JP3207634B2 - 艶消し塗被紙の製造方法 - Google Patents

艶消し塗被紙の製造方法

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、白紙光沢度が低いにも
かかわらずインキ着肉性、印刷後光沢が高くコントラス
トに富み、光沢むら、インキ着肉むらの極めて少ない優
れた白紙及び印刷面状を有し、且つ表裏差の少ない艶消
し塗被紙の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、艶はないが表面が平滑でインキ受
理性の優れた艶消し塗被紙のニーズが多くなってきてお
り、主に高級な美術印刷、カタログ、パンフレット、カ
レンダーや商業出版用本文用紙に使用されている。
【0003】艶消し塗被紙のうち、マット調と呼ばれる
印刷物は白紙面、単色印刷面、多色印刷面いずれも光沢
が低く、全面がフラットでしっとりとした視感、触感を
与える。これに対し、白紙面の光沢は欲しないが、印刷
面だけはある程度の光沢が望まれる場合がある。つま
り、文字の部分あるいは非画線部は低い白紙光沢度にし
て読み易く、あるいは目にやさしくし、画線部は光沢に
よってひきたたせることによってコントラストに富んだ
高級感のある印刷物にさせたいというニーズである。こ
れにマッチするのがダル調と呼ばれているものである。
ダル調のものはマット調とグロス調の中間にあり、一般
に白紙光沢度及び印刷後光沢はマット調よりも若干高
く、印刷後光沢はグロス調のものよりも若干低い。
【0004】マット調の艶消し塗被紙は、白紙光沢を低
く抑えるために、通常、グロス調の塗被紙に比較して、
より粗い顔料である炭酸カルシウムを多量に含有した塗
被組成物を各種コータで塗被し、そのまま製品化される
かあるいは軽度のカレンダー処理のみで製品化される。
これらマット調の艶消し塗被紙は、通常平滑性、インキ
着肉性に劣り、印刷後光沢の点でダル調やグロス調塗被
紙に比較して劣り、コントラストに富んだ印刷物を与え
ない。
【0005】またダル調塗被紙もマット調と比べ印刷後
光沢を高めるため一般に炭酸カルシウム配合量は少な
く、よりカオリンを多く配合した塗被紙に更に軽度のス
ーパーカレンダー処理を行って製品化されている。従っ
て白紙光沢度も高くなり、コントラストに富んだ印刷物
を与えないばかりでなく、板状のカオリンの配向むらが
発生し、光沢むらやインキ着肉むらが多くなり高級感を
損なっている。
【0006】このような問題点を解決するため塗被紙を
特定の表面粗さを有する金属ロールで処理する方法が既
に提案されている(特開平4-119192号公報)が、これは
使用する金属ロールの表面粗さをいずれもRmax (最大
高さ)で8〜25μmのロールで処理すると規定してお
り、また塗被液、塗被方式は規定していない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、上記の
ごとき艶消し塗被紙の有する難点を解決すべく鋭意検討
を重ねた結果、特定の重質炭酸カルシウムを特定量含有
する塗被液を上塗り、下塗りの二度に分けて塗被、乾燥
した後、金属ロールを2本組み込んだ6段以上のスーパ
ーカレンダーに特定の通紙方式でカレンダー仕上げする
ことによって本発明の目的である、白紙光沢度が低いに
もかかわらずインキ着肉性、印刷後光沢が高くコントラ
ストに富み、光沢むら、インキ着肉むらの極めて少ない
優れた白紙及び印刷面状を有し、且つ、表裏差の少ない
艶消し塗被紙を得たものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は平均粒子径が
0.5〜1.0 μmの重質炭酸カルシウムを10〜90重量部及
びカオリンを90〜10重量部含有する下塗り塗被液を原紙
に塗被し、且つ平均粒子径が 0.5〜1.5 μmの重質炭酸
カルシウムを55〜95重量部及びカオリンを5〜45重量部
含有する上塗り塗被液を塗被、乾燥した後、表面粗さ
(Rz:十点平均粗さ JIS B0601)が8〜14μmと3〜
7μmの金属ロールを2本組み込んだ6段以上のスーパ
ーカレンダーで、塗被紙の片面が先に8〜14μmの金属
ロールに当たり、反対面が後に3〜7μmの金属ロール
に当たるように通紙することを特徴とする艶消し塗被紙
の製造方法である。
【0009】以下、本発明を詳細に説明する。本発明者
等は先に、平均粒子径が 0.5〜1.5 μmの重質炭酸カル
シウムを50〜95重量部含有する塗被液を一層あるいは多
層に塗被して得られる塗被紙を、表面粗さRmax が2〜
8μmの金属ロールで処理して、コントラストに富む印
