JP2021123784A - カルシウムを含む固形分の回収方法 - Google Patents

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【課題】スラリー化した製鋼スラグを湿式磁選した後の、カルシウム成分を含む非磁着物の固液分離による回収をより安価かつ容易に行える、カルシウムを含む固形分の回収方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、製鋼スラグの磁選により選別された非磁着物を含むスラリーを用意する工程と、前記スラリーに対し、浮遊選鉱を行う工程と、を有する、カルシウムを含む固形分の回収方法に関する。
【選択図】図1

Description

本発明は、カルシウムを含む固形分の回収方法に関する。
製鋼工程で生じる製鋼スラグ(転炉スラグ、予備処理スラグ、二次精錬スラグおよび電気炉スラグなど)は、セメント材料、道路用路盤材、土木用材料および肥料を含む広い用途に用いられる。
製鋼スラグには、カルシウム(Ca)、鉄(Fe)、ケイ素(Si)、マンガン(Mn)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、リン(P)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、硫黄(S)などの元素が含まれていることが知られている。これらのうち、製鋼スラグに最も多く含まれる元素は、製鋼工程で多量に用いられるカルシウムであり、Feが次に多く含まれることが多い。通常、製鋼スラグの全質量のうち、20質量%〜50質量%程度がカルシウムであり、1質量%〜30質量%程度がFeである。
製鋼スラグ中のカルシウムは、製鋼工程で投入される生石灰(CaO)がそのまま残存もしくは製鋼スラグの凝固中に析出した遊離石灰、遊離石灰が空気中の水蒸気もしくは二酸化炭素と反応して生成する水酸化カルシウム(Ca(OH))もしくは炭酸カルシウム(CaCO)、またはCaOが凝固中にSiやAlなどと反応して生成するケイ酸カルシウム(CaSiOもしくはCaSiOなど)もしくは酸化カルシウム鉄アルミニウム(Ca(Al1−XFe)などの形態で存在している。
炭酸カルシウムおよび酸化カルシウムは、製鉄工程中の製銑工程および製鋼工程での主要なスラグ形成材であり、そのスラグの塩基度および粘性の調整剤、ならびに溶鋼からの脱リン剤などとして使用されている。また、酸化カルシウムに加水して得られる水酸化カルシウムは、排水工程で酸などの中和剤として使用されている。したがって、上記製鋼スラグ内に含まれるカルシウム成分を回収して製鉄工程に再利用すれば、製鉄のコストを削減できると期待されている。
製鋼スラグからのカルシウム成分の回収方法として、スラリー化した製鋼スラグを湿式磁選して、製鋼材料として再利用可能な鉄を含む磁着物と、カルシウム成分を含む非磁着物とを選別し、上記非磁着物を回収する方法が知られている(特許文献1など)。なお、湿式磁選により選別された非磁着物の固液分離は、加圧ろ過または減圧ろ過(特許文献2など)や、遠心分離(特許文献3など)などの方法で行われるのが通常である。
特開昭54−88894号公報 特開2005−274107号公報 特開2012−6771号公報
スラリー化した製鋼スラグを湿式磁選した後の、カルシウム成分を含む非磁着物の固液分離による回収は、通常、ろ過や遠心分離などの方法により行われる。
ここで、スラリー化した製鋼スラグには多量のカルシウムが液体中に溶出しているおり、このカルシウムが炭酸ガスと反応して、粒径が数ミクロン程度である炭酸カルシウムの微粒子が析出することがある。そして、製鋼スラグを磁選した後の非磁着物からのカルシウム成分の回収を、ろ過により行うときは、上記微粒子がろ布を閉塞することによる目詰まりが生じやすい。そのため、上記非磁着物からのカルシウム成分のろ過による回収を多量に処理しようとすると、ろ布の交換を頻繁に行う必要があり、設備コストやろ布の交換に伴うランニングコストなどが高くなってしまう。
一方で、製鋼スラグを磁選した後の非磁着物からのカルシウム成分の回収を、遠心分離により行おうととすると、高額の設備を用意する必要があり、また遠心分離機を高速で回転させるために電気コストも高くなってしまう。
上記の問題に鑑み、本発明は、スラリー化した製鋼スラグを湿式磁選した後の、カルシウム成分を含む非磁着物の固液分離による回収をより安価かつ容易に行える、カルシウムを含む固形分の回収方法を提供することをその目的とする。
上記目的に鑑み、本発明は、製鋼スラグの磁選により選別された非磁着物を含むスラリーを用意する工程と、前記スラリーに対し、浮遊選鉱を行う工程と、を有する、カルシウムを含む固形分の回収方法に関する。
本発明によれば、スラリー化した製鋼スラグを湿式磁選した後の、カルシウム成分を含む非磁着物の固液分離による回収をより安価かつ容易に行える、カルシウムを含む固形分の回収方法が提供される。
