JP2647571B2 - 光磁気記憶素子 - Google Patents

光磁気記憶素子

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JP2647571B2
JP2647571B2 JP3118864A JP11886491A JP2647571B2 JP 2647571 B2 JP2647571 B2 JP 2647571B2 JP 3118864 A JP3118864 A JP 3118864A JP 11886491 A JP11886491 A JP 11886491A JP 2647571 B2 JP2647571 B2 JP 2647571B2
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博之 片山
純一郎 中山
順司 広兼
賢司 太田
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、レーザ光等を用いて情
報の記録、再生、消去が可能な光磁気記憶素子に関する
ものであり、詳細には、高速で直接オーバーライトが可
能な光磁気記憶素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】今日、光ディスク装置は、その商品化も
始まり、大容量記憶装置として普及への期待が膨らむ一
方で、ハードディスクに代表される既存の大容量補助記
憶装置と比較した場合、速度面での性能不足が指摘され
ている。このため、特に、直接オーバーライトの可能な
光磁気記憶素子の実現による書込み速度の向上は、次世
代の光磁気ディスク装置で不可欠な技術とされ、その精
力的な研究開発が進められている。そして、中でも、上
記の光磁気記憶素子は、マルチビーム化や両面記録対応
が容易とされる光変調オーバーライトによる直接オーバ
ーライトへの期待が高く、その実現へ向けて既にいくつ
かの方式が提案されている。
【0003】即ち、特開昭62−175948号公報に
は、二層の垂直磁化膜を使用した方式が記載されてお
り、この方式は、高い保磁力と低いキュリー点を有する
メモリー層(第1磁性層)と、上記の第1層と比較して
相対的に低い保磁力と高いキュリー点を有する補助層
(第2磁性層)との間に働く交換結合力を利用するよう
になっている。そして、この方式によれば、外部初期化
磁石によって常に初期化を受けている補助層からの交換
作用により、メモリー層の未記録領域の磁化が旧情報の
磁化の向きの如何に拘わらず一定方向(初期化方向)に
揃えられることによって直接オーバーライトが可能にな
っている。
【0004】また、IEEE Trans.Mag.,
MAG23,1987,pp171−173には、反磁
界磁壁移動(磁区消滅)を利用したオーバーライト方式
も報告されている。この方式では、無外部磁界あるいは
一定一方向の外部磁界の下で所定の時間幅のレーザパル
スで記録磁区を形成し、これらの記録磁区上に上記のレ
ーザパルスより短い時間幅のレーザパルスを照射するこ
とにより磁区消去を行うようになっている。
【0005】ところで、上記の磁区の生成および消滅の
メカニズムについては、一般に、磁壁に作用する磁気的
な力と保磁力とのバランスを考慮した以下のバブルモデ
ル(B.G.Huth IBM J,Res.Dev.
18(1974)100)で説明されている。
【0006】一般に、円筒状記録磁区の磁壁に単位面積
当たりに作用する力Fは、次式のように表される。
【0007】 F=−σw /r−∂σw /∂r+2MsHd+2MsHext (1) ここで、rは円筒磁区半径、σw は単位面積当たりの磁
壁エネルギ、Msは飽和磁化、Hdは周囲磁化からの反
磁界、Hextは外部磁界である。この際、上記のFの
絶対値の大きさが2MsHc(Hc:保磁力)より大き
い場合に磁壁の移動が生じるようになっており、(1)
式では、第1項および第2項が磁区の収縮力として作用
する一方、第3項および第4項が磁区を拡大させる力と
して作用するようになっている。
【0008】これにより、反磁界磁壁移動を利用した方
式は、上記の(1)式から、適当な補償点温度(Tco
mp)とキュリー点温度(Tc)とを有する磁性膜組成
