電圧値を用い、前記空燃比が前記第1範囲に隣り合う第2範囲では前記第1電圧値とは異なる同一の第2電圧値を用い、前記第1範囲と前記第2範囲との間にて前記第1電圧値と前記第2電圧値とを切り替える。
このように、本第1局面では、基本的な構成として、印加電圧線を、ガス濃度が異なる場合のそれぞれの限界電流域を通すとともに、センサ素子の温度条件が異なる場合のそれぞれの限界電流域の重複する領域を通すように設定している。
しかも、本第1局面では、上述した基本的な構成において、さらに、印加電圧線によって設定される電圧として、ガス濃度に対応した空燃比が所定の第1範囲では同一の第1電圧値を用い、空燃比が第1範囲に隣り合う第2範囲では第1電圧値とは異なる同一の第2電圧値を用い、第1範囲と第2範囲との間にて第1電圧値と第2電圧値とを(ステップ状に)切り替えるので、精度良くガス濃度(詳しくは空燃比)を検出することができる。
つまり、温度条件を加味した場合でも、例えば酸素濃度等によっては、1本の直線の印加電圧線ではいくつかの限界電流域から外れることがあり、そのときには、この印加電圧線を用いた制御を行っても、例えば酸素濃度を精度よく検出できないことがある。
これに対して、本第1局面では、前記ガス濃度を検出する検出範囲を、少なくとも2つの隣り合う第1範囲と第2範囲とに分け、第1範囲では同じ固定値である第1電圧値、第2範囲では同じ固定値である第2電圧値を、それぞれの範囲におけるガス濃度が異なる場合のそれぞれの限界電流域と、前記センサ素子の温度条件が異なる場合のそれぞれの前記限界電流域が重複する領域を通るように設定している。さらに、第1範囲と第2範囲との間にて第1電圧値と第2電圧値とを切り替えるので、印加電圧線が限界電流域から外れることを抑制できる。
よって、このように設定された印加電圧線を用いることにより、精度良くガス濃度(詳しくは空燃比)を検出することができる。
(2)本発明の第2局面では、前記空燃比の高い測定精度が要求される高精度領域では、前記第1電圧値と前記第2電圧値とを切り替えず、前記高精度領域よりも測定精度の要求が低い低精度領域にて、前記第1電圧値と前記第2電圧値とを切り替える。
空燃比センサ(例えばジルコニア酸素センサ)は容量成分を持っているので、図7に示すように、一対の電極間にステップ状に電圧(Vp)を印加すると、その電極間に流れる電流(Ip)がスパイク状に変化する。そのため、空燃比の高い測定精度が要求される高精度領域でステップ状に電圧を印加すると、電流にノイズが発生して、空燃比の測定精度が低下する恐れがある。
そこで、本第2局面では、高い測定精度が要求される高精度領域では、電圧の切り替えを行わずに、測定精度の要求が低い低精度領域にて電圧を切り替える。
これにより、電圧をステップ状に切り替えて印加電圧線が(素子温によって変化する)限界電流域を外れないようできるとともに、低精度領域にて電圧を切り替えることによって、高精度領域において測定精度が低下することを抑制することができる。
なお、前記高精度領域は、電圧が切り替えられる第1範囲と第2範囲との境界からずらして設定される。例えば第1範囲中に高精度領域が設定される場合には、例えば第1範囲のリーン側の境界及びリッチ側の境界より内側に高精度領域が設定される。
(3)本発明の第3局面では、前記一対の電極間に流れる限界電流に基づいて、前記第1電圧値と前記第2電圧値とを切り替える。
第3局面は、第1電圧値と第2電圧値とを切り替える好ましい切替方法を例示したものである。一対の電極間に流れる限界電流は、ガス濃度(詳しくは空燃比)に対応したものであるので、その限界電流に応じて第1電圧値と第2電圧値とを切り替えることにより、限界電流域から外れにくい印加電圧線を設定できる。
(4)本発明の第4局面では、前記第1範囲は、ストイキからリーン側の所定の空燃比の範囲を示すリーン側範囲と前記ストイキからリッチ側の所定の空燃比の範囲を示すリッチ側範囲と、により構成されている。