図1は、本発明の一実施形態に関する、製鋼スラグからのカルシウムを含む固形分の回収方法のフローチャートである。 図2Aは、実験1のそれぞれの試験において、各回の浮遊選鉱により泡沫として回収された固形分の回収量(全固形分に対する質量%)を示すグラフであり、図2Bは、実験1のそれぞれの試験において、各回の浮遊選鉱により泡沫として回収されたカルシウムの回収量(全固形分中のカルシウムの合計量に対する質量%)を示すグラフである。 図3Aは、実験2のそれぞれの試験において、各回の浮遊選鉱により泡沫として回収された固形分の回収量(全固形分に対する質量%)を示すグラフであり、図3Bは、実験2のそれぞれの試験において、各回の浮遊選鉱により泡沫として回収されたカルシウムの回収量(全固形分中のカルシウムの合計量に対する質量%)を示すグラフである。
図1は、本発明の一実施形態に関する、製鋼スラグからのカルシウムを含む固形分の回収方法のフローチャートである。
なお、製鋼スラグの種類は、製鋼工程で排出されるスラグであれば特に限定されない。製鋼スラグの例には、転炉スラグ、予備処理スラグ、二次精錬スラグおよび電気炉スラグが含まれる。これらのうち、回収後のカルシウムとリンとの分離が不要となることから、上記製鋼スラグは、その全質量に対するリンの含有量が10質量%以下であることが好ましく、7質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることがさらに好ましく、3質量%以下であることがさらに好ましく、1質量%以下であることが特に好ましい。
[第1工程:加熱処理(工程S110)]
本実施形態では、まず製鋼スラグを加熱処理することが好ましい。
上記加熱は、製鋼スラグに含まれる鉄系酸化物をウスタイト系酸化物からマグネタイト系酸化物に改質して、後の磁選工程における鉄系酸化物の選別効率を高める程度に行えばよい。たとえば、上記加熱処理は、300℃以上1000℃以下で0.01分以上180分以下程度行えばよい。
[第2工程:磁選(工程S120)]
次に、上記加熱処理された製鋼スラグを磁選して、上記マグネタイト化した鉄系酸化物などの磁性体を除去回収する。磁選は、湿式で行っても乾式で行ってもよいが、製鋼スラグ粒子の分散性を高めて、鉄系成分を主体とする磁着物と、その他の非磁着物と、の分離効率を高める観点から、湿式で行うことが好ましい。
つまり、本工程では、上記加熱処理の後、冷却された製鋼スラグに加水して製鋼スラグを分散させてスラリー化し、その後に磁選を行うことが好ましい。なお、本工程における磁着物の回収効率および後の工程におけるカルシウム成分を含む非磁着物の回収効率を高める観点から、磁選の前に、製鋼スラグを破砕および粉砕して小粒径化することが好ましく、また、製鋼スラグに含まれるカルシウム成分を炭酸カルシウムに改質することが好ましい。
(破砕および粉砕)
上記加熱処理された製鋼スラグは、公知の破砕機により破砕されてもよい。また、粉砕された製鋼スラグは、ハンマーミル、ローラミルおよびボールミルなどを含む粉砕機でさらに粉砕されて、小粒径化されてもよい。
製鋼スラグを破砕および破砕して小粒径化することにより、製鋼スラグの内部に含まれる鉄系酸化物を、二酸化ケイ素(SiO)およびアルミナ(Al)などとは分離した単独の粒子とすることができ、磁選による鉄系酸化物の分離効率をより高めることができる。上記観点から、破砕および粉砕は、破砕および破砕されて生じる製鋼スラグ粒子の最大粒径が鉄系化合物の組織と同程度以下の大きさになる程度に行うことが好ましい。たとえば、破砕および粉砕は、製鋼スラグ粒子の最大粒径が1000μm以下になる程度に行うことが好ましく、500μm以下になる程度に行うことがより好ましく、250μm以下になる程度に行うことがさらに好ましく、100μm以下になる程度に行うことが特に好ましい。
なお、上記破砕および粉砕は、湿式で行っても乾式で行ってもよいが、製鋼スラグ粒子は水中では分散性が良好であり、小粒径化がより容易であることから、加水により分散させた製鋼スラグを湿式で破砕および粉砕することが好ましい。
(炭酸化)
また、破砕および粉砕の前または後に、スラリーを炭酸化してもよい。
後の浮遊選鉱工程(工程S130)で弱電解質の陰イオン性捕収剤を捕収剤として用いるとき、カルシウム成分がスラリーの液体成分中に溶出して生成されたカルシウムイオン(Ca2+イオン)が、スラリー中に多量に存在すると、上記捕収剤が金属石鹸化して、カルシウム成分を含む製鋼スラグ粒子の回収効率が低下することがある。これに対し、酸化カルシウムを炭酸カルシウムに改質して、カルシウム成分の溶出を抑制することで、上記金属石鹸化による回収効率の低下を抑制することができる。
具体的には、製鋼スラグが水中に分散してなるスラリーに、二酸化炭素(CO)を吹き込む(曝気)。これにより、カルシウムイオンを難溶性の炭酸カルシウム(CaCO)とすることができる。なお、水溶液中の炭酸は、pHが10以上であるときは多くが炭酸イオン(CO 2−)として存在するが、pHがより低いときは多くが炭酸水素イオン(HCO )として存在する。そのため、曝気によりスラリー中に導入された炭酸のうちより多くを炭酸イオンとして、炭酸カルシウムの析出量をより高めるため、このときのスラリーのpHを10以上に調整することが好ましい。
(磁選)
上述の各処理を必要に応じて施されて得られた、製鋼スラグ粒子が水中に分散してなるスラリーに、磁選を施すことにより、鉄系成分などを含む磁着物と、カルシウム成分などを含む非磁着物とを、分離することができる。上記スラリーは、スラリーの流動性と磁着物の回収効率とをともに高める観点からは、製鋼スラグ粒子と水との量比が、質量比で、(製鋼スラグ粒子/水)=1/300以上1/2以下であることが好ましく、1/200以上1/5以下であることがより好ましく、1/100以上1/10以下であることがさらに好ましい。
