JP2995299B1 - プロピレンオキシドの製造方法 - Google Patents

プロピレンオキシドの製造方法

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Abstract

【要約】 【課題】 酸素のみを酸化剤として、プロピレンからプ
ロピレンオキシドを効率よく製造する方法を提供する。 【解決手段】 ジルコニア系酸化物超強酸系触媒の存在
下で、プロピレンと酸素とを反応させることを特徴とす
るプロピレンオキシドの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プロピレンに酸素
を反応させることによりプロピレンオキシドを製造する
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在プロピレンからのプロピレンオキシ
ドの製造は、プロピレンクロロヒドリンを経由する方
法、および有機過酸化物を用いて酸化する方法が知られ
ている。いずれも副生する塩素や有機アルコールの後処
理の問題があり、より環境に優しいプロセスが待望され
ている。
【0003】前記のような観点から、プロピレンからプ
ロピレンオキシドを合成する新しい方法の開発に多くの
研究が向けられてきた。このような試みの中で、過酸化
水素や酸素/水素などを用いた方法が提案された。触媒
としてはチタノシリケート(佐藤晶化、第22回中部化
学関係学協会支部連合秋季大会予稿集、p.144(1
991))、金/チタニア(M.Haruta,Cat
a1.Today,1997,36,153)などが知
られている。さらに最近、酸素のみを用いるプロピレン
の酸化方法が提案された(Eur・Pat・06405
98A1(1995);渡辺、上松、辰巳、第82回触
媒討論会、4D312(1998,p.93))。しか
しながら、これら酸素のみを用いた場合の収率は高々
0.1%であり、満足できるものではない。またジルコ
ニアに基づく触媒はこれまで知られていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、酸素のみを
酸化剤として、プロピレンからプロピレンオキシドを効
率よく製造する方法を提供することをその課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成する
に至った。即ち、本発明によれば、ジルコニア系酸化物
超強酸系触媒の存在下で、プロピレンと酸素とを反応さ
せることを特徴とするプロピレンオキシドの製造方法が
提供される。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明のジルコニア系酸化物超強
酸系触媒には、(i)ジルコニア系酸化物超強酸単独及
び(ii)該超強酸にチタン化合物単独又はチタン化合物
と遷移金属化合物の両方を担持させたものが包含され
る。この場合、酸化物超強酸は従来公知のものであり、
例えば日野誠、荒田一志による「表面」,34(2),
119−129(1996)等に記載されている。
【0007】具体的には、ジルコニア酸化物を担体と
し、この上に無機酸又はその塩を担持させるか、又は周
期律表の6B族元素の酸化物(第2酸化物)を担持さ
せ、400〜800℃で焼成することによって得ること
が出来る。この場合、無機酸又はその塩としては、硫
酸、塩酸、リン酸、炭酸、硝酸、ホウ酸及びそれらの
塩、例えばアンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩
等が挙げられる。本発明では、特に、硫酸、硫酸アンモ
ニウム、硫酸ナトリウム等が好ましく用いられる。また
硫酸塩を担持した酸化物は、ジルコニア系担体酸化物
に、塩化チオニルを含有させることによって形成するこ
ともできる。
【0008】ジルコニア系担体酸化物に無機酸又は無機
酸塩を含有させる方法としては、無機酸や無機酸塩の溶
液を含浸法や混練法等の方法で酸化物に含有させる方法
が採用される。本発明で用いるジルコニア系担体酸化物
は、一般的にはアモルファス構造のものが用いられる、
アモルファス構造の酸化物は、ジルコニアの水酸化物を
その結晶化を回避して焼成するか、あるいはジルコニア