第4局面は、第1範囲の好ましい範囲を例示したものである。例えば目標空燃比をストイキに設定した場合には、このように第1範囲を設定することで、ストイキ近傍で、第1範囲と第2範囲とが変わることに伴う印加電圧の切り替えを防止することができる。
(5)本発明の第5局面では、前記空燃比が前記リーン側範囲よりリーン側の場合に、前記第1電圧値を前記第2電圧値であるリーン側第2電圧値に変更する。
第5局面は、リーンにおいて電圧を切り替える場合に設定する電圧値を例示したものである。
(6)本発明の第6局面では、前記空燃比が前記リッチ側範囲よりリッチ側の場合に、前記第1電圧値を前記第2電圧値であるリッチ側第2電圧値に変更する。
第6局面は、リッチにおいて電圧を切り替える場合に設定する電圧値を例示したものである。
<以下、本発明の各構成について説明する>
・前記限界電流とは、周知のように、一対の電極間に印加する電圧が変化しても一対の電極間に流れる電流の値が実質的に変化しない領域(限界電流域)の電流値であり、この限界電流がガス濃度(例えば酸素濃度や空燃比)に対応している。
・空燃比とは、燃料(F)に対する空気(A)の質量の割合(A/F)である。ここで、空燃比がリーンとは、空気/燃料の割合が理論空燃比(ストイキ)よりも燃料が少ない状態を示し、空燃比がリッチとは、空気/燃料の割合がストイキよりも燃料が多い状態を示している。
・印加電圧線とは、一対の電極間に印加される電圧と(その電圧が印加されたときに)一対の電極間に流れる電流との関係を規定したものであり、複数のガス濃度(詳しくは空燃比)に対応した複数の限界電流域を通るように設定されている。
従って、この印加電圧線を用いて、例えば電流を設定することにより、一対の電極間に印加される電圧を求めることができる。
本発明のガス濃度検出装置によれば、測定対象ガス中の特定ガスの濃度の検出精度が高いという効果がある。
実施形態における空燃比センサ及びガス濃度検出装置のシステム構成を示す説明図である。 実施形態におけるセンサ素子を厚み方向に(即ち図3のA−A断面にて)破断し、電気的構成とともに示す説明図である。 実施形態におけるセンサ素子の一部を破断し、厚み方向から示す説明図である。 空燃比センサの基本的な電圧と電流との関係(V−I特性)を示すグラフであり、(a)は空燃比に応じて変化する限界電流域を示すグラフ、(b)は素子温に応じて変化する抵抗支配域や限界電流域を示すグラフである。 実施形態にて設定する印加電圧線を示すグラフである。 実施形態における空燃比検出の制御処理を示すフローチャートである。 (a)はステップ状に印加される電圧を示すグラフであり、(b)はその電圧が印加された場合の電流の変化を示すグラフである。
以下、本発明が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
なお、以下に示す実施形態では、ガス濃度センサの一種である空燃比センサを用いてガス濃度を測定するガス濃度検出装置を例に挙げる。
[1.実施形態]
[1−1.全体構成]
まず、実施形態のガス濃度検出装置に関するシステムの全体の構成について説明する。
図1に示す様に、実施形態では、例えば車両のエンジン1の排気管3に、空燃比センサ5が取り付けられており、ガス濃度検出装置7は、この空燃比センサ5からの出力に基づいて、エンジン1から排出される排ガスの酸素濃度(従って空燃比)を検出する。
図2及び図3に示すように、空燃比センサ5は、酸素濃度を検出する積層型のセンサ素子9を備えている。このセンサ素子9は、長尺の素子であり、図示しないハウジング等に収容されている。
詳しくは、センサ素子9は、層状の固体電解質体(固体電解質層)11と拡散抵抗層13と中間絶縁層15と第1外側絶縁層17と第2外側絶縁層19を備えるとともに、測定室21と基準酸素室23とを備えている。