上記磁選は、製鋼スラグ粒子が水中に分散してなるスラリーを、表面の少なくとも一部に磁場が形成され、かつ回転されている回転式ドラムの表面に接触させる方法により行うことができる。上記接触されたスラリーのうち、鉄系成分などの磁性体は、上記回転式ドラムの表面に捕捉されて回転式ドラムとともに回転し、上記回転式ドラムの回転方向におけるスラリーの接触部より下流側に配置された回収部に回収される。一方、カルシウム成分などの非磁性体および液体成分は、上記回転式ドラムの表面に捕捉されずに、回転式ドラムから脱離する。このようにして、鉄系成分などを含む磁着物と、カルシウム成分などを含む非磁着物とが、分離回収される。
表面に捕捉された高磁化粒子を回収部まで容易に移動させる観点からは、磁選中の回転式ドラムの周速は、0.1m/min以上1000m/min以下であることが好ましく、1m/min以上500m/min以下であることがより好ましく、5m/min以上300m/min以下であることがさらに好ましい。
磁選に用いる磁石は、上記鉄系成分などの磁性体をより確実に捕捉する観点から、回転式ドラムの表面に対する垂直方向の磁束密度の最大値を50G以上とする磁石であることが好ましく、100G以上とする磁石であることがより好ましい。また、上記磁石は、上記カルシウム成分などの非磁性体を捕捉させにくくして回収物中の鉄濃度の低下を抑制する観点からは、回転式ドラムの表面における垂直方向の磁束密度の最大値を3000G以下とする磁石であることが好ましく、1500G以下とする磁石であることがより好ましい。
このようにして回収された磁着物は、脱水および乾燥した後、ペレタイジングして、製鋼原料として再利用することができる。
一方で、回転式ドラムの表面から脱離した非磁着物は、ハイドロサイクロンなどにより簡易な固液分離をされてもよい。このときに得られたオーバーフローは、非磁着物の粒子をほとんど含まないため、製鋼スラグ粒子のスラリー化に再利用したり、廃水したりすることができる。
[第3工程:浮遊選鉱(工程S130)]
本工程では、このようにして得られた非磁着物のスラリーに対し、浮遊選鉱を行う。
上記回転式ドラムの表面から脱離した非磁着物(あるいはハイドロサイクロンのアンダーフロー)は、カルシウム成分を含む濃縮スラリーである。本工程では、まず、上記濃縮スラリーに加水(リパルプ)してスラリー濃度を調整する。
その後、上記スラリーに捕収剤、ならびに任意に起泡剤およびpH調整剤などを含むその他の添加剤、を添加して攪拌し(コンディショニング)、その後、スラリーの内部に気泡を導入する。スラリー中の固形成分は、捕収剤との結合または相互作用により気泡の表面に付着されて、気泡とともにスラリー表面に浮上する。この表面に浮上した、固形成分が付着している気泡の泡沫(フロス)を回収することにより、上記スラリー中の固体成分を液体成分から分離して回収することができる。この回収された泡沫を固液分離して得られる固形分は、高濃度のカルシウムを含む固形分である。
(捕収剤)
上記捕収剤は、カルシウム成分を回収できる捕収剤であればよく、無機系の捕収剤であっても有機系の捕収剤であってもよいが、有機系の捕収剤であることが好ましい。
特には、本実施形態では、上記捕収剤として、弱電解質の陰イオン性捕収剤(以下、単に「第1の捕収剤」ともいう。)を用いることが好ましく、さらに強電解質の陰イオン性捕収剤(以下、単に「第2の捕収剤」ともいう。)を併用することがより好ましい。
なお、本明細書において、ある化合物が弱電解質であるというときは、当該化合物の酸解離定数(pka)(当該化合物が複数の酸解離定数を有するときは、第一酸解離定数(pka))が2以上であることを意味する。同様に、ある化合物が強電解質であるというときは、当該化合物の酸解離定数(pka)(当該化合物が複数の酸解離定数を有するときは、第一酸解離定数(pka))が2未満であることを意味する。
(第1の捕収剤)
第1の捕収剤は、カルシウムに吸着する官能基と、疎水性基と、を有する弱電解質の化合物である。上記カルシウムに吸着する官能基の例には、カルボキシ基およびスルホン酸基が含まれる。上記疎水性基は、たとえば炭素数6以上18以下の飽和または不飽和のアルキル基とすることができる。上記疎水性基の炭素数が6以上であると、第1の捕収剤が気泡に良好に吸着する。上記疎水性基の炭素数が18以下であると、第1の捕収剤がスラリーの液体成分(水)中に十分に溶解することができる。第1の捕収剤は、これらの酸(高級脂肪酸またはアルキルスルホン酸)であってもよいが、塩を形成していてもよい。塩であるときの対イオンは、ナトリウムイオンなどであればよい。
第1の捕収剤は、これらのうち、飽和または不飽和の高級脂肪酸またはその塩であることが好ましく、飽和または不飽和の炭素数12以上18以下の高級脂肪酸またはその塩であることがより好ましく、不飽和の炭素数12以上18以下の高級脂肪酸またはその塩であることがさらに好ましく、オレイン酸またはその塩であることが特に好ましい。
これらの第1の捕収剤は、上記官能基がカルシウムとの間に化学結合を形成して、カルシウム成分を含む製鋼スラグ粒子を強固に捕収する。そのため、これらの第1の捕収剤を用いることにより、本工程におけるカルシウム成分を含む製鋼スラグ粒子の回収効率を十分に高めることができる。
