JP2597372B2 - 新ムチンエピトープに対する単クローン性抗体を生成するハイブリドーマ - Google Patents

新ムチンエピトープに対する単クローン性抗体を生成するハイブリドーマ

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Description

【発明の詳細な説明】 発明の分野 本発明はムチン、殊に精製したムチン、と反応性の新
単クローン性抗体を生成するハイブリドーマ細胞系に関
し、より詳しくは悪性組織に関連するムチン上の新エピ
トープを優先的に認識でき、ヒト癌、殊に乳癌、の検出
および治療に有用な単クローン性抗体に関する。
発明の背景 ムチンは口、肺、顎および腸中の漿液様粘性組織によ
り分泌され、80%までの炭水化物含量を有する多量にグ
リコシル化した高分子量糖タンパク質である。ムチンは
腫瘍関連抗原として確認され、乳癌を有する患者を含め
含患者の血清および腹水から分離された。
ヒト乳の脂肪球は泌乳細胞の頂表面の細胞質膜から得
られる特定の膜中に含まれる。乳脂肪球皮膜(以下MFGM
として示す)として知られるこの膜における関心は、MF
GM内に見出された若干の抗原がムチン様であり、腫瘍、
殊に乳房の癌腫、に関連することの実証とともに高まっ
た。乳癌に関連するムチン上のエピトープを指向する抗
体はヒト乳脂肪球(HMFG)のフラグメントで免疫処置し
たマウスから得られた。これらの抗体は乳癌の診断に対
する有望性を示す。特定の関心はMFGMの高分子量(Mr20
0,000以上)ムチン様成分を指向する抗体である。ムチ
ン様抗原に対する抗体は腫瘍のラジオローカリゼーショ
ンに対する腫瘍予後の指標として、生検における微小転
巣の診断に;および腫瘍の進行を監視する血清検定に良
好に使用された。リンスレイ(Linsley)ほか、カンサ
ー・リサーチ(Cancer Research)、46、5444〜5450頁
(1986)がここに参照される。
以前に確認されたムチン抗原の多くは腫瘍組織に加え
て正常組織中に存在することが認められた。正常および
腫瘍源のムチン様抗原は変異体がバーシェル(Burchel
l)ほか、ジャーナル・オブ・イムノロジー(J.Immuno
l.)、131、508頁(1983)により研究され、正常ヒト乳
房上皮細胞および乳腫瘍細胞系中の2つの単クローン性
抗体(HMFG−1)および(HMFG−2)により認識された
抗原決定基の比に差異が認められた。これらの研究者は
HMFG−1およびHMFG−2の結合の相対的水準が正常およ
び悪性乳房上皮の細胞系間で変動し、HMFG−2エピトー
プが腫瘍細胞系上に一層強く発現されることを示した。
セキネ(Sekine)ほかはジャーナル・オブ・イムノロジ
ー(J.Immunol.)、135、3610頁(1985)に乳および乳
癌患者の胸水からDF3単クローン性抗体、クーフェ(Kuf
e)ほか、ハイブリドーマ(Hybridoma)、3、223頁(1
984)、と反応性のムチン様抗原を比較した。これらの
研究はムチンが抗原的に複合体であり、種々のエピトー
プを正常および腫瘍組織上に発現されることを示唆し、
またムチンが異なる組織源間でエピトープの発源を異に
することができることを示す。乳癌患者の血清中に高水
準で見出されるムチン様抗原上のエピトープと反応する
抗体もまた記載された〔リンスレイ(Linsley)ほか、
前掲、およびフランケル(Frankel)ほか、ジャーナル
・オブ・バイオロジカル・レスポンス・モディファイヤ
ー(J.Biol.Response Modifiers)、4、273頁(198
5)〕。これらの抗体の1つ、W1、は乳癌細胞に関連す
るムチン抗原上のエピトープと反応性である。W1抗体は
乳癌患者の血清中の高水準の抗原の存在を検出する検定
に使用された〔リンスレイ(Linsley)ほか、前掲〕。W
1エピトープに加えて、他のエピトープ、例えば腫癌に
関連することが知られたT〔トムソン−フリーデンライ
ヒ(Thomsen−Friedenreich)〕およびTnムチンエピト
ープを、単クローン性抗体を使用する特定で検出するこ
とができる。スプリンガーほか(Springer and Desa
i)、モレキュラー・イムノロジー(Molecular Immunol
ogy)、22、1303〜1310頁(1985);およびスプリンガ
ー(Springer)、サイエンス(Science)、224、1198〜
1206頁(1984)。
ヒト被検者の試料中に存在する腫瘍関連抗原に対する
検定で高い特異性を示す新抗体を開発することが望まし
い。最適には、そのような抗体は、エピトープが正常組
織から得られる抗原上に非常に低い水準で認められるか
またはマスクされている腫瘍関連ムチン抗原上の特異エ
ピトープを確認できるべきである。従ってそのような抗
体は癌を有する患者の血清中の腫瘍関連抗原との優先的
反応により癌の存在を検出する一層鋭敏な検定を行なう
ために使用できる。
発明の概要 従って本発明は、正常(非腫瘍)または腫瘍組織源か
ら精製したムチン抗原に対する単クローン性抗体を生成
する新規ハイブリドーマ細胞系を提供する。一定のハイ
ブリドーマは精製ムチン抗原を免疫原として含むプロト
コルを用いて生成される。本発明の単クローン性抗体は
腫瘍関連ムチン抗原の存在を検出する血清検定の実施に
使用することができる。さらに、痰および気管支掃集物
および洗浄試料を含む生体試料中のムチン抗原を検出す
る検定を、これらの抗体を用いて行なうことができる。
本発明のハイブリドーマ細胞系により生成される抗体は
それ自体乳房および肺の悪性を含むヒト癌の診断および
治療を促進することができる。
少くとも精製腫瘍ムチン抗原を用いて生成される新規
単クローン性抗体の1つ、単クローン性抗体Onc−M26
は、正常源から得た抗原に比べて腫瘍関連ムチン抗原の
優先的認識を示す。Onc−M26抗体は正常源から分離した
抗原と実質的に低い反応性を有する。さらに、単クロー
ン性抗体M38はムチン抗原上の特有エピトープに対し高
い特異性を示す。
ここに記載する14の他の新規単クローン性抗体もまた
腫瘍関連ムチン抗原と反応する。さらに、これらの抗体
は正常個体から得た抗原と反応性であった。これらの新
規単クローン性抗体の若干はW1抗原上の以前に確認され
たエピトープとは異なるエピトープと反応すると思われ
る。
本発明の典型的な態様の詳細は添付図面に関連して記
載され、 第1図は乳ムチンのCsCl密度勾配精製の画分に対する
W1抗体結合を示し、 第2図は乳ムチンのCsCl密度勾配精製のSDS−PAGゲル
の写真であり、 第3図は乳(レーン2〜5)および腫瘍組織(レーン
6=試料No.H3300腹膜滲出液乳腫瘍ムチン、レーン7=
試料No.H3415胸水乳腫瘍ムチン、およびレーン8=乳腫
瘍のプールムチン)からアフィニティークロマトグラフ
ィー精製したムチンのSDS−PAGEゲル分析の写真であ
り、 第4図はここに記載したレクチン−ムチン捕捉検定を
用いた精製ムチンに対する単クローン性抗体の結合に対
する用量応答曲線を示し、4A:乳ムチン、4B:胸水ムチン
であり、 第5図は乳癌患者および良性乳房疾患を有する患者か
ら本発明の単クローン性抗体を用いて血清検定でDDIAに
より検出したムチン抗原エピトープの水準を示すグラフ
である。
本発明の単クローン性抗体を生成するハイブリドーマ
は、ここに参照するコーラーほか(Kohler and Milstei
n)、ネーチャー(Nature)、256、495頁(1975)、に
より記載された一般操作に従って生成される。その操作
において、ハイブリドーマは体細胞ハイブリッド形成操
作を用いてイモータル腫瘍細胞系の細胞に抗体生成細胞
(典型的には予めムチン抗原源で免疫処置したマウスの
脾細胞)を融合させることにより調製される。ムチン抗
原に対する抗体の生成を誘導するために動物の免疫処置
に用いる作用物質(「免疫原」)は典型的には生ヒト癌
細胞、例えば乳癌細胞、またはMFGM、あるいは癌細胞膜
抽出物から構成された。1種以上の免疫原の接種を与え
ることができ、例えば癌細胞およびMFGMを個々の免疫処
置に導入することができる。MFGMおよびヒト癌細胞系に
加えて、本発明は精製ムチンを下記のように腫瘍源から
得たムチンを含む免疫原として使用する。免疫原として
精製腫瘍関連ムチンの使用は異なる腫瘍関連エピトープ
に対する抗体を生成する機会を改善することができる。
ここに記載する新規単クローン性抗体は表3に要約さ
れるようにマウスを癌細胞系;MFGM調製物;あるいは乳
または癌患者の胸水から精製したムチンで免疫処置する
ことにより生成された。精製ムチンにより免疫処置のた
め、動物の腹腔内および(または)皮下に少くとも1回
100単位またはそれ以上の免疫原を接種した。1種以上
の免疫原の接種、例えば癌細胞およびMFGMを与えること
ができる。次いで動物を2回またはそれ以上免疫原で追
加刺激する。最終追加刺激の数日後に動物から脾臓を回
収し、脾細胞懸濁液を、既知融合法を用いるマウス骨髄
腫細胞との融合のために調製する。
融合工程から生ずるハイブリドーマを成長させる。そ
の後、生じた上澄みを特定抗原に結合できる上澄み中に
存在する抗体を検出する免疫検定法を用いてスクリーニ
ングする。若干の場合に、後記のレクチン捕捉検定(WG
A)を予備スクリーンとして用いて精製した乳および胸
水誘導抗原に結合できるかまたは癌を有するおよび有し
ないヒト被検者から得た血清中のムチン抗原に結合でき
る上澄み中に存在する単クローン性抗体を検出した。他
の場合に、上澄みを培養癌細胞またはMFGMに結合する能
力についてスクリーニングした。酵素免疫検定(ELIS
A)を用いてレクチン付着精製ムチン抗原に対する抗体
の癌細胞またはMFGMに対する結合を検出した。実施例に
記載するように競合結合検定および螢光結合パターンの
観察を含めて他の型のスクリーニングをハイブリドーマ
上澄みに行なった。
ムチン抗原上のエピトープ例えばW1エピトープに結合
する抗体について試験する二元決定基免疫検定(DDIA)
〔リンスレイ(Linsley)ほか、前掲〕を用いて腫瘍関
連ムチン抗原の検出および新抗体をW1抗体と比較するヒ
ト血清検定、並びにヒト被検者の気管支鏡検査中に得ら
れた気管支掃集物の検定で新単クローン性抗体の性能を
分析した。DDIAは支持体例えばプラスチック支持体また
はカラム上に固定化した抗体、好ましくは単クローン性
抗体(「捕捉」抗体)を用いて癌患者の流体試料、例え
ば血清、中に存在する抗原を捕捉する。(癌のない患者
の血清を対照として用いる)。検出のために、例えば、
放射性核種例えばヨウ素−125(125I)または西洋ワサ
ビペルオキシダーゼ(HRP)で標識することができる第
2抵抗、また好ましくは単クローン性抗体、(「検出」
抗体)を加える。標識抗体は捕捉された抗原に結合し、
血清中に存在するムチン抗原の検出および定量化を可能
にする。抗原が反復エピトープ、例えばW1エピトープ、
を有する若干の場合において第2抵抗は第1抵抗と同一
であることができ、例えばともにW1抗体である(同種DD
IA)。非反復エピトープに対しては、例えばエピトープ
が第1抗体との結合によりブロックされるので、抗原上
の異なるエピトープに結合できる第2抗体を用いる必要
