JP2019500511A - 多目的商用繊維からカーボン繊維を製造する方法 - Google Patents

多目的商用繊維からカーボン繊維を製造する方法 Download PDF

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Abstract

カーボン繊維の製造方法にポリアクリロニトリル前駆体ポリマー繊維フィラメントの提供ステップが含まれる。ポリアクリロニトリル前駆体フィラメントは87〜97モル%のアクリロニトリルおよび0.5モル%未満の反応促進官能基を含有している。フィラメントは1フィラメントあたり3デニール以下である。ポリアクリロニトリル前駆体繊維フィラメントは、幅1インチあたり少なくとも150,000デニールのトウに束ねることができる。束ねられたポリアクリロニトリル前駆体繊維トウが、酸素ガスを含有して第1の温度T1に維持されている少なくとも1つの酸化ゾーンで加熱されながら、当該トウを少なくとも10%延伸させることによって、安定化された前駆体繊維トウが生成される。この安定化された前駆体繊維トウを炭化ゾーンに通過させることにより安定化された前駆体トウが炭化する。このプロセスにより生成されたカーボン繊維もまた、開示される。【選択図】図1

Description

関連する出願の参照
本出願は、2015年12月31日に出願された米国非仮出願第62/273,559号明細書の非仮出願明細書および2016年3月8日に出願された米国仮出願第62/305,232号明細書に対する優先権を主張し、何れも「多目的商用繊維からカーボン繊維を製造する方法」と題し、これらの内容の全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載
本発明は、米国エネルギー省によって授与された契約番号DE−AK−00OR22725に基づく政府支援によりなされた。政府は本発明に対して一定の権利を有する。
本発明は概してカーボン繊維およびカーボン繊維の製造方法に関する。
従来型のカーボン繊維加工方法では、細く撚りのないフィラメントの束である「トウ」と、少量の前延伸型高速酸化ポリマー(反応促進剤を含む)または反応促進剤が取り込まれるか或いは反応促進剤を含んで構成される繊維と、が使用されている。この種の製造方法に用いられるカーボン繊維前駆体材料はカーボン繊維製造に特化した特製品である場合が多い。
自動車産業はこれまでカーボン繊維材料を広範囲に適応してこなかったが、これは主にカーボン繊維材料の価格が、比較的高価な特殊材料の価格帯に留まっているためであって、自動車製造業で広く普及するためには比較的安価な商品価格設計が必要であろう。このような価格設計が達成されると同時に、自動車産業に必要とされる評価基準に材料を合致させる必要がある。カーボン繊維材料に一定の自動車製造業が規定している評価基準は、自動車用カーボン繊維の使用を網羅するためには、材料が400ksi以上の引張強度で且つ、最低でも少なくとも1%の歪みに対し40Msiの引張弾性率を有することとしている。いくつかの半構造自動車用複合材料の用途では、250ksiの引張強度および1%の歪みに対し25Msiの引張弾性率が求められている。
カーボン繊維の製造は炭素前駆体繊維材料から出発する。一般的な炭素前駆体材料はポリアクリロニトリル(PAN)である。種々のコモノマーおよび反応促進剤を含む特殊なPAN前駆体繊維が利用可能である。このようなコモノマーを提供することで、前駆体繊維および最終カーボン繊維製品に対して所望の性質が付与される。商用グレードの特殊アクリル繊維は、アクリロニトリルに様々な選択肢からのコノモマーを組み合わせたコポリマーから構成される。統計コポリマーは通常、2〜5モル%のコモノマーを含有している。このコノモマーは通常、カルボン酸(アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸)、またはこれらのエステル(アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル)、またはこれらのアミド類(アクリルアミド)を含むビニル化合物である。これらのポリマーは通常、高分子量で且つ狭い分子量分布を有するように設計されている。これら組成物は、スチーム延伸または他の公知手法を用いることによって、通常は引落率(延伸比)が14以上の大きな延伸比を持つ繊維形状に重合化および溶液紡糸される。コモノマー含有量が高まることは分子を繊維軸方向に引張させ引き揃えることに役立つが、同時に後続の炭素前駆体繊維の熱処理中における鎖切断の可能性も高くなってしまう。そのため、適度に低度のコモノマー含有量が使用される。繊維は通常、180℃から300℃までの温度範囲で熱環化および酸化架橋反応が起こる。これらの反応はそもそも発熱反応であり、従来技術では、繊維が架橋され加工不能な繊維となる前に、前駆体繊維の過熱を抑制することで繊維の鎖切断反応と溶融を制御することが好まれている。過熱により繊維の熱緩和とフィラメントの偶発的な発火もまた生じる。したがって、十分な熱輸送を念頭に置いて、これら特殊アクリル繊維は、80,000フィラメント数未満のトウ(フィラメントの束)から構成されている。
衣料グレードのアクリル繊維は衣類用途としてステープルヤーン状で使用される。これら繊維はまた、手芸(編み物およびかぎ針編み)、合成ウールおよび耐燃性織物の用途にも使用される。これは衣類に利用されるので、繊維の染色が重要な側面を有する。そのため、化学組成物としては主に繊維表面に染料を多く吸収することのできるコノモマーに焦点が置かれている。酢酸ビニルとアクリル酸メチルは、難燃特性を引き出すために塩化ビニルまたは塩化ビニリデンを任意選択的に担持する一般的に利用されるコモノマーである。織物繊維はラージトウのサイズ(1トウあたり約500,000以上)で生成され、通常は特殊アクリル炭素前駆体繊維と比較して小さな分子量を有する。
織物PANポリマーは、PAN溶液を生成するためにジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミドなどの溶媒中で重合化されるアクリロニトリルからなる統計的コポリマーであって、PAN溶液は繊維を生成するために低分子量オリゴマー生成物を除去することなく直接的に処理される。これらの低分子量生成物が織物PAN繊維に存在することで、標準的な特殊アクリルPAN炭素前駆体繊維(特殊アクリル繊維またはSAFとしても知られている)と比べて、製品に幅広い分子量分布が生じる。これらの繊維は大きく延伸されず(3〜5倍の延伸比)、むしろ中程度の延伸度の最後に繊維が分子的に緩和されることで、染料分子が移動して着色された布地を形成可能な非歪み非晶質相を有する繊維が得られる。
カーボン繊維製造プロセスの重要な要素としてプロセスの酸化/安定化段階がある。この酸化/安定化プロセスを促進させるために反応促進剤が提供され、これにより酸化に必要とされる時間が短縮されるが、この時間的な制約はカーボン繊維製造プロセスの大きな時間的および製造量的な制限要因となる可能性がある。
酸化/安定化プロセスは複雑でありかつ発熱反応である。PAN前駆体繊維の場合、シアノ側基を加熱すると互いに環状リングを形成し(環化反応)、さらに空気中で加熱すると、これらリングは芳香族ピリジンとなる。空気中に存在する酸素分子により環状リング中で熱脱水素化が可能となり、これにより芳香族ピリジン構造が形成される。さらに加熱されると隣接する鎖が互いに結合してリボンが形成され、シアン化水素ガスが放出される。酸素はまたリボン構造体をエーテル結合の形成によって架橋するためにも利用され、酸化反応によりカルボニルおよび二トロン(環状構造中の窒素が配位結合により原子状酸素に結合している)構造が形成されることも知られている。安定化プロセスは高い発熱性を有しており、生成された熱を制御または消散させることに注意する必要がある。
熱酸化反応の際、環化および架橋反応により前駆体ポリマーは各酸化ゾーンで構造が変化する。繊維中のポリマーの実際の融解温度は処理条件および組成物の熱履歴に応じて様々であるが、酸化を経た後は総じて融解温度が高くなり、また繊維密度は高くなる。酸化速度をより高めるために、後続の酸化ゾーンの温度を徐々に高くしている。
酸化プロセスの間、フィラメント間の融着を防止するため、繊維の温度を軟化温度以下に保つ必要がある。フィラメント温度の急上昇によりフィラメントの機械的強度が下がり、フィラメントの切断が生じる場合が多くなり、フィラメントは環化および酸化架橋反応により生じる非常に大きな収縮力に対して機械的な伸縮を受ける。
高度の架橋反応を実現するために高度に酸素を吸収して安定化したPAN繊維は、高い繊維密度を示す場合が多い。PAN前駆体繊維が1.18〜1.20g/ccの密度を有しているのに対し、酸化したPAN繊維は1.25〜1.45g/ccの範囲の密度を有することができる。高密度域(>1.40g/cc)の酸化繊維は著しい難燃性を示す。
繊維の安定化後、炉内にて不活性(N)雰囲気でさらに加熱することにより(炭化と呼ばれるプロセス)窒素ガスが酸素含有化合物およびその他揮発性有機タール形成化合物と共に放出され、これにより高度の芳香族化学構造を有するカーボン繊維が形成される。
生産量を増加しようと所望することで、酸化反応を促進させる反応促進剤を含有する前延伸された特殊前駆体繊維が広く使用されるようになった。反応促進剤の機能が存在することによりPANの熱環化反応の速度が高くなる。前駆体繊維は約100,000デニール未満のトウに束ねられ、通常は高温空気雰囲気に保たれている酸化オーブンに素早く通過させられる。熱が加えられ制御されることでまた、酸化反応が進行できるようになる。このように外熱を加えることによりプロセスにエネルギーコストが生じる。これらトウに蓄えられた熱(つまり、環化反応と酸化反応の際に発生した熱)により、繊維を安定化オーブン内で1インチ幅あたり100,000デニール以下の繊維荷重密度まで薄く延ばす必要がある。前駆体繊維の酸化反応で発生する熱により生じるフィラメント間の融着を防止するための、この酸化反応における低繊維荷重密度の要件が、カーボン繊維のコスト高の少なくとも一部の要因となっている。
カーボン繊維の製造方法にはポリアクリロニトリル前駆体ポリマー繊維(フィラメント)を提供するステップが含まれている。ポリアクリロニトリル前駆体フィラメントには87〜97モル%のアクリロニトリルが含まれ、また0.5モル%未満の反応促進官能基が含まれている。フィラメントは1繊維あたり3デニール未満とすることができる。ポリアクリロニトリル前駆体フィラメントは幅1インチあたり少なくとも150,000デニールのトウに束ねられる。束ねられたポリアクリロニトリル前駆体繊維トウは、酸素ガスあるいは空気を含有する少なくとも1つの酸化ゾーンでトウを加熱することにより安定化され、少なくとも10%延伸しながら第1の温度に維持されることにより安定化された前駆体繊維が生成される。安定化された前駆体繊維が炭化することでカーボン繊維が生成されるか、または安定化された前駆体繊維は難燃性材料として利用される。
本発明により製造されたカーボン繊維は、少なくとも30Msiの引張弾性率を有することができる。このカーボン繊維は少なくとも1%の引張歪を有することができる。
反応促進官能基は、前駆体ポリマーのポリアクリロニトリルセグメントに環化反応を開始させることのできる酸性官能基とすることができる。反応促進官能基は、前駆体ポリマーのポリアクリロニトリルセグメントに環化反応を開始させることのできる、アミノ基(−NH)、置換アミノ基(−NH−)、アミド基(−CO−NH−)、カルボン酸基(COOH)およびスルホン酸基(−SOH)からなる群より選択される少なくとも1つの官能基とすることができる。反応促進官能基は、前駆体ポリマーのポリアクリロニトリルセグメントに環化反応を開始させることのできる電子供与性の官能基とすることができる。