このうち、固体電解質層11は、例えば部分安定化ジルコニアからなる矩形の板材であり、その測定室21に面する表面には第1電極25が配置され、基準酸素室23に面する表面には、第2電極27が配置されている。つまり、一対の第1電極25及び第2電極27は、固体電解質層11を挟んで対向して配置されている。なお、両電極25、27は、例えば白金からなる。ここで、両電極25、27を備えた固体電解質層11を素子部10と称する。
拡散抵抗層13は、固体電解質層11と第1外側絶縁層17との間に配置された多孔質層であり、例えばアルミナ、ジルコニア等からなる。この拡散抵抗層13により、外部(排気管3内の空間)から測定室21内に排ガスが導入されるとともに、排ガスの拡散が律速される。
中間絶縁層15は、固体電解質層11と第1外側絶縁層17との間に配置された緻密な層(ガスの透過ができないように形成された層)であり、例えばアルミナ、ジルコニア等からなる。この中間絶縁層15は、拡散抵抗層13とともに、測定室21の周囲を囲むように配置されている。
第1外側絶縁層17は、測定室21、中間絶縁層15、拡散抵抗層13を、図2の上方より覆うように配置された緻密な層であり、例えばアルミナ、ジルコニア等からなる。
第2外側絶縁層19は、基準酸素室23の周囲を覆うように配置された緻密な層であり、例えばアルミナ、ジルコニア等からなる。なお、図示しないが、第2外側絶縁層19には、センサ素子9を加熱するヒータが埋設されている。
測定室21は、外部から拡散抵抗層13を介して排ガスが導入される直方体形状の空間であり、その内部の固体電解質層11に、第1電極25が配置されている。
基準酸素室23は、大気が導入される長尺の空間であり、図3の上方に開口している。なお、その内部の固体電解質層11に、第2電極27が配置されている。
次に、ガス濃度検出装置7の電気的構成について説明する。
図2に示すように、ガス濃度検出装置7は、センサ素子9(従って空燃比センサ5)の動作を制御して、排ガスの酸素濃度(従って空燃比)を検出する装置であり、マイクロコンピュータ(マイコン)31と電気制御回路33とを備えている。
マイコン31は、周知のCPU、ROM、RAM等を備えた電子制御装置である。なお、ROMには、印加電圧線や後述するリッチ側切替電流IpR、リーン側切替電流IpLなど、制御に必要なデータが記憶されている。
電気制御回路33は、マイコン31によって制御されて、両電極25、27間に電圧(印加電圧Vp)を印加するとともに、両電極25、27間に流れる電流(ポンプ電流Ip)を測定することができる周知の回路である。
[1−2.基本動作]
次に、空燃比センサ5の基本的な動作のうち酸素のポンピングについて説明する。
図2に示すように、前記センサ素子9では、その周囲の排ガスは、拡散抵抗層13を介して測定室21内に導入される。なお、ここでは、第1電極25が正、第2電極25が負となるように電圧を印加する場合を説明する。
まず、排ガス中の燃料がストイキ(理論空燃比:A/F=14.7)より少ない場合(いわゆるリーンの場合)には、排ガス中の酸素は、両電極25、27間に電圧(印加電圧Vp)を印加することにより、第1電極25にて酸素イオンに分解される。
これにより、酸素イオンは、第1電極25から固体電解質層11を通過して第2電極27に供給され、第2電極27から酸素として基準酸素室23に排出される。いわゆる、測定室21からの酸素の汲み出しが行われる。これにより、第2電極27側から第1電極25側に正電流である電流(ポンプ電流Ip)が流れる。
一方、排ガス中の燃料がストイキより多い場合(いわゆるリッチの場合)には、リーンの場合とは逆に、基準酸素室23内の酸素は、第2電極27にて酸素イオン分解される。