があることができる。後者は異種DDIAとして示され、各
検定は始めにあげる捕捉抗体として用いる抗体および検
出のために結合体として用いる抗体により命名される。
従って、「M26/M29」は捕捉抗体としてM26を、および検
出抗体結合体としいてHRP−M29を用いる。
最適には、高い感受性および特異性で免疫検定を行な
うことができる、すなわち癌を有する人の試料を癌のな
い人から得た試料と識別することができ、偽陽性結果の
発生の低下により良好な検定を生ずる単クローン性抗体
を生成できる腫瘍関連抗原上の新エピトープを確認する
ことが好ましい。偽陽性結果は、抗体が正常源のムチン
抗原上のエピトープに結合するために検定が患者中に存
在しない場合に癌の存在を示すときに生ずる。さらに、
検定の感度はムチン抗原、殊に腫瘍関連抗原上のエピト
ープに対して高特異性を有する抗体を用いて高めること
ができ、少量の抗原を結合させて患者中の初期段階の癌
を検出することができる。
次の実施例は本発明を例示し、その製造および使用に
おいて当業者を援助するために提供される。実施例は開
示または特許証により承認される保護の範囲を決して異
なるように限定するものではない。
実施例1 腫瘍および正常源のムチン抗原の精製ムチン抗原源 本発明の単クローン性抗体の生成に用いたムチン源は
ヒト被検者の乳、胸水および腫瘍から得た種々の試料を
抗原活性について試験することに選択した。抗原活性は
リンスレイ(Linsley)ほか、前掲に、により記載され
た競合細胞結合検定を用いて検出した。この検定はまた
下記のようにムチン精製のモニターに用いた。簡単に記
載すると、選択操作において試料を、125I標識またはHR
P結合W1抗体のW5−6細胞に対する結合を阻害する能力
について試験した。W5−6はムチン抗原を強化した細胞
系であり、下記のようにCalu−1肺癌細胞から誘導し
た。阻害活性の1単位は125I標識またはHRP結合W1抗体
(0.4μg/mlの濃度に加えた)の3×104W5−6細胞に対
する結合に50%低下を生ずる物質の量と規定した。125I
標識W1抗体の結合はガンマカウンターの使用により検出
し、結合したHRP結合W1抗体はELISA検定を用いて検出し
た。HRPはナカニほか(Nakani and Kawoi)、ジャーナ
ル・オブ・ヒストケミストリー・アンド・サイトケミス
トリー(J.Histochem.Cytochem.)、22、1084頁(197
4)の操作の変形によりW1抗体に直接結合させた。結合
体は約1:1のHRP対抗体モル比を有した。結合したHRP−W
1抗体結合体は0.0075%(容積/容積)H2O2を含むpH5.0
の100mMクエン酸ナトリウム中0.5μg/mlの濃度のオルト
フェニレンジアミン(OPD)の溶液(100μ)〔ザイム
ト・ラボラトリーズ社(Zymed Laboratories,Inc.,San
Francisco,CA)製〕の添加により検出した。基質と酵素
との反応の黄色の色は分光光度計を用いて測定して490n
mで0.4〜1.5(光学濃度単位すなわちO.D.)の最大吸光
度に達するまで顕色させた。〔これらの値はELISAに対
する最適範囲内である)。酵素−基質呈色反応は1.3N−
H2SO4 50mlの添加により停止させ、490nmにおける吸光
度はマイクロタィター(Microtiter)(登録商標)プレ
ートリーダー〔ジネティック・システムズ社(Genetic
Systems Corp.,Seattle,WA)製〕を用いて測定した。ム
チン抗原との反応性が知られているのでW1抗体を用い
た。どの検定を用いても実質的に同じ値が得られた。
上記操作後、乳房上皮から得られたタンパク質を含む
正常ヒト乳および癌患者から得られた滲出液は高水準の
W1阻害活性(1000単位/ml以上)を含むと認められた。
悪性状態に関連しない試料間に個々に変動する可能性が
あるので種々の乳試料および2胸水試料からムチンを精
製した。多数の固体の酸−エタノール抽出乳腫瘍のプー
ルもまたムチンの精製源として用いた。これらの源から
のムチンの精製は次に記載される。
乳および胸水の捕集 乳は癌のない提供者から入手し、試料乳1、乳2、乳
7および乳11として示した。試料は捕集後5〜10分以内
に凍結させた。初めに可溶性およびMFGM関連両形態のW1
結合ムチンが乳試料中に認められた。得られたムチンの
全収量を最大にするために分析は乳のMFGM関連形態の抗
原に限定しなかった。
用いた滲出液は主に可溶性形態のムチンを含有した。
胸水はバージニア・メーソン病院(Virginia Mason Hos
pital,Seattle,WA)における乳癌患者から得た。1試料
(No.H3300)は転移性小葉乳癌を有すると診断された患
者から得た腹腔液から構成した。試料No.H3422は初めに
尖症性乳癌を有すると診断され、後に適当〜十分識別さ
れた浸潤性管腺癌を生じた患者の胸水であった。他の試
料(No.H3415)は尖症性乳癌を有すると診断された患者
の胸水から構成した。滲出液は−20℃で凍結貯蔵した。
乳および滲出液か得たムチンの分離 乳および滲出液のムチンの精製に用いた予備的方法は
ここに参照され、リンスレイ(Linasley)ほか、前掲、
に記載されたクリース(Creeh)ほか、バイオケミカル
・ジャーナル(Bochem.J.)、167、557頁(1977)の操
作の変形であった。この操作はMFGM関連および可溶性の
両方のムチンの予備的精製を可能にし、最終精製に用い
たアフィニティークロマトグラフィーカラムの過負荷を
防止した。簡単に記載すると全乳および滲出液を解凍
し、グアニジンHCl〔ユナイテッド・ステーツ・バイオ
ケミカル社(United States Biochemical Corp.,Clevel
and,OH)製〕を6Mの最終濃度に加えた。混合物を透明に
なるまでかくはんした。次いで塩化セシウム(CsCl)密
度勾配中の平衡沈降を行なった。CsCl〔ベセスダ・リサ
ーチ・ラボラトリーズ(Bethesda Research Laboratori
es,Gaithersberg,MD)製〕を0.6g/ml(初容積)で加
え、密度を重量測定して1.33〜1.36g/mlに調製した。次
いで試料をベックマン(Beckman)50.2ローター中で21
℃で40,000rpm(145,500Xg平均)で60〜65時間遠心分離
した。画分を管の底から捕集し、密度を測定した。画分
をH2Oに対して透析し、次いで前記のようにW1阻害活性
について検定した。滲出液から得たムチンに対してピー
ク画分をプールし、0.2Mグアニジン−HClを含むCsCl勾
配中で第2の遠心分離にかけた。
アフィニティークロマトグラフィー ムチンの最終精製のためにアフィニティークロマトグ
ラフィーを行なった。CsCl勾配からのW1阻害性のピーク
画分を、セファロース(Sepharose)4B〔シグマ・ケミ
カル社(Sigma Chemical Company,St.Luis,MO製〕に結
合した抗体W9(リング(Dr.D.Ring)、シータス社(Cet
us Corp.,Emeryville,CA)〕と、20mM HEPESでpH6.5に
緩衝した50mM−NaClの溶液中で200〜3500単位/mg抗体の
割合で混合した。W9エピトープがW1エピトープと同じ分
子上に認められたので、また結合したムチンの溶離がW9
の使用によりW1抗体によるよりも低いpHで達成されたの
でW9抗体が選ばれた。結合した抗原は、ここに参照され
るリンスレイ(Linsley)ほか、バイオケミストリー(B
iochemistry)、25、2978頁(1986)により以前に記載
されたように溶離させた。タンパク質濃度は、ここに参
照されるマークウェル(Markwell)ほか、アナリティカ
ル・バイオケミストリー(Anal.Biochem.)、87、206頁
(1979)により記載されたように測定した。
腫瘍プール誘導ムチン 腫瘍誘導ムチンのプールはロー(Dr.J.Rowe,Oncogen,
Seattle,WA)により提供された酸−エタノール抽出乳腫
瘍から精製した。大部分が種々の組織学的分類の乳腫瘍
組織であった外科試料をプールし、−70℃で凍結貯蔵し
た。腫瘍組織試料(各45g)を抽出緩衝液〔95%エタノ
ール、100mM−HCl−フェニルメチルスルホニルフルオリ
ド(32μg/ml)、アプロチニン(2mg/ml)〕250ml溶液
中で解凍し、次いで混合物を4℃で16時間かくはんし
た。不溶性物質を4℃で、10,000Xgで30分間沈降させる
ことにより捕集し、H2O中に約4g/ml(重量/容量)の濃
度に再び懸濁させ、直ちにグニジンHClを6Mの最終濃度
に加えた。混合物を激しく攪拌し、4℃で一夜放置し、
次いで1,000Xgで10分間沈降させ、次いで脂質相を除去
した後上澄みを捕集した。CsCl密度勾配遠心分離および
アフィニティー精製を前記のように行なった。
ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気
泳動(SDS−PAGE) 純度を評価するため、W1阻害活性を示すと認められた
ムチンのCsCl勾配画分の分割量にSDS−PAGEを行なっ
た。この操作はリンスレイ(Linsley)ほか、バイオケ
ミストリー(Biochemistry)、前掲、により記載された
ように5〜20%勾配ポリアクリルアミドゲル並びに4%
スタッキングゲルを用いた試料は低下条件下に分析し
た。ゲルをクーマシーブリリアントブルーを用いて染色
し脱染色し、0.2%過ヨウ素酸で4℃で40分間処理し、
次いでシツフ試薬〔シグマ・ケミカル社(Sigma Chemic
al Co.)製〕を用いて4℃で40分間再び染色した。
アミノ酸分析 前記のように得たアフィニティー精製ムチンのアミノ
酸分析はエリクソン(Lowell H.Ericson,AAA Laborator
ies,Seattle,WA)による標準法を用いて6N−HCl中で115
℃で20時間加水分解した後行なった。
結 果 精製ムチンの生化学分析 乳から得た、W1抗体に結合できるムチン(第1図)は
合計7試験からCsCl勾配中1.38±0.01(標準偏差)の平
衡濃度にバンドを生じた。これは約40%の収率で約10倍
のムチン精製を生じた。上記操作によりヒト乳から得た
ムチンのCsCl密度勾配精製は第2図に示される。乳誘導
ムチンはSDS−PAGE電気泳動により知見されるように大
部分の他の乳タンパク質より高い平衡濃度にバンドを生
じた。同様の精製を胸水および乳腫瘍のプールした酸−
エタノール抽出物から得たムチンで行なった。
乳のムチンのアフィニティー精製は溶出液中に、プー
ルCsCl画分(4試験)中のムチン抗原活性の約52%の回
収;全乳に比し活性の約400倍精製を生じた。胸水に対
してはアフィニティーカラム溶出液中に類似百分率の活
性が回収され、約26%の全収率で約2300倍の全精製を生
じた。
乳または腫瘍(試料No.H3300滲出液、試料No.H3415滲
出液および乳腫瘍のプール抽出物)から得たアフィニテ
ィー精製ムチン調製物のSDS−PAGE電気泳動分析は第3
図に示される。全ムチン調製物中の主成分は緩除移動PA
S染色種であり、イムノブロット試験でW1抗体に結合し