ポリアクリロニトリル前駆体ポリマー繊維またはフィラメントは、91〜94モル%のアクリロニトリルを含有することができる。ポリアクリロニトリル前駆体ポリマー繊維は少なくとも87モル%のアクリロニトリルを含有することができる。ポリアクリロニトリル前駆体ポリマー繊維は少なくとも88モル%のアクリロニトリルを含有することができる。ポリアクリロニトリル前駆体ポリマー繊維は少なくとも89モル%のアクリロニトリルを含有することができる。ポリアクリロニトリル前駆体ポリマー繊維は少なくとも90モル%のアクリロニトリルを含有することができる。ポリアクリロニトリル前駆体ポリマー繊維は少なくとも91モル%のアクリロニトリルを含有することができる。ポリアクリロニトリル前駆体繊維は少なくとも92モル%のアクリロニトリルを含有することができる。ポリアクリロニトリル前駆体ポリマー繊維は少なくとも93モル%のアクリロニトリルを含有することができる。ポリアクリロニトリル前駆体ポリマー繊維は少なくとも94モル%のアクリロニトリルを含有することができる。ポリアクリロニトリル前駆体ポリマー繊維は少なくとも95モル%のアクリロニトリルを含有することができる。ポリアクリロニトリル前駆体ポリマー繊維は少なくとも96モル%のアクリロニトリルを含有することができる。ポリアクリロニトリル前駆体ポリマー繊維は97モル%未満のアクリロニトリルを含有することができる。
ポリアクリロニトリル前駆体ポリマー繊維またはフィラメントは96モル%未満のアクリロニトリルを含有することができる。ポリアクリロニトリル前駆体ポリマー繊維は95モル%未満のアクリロニトリルを含有することができる。ポリアクリロニトリル前駆体ポリマー繊維は94モル%未満のアクリロニトリルを含有することができる。ポリアクリロニトリル前駆体ポリマー繊維は93モル%未満のアクリロニトリルを含有することができる。ポリアクリロニトリル前駆体ポリマー繊維は92モル%未満のアクリロニトリルを含有することができる。ポリアクリロニトリル前駆体ポリマー繊維は91モル%未満のアクリロニトリルを含有している。ポリアクリロニトリル前駆体ポリマーフィラメントは90モル%未満のアクリロニトリルを含有している。ポリアクリロニトリル前駆体ポリマー繊維は89モル%未満のアクリロニトリルを含有することができる。ポリアクリロニトリル前駆体ポリマー繊維は88モル%未満のアクリロニトリルを含有することができる。
束ねられた前駆体繊維トウは、幅1インチあたり150,000デニールから3,000,000デニールまでとすることができる。束ねられた前駆体繊維トウは、幅1インチあたり250,000デニールから3,000,000デニールまでとすることができる。束ねられた前駆体繊維トウは、幅1インチあたり500,000デニールから3,000,000デニールまでとすることができる。
ポリアクリロニトリル前駆体ポリマー繊維はアクリロニトリルモノマーと重合したコモノマーを含有することができる。当該コノモマーはアクリル酸メチルと酢酸ビニルからなる群より選択されるコノモマーとすることができる。当該コノモマーはアクリル酸化合物またはメタクリル酸化合物とすることができる。
前駆体繊維またはフィラメントを3000から3,000,000までの前駆体フィラメントを含む繊維トウに束ねることができる。前駆体繊維の数は、幅1インチあたり100,000から3,000,000フィラメントとすることができる。
本方法には酸化ステップの前に延伸ステップを備えることが可能であって、前記延伸ステップは前駆体繊維の直径を小さくする。炭化ステップに、安定化した前駆体繊維トウを少なくとも2つの炭化ゾーンに通過させるステップを含むことができる。第1の炭化ゾーンでは温度を500℃〜1000℃に維持可能であって、第2の炭化ゾーンでは温度を1000℃〜2000℃に維持することができる。
本方法には酸素ガスを含み温度がTに保たれている第2の酸化ゾーンでトウを加熱するステップが含まれており、Tは第1の酸化ゾーンにおける第1の温度Tより低い。
本方法は炭化ステップの後にサイジングステップを含むことができる。本方法は炭化ステップの後に表面処理ステップを含むことができる。
ポリアクリロニトリル前駆体ポリマー繊維は、酸化プロセスの際に100〜600%まで延伸することができる。
前駆体フィラメントの押出量は、酸化ゾーンの幅1インチあたり毎分少なくとも900デニールとすることができる。前駆体フィラメントの押出量は、酸化ゾーンの幅1インチあたり毎分少なくとも1200デニールとすることができる。前駆体フィラメントの押出量は、酸化ゾーンの幅1インチあたり毎分少なくとも2000デニールとすることができる。前駆体フィラメントの押出量は、酸化ゾーンの幅1インチあたり毎分少なくとも3000デニールとすることができる。前駆体フィラメントの押出量は、酸化ゾーンの幅1インチあたり毎分少なくとも4000デニールとすることができる。前駆体フィラメントの押出量は、酸化ゾーンの幅1インチあたり毎分少なくとも5000デニールとすることができる。
カーボン繊維の製造方法にポリアクリロニトリル前駆体ポリマー繊維を提供するステップを含むことができる。ポリアクリロニトリル前駆体ポリマー繊維には87〜97モル%のアクリロニトリルが含まれ、また0.5モル%未満の反応促進官能基を含有できる。前駆体繊維は、単位前駆体繊維あたり3デニール未満とすることができる。ポリアクリロニトリル前駆体繊維は幅1インチあたり少なくとも150,000デニールに束ねることができる。束ねられたポリアクリロニトリル前駆体繊維は、束ねられた前駆体繊維を、酸素ガスを含有する少なくとも1つの酸化ゾーンで加熱することにより安定化され、トウを少なくとも10%延伸させながら第1の温度に保つことによって、安定化された前駆体繊維が生産される。本方法は安定化された前駆体繊維を炭化させるステップをさらに含むことができる。この安定化された前駆体繊維は性質上、元来難燃性である。
難燃性繊維を製造する方法にはポリアクリロニトリル前駆体ポリマー繊維(またはフィラメント)を提供するステップが含まれる。ポリアクリロニトリル前駆体繊維には87〜97モル%のアクリロニトリルが含まれ、0.5モル%未満の反応促進官能基が含まれる。前駆体繊維はフィラメントあたり3デニール以下とすることができる。ポリアクリロニトリル前駆体繊維は幅1インチあたり少なくとも150,000デニールのトウに束ねることができる。束ねられたポリアクリロニトリル前駆体繊維トウは、当該トウを、酸素ガスを含有する少なくとも1つの酸化ゾーンで加熱することにより安定化され、少なくとも10%延伸させながら第1の温度に保つことによって、安定化された前駆体繊維が生産される。
安定化した繊維を生成する方法は、ポリアクリロニトリル前駆体ポリマー繊維を提供するステップを含むことができる。ポリアクリロニトリル前駆体繊維には87〜97モル%のアクリロニトリルが含まれ、0.5モル%未満の反応促進官能基を含有することができる。前駆体繊維はフィラメントあたり3デニール以下とすることができる。ポリアクリロニトリル前駆体繊維は幅1インチあたり少なくとも150,000デニールのトウに束ねることができる。束ねられたポリアクリロニトリル前駆体繊維トウは、当該トウを、酸素ガスを含有する少なくとも1つの酸化ゾーンで加熱することにより安定化され、少なくとも10%延伸させながら第1の温度に保つことによって、安定化された前駆体繊維が生産される。
本発明に係るカーボン繊維は、黒鉛面のヘルマンの配向係数(S)を0.55〜0.80まで、引張弾性率を30〜40Msiまで、引張歪を少なくとも1%有することができる。カーボン繊維は、黒鉛面のヘルマンの配向係数(S)を0.55〜0.70まで、引張弾性率を30〜40Msiまで、引張歪を少なくとも1%有することができる。カーボン繊維はPAN系とすることができる。
図面には現在好ましい実施形態が示されているが、本発明は示された構成および手段に限定されないことが理解される。
図1は本発明の方法を示すフローチャートである。 図2は本発明に係るカーボン繊維生産システムの概略図である。 図3は酸化ゾーンに進入している前駆体繊維の概略図である。 図4は酸化ゾーンの概略図である。 図5は酢酸ビニルコモノマーを含有する前駆体繊維組成物に対するPAN重量%と軟化点(T)のプロット図である。 図6はアクリル酸メチルコモノマーを含有する前駆体組成物に対するPAN重量%と軟化点(T)のプロット図である。 図7aは、反応促進剤(−COOH)含有特殊アクリル繊維(SAF1)のH−NMRスペクトル、具体的には99モル%のANと1モル%のアクリル酸(98.6重量%のANと1.4重量%のアクリル酸に相当)からなる特殊PAN前駆体のH−NMRスペクトルである。 図7bは約94.5モル%のANと、〜5.4モル%のアクリル酸メチルと、〜0.1モル%の2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸から構成された非カルボン酸含有織物PAN前駆体(織物1)のH−NMRスペクトルである。 図7cは反応促進剤(−COOH)含有特殊アクリル繊維(SAF2)のH−NMRスペクトル、具体的には〜96.2モル%のANと3.55モル%のアクリル酸と、〜0.25mole%のイタコン酸(93.8重量%のAN、5.6重量%のアクリル酸メチル、および0.6重量%のイタコン酸に相当)から構成される特殊PAN前駆体のH−NMRスペクトルである。 図7dは、〜93.5モル%のANおよび〜6.5モル%の酢酸ビニル(89.9重量%のANと10.1重量%の酢酸ビニルに相当)から構成された非反応促進剤含有織物PAN前駆体(織物2)のH−NMRスペクトルである。 図8は反応促進剤含有特殊PAN前駆体(SAF1およびSAF2)と反応促進剤非含有織物PAN前駆体(織物1および織物2)の示差走査熱量計サーモグラムであって、示されている差異は空気の発熱酸化反応に関連する開始温度である(10℃/分の走査速度)。 図9は、反応促進官能基(−COOH)含有特殊PAN前駆体サンプルおよび反応促進基非含有織物PAN前駆体を、酸化ゾーンの内部で空気中、220℃で(同時に)等温処理した場合の、時間依存密度変化プロファイルである。 図10は織物PAN系カーボン繊維の走査型電子顕微鏡写真である 図11は織物1の前駆体より得られた様々なカーボン繊維の、方位角(j)の関数としての、(002)反射強度の方位角プロファイルである。
本発明はカーボン含有繊維を生産する方法に関し、このカーボン含有繊維には多目的の使用のために開発された市販の商用前駆体繊維から生産されるカーボン繊維が含まれるがこれらに限られたものではない。本発明の方法を用いて得られるカーボン繊維の生産コストを、従来のカーボン繊維の製造方法の50パーセント未満に抑えることができる。
カーボン繊維の製造方法にはポリアクリロニトリル(PAN)前駆体繊維を提供するステップが含まれる。本PAN前駆体繊維は、前駆体繊維あたり3デニール以下とすることが可能で、PAN前駆体繊維の組成の全組成に対する総モル数に基づいて、0.5モル%未満の反応促進官能基を含有している。PAN前駆体繊維は87モル%から97モル%までのアクリロニトリルを含有できる。PAN前駆体繊維はトウに束ねることができる。トウは前駆体の供給源から提供されてもよい。トウは転換プロセスではなく紡糸プロセスで形成される。本明細書では「トウ」を最も広い意味で使用しており、幅1インチあたり少なくとも150,000デニールのPAN前駆体フィラメントからなるあらゆる注入原料を束ねたものを指す。デニールは繊維業界で使用されている繊維寸法(線密度)の単位であって、9000メートルの繊維長あたりの繊維重量のグラム数として定められている。ポリアクリロニトリル前駆体繊維に関して使用されている繊維という用語とフィラメントという用語は本明細書では区別しないで使用される。
PAN前駆体中のアクリロニトリル含有量(AN含有量)がほぼ100%となることはなく、さもなければ、繊維が十分に引張可能でなくなり、酸化プロセスの際に適切に配向されなくなるために得られるカーボン繊維に機械的な性能低下が生じる。AN含有量はまた低すぎてもいけず、さもなければ、適切でコストパフォーマンスの高い滞留時間および条件下において繊維が融着してしまい、この場合においても得られるカーボン繊維に機械的な性能低下が生じてしまう。
PANおよびコモノマー前駆体繊維フィラメントポリマーは88〜97モル%のアクリロニトリルを含有できる。PAN前駆体繊維フィラメントは、90〜95モル%のアクリロニトリル、または91〜94モル%のアクリロニトリルを含有できる。アクリロニトリルのモル%含有量は、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、および97%とすることが可能であって、またこれらの値のうちの任意の低値から高値までの範囲とすることができる。前駆体繊維ポリマーの配分をコモノマーまたはコノモマーの組み合わせとすることができる。