を選択することで、一定時間幅のレーザパルス照射で反
磁界項が支配的となって形成された磁区に対して、記録
時より短い時間幅のレーザパルス照射で磁壁エネルギに
関連する第1項および第2項が支配的となる条件を作り
出すことにより記録磁区を収縮消滅させて消去を実現す
るようになっている。従って、この方式によれば、レー
ザパルスの長短によるレーザビームの変調を行うだけで
直接オーバーライトが可能になっている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の光磁気記憶素子では、システム構成が複雑化した
り、或いは媒体組成の設計条件の自由度が低下するとい
う問題を有している。
【0010】即ち、交換結合を利用した方式では、記録
時に必要な補助磁界に加えて補助層を常に初期化してお
く上で不可欠な2〜6kOeもの強磁界を発生する初期
化磁石が別途必要となる点や、再生パワーに加えてオー
バーライト記録時の高レベルパワーおよび低レベルパワ
ーの3値のレーザパワー制御が必要となる点でシステム
構成を複雑化することになっている。さらに、この方式
では、原理上、メモリー層としてキュリー点の高い材料
を利用できないため、結果的に磁気力−回転角の大きな
材料を使用できず、再生信号品質の低下を招来するとい
う問題も有している。
【0011】また、反磁界磁壁移動を利用した方式で
は、媒体構造が単層構造を基本としており、オーバーラ
イト性能を左右する磁壁エネルギ制御、高い信号品質
(大きな磁気力−回転角)、高い記録感度(低いキュリ
ー温度)等の諸特性の整合を図るための極めて自由度の
小さい媒体組成設計が要求されるという問題を有してい
る。
【0012】従って、本発明においては、システム構成
を簡単化すると共に、媒体組成の設計条件の自由度を拡
大させることができる光磁気記憶素子を提供することを
目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の光磁気記憶素子
は、上記課題を解決するために、照射レーザパワーの大
小やレーザパルスの長短によるレーザパルスの変調によ
り直接オーバーライトが可能な反磁界/磁壁移動型のオ
ーバーライト特性を示す垂直磁化膜からなる第1磁性層
であるTbFeCo垂直磁化層と、上記第1磁性層より
も相対的に保磁力が小さな垂直磁化膜からなる第2磁性
層であるGdDyFeCo垂直磁化層とが隣接され、上
記両層間が交換結合により磁気結合していることを特徴
としている。
【0014】
【作用】上記の構成によれば、反磁界/磁壁移動型のオ
ーバーライトであるため、結合オーバーライト方式のよ
うな初期化磁石が不要になり、システム構成を簡単化で
きる。また、第1磁性層および第2磁性層が積層化によ
って生じる磁性層間の量子力学的な交換結合作用によ
り、第1磁性層に交換結合による収縮力が新たに働くこ
とで、磁壁移動が単層膜のオーバーライト時と比較して
速くなることから、オーバーライトの高速化が可能にな
っている。従って、上記の高速化により得られた余裕
は、ビット安定性や記録感度等の諸特性の条件を緩和さ
せることも可能にし、単層膜構造の場合と比較して材料
組成の選択等の媒体設計の自由度を拡大させることを可
能にしている。
【0015】
【実施例】本発明の一実施例を図1に基づいて説明すれ
ば、以下の通りである。
【0016】本実施例に係る光磁気記憶素子は、図1に
示すように、レーザ光の入射側から基板1、第1窒化膜
2、第2磁性層であるGdDyFeCo垂直磁化層3、
第1磁性層であるTbFeCo垂直磁化層4、および第
2窒化膜5がこの順に形成されたものからなっている。
【0017】上記の基板1は、例えばポリカーボネート
やガラス等の透明な材質からなっており、入射レーザ光
をGdDyFeCo垂直磁化層3およびTbFeCo垂
直磁化層4へ照射させるようになっていると共に、第1
窒化膜2および第2窒化膜5とでGdDyFeCo垂直
磁化層3およびTbFeCo垂直磁化層4を保護するよ
うになっている。また、上記の第1窒化膜2は、多重干
渉により磁気力−回転角をエンハンスする誘電体材質か
らなっており、上記の磁化層3・4の保護に加えて読み
出し性能を良好にするようにもなっている。