た。さらに、全調製物は、いずれもW1抗体と反応しない
変動する量および分子量の低分子量汚染物を含有した。
3腫瘍誘導源すべてのムチンは約Mr=400,000の拡散バ
ンドとして移動した種を含有する。(示した分子量はそ
れらが用いた標準の範囲外であるのでこれらの分子の高
度のグリコシル化のために推定とみなすべきである。)
試料H3300および腫瘍プールの調製物はそれぞれMr=35
0,000および420,000、370,000および435,000の2成分に
それぞれ分割された。異なる乳試料から調製したムチン
はSDS−PAGE中のそれらの移動にかなりの変異性を示
す。これらの変動速度で移動したこれらの乳調製物の種
々の成分はここに用いた抗体との免疫反応性に有意な差
異を示さなかった。
乳調製物No.2および7は調製物No.2に対しMr=335,00
0および480,000、調製物No.7に対し400,000および500,0
00の相対分子量の2つの拡散種を含有した。調製物No.1
および11はそれぞれMr=450,000および380,000の1拡散
種のみをそれぞれ含有した。速いかまたは遅い移動成分
と用いた抗体との免疫反応性に有意な差異が認められな
かった。
乳(調製物No.2)および滲出液(試料No.H3300、H341
5およびH3422)から精製したムチンのアミノ酸組成が表
1に示される。シミズ(Shimzu)ほか、ジャーナル・オ
ブ・バイオケミストリー(東京)(J.Biochemistiy,Tok
yo)、91、515頁(1982)により記載された糖タンパク
質PAS−Oのアミノ酸組成が比較のために表1に含まれ
る。(セリンおよびトレオニンに対して測定された値は
加水分解中の破壊に対し補償するためにそれぞれ10%お
よび5%補正した。) 第1図に示されるように、組成に若干の差異が認めら
れたけれでも、両調製物の全アミノ酸組成は互いに、お
よびPAS−O組成に非常に類似した。アミノ酸、アラニ
ン、グリシン、プロリン、セリンおよびトレオニンは乳
調製物No.2および滲出液試料No.H3300に対しそれぞれ合
計59%および66%を構成した。これはPAS−Oに対して
測定された同じアミノ酸に対する65%と対比される。
実施例 II ムチンに対する単クローン性抗体の生成 上記のように得られた精製ムチンを用いて、ムチンに
対する単クローン性抗体を生成するためおよびムチンを
確認するためのハイブリドーマを生成させた。
細 胞 種々のヒト癌細胞系もまた免疫原として用いてムチン
と反応性の単クローン性抗体を生成させた。ムチン抗原
を生成するCalu−1肺癌細胞〔アメリカン・タイプ・カ
ルチャー・コレクション(ATCC)(American Type Cult
ure Collection, Rockville,MD)から入手できるNo.HTB
54〕はムチン抗原を認識する螢光標識抗体を細胞に結合
させると特有の不均質染色パターンを示すことが認めら
れた。リンスレイ(Linsley)ほか、カンサー・リサー
チ(Cancer Research)、前掲、記載のようにCalu−1
細胞を用いてムチン抗原の強化された新クローン細胞系
W5−6および少量のムチン抗原を生成するUS−5を得
た。簡単に記載すると、Calu−1細胞を、10%ウシ胎仔
血清(FCS)を補足したダルベッコ(Dulbecco)の改良
イーグル(Eagle)培地〔「DMEM」、ギブコ(GIBCO)、
Grand IsIand,NY)製〕中に保持した。細胞クローン化
はマイクロテストウエル中で限界希釈により行なった。
位相差顕微鏡を用いて判断して単個細胞のみを含むウエ
ルから得られるクローンを注意深く選択した。得られた
細胞系は、セル・カルチャー・ラボラトリー〔Cell Cul
ture Laboratory,(Children′s Hospital,Detroit/Med
ical Center,Detroit,MI)〕により決定されたCalu−1
細胞系と同じアイソザイム表現型を示す。単クローン性
抗体W5〔フランケル(Frankel)ほか、前掲、により記
載された〕を用い、螢光発色セルソーター(FACS)を用
いる螢光染色法によりクローン化からCalu−1細胞誘導
体を分離した。W5抗体の結合のために染色された細胞を
FACSを用いて細胞を分析することにより選別し、最も明
るい細胞を無菌的に捕集した(100〜500,000細胞から約
10%)。W5−6細胞系(クローン6)は、W5抗体の結合
に応答して染色されたCalu−1細胞から誘導された細胞
の2回選別により得られた細胞集団、W52S細胞の限界希
釈分析により得られた。US−5細胞系は非選別Calu−1
細胞(非強化)から誘導された。W5−6細胞系はこれら
の抗体に結合するCalu−1親集団の能力に比べて高水準
のW1、W5およびW9抗体結合を示した。従って、ここに記
載したW5−6細胞系はムチン抗原が強化されている。対
照的にUS−5細胞系はW5−6またはCalu−1親集団に比
べて非常に低いW1、W5およびW9抗体の結合を示した。こ
こに記載したW5−6細胞系はATCCに受託番号CRL9267で
寄託された。US−5細胞はマウスを非ムチン抗原に対す
る耐性になし、ここに生ずる単クローン性抗体のムチン
抗原に対する反応性を高める試みにおける抗原として本
発明に使用した。
MCF−7、乳癌細胞系は、はリップマン(Dr.Marc Lip
pman,National Institute of Health,Bethesda,MD)か
ら入手し、乳房組織関連ムチン抗原と反応性の単クロー
ン性抗体の生成に用いた。
単クローン性抗体 ここに記載する新規単クローン性抗体に加えて、以前
に記載された単クローン性抗体もまた新規単クローン性
抗体と比較するために次の操作に用いた。これらの抗体
はその利用性および前に示された乳腫瘍または他の悪性
組織のムチンとの反応性のために選ばれた。これらの抗
体は表2に示される。
表 2 前に記載された単クローン性抗体 抗 体 名 抗原/エピトープ W1 ムチン W9 ムチン HMFG−1 ムチン HMFG−2 ムチン B72.3 ムチン DUPAN−2 ムチン CA19−9 シアル化ルイスa CO−51.4 ルイスa CO−30.1 ルイスb L15 ルイスy L17 ルイスx C6 I DF3 ムチン 抗体W1およびW9〔リンスレイ(Linsley)ほか、カン
サー・リサーチ(Cancer Research)前掲;また前にフ
ランケル(Frankel)ほか、ジャーナルオブ・バイオロ
ジカル・レスポンス・モディファイヤーズ(J.Biol.Res
ponse Modifiers)、4、273〜286頁(1985)により2G3
および245E7として示された〕はリング(Dr.David Rin
g,Cetus Corporation,Emeryville,CA)〕により提供さ
れた。抗体HMFG−1およびHMFG−2〔テイラー−パパジ
ミトリオー(Taylor−Papadimitriou)ほか、インタナ
ショナル・ジャーナル・オブ・カンサー(Int.J.Cance
r)、28、17頁(1981)〕はユニパス・リミテッド(Uni
path Limited,Bedford,England)から購入した。抗体B7
2.3〔コルシェル(Colcher)ほか、PNAS(USA)、78、3
199頁(1981)〕およびDUPAN−2〔メッガー(Metzga
r)ほか、PNAS(USA)、81、5242頁(1984)〕はシュロ
ム(Dr.Jeffrey Schlom,NIH)およびメッガー(Richard
Metzgar,Duke University,Releigh,NC)からそれぞれ
入手した。CA19−9抗体〔コプロウスキー(Koprousk
i)ほか、ソマティック・セル・ジネティクス(Somatic
Cell Genetics)、5、957頁(1979)〕、CO−51.4抗
体〔ブラスヅクジク(Blaszczyk)ほか、ハイブリドー
マ(Hybridoma)、2、240頁(1981)〕およびCO−30.1
抗体(同上)はすべてATCCから入手した。抗体L15およ
びL17〔ヘルストロム(Hellstrom)ほか、カンサー・リ
サーチ(Cancer Research)、46、3917〜3923頁(198
6)〕はヘルムストロム(Dr.I.Hellstrom,Oncogen,Seat
tle,WA)から提供された。抗体C6〔フェンダーソン(Fe
nderson)ほか、モレキュラー・イムノロジー(Mol.Imm
unology)、23、747頁(1986)〕はフェンダーソンほか
〔Drs.Bruce Fenderson and S.Hakomori,Fred Hutchins
on Cancer Research Center(FHCRC)、Seattle,WA〕に
より提供された。抗体DF3はクーフェ(Dr.D.Kufe,Harva
rd University,Cambridg,MA)により供給された。
抗体B72.3およびDUPAN−2は腹水として用いた。抗体
CA19−9およびC6は培養上澄みとして用いた。他の抗体
はすべて腹水から精製された。
新規単クローン性抗体 精製ムチンと反応性の単クローン性抗体を生成し、腫
瘍誘導ムチンを優先的に認識できる少くとも1つの抗体
を生成する新ハイブリドーマが下記の若干の免疫処置プ
ロトコルおよびスクリーニングを用いて生成された。
免疫措置に用いたマウスはFHCRCまたは〔ジャクソン
・ラボラトリーズ(Jackson Laboratories,Bar Harbor,
Marine)〕から入手した。HFGM、MCF−7、W5−6細
胞、US−5細胞または精製ムチンで下記のように腹腔内
(i.p.)または皮下(s.c.)免疫処置した後、マウスを
追加免疫し、追加刺激の3日後に脾細胞をマウスから取
出した。脾細胞を回収し、既知融合操作を用いてNS−1
骨髄腫細胞〔ジネティック・システムズ(Genetic Syst
ems,Seattle,WA)製〕と融合させてハイブリドーマを形
成させた。ハイブリドーマはすべて限界希釈法によりク
ローン化した。若干の場合に、より安定なハイブリドー
マ細胞を得るためにサブクローン化を行なった。ハイブ
リドーマはATCCに寄託し、表3に示すように受託番号を
与えられた。
免疫処置プロトコル Onc−M8単クローン性抗体を生ずるハイブリドーマ Balb/cマウスを、MFGM225μgを完全フロインドアジ
ュバント(CFA)とともにi.p.およびs.c,注射して免疫
処置した。2週後にMFGM270μgをアジュバントなして
i.p.注射した。20日後にMFGM135μgを不完全フロイン
ドアジュバント(IFA)とともにs.c.注射した。2ケ月
後にMFGM200μgをアジュバントなしでi.p.注射した。
免疫処置したマウスを8日後に精製乳ムチン900単位i.
p.で追加免疫した。
Onc−M10、Onc−M11、Onc−M12およびOnc−M15単クロー
ン性抗体を生成するハイブリドーマ Balb/cマウスを、CFAを用いて1.2×107MCF−7細胞で
i.p.免疫処置した。28日後に12×107MCF−7細胞をアジ
ュバントなしでi.p.注射した。14日後に1.3×107MCF−
7細胞をアジュバントなしでi.p.注射した。24日後に1.