の可溶性塩、アルコキシド等の加水分解により水酸化物
の沈殿を生じる水酸化物前駆体を酸又は塩基の存在下で
加水分解して水酸化物の沈殿を作り、この沈殿を分離
し、乾燥し、得られた乾燥物をその結晶化を回避しなが
ら、200〜350℃、好ましくは250〜300℃で
焼成することにより、容易に得ることが出来る。
【0009】ジルコニア系担体酸化物に担持させる量
は、0.1〜20wt%、好ましくは0.5〜10wt
%である。
【0010】ジルコニア系担体酸化物に第2酸化物を担
持させて酸化物超強酸を製造する場合、その第2酸化物
としては、ホウ素及び6B族元素の中から選ばれる少な
くとも一種の元素を含有する酸化物が用いられる。この
場合、6B族元素には、クロム、モリブデン、タングス
テンが包含される。ジルコニア系担体酸化物に第2酸化
物を担持させる方法としては、第2酸化物に対応する元
素の可溶性化合物の溶液を担体酸化物に含浸又は混合し
た後、焼成する方法を示すことが出来る。
【0011】第2酸化物に対応する元素の可溶性化合物
の具体例を示すと、モリブデン酸アンモニウム[(NH
Mo24].4HO,リンモリブデン酸
[(NH PMo1240].xHO,メタタ
ングステン酸アンモニウム[(NH(H12
40)].xHO,12タングステン酸アンモニウ
ム[(NH101242].10HO,
ドデカタングスドリン酸アンモニウム[(NH
Wo1240].14HO,ホウ酸トリメチル、オ
ルトホウ酸などが例示される。ジルコニア系担体酸化物
に対する第2酸化物の担持量及び焼成温度を示すと、酸
化モリブデン(MoO,Mo)の場合は、その担
持量は1〜15wt%、好ましくは3〜8wt%、その
焼成温度は700〜900℃である。酸化タングステン
(W,WO,WO)の場合は、その担持量は
5〜30wt%、好ましくは10〜20wt%で、その
焼成温度は700〜900℃である。酸化ホウ素の場合
には、その担持量は1〜10wt%、好ましくは3〜6
wt%で、その焼成温度は55〜750℃である。
【0012】前記酸化物超強酸にチタン化合物を担持さ
せるには、ジルコニア系酸化物超強酸に対して、チタン
化合物を含有させ、空気中で焼成する。担体酸化物にチ
タン化合物を含有させる方法としては、物理混合法や、
含浸法、混練法等の従来公知の方法を採用することが出
来る。チタン化合物としては、塩化チタン、臭化チタ
ン、硫酸チタン、硝酸チタン、オキソビス(2,4−ペ
ンタジオナト)チタン、チタンテトライソプロポキシ
ド、ビス(シクロペンタジエニル)チタン等が挙げられ
る。これらのチタン化合物は、通常、水溶液としてジル
コニア系担体酸化物に含有される。また必要に応じて、
イソプロパノールやベンゼンなどの有機溶媒も用いられ
る。チタン化合物を含有させたジルコニア系担体酸化物
の焼成温度は、300〜900℃、好ましくは400〜
700℃で程度である。チタン化合物の担持量は、チタ
ン金属として、担体酸化物100g当たり、0.1〜1
0g、好ましくは0.5〜3gである。
【0013】前記ジルコニア系酸化物超強酸担体にチタ
ンと遷移金属化合物を担持させる方法は、前記チタン化
合物のみを担持させる場合と同様に行うことが出来る。
焼成温度もチタン単独と同様である。この場合、含有さ
せるプロセスは、チタン化合物と遷移金属を同時または
逐次的に行うことが出来る。用いるチタン化合物は、前
記記載のものを同様に用いることが出来る。また、遷移
金属化合物としては、ニッケル、コバルト、鉄、ランタ
ン、セリウム、サマリウム、ユーロピウム等の8族また
は希土類等の金属化合物を用いることが出来る。具体的
には、各金属の水酸化物、炭酸塩、酢酸塩、硝酸塩、リ
ン酸塩、塩化物、硫酸塩等が挙げられる。チタン化合物
及び遷移金属化合物を含有させたジルコニア系担体酸化
物の焼成温度は、300〜900℃、好ましくは400
〜700℃で程度である。チタン化合物の担持量は、前
記チタン単独の場合と同様で、チタン金属として、担体
酸化物100g当たり、0.1〜10g、好ましくは
0.5〜3gである。また遷移金属化合物は、担体酸化
物100g当たり、0.1〜20g、好ましくは0.5
〜5gである。
【0014】本発明によるプロピレンの酸化法は、前記