束ねられたPAN前駆体繊維トウは、大気などの酸素含有ガスを含有する少なくとも1つの酸化ゾーンでトウを加熱することにより安定化され、また前駆体繊維の融着温度よりも低いが、酸化反応が進行するのに十分である第1の温度Tに保たれる。第1の温度は一実施例において少なくとも220℃である。繊維温度はポリマー調合物の融着温度よりも低く保たれる必要がある。場合によっては、繊維融着温度が低いとき(繊維化学組成のために)、第1の酸化温度を少なくとも180℃とすることで、許容可能な酸化速度とフィラメントの融着可能性の排除との均衡を保つことができる。酸化安定化ステップの際にトウが少なくとも10%延伸することにより安定化した前駆体繊維トウが得られる。
安定化された前駆体繊維トウはその後、適切な炭化条件下に保たれた少なくとも1つの炭化ゾーンを通過することによって炭化される。炭化の手法および装置は、カーボン繊維生産に適するものであればどのようなものでも構わない。
「反応促進官能基」なる用語は本明細書において安定化プロセスの反応に関与し、酸化速度を速める化学的な部分を指す。反応促進官能基としてはカルボン酸(−COOH)基が含まれるがこれには限られない。他の反応促進官能基としては、前駆体ポリマーおよび前駆体繊維のポリアクリロニトリルセグメントに環化反応を開始させることのできる、アミノ基(−NH)、置換アミノ基(−NH−)、およびアミド基(−CO−NH−)またはこれらすべての置換基の塩などの電子供与官能基が含まれる。反応促進官能基をスルホン酸(−SOH)基とすることもできる。ポリマー前駆体の構成分子に一を超える官能基が含まれる場合(つまり反応促進分子が多官能性である場合)、存在する各反応促進剤のモル%に各反応促進分子に存在する反応促進官能基の個数を乗じることで、反応促進官能基のモル百分率を得ることができる。
イタコン酸は例えば、各々の分子に対し2つのカルボン酸反応促進官能基を有する。前駆体繊維のイタコン酸のモル百分率に2を乗じることにより反応促進官能基のモル百分率が得られる。前駆体繊維中のイタコン酸のモル百分率が例えば0.1モル%である場合、反応促進官能基のモル百分率は0.2モル%となる。反応促進官能基のモル%は、0.5モル%未満、0.45モル%未満、0.4モル%未満、0.35モル%未満、0.3モル%未満、0.25モル%未満、0.2モル%未満、0.15モル%未満、0.1モル%未満、0.09モル%未満、0.08モル%未満、0.07モル%未満、0.06モル%未満、0.05モル%未満、0.04モル%未満、0.03モル%未満、0.02モル%未満、0.01モル%未満、0.005モル%未満、または0.001モル%未満とすることができる。反応促進官能基のモル%を0%とすることもできる。反応促進官能基のモル%は、これらの値から選択される任意の低値と高値の範囲内とすることができる。反応促進官能基の最小モル%量は、0.001%、0.01%、0.02%、0.03%、0.04%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、0.1%、および0%とすることができる。反応促進官能基のモル%は前駆体ポリマー、アクリロニトリルおよびコモノマーの各成分に基づいて測定することができるが、反応促進官能基を有する前駆体ポリマー繊維の内部またはコーティングに他の添加剤が存在する場合、アクリロニトリル、コモノマーおよび添加剤の総成分モルに基づいてモル%が測定される。
産業界で現在使用されている反応促進官能基を含む反応促進剤としては、特にイタコン酸が挙げられる。他の好適な反応促進剤の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マエル酸、メサコン酸、これらカルボン酸の塩(ナトリウム塩おとびアンモニウム塩など)、アクリルアミド、メタクリルアミド、およびアミン含有基、またはこれらの塩が含まれる。
PAN前駆体繊維は通常、アクリロニトリルモノマーに加え少なくとも1つのコモノマーから形成されるコポリマーから作られている。カーボン繊維の生産に適したコポリマー組成物中の任意コノモマーが潜在的に利用可能であるが、反応促進官能基を含有するコモノマーは、反応促進官能基の含有量は0.5モル%未満に抑えられている必要がある。通常のコモノマーとしては、アクリル酸、イタコン酸、およびメタクリル酸などの酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、ジメチルアミノエチルメタクリラート、アクリル酸2−エチルヘキシル、酢酸イソプロピル、酢酸ビニル、およびプロピオン酸ビニルなどのビニールエステル、アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、およびN−メチロールアクリルアミドなどのビニールアミド、塩化アリル、臭化ビニル、塩化ビニル、および塩化ビニリデン(1,1−ジクロロエチレン)などのハロゲン化ビニル、アミノエチル−2−メチルプロペノアートの第4級アンモニウム塩などのビニル化合物のアンモニウム塩などが挙げられる。その他コモノマーも可能である。
PANとコモノマーポリマーに加えて、カーボン繊維生成物に所望の性質を付与することのできるその他化合物(反応促進剤、安定化剤に加えて、PAN繊維生成のために水溶液中に使用される無機塩または触媒に由来する、ナトリウム、鉄、および亜鉛残渣など性能を高めることのないもの)が前駆体繊維中に存在していてもよい。この種のその他化合物に反応促進官能基が含まれている場合、前駆体繊維の総成分の全部に基づいて官能基のモル%が0.5モル%を越えないように化合物を制限する必要がある。
本発明の前駆体繊維は、繊維加工で通常使用されるような商用の前駆体繊維とすることができる。このような繊維はAksa社、Dolan社、Dralon社、Kaltex社、Montefibre社、Pasupati社、Taekwang社、ThaiAcrylic社および他の多くのメーカーなどのほぼ全ての商用PAN織物製造業者から容易に入手することができる。通常、利用可能なPAN織物繊維は、1フィラメントあたりのデニール数(DPF)が3デニール未満であって、捲縮性でも非捲縮性でもよく、光沢があり(TiOなし)なめらかである。これらPAN織物繊維はふつうラージトウのサイズで製造されるため、繊維束の線密度が非常に高くなる。
良好な酸化とカーボン繊維転換にとって繊維融着は致命的な欠陥となり得、大きな融着が発生した後ではこれを解決することは不可能であり、また完了させることもできない。これは各安定化ステージの際に十分に酸化反応と架橋反応が進むまでの間、融着温度に近いが融着温度よりも低い温度で酸化プロセスを開始しこれを維持する必要性があることを意味している。これには非常に長くて緩やかな酸化プロセスが必要であって、ポリマー中に含まれているコモノマーの種類と量に直接比例する。酸化/安定化された反応が適切に形成され安定化された繊維を生成するためには、酸化/安定化プロセスの際の繊維融着を防止する必要がある。融着のいくつかは仕方がないものでありまた許容できるものである。微細的な融着と致命的な融着は区別することができる。微細的な融着とは、融着するごく一部の繊維に適応される用語であって、最適の条件下でも完全に防止することが困難である。致命的な融着とは比較的大きな部分の繊維が融着し、製品の一部に欠陥が生じ、或いは全製品が溶けだす場合に適応される用語である。好ましくは、全酸化プロセス(全オーブン)の際に繊維長セグメントが5%を超えずに融着することが好ましく、微細的な融着に関しては4%未満、3%未満、2%未満または1%未満が好ましい。酸化/安定化プロセスの際の延伸は、繊維同士を分離させることにより、融着を促進させる繊維間の接触を防止することに役立つ。
本発明の酸化/安定化プロセスの際にする延伸によって大きな融着が防止され、カーボン繊維製品に適切な配列と微細構造を付与することができる。前駆体繊維の線密度(g/mm)の減少を延伸として定めることができる。繊維に対する延伸または張力の制御、特に熱ユニット操作中における制御は、PAN系カーボン繊維の機械的性質を達成する上で非常に重要である。高品質の商用前駆体に関して延伸せずに加熱処理した場合と適切に延伸して加熱処理した場合とでは、引張強度に〜3×の上昇があることが実験で示された。酸化反応における延伸は、機械的特性の構築と発熱速度の制御の両方に対して特に重要である。
PAN繊維の酸化によって繊維に大きな収縮力が発生する。緩和されたPANの分子セグメントによって繊維断面を通過する酸素の素早い拡散とランダムな分子内環化が可能となることで、酸化の際の繊維に軸ストレスが存在しないことで酸化速度が高められる。軸方向の張力が存在しないこと(延伸が存在しないこと)で酸化速度の高まりが促進される。しかし、配向されなかった酸化繊維生成物は出来上がるカーボン繊維に良好な性質を提供しない(つまり、引張強度<250ksiでかつ引張弾性率<25Msi)。酸化時の延伸はまた、発熱反応、特に幅1インチあたり少なくとも150,000デニールのPAN前駆体フィラメントの注入原料アレンジメントを含むプロセスの発熱反応を制御するために重要である。
速度制御を用いて延伸を達成することができる。延伸装置は酸化プロセスの至る所に戦略的に配置させることができる。各延伸装置は配置場所にて繊維ライン速度を正確に制御する。延伸比は一連の延伸装置の速度比によって確立される。加えて、オーブンにモーター駆動式の「パスバックロール」を設けることが可能であって、これにより酸化時に延伸制御を微調整することができる。
酸化ゾーンでの延伸量は変化可能である。第1の酸化ゾーン(ゾーン1)では、延伸量を10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、または25%より大きくすることができる。ゾーン1の延伸量はおよそ100%まで可能である。ゾーン1の延伸量を10%〜100%とすることができる。酸化/安定化プロセスの初期段階ではゾーン1での延伸が最も重要である。その後の酸化ステージにおける延伸量はこの第1の酸化/安定化ステージよりも通常は小さくなる場合が通常であるが、これは繊維同士の架橋が進むにつれて延伸が望ましいものではなくなるからである。あらゆる適当な装置またはプロセスを用いて延伸を達成することができる。一実施例では、下流側のローラーを上流側のローラーよりも高速で運転することにより延伸が達成される。
酸化時の延伸量は各酸化ゾーンに応じて変化させることができる。最初の酸化ゾーンの方が後続の酸化ゾーンよりも延伸量が大きくなることが通常であるが、必ずしもそうである必要はない。任意の酸化ゾーンにおける延伸量は、後続、つまり下流側の酸化ゾーンにおける延伸量と同じかそれより大きくなり、また直前のゾーンにおける延伸量と同じかそれよりも小さくなることが通常であるが、必ずしもそうとは限らない。酸化ゾーンにおける延伸量は0〜100%までとすることができる。大きな延伸が可能な織物PAN前駆体のいくつかは、最大で200%まで延伸可能である。酸化ゾーンにおける延伸量は0%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、105%、110%、115%、120%、125%、130%、135%、140%、145%、150%、155%、160%、165%、170%、175%、180%、185%、190%、195%、もしくは200%、またはこれらの任意の低値と高値の範囲内とすることができる。一実施例において、限定しようとする意図はないが、4つの酸化プロセスがある場合に、延伸量をゾーン1で80〜100%、ゾーン2で65%、ゾーン3で20%、ゾーン4で0%とすることができる。酸化ステージが後になるにつれて融着の可能性が小さくなり、またフィラメントの酸化および架橋が進行して延伸がより困難になるため、酸化ステージが後になるにつれ延伸量を少なくすることができる。全体的な(酸化ゾーンすべての)酸化プロセスにおける延伸量は変化可能である。全体的な酸化/安定化プロセスを通じて、延伸量は100〜600%、200〜500%、または300〜400%とすることができる。全体のプロセスにおいてよりこれより多いまたは少ない延伸量も可能である。
この方法には酸化ステップ前に延伸ステップ(酸化前延伸または前延伸とよぶ)を含むことができる。この延伸ステップは、酸化プロセスの前にフィラメント径を減少させる。前延伸が存在する場合、前延伸の量は5%〜150%とすることが可能であって、織物前駆体繊維を製造するために通常使用される延伸に追加される。