2×107MCF細胞をアジュバントなしでi.p.注射した。免
疫処置したマウスは約4ケ月後の融合前に4×106のMCF
−7細胞およびMFGM100μgi.p.で追加免疫した。
Onc−M16、Onc−M21およびOnc−M25単クローン性抗体を
生成するハイブリドーマ (C57−B1/6×Balb/c)F1ハイブリッドマウス(Onc−
M16およびOnc−M25は同一マウスから得られ、Onc−M21
は別に免疫処置したマウスから得られた)を107W5−6
細胞〔オンコゲン(Oncogen,Seattle,WA)〕でアジュバ
ントなしでi.p.およびs.c.免疫処置した。17日後にさら
に5×106W5−6細胞の注射をアジュバントなくi.p.お
よびs.c.投与した。次に33日後に5×106W5−6細胞を
アジュバントなしでi.p.およびs.c.注射した。免疫処置
したマウスは最後の注射後34日に107MCF−7細胞および
100μgMFGMi.p.でアジュバントなしで追加免疫した。
Onc−M22およびOnc−M23単クローン性抗体を生体するハ
イブリドーマ Balb/cマウスを、6.5×106MCF−7細胞でCFAを用いて
i.p.免疫処置した。20日後に3.5×106MCF−7細胞をIFA
およびMFGM125μgを用いてi.p.注射した。18日後に5
×106MCF−7細胞をアジュバントなしでi.p.注射した。
免疫処置したマウスを融合前に160μgMFGM細胞i.p.で追
加免疫した。
Onc−M26単クローン性抗体を生成するハイブリドーマ Balb/cマウスをCsCl勾配胸水ムチン250単位でi.p.免
疫処置し、25日後に乳癌を有する患者のアフィニティー
精製胸水ムチン(試料No.H3300)150単位i.p.およびs.
c.で免疫処置した。さらに、初めの2胸水注射の33日後
に8×106W5−6細胞のs.c.注射を与えた。CFAを胸水ム
チンの初めの注射に用い、IFAを次の胸水ムチンの注射
に用いた。W5−6細胞の注射にはアジュバントを用いな
かった。免疫処置したマウスを30日後にSDS−PAGEゲル
精製胸水ムチン(注射のためにムチンバンドをポリアク
リルアミドゲルから切出した)1000単位i.p.でIFAとと
もに、次いで24日後にCsCl勾配ムチン500単位、次に25
日後にCsCl精製ムチン1000単位i.p.で追加免疫した。
Onc−M27単クローン性抗体を生成するハイブリドーマ NZBマウスをアジュバントなく3週目毎に8.5×106〜1
07W5−6細胞の3注射でi.p.およびs.c.免疫処置した。
追加免疫は23日後に3×106W5−6細胞および200μgの
MFGMi.p.およびs.c.をアジュバントなく与えた。
Onc−M29およびOnc−M30単クローン性抗体を生成するハ
イブリドーマ 新生仔Balb/cマウス(FHCRCから入手したBalb/cマウ
スから)をアジュバントなく107US−5細胞1注射、i.
p.次いでアジュバントなく107〜2×107W5−6細胞3注
射i.p.(各注射は1週離す)、次に2.5ケ月後にアジュ
バントなく107W5−6細胞1注射i.p.、および310単位の
CsCl勾配精製乳ムチンs.c.で免疫処置した。55日後に5
×106W5−6細胞および1000単位のCsCl勾配精製乳ムチ
ンを融合前にi.p.およびs.c.で追加免疫を行った。
Onc−M38単クローン性抗体を生成するハイブリドーマ Balb/cマウスを3週間隔で3回、乳癌を有する患者の
アフィニティー精製胸水(試料No.H3415)でs.c.免疫処
置した。ムチンはマウスに注射する前にポリL−リシン
コートシリカビーズ〔0.007μ、シグマ・ケミカル社(S
igma Chemical Co.,St.Louis,MO)製〕に結合させた。
アフィニティー精製滲出液ムチンによる第3免疫処置の
18日後にマウスをi.p.投与した4,000単位のアフィニテ
ィー精製ムチンで追加免疫した。
表3に示したこれらの新規単クローン性抗体を生成す
るハイブリドーマはATCC(12301Parklawn Drive,Rockvi
lle,MD,USA20851)に寄託した。ここに開発した前記の
新規抗体に対する免疫処置プロトコルは表3に総括され
る。さらに寄託したハイブリドーマ細胞系およびそれら
が生ずる単クローン性抗体が表3に示される。
スクリーニング 種々のスクリーニング操作を用いて精製ムチン抗原に
結合できる単クローン性抗体を生成するハイブリドーマ
を分離した。
ハイブリドーマ上澄み中に存在し、前記のように得ら
れた精製ムチンに結合できる抗体を検出するために、WG
A捕捉検定を開発した。この操作において、胸水または
乳の精製ムチンを96ウェルの平底ポリスチレンマイクロ
タイター(登録商標)プレート〔イムロン(Immulon)I
I、ダイナテク・ラボラトリーズ社(Dynatech Laborato
ries,Inc.,Alexandria,VA)製〕上に小麦胚(Triticum
Vulgaris)レクチン〔シグマ・ケミカル社(siguma Che
mical Co.,St.Louis,MO)からの小麦胚凝集素「WGM」を
用いて固定化した。マイクロタイター(登録商標)プレ
ートはCaCl2および10mM−MgCl2をpH8.0で含む50mMトリ
ス−HCl中のWGAの20μg/ml溶液50μ/ウェルの添加に
より調製した。プレートをWGAでコートするため25℃で
2時間インキュベートした後溶液を吸出しにより除去し
た。アフィニティークロマトグラフィー後、次いで精製
ムチンを1mM−CaCl2および1mM−MgCl2を含む50mMトリス
−HCl、pH8中で加えた〔他に示さなければ1.0阻害単位
(W1抗原に結合するW1抗体の阻害)毎ウェル〕。次いで
プレートを25℃で1〜4時間インキュベートし、緩衝PB
Sおよび2%FCSを用いて洗浄した。
検定を行なうため、前に確認された単クローン製抗体
を精製抗体に対する飽和濃度(1μg/ml)で、または腹
水に対する1:50の希釈で加えた。新抗体の検定にはハイ
ブリドーマ培養の上澄みを希釈しないでプレートに加え
た。
WGA検定の性能は第4図に示した試験で、精製乳およ
び滲出液ムチンの増加量で試験した。W1抗体の結合に対
する用量応答曲線は乳および腫瘍プール誘導ムチンに対
する阻害単位毎ウェルの10倍範囲以上にわたり直線であ
ったが、しかし腫瘍誘導試料に対する曲線は右方かつ一
層急にシフトした。試験した他の抗体はW1抗体に対する
曲線に平行であったが、しかしその相対位置は個々のム
チン源によって移動した用量応答曲線を示した。これら
の結果は抗体により認識されたエピトープが正常および
腫瘍源のムチン上に異なる相対密度で発現されることを
示す。
間接酵素免疫検定(ELISA)を用い、WGAを用いて固定
化した精製ムチン抗原に対して結合する抗体を検出し
た。(この操作は以下「WGA捕捉検定」として示され
る。)簡単に記載すると、上記のように生成された新規
単クローン性抗体の結合を西洋ワサビペルオキシダーゼ
(HRP)結合ヤギ抗マウス免疫グロブリン〔カペル(CAP
PEL,Malvern,PA)〕(HRP)の添加により、またはIgG特
異性ヤギ抗マウス抗体〔サザン・バイオテク(Southern
Biotek,Birmingham,AL)製〕を得られたIgM抗体の数の
低下に使用することにより測定した。
Onc−M8ハイブリドーマの予備的スクリーニングのた
めに、上澄みを融合の9日後に上記WGA捕捉検定を用い
て精製胸水ムチンに対する結合について試験した。結合
について陽性を示したハイブリドーマに対して、第2競
合結合検定を正常および腫瘍血清のプールを用いて行な
った。
Onc−M10、Onc−M11、Onc−M12およびOnc−M15ハイブ
リドーマ上澄みをまず生(非固定)MCF−7細胞に対す
る結合についてELISA検定で試験することによりスクリ
ーニングした。陽性を示したハイブリドーマ上澄みに対
し、2つの二次スクリーニングを行なった。第1に競合
結合検定を生MCF−7細胞を用いて行ない各ハイブリド
ーマ上澄みを細胞に結合できる抗体について試験した。
第2に、上澄みをポリリシンを用いてプレートに結合し
た精製乳ムチンに対する結合の検出に対してスクリーニ
ングした。
骨髄腫細胞と免疫処置したマウスの脾細胞との融合か
らOnc−M16およびOnc−M25ハイブリドーマ上澄みを予備
的にスクリーニングするためにパラホルムアルデヒド固
定W5−6細胞に対する結合について試験した。結合検定
はリンスレイ(Linsley)ほか、バイオケミストリー(B
io−chemistry)、前掲、により記載されたパラホルム
アルデヒド固定細胞単層上で行なった。陽性を示すハイ
ブリドーマに対し、第2スクリーニングをCalu−1細胞
に対する抗体の結合の蛍光染色パターンを観察すること
により行なった。
Onc−M21ハイブリドーマはELISAを用いてポリリシン
付着MFGMに対する結合について試験することにより予備
的にスクリーニングした。陽性を示すハイブリドーマに
対しては第2スクリーニングをWGA捕捉検定を用いて行
ない、腫瘍および正常血清を用いて結合を検定した。
骨髄腫細胞と免疫処置したマイスの脾細胞との融合の
Onc−M22およびOnc−M23ハイブリドーマ上澄みに対して
は融合の11日および13日後に予備的にスクリーニングし
た。WGA捕捉検定を用いて正常血清試料よりも腫瘍に優
先的に結合できるハイブリドーマ上澄み中に存在する抗
体を検出した。
骨髄種と免疫処置したマウスの脾細胞との融合のOnc
−M26ハイブリドーマ上澄みに対しては融合の7日後にW
GA結合検定を用いてレクチンにより捕捉された精製胸水
ムチンに対する結合により予備的に試験した。結合が検
出された場合に、WGA−ELISA検定を用いて正常血清に比
較して腫瘍を有する患者から得た血清中に存在するWGA
捕捉ムチンに結合するハイブリドーマ上澄みの能力を比
較した。
Onc−M27、Onc−M29およびOnc−M30ハイブリドーマ上
澄みは融合の7日後に、WGA捕捉検定を用いて前記のよ
うに誘導したCsCl精製乳ムチンに対する結合により試験
した。陽性を示したハイブリドーマ上澄みをWGA−ELISA
検定を用いてアフィニティー精製乳ムチン上で再検定し
た。ハイブリドーマ上澄みはまたIgGおよびIgM特異性ヤ
ギ抗マウス抗体に対する結合を比較することによりスク
リーニングし、一般にIgGに特異性であると認められた
ものをさらに確認するために選んだ。
Onc−M38ハイブリドーマ上澄みはWGA結合検定を用い
てレクチンにより捕捉された勾配精製胸水ムチンに対す
る結合により抗体の存在についてスクリーニングした。
陽性を示したハイブリドーマ上澄みを勾配およびアフィ
ニティー精製胸水ムチンを用いてWGA結合検定で再試験
した。
上記のようにムチン抗原(精製抗原または細胞関連)
に結合した単クローン性抗体を生成するハイブリドーマ
上澄みをプリスタン感作マウスに注射して腹水を生成さ
せ、それから既知精製操作を用いて単クローン性抗体を
精製した。硫酸アンモニウム沈降後、IgG抗体をDEAEセ
ファセル(Sephacel)カラム〔ファルマシア(Pharmaci
a,Uppsala,Sweden)製〕上のイオン交換により精製し、
IgM抗体(M26)をセフアクリル(Sephacryl)S−300カ
ラム〔ファルマシア(Pharmacia)製〕上のサイズ分別
を用いて精製した。精製抗体のアイソタイプ(抗体の免
疫グロブリンサブクラス)を類特異性抗体〔サザン・バ
イオテク(Southern Biotek)製〕を用いて酵素免疫検
定(下記)により測定した。
実施例III 新単クローン性抗体の確認 前記のように分離した新抗体を前記WGA捕捉検定を用