した触媒の存在下及び酸素の存在下で、プロピレンに酸
素付加させることにより実施される。こうして酸素付加
により、プロピレンオキシドが合成される。その反応温
度は、50〜500℃、好ましくは100〜300℃の
条件下であり、その反応圧力は、任意であるが、常圧又
は減圧が好ましい。酸素の使用割合は、プロピレン1モ
ル当たり、0.05〜10モル、好ましくは1〜0.2
モルの割合である。原料プロピレンは、窒素ガスやヘリ
ウムガス等の不活性ガスで希釈して用いることが出来
る。
【0015】
【実施例】次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明
する。
【0016】実施例1 硝酸ジルコニル10gを蒸留水250m1に溶かし、8
0℃に加熱する。ゆっくりアンモニア25m1を滴下し
水酸化ジルコニウムの沈澱を生成させる。ろ過洗浄後、
100℃で一晩乾燥し(5.72g)、さらに300℃
で3時間焼成した(5.04g,BET表面積=25
2.8m/g)。得られたアモルファスジルコニアの
うち1.2gを取り、硫酸アンモニウム0.091g
(硫酸根換算で5.5wt%)および蒸留水250m1
と混合し、80℃で3時間撹絆する。蒸留水を蒸発乾固
し、100℃で一晩放置後、500℃で3時間焼成し、
1.11gの硫酸根担持ジルコニア(5.5SZ−50
0)を得た(同72.8m/g)。こうして得た触媒
1gを希釈剤としての石英砂2gとともに石英反応管に
入れ、ヘリウム、プロピレン、酸素の混合ガス(体積比
(ヘリウム/プロピレン/酸素=51/35/14)に
替え、20m1/minの流量(W/F=0.82h
r.g.L−1)で反応管に導入して150℃で反応を
行った。同温度で40分反応後の生成物をガスクロマト
グラフにより分析したところ、プロピレン転化率2.4
%、プロピレンオキシド(PO)選択率9.5%にてP
Oが生成した。原料プロピレンに対するPOの絶対収率
は0.228%であった。副生物として、プロパノール
(1−PrOHと2−PrOHの和)が選択率65.5
%、エタノールが選択率10.5%、C4が選択率1
1.6%、アセトン(ACE)が選択率2.3%で生成
した。またこの他に小量のトリメチレンオキシド(TM
O)が検出された。COxは検出されなかった。(表1
参照)
【0017】プロピレン転化率、POおよびその他の選
択率、それらの絶対収率は便宜的に以下のように計算し
た。 プロピレン転化率[C(M)]=A/(A+B)x10
0(%) A:生成物重量 B:未反応プロピレン重量 この場合、生成物重量Aは、[3xPO+3xPrOH
+2xEtOH+4xC4+3xACE+3xTMO]
として計算した。但しこの計算式において、PO、Pr
OH、EtOH、C4、ACE、TMOは、それぞれ、
プロピレンオキシド、プロパノール、エタノール、C4
炭化水素、アセトン、トリメチレンオキシドの合計のモ
ル数を示す。未反応プロピレン重量Bは、未反応プロピ
レンのモル数x3とした。 PO選択率[S(PO)]=[3xPO]/Ax100
(%) 但し、PO及びAは、前記と同じ意味を有する。 PO絶対収率は[Y(PO)]=C(M)xS(PO)
/100(%) PrOH選択率[S(PrOH)]=[PrOH]/A
x100(%) PrOH絶対収率[Y(PrOH)]=C(M)xS
(PrOH)/100(%) その他の生成物も同様にして定義される。
【0018】実施例2 実施例1と同様にして調製した硫酸根担持ジルコニア
(5.5SZ−500)2gを、イソプロパノール25
0m1に溶解したチタンテトライソプロポキシド0.1
9g(チタン換算で1.6wt%)と混合し、70℃で
5時間撹枠した。蒸発乾固後、100℃で3時間乾燥
し、475℃で3時間焼成し、1.8gのチタン/硫酸
根担持ジルコニア触媒(1.6Ti−475/5.5S
Z−500)を得た。こうして得た触媒を用いて、実施
例1と同様にして反応させたところ、プロピレン転化率
2.6%、PO選択率9.5%にてPOが生成した。原
料プロピレンに対するPOの絶対収率は0.247%で
あった。副生物として、プロパノールが選択率69.4
%、エタノールが選択率9.3%、C4が選択率7.6
%、アセトン(ACE)が選択率2.5%、TMO0.