酸化時の大きな延伸は、加えられた延伸によって繊維長が急上昇することにより、繊維が酸化ゾーンから非常に早く排出させるという結果を生じさせる。大きな延伸量(例えば100%を超える)が望ましい場合、酸化ステップに繊維を送り出す前に前延伸を実行することができる。これにより繊維に識別可能な酸化度を導くための、酸化ゾーン内での適切な繊維滞留時間が確保されると共に、酸化ゾーンにおける付加的な延伸量がいくらか確保される。前延伸は、繊維のガラス転移点(T)と軟化点の範囲内にある温度などの適切な温度で実行可能であるが、繊維が大きく酸化しない条件で実行される。組成物の特性に依存するが、PAN前駆体繊維のTは通常80℃〜105℃までの範囲内にある。前延伸温度は第1の酸化ゾーンの温度以下、例えば230℃とすることができる。前延伸温度は130℃〜230℃までの間とすることができる。この前延伸のためにあらゆる好適な加熱手段が利用可能である。加熱されたゴデットローラを加熱繊維と前延伸繊維の両方に使用することも可能である。この場合、第2の加熱ゴデットローラは第1の加熱ゴデットローラよりも速く回転する。
プロセスの特性に応じて酸化ゾーンの数を変化させることができる。1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15個の酸化ゾーンを設けることができる。これよりも多いまたは少ない酸化ゾーンでも構わない。
本明細書における酸化ゾーンなる用語は、温度、延伸量、酸素フロー、および前駆体フィラメントの特性などのプロセス特性によって、酸化プロセスの一部分が酸化プロセスの他の部分から区別される領域として定められている。別個の酸化ゾーンにより、酸化プロセス全体を通じて、酸化プロセスパラメタ―をより正確に制御することができる。酸化ゾーンは単体オーブンの障壁などの物理的な境界を用いて、またはオーブン内の位置により定めることができる。1つの酸化オーブンに1を超える酸化ゾーンを設けることが可能であって、また1を超える物理的な酸化オーブンを使用することができる。現行の慣習に従って、複数の酸化オーブンを順に配置させることができる。繊維を1つの酸化ゾーンに1または複数回通過させることができる。任意数の酸化ゾーンが可能である。各酸化ゾーンに対して複数の通路が通常は使用される。1つの酸化ゾーンに対する通路の数は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、もしくは24、またはこれらの任意の低値と高値の範囲とすることができる。
本方法には少なくとも1つの追加酸化ゾーンでトウの酸化/安定化を実行するステップを含むことができる。後続の酸化ゾーンの運転パラメタ―はプロセスパラメタ―に応じて変化させることができ、プロセスパラメタ―としては前駆体繊維サイズおよび組成、所望とされる押出量、および所望とされるカーボン繊維生成物特性などが含まれる。第2の酸化ゾーンに大気空気などの酸素含有ガスを提供することができる。第2の酸化ゾーンでは温度をTに保ち、ここにおいてTを前のゾーンの温度Tよりも小さくすることができる(例えば、T−Tは負となる)。場合によってはゾーン2とゾーン1の温度差(つまりT−T)は−5℃となる。場合によってはT−T=−10℃である。場合によってはT−Tを0℃(T=T)とすることができる。特定の場合においてT−T=−1℃である。酸化ゾーンTn+1の温度は前の上流側の酸化ゾーン内部の温度Tと同じかこれより低くすることが可能であって、Tn+1−Tを0、−1、−2、−3、−4、−5、−6、−7、−8、−9、−10、−11、−12、−13、−14、−15、16、−17、−18、−19、−20、−21、−22、−23、−24、もしくは−25℃またはこれらの任意の低値と高値の範囲内とすることができる。概して、最終酸化ゾーンの温度Tは最初の酸化ゾーンの温度Tよりも高くなる。場合によっては、T−Tは0℃から+70℃までの何れかとすることができる。場合によっては、T−Tは0℃から+30℃までの何れかとすることができる。場合によっては、T−Tは0℃から+10℃までの何れかとすることができる。場合によっては、T−Tは0℃から+5℃までの何れかとすることができる。
従来技術によれば第2の酸化ゾーンを第1の酸化ゾーンよりも低い温度で運転することが慣例となっている。従来的な考え方は、ゾーン2の酸化温度(T)を、第1の酸化ゾーンの温度(T)よりも高く保つことを示唆している。酸化ゾーン温度を上昇させていく従来技術のプロセスを本酸化プロセスは引き継いでいる。これは一般的な方法であって、本プロセスは後続ステップにおいて酸化作用の速度を高めることを目的としている。第1ゾーンで酸化された後、フィラメントは未酸化コアを取り囲む部分的に酸化されたPANのスキンを形成し、この部分的に酸化され架橋されたPAN(シース材料)には酸素が十分に拡散されていないことは従来技術では周知の通りである。慣習的な特殊アクリル繊維(SAF)PAN前駆体では、T>Tを維持することが、具体的な要件の1つである。この種の特殊アクリル繊維またはSAF−PAN(著しい反応促進官能基を有する慣習的なPANカーボン繊維)はゾーン2でゾーン1よりも温度を高くして酸化される。(SAFに対してT>T)これは反応促進官能基が存在することにより環化され部分的に架橋されたシース構造が生じるからであって、この構造が繊維径にわたって均一な酸化度を達成するためのコアへの酸素拡散に抵抗を与えている。ゾーン2の温度が上昇することで酸化速度ひいてはプロセス能率が高くなる。しかしながら酸化反応は発熱反応であって、フィラメントの融解もしくは切断、および繊維内の融着を防止するためには、熱消散が最重要課題の1つである。したがって、これら慣習的なSAF−PAN前駆体フィラメントの注入原料アレンジメントは、幅1インチあたり150,000デニールよりずっと小さく抑えられている。慣習的なSAF−PAN前駆体フィラメント(反応促進剤を0.5モル%未満含有)を幅1インチあたり150,000デニールで供給しようとすると、部分的に酸化されたトウの発火と燃焼が伴って、激しい発熱反応とフィラメントの切断が生じる。
概して、従来技術は、酸化/安定化プロセスが進行するにつれて酸化ゾーンの運転温度が下流側に高くなることを示唆している。後続の酸化ゾーンをこれと同一または異なる温度で運転することができる。各酸化ゾーンにおいて、前駆体繊維の酸化/安定化プロセスを進行させながらも延伸により融着を防止して適切に配向させることが目的である。後続側の酸化ゾーンでは融着と配向はあまり問題にならなくなるが、これはこの段階では、延伸が必要とされていないかまたは延伸が弊害となる程度まで、酸化/安定化プロセスの進行が進んでしまっているからである。酸化の終わりには、前駆体トウがほぼ不溶解性となり、配向性の黒鉛形状を有する無孔カーボン繊維に形成可能な状態となる。
第1の酸化ゾーンに進入する束ねられた前駆体繊維トウは、幅1インチあたり150,000(150k)デニールから3,000,000(3M)デニールまでとすることができる。束ねられた前駆体繊維トウは、幅1インチあたり250kデニールから3Mデニールまでとすることができる。束ねられた前駆体繊維トウは、幅1インチあたり500kデニールから3Mデニールまでとすることができる。束ねられた前駆体繊維トウは(幅1インチあたりのデニールで)150k、175k、200k、225k、250k、300k、400k、500k、600k、700k、800k、900k、1M、1.1M、1.2M、1.3M、1.4、1.5、1.6M、1.7M、1.8M、1.9M、2M、2.1M、2.2M、2.3M、2.4M、2.5M、2.6M、2.7M、2.8M、2.9M、および3.0M、またはこれらの任意の低値と高値の範囲内とすることができる。
前駆体繊維トウは単位トウあたり3000から3,000,000までの前駆体繊維を含むことができる。これより多いまたは少ない単位トウあたりの繊維数も適応可能である。一部の繊維に対してトウサイズを6,000から60,000までとすることが可能で、また別の繊維に対しては単位トウあたりの繊維を70,000から200,000までとすることができる。トウサイズは、単位トウあたり400,000から600,000までの繊維数、または単位トウあたり800,000から1,200,000までの繊維数とすることができる。1インチ幅あたりの繊維数は100,000から3,000,000までとすることができる。一部の繊維に対しては1インチ幅あたり200k、300k、400k、500k、600k、700k、800k、900k、もしくは1,000,000、またはこれらの任意の低値と高値の範囲の繊維数とすることができる。
前駆体繊維は1フィラメントあたりのデニール数(DPF)を3デニールより小さくすることができる。前駆体繊維は1フィラメントあたりのデニール(DPF)を0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、および3、またはこれらの任意の低値と高値の範囲とすることができる。繊維フィラメントは1フィラメントあたり3デニール以下にすることができる。最小の繊維寸法としては1前駆体繊維(フィラメント)あたり0.8から1.2デニールまでとすることができる。
前駆体繊維が前延伸または他の適当な手段を用いて3DPF以下に縮小される限り、3DPFを超える前駆体繊維を本発明で利用することができる。前駆体繊維が3DPFを超える場合には、酸化ゾーン1の供給前における酸化前熱延伸を用いてより小さな線密度(DPF)と繊維断面を形成する必要がある。フィラメント径全体に酸素を拡散させることで妥当な時間内に前駆体を十分に酸化させるためには、3DPFの繊維線密度を上限とする必要がある。
酸化ゾーンを通過する気流またはOフローを制御することができる。補給気流を用いて気流を再循環させることができる。気流の方向は、酸化ゾーンにおける繊維の運動に対して、直交流、平行流、下降流または他の適当な方向とすることができる。排気フローは制御することができる。排気体積量と補給空気体積量の平衡を保つことで酸化ゾーンからの過大な漏れを防止し、また排気体積量と補給空気体積量を1分毎の立方フィート(CFM)で十分となるようにすることで、爆発性または高揮発性の燃焼ガスが酸化ゾーンに濃縮することを防止することができる。
酸化ゾーン、特に第1の酸化ゾーンの温度は、繊維同士の融着が防止されるように維持する必要がある。異なる前駆体繊維調合物の融解温度は変形Flory−Fox方程式、つまり1/T=w/Ts1+w/Ts2、を用いて計算され、ここでTは成分1のw1画分と成分2のw2画分から構成される結果組成物の軟化点であって、またTsとTsはそれぞれ、成分1と成分2の軟化点である。この理論軟化点データは調合物の融着温度を測定する上で役に立つ。しかしながら、環化反応および架橋反応に関連した構造変化によって各加熱ステップの後にポリマーが変化する。プロセス条件と組成物の熱履歴に応じて実際の融点が変化する可能性があるが、一般的に、酸化を経るごとに融解温度は高くなり、また繊維の密度は高くなるであろう。表1にはT(軟化点またはガラス状からゴム状への相転移温度T)に対するPANモノマー(アクリロニトリル)含有量(重量%)が図示されており、酢酸ビニルがコモノマーとなって調合のバランスを構成している(この関係を図5に図示した)。この場合、純ポリ酢酸ビニルのTは30℃、つまり303Kである。PANの融着温度は322℃つまり595Kである。表2にはTに対するPANモノマー含有量(重量%)を示す表が図示されており、アクリル酸メチルがコモノマーとなって調合物構成のバランスを構成している(この関係を図6に図示した)。この場合、純ポリアクリル酸メチルのTは10℃、つまり283Kである。酸化反応は発熱反応であって、繊維の量に応じて繊維の温度は酸化ゾーンの温度を通常は少なくとも5℃上回る。酸化ゾーンの温度は、繊維が酸化ゾーンから排出される際に融解しているか否かを、試験的に或いはトウに触ってみることで測定することにより実験的に設定される。各ゾーンの後における繊維密度を測定することもできる。