そして、分解された酸素イオンは、第2電極27から固体電解質層11を通過して第1電極25に供給され、第1電極25から酸素として測定室21に排出される。いわゆる、測定室21への酸素の汲み入れが行われる。これにより、第1電極25側から第2電極27側に負電流である電流が流れる。
従って、後に詳述するように、上述したポンプ電流Ipに基づいて、印加電圧Vpを設定したり、排ガスの空燃比を検出することができる。
[1−3.電圧と電流との関係]
次に、印加電圧Vpとポンプ電流Ipとの関係や、ガス濃度検出の際に用いる印加電圧線IDについて説明する。
図4(a)に示すように、印加電圧Vpとポンプ電流Ipとの関係を示すグラフ(特性ラインTL)は、印加電圧Vpの増加に比例してポンプ電流Ipが変化する比例部分HBと、電圧軸に平行な平坦部分とを有している。
このうち、比例部分HBは、センサ素子9の素子部10(詳しくは固体電解質層11)の直流内部抵抗Ri(以下単に抵抗Rと記すこともある)に影響される抵抗支配域である。つまり、抵抗支配領域では、印加電圧Vpが増加するとそれに比例してポンプ電流Ipが増加する。この抵抗Rは、後述するように、センサ素子9(詳しくは固体電解質層11)の温度(素子温)に応じて変化する。
また、平坦部分は、印加電圧Vpが変化してもポンプ電流Ipが実質的に変化せず一定の値(限界電流)を保つ部分である。この平坦部分は、酸素濃度(即ち空燃比)に対応したポンプ電流Ipを示す限界電流域GDであり、限界電流の変化が、空燃比の変化に対応している。
つまり、空燃比がリーン側になるほど、ポンプ電流Ipの限界電流は増加し、空燃比がリッチになるほど、限界電流は減少するので、限界電流から空燃比を求めることができる。
例えば図4(a)に示すような単純な特性ラインTLを考えた場合には、各空燃比に応じて各限界電流域GDを通るように、印加電圧特性を示す1本の直線状の印加電圧線IDを設定し、この印加電圧線IDを用いて、空燃比の検出を行うことが考えられる。つまり、印加電圧線IDに従って所定の電圧を印加し、その際に得られる(限界電流を示す)ポンプ電流Ipに基づいて、空燃比を求めることが考えられる。
しかし、前記特性ラインTLは、上述したように、限界電流域GDよりも低電圧側(図4(a)の左側)は、固体電解質層11の抵抗Rの影響を受ける抵抗支配域であり、素子温に応じて変化するという特性がある。
具体的には、図4(b)に示すように、素子温が低下すると(低温側Lの場合)、抵抗Rが増加し、直線状の比例部分HBの傾きが小さくなる。一方、素子温が上昇すると(低温側Lより温度が高い高温側Hの場合)、抵抗Rが小さくなり、直線状の比例部分HBの傾きが大きくなる。
しかも、このように素子温が変化する場合には、同図4(b)に示すように、特性ラインTLの傾き(比例部分HBの傾き)だけではなく、限界電流域GDも電圧軸の方向に沿って変化する(例えば大気における高温側Hと低温側Lの限界電流GD参照)。
従って、この素子温に伴う限界電流域GDの変化も考慮して、印加電圧線IDを設定する必要がある。
そこで、本実施形態では、図5に示すように、リーン側及びリッチ側の所定値にて(従って所定のポンプ電流Ipにて)ステップ状に折れ曲がった1本の印加電圧線IDを設定している。
詳しくは、この印加電圧線IDは、ストイキをリーンとリッチとで挟んだ所定の範囲(第1範囲)では、印加電圧Vpが固定値である第1電圧値(例えば450[mV])に設定されている。
つまり、空燃比(A/F)が12〜20に相当する(限界電流である)ポンプ電流Ipが、リッチ側切替電流IpRからリーン側切替電流IpLの間は、第1電圧値Vp1に設定されている。
なお、リッチ側切替電流IpRからリーン側切替電流IpLの範囲(但し、IpL>IpR)が、第1範囲である。また、ポンプ電流Ipが、リーン側切替電流IpLから0の範囲が第1範囲におけるリーン側範囲であり、リッチ側切替電流IpRから0の範囲が第1範囲におけるリッチ側範囲である。