刷物が得られることを認めた(特願平4-191354号)。し
かし、その後の検討により、縦型6段以上のスーパーカ
レンダーに通紙する場合には、この方法のように金属ロ
ールの表面粗さが同一では得られる艶消し塗被紙に表裏
差が生じることを認めた。
【0010】また、これまでロールの表面粗さを規定す
る数値として従来からRmax (JISB0601 :最大高さ)
が用いられてきたが、ロール表面加工の製法上Rmax の
数値は再現性がなく、測定する位置によっても異なり、
この数値では品質を正しくコントロールできないことを
認めた。従って本発明者等は改めて再検討した結果、R
z(JIS B0601 :十点平均粗さ)を用いれば、再現性良
く品質をコントロールし得ることを認めた。ちなみに、
従来のRmax の数値はRzより大きめの数値となる傾向
はあるが、前記のごとくRmax の数値に再現性がないた
め、両者の数値間で一定の相関は認められない。
【0011】更に、本発明に用いられる下塗り塗被液及
び上塗り塗被液の組成についても鋭意検討を重ねた結
果、下塗り塗被液中の重質炭酸カルシウムの平均粒子径
が 1.0μmを越える場合、あるいは配合量が90重量部を
越える場合には、上塗り塗被液塗被後の平滑性に劣り、
最終的な印刷後光沢の向上が不十分となることを認め
た。また、重質炭酸カルシウムの配合量が10重量部より
少ないかあるいは平均粒子径が 0.5μm未満の場合に
は、上塗り塗被液塗被後の白紙光沢度が高くなりすぎ、
コントラストに富んだ印刷面が得られないことを認め
た。一方、上塗り塗被液中の重質炭酸カルシウムの平均
粒子径が 1.5μmを越える場合、あるいは配合量が95重
量部を越える場合には、印刷後光沢の向上が不十分とな
る。また、重質炭酸カルシウムの配合量が55重量部より
少ないかあるいは平均粒子径が 0.5μm未満の場合に
は、白紙光沢度が高くなりすぎ、コントラストに富んだ
印刷面が得られない。
【0012】また、6段以上のスーパーカレンダーでの
処理に際しては、塗被紙の片面が8μmより小さい表面
粗さの金属ロールに先に当てた場合には、反対面を通紙
した後での最終的な白紙光沢度が高くなりすぎる問題が
あることを認めた。また14μmより大きいロールに先に
当てた場合には、最終的な印刷後光沢の向上が不十分と
なる。
【0013】同様に後に当たる反対面が3μmより小さ
い表面粗さのロールに当てた場合には白紙光沢度が高く
なりすぎ、7μmより大きいロールに当てた場合には、
印刷後光沢の向上が不十分となる。
【0014】従ってスーパーカレンダーで処理する場合
には、塗被紙の片面が先に8〜14μmの金属ロールに当
たり、反対面が後に3〜7μmの金属ロールに当たるよ
うに仕上げなければ白紙光沢度、及び印刷後光沢の表裏
差が生じる問題がある。
【0015】以上より本発明は、前記のごとく特定の塗
被液を二度塗りした後、前記のカレンダー条件で通紙仕
上げすることにより、光沢度(JIS P−8142
75度白紙光沢度)が40%以下の塗被紙になるよう調
整されることから成るものである。
【0016】本発明に用いられる接着剤としては、スチ
レン・ブタジエン系、スチレン・アクリル系、エチレン
・酢酸ビニル系、ブタジエン・メチルメタクリレート
系、酢酸ビニル・ブチルアクリレート系等の各種共重合
及びポリビニルアルコール、無水マレイン酸共重合体、
アクリル酸・メチルメタクリレート系共重合体等の合成
系接着剤、酸化デンプン、エステル化デンプン、酵素変
性デンプンやそれらをフラッシュドライして得られる冷
水可溶性デンプン、カゼイン、大豆たんぱく等の天然系
接着剤等の一般に知られた接着剤が挙げられる。これら
の接着剤は顔料100 重量部当たり5〜50重量部使用され
る。また、本発明の塗被液には分散剤、増粘剤、保水
剤、消泡剤、耐水化剤等通常の塗被紙用顔料に配合され
る各種助剤が使用される。
【0017】かくして調製された塗被組成物は、下塗り
と上塗りをそれぞれブレードコータとブレードコータ、
エアナイフコータとブレードコータ、ブレードコータと
エアナイフコータ、ゲートロールコータとブレードコー
タ、ゲートロールコータとエアナイフコータの組み合わ
せによりオンマシンあるいはオフマシンによって原紙上
に塗被されるものである。
【0018】また原紙としては、一般の印刷用塗被紙に
用いられる坪量30〜400 g/m2 のペーパーベースある
いはボードベースの原紙が用いられる。かかる原紙への
塗被組成物の塗被量は、品質の面から乾燥重量で15〜50
g/m2 の範囲で調節される。
【0019】以上本発明者等は、平均粒子径が 0.5〜1.