本発明に係るプロセスは、幅1インチあたり少なくとも150,000デニールの特殊PAN前駆体フィラメントからなる注入原料アレンジメントを使用し、同時に少なくとも1つの後続酸化ゾーン温度の設定値を、対応するSAF−PANの慣習的な酸化プロセスと比較して予想外に低い値に設定することによって大量の材料が提供される。本発明は単位処理量に対する利用コストという点で有益である可能性がある。
複数の酸化ゾーンおよび炭化ゾーンが関わるターンキー型の連続式カーボン繊維生産ラインでの材料押出量は生産ラインの処理能力に依存する。この処理能力はまた酸化オーブンのサイズに依存している。酸化ゾーン1の単位幅あたりの材料押出量を測定すれば、この材料押出量は原料がシステムに供給される速度に依存するであろう。前駆体の酸化速度パラメタ―は前駆体の化学的性質(反応促進官能基の存否およびそのモル%濃度など)に依存する。特定の前駆体に対して酸化プロセスに必要とされる滞留時間は、所定のプロセス領域(温度及び延伸の所要量)についておおよそ一定である。したがって、前駆体材料が1つの酸化ゾーンまたは複数の酸化ゾーンを通過する速度は各酸化ゾーンの加熱長に依存するであろう。酸化ゾーンの単位幅あたりの単位時間毎の材料押出量を数値化するためには、酸化加熱長に対してこれを規格化する必要がある。単位時間あたりの材料押出量は、酸化ゾーンの酸化が完了するのに必要とされる滞留時間に対して規格化された酸化ゾーンの単位幅あたりのデニール数での繊維充填密度とすることができる。
材料押出量は繊維充填密度(酸化ゾーン1の入口における幅1インチあたりのデニール)に、ゾーン1での単位加熱長あたりの繊維速度(メートル/分)を乗じることにより数値化され、加熱長は全酸化プロセスが完了するのに必要とされる酸化ゾーンの長さの総計から決定される。簡単のため、加熱長を全酸化プロセスの酸化ゾーンの全長の総計とすることができる。つまり、押出量は:[酸化ゾーン1入口の繊維配置(デニール/インチ幅)×ゾーン1入口の繊維速度(メートル/分)]/[全酸化プロセスにおけるすべての酸化ゾーンの長さの総和からなる加熱長(メートル)]=デニール/酸化オーブンのインチ幅/分で表される値となる。
押出量は、加熱トウ束の単位面積あたりに1時間毎に処理される前駆体繊維をキログラムで表現したものとすることもできる。
例えば、2DPFの織物前駆体繊維からなる457,000フィラメントのトウからなる5つのトウ束が、全酸化経路の加熱長154メートルを通過して必要とされる酸化をするために、酸化ゾーン1の12インチ幅を0.38メートル/分の速度で通過した場合、押出量は:(5トウ×457,000フィラメント/トウ×2デニール/フィラメント×0.38メートル/分)/(12インチ幅×154メートル加熱長)=酸化ゾーンの幅1インチあたり毎分939.7デニールとして決定することができる。これは1分あたり[939.7グラム/9000メートル]/インチ幅=1時間あたり[939.7グラム×60分/時間/9000メートル]/インチ幅=6.26g/インチ幅/メートル加熱長/1時間毎に等しい。同様のターンキー装置により、12インチ幅の酸化ゾーン1に1.7メートル/分の注入速度で1トウあたり24,000フィラメントからなり、1フィラメントあたり1.30デニールのSAP−PANトウからなる24のトウのアレンジメントが可能である。これによるSAF−PANの押出量は:(24トウ×24,000フィラメント/トウ×1.30デニール/フィラメント×1.7メートル/分)/(12−インチ幅×154メートル加熱長)=酸化ゾーンの幅1インチあたり毎分688.8デニールとなる。このデータは本発明に係るプロセスは、同じ装置を用いてSAF−PAN前駆体を処理したときと比較して、織物前駆体の材料押出量が約36.4%[(939.7×100/688.8)−1]増加することを示している。
特定の実施例において、2DPFの織物前駆体繊維からなる533,000フィラメントの3つのトウ束は、全酸化経路の加熱長154メートルを通過して必要な酸化をさせるために、酸化ゾーン1の6−インチ幅に0.40メートル/分の速度で供給することができる。このようなプロセスに対して押出量を以下の通り決定することができる:
(3トウ×533,000フィラメント/トウ×2デニール/フィラメント×0.40メートル/分)/(6インチ幅×154メートル加熱長)=酸化ゾーンの幅1インチあたり毎分1384.4デニールこれはSAF−PAN処理手法の基本ケースと比較して、同様の装置において、織物PAN前駆体の材料押出量が本発明により100%を超えて向上することとなる。
本発明に係るプロセスは、酸化ゾーンの幅1インチあたり毎分少なくとも900デニールの前駆体材料押出量を提供する。特定の実施例では、本発明に係るプロセスは、酸化ゾーンの幅1インチあたり毎分少なくとも1200デニールの前駆体押出量を提供する。実施例によっては、本発明に係るプロセスが、酸化ゾーンの幅1インチあたり毎分少なくとも2000デニールの前駆体材料押出量を提供する。前駆体フィラメントの押出量は酸化ゾーンの幅1インチあたり毎分少なくとも3,000デニールとすることができる。前駆体フィラメントの押出量は酸化ゾーンの幅1インチあたり毎分少なくとも4,000デニールとすることができる。前駆体フィラメントの押出量は酸化ゾーンの幅1インチあたり毎分少なくとも5,000デニールとすることができる。押出量は酸化ゾーンの幅1インチあたり毎分少なくとも、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、および2000、2100、2200、2300、2400、2500、2600、2700、2800、2900、3000、3100、3200、3300、3400、3500、3600、3700、3800、3900、4000、4100、4200、4300、4400、4500、4600、4700、4800、4900、5000デニール、またはこれらの数値から選択される任意の低値と高値の範囲内とすることができる。
本発明に係るプロセスは、高いAN含有量(>97モル%)もしくは高い反応促進官能基含有量(>0.5モル%)またはこれらの両方を含むSAF−PAN前駆体の処理と比較して、複数の酸化ゾーンと炭化ゾーンが関わるターンキー連続カーボン繊維製造ラインを用いることにより、0.5mol%未満の反応促進基を含有する織物前駆体に対して、材料押出量が少なくとも30%増加する。
炭化ステップをあらゆる適当な炭化プロセスとすることが可能であって、またあらゆる炭化装置を用いて実行することができる。炭化プロセスと温度は、その他のプロセス特性および処理されている前駆体フィラメントの特性に対して変化させることができる。一実施例において、安定化した前駆体繊維トウを酸素の非存在下で少なくとも500℃に晒すことで炭化を実行することによりカーボン繊維トウが生成される。炭化には複数の炭化ゾーンが関わっていても構わない。第1の炭化ゾーンを第2の(後続の)炭化ゾーンよりも低い温度で運転させることができる。例えば第1の炭化ゾーンを500℃から1200℃までで運転し、第2の炭化ゾーンを700℃から3,000℃までで運転することができる。第1の炭化ゾーンを500℃から1000℃までで運転し、第2の炭化ゾーンを1000℃から2000℃までで運転することができる。
炭化は、通常不活性なプロセス環境において、酸化/安定化プロセスよりも高い温度で行われる。あらゆる適当な装置または単一炉、および単一経路を用いて炭化を実行することができる。一連の炉および複数の経路も可能である。温度分布を炉から炉へと階段状にすることができる。張力は制御することができる。各炉から繊維が排出される前に繊維を冷却させることで、繊維の劣化および/または燃焼を防止することができる。化学的に促進された炭化もまた可能である。表面欠陥を修復し、この表面に炭素構造体を成長させる処理をすることができる。炭化プロセスを経て外気に排出される前に繊維を冷却することで、繊維の劣化および/または燃焼を防止することができる。
本発明により生成されたカーボン繊維は、少なくとも25Msi、または少なくとも30Msi、または少なくとも35Msi、または少なくとも40Msiの引張弾性率を有することができる。本発明により生成されたカーボン繊維の引張強度は、最大で600ksiまたはそれ以上とすることができる。本発明により生成されたカーボン繊維は少なくとも1%の引張歪を有することができる。本発明により生成されたカーボン繊維は少なくとも0.8%の引張歪を有することができる。
オーブンと炉に流入および/または流出する気流の制御および処理は、タールその他の毒物が除去されるようにして実行可能である。これによりオーブンと炉にタールその他の汚染物が蓄積すること、またこれが外気に排出されることを防止することができる。
本発明により生成されるカーボン繊維に対して、種々の生成後カーボン繊維加工ステップが知られており、また好適である。炭化ステップの次にサイジングステップを続けることが可能である。炭化ステップの後に表面処理ステップを設けることができる。
本発明のカーボン繊維転換プロセスに現在のカーボン繊維加工手法に使用されるステップが含まれていてもよい。出発原料は糸巻状のカーボン繊維前駆体でも非糸巻状(垂れ流し状)の織物ポリマー繊維でも構わない。前駆体繊維は捲縮性でも非捲縮性でも構わない。本プロセスにクリールステップが含まれていてもよい。繊維を包装から取り除くことで加工フィードを開始させることができる。
前駆体繊維に関しては繊維生産で知られている数多くの前処理オプションが存在し、これらを本発明に利用することも可能である。これらには洗浄、サイジング、脱糊、解きほぐし、乾燥(繊維が湿潤していた場合)、および前延伸が含まれている。
酸化安定化に加えて化学的安定化を利用することができる。これを柔軟化プロセスシークエンスの一部とすることができる。化学的安定化は、延伸および/または酸化安定化より前に設けるか、または延伸および/または酸化安定化と同時にするか、または延伸および/または酸化安定化よりも後に設けることができる。気体反応剤または液体反応剤(酸洗ライン)を使用することができる。
収縮を制御するために張力を利用することができる。絡まりの防止に追加で延伸させることができる。選択的なデカップリング(連続生産プロセスの中断)を利用して中間体繊維生成物を生成することができる。中間体繊維生成物はボックス内に垂れ流すか或いは収納スプールで巻きとることによってさらに加工することができる。中間体繊維生成物を別の場所に移動させて炭化等の処理をさらに行うことができる。中間体繊維生成物はプロセス供給(再クリール)を開始することでさらに加工され、一定の張力を加えることができる。本明細書に記載される方法に従って生成される中間体繊維は難燃特性を有し、数多くの用途に使用可能であって、このようなものとして建築用断熱材、カーテン、家具、衣類、装飾用織物、グローブ、屋外用テントおよびキャノピー、車両用カバー、偽装用材料、ならびに消火設備とその付属品が含まれるがこれらには限定されない。
安定化または酸化された繊維は将来の消費または炭化のために収納することができる。炭化前処理も可能である。不活性ガス、炭素性ガス、窒素および他の適切な反応ガスなどを用いた化学処理を使用することができる。水を追い出すためあるいは繊維を改質するために熱を加えることができる。炭化後処理としては、慣習的な方法を用いてカーボン繊維表面に炭素構造体を二次的に成長させることが含まれ、慣習的な方法として化学蒸着を用いた炭素ナノ構造体の成長、あるいはアセチレンなどの炭素前駆体を用いた炭素の触媒成長などが挙げられる。
カーボン繊維生成物の表面処理はよく知られており、電解処理、化学処理、およびオゾン処理などの慣習的なプロセスが利用可能である。カーボン繊維生成物に適当なサイジング処理を施すことができる。あらゆる好適なサイジング、例えば種々のポリマーを二次的に乾燥させること、または乾燥及び/または硬化サイジングが可能である。このプロセスはボックス内への垂れ流しまたは収納スプールへの巻き取り、および梱包など公知の最終処理を用いて終了することができる。
全プロセスまたはプロセスの任意部分を、適切なプロセッサーまたはコンピュータ制御を用いて制御することができる。あらゆる適切なプロセッサーまたはコンピュータ制御が可能であって、これを機械メーカーまたは設置業者から提供することができる。
