JP3398496B2 - 麺類の品質改良剤およびこれを用いた麺類の製造方法 - Google Patents

麺類の品質改良剤およびこれを用いた麺類の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、麺類の品質改良剤およ
びそれを用いた麺類の製造方法、さらには麺類調製用粉
に関する。特に本発明により調製される麺は茹でのびが
少なく、麺の表面は滑らかであって且つコシの強い点に
特徴を有する。
【0002】
【従来の技術】麺類は、コシがあり且つ滑らかな食感を
有していることが要求される。また茹で上げた後、長時
間が経過してものびないことが要求される。このため、
麺類に使用する原料小麦やそば粉の選定が特に重要視さ
れている。このような麺類の食感を特徴付ける成分とし
ては、原料中の蛋白質含量やアミロースとアミロペクチ
ンの比率などがあげられる。これらの麺類の製造に適し
た原料小麦粉やそば粉は、入手困難な場合も多く、この
ため、一定品質の原料であれば、目的とするような麺を
製造できるようにするため、麺類の品質改良剤を使用す
ることが行われている。例えば、中華麺に使用されるリ
ン酸塩類、プロピレングリコール、かん水などは麺類の
品質改良剤としては代表的なものである。しかし最近で
は、これらの添加物は忌避される傾向にあり、これらの
添加物の代替物が強く求められている。このような添加
物に代わり、注目されている物質に牛乳由来のホエーま
たはホエー蛋白質を挙げることができる。例えば、特開
昭51−7145号公報にはホエー蛋白質の構成成分で
あるラクトアルブミンを麺類の製造に使用することが記
載されている。このラクトアルブミンは加熱変性してい
ないものが望ましく、このため変性をを引き起こさない
ため、膜処理等によって調製し、加熱処理を行わないこ
とが重要であると述べられている。特開昭57−118
763号公報には鶏卵卵殻を高温で焼成して得られた白
色灰化物と可溶性乳清蛋白質を主成分とする麺類の品質
改良剤が開示されている。また特開昭57−18644
7号公報には酸化カルシウムと可溶性乳清蛋白質を主成
分とする麺類の品質改良剤が開示されている。さらに特
開平5−328922号公報には、ホエー蛋白質、増粘
多糖類、乳清ミネラル、澱粉類を配合した麺用品質改良
剤が開示されている。これらの先行技術は、カゼインや
チーズ生産工程で派生するホエー蛋白質を変性させず
に、直接麺類の製造に使用する技術である。これの技術
により製造された麺は、添加剤を使用しない場合に比べ
て品質の改善は認められるものの、かならずしも満足の
ゆく食感を有するものとは言いがたかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、ホエー
蛋白質の特性について検討を行った結果、ホエー蛋白質
は通常は球状の蛋白質であるが、部分加熱変性操作を行
うと、蛋白質分子が鎖状に連結した可溶性の凝集体を形
成し、さらにこの可溶性凝集体を塩又は酸の添加、ある
いは凍結処理すると不溶性のゲル化物を形成することを
見いだした。この可溶性の凝集体を効率良く調製するた
めには、ホエー蛋白質の水溶液を加熱処理してもゲル化
しないような濃度に調製し、55〜120℃の温度で、
60分以下の加熱処理を行うと良いことを見いだした。
またこの可溶性凝集体は、噴霧乾燥や凍結乾燥処理を行
うことで粉末化することができ、さらにこの粉末を水に
溶解することにより、可溶性凝集体の状態に戻ることを
見いだした。この可溶性凝集体は、凍結操作や塩によっ
て不可逆的なゲルを形成するために、食肉加工やデザー
ト類の製造原料として有用であることを見いだし、すで
に特許出願を行っている(特願平4−11234号)。
本発明者らはこのような知見に基づいてさらに研究を行
ったところ、上記の可溶性凝集体は、麺類の製造に用い
ると、麺類の品質を改良し、麺にコシをもたせ、さらに
麺の表面は滑らかで、つやのある茹でのびしない麺を調
製できることを見いだした。これは従来のホエー蛋白質
を麺類の製造に用いるためには、変性をしていないもの