0 μmの重質炭酸カルシウムを10〜90重量部及びカオリ
ンを90〜10重量部含有する下塗り塗被液を原紙に塗被
し、且つ粒子径 0.5〜1.5 μmの重質炭酸カルシウムを
55〜95重量部、カオリンを5〜45重量部含有する上塗り
塗被液を塗被、乾燥した後、表面粗さ(Rz:十点平均
粗さ JIS B0601)が8〜14μmと3〜7μmの金属ロー
ルを2本組み込んだ6段以上のスーパーカレンダーで、
塗被紙の片面が先に8〜14μmの金属ロールに当たり、
反対面が後に3〜7μmの金属ロールに当たるように仕
上げることにより、白紙光沢度が40%以下であるにもか
かわらずインキ着肉性、印刷後光沢が高くコントラスト
に富み、光沢むら、インキ着肉むらの極めて少ない優れ
た白紙及び印刷面状を有し、且つ表裏差の少ない艶消し
塗被紙を得ることができることを認めた。
【0020】
【実施例】
(実施例1〜3、比較例1〜9)以下に実施例を挙げて
本発明を具体的に説明するが、これらによって本発明は
何ら制約を受けるものではない。
【0021】表1に示したようにカオリン[エンゲルハ
ード(株)製、商品名:ウルトラホワイト90]と重質
炭酸カルシウム[三共精粉(株)製、商品名:エスカロ
ン#1500(平均粒子径 1.7μm)、商品名:エスカ
ロン#2000(平均粒子径1.2 μm)、商品名:エス
カロン#2200(平均粒子径 0.9μm)またはヨータ
イ(株)製、商品名:タンカルNCC−α−90(平均
粒子径 0.5μm)]の混合顔料 100重量部に対して分散
剤(東亜合成(株)、商品名:アロンT−40) 0.3重
量部を添加し、カウレス分散機を用いて水に分散し、こ
れに接着剤とし酸化デンプン(王子コーンスターチ
(株)、商品名:王子エースB)5重量部と合成接着剤
(旭化成(株)、商品名:L−1762)10重量部を配
合し、上塗り及び下塗り塗被組成物(固形分濃度63%)
を得た。
【0022】これを坪量90g/m2 の原紙に、表1に示
す下塗り塗被組成物の乾燥重量(片面)が8g/m2
なるようにブレードコーダで塗被、乾燥した。そしてこ
の上に、表1に示す上塗り塗被組成物の乾燥重量(片
面)が7g/m2 になるようにブレードコータで塗被、
乾燥した。
【0023】得られた塗被紙は、図1に示すように、表
1に示した表面粗さ(Rz:十点平均粗さ JIS B0601)
が5μm、11μmあるいは18μmの金属ロールを2本組
み込んだ金属ロール(3)とコットンロール(1)から
なる12段のスーパーカレンダー(南千住製作所製)で最
初の粗面化ロール(3−2)にあたる面がF面(4−
1)であるように処理した。カレンダー処理時の線圧は
100kg/cm、金属ロール温度70℃、処理速度は 600m/m
in一定とした。
【0024】なお、比較例中、比較例8はカレンダー処
理を施していないものであり、比較例9は塗被組成物を
塗被組成物の乾燥重量(片面)が15g/m2 になるよう
に1層塗被して得られた塗被紙である。
【0025】<品質評価方法> ・平均粒径:セイシン企業製光透過式粒度分布測定装置
SHC5000を用いて、重量累積分布の50%点を平均
粒径として測定した。
【0026】・白紙光沢度:JIS P-8142に従い角度75度
で測定した。
【0027】・平滑度:JAPAN Tappi No5 王研式平滑度
試験器で測定した。
【0028】・印刷後光沢:RI−II型印刷試験機を用
い、サカタインクスオフセット印刷用インキ(商品名:
ダイアトーンGSL紅)を0.35cc使用して印刷し、一昼
夜放置後、75度光沢度を測定した。
【0029】・コントラスト性:2色オフセット枚葉印
刷機(リョービ製:3302M)を用い、一色目藍、二
色目紅インキを用いて印刷し、白紙と印刷面のコントラ
スト性を目視評価した。目視の評価基準は以下の3段階
とした。 ◎:コントラストに非常に富むもの △:コントラストは普通のもの ×:コントラストが不十分なもの
【0030】・面状(光沢むら、インキ着肉むら):2
色オフセット枚葉印刷機(リョービ製:3302M)を
用い、一色目藍、二色目紅インキを用いて印刷し、白紙
面の光沢むらと印刷面のインキ着肉むらを目視評価し