図1にこのプロセスを示したフローチャートが図示されている。前駆体繊維はステップ10で適当な供給源から生成または取得することができる。前駆体繊維はその後、原料であるステップ14で幅1インチあたり少なくとも150,000デニールのトウに束ねられる。最初の酸化ステップ18には熱22、Oまたは空気接触26を提供すること、および前駆体繊維の延伸30を含むことができる。任意数の後続酸化ゾーンnが可能であり、ステップ34に図示がされている。酸化/安定化の次にステップ38の炭化が続く。得られたカーボン繊維を1以上の生成後処理ステップ42を用いて処理することができる。
このプロセスを実行するシステムの概略図を図2に図示した。本システム50は前駆体繊維を幅1インチあたり少なくとも150,000デニールのトウに束ねるスタート54から開始する。前駆体繊維トウは第1の酸化ゾーンO58に進入し、ここで熱、空気またはO、および延伸を用いてトウが処理される。トウはその後、ゾーンO64、ゾーンO68、およびゾーンO72などの後続の酸化ゾーンに移動するが、これより多いまたは少ない酸化ゾーンも可能である。安定化された繊維はその後、低温(LT)酸化ゾーンC76および高温(HT)酸化ゾーンC80などの1以上の炭化ゾーンに移動する。カーボン繊維が酸化ゾーンから排出された後は、装置P84として纏めて図示されている一以上の生成後処理ステップに移動させることができる。
第1の酸化ゾーンへの入口が図3に概略的に示されている。トウ88は、酸化/安定化オーブンの入口92に配置された状態で図示されている。トウ88は高さhと幅wを有する。充填された繊維含有量は少なくとも幅w、1インチあたり150,000デニールである。
本発明に有用なオーブン100の概略図が図4に図示されており、これに酸化ゾーンを定める外側筐体104を設けることができる。注入繊維トウ108は入口ローラー112を通過し、酸化ゾーンを通過して、適切な駆動モーター118により駆動される最初の駆動ローラー114を用いて引き延ばされる繊維は再び酸化ゾーンを通過して従動ローラー122に巻き付き、酸化ゾーンを通って第2の駆動ローラー126により再び引き延ばされる。第2の下流側の駆動ローラー126を最初の上流側のローラー114より早い回転スピードで運転するか若しくはより大きな外周を有して運転させることにより、繊維が第2のローラーを通過するときに繊維を延伸させることができる。このプロセスを別の駆動ローラーで繰り返すことによりさらなる延伸効果を奏せしめることができる。繊維が酸化ゾーンに再度通過して従動ローラー130に巻き付いた後、酸化ゾーンを通って第3の駆動ローラー134により引張られる。繊維は酸化ゾーンから排出ローラー138を通って排出され、矢印142で図示されているように、ここで次のプロセス段階に向けられる。吸気口146により酸化プロセスの酸素が供給され、また適切なヒーター150を設けることにより空気を適切な温度まで加熱することができる。また別の酸化ゾーン構成も可能である。本発明に係るプロセスの発熱性によって、従来のカーボン繊維生産ラインの酸化オーブンで必要とされていた外部エネルギーを最大で25%まで削減することができる。数多くの種類とサイズを有する酸化オーブンが業界で公知となっており、本発明に好適であることが理解されよう。
約94.5モル%のアクリロニトリル含有量と、約5.4モル%のアクリル酸メチルと、0.1モル%の2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(約91.3重量%のアクリロニトリルと、約8.7重量%のアクリル酸メチルと、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)からなる1フィラメントあたり2.0デニールのフィラメントからなる457,000フィラメントのトウからなる両用アクリル繊維前駆体ポリマー(織物1)が、半生産規模のラインでカーボン繊維に転換された。このラインは4つの酸化ゾーンと、低温炉と、高温炉と、電解表面処理と、サイジング装置と、運搬装置とから構成される。各酸化ゾーンの加熱長は7メートルと8メートルの間にあった。繊維は4つの酸化ゾーンを合計で22回通過した。低温炉には4つの温度ゾーンが存在し、また高温炉には5つの温度ゾーンが存在する。各炉の加熱長は何れも5メートルである。プロセスチャンバーの幅は12.5インチであった。カーボン繊維トウは、1束あたり457,000フィラメントの独立した5つの束からなり、酸化オーブンの全幅にわたって総計で4,570,000デニールであった。これは装置の設計を超えたものであって、装置の設計は約600,000デニール幅の密度である。第1の酸化オーブンに進入するロールの幅方向の繊維密度は、幅1インチあたり4,570,000デニールまたは381,000デニールであった。
各酸化ステージにて測定された酸化された繊維の繊維密度に加え、他の処理パラメタ―および得られたカーボン繊維の特性を図3に図示した。


高い繊維荷重と、織物PANの酸化熱に由来する累積熱により、酸化ゾーン(オーブンなど)の境界の外側でパスバックロールまたは駆動ロールを複数回通過している時でさえも、繊維が高温を維持できるようになっている。酸化ゾーンの外側まで継続する酸化熱による加熱により、太めの前駆体繊維束の温度が維持されることで、酸化ゾーンまたはオーブンの基準長を超えて加熱長を効果的に長くとることができる。繊維荷重が本発明より小さい場合には、繊維が酸化ゾーンまたはオーブンから排出された際に大きな繊維冷却が生じることがある(図4を参照のこと)。
最初の評価として、第2の織物繊維供給源[織物2:〜93.5モル%のANと〜6.5モル%の酢酸ビニルから構成(約89.9重量%のANと10.1重量%の酢酸ビニルに相当)]に対して、第2の試験を行った。繊維融着温度は、高い酢酸ビニル含有量のために、前の実施例と比べてかなり低くなっていた。高い酢酸ビニル含有量によりフィラメントが大きく伸展可能となるが、これはPANの双極子相互作用がより大きく妨げられるためである。したがって、発熱性酸化反応の際、高い繊維荷重密度下では、局所的な融着が予想される。
繊維を酸化させようとすると滞留時間と酸化処理装置の延伸限界を超過していた。たった1.26g/ccの許容できない最大繊維密度が得られた。第1の酸化ゾーンで繊維が大きく(>100%)延伸されると、酸化ゾーン内部の滞留時間が大きく削減されて、安定化が不十分となる。繊維がうまく炭化可能となるために必要とされる繊維密度は少なくとも1.33g/ccである。この繊維を低温炉に通過させようと2回試みたが、何れも失敗に終わった。高荷重密度で発熱反応が制御不能となる問題は生じなかったが、良い結果を得るためには、(フィラメント間の融着を防止するために低い酸化温度で)長い酸化滞留時間が必要であろう。この実施例で良い結果を得るためには10時間を超える滞留時間が必要と思われる。以上より、反応促進剤の存否に加えて前駆体の前延伸の度合い(配向のない前駆体における非常に小さな延伸と、転換操作における張力の低さ)が、繊維密度が最大荷重レベルを上回った際に、従来のカーボン繊維前駆体が融解し、また損傷したフィラメントに燃焼を生じさせる熱がカーボン繊維前駆体に発生するための、2つの大きな要因となっていると結論付けることができる。
実施例2に記載したものと同じ前駆体を、3つの連続したオーブン内の単体経路により190℃、210℃、および219℃で前延伸させてから、246℃まで徐々に温度を上昇させた互いに異なる3つの酸化ゾーンを通過さると、高い注入繊維荷重条件(オーブン内部において276,666デニール/トウインチ幅)で生成された酸化繊維が1.34g/ccの密度を示した。このような繊維をその後うまく炭化させることができた。処理条件と得られた繊維の特性を表4に図示した。
96.4モル%のAN含有量(〜3.6モル%のアクリル酸メチル含有量)を有する前駆体繊維に第3の試験を行った。この前駆体繊維は、高いPAN含有量と織物そのものの多孔質構造により、脆かった。この手法を用いた転換ラインでは処理が困難と思われる。高いAN含有量により、より大きな発熱反応が生じ、また繊維中の前駆体分子のPANセグメントにおける双極子−双極子相互作用があまり妨げられないことにより、柔軟性が低下する。これにより酸化入口における高密度荷重が制限される。処理条件と得られたカーボン繊維の特性を表5に以下図示した。

織物1(実施例1を参照のこと)に対し、プロセスの再現性を示し、またこの手法の最適な機械的カーボン繊維性能を測定するために、酸化処理の入口で高密度荷重にて追加試験を行った。実施例5はこれら試験のうちの1つを示している。このプロセスが安定的でありかつ信頼できるものであることを試験は示している。運搬装置の制限、または繊維を引張する駆動能力は、この酸化処理の荷重レベルに合致し、またこれを上回るものであった。この試験は成功したが、既存の運搬装置を用いて前駆体トウ束の荷重をより高く(>5)することは動力制限から実現不可能であるように思える。酸化の熱化学反応は、荷重密度をこの基準を超えて高くするより大きな可能性を秘めているようである。処理条件と得られたカーボン繊維特性を表6に図示した。アクリロニトリル含有量が〜94.5mol%含まれるアクリル繊維前駆体コポリマー織物1(実施例1と同一)がこの試験に用いられた。

〜94.3モル%のANと5.7モル%の酢酸ビニルのコモノマー[約〜91.1重量%のANに、残りの画分(〜8.9重量%)が酢酸ビニルに等価]を含有する別の衣料グレード前駆体が処理された。この繊維は実際、トウサイズがより大きかった(1トウあたり750,000フィラメント)。前駆体繊維は1.6デニールの線密度を有していた。このラージトウが酸化オーブンに大きな注入荷重(300,000デニール/オーブンインチ幅)で充填され、4つの酸化ゾーンにて219〜252℃までの温度で酸化された。密度が1.39g/ccの酸化繊維がうまく得られ、また炭化されることにより、許容可能な性質(引張強度>250ksiで且つ引張弾性率>25Msi)を有する炭化繊維が得られた。処理パラメタ―と特性を表7に図示した。
反応促進基の有無による前駆体の性質
1モル%のアクリル酸と99モル%のAN[98.6重量%のANと1.4重量%のアクリル酸に相当]を含有する組成を有する特殊PAN前駆体(SAF1)のH−NMRスペクトルを図7aに図示した。この組成物はアクリル酸コモノマー由来の反応促進官能基(−COOH)を含有する特殊アクリル繊維の一実施例であって、このアクリル酸コモノマーは、図7aのプロトンNMRスペクトルの13ppm範囲に認められる。約〜94.6モル%のANと〜5.4モル%のアクリル酸メチル[約91.5重量%のANと8.5重量%のアクリル酸メチルに相当]を含有する組成を有するPAN前駆体のH−NMRスペクトルを図7bに図示した。スペクトルに12〜13ppmの識別可能なピークが存在しないことは−COOH反応促進官能基の欠如を示している。このポリマーは8ppmと6ppmの付近に微細構造を有しており、非常に低濃度のアクリルアミド誘導体が示唆される。さらに分析を続けると、ポリマー内に0.1モル%の2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸が存在することが確認された。したがって、この組成物は0.2モル%の非カルボン酸系反応促進官能基(アミド基およびスルホン酸基の両方)の存在を示唆している。〜96.2mol%のAN、〜3.55モル%のアクリル酸メチル、および〜0.25モル%のイタコン酸からなる特殊PAN前駆体(SAF2)を図7cに図示した。0.25モル%のイタコン酸は0.5モル%の反応促進基(−COOH)が存在することを意味する。図7dは約〜93.5モル%のANと〜6.5モル%の酢酸ビニル(織物2)を含有する組成を有する織物PAN前駆体のH−NMRスペクトルを示している。これら4つのサンプルのうち−COOH基のないサンプル(図7bおよび図7d、織物1および織物2)のみが高密度荷重プロセス(酸化ゾーン1の入口において1インチあたり>150,000デニールのトウのアレンジメント)でうまく安定化および炭化させることができた。図7aおよび図7cに表される組成を有する前駆体サンプル(顕著な−COOH反応促進基を含むもの)は、非常に大きな発熱反応条件のために損傷し、燃焼が進行するため、高密度荷重で酸化ゾーンに供給させることはできなかった。