【0018】また、TbFeCo垂直磁化層4は、反磁
界/磁壁移動型のオーバーライト特性を示す垂直磁化膜
からなっており、レーザパワーの大小やレーザパルスの
長短によるレーザパルスの変調によって直接光変調オー
バーライトが可能になっている。そして、上記の垂直磁
化膜からなるTbFeCo垂直磁化層4は、補償点温度
が50〜150℃、キュリー温度が180℃以上、膜厚
が500〜2,500Å、保磁力が4kOe以上、および
磁気力−回転角が0.4°程度に設定されている。
【0019】一方、GdDyFeCo垂直磁化層3は、
補償点を持たず遷移金属リッチの特性を示しており、単
体での光変調オーバーライトが不可能になっている。そ
して、このGdDyFeCo垂直磁化層3は、保磁力が
2kOe以下で、上述のTbFeCo垂直磁化層4の4
kOe以上より小さいものの、磁気力−回転角が0.5°
以上でTbFeCo垂直磁化層4の0.4°より大きな値
を有した垂直磁化膜からなっている。
【0020】上記の構成において、光磁気記憶素子の動
作について説明する。
【0021】先ず、オーバーライト機能を有するTbF
eCo垂直磁化層4にビットパターンが記録されると、
このビットパターンは、GdDyFeCo垂直磁化層3
およびTbFeCo垂直磁化層4が積層化によって生じ
る両磁性層3・4間の量子力学的な交換結合作用によ
り、TbFeCo垂直磁化層4よりも相対的に保磁力は
小さいが磁気光学再生性能に優れたGdDyFeCo垂
直磁化層3に転写されることになる。これにより、光磁
気記憶素子は、再生性能の優れたオーバーライトが可能
になっている。
【0022】次に、上記のTbFeCo垂直磁化層4に
形成された円筒磁区の磁壁に作用する力Fは、上述の
(1)式導入時と同様のバブルモデルを使用して次式の
ように表される。
【0023】 F=−σw /r−∂σw /∂r−σe /t+2MsHd +2MsHd* +2MsHext (2) 尚、上記のtはTbFeCo垂直磁化層4の膜厚、σe
はGdDyFeCo垂直磁化層3とTbFeCo垂直磁
化層4との間に働く交換結合力に基づく界面磁壁エネル
ギを表している。
【0024】上述の(1)式と比較することで、交換結
合二層膜構造によって新たに加わった項は、−σe /t
および隣接磁性層より働く静磁結合に起因する反磁界項
+2MsHd* であり、各項にかかる符号より前者の−
σe /tは収縮力として、後者の+2MsHd* は膨張
力として働くことになる。
【0025】一般に、反磁界/磁壁移動オーバーライト
型の媒体設計では、補償点温度(Tcomp)が室温に
比べて数10℃高い所に設定されるため、通常、特に消
去過程における反磁界項+2MsHd* は、磁壁に働く
力の支配的要因になり得ない。一方、TbFeCo垂直
磁化層4の厚さは、記録感度の兼ね合いから1,000Å
以下であるため、−σe /tが支配的に働くことにな
り、単層膜構造の反磁界/磁壁移動型オーバーライト媒
体と比較して高速の消去が容易なものになる。
【0026】即ち、交換結合作用による交換結合力によ
ってオーバーライト機能を担うTbFeCo垂直磁化層
4では、磁区(ビット)消滅時に、磁壁に単層膜構造時
と比べて新たにσe /tで表される収縮力が付与される
ことになる。例えばσe =1(erg/cm2 )、t=
1,000(Å)として計算すると、磁壁には、単位面積
当たり105 dyn/cm2 の力が収縮力として新たに
付与されることになる。
【0027】一方、磁壁の移動を妨げる力は、TbFe
Co垂直磁化層4の保磁力Hcから2MsHcで見積も
ることができ、TbFeCo垂直磁化層4の飽和磁化と
して100(emu/cm3 )および保磁力として5
(kOe)を代入すると、磁壁の単位面積当たりに10
×105 yn/cm2 の力が磁壁の動きを停止させる
ように働くことになる。
【0028】これにより、光磁気記憶素子は、TbFe
Co垂直磁化層4に交換結合によるσe /tからなる収
縮力が新たに働くことで、磁壁移動がTbFeCo単層
膜のオーバーライト時と比較して10%程度速くなるこ
とから、オーバーライトの高速化が可能になっている。
そして、この高速化により得られた余裕は、ビット安定
性や記録感度等の諸特性の条件を緩和させることも可能