た。目視の評価基準は以下の3段階とした。 ◎:面状が非常に優れたもの ○:面状は比較的良いもの △:面状の普通の物
【0031】・表裏差:2色オフセット枚葉印刷機(リ
ョービ製:3302M)を用い、一色目藍、二色目紅イ
ンキを用いて印刷し、白紙面及び印刷面の表裏差をそれ
ぞれ目視評価した。目視の評価基準は以下の2段階とし
た。 ◎:表裏差のほとんどないもの ×:表裏差のあるもの
【0032】
【表1】
【0033】
【発明の効果】表1から明らかなように、実施例1、
2、及び3は白紙光沢度が低いにもかかわらず高平滑、
高印刷後光沢でコントラストに非常に富んだ印刷仕上が
りとなり、且つ白紙の光沢むら、インキ着肉むらも極め
て少なく、表裏差もほとんどない仕上がりとなってい
る。
【0034】これに対し、比較例1は、下塗り塗被液中
のカオリンの配合量が高いため、白紙光沢度が高くなり
過ぎてコントラスト性に劣る。比較例2は、下塗り塗被
液に配合した重質炭酸カルシウムの粒子径が大きいた
め、平滑度が低く、印刷後光沢が低い。比較例3は、上
塗り塗被液中のカオリンの配合量が高いため、白紙光沢
度が高くなりすぎてコントラスト性に劣る。比較例4
は、上塗り塗被液に配合した重質炭酸カルシウムの粒子
径が大きいため、平滑度が低く、印刷後光沢が低い。比
較例5は塗被紙が最初に当たるロールの表面粗さが後で
当たるロールの表面粗さよりも小さいため、先に当たる
面に比べて、後で当たる面の平滑度、白紙光沢度、印刷
後光沢が低く、表裏差が大きくなりすぎる。比較例6は
最初に当たるロールの表面粗さが大きすぎるため、後で
当たる面に比べて、最初に当たる面の平滑度、白紙光沢
度、印刷後光沢が低く、表裏差が大きくなりすぎる。比
較例7は、最初に当たるロール及び後で当たるロールの
表面粗さが大きすぎるため、平滑度が低く、印刷後光沢
が低い。比較例8はカレンダー処理を行っていないた
め、平滑度が低く、印刷後光沢が低い。比較例9は、塗
被層が一層のみのため、平滑度が低く、印刷後光沢が低
い。
【0035】これらのことから分かるように本発明の艶
消し塗被紙の製造方法により製造された艶消し塗被紙
は、従来にない優れた品質を与え、その製品価値は極め
て大なるものがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例で用いた艶消し塗被紙を得るた
めの12段のロールから構成され、最初に粗面化ロールに
あたる面がF面であるように通紙したスーパーカレンダ
ー装置の断面概略図である。
【符号の説明】
1−1〜6 コットンロール 2−1〜2 チルドロール 3−1〜2 粗面化金属ロール 4 塗被紙 4−1 F面 4−2 W面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−221499(JP,A) 特開 平2−234993(JP,A) 特開 平4−119192(JP,A) 特開 平4−91294(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D21H 19/00 - 27/42

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原紙に塗被液を2度塗被する艶消し塗被
    紙の製造において、平均粒子径が 0.5〜1.0 μmの重質
    炭酸カルシウムを10〜90重量部及びカオリンを90〜10重
    量部含有する下塗り塗被液を原紙に塗被し、且つ粒径
    0.5〜1.5 μmの重質炭酸カルシウムを55〜95重量部、
    カオリンを5〜45重量部含有する上塗り塗被液を塗被、
    乾燥した後、ロールの表面粗さ(Rz:十点平均粗さ J
    IS B0601)が8〜14μmと3〜7μmの金属ロールを2
    本組み込んだ6段以上のスーパーカレンダーで、塗被紙
    の片面が先に8〜14μmの金属ロールに当たり、反対面
    が後に3〜7μmの金属ロールに当たり、光沢度(JIS
    P-8142 75度白紙光沢度)が40%以下になるようにカレ
    ンダー仕上げすることを特徴とする艶消し塗被紙の製造
    方法。
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