を用いる方が好ましいとされていることと全く異なるも
のである。本発明は、上記のような知見に基づいて成さ
れたもので、部分加熱変性したホエー蛋白質を有効成分
とする麺類の品質改良剤、この品質改良剤を用いた麺類
の製造方法、及びこの品質改良剤を含有する麺類製造の
ための調製粉を提供することを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述したよう
にホエー蛋白質の熱変性温度より高い温度で加熱した
時、加熱凝固しない濃度に調製したホエー蛋白質水溶液
を、前記蛋白質の熱変性温度で加熱して得られる、ホエ
ー蛋白質の部分加熱変性物を麺類の製造に使用するもの
である。本発明に用いる蛋白質水溶液またはその乾燥粉
末は、例えば以下のようにして調製される。ホエー蛋白
質水溶液は、通常、その蛋白質濃度を15%以上とした
場合、加熱により凝固し、脆いゲルを形成することが知
られている。加熱によって、このようなゲルを形成しな
いように、蛋白質濃度を15%以下の濃度、好ましくは
10%以下、特に好ましくは5%以下の濃度に調整した
水溶液を55℃以上120℃以下、好ましくは65℃〜
95℃の温度で加熱すると蛋白質が部分変性し、球状蛋
白質であるホエー蛋白質の分子表面に疎水性の部分が出
現してくる。このようにして調製されたホエー蛋白質
は、麺類製造に用いると、麺類にコシを与え、さらに茹
でのびせずしかも滑らかな食感を有する麺を調製するこ
とができる。このホエー蛋白質水溶液は加熱によってゲ
ル化はしないが、塩類イオンを添加したり、あるいは凍
結により蛋白質分子の周辺の塩類イオン濃度をあげるこ
とでゲル化することが知られている。本発明は、このよ
うな蛋白質の特性が麺類製造においてかん水、プロピレ
ングリコール、りん酸塩などの品質改良剤に代替できる
機能を発揮することを利用したものである。このホエー
蛋白質水溶液は、ホエー蛋白質の疎水性度によって特性
が変わってくるが、通常は、上記の濃度条件で、pH6
〜9に調整して、5〜30分間加熱することで目的とす
る、ホエー蛋白質が可溶性凝集体に変性した水溶液を得
ることができる。この蛋白質水溶液の調製方法は特開平
5−64550号公報に開示された方法に従って実施す
ることができる。
【0005】加熱により凝固しない蛋白質濃度でホエー
蛋白質溶液を加熱した場合、一定の変性状態が生じ、S
H/SS交換反応と同時に疎水性度も増加する。その結
果、蛋白質分子は互いに会合し可溶性の凝集体を形成す
る。この状態を可溶性凝集体と呼ぶ。本発明はこの可溶
性凝集体を麺類の品質改良剤として用いるところに、新
規性と進歩性を有している。この可溶性凝集体の段階で
はゲルは生じないが、この可溶性凝集体を上記のように
凍結/解凍処理を行ったり(特開平3−280834号
公報、特開平3−277249号公報)、食塩やカルシ
ウム等との塩類を添加したり(特開平5−64550号
公報)、溶液を酸性化すること(特開平2−12406
7号公報)により、可溶性凝集体は三次元のネットワー
ク構造を形成し、不可逆のゲルを生じる。こうして得ら
れたゲルの特徴として保水性が高く、滑らかで弾力のあ
る物性を示す。従って、本発明の麺類の品質改良剤を使
用して麺類を調製するとコシのあるしかも滑らかな麺が
調製されるのである。このゲル化挙動は麺類の原料小麦
やそば粉の蛋白質濃度や、麺類の製造に添加する塩濃度
等さまざまな因子が複雑に絡み合うことによって促進さ
れたり、抑制されたりする。本発明の麺類の品質改良剤
中に含まれる、上記の可溶性凝集体、即ちホエー蛋白質
の部分加熱変性物は、麺類の製造工程中に配合される塩
や、茹で上げ操作や水さらし操作を通じて組織化される
ものと推定される。その組織化形成によって麺類に好ま
しいコシを与え、麺表面の滑らかさと柔らかさを付与
し、さらに茹でのびのしない組織を付与するものであ
る。
【0006】本発明の麺類品質改良剤に使用するホエー
蛋白質の部分加熱変性物を得るためのホエー蛋白質水溶
液の加熱方法としては、ホエー蛋白質が加熱により変性
する55〜120℃で加熱することが好ましく、特に好