反応促進基(−COOH基)含有カーボン繊維前駆体(SAF1およびSAF2)と反応促進基を多く含まない織物繊維(織物1および織物2)の示差走査熱量計サーモグラムを図8に示した。これらのサーモグラムは10℃/分の加熱走査速度で得られたものである。−COOH基の存在によりSAFサンプルに225℃を超える急速な発熱が生じた。織物PANに関しては275℃に達するまで発熱反応は顕著にならなかった。酸化ゾーンにおける繊維が長時間に及び220℃で等温かつ同時に曝されることによる密度変化曲線から、275℃より下では織物PAN繊維の酸化速度がより遅くなることが確認された。サンプル(SAF1および織物1)の密度プロファイルを等温滞留時間の関数として図9に図示した。このデータは織物PAN前駆体に著しい反応促進剤機能が存在しないことを示している。220〜250℃において織物PAN繊維の急激な発熱反応が存在しないことにより、反応促進官能基を含有し高荷重条件の下で自己発火と燃焼が生じる特殊アクリル繊維と比較して、より高密度の条件で酸化ゾーンに繊維を送給させることができる。
1400℃で生成された織物PAN由来のカーボン繊維(密度1.77g/cc、3.08GPaの引張強度および228GPaの引張弾性率を有する)は、図10の走査型電子顕微鏡写真に認められる通り、インゲン豆型の断面を示していた。これと同じ前駆体繊維を異なる延伸および炭化条件で処理すると、違う性質を有する繊維が得られた(引張強度が2.5〜3.1GPaで且つ引張弾性率が200〜280GPa)。繊維のX線解析パターンを用いて、黒鉛面の配向係数を含むカーボン繊維の性質を測定することができる。これらカーボン繊維サンプルの回折パターンに由来し、(002)黒鉛反射ピークの方位角分布曲線の半値全幅として測定される方位角幅(角度値)は、特殊PAN前駆体から得られた角度(10〜35°)と比べて十分に大きなもの(配向度の比較的小さな織物前駆体繊維の延伸中に得られた配向度に応じて45〜68°)であった。織物繊維1より得られた様々なカーボン繊維の代表的な方位角プロファイルを図11に図示した。図11に使用されたサンプルIDとその対応する特性を表8にまとめた。
織物前駆体1から作成された様々なカーボン繊維の、方位角(j)の関数としての(002)反射強度[I(j)]の方位角プロファイルを使用して、コサインjの二乗平均<cosj>が測定され、

であった。この値を使用してヘルマンの配向係数Sとして表される黒鉛結晶の配向係数が測定され、

であった。したがって、全ての黒鉛面が完全に繊維軸方向を向いている場合にはS=1となる。黒鉛面がランダムに配向している場合にはS=0となる。これまでの研究は、カーボン繊維が通常、0.76〜0.99までの範囲内にヘルマン配向係数を有していることを実証した(Anderson, David P. carbon fiber Morphology. 2.Expanded Wide-Angle X-Ray Diffraction Studies of carbon fiber. DAYTON UNIV.OH RESEARCH INST., 1991,参照により本明細書に組み込まれる)。これは通常用いられるカーボン繊維の黒鉛面が繊維軸方向に略配向していることを示している。
織物1前駆体より得られたカーボン繊維の黒鉛結晶サイズ(Lc)は、標準的なPAN系カーボン繊維(1.8〜2.2nm)とさほど変わらないが、得られたカーボン繊維は非常に低い配向度を示していた(ヘルマンの配向係数<0.7)。図11に図示された(織物1の)カーボン繊維に関するヘルマンの配向係数は、S値を0.55、0.61、0.61、および0.68有していた。完全に配向した炭素結晶であれば最大のヘルマン配向係数である1が得られる。このように高度に配向した値は黒鉛単結晶を用いて達成することができる。ピッチ系カーボン繊維はこのような高い配向係数に近づく可能性がある織物前駆体は略非配向性のプラスチック繊維(延伸比3〜5x)であり、酸化架橋および安定化の際に延伸されるが、これらは黒鉛結晶が低配向性を示すカーボン繊維を生成する。とは言え、酸化前に延伸させ、また酸化および炭化ステップの際に高い配向性と延伸性を維持することにより、これら織物繊維の配向性(ひいては得られるカーボン繊維の性質)を大幅に改善することは可能である。しかし、特殊アクリル繊維(SAF−PAN)から生成されるカーボン繊維と同じくらい大きな配向係数は得られないかもしれない。
本発明は新たなカーボン繊維生成物を生成することができる。この生成物はヘルマンの配向係数(S)を0.55から0.80まで有していた。これらカーボン繊維生成物のSは0.55、0.56、0.57、0.58、0.59、0.60、0.61、0.62、0.63、0.64、0.65、0.66、0.67、0.68、0.69、0.70、0.71、0.72、0.73、0.74、0.75、0.76、0.77、0.78、0.79もしくは0.80、またはこれらの値から選択される任意の高値と低値の範囲内とすることができる。本カーボン繊維生成物は25から40Msiまでの引張弾性率を有することができる。本カーボン繊維生成物は25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、もしくは40Msiの引張弾性率、またはこれらの値から選択される任意の高値と低値の範囲内の引張弾性率を有することができる。本カーボン繊維生成物は少なくとも1%の引張歪を有することができる。
織物PAN前駆体の転換を用いた本方法により銘板(定格)生産能力が2倍高くなることの検証
図2、図3および図4で議論した酸化オーブンと炭化炉は実際のところ、標準的に糸巻された24kトウまたは48kトウのカーボン前駆体繊維の運転のために設計されている。12インチのオーブン幅に、SAF2からなる24kトウのトウ前駆体束からなる約24の末端部分が供給可能である。標準的な運転条件と得られたカーボン繊維の性質を図9に示した。
以上から、酸化オーブン1の押出重量=1.7m/分×24トウ×24000フィラメント/トウ×1.3(g/9000m)/フィラメント=141g/分=8.486kg/時間の前駆体となる。48%の収率を仮定すると、上記押出量は4.073kg/時間のカーボン繊維生産に相当する。これはこのパイロットラインの定格能力である。実施例1で示された結果を好契機にして、織物1の前駆体からなる533,000フィラメントのトウを3トウ束送給させ、またラージトウの組み合わせを6インチのオーブン幅にわたって同一の酸化オーブンに高密度で送給させる試みがなされた。運転パラメタ―と繊維の性質を表10に図示した。
酸化ゾーンにおいて幅1インチあたり533,000デニールの高い繊維密度で、フィラメントが切断されることのない安定的な状態を維持するために、酸化ゾーンの温度を下げた点に着目することができよう。この場合、緩慢な発熱反応により生じる発熱エネルギーが、酸化ゾーンの温度を著しく高めることなく酸化反応を継続させるために重要である。安定化されLT炭化された繊維は最大1400℃まで熱処理されたが、適度な性能(360ksiの強度と30Msiの弾性率)を示し、また炭化温度のさらなる上昇に伴い弾性率が上昇するだろう。
以上から、(533kのトウ/6−インチ幅の束を3束=533kのトウ/12−インチ幅の束を6束での)酸化オーブン1の押出重量=0.4m/分×6トウ×533,000フィラメント/トウ×2.0(g/9000m)/フィラメント=284g/分=17.056kg/時間の前駆体となる。48%の収率を仮定すると、上記押出量は8.186kg/時間のカーボン繊維生産に相当する。これは本試験に使用したパイロットラインの定格処理能力の約2倍である。
これら織物が前延伸されて低デニールに形成されると、酸化ゾーンの内部で延伸させる必要のある延伸されていない前駆体と比べて、より速い速度で酸化ゾーンを通過できるようになることが実験的に確認された。このような条件下ではより大きな押出量を示す。
本発明の方法および手法により、慣習的なカーボン繊維転換処理装置の定格能力の3倍以上まで処理能力を拡大させることができる。加えて、本発明のプロセスで生成されるカーボン繊維の単位ユニットあたりの電力は、酸化安定化により開始する熱化学反応により、慣習的なカーボン繊維転換手法と比較して最大で80%小さくすることができる。慣習的な3k、6k、12k、24kおよび50Kのフィラメントより、大きなトウ束サイズにより中間体および複合材料の製造効率を改善することができる。例としては、カーボン繊維プリプレグ、非捲縮性のカーボン繊維生地、短繊維およびステッチボンド予備成形製造などが挙げられる。より大きなトウ束の選択肢により、商用繊維の転換機能が下流側での合成プロセスに最適な柔軟性と能率を実現可能にする。
数値範囲:本開示を通して、本発明の様々な態様を範囲形式で提示することができる。数値範囲の形式の記載は、便宜上および簡潔さのためのものに過ぎず、本発明の範囲に対して柔軟性のない制限として解釈されるべきではないことを理解されたい。したがって、数値範囲の記載は、その範囲内のすべての可能な部分範囲およびその範囲内の個々の数値を具体的に開示しているとみなされるべきである。例えば、1〜6のような数値範囲の記載は、1〜3、1〜4、1〜5、2〜4、2〜6、3〜6のように具体的に開示された下位範囲、ならびにその範囲内の個々の数字、例えば1、2、2.7、3、4、5、5.3および6を含むものと考えるべきである。これは範囲の幅に関係なく適応される。
本発明は、その精神または本質的な特性から逸脱することなく、他の形態で実施することができ、したがって、本発明の範囲を決定するために、以下の特許請求の範囲を参照すべきである。

Claims (52)

  1. ポリアクリロニトリル前駆体のポリマー繊維を提供するステップであって、前記ポリアクリロニトリル前駆体のフィラメントが、87〜97モル%のアクリロニトリルと、0.5モル%未満の反応促進官能基を含有し、前記フィラメントが1フィラメントあたり3デニール以下であるステップと、
    前記ポリアクリロニトリル前駆体のフィラメントを幅1インチあたり少なくとも150,000デニールのトウに束ねるステップと、
    束ねられた前記ポリアクリロニトリル前駆体のトウを、酸素ガスを含有してかつ第1の温度に維持される少なくとも1つの酸化ゾーンの中で加熱しながら、少なくとも10%延伸させることにより安定化された前駆体の繊維を生成する、束ねられたポリアクリロニトリル前駆体のトウの安定化ステップと、
    前記安定化された前駆体の繊維を炭化させることでカーボン繊維を製造する炭化ステップと、
    を含むことを特徴とするカーボン繊維の製造方法。
  2. 前記カーボン繊維が少なくとも30Msiの引張弾性率を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記カーボン繊維が少なくとも1%の引張歪を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  4. 前記反応促進官能基が、前記前駆体のポリマーのポリアクリロニトリルセグメントに環化反応を開始可能な酸性官能基であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  5. 前記反応促進官能基が、前記前駆体のポリマーのポリアクリロニトリルセグメントに環化反応を開始可能な、アミノ基(−NH)、置換アミノ基(−NH−)、アミド基(−CO−NH−)、カルボン酸基(COOH)およびスルホン酸基(−SOH)、ならびにこれら全ての反応促進基の塩、からなる群より選択される少なくとも1つの官能基であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  6. 前記反応促進官能基が前記前駆体のポリマーのポリアクリロニトリルセグメントに環化反応を開始可能な電子供与性の官能基であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  7. 前記ポリアクリロニトリル前駆体のポリマーのフィラメントが91〜94モル%のアクリロニトリルを含有していることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  8. 前記ポリアクリロニトリル前駆体のポリマーのフィラメントが少なくとも87モル%のアクリロニトリルを含有していることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  9. 