4%が生成した。
【0019】比較例1 硫酸根担持ジルコニア(5.5SZ−500)の代わり
にアモルファスジルコニア(Z−300(実施例1参
照)2gを用いた以外、実施例2と同様にして触媒を調
製した(1.6Ti−475/Z−300)。こうして
得た触媒を用いて、実施例2と同様にして反応させた
が、プロピレン転化率は0であり、まったく生成物は得
られなかった(表1)。硫酸根を担持することが生成物
を得るために必須であった。
【0020】実施例3 実施例1と同様にして調製したアモルファスジルコニア
(Z−300)2gを、水250mlに溶解した硫酸チ
タン5.5wt%(0.11g)(チタン換算で1.1
wt%)と混合し、70℃で5時間攪拌した。蒸発乾固
後、100℃で3時間乾燥し、600℃で3時間焼成
し、1.95gの硫酸チタン/ジルコニア触媒(5.5
STi−600/Z−300)を得た。こうして得た触
媒を用いて、実施例1と同様にして反応させたところ、
プロピレン転化率3.2%、PO選択率10%にてPO
が生成した。原料プロピレンに対するPOの絶対収率は
0.32%であった。副生物として、プロパノールが選
択率66.6%、エタノールが選択率10.2%、C4
が選択率9.6%、アセトン(ACE)が選択率2.4
%、TMOが選択率0.4%で生成した。
【0021】実施例4 実施例1と同様にして調製したアモルファスジルコニア
(Z−300)2gを、水250m1に溶解した硫酸チ
タン2.5wt%(0.05g)(チタン換算で0.5
wt%)および硝酸サマリウム0.177g(サマリウ
ム換算で3wt%)と混合し、70℃で5時間攪拌し
た。蒸発乾固後、100℃で3時間乾燥し、500℃で
3時間焼成し、2.05gの硫酸チタン/サマリウム/
ジルコニア触媒((2.5STi+3Sm)−500/
Z−300)を得た。こうして得た触媒を用いて、反応
温度を250℃にした以外、実施例1と同様にして反応
させたところ、プロピレン転化率9.8%、PO選択率
9.7%にてPOが生成した。原料プロピレンに対する
POの絶対収率は0.951%であった。副生物とし
て、プロパノールが選択率73.6%、エタノールが選
択率8%、C4が選択率8.2%、アセトン(ACE)
が選択率0.04%、TMOが選択率(4%で生成し
た。
【0022】実施例5 硝酸サマリウムの代わりに硝酸ユーロピウム0.064
6g(ユーロピウム換算で1.1wt%)を用いた以外
は実施例4と同様にして調製した硫酸チタン/ユーロピ
ウム/ジルコニア触媒((2.5STi+1.1Eu)
−500/Z−300)を用いて、実施例4と同様にし
て反応させたところ、プロピレン転化率11.2%、P
O選択率9.7%にてPOが生成した。原料プロピレン
に対するPOの絶対収率は1.09%と、1%以上であ
った。副生物は表1の通りであった。
【0023】
【表1】
【0024】
【発明の効果】本発明の方法により、過酸化物や塩素化
合物を用いずに、プロピレンから、酸素のみの存在下で
の酸化反応によりプロピレンオキシドを高められた収率
と選択率で製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 浜川 聡 茨城県つくば市東1丁目1番 工業技術 院物質工学工業技術研究所内 (72)発明者 コシ アヤデマ ベレ 茨城県つくば市東1丁目1番 工業技術 院物質工学工業技術研究所内 (56)参考文献 特開 平7−238040(JP,A) 特開 昭54−53199(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07D 301/00 - 301/08 C07D 303/04 WPI(DIALOG)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ジルコニア系酸化物超強酸系触媒の存在
    下で、プロピレンと酸素を反応させることを特徴とする
    プロピレンオキシドの製造方法。
  2. 【請求項2】 該触媒が、ジルコニア系酸化物超強酸に
    チタン化合物又はチタン化合物と遷移金属化合物とを担
    持させたものであることを特徴とする請求項1に記載の
    プロピレンオキシドの製造方法。
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