ましくは65℃〜95℃で加熱する。55℃以下では蛋
白質の変性が発生しない。加熱時間は、その温度で1秒
〜60分間保持することが好ましく、特に好ましくは3
0〜60分間保持する。加熱時間が短いと変性がおこら
ず、下記に定義するFI値が低くなり、また高いと褐変
化などが起こり好ましくない。またホエー蛋白質濃度と
しては、0.5〜15%、であり、特に5〜10%のホ
エー蛋白質を含んだ溶液であることが好ましい。0.5
%よりも少ない濃度では麺類の製造に際し余分の水分を
使用することとなる。また、15%以上では粘度が高く
なり、一部あるいは全体が加熱時に脆いゲルとなってし
まうため、本発明には使用できない。本発明の本体であ
る部分加熱変性ホエー蛋白質の加熱変性度は、疎水性度
を測定することで確認することができる。通常は下記に
定義される疎水性度(FI/mg 蛋白質)で50以上
であり、特に好ましくは100以上である。50/mg
蛋白質以上でないと、有効な麺類品質改良剤を得るこ
とができない。
【0007】疎水性度:被検ホエー蛋白質水溶液を適正
濃度(0.1〜0.3g 蛋白質/L程度)に希釈し、
8mMの1−アニリノナフタレン−8−スルフォン酸を
蛍光プローブとして添加し、蛍光光度計にて励起波長3
70nm、発光波長470nmにて測定(蛍光量FI)
し、得られた値をホエー蛋白質(mg)当たりで示した
もの。
【0008】この加熱変性度測定方法は、上記の特開平
5−64550号公報に開示されている記述に従って実
施することができる。上記の方法で調製された麺類の品
質改良剤は、分析した場合、固形分あたり蛋白質約30
〜95%、灰分0.5〜10%を示すが、必要に応じ
て、澱粉や小麦粉末で希釈することもできる。本発明に
用いられるホエー蛋白質水溶液またはその粉末を調製す
るための原料としては、牛乳からチーズなどを製造する
過程で得られるホエーを原料として、精製されたホエー
蛋白質濃縮物(WPC)やホエー蛋白質分離物(WP
I)等を挙げることができる。特にWPIは精製度が高
く、本発明を実施する上で特に好ましいし、さらに風味
的にも望ましい。
【0009】本発明の麺類の品質改良剤は、上記の部分
加熱変性蛋白質を含有する水溶液またはその乾燥粉末を
単独で使用するか、必要に応じて、通常麺類の品質改良
剤として使用されるリン酸塩等と混合しても良い。本溶
液またはその粉末を麺類の品質改良剤として使用する場
合、ホエー蛋白質に換算して原料の小麦粉やそば粉に対
して0.1〜5.0%、特に好ましくは0.5〜5%、
さらに好ましくは1%添加する。この、品質改良剤は、
上述したように、公知の従来の品質改良剤や安定化剤等
の添加剤と併用しても良い。本発明の麺類の品質改良剤
は、上記に述べたようにホエー蛋白質の水溶液を加熱処
理して得られた水溶液を直接使用しても良いし、乾燥粉
末としても良い。水溶液の場合には、麺類の製造工程で
は、必ず加水工程があるため、この加水工程において使
用し、原料粉と良く混合してその後常法により製麺を行
う。また粉末の場合は、製麺に使用する粉にあらかじめ
良く混合しておく。このように粉末の本発明品質改良剤
を混合して調製した粉は、そのまま小分け包装し、製麺
時に常法により加水、混合し製麺する。
【0010】ホエー蛋白質の水溶液を加熱処理して得ら
れた水溶液の品質改良剤は、乾燥処理により粉末化す
る。粉末化する方法には噴霧乾燥法、凍結乾燥法、ドラ
ムドライ方法を例示することができるが、いずれの方法
でも、本発明の粉末化された麺類の品質改良剤を調製す
ることができる。上記のように製造された麺類の品質改
良剤に含有される部分加熱ホエー蛋白質は、通常のホエ
ー蛋白質とは明らかに異なった構造を呈していることが
確認された。即ち、通常は球状であるホエー蛋白質は部
分加熱変性により可溶性の線状凝集体を形成する。この
線状凝集体は上述した可溶性凝集体の別名であるが、球
状のホエー蛋白質が加熱により部分的に変性し、数珠玉
のように連なった形状をとる。これは、蛋白質の荷電に
よる静電的な反発力と、疎水性相互作用の引力との微妙
なバランスにより線状になっているものである。この状