いて精製ムチンのすべてに結合する能力について試験し
た。抗原の1.5阻害単位の単個濃度を毎ウェルに用い
た。抗体の飽和濃度(1μg/ml)を用いた。基質インキ
ュベーションは各試料に対する最大O.D.値が0.4〜1.4の
範囲内にあったときに停止した。
さらに若干の操作を用いて新抗体がW1抗体に結合する
ムチン抗原を認識することを示した。これらの操作は3H
−グルコサミンまたは3H−トレオニンで標識した腫瘍細
胞抽出物の免疫沈降(IP)およびリンスレイ(Linsle
y)ほか、バイオケミストリー(Biochemistry)、25、2
978頁(1986)により記載された精製ムチンまたは細胞
膜調製物のイムノブロット(IB)であった。二元決定基
免疫検定(DDIA)もまた使用し、抗体を、HRP結合W1抗
体に結合するムチンを捕捉する能力について試験した
(表4)。
新抗体はまたリンスレイ(Linsley)ほか、バイオケ
ミストリー(Biochemistry)、25、2978頁(1986)に記
載されたパラホルムアルデヒド固定培養W5−6細胞系に
対する結合について試験した。
結 果 精製ムチン抗原に対する抗体結合 ここに生成された単クローン性抗体は上記WGA捕捉検
定およびDDIA結合検定により測定してヒト乳、腫瘍細胞
系、胸水および腫瘍のムチンと反応する。ここに記載さ
れる新規抗体の多くは1つ以上の操作の使用により測定
してムチンと反応したが、しかし抗体Onc−M30に対して
はDDIA操作のみを用いた。精製ムチンがW1エピトープを
含むので(表4参照)、新抗体はW1エピトープまたはム
チン抗原上の新規エピトープと思われるものと反応す
る。これらの抗体はまたムチン抗原上の他のエピトー
プ、例えばTおよびTnエピトープに結合することができ
る。
表4から知見できるように、若干の単クローン性抗体
(Onc−M8、Onc−M16、W1およびW9)は高い吸光度値
(0.1)を与え、乳および腫瘍源の大部分の試料に結
合し、一定の抗体(Onc−M15、Onc−M22、Onc−M23、On
c−M25およびOnc−M27、HMFG−1、HMFG−2)は高い吸
光度値(0.1)を与え、乳ムチンの大部分に結合する
が腫瘍誘導試料に結合せず;他の抗体(Onc−M10、Onc
−M11、Onc−M12、Onc−M21、Onc−M29、Onc−M30およ
びB72.3、DUPAN−2、CA19−9)は<0.1の吸光度値を
与え、乳または腫瘍源の大部分の試料に結合しない。抗
体Onc−M26は胸水ムチン(試料H3300)に強く結合する
が、しかしすべての乳誘導ムチン試料に弱く結合する。
一定の抗体は直接結合検定において胸水または乳腫瘍ム
チンに有意に結合しなかったけれども、胸水ムチン試料
H3300上のムチンエピトープに対する全抗体の結合が一
層鋭敏なDDIAにより検出されたことが注目される。Onc
−M38はこの検定で試験しなかったが、しかし別の試験
において乳および滲出液ムチンの両方に対する結合に対
して高い吸光度値を与えた。
若干の提供者の乳から精製したムチンは抗原的に類似
すると認められ、試験した抗体が多形抗原決定基例えば
血液型抗原〔例えばABOおよびルイス(Lewis)〕を検出
しないことを示唆した。集団の80%がルイス陽性(およ
び乳提供者の2人、1および7、が唾液試験によりルイ
ス陽性であると示された)であるけれども、腫瘍誘導ム
チンのいずれも結合検定により検出できる水準のルイス
抗原を有しなかった。乳ムチン調製物(試料1および7
を含む)のいずれも、検出できる水準のルイスb(抗体
CO−30.1)またはルイスy(抗体L15)を有しなかった
が、それらの3つ(試料1および7を含む)は検出でき
るが低い水準のルイスa(抗体CO−51.4)およびルイス
x(抗体L17)を有した。これはルイス抗原が乳ムチン
中に単に弱くまた乳癌から得たムチン中にあるとしても
非常にわずかに発現されることを示唆する。対照的に、
これらのエピトープは結腸癌のムチン抗原で検出され
た。マグナニ(Magnani)ほか、カンサー・リサーチ(C
ancer Research)、43、5489頁(1983)およびジョンソ
ン(Johnson)ほか、カンサー・リサーチ(Cancer Rese
arch)、46、850頁(1986)。
乳ムチンと比較すると、腫瘍誘導ムチンは全く異なる
抗体結合プロフィルを示した。データは新ムチンエピト
ープを認識する単クローン性抗体が本発明の方法を用い
て確認されたことを示唆する。W1抗体はすべての腫瘍誘
導試料に、試験した他の抗体より比較的高度に結合し、
すなわちW1に比べて他のすべての抗体の結合は低かっ
た。
ここに記載した新抗体の1つ、ハイブリドーマ細胞系
ATCC No.HB9212により生成されたOnc−M26は多くの「腫
瘍特異性」エピトープを検出した。このエピトープはま
た高濃度のムチンを検定に用いたときに他の腫瘍誘導試
料で検出されたが、しかし乳試料のムチンで非常に低水
準で検出された。従って、Onc−M26は癌を検出する検定
でヒト被検者の血清中の正常および癌組織関連ムチン間
を識別できる単クローン性抗体としての有望性を示す。
これらのデータは新抗体の大部分の特異性が、以前に
記載された抗体のものとは異なることを立証する。しか
し、Onc−M21およびOnc−M29上のエピトープはそれらが
検定において精製したムチン源に有意に結合しなかった
のでこれらのデータに基いて他の抗体例えばB72.3およ
びDUPAN2のものと識別できなかった。W5−6細胞結合試
験はOnc−M21およびOnc−M29が以前に知られた抗体と比
較してW5−6細胞系に優先的に結合したことを示し、こ
れらの抗体の特有の特異性を示した。
これらの結果はここに記載した操作を用いて腫瘍源か
ら誘導した精製ムチンが乳中に存在する正常乳房上皮の
ムチンと免疫学的に異なることを示す。データはまた正
常乳房上皮組織のムチン上に存在する抗原エピトープが
他の決定基によりマスクされることができ、あるいは腫
瘍から得たムチン上に低水準で存在することができるこ
とを示唆する。次にこれは腫瘍ムチンが正常源からムチ
ン上に認められないエピトープを含むことができること
を示す。従って、腫瘍誘導ムチンを含む精製ムチンはム
チン抗原を認識できる単クローン性抗体、殊に正常源の
ムチンに比べて腫瘍誘導ムチンと優先的に反応できる抗
体を開発するための改良された免疫原を与えることがで
きる。
実施例IV 単クローン性抗体M26およびM29を用いる血清検定 ここに記載した単クローン性抗体の有用性を示すため
に、実施例IIに記載したように得た単クローン性抗体On
c−M26およびOnc−M29を用いてDDIAを行なった。W1抗体
を比較のために用いた。
イムロンIIプレートを50mMトリス緩衝液、pH8.0、中1
0μg/mlのOnc−M26またはOnc−M29抗体50μ/ウェル
とともに1時間インキュベートしてプレートを抗体
(「捕捉抗体」)でコートした。次いでプレートを吸出
し、ブロッキング緩衝液〔0.5%ウシ血清アルブミン(B
SA、5%スクロースおよびトリス緩衝液〕350μ/ウ
ェルを用いて1時間〜一夜ブロックした。プレートを再
び吸出し、紙タオルを用いて一夜吸取った。プレートを
乾燥状態でプラスチックラップ中に室温で保管した。癌
を有すると診断された患者から得た血清および対照血清
(正常患者から)をウシ胎仔血清(FCS)を用いて希釈
した。捕捉抗体の検出に単クローン性抗体Onc−M26およ
びW1抗体を用いて検定を行なったときに血清および対照
はともに1:8の比に希釈した。単クローン性抗体M29およ
びW1抗体を用いる検定には血清および対照を1:50の比に
希釈した。Onc−M26単クローン性抗体に対する吸光度標
準は前記のように調製した胸水試料(No.H3375)をプー
ル血清およびFCSの混合物中に容量的に希釈することに
より作った。Onc−M29抗体に対する吸光度標準は試料N
o.H3375をFCS中に希釈することにより作った。吸光度標
準は血清のプールを20吸光度単位毎mlの値に帰属させる
ことにより校正した。対照はオンコジン(Oncogen)従
業者から得たプール血清および2乳房胸膜融合試料から
構成した。標準および対照はともに分割し、−70℃で貯
蔵した。
希釈血清、対照および標準50μを二重にコートウェ
ルにピペットで乳れた。ウェルをプレートシーラーで密
封し、室温で1時間インキュベートした。次いでプレー
トをリン酸塩緩衝食塩水(PBS)緩衝液中の2%FCSを用
いて2回手動洗浄した。適当に希釈したW1−HRP結合抗
体50μをプレートに加えた。M26検定には0.5μg/mlの
濃度のW1 HRPを用いた。M29検定には0.1μg/mlのW1 H
RPが最適であると認められた。結合体はすべて2%FCS
およびPBS中に希釈した、次いでプレートを再び密封
し、室温で1時間インキュベートした。次にプレートを
PBS緩衝液を用いて3回手動洗浄した。OPD基質100μ
をプレートに加え、次いで暗所中で1時間インキュベー
トした。反応は1.5N硫酸50μを用いて停止させた。吸
光度は490nmで読取った。10単位/ml以上(または10単位
/ml以下であれば2単位/ml)離して二重に繰返した。高
結果を与えた試料は希釈して再び試験した。検定は2群
の患者(癌を有する、および有しない)間を識別する能
力について比較した。カットオフ値(単位/ml)は約90
%特異性を与えるように選んだ(すなわち、対照群の90
%が陰性を示した)。結果は表5に示される。
表5は癌患者の血清を、単クローン性抗体W1、並びに
新単クローン性抗体Onc−M26およびOnc−M29で用いたDD
IA検定の結果を示す。試験欄は上記DDIAにおいてW1単ク
ローン性抗体とともに用いた単クローン性抗体を示す。
W1試験(同種DDIA)においてW1単クローン性抗体を捕捉
抗体として固定化し、ヒト被検者の血清中に存在するム
チン抗原を結合させた。これらの試験に用いた第2検出
抗体はHRPと結合したW1抗体であった。M26試験において
固定化した抗体はOnc−M26であり、M29試験においてOnc
−M29抗体を固定化させた。カットオフ欄中に示される
抗体の後の数字は抗原の水準を単位/mlで示し、それ以
上で検定が腫瘍関連ムチンの存在に対して陽性であると
決定された。欄0〜6は示した抗体を用いて測定したカ
ットオフ欄に示した水準以上のW1エピトープ水準を有す
ると認められた癌型に対する患者の割合を示す。対照欄
は陽性反応を有する対照血清(癌を有しない患者の)の
検定の(すなわちカットオフ欄に示した抗原の水準、い
わゆる「偽陽性」結果を検出する)百分率を示す。各範
疇の血清(0〜6)中の患者の数およびこれらの患者中
に存在する癌の型もまた表5に示されている。従って、
Onc−M26が捕捉抗体であり、95単位/ml以上の抗原カッ
トオフ水準である場合に転移癌を有する116患者の約43
%がOnc−M26捕捉抗体およびW1検出抗体を検定に用いて
癌を有すると認められた。対照の単に0.5%が癌を有す
ると誤って検出された(偽陽性)。Onc−M29抗体の使用
は患者の66%が正しく認められ、4%の偽陽性が認めら
れた。W1抗体を検定における第1および第2抗体として
用いたときに116患者の約58%が癌を有すると認められ
たが、しかし4%の偽陽性が認められた。
従って、DDIAにおけるOnc−M29抗体の使用はW1抗体に
よるよりも大きい癌患者の部分に癌の存在が正しく認め
られ、W1抗体よりも捕捉抗体として用いたOnc−M29の高
い感受性を示す。Onc−M26抗体の使用はOnc−M29抗体を
用いるよりも若干低い感受性の検定を生じた。しかし、