非磁着物を含むスラリーへの第1の捕収剤の添加量は、製鋼スラグ粒子の回収が十分に行え、かつ第1の捕収剤によるミセルを形成しない程度(臨界ミセル濃度未満)であることが好ましく、たとえば、1ppmv以上1000ppmv以下であることが好ましい。
(第2の捕収剤)
第2の捕収剤は、カルシウム成分と静電的に相互作用し、かつ第1の捕収剤とカルシウムに共吸着できる、強電解質の化合物である。第2の捕収剤は、アルキルベンゼンスルホン酸などの硫酸エステル化合物またはその塩とすることができる。塩であるときの対イオンは、ナトリウムイオンなどであればよい。
上記アルキルベンゼンスルホン酸またはその塩は、炭素数6以上18以下のアルキルベンゼンスルホン酸またはその塩であることが好ましく、炭素数12以上18以下のアルキルベンゼンスルホン酸またはその塩であることがより好ましく、ドデシルベンゼンスルホン酸(DBS)またはその塩であることがさらに好ましい。
第1の捕収剤が、製鋼スラグ粒子の表面から溶出したカルシウムと塩を形成して金属石鹸化すると、気泡の表面に付着してのスラリー表面への浮上ができないことがある。また、上記金属石鹸化により第1の捕収剤が消費されると、本工程における回収効率が低下する。さらには、製鋼スラグ粒子の表面に存在するカルシウムに第1の捕収剤が吸着しても、当該吸着されたカルシウムが溶出してしまうと、第1の捕収剤も上記製鋼スラグ粒子から脱離してしまうため、製鋼スラグ粒子を安定して捕収できないことがある。
これに対し、第2の捕収剤は、製鋼スラグ粒子の表面に安定な吸着層を形成し、製鋼スラグ粒子の表面からのカルシウムの溶出を抑制する。これにより、第2の捕収剤は、上記溶出したカルシウムによる金属石鹸の生成、および上記カルシウムの溶出による製鋼スラグからの第1の捕収剤の脱離を抑制し、本工程におけるカルシウム成分を含む製鋼スラグ粒子の回収効率を維持すると考えられる。
また、第2の捕収剤は、金属石鹸化の抑制により、第1の捕収剤の使用量を抑制し、本工程における製鋼スラグ粒子の回収を低コストで行うことを可能とする。
非磁着物を含むスラリーへの第2の捕収剤の添加量は、製鋼スラグ粒子の回収が十分に行え、かつ第2の捕収剤によるミセルを形成しない程度(臨界ミセル濃度未満)であることが好ましく、たとえば、1ppmv以上1000ppmv以下であることが好ましい。
また、第1の捕収剤の添加量に対する第2の捕収剤の添加量は、略同量であることが好ましく、具体的には、第1の捕収剤と第2の捕収剤との量比が、体積比で、(第1の捕収剤/第2の捕収剤)=1/4以上4/1以下であることが好ましく、1/3以上3/1以下であることがより好ましく、1/2以上2/1以下であることがさらに好ましい。
(その他の捕収剤)
なお、本実施形態では、上述した第1の捕収剤または第2の捕収剤とは異なるその他の捕収剤を用いてもよいし、上記その他の捕収剤を第1の捕収剤または第2の捕収剤と併用してもよい。
上記その他の捕収剤の例には、ドデシルアンモニウムアセテート(DAA)などの、炭素数6以上18以下の飽和または不飽和のアルキルアミンまたはその塩などが含まれる。ただし、DAAなどの陽イオン性捕収剤は高価なことが多く、また捕収効率も第1の捕収剤よりも低いため、本実施形態では上述した第1の捕収剤を用いることが好ましい。
(凝集剤)
本工程では、第1の捕収剤および第2の捕収剤を添加する前に、カチオン性高分子凝集剤(以下、単に「凝集剤」ともいう。)を、非磁着物を含むスラリーに添加することが好ましい。
凝集剤は、炭酸カルシウムを凝集させることができる。そのため、非磁着物を含むスラリーに凝集剤を予め添加することで、凝集により適度な大きさとなった製鋼スラグ粒子に第1の捕収剤が吸着して気泡とともに浮上させるため、第1の捕収剤の添加量をより少量としても、カルシウム成分を含む製鋼スラグ粒子を十分に回収することができる。
非磁着物を含むスラリーへの凝集剤の添加量は、製鋼スラグ粒子が適度に凝集し、第1の捕収剤による回収効率が高まる程度であればよい。具体的には、通常は粒径が10μm未満である非磁着物に含まれる製鋼スラグ粒子の粒径が、10μm以上になる程度に添加すればよく、たとえば、0.01ppmv以上10000ppmv以下であることが好ましく、0.1ppmv以上1000ppmv以下であることがより好ましく、1ppmv以上100ppmv以下であることがさらに好ましい。
(その他の添加剤)
非磁着物を含むスラリーには、これらの他に、起泡剤およびpH調整剤などを添加することができる。
上記起泡剤は、気泡の発生を促進し、かつスラリー表面に形成される泡沫を安定化させる。上記起泡剤は、炭素数1以上8以下のアルコールおよび炭素数1以上8以下のケトンなどの、公知の起泡剤であればよく、たとえば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、メチルイソブチルケトン(MIBK)、およびメチルイソブチルカービノール(MIBC)などを用いることが好ましい。非磁着物を含むスラリーへの上記起泡剤の添加量は、モル分量で、1ppm以上10000ppm以下であることが好ましい。