前記ポリアクリロニトリル前駆体のポリマーのフィラメントが少なくとも88モル%のアクリロニトリルを含有していることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  10. 前記ポリアクリロニトリル前駆体のポリマーのフィラメントが少なくとも89モル%のアクリロニトリルを含有していることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  11. 前記ポリアクリロニトリル前駆体のポリマーのフィラメントが少なくとも90モル%のアクリロニトリルを含有していることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  12. 前記ポリアクリロニトリル前駆体のポリマーのフィラメントが少なくとも91モル%のアクリロニトリルを含有していることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  13. 前記ポリアクリロニトリル前駆体のポリマーのフィラメントが少なくとも92モル%のアクリロニトリルを含有していることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  14. 前記ポリアクリロニトリル前駆体のポリマーのフィラメントが少なくとも93モル%のアクリロニトリルを含有していることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  15. 前記ポリアクリロニトリル前駆体のポリマーのフィラメントが少なくとも94モル%のアクリロニトリルを含有していることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  16. 前記ポリアクリロニトリル前駆体のポリマーのフィラメントが少なくとも95モル%のアクリロニトリルを含有していることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  17. 前記ポリアクリロニトリル前駆体のポリマーのフィラメントが少なくとも96モル%のアクリロニトリルを含有していることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  18. 前記ポリアクリロニトリル前駆体のポリマーのフィラメントが97モル%未満のアクリロニトリルを含有していることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  19. 前記ポリアクリロニトリル前駆体のポリマーのフィラメントが96モル%未満のアクリロニトリルを含有していることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  20. 前記ポリアクリロニトリル前駆体のポリマーのフィラメントが95モル%未満のアクリロニトリルを含有していることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  21. 前記ポリアクリロニトリル前駆体のポリマーのフィラメントが94モル%未満のアクリロニトリルを含有していることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  22. 前記ポリアクリロニトリル前駆体のポリマーのフィラメントが93モル%未満のアクリロニトリルを含有していることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  23. 前記ポリアクリロニトリル前駆体のポリマーのフィラメントが92モル%未満のアクリロニトリルを含有していることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  24. 前記ポリアクリロニトリル前駆体のポリマーのフィラメントが91モル%未満のアクリロニトリルを含有していることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  25. 前記ポリアクリロニトリル前駆体のポリマーのフィラメントが90モル%未満のアクリロニトリルを含有していることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  26. 前記ポリアクリロニトリル前駆体のポリマーのフィラメントが89モル%未満のアクリロニトリルを含有していることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  27. 前記ポリアクリロニトリル前駆体のポリマーのフィラメントが88モル%未満のアクリロニトリルを含有していることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  28. 束ねられた、前記ポリアクリロニトリル前駆体の繊維トウが幅1インチあたり150,000から3,000,000デニールまでの間にあることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  29. 束ねられた、前記ポリアクリロニトリル前駆体の繊維トウが幅1インチあたり250,000から3,000,000デニールまでの間にあることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  30. 束ねられた、前記ポリアクリロニトリル前駆体の繊維トウが幅1インチあたり500,000から3,000,000デニールまでの間にあることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  31. 前記ポリアクリロニトリル前駆体のポリマーのフィラメントが、アクリロニトリルモノマーと重合したコモノマーを含有していることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  32. 前記コモノマーがアクリル酸メチルと酢酸ビニルからなる群から選択される少なくとも1つのコモノマーであることを特徴とする請求項31に記載の方法。
  33. 3000から3,000,000までのフィラメントを有する繊維トウにフィラメントが束ねられることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  34. フィラメント数が幅1インチあたり100,000フィラメントから3,000,000フィラメントまでの間にあることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  35. 酸化ステップより前に、前記フィラメントの直径を低減させる延伸ステップがさらに含まれていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  36. 前記炭化ステップに、前記安定化された前駆体の繊維のトウを少なくとも2つの炭化ゾーンに通過させることが含まれることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  37. 第1の炭化ゾーンが500〜1000℃の温度に維持され、第2の炭化ゾーンが1000〜2000℃の温度に維持されることを特徴とする請求項36に記載の方法。
  38. 酸素ガスを含有してかつ第2の温度Tに維持される第2の酸化ゾーンで加熱するステップをさらに含み、前記第2の温度Tが、前記第1の酸化ゾーンの第1温度Tよりも低いことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  39. 前記炭化ステップの後にサイジングステップがさらに含まれることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  40. 前記炭化ステップの後に表面処理ステップがさらに含まれることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  41. 前記ポリアクリロニトリル前駆体のポリマー繊維が酸化プロセスの際に100〜600%延伸されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  42. 前記前駆体のフィラメントの押出量が酸化ゾーンの幅1インチあたり毎分少なくとも900デニールであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  43. 前記前駆体のフィラメントの押出量が酸化ゾーンの幅1インチあたり毎分少なくとも1200デニールであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  44. 前記前駆体のフィラメントの押出量が酸化ゾーンの幅1インチあたり毎分少なくとも2,000デニールから5,000デニールであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  45. 87〜97モル%のアクリロニトリルと、0.5モル%未満の反応促進官能基を含有し、1フィラメントあたり3デニール以下のポリアクリロニトリル前駆体のポリマーの繊維フィラメントを提供するステップと、
    前記ポリアクリロニトリル前駆体の繊維フィラメントを幅1インチあたり少なくとも150,000デニールのトウに束ねるステップと、
    束ねられたポリアクリロニトリル前駆体の繊維フィラメントを、酸素ガスを含有してかつ第1の温度に維持される少なくとも1つの酸化ゾーンの中で加熱しながら、前記トウを少なくとも10%延伸させることにより安定化された前駆体の繊維を生成する、束ねられたポリアクリロニトリル前駆体の繊維フィラメントの安定化ステップと、
    を含むことを特徴とするカーボン繊維の製造方法。
  46. 前記安定化された前駆体の繊維を炭化させるステップをさらに含む請求項45に記載の方法。
  47. 前記安定化された前駆体の繊維が難燃性であることを特徴とする請求項45に記載の方法。
  48. ポリアクリロニトリル前駆体のポリマー繊維を提供するステップであって、前記ポリアクリロニトリル前駆体のフィラメントが、87〜97モル%のアクリロニトリルと、0.5モル%未満の反応促進官能基を含有し、前記フィラメントが1フィラメントあたり3デニール以下であるステップと、
    前記ポリアクリロニトリル前駆体のフィラメントを幅1インチあたり少なくとも150,000デニールのトウに束ねるステップと、
    束ねられた前記ポリアクリロニトリル前駆体のトウを、酸素ガスを含有してかつ第1の温度に維持される少なくとも1つの酸化ゾーンの中で加熱しながら、少なくとも10%延伸させることにより安定化された前駆体の繊維を生成する、束ねられたポリアクリロニトリル前駆体トウの安定化ステップと、
    を含むことを特徴とする難燃性繊維の製造方法。
  49. ポリアクリロニトリル前駆体のポリマー繊維を提供するステップであって、前記ポリアクリロニトリル前駆体のフィラメントが、87〜97モル%のアクリロニトリルと、0.5モル%未満の反応促進官能基を含有し、前記フィラメントが1フィラメントあたり3デニール以下であるステップと、
    前記ポリアクリロニトリル前駆体のフィラメントを幅1インチあたり少なくとも150,000デニールのトウに束ねるステップと、
    束ねられた前記ポリアクリロニトリル前駆体のトウを、酸素ガスを含有してかつ第1の温度に維持される少なくとも1つの酸化ゾーンの中で加熱しながら、少なくとも10%延伸させることにより安定化された前駆体の繊維を生成する、束ねられたポリアクリロニトリル前駆体のトウの安定化ステップと、
    を含むことを特徴とする安定化した繊維の製造方法。
  50. 黒鉛面のヘルマン配向係数(S)を0.55〜0.80まで有し、引張弾性率を30〜40Msiまで、引張歪を少なくとも1%有することを特徴とするカーボン繊維。
  51. 黒鉛面のヘルマン配向係数(S)を0.55〜0.70まで有し、引張弾性率を30〜40Msiまで、引張歪を少なくとも1%有することを特徴とする請求項50に記載のカーボン繊維。
  52. 前記カーボン繊維がPAN系であることを特徴とする請求項50に記載のカーボン繊維。
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