さらに、印加電圧線IDは、リーン側切替電流IpLを上回る所定の範囲(リーン側の第2範囲)では、印加電圧Vpが固定値であるリーン側第2電圧値Vp2L(例えば700[mV])に設定されている。
一方、印加電圧線IDは、リッチ側切替電流IpRを下回る所定の範囲(リッチ側の第2範囲)では、印加電圧Vpが固定値であるリッチ側第2電圧値Vp2R(例えば300[mV])に設定されている。
このように、印加電圧線IDは、ポンプ電流Ipがリーン側切替電流IpL又はリッチ側切替電流IpRになった場合に、第1電圧値Vp1、リーン側第2電圧値Vp2L、リッチ側第2電圧値Vp2Rに切り替わるように設定されている。
詳しくは、ポンプ電流Ipが、リッチ側切替電流IpR未満からリッチ側切替電流IpR以上になった場合には、ポンプ電圧Vpは、リッチ側第2電圧値Vp2Rから第1電圧値Vp1に切り替えられる。
逆に、ポンプ電流Ipが、リッチ側切替電流IpR以上からリッチ側切替電流IpR未満になった場合には、ポンプ電圧Vpは、第1電圧値Vp1からリッチ側第2電圧値Vp2Rに切り替えられる。
一方、ポンプ電流Ipが、リーン側切替電流IpLを上回る状態からリーン側切替電流IpL以下になった場合には、ポンプ電圧Vpは、リーン側第2電圧値Vp2Lから第1電圧値Vp1に切り替えられる。
逆に、ポンプ電流Ipが、リーン側切替電流IpL以下からリーン側切替電流IpLを上回る状態になった場合には、ポンプ電圧Vpは、第1電圧値Vp1からリーン側第2電圧値Vp2Lに切り替えられる。
なお、前記第1範囲とは、リーン側切替電流IpL以上リッチ側切替電流IpR以下に対応する範囲(例えばA/F:12〜20の範囲)である。また、前記リーン側の第2範囲とは、リーン側切替電流IpLを上回る値に対応する範囲(例えばA/F:20を上回る範囲)であり、前記リッチ側の第2範囲とは、リッチ側切替電流IpLを下回る値に対応する範囲(例えばA/F:12を下回る範囲)である。つまり、本実施形態では、ガス濃度測定範囲に対応する空燃比範囲を、3つの範囲に分けている。
また、高精度領域は、第1範囲と第2範囲との境界部分に重ならないように、第1範囲の内部に設定されている。具体的には、高精度領域は、ストイキを含むように、リーン側切替電流IpLを下回る範囲からリッチ側切替電流IpRを上回る範囲、例えばA/Fが13〜16の範囲に設定されている。なお、ここでは、高精度領域以外の領域が、低精度領域である。
[1−4.制御]
次に、マイコン31にて、印加電圧線IDを用いて行われる酸素濃度(空燃比)を検出する処理について説明する。
図6に示すように、まず、ステップ(S)100にて、印加電圧Vpの初期値として、450[mV]を設定する。
続くステップ110では、ヒータに電圧を印加して、センサ素子9の温度(素子温)を上昇させる制御を行う。なお、その後、周知のように、素子温を目標温度に保つように、ヒータの制御を行う。
続くステップ120では、目標温度において、電気制御回路33を用いて、一対の電極25、27間に、前記ステップ100にて設定した450[mV]の電圧を印加し、そのときに一対の電極25、27間に流れるポンプ電流Ipを測定する。
続くステップ130では、前記ステップ120で測定したポンプ電流Ipが、リッチ側切替電流IpRを下回るか否かを判定する。ここで肯定判断されるとステップ140に進み、一方否定判断されるとステップ150に進む。
ステップ140では、ポンプ電流Ipがリッチ側切替電流IpRを下回るので、空燃比がリッチ側の第2範囲であるとみなして、印加電圧Vpをリッチ側第2電圧値Vp2Rに設定する。