上記pH調整剤は、スラリーのpHを調整する。第2の捕収剤は、製鋼スラグ粒子の表面に存在するカルシウム成分と静電的に相互作用して、当該製鋼スラグ粒子に吸着する。この静電的な吸着を生じさせるためには、カルシウム成分(特には炭酸カルシウム)のゼータ電位が正になっていることが望ましい。このような観点から、特に第2の捕収剤を用いるときは、pH調整剤によって非磁着物を含むスラリーのpHを7〜14のアルカリ性となる範囲に調整することが好ましく、9〜12に調整することがより好ましい。
(脱Ca2+イオン)
本工程において、カルシウム成分がスラリーの液体成分中に溶出して生成されたカルシウムイオン(Ca2+イオン)を、難溶性の炭酸カルシウムとして析出させてもよい。
析出方法は特に限定されないが、たとえば、二酸化炭素(CO)をスラリーに吹き込めばよい(曝気)。なお、水溶液中の炭酸は、pHが10以上であるときは多くが炭酸イオン(CO 2−)として存在するが、pHがより低いときは多くが炭酸水素イオン(HCO )として存在する。そのため、曝気によりスラリー中に導入された炭酸のうちより多くを炭酸イオンとして、炭酸カルシウムの析出量をより高めるため、このときのスラリーのpHを10以上に調整することが好ましい。
カルシウムイオンの析出は、捕収剤の添加前、捕収剤を添加した後かつコンディショニングの前、コンディショニングの後かつ浮遊選鉱の前などの、いかなる時点に行ってもよい。なお、曝気によりスラリー中で増加した炭酸イオンおよび炭酸水素イオンが、製鋼スラグ粒子の表面に存在する炭酸カルシウムのカルシウムサイトに吸着してしまい、捕収材の吸着を阻害してしまうような場合は、上記曝気を行わなくてもよい。
(浮遊選鉱)
浮遊選鉱の方法は特に限定されず、空気自給型および空気吹き込み型を含む公知の浮遊選鉱の方法により行うことができる。これらのうち、カラムの底部に配置したスパージャーから空気を吹き込むカラム式や、インペラ軸から空気を吹き込み、同時にインペラを高速回転させて気泡を発生させるアジテア式などの、空気吹き込み型が好ましく、アジテア式がより好ましい。
カルシウム成分を含む製鋼スラグ粒子を付着させてスラリー表面に浮上する気泡は、平均径が0.1μm以上1000μm以下の微細気泡であることが好ましく、1μm以上200μm以下のマイクロバブルであることが好ましい。上記マイクロバブルは、体積が微細であるため上昇速度が遅く、互いに結合しにくく、さらには表面積が大きいため、カルシウム成分を含む製鋼スラグ粒子を効率的に付着させることができる。
上述した捕収剤による回収効率を高める観点から、カルシウム成分を含む製鋼スラグ粒子を浮遊選鉱により回収されるスラリーは、製鋼スラグ粒子の粒径d90が500μm以下のスラリーであることが好ましく、200μm以下のスラリーであることがより好ましく、100μm以下のスラリーであることがさらに好ましい。上記製鋼スラグ粒子の粒径d90は、製鋼スラグ粒子の破砕または粉砕の程度によって調整することができる。
また、浮遊選鉱による回収効率を高める観点から、上記スラリーは、スラリー濃度が0.5w/v%以上20w/v%以下のスラリーであることが好ましく、1w/v%以上10w/v%以下のスラリーであることがより好ましく、2w/v%以上5w/v%以下のスラリーであることがさらに好ましい。上記スラリー濃度は、必要に応じて加水するなどして調整することができる。
(回収)
その後、スラリー表面に浮上した泡沫を回収し、回収された泡沫に対し、凝集沈殿などの公知の方法により固液分離することにより、カルシウムを含む固形分を回収することができる。回収方法は特に限定されず、スラリーの上層をオーバーフローさせてもよいし、泡沫を掬い取ってもよいし、パイプなどにより減圧容器に吸い取ってもよい。
一方、回収されなかった残渣は、必要に応じてさらに捕収剤およびその他の添加剤の添加、コンディショニング、浮遊選鉱、および回収を繰り返した後、製鋼スラグ粒子のスラリー化に再利用したり、廃水したりすることができる。
(効果)
このように、本実施形態では、上記弱電解質の陰イオン性捕収剤(第1の捕収剤)の使用により、カルシウム成分を含む製鋼スラグ粒子の回収効率を顕著に高めることができる。また、本実施形態では、上記強電解質の陰イオン性捕収剤(第2の捕収剤)の使用により、第1の捕収剤の金属石鹸化を抑制して第1の捕収剤の使用量を低減することができる。さらには、本実施形態では、凝集剤により製鋼スラグ粒子を予め凝集させたうえで浮遊選鉱を行うことにより、カルシウム成分を含む製鋼スラグ粒子の回収効率を高めて、第1の捕収剤の使用量を低減することもできる。また、このようにして第1の捕収剤の使用量を低減することにより、カルシウム成分を含む製鋼スラグ粒子の回収を低コストで行うことが可能となる。
以下、本発明について実施例を参照してより具体的に説明する。なお、これらの実施例は、本発明の範囲を以下に記載の具体的方法に限定するものではない。
[実験1]
表1に記載の成分比率を有する製鋼スラグを準備した。なお、製鋼スラグの成分は、蛍光X線(XRF)分析によって測定した。
Figure 2021123784
表1に示す製鋼スラグを、直径が5mm以下になるように粉砕した後、750℃で10分加熱した。加熱後は常温になるまで空冷した。その後、20.00gの加熱処理された製鋼スラグに0.2Lの水を加水して、製鋼スラグ粒子の最大粒径が100μm以下となるようにボールミルで湿式粉砕した。
このようにして得られた、製鋼スラグ粒子が水中に分散してなるスラリーに、1.8Lの水を加水して、ドラム式の磁選機により磁選した。ドラムの空芯磁場強度は500G、スラリーの流量は6.83L/minとした。磁選後、0.5Lの水により回転式ドラムをリンスした。この磁選により、5.91gの固形分(磁着物)が回収された。