にし、TbFeCo単層膜構造の場合と比較して材料組
成の選択等の媒体設計の自由度を拡大させることを可能
にしている。
【0029】さらに、この光磁気記憶素子の再生性能
は、磁気力−回転角の大きなGdDyFeCo垂直磁化
層3から読み出すため、TbFeCo単層膜の場合と比
較して、0.5/0.4=1.25倍の改善効果を得ることが
できるようになっている。また、本実施例の光磁気記憶
素子は、反磁界/磁壁移動型のオーバーライトであるた
め、交換結合オーバーライト方式のような初期化磁石が
不要になり、システム構成を簡単化できるようになって
いる。
【0030】尚、本実施例においては、レーザ光の入射
側から基板1、第1窒化膜2、GdDyFeCo垂直磁
化層3、TbFeCo垂直磁化層4、および第2窒化膜
5がこの順に形成されているが、これに限定されること
はなく、レーザ光の入射側から基板1、第1窒化膜2、
TbFeCo垂直磁化層4、GdDyFeCo垂直磁化
層3、および第2窒化膜5がこの順に形成されていても
良い。但し、上記のGdDyFeCo垂直磁化層3は、
保磁力が5kOe以下、磁気力−回転角が0.4°程度に
設定されており、希土類リッチの特性を示すものであ
る。
【0031】そして、上記の光磁気記憶素子は、再生を
TbFeCo垂直磁化層4側から行うため、再生性能と
してはTbFeCo単層膜の場合と同等であるが、Gd
DyFeCo垂直磁化層3からの交換結合力に基づく収
縮力σe /tの効果によって10%程度の高速化が可能
になっている。
【0032】
【発明の効果】本発明の光磁気記憶素子は、以上のよう
に、単独でレーザパルスの変調による反磁界/磁壁移動
型の直接オーバーライトが可能な垂直磁化膜からなる第
1磁性層と、該第1磁性層に対して隣接して設けられ、
上記第1磁性層と交換結合し、かつ、第1磁性層よりも
相対的に保磁力が小さな垂直磁化膜からなる第2磁性層
からなる構成である。
【0033】これにより、直接オーバーライトであるた
め、結合オーバーライト方式のような初期化磁石が不要
になり、システム構成を簡単化できるようになってい
る。また、第1磁性層および第2磁性層が積層化によっ
て生じる磁性層間の量子力学的な交換結合作用により、
磁壁移動が速くなることから、オーバーライトの高速化
が可能になり、この高速化により得られた余裕が、ビッ
ト安定性や記録感度等の諸特性の条件を緩和させること
を可能にし、材料組成の選択等の媒体設計の自由度を拡
大させることを可能にするという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光磁気記憶素子の構成を示す断面図で
ある。
【符号の説明】
1 基板 2 第1窒化膜 3 GdDyFeCo垂直磁化層(第2磁性層) 4 TbFeCo垂直磁化層(第1磁性層) 5 第2窒化膜
フロントページの続き (72)発明者 太田 賢司 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内 (56)参考文献 特開 平3−19155(JP,A) 特開 平3−230340(JP,A) 特開 平3−283031(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】単独でレーザパルスの変調による反磁界/
    磁壁移動型の直接オーバーライトが可能な垂直磁化膜か
    らなる第1磁性層と、該第1磁性層に対して隣接して設
    けられ、上記第1磁性層と交換結合し、かつ、第1磁性
    層よりも相対的に保磁力が小さな垂直磁化膜からなる第
    2磁性層とからなることを特徴とする光磁気記憶素子。
JP3118864A 1991-05-23 1991-05-23 光磁気記憶素子 Expired - Lifetime JP2647571B2 (ja)

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JP2945049B2 (ja) * 1990-02-05 1999-09-06 三菱電機株式会社 光磁気記録媒体

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