W1抗体と比較すると非常に低い数の偽陽性(0.5%)が
認められ、従って、検定は一層特異的である。M26およ
びM29試験に対する陽性結果を評価するとM26またはM29
試験単独の結果を用いるよりも癌の存在の一層鋭敏な指
標を与える(例えば転移癌を有する患者の75%が陽性と
評価される)。これらの結果はヒト血清中の癌の検出に
おけるOnc−M26およびOnc−M29単クローン性抗体の潜在
的有用性を示す。
実施例V ムチン抗体結合の交差競合分析 本発明の単クローン性抗体をさらに交差競合研究によ
り確認し、その結果が表6に示される。これらの研究は
標準濃度(0.5μg/ml)の125I標識ムチン抗体の結合の1
/2(50%)最大阻害を生じた非標識ムチン抗体の濃度を
確認した。交差競合分析は表6に示される標識(125I)
抗体のそれぞれと表6の上部を横切って示される非標識
抗体のそれぞれとの間で行なった。抗体M8、M15、M16、
M22、M23、M25、M27、W1、W9およびM38の競合的結合はC
sCl精製乳誘導ムチンで測定し、抗体M10、M11およびM12
の結合はMCF7細胞系に関して測定した。Onc−M21および
Onc−M29の結合はW5−6細胞系に関して測定した。0.5
μg/mlの125I標識抗体の結合を50μg/mlまでの増加量の
非標識抗体の存在下に測定した。(M26抗体は放射性標
識後に固定化したムチンに十分に結合しなかったのでそ
れをこの分析に含ませなかった)。
表6中、指示「++++」は50%最大阻害が3.2μg/m
l未満の非標識抗体の濃度で起ることを示し、指示「+
++」は50%最大阻害を与えるために必要であった非標
識抗体の量が3.2〜15.8μg/mlであったことを示し、指
示「++」は標識抗体の結合の50%最大阻害を与えるた
めに必要であった非標識抗体の濃度が16〜31μg/mlであ
ったことを示し、指示「+」は標識抗体に対する結合の
50%最大阻害を与えるために必要であった非標識抗体の
濃度が32〜50μg/mlであったことを示し、指示「−」は
標識抗体の結合の50%最大阻害を与えるために必要であ
った非標識抗体の濃度が50μg/mlより大きかったことを
示す。
表6に示される交差競合分析の結果に関して、若干の
抗体が特有の交差競合パターンを示し、それらが異なる
エピトープに結合したことを示す。交差競合の最も特有
のパターンは抵抗M21およびM29により示され、それらが
相互の結合について競合したが、どちらも試験した他の
抗体のいずれに対しても競合せず、またそれらのいずれ
によっても競合されなかった。従って、これらの抗体は
他の抗体によって認識されるものとは異なる同一または
空間的に関連するエピトープを認識する。
抗体W1およびM38は他のどの抗体によっても競合され
なかったが、しかしそれらは他の多くの抗体の結合に対
して競合した。これはこれらの抗体に対するエピトープ
が異なるが、しかし他の抗体に対するものと構造的に同
一かまたは空間的に関連することを示唆する。抗体M10
は若干の他の抗体により競合されたが、しかし125I−M1
0の結合に対してのみ競合され、それはまた抗体W1、M
8、M16およびM38に対するものと構造的またば空間的に
関連する異なるエピトープに結合したことを示唆する。
しかし、抗体M10は抗体W1の結合に対し、この抗体が最
もよく結合したMCF7細胞で試験したときでも有意に競合
しなかった。
残りの抗体はそれらのそれぞれのエピトープ間の構造
または空間的関係を示唆する交差競合パターンを示し
た。例えば抗体W9、M8、M16およびM25に対するエピトー
プはM11およびM12に対するものと同様に関連すると思わ
れる。
抗体M15、M22、M23およびM27もまた同様の交差競合パ
ターンを示したが、若干の差異が認められた。一般に、
これらの抗体は相互に構造または空間的に関連すると思
われるエピトープを結合する。生化学データはこれらの
抗体がコアタンパク質エピトープを認識することを示唆
する(下記参照)。交差競合データにに基くとこれらの
4抗体に対するエピトープは抗体W1に対するエピトープ
に関連し、抗体M22およびM23はまたM38に対するエピト
ープに関連する。
要約すると、新抗体とW1およびW9との間の交差競合の
パターンはムチン分子上に若干のエピトープが存在する
ことを示唆した。抗体M21およびM29は、同一かまたは密
接に関連し、他の抗体により認識されるものとは異なる
エピトープを認識する。他の抗体はすべて、構造的特徴
を共有するかまたは他の抗体に対するエピトープに立体
的に関連するエピトープを認識する。抗体W1、M10およ
びM38は、他の抗体のものに関連するが同一でないエピ
トープを認識する。抗体M11およびM12は、他の抗体によ
り認識されるものと同一でない密接に関連するエピトー
プ(類)を認識する。M38単クローン性抗体は本発明の
他の新規単クローン性抗体により、あるいはW1またはW9
抗体により認識されない新エピトープを確認する。前記
からOnc−M38単クローン性抗体がムチン抗原上の特有エ
ピトープに対し高い特異性を示し、従って上記技術およ
び操作を用いる患者中の腫瘍を検出する検定だけでな
く、またそのような腫瘍の治療における重要な機能に役
立つことができると思われる。
実施例VI エピトープの生化学的確認 新抗体により認識されたエピトープの生化学的性質を
測定するために、ムチンに対する抗体結合に及ぼす種々
の処置の効果を調べた。
炭水化物構造が抗体の結合に必要であったかどうかを
測定するために抗体結合に対する過ヨウ素酸ナトリウム
処理の効果を調べた(表7)。ムチンを前記のように
WGAによりマイクロタイタープレート上に固定化し、50m
M酢酸ナトリウムの緩衝液、pH4.5、中の0.2〜100mMの範
囲の濃度の過ヨウ素酸ナトリウム(NaIO4)で、37℃で3
0分間処理した。乳2誘導ムチン試料は抗体W9を用いて
アフィニティー精製し、H3300誘導ムチン試料はCsCl精
製した。MCF7およびW5−6細胞膜のムチンは非イオン界
面活性剤溶液〔TNEN,リンスレイ(Linsley)ほか、バイ
オケミストリー(Biochem.)、25、2778〜2986(198
6)〕で可溶化し、固定化前に遠心分離(390,000Xg mi
n)により界面活性剤不溶性物質から分離した。ウェル
はPBSで十分に洗浄し、NaBH4(PBS中100mM)で37℃でさ
らに30分間処理した。処理後10%FCSを含むここに参照
されるリンスレイ(Linsley)ほか、バイオケミストリ
ー(Biochem.)、25、2978〜2986(1986)により記載さ
れた結合緩衝液でウェルをブロックし、間接ELISAによ
り抗体結合について試験した。結合を50%低下させるた
めに必要であったNaIO4の濃度を測定値から補間により
決定した。
示した炭水化物エピトープ(I構造)に対する対照抗
体(C6)の結合は過ヨウ素酸塩処理に対して鋭敏であ
り、結合の50%最大阻害は1mMで起った。抗体W1およびW
9、並びにM26は過ヨウ素酸塩処理に対して対照抗体より
も一層鋭敏であり、W1およびW9の感受性は以前に示さ
れ、炭水化物がこれらの抗体の結合に必要であることを
示唆する。他の5抗体(M10、M11、M12、M21およびM2
9)は過ヨウ素酸塩感受性であったが、しかし、対照抗
体よりかなり高い濃度を必要とした。残りの8抗体は過
ヨウ素酸塩処理に対し、非常に高い濃度(0.1M)でも不
感受性であった。従って、M26を除くすべての新抗体に
対するエピトープは過ヨウ素酸塩化に対し抗体W1および
W9並びに対照抗体C6より低い感受性であった。
シアル酸が抗体結合に必要であったかどうかを試験す
るために、表8に要約した試験で抗体をノイラミニダー
ゼに対する感受性について試験した。ムチンをWGAによ
りマイクロタイタープレート上に固定化し、リンスレイ
(Linsley)ほか、カンサー・リサーチ(Cancer Re
s.)、46、前掲、により記載されたコレラ菌(Vibrio c
holera)のノイロミニダーゼで処理した。ノイラミニダ
ーゼ(4.5ミリ単位/ウェル)を150mM−NaCl、50mM酢酸
ナトリウム、pH5.5、および0.1%CaCl2中で37℃で1時
間添加した。次いでウェルを10%FCSを含む結合緩衝液
でブロックし、間接ELISAにより抗体結合について試験
した。
対照抗体(C6)の結合はこの抗体の非アシル化構造に
対する結合の優先性により処理により増加した。抗体M
8、M16、M25、M21、M27およびM29のH3300誘導ムチンに
対する結合もまたノイラミニダーゼ処理により増加し、
これらの抗体に対するエピトープがシアル酸の除去によ
りアンマスキングされたこを示唆した。対照的に、これ
らの同じ抗体の乳誘導ムチンに対する結合はノイラミニ
ダーゼ処理により影響されなかった。
抗体W1およびW9の結合は以前に示されたようにノイラ
ミニダーゼ感受性であった。抗体M26の結合もまたノイ
ラミニダーゼ感受性であり、シアル酸がこの抗体の結合
に必要であることを示唆した。残り7抗体の結合はノイ
ラミニダーゼ処理により影響されなかった。
多くの抗体に対するエピトープが過ヨウ素酸塩または
ノイラミニダーゼ感受性でなかったので、それらの若干
はコアタンパク質エピトープを認識することが可能であ
った。この可能性を試験するために、無水フッ化水素
(HF)処理により脱グリコシル化した精製乳誘導ムチン
に対する一定の抗体の結合を調べた。乳誘導ムチンはア
フィニティークロマトグラフィーにより均質性に精製
し、前記のようにサイズ排除クロマトグラフィーを行な
った。精製タンパク質200μg(アミノ酸組成により決
定した)を、ここに参照されるモート・アンド・ランポ
ート(Mort and Lamport)、アナリティカル・バイオケ
ミストリー(Anal Biochem.)、82:289〜309(1977)に
より記載されたように無水HFを用いて脱グリコシル化し
た。23℃で4時間処理した後試料を50%酢酸中で可溶化
し、20mM酢酸アンモニウムに対して透析し、凍結乾燥し
た。不処理(3ngタンパク質/ウェル)および脱グリコ
シル化(10ng/ウェル)の試料を直接ポリスチレンマイ
クロテストウェルに吸収させ、間接ELISAにより抗体結
合について試験した。
処理がオリゴ糖を除去したことを確認するために試料
をアミノ酸およひヘキソサミン分析〔AAラボラトリーズ
(AA Laboratories,Seattle,WA)〕にかけた。両試料の
アミノ酸組成が一致したけれども、HF処理ムチンは不処
理ムチンより2%低いヘキソサミン(グルコサミン+ガ
ラクトサミン)含量を有した。この処理は精製調製物か
ら98%以上のN−アセチルグルコサミンおよびN−アセ
チルガラクトサミンの除去を生じたがそのアミノ酸組成
に有意に影響しなかった。
表9に示されるように、脱グリコシル化は対照抗体お
よび不処理ムチンに強く結合した10抗体中の6つの結合
を消滅させた。対照的に、M15、M23およびM27は固定化
した脱グリコシル化ムチンに強く結合し、これらの抗体
がコアタンパク質上のエピトープに結合することを示唆
した。抗体M22の結合はHF処理により低下したが、しか
し結合はなお有意であった。抗体M10、M11、M12、M21お
よびM29は、これらの抗体が乳誘導ムチンに十分に結合
しなかったので(表4)コアタンパク質エピトープに対
する結合について試験しなかった。
この試験で知見できるように、若干の抗体(M15、M2
2、M23およびM27)は大部分の炭水化物がコアタンパク
質から除去されたHF処理に耐性のエピトープに結合し
た。従ってこれらの抗体に対するエピトープはおそらく
事実上タンパク質であろう。