(試験1−A)
回転式ドラムの表面に捕捉されずに脱離した、非磁着物を含むスラリーのうち、1Lを用いて、以下の実験を行った。
捕収剤として、30ppmvのオレイン酸ナトリウム(第1の捕収剤)と、20ppmvのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(第2の捕収剤)とをスラリーに添加した。その後、スラリーをアジテア式の浮遊選鉱機に投入して、インペラを1000rpmで5分間回転させてコンディショニングを行った後、空気流量を6〜14L/minとして、マイクロバブルによる浮遊選鉱を5分間行った。浮上した泡沫を回収、ろ過および乾燥して得られた固形分について、秤量およびXRF分析により各元素の成分量を測定した。上記第1回目の浮遊選鉱により回収された固形分を「1−F1−A」とする。
泡沫を回収した後の残渣スラリーに対して、30ppmvのオレイン酸ナトリウム(第1の捕収剤)と、20ppmvのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(第2の捕収剤)を添加して、同様の浮遊選鉱を5分間行い、浮上した泡沫の回収、ろ過、乾燥、ならびに秤量およびXRF分析による各元素の成分量の測定を行った。上記第2回目の浮遊選鉱により回収された固形分を「1−F2−A」とする。
さらに、同様の浮遊選鉱を行い、浮上した泡沫の回収、ろ過、乾燥およびXRF分析による各元素の成分量の測定を行った。上記第3回目の浮遊選鉱により回収された固形分を「1−F3−A」とする。また、上記第3回目の浮遊選鉱により回収されなかったスラリー残渣についても、ろ過、乾燥、ならびに秤量およびXRF分析による各元素の成分量の測定を行った。上記スラリー残渣を「1−sink−A」とする。
(試験1−B)
回転式ドラムの表面に捕捉されずに脱離した、非磁着物を含むスラリーのうち、別の1Lを用いて、以下の実験を行った。
捕収剤として、100ppmvのドデシルアンモニウムアセテート(陽イオン性捕収剤)をスラリーに添加した。その後、スラリーをアジテア式の浮遊選鉱機に投入して、インペラを1000rpmで5分間回転させてコンディショニングを行った。その後、スラリーに、二酸化炭素(CO)を吹き込んだ。二酸化炭素の吹き込みは、流量を0.24nL/minとして21分間行った。さらにその後、空気流量を6〜20L/minとして、マイクロバブルによる浮遊選鉱を7分間行った。浮上した泡沫を回収、ろ過および乾燥して得られた固形分について、秤量およびXRF分析により各元素の成分量を測定した。上記第1回目の浮遊選鉱により回収された固形分を「1−F1−B」とする。
泡沫を回収した後の残渣スラリーに対して、30ppmvのドデシルアンモニウムアセテート(陽イオン性捕収剤)を添加して、同様の浮遊選鉱を5分間行い、浮上した泡沫の回収、ろ過、乾燥、ならびに秤量およびXRF分析による各元素の成分量の測定を行った。なお、浮遊選鉱中に、20滴のメチルイソブチルカービノール(起泡剤)をスラリー中に投入した。上記第2回目の浮遊選鉱により回収された固形分を「1−F2−B」とする。
さらに、泡沫を回収した後の残渣スラリーに対して、30ppmvのドデシルアンモニウムアセテート(陽イオン性捕収剤)を添加して、同様の浮遊選鉱を4分間行い、浮上した泡沫の回収、ろ過、乾燥、ならびに秤量およびXRF分析による各元素の成分量の測定を行った。なお、浮遊選鉱中に、20滴のメチルイソブチルカービノール(起泡剤)をスラリー中に投入した。上記第3回目の浮遊選鉱により回収された固形分を「1−F3−B」とする。
さらに、泡沫を回収した後の残渣スラリーに対して、30ppmvのドデシルアンモニウムアセテート(陽イオン性捕収剤)を添加して、同様の浮遊選鉱を5分間行い、浮上した泡沫の回収、ろ過、乾燥、ならびに秤量およびXRF分析による各元素の成分量の測定を行った。なお、浮遊選鉱中に、20滴のメチルイソブチルカービノール(起泡剤)をスラリー中に投入した。上記第4回目の浮遊選鉱により回収された固形分を「1−F4−B」とする。
さらに、泡沫を回収した後の残渣スラリーに対して、50ppmvのドデシルアンモニウムアセテート(陽イオン性捕収剤)を添加して、同様の浮遊選鉱を4分間行い、浮上した泡沫の回収、ろ過、乾燥、ならびに秤量およびXRF分析による各元素の成分量の測定を行った。上記第5回目の浮遊選鉱により回収された固形分を「1−F5−B」とする。また、上記第5回目の浮遊選鉱により回収されなかったスラリー残渣についても、ろ過、乾燥、ならびに秤量およびXRF分析による各元素の成分量の測定を行った。上記スラリー残渣を「1−sink−B」とする。
(結果)
それぞれの試験において泡沫として回収された固形分およびスラリー残渣から得られた固形分についての、固形分の回収量(全固形分に対する質量%)、カルシウムの回収量(全固形分中のカルシウムの合計量に対する質量%)、および添加した捕収剤の量(オレイン酸ナトリウムを「NaOl」、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを「NaDBS」、ドデシルアンモニウムアセテートを「DAA」と表す。)を、表2に示す。