一方、ステップ150では、前記ポンプ電流Ipが、リーン側切替電流IpL以下か否かを判定する。ここで肯定判断されるとステップ160に進み、一方否定判断されるとステップ170に進む。
ステップ160では、ポンプ電流Ipが、(ステップ130の判定結果により)リッチ側切替電流IpR以上であり、且つ(ステップ150の判定結果により)リーン側切替電流IpL以下であるので、空燃比が第1範囲であるとみなして、印加電圧Vpを第1電圧値Vp1に設定する。
一方、ステップ170では、前記ポンプ電流Ipが、リーン側切替電流IpLを上回るので、空燃比がりーン側の第2範囲であるとみなして、印加電圧Vpをリーン側第2電圧値Vp2Lに設定する。
そして、前記ステップ140、160、170から進むステップ180では、各ステップ140、160、170で設定された印加電圧Vpを一対の電極25、27に印加する。
続くステップ190では、前記ステップ180にて印加された電圧によって前記一対の電極25、27に流れるポンプ電流Ipを測定し、ステップ130に戻る。
この測定されたポンプ電流Ipは、酸素濃度に対応したものであるので、このポンプ電流Ipから酸素濃度を求めることができる。なお、酸素濃度は空燃比に対応したものであるので、マップ等を用いて、ポンプ電流Ipから空燃比を求めることができる。
[1−5.効果]
・本実施形態では、基本的な構成として、印加電圧線IDを、酸素濃度(従って空燃比)が異なる場合のそれぞれの限界電流域GDを通すとともに、センサ素子9(詳しくは素子部10)の温度条件が異なる場合のそれぞれの限界電流域GDの重複する領域を通すように設定している。
しかも、本実施形態では、上述した基本的な構成において、さらに、印加電圧線IDによって設定される電圧として、ガス濃度に対応した空燃比が所定の第1範囲では同一の第1電圧値Vp1を用い、空燃比が第1範囲に隣り合うリーン側の第2範囲では(第1電圧値Vp1とは異なる)同一のリーン側第2電圧値Vp2を用い、同様に、空燃比が第1範囲に隣り合うリッチ側の第2範囲では(第1電圧値Vp1とは異なる)同一のリーン側第2電圧値Vp2を用い、第1範囲と第2範囲との間にて第1電圧値と第2電圧値とを(ステップ状に)切り替える。これにより、精度良くガス濃度(詳しくは空燃比)を検出することができる。
つまり、温度条件を加味した場合でも、例えば酸素濃度等によっては、1本の直線の印加電圧線ではいくつかの限界電流域から外れることがあり、そのときには、この印加電圧線を用いた制御を行っても、例えば酸素濃度を精度よく検出できないことがある。
これに対して、本実施形態では、第1範囲と第2範囲との間にて第1電圧値と第2電圧値とを切り替えるとともに、第1範囲では同じ固定値である第1電圧値Vpとし、リーン側の第2範囲では同じ固定値である第2電圧値Vp2Lとし、リッチ側の第2範囲では同じ固定値である第2電圧値Vp2Rとしているので、印加電圧線IDが限界電流域GDから外れることを抑制できる。よって、このように設定された印加電圧線IDを用いることにより、精度良くガス濃度(詳しくは空燃比)を検出することができる。
・また、本実施形態では、高い測定精度が要求される高精度領域では、印加電圧Vpの切り替えを行わずに、測定精度の要求が低い低精度領域にて、例えば図7(a)に示すように、ステップ状に印加電圧Vpを切り替える。
これにより、図7(b)に示すように、ポンプ電流Ipがスパイク状に変化するが、それは、高精度領域ではないため、高い測定精度に影響を及ぼすことがない。これにより、高精度領域には高い測定精度を確保することができる。
・さらに、本実施形態では、一対の電極25、27間に流れる限界電流に基づいて、第1電圧値Vp1と第2電圧値Vp2(即ちVp2L、Vp2R)とを切り替える。
つまり、一対の電極25、27間に流れる限界電流は、ガス濃度(詳しくは空燃比)に対応したものであるので、その限界電流に応じて第1電圧値Vp1と第2電圧値Vp2とを切り替えることにより、限界電流域GDから外れにくい印加電圧線IDを容易に設定できる。