上記試験は交差競合分析に基いて本発明の抗体により
認識されたエピトープ間の関係を他の処理例えば過ヨウ
素酸塩、ノイラミニダーゼおよび脱グリコシル化の観点
で見るべきであることを示す。従って、抗体W9およびM8
は交差競合の類似パターンを示す(表6)が、しかしそ
れらのエピトープを過ヨウ素酸塩およびノイラミニダー
ゼ処理に対する感受性を基にして識別することができる
(表7および8)。
実施例VII 単クローン性抗体M23、M26、M29およびM38を用いる血清
検定 実施例IIに記載したように得た単クローン性抗体Onc
−M29およびOnc−M38並びにOnc−M26およびOnc−M38を
用いてDDIAを行なった。Onc−M23による同種検定もまた
行なった。市販試験CA15−3〔セントコア(Centocor,M
alvern,PA)製〕およびW1抗体による同種検定を比較の
ために用いた。検定は転移乳癌を有する患者の72試料
(M)および良性乳疾患を有する患者の94試料(B)を
含む血清のパネルを用いて行ない、実施例IVに記載した
DDIAにより検出した抗原水準について分析したが、しか
し抗体Onc−M29を捕捉抗体として、検出抗体としたOnc
−M38とともに用い(M29/M38「DDIA」)、またOnc−M26
を捕捉抗体とし、Onc−M38を検出抗体として用いた(M2
6/M38「DDIA」)。これらの検定の結果を第5図に示し
た試験において同種W1検定およびCA15−3試験と比較し
た。検定は約90%特異性(すなわち対照群の90%が陰性
を示した)を与えるように選んだカットオフ値で2群の
患者間を識別する能力について比較した。
第5図において、得られた値は各試験に対する対照群
の中央値が合計100区画を有する直尺上、約第10区画に
位置するようにプロットする。点線は各試験に対する90
%特異性を与える値を示す。Nは試験した試料の数であ
る。
この分析は血清のこのパネルで最良の性能を有する検
定がM29/M38異種検定であり、それが転移乳癌患者の93
%を検出した(93%の感受性を与えた)ことを示す。対
照的に、W1、M23、M26/M38およびCA15.3検定はそれぞれ
転移乳癌患者の67%、60%、60%および83%を検出し
た。従って異なる試験が異なる結果を与え、M29/M38お
よびCA15.3試験が同種W1検定より良好な性能を示し、M2
3およびM26/M38検定は等しいかまたは不十分な性能を示
す。
M29/M38試験で陰性を示した5腫瘍患者血清中の2試
料はW1、M23、CA15.3試験で陽性を示し、これらの試料
の1つはM26/M38試験に対し陽性を示した。従ってM29/M
38の結果を他の試験と組合せることにより腫瘍患者血清
の69/72(95%)が陽性を示した。
試験はまたM29/M38検定で得られた結果を確認する能
力について評価された。多くの腫瘍患者は第5図に用い
たカットオフに等しいかまたは以上の、しかし対照範囲
の値内の血清抗原水準を有した。従ってこれらの測定の
解釈は、対照試料に対して測定された値と重なるために
不確実であることを免れない。これらの患者の改良され
た検出は従ってM29/M38検定の臨床利用性を増大させよ
う。
この目的に対する最も有望な検定はM29/M38検定であ
った(表10)。乳癌患者の72中合計24の血清は、陽性で
あるがしかし対照試料(35単位/ml)に対して測定さ
れた最高値未満であったM29/M38値を与えた。これらの2
4試料中の8試料は正常範囲(79単位/ml)外であった
M26/M38値を与えた。これらの試料中の3試料は対照群
に検出された最高値の3倍以上であるM26/M38水準を与
えた。対照的に0/24、0/24および3/24の血清試料がW1、
M23およびCA15.3検定に対する正常範囲外の水準を有
し、すべての場合に後者の検定に対する上昇は2倍未満
であった。従って、M26/M38検定が他の試験より検出さ
れる陽性が少ないけれども、得られた水準が十分に高
く、この試験を用いて他の試験で強く高い値を示さない
癌患者を陽性に認めることができる。
実施例VIII Onc−M38抗体の特異性 さらに本発明のOnc−M38単クローン性抗体の特異性を
示すために、ここに参照されるヘルストロム(Hellstro
m)ほか、カンサー・リサーチ(Cancer Research)、4
6:3917〜3923頁(1986)により記載された癌および正常
ヒト組織を用いて免疫組織学試験を行なった。
乳房、肺〔非小細胞性肺癌(NSCLC)〕および結腸の
癌腫、並びに種々の正常組織の試料をスウェーディッシ
ュ・ホスピタル・メディカル・センター(Swedish Hosp
ital Medical Center);バージニア・メイソン・ホス
ピタル(Virginia Mason Hospital)およびハーバビュ
ー・ホスピタル(Harborview Hospital,Seattle,WA)か
ら外科において、外科で除去された生検として、または
胸水の形態で入手した。
患者から除去すると直ちに腫瘍および正常組織試料を
液体窒素中で凍結し、その後使用するまで−70℃、また
は液体N2中で貯蔵した。
凍結切片で約5〜6μm厚さに調製し、最低2時間空
気乾燥した。−20℃で10分間アセトンで処理した後、速
やかに空気ジェットで乾燥した。免疫組織学染色に用い
る切片はPBS中に1:5′に希釈した正常ヒト血清とともに
30分間前インキュベートした。並行凍結切片を調製して
組織評価のためにヘマトキシリン:エオシンで染色し
た。1組の試験に対しパラフィン切片を患者から除去す
ると直ちにカーノイズ(Carnoy′s)溶液中で固定化
し、パラフィン中に包埋し、薄片にした組織から調製
し、これらの切片を凍結切片と同様に染色した。
免疫組織学染色はスターンバーガー(Sternberger)
〔イムノサイトケミストリー(Immunocytochmistry)、
104〜169頁、ニューヨーク、ジョン・ワイリー・アンド
・サンズ(John Wiley & Sons)(1979)のPAP法を、
カリグース(Carrigues)ほか、インタナショナル・ジ
ャーナル・オブ・カンサー(Int.J.Cancer)、29、511
〜515頁(1982)およびヘルストロム(Hellstrom)ほ
か、ジャーナル・オブ・イムノロジー(J.Immunol.)、
130、1467〜1472(1983)(これらはすべてここに参照
される)により改良されたように用いて行なった。Onc
−M38、ウサギ抗マウス免疫グロブリンおよびマウスPAP
〔スターンバーガー・メイヤー・サイトイムノケミカル
ズ社(Sternberger Meyer Cytoimmunochemicals,Inc.,J
arrettsville,MD)製〕をPBS中の10%正常マウス血清お
よび3%ウサギ血清の溶液中に希釈した。染色操作は次
の段階から構成した:(a)特異または対照抗体上澄み
〔例えば上記血清混合物中に1:2希釈した骨髄腫タンパ
ク質(p117)〕による切片の1時間処理、(b)1:30希
釈ウサギ抗マウス免疫グロブリンの適用、および(c)
1:80希釈マウスPAP複合体に対する暴露。抗血清はすべ
て切片とともに室温で30分間インキュベートした。抗体
処理後、スライドをPBSの流れで軽く洗浄し、次にPBS中
で2回洗浄した。
免疫化学反応は新に調製した0.05Mトリス緩衝液、pH
7.6、中の0.05%3,3′−ジアミノベンジジン四塩酸塩お
よび0.01%過酸化水素の添加により8分間顕色させた。
さらに1%OsO4溶液に15分間暴露して反応生成物を強化
した。切片を短時間水で洗浄し、増加濃度のアルコー
ル、次いでキシレンに通し、カバーグラスを載せた。
スライドはすべて源を知らない同一研究者により読み
取らせた。腫瘍(または正常)細胞の染色程度は「+」
(非常に弱い)から「4+」(非常に強い)またで量的
に表わした。「2+」以上の染色は「陽性」と考え、
「+」以下の染色は「陰性」と考えた。
表11に腫瘍および正常組織を用いた免疫組織学データ
が要約される。表から示されるように、Onc−M38は調べ
た腫瘍組織試料の少くとも50%に(少くとも2+の強度
で)結合したが、正常組織には結合しなかった。
表11に示されるデータはOnc−M38が種々の癌腫上の比
較的腫瘍特異性の細胞表面抗原を認識することを示す。
腫瘍に対する単クローン性抗体の選択的局在化が治療に
必要であるので、1つより多くの腫瘍組織型に結合する
Onc−M38の能力は腫瘍療法に対し単独で、または本発明
の他の単クローン性抗体とともにこの抗体の有用なこと
を示唆する。
実施例IX 単クローン性抗体M26、M29およびM38を用いる悪性肺疾
患を検出する検定 本発明のムチン単クローン性抗体の疾患肺組織に関連
するムチンエピトープを検出する能力が、次のようにヒ
ト被検者から得た気管支鏡試料および血清の使用により
示された。
気管支掃集物は1987年に6ケ月にわたってスプリング
メイヤー(Dr.Steve Springmeyer,Virginia Mason Hosp
ital,Seattle,Washington)により肺関連疾患を有する2
7被検者の気管支鏡試験中に得られた。掃集物は標準気
管支鏡操作により各患者の左および右肺からとられ、標
準組織学操作を用いて分析した。気管支鏡試験および組
織学試験の結果をさらに肺X線およびCTスキャンを含む
追加情報とともに用いて被検者を3群:17良性(悪性肺
疾患を有しないと証明された)個体、非小細胞性肺癌
(NSCLC)を有する7個体、および他の癌を有する3患
者(SCLC、前立腺癌および結腸癌)、に分けた。この最
後の群はそれ以上論議しない。
DDIAを組織学的結果と比較するために、単クローン性
抗体Onc−M29およびOnc−M38並びにOnc−M26およびOnc
−M38を実施例IIおよびVIIに記載したようにムチン抗原
水準の検出に用いて行なった。各気管支鏡掃集試料はPB
S食塩水0.5ml中に入れ、使用するまで−70℃で凍結貯蔵
した。次いで試料を室温で解凍し、4℃で10分間マイク
ロフュージ(microfuge)した。次いで各試料を1:11(5
0μ試料および500μ試料希釈剤)の比に希釈した。
気管支試料に加えて、またDDIAで各被検者から得た血清
について試験した。
DDIAにより検出されたエピトープ水準は気管支鏡試験
および組織学試験に基いて良性およびNSCLCを有すると
示された被検者から得た気管支掃集物および血清に対し
て表12に示される。
表12から知見できるように、組織学検査により悪性を
有すると証明されなかった17固体に対し両肺の気管支掃
集物に対するM26/M38DDIAが100単位/mlまたはそれ未満
のエピトープ水準を示した。M29/M38DDIAは6単位/mlま
たはそれ未満を示した。NSCLCを有すると診断された7
個体に対し、M26−M38DDIAは関与肺中にエピトープの有
意に高い水準を有する4患者を検出し、M29−M38DDIAは
関与肺中に高いエピトープ水準を有すね肺悪性を有する
3被検者を示した。2患者(No.21および22)におい
て、非関与肺中のM26/M38水準が高められた。
これらの結果は疑わしい肺癌に対する初期診断処置を
受けた患者のかなりの割合が本発明の抗体により検出さ
れるムチンエピトープ標識の高い水準を有したことを示
唆する。従って、これらの抗体を用いる検定は組織学的
操作による検出を免れることができる肺癌および肺へ転
移する他の癌腫の初期検出に有用であることを立証でき
る。
血清の結果に関しては、良性被検者に対してエピトー
プ水準がM26/M38DDIAにおいて54単位/mlまたはそれ末
端、およびM29/M38DDIAにおいて43単位/mlまたはそれ未