また、それぞれの試験において、各回の浮遊選鉱により泡沫として回収された固形分の回収量(全固形分に対する質量%)を図2Aに、各回の浮遊選鉱により泡沫として回収されたカルシウムの回収量(全固形分中のカルシウムの合計量に対する質量%)を図2Bに、それぞれ示す。
Figure 2021123784
表2、図2Aおよび図2Bに示すように、浮遊選鉱により、製鋼スラグの磁選により選別された非磁着物を含むスラリーから、カルシウムを含む固形分を回収することができた。
特に、捕収剤としてオレイン酸ナトリウム(第1の捕収剤)およびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(第2の捕収剤)を用いる(試験1−A)と、捕収剤としてドデシルアンモニウムアセテート(陽イオン性捕収剤)を用いたとき(試験1−B)よりも少ない捕収剤の量、かつ少ない浮遊選鉱の回数で、より多くの固形分を回収することができ、かつ、より多くのカルシウム成分を回収することができた。
[実験2]
表3に記載の成分比率を有する製鋼スラグを準備した。なお、製鋼スラグの成分は、蛍光X線(XRF)分析によって測定した。
Figure 2021123784
表1に示す製鋼スラグを、最大粒径が25mm以下になるように分級した後、750℃で10分加熱した。加熱後は常温になるまで空冷した。その後、加熱処理された製鋼スラグをボールミルで直径が100μm以下になるように乾式粉砕した。
粉砕された製鋼スラグ粒子に同量の水を加水してスラリー化した後、固形分と水との比率が、質量比で1/50となるように加水し、ドラム式の磁選機により磁選した。ドラムの空芯磁場強度は3500T、スラリーの流量は6.83L/minとした。この磁選により、製鋼スラグ粒子のうち60質量%にあたる量の固形分(磁着物)が回収された。
回転式ドラムの表面に捕捉されずに脱離した、非磁着物を含むスラリーのうち20.00gに対し、固形分と水との比率が、質量比で1/100となるように加水した。このようにして得られた、非磁着物を含むスラリーを用いて、以下の実験を行った。
(試験2−A)
捕収剤として、20ppmvのオレイン酸ナトリウム(第1の捕収剤)と、20ppmvのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(第2の捕収剤)とをスラリーに添加した。その後、スラリーをアジテア式の浮遊選鉱機に投入して、インペラを1000rpmで5分間回転させてコンディショニングを行った後、空気流量を6〜8L/minとして、マイクロバブルによる浮遊選鉱を5分間行った。浮上した泡沫を回収、ろ過および乾燥して得られた固形分について、秤量およびXRF分析により各元素の成分量を測定した。上記第1回目の浮遊選鉱により回収された固形分を「2−F1−A」とする。
泡沫を回収した後の残渣スラリーに対して、20ppmvのオレイン酸ナトリウム(第1の捕収剤)と、20ppmvのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(第2の捕収剤)を添加して、同様の浮遊選鉱を5分間行い、浮上した泡沫の回収、ろ過、乾燥、ならびに秤量およびXRF分析による各元素の成分量の測定を行った。上記第2回目の浮遊選鉱により回収された固形分を「2−F2−A」とする。
さらに、泡沫を回収した後の残渣スラリーに対して、30ppmvのオレイン酸ナトリウム(第1の捕収剤)と、30ppmvのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(第2の捕収剤)を添加して、同様の浮遊選鉱を5分間行い、浮上した泡沫の回収、ろ過、乾燥、ならびに秤量およびXRF分析による各元素の成分量の測定を行った。上記第3回目の浮遊選鉱により回収された固形分を「2−F3−A」とする。
さらに、泡沫を回収した後の残渣スラリーに対して、30ppmvのオレイン酸ナトリウム(第1の捕収剤)と、30ppmvのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(第2の捕収剤)を添加して、同様の浮遊選鉱を5分間行い、浮上した泡沫の回収、ろ過、乾燥、ならびに秤量およびXRF分析による各元素の成分量の測定を行った。上記第4回目の浮遊選鉱により回収された固形分を「2−F4−A」とする。また、上記第4回目の浮遊選鉱により回収されなかったスラリー残渣についても、ろ過、乾燥、ならびに秤量およびXRF分析による各元素の成分量の測定を行った。上記スラリー残渣を「2−sink−A」とする。
(試験2−B)
カチオン性高分子凝集剤として、10ppmvの三洋化成工業株式会社製「サンフロックC−009P」をスラリーに添加し、その後、捕収剤として、20ppmvのオレイン酸ナトリウム(第1の捕収剤)をスラリーに添加した。その後、スラリーをアジテア式の浮遊選鉱機に投入して、インペラを1000rpmで5分間回転させてコンディショニングを行った後、空気流量を8L/minとして、マイクロバブルによる浮遊選鉱を5分間行った。このとき、スラリーに、起泡剤として20滴のメチルイソブチルカービノール(起泡剤)をスラリー中に投入した。浮上した泡沫を回収、ろ過および乾燥して得られた固形分について、秤量およびXRF分析により各元素の成分量を測定した。上記第1回目の浮遊選鉱により回収された固形分を「2−F1−B」とする。