[1−6.特許請求の範囲との対応関係]
ここで、特許請求の範囲と第1実施形態とにおける文言の対応関係について説明する。
本実施形態の、固体電解質層11、電極25、27、空燃比センサ5、ガス濃度検出装置7が、それぞれ、本発明の、固体電解質体、電極、ガス濃度センサ、ガス濃度検出装置の一例に相当する。
[2.その他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、様々な態様にて実施することが可能である。
(1)例えば、前記実施形態では、所定の固定値(450[mV])を用いたが、他の値を用いてもよい。
(2)また、前記実施形態では、ガス濃度検出装置として、酸素濃度を検出する酸素センサ(空燃比センサ)を用いて、酸素濃度を検出するガス濃度検出装置を挙げたが、本発明は、例えば、NO、HO等のガス濃度を検出するガス濃度検出装置にも適用することができる。
(3)なお、上述した実施形態の構成要素を適宜組み合わせることも可能である。
5…空燃比センサ
9…センサ素子
7…ガス濃度検出装置
11…固体電解質層
21…測定室
23…基準酸素室
25…第1電極
27…第2電極

Claims (6)

  1. 酸素イオン導電性を有する固体電解質体と該固体電解質体上に形成された一対の電極とを有するセンサ素子を備えたガス濃度センサに対し、
    前記一対の電極間に印加する電圧と前記一対の電極間に流れる電流との関係を規定する印加電圧線に基づいて、前記一対の電極間に電圧を印加するとともに、該電圧に応じて前記一対の電極間に流れる限界電流を検出し、該限界電流に基づいて、測定対象ガス中の特定成分のガス濃度を検出するガス濃度検出装置において、
    前記ガス濃度を検出する検出範囲にて、
    前記印加電圧線を、前記ガス濃度が異なる場合のそれぞれの限界電流域と、前記センサ素子の温度条件が異なる場合のそれぞれの前記限界電流域が重複する領域と、の複数の前記限界電流域を通すように設定し、
    前記印加電圧線によって設定される前記電圧として、前記ガス濃度に対応した空燃比が所定の第1範囲では同一の第1電圧値を用い、前記空燃比が前記第1範囲に隣り合う第2範囲では前記第1電圧値とは異なる同一の第2電圧値を用い、前記第1範囲と前記第2範囲との間にて前記第1電圧値と前記第2電圧値とを切り替えることを特徴とするガス濃度検出装置。
  2. 前記空燃比の高い測定精度が要求される高精度領域では、前記第1電圧値と前記第2電圧値とを切り替えず、前記高精度領域よりも測定精度の要求が低い低精度領域にて、前記第1電圧値と前記第2電圧値とを切り替えることを特徴とする請求項1に記載のガス濃度検出装置。
  3. 前記一対の電極間に流れる限界電流に基づいて、前記第1電圧値と前記第2電圧値とを切り替えることを特徴とする請求項1又は2に記載のガス濃度検出装置。
  4. 前記第1範囲は、ストイキからリーン側の所定の空燃比の範囲を示すリーン側範囲と前記ストイキからリッチ側の所定の空燃比の範囲を示すリッチ側範囲と、により構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のガス濃度検出装置。
  5. 前記空燃比が前記リーン側範囲よりリーン側の場合に、前記第1電圧値を前記第2電圧値であるリーン側第2電圧値に変更することを特徴とする請求項4に記載のガス濃度検出装置。
  6. 前記空燃比が前記リッチ側範囲よりリッチ側の場合に、前記第1電圧値を前記第2電圧値であるリッチ側第2電圧値に変更することを特徴とする請求項4又は5に記載のガス濃度検出装置。
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