満であった。NSCLCを有すると診断された7個体に対し
てM26/M38DDIAは3被検者に高い抗原水準を示し、M29/M
38検定もまた3被検者に高い抗原水準を示した。従っ
て、比較的高い割合の肺癌を有する被検者がそれらの血
清中に高い水準のこれらの抗原を有し、本発明の抗体が
そのような血清検定を用いる肺癌の初期検出に有用であ
ることができることを示唆する。
気管支掃集物中の肺癌に関連するムチンエピトープの
検出に加えて、他の試料を、本発明の単クローン性抗体
およびムチンエピトープに対する他の抗体を用いる検定
で試験することができる。例えば気管支洗浄試料および
喀痰を希釈して同様に検定で試験することができる。
ここに確認された新エピトープは患者中の腫瘍を検出
する腫瘍標識として役立つことができる。さらに、ここ
に記載した新単クローン性抗体と免疫反応性の精製腫瘍
関連ムチン抗原上の新エピトープは改良された免疫検定
に対する一層感受性の単クローン性抗体の開発を促進す
ることができる。実際に、精製ムチンを用いて腫瘍関連
ムチン抗原に対して生成した単クローン性抗体(Onc−M
8、Onc−M26、Onc−M29、Onc−M30およびOnc−M38)が
癌の初期検出および癌治療の実施に有用であることを証
明することができる。Onc−M26およびOnc−M38抗体は腫
瘍源から得られたムチン抗原上のエピトープに対し、正
常源から得られたムチン抗原よりも大きい特異性を示す
と思われる。腫瘍関連ムチン抗原は、単クローン性抗体
Onc−M26またはM38単独、あるいはここに記載した他の
単クローン性抗体のいすれかと、精製むちん抗原を免疫
原として用いて生成させた他の単クローン性抗体と、並
びに以前に知られた抗体例えばW1またはW9抗体と組合せ
て用いる免疫検定を用いて血清試料中または他の体液例
えば痰、胸水および乳中に検出することができる。本発
明の抗体は組織学操作に用いて哺乳動物の細胞上の腫瘍
関連ムチン抗原の存在を検出し、また流体試料例えば血
清中に存在するムチンを検出することができる。これら
の組織学操作を期間中繰返すことにより患者中の癌の進
行をモニターすることができる。例えば、ここに記載し
た抗体は患者から得た乳房上皮細胞に対する結合につい
て試験して癌細胞が存在できることを示す腫瘍関連ムチ
ン抗原の存在を検出することができる。
Onc−M26単クローン性抗体並びにここに記載した他の
新抗体を単独で、あるいは2種またはそれ以上の抗体を
組合せて用いて、適当な知識で血清または他の生体試料
中の腫瘍関連ムチン抗原の存在を検定する診断試験キッ
トに組立てることができる。従って、Onc−M26およびOn
c−M29抗体を用いてDDIAを行なうキットは個体支持体、
例えば多重ウェルを有する8ストリップを1つに含むマ
イクロウェルプレートホルダー〔ナンク(Nunc,Newbury
Park,CA)製〕をシーラーとともに含むことができる。
ストリップは各ウエル上にコートした単クロー性抗体を
有する。またキットには検定試薬例えば適当な溶液に希
釈したヒト抗原例えば乳癌胸水の抗原を含む標準物質が
含まれる。標準物質は種々の濃度の抗原からなることが
でき、例えばOnc−M29に対して第1標準はM29の4単位/
ml、第2標準は10単位/mlからなることができる。Onc−
M26に対して第1標準はM26抗原の30単位/ml、第2標準
は75単位/mlからなることができる。対照が提供され、
正常ヒト血清中に希釈したヒト抗原(M26抗原の10%溶
液およびM29抗原の11%溶液)と抗菌剤とからなること
ができる。
若干の場合に、試料が初期検定試験においてM26に対
して825単位/mlおよびM29に対して110単位/mlより高い
(最高標準より高い)水準で抗原を含むならば、さらに
試料を適当量の試料希釈剤で希釈することができる。希
釈は次のように行なうことができる: 1:11−試験試料50μ+試料希釈剤500μ 1:55−1:11希釈物50μ+試料希釈剤200μ 1:255−1:55希釈物50μ+試料希釈剤200μ 複合抗体もまたキットに含まれる。例えば酵素HRPと
結合した抗体が、適当な希釈剤を含む別の容器中で供給
される。酵素基質は、例えば酵素標識がHRPであればク
エン三緩衝過酸化水素およびジメチルスルホキシド中の
3、3′、5、5′−テトラメチルベンジジン(TMB色
原体)が結合複合抗体の検出に用いるためにキット中の
別の容器中に含まれる。試料希釈剤および反応停止剤例
えば1N硫酸キットの追加成分であることができる。洗浄
溶液(例えば10xPBS)もまた提供するこてができる。洗
浄溶液および停止剤は室温で保管される。他のすべての
薬剤は、好ましくは4℃で保持されるが、しかし使用の
ために室温にされる。標準および対照は二重に行なうこ
とが好ましい。
免疫療法のために、ここに記載したものから選ばれる
抗体は放射性核種または他の検出可能標識に結合させ、
哺乳動物の体中へ導入して癌細胞を像出するかまたは放
射線療法を行なうことができる。従って、選ばれる抗体
を放射線核種または抗腫瘍薬に結合させて静脈内注射を
含め適当な導入法を用いて哺乳動物中へ導入して放射性
核種または薬物を抗体と反応性の抗原を含む腫瘍組織へ
送給することができる。検出可能標識は技術的に知られ
た螢光団、酵素、発色団、補酵素、化学発光物質、酵素
阻害物質、常磁性金属例えばガドリニウム、および放射
性核種の中から選ぶことができる。 本発明は好ましい
態様に関連して記載されているけれども、当業者は前記
明細を読んだ後に、ここに示した組成物および方法に種
々の変更、等価の置換および改変を行なうことができよ
う。従って、特許証により付与される保護は単に特許請
求の範囲に含まれる限定およびその等価物によって限定
されるものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は乳ムチンのCsCl密度勾配精製の画分に対するW1
抗体結合を示すグラフ、第2図は乳ムチンのCsCl密度勾
配精製のSDC−PAGEゲルの図面である。第3図は乳(レ
ーン2〜5)および腫瘍組織(レーン6〜8)のアフィ
ニティークロマトグラフィー精製ムチンのSDS−PAGEゲ
ル分析の図面である、第4図はレクチン−ムチン捕捉検
定による精製ムチンに対する単クローン性抗体の結合に
対する用量応答曲線で、Aは乳ムチン、Bは胸水ムチ
ン、第5図は乳癌患者および良性乳房疾患を有する患者
から本発明の単クローン性抗体を用いて血清検定でDDIA
により検出したムチン抗原エピトープの水準を示すグラ
フである。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G01N 33/577 A61K 39/395 L // A61K 39/395 9162−4B C12N 15/00 C (72)発明者 ジョセフ ピー ブラウン アメリカ合衆国 ワシントン州 98109 シアトル 404 ウエスト オリンピッ クプレイス 202 (56)参考文献 特開 昭60−253976(JP,A) Pisease Markers,4 [4](1986)P.247−254 Molecular Immunol ogy,21[10](1984)P.955−960 Cancer Research,46 [2](1986)P.850−857

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ATCC番号HB9248、HB9212、HB9210、HB9243
    およびHB9365から成る群から選ばれるハイブリドーマ細
    胞系のいずれか1種により産生される単クローン性抗体
    の結合に対して競合する抗原結合部位を有し、ムチン抗
    原を認識することを特徴とする、単クローン性抗体。
  2. 【請求項2】哺乳動物の癌治療用抗腫瘍薬と結合された
    特許請求の範囲第(1)項に記載の抗体。
  3. 【請求項3】哺乳動物から得られる試料中に存在するム
    チン抗原の存在を測定することにより哺乳動物の癌を検
    出する方法であって、哺乳動物から得られる試料と、AT
    CC番号HB9248、HB9212、HB9210、HB9243およびHB9365か
    ら成る群から選ばれるハイブリドーマ細胞系のいずれか
    1種により産生される単クローン性抗体の結合に対して
    競合する抗原結合部位を有し、ムチン抗原を認識するこ
    とを特徴とする、単クローン性抗体の少なくとも1種と
    を反応させることを含む、前記方法。
  4. 【請求項4】該試料が第1および第2の単クローン性抗
    体と反応し、該第1の単クローン性抗体がハイブリドー
    マ細胞系HB9212により産生され、かつ該第2の抗体がハ
    イブリドーマ細胞系HB9365により産生されることを特徴
    とする特許請求の範囲第(3)項に記載の方法。
  5. 【請求項5】該試料が第1および第2の単クローン性抗
    体と反応し、該第1の単クローン性抗体がハイブリドー
    マ細胞系HB9210により産生され、かつ該第2の抗体がハ
    イブリドーマ細胞系HB9365により産生されることを特徴
    とする特許請求の範囲第(3)項に記載の方法。
  6. 【請求項6】該試料が第1、第2および第3の単クロー
    ン性抗体と反応し、該第1の単クローン性抗体がハイブ
    リドーマ細胞系HB9212により産生され、該第2の抗体が
    ハイブリドーマ細胞系HB9210により産生され、かつ該第
    3の抗体がハイブリドーマ細胞系HB9365により産生され
    ることを特徴とする特許請求の範囲第(3)項に記載の
    方法。
  7. 【請求項7】該試料が、乳房上皮組織、肺細胞、気管支
    掃集物、洗浄試料、喀痰、乳、血清および血漿から成る
    群から選ばれることを特徴とする特許請求の範囲第
    (3)項に記載の方法。
  8. 【請求項8】ヒト組織中のムチン抗原に関連する異常を
    検出する方法であって、ヒト検体からの試料と、ATCC番
    号HB9248、HB9212、HB9210、HB9243およびHB9365から成
    る群から選ばれるハイブリドーマ細胞系のいずれか1種
    により産生される単クローン性抗体の結合に対して競合
    する抗原結合部位を有し、ムチン抗原を認識することを
    特徴とする、単クローン性抗体の2種またはそれ以上と
    を接触させることを含む、前記方法。
  9. 【請求項9】該試料が、乳房上皮組織、肺組織、気管支
    掃集物、洗浄試料、喀痰、乳、血清および血漿から成る
    群から選ばれることを特徴とする特許請求の範囲第
    (8)項に記載の方法。
  10. 【請求項10】哺乳動物から得られた試料中に存在する
    ムチン抗原を検出することによる癌の存在の検定に有用
    な試験キットであって、 a. ATCC番号HB9248、HB9212、HB9210、HB9243およびHB
    9365から成る群から選ばれるハイブリドーマ細胞系によ
    り生成された、ムチン抗原と結合する少なくとも1種の
    第1の単クローン性抗体と、 b. 前記第1の単クローン性抗体に結合したムチン抗原
    を検出するための少なくとも1種の第2の抗体を含み、
    前記第1および第2の抗体が検出できるように標識され
    ている、抗原−抗体結合分析を行うための試薬、 c. 抗原−抗体結合分析を行うための固体支持体、 を含む試験キット。
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