泡沫を回収した後の残渣スラリーに対して、20ppmvのオレイン酸ナトリウム(第1の捕収剤)を添加して、空気流量を18〜20L/minとした以外は同様の浮遊選鉱を5分間行い、浮上した泡沫の回収、ろ過、乾燥、ならびに秤量およびXRF分析による各元素の成分量の測定を行った。なお、浮遊選鉱中に、20滴のメチルイソブチルカービノール(起泡剤)をスラリー中に投入した。上記第2回目の浮遊選鉱により回収された固形分を「2−F2−B」とする。
さらに、泡沫を回収した後の残渣スラリーに対して、30ppmvのオレイン酸ナトリウム(第1の捕収剤)を添加して、上記第2回目の浮遊選鉱と同様の浮遊選鉱を5分間行い、浮上した泡沫の回収、ろ過、乾燥、ならびに秤量およびXRF分析による各元素の成分量の測定を行った。なお、浮遊選鉱中に、20滴のメチルイソブチルカービノール(起泡剤)をスラリー中に投入した。上記第3回目の浮遊選鉱により回収された固形分を「2−F3−B」とする。
さらに、泡沫を回収した後の残渣スラリーに対して、20ppmvのオレイン酸ナトリウム(第1の捕収剤)を添加して、上記第2回目の浮遊選鉱と同様の浮遊選鉱を5分間行い、浮上した泡沫の回収、ろ過、乾燥、ならびに秤量およびXRF分析による各元素の成分量の測定を行った。なお、浮遊選鉱中に、20滴のメチルイソブチルカービノール(起泡剤)をスラリー中に投入した。上記第4回目の浮遊選鉱により回収された固形分を「2−F4−B」とする。
さらに、泡沫を回収した後の残渣スラリーに対して、10ppmvのオレイン酸ナトリウム(第1の捕収剤)を添加して、上記第2回目の浮遊選鉱と同様の浮遊選鉱を3分間行い、浮上した泡沫の回収、ろ過、乾燥、ならびに秤量およびXRF分析による各元素の成分量の測定を行った。なお、浮遊選鉱中に、20滴のメチルイソブチルカービノール(起泡剤)をスラリー中に投入した。上記第5回目の浮遊選鉱により回収された固形分を「2−F5−B」とする。また、上記第5回目の浮遊選鉱により回収されなかったスラリー残渣についても、ろ過、乾燥、ならびに秤量およびXRF分析による各元素の成分量の測定を行った。上記スラリー残渣を「2−sink−B」とする。
(結果)
それぞれの試験において泡沫として回収された固形分およびスラリー残渣から得られた固形分についての、固形分の回収量(全固形分に対する質量%)、カルシウムの回収量(全固形分中のカルシウムの合計量に対する質量%)、および添加した捕収剤の量(オレイン酸ナトリウムを「NaOl」、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを「NaDBS」、ドデシルアンモニウムアセテートを「DAA」と表す。)を、表4に示す。
また、それぞれの試験において、各回の浮遊選鉱により泡沫として回収された固形分の回収量(全固形分に対する質量%)を図3Aに、各回の浮遊選鉱により泡沫として回収されたカルシウムの回収量(全固形分中のカルシウムの合計量に対する質量%)を図3Bに、それぞれ示す。
Figure 2021123784
表4、図3Aおよび図3Bに示すように、捕収剤としてオレイン酸ナトリウム(第1の捕収剤)およびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(第2の捕収剤)を併用する(試験2−A)と、より少ない浮遊選鉱の回数で、より多くの固形分を回収することができ、かつ、より多くのカルシウム成分を回収することができた。
また、捕収剤を添加する前に、スラリーにカチオン性高分子凝集剤を添加すると(試験2−B)、より少ない浮遊選鉱の回数で、より多くの固形分を回収することができ、かつ、より多くのカルシウム成分を回収することができた。
本発明に係るカルシウムを含む固形分の回収方法は、スラリー化した製鋼スラグを湿式磁選した後の、カルシウム成分を含む非磁着物の固液分離による回収をより安価かつ容易に行えるため、製鉄におけるカルシウム資源の回収方法として有用である。

Claims (7)

  1. 製鋼スラグの磁選により選別された非磁着物を含むスラリーを用意する工程と、
    前記スラリーに対し、浮遊選鉱を行う工程と、
    を有する、カルシウムを含む固形分の回収方法。
  2. 前記浮遊選鉱を行う工程において、捕収剤として弱電解質の陰イオン性捕収剤を用いる、請求項1に記載のカルシウムを含む固形分の回収方法。
  3. 前記浮遊選鉱を行う工程において、捕収剤として強電解質の陰イオン性捕収剤をさらに用いる、請求項2に記載のカルシウムを含む固形分の回収方法。
  4. 前記浮遊選鉱を行う工程において、捕収剤としてカチオン性高分子凝集剤をさらに用いる、請求項2または3に記載のカルシウムを含む固形分の回収方法。
  5. 前記スラリーは、前記製鋼スラグを含むスラリーを炭酸化した後に前記磁選により選別された前記非磁着物を含むスラリーである、請求項1〜4のいずれか1項に記載のカルシウムを含む固形分の回収方法。
  6. 前記スラリーは、粒径d90が500μm以下のスラリーである、請求項1〜5のいずれか1項に記載のカルシウムを含む固形分の回収方法。
  7. 前記スラリーは、スラリー濃度が0.5w/v%以上20w/v%以下のスラリーである、請求項1〜6のいずれか1項に記載のカルシウムを含む固形分の回収方法。
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