態におけるホエー蛋白質は疎水性度(FI)が高いた
め、麺類の調製に使用する他の成分からの作用を受けや
すくなっている。例えば、塩類による荷電の中和などが
あげられる。又、ホエー蛋白質を構成するβ−ラクトグ
ロブリンやα−ラクトアルブミン中の遊離の−SH基が
活性化するため、小麦粉の主な蛋白質であるグルテン中
の−SH基とS−S結合を生じやすくなる。さらに又、
塩の添加、あるいは酸性化により正の荷電が中和され、
静電的な反発力が減少し、蛋白質同士が会合しやすくな
る。そして、上記した理由から、麺類の組織中に部分加
熱変性ホエー蛋白質が存在すると、グルテンとの相互作
用、及び食塩との反応を生じ、結着性が高くなることか
ら、茹でのびの少ない性質、コシの強い性質を有する麺
類を得ることができる。又、これらの作用は茹で時の水
分移行を遅くするため、表面は滑らかであるが、中心は
コシの残る麺類を得ることができる。本発明による麺類
の品質改良剤は、ホエー蛋白質の栄養効果にはなんの影
響もないことから、小麦などに不足がちのリジンや含硫
アミノ酸を供給することができる、栄養効果の高いもの
である。以下に実施例を示し本発明をさらに詳細に説明
する。
【0011】
【実施例】実施例1 本実施例では、本発明による品質改良剤の調製を説明す
る。市販のホエー蛋白質分離物WPI(BIO−ISO
LATES LTD製、商品名.BIOPRO)1kg
を脱イオン水に溶解し、全量を10Kg(ホエー蛋白質
濃度10%、pH7)とした。攪拌しながら加熱し、液
温度が85℃に達してから25分間保持した。次いで2
0℃に冷却し、加熱変性ホエー蛋白質水溶液とした。こ
の水溶液のFI値を前記の定義に従って測定したところ
98/mg蛋白質であった。この溶液を麺類の品質改良
剤とした。上記の方法で調製した水溶液1000Lを、
常法により噴霧乾燥装置を用いて噴霧乾燥し、乾燥粉末
8kgを得た。この粉末は水溶性の高い微細粉末であっ
た。この粉末を10%濃度に水に溶解しFI値を測定し
たところ98/mg 蛋白質であった。
【0012】実施例2 本実施例では、本発明による麺類の品質改良剤を用いた
うどんの調製例を示す。小麦粉100重量部(以下、単
に部という)に対し、上記実施例1で得た粉末の品質改
良剤0.5部を粉混合し、10%食塩水46部を混合
し、ロールで2回圧延し、20分間ねかせた。その後ロ
ール間隙1.7mmに設定したローラーで圧延を行い、
生地厚2.6mmとした。その後麺幅3.75mmに切
りだし、生麺を得た。この生麺をpH5.5の湯浴中に
て12分間茹で、水道水洗1分後、5℃で45秒冷却し
た。得られた麺はコシのある滑らかなものであった。こ
の麺を以下に示す比較例の麺と比較するために、1食分
250gに秤量小分けし、次いで−35℃にて冷凍し、
冷凍保存した。
【0013】比較例 実施例2と同じ原料小麦粉を用いて、小麦100部に1
0%食塩水46部を混合し、ロールで2回圧延し、20
分間ねかせた。その後ロール間隙1.7mmに設定した
ローラーで圧延を行い、生地厚2.6mmとした。その
後麺幅3.75mmに切りだし、生麺を得た。この生麺
をpH5.5の湯浴中にて12分間茹で、水道水洗1分
後、5℃で45秒冷却した。得られた麺は、1食分25
0gに秤量小分けし、次いで−35℃にて冷凍し、冷凍
保存した。この麺を対照品1とした。また実施例2で使
用した小麦粉100部に対し、市販のホエー蛋白質分離
物WPI(BIO−ISOLATES LTD製、商品
名.BIOPRO)0.5部を粉混合し、以下実施例2
と同様に操作し、冷凍麺を得た。この麺を対照品2とし
た。
【0014】麺の特性値の測定と評価 麺類の食感、特にコシの強さは、麺を圧縮した時の圧縮
加重の大きさと、圧縮力を解除した時プランジャーに付
着する力によって評価できることが知られている(食品
工学、1991年8月15日号、53ページ)。この圧
縮加重の大きさと付着力の大きさを測定した。また同様
に、コシの強さと歯ごたえは、ピアノ線を用いて切断し
た時の切弾力によって評価できる。この麺の切弾力を測
定した。
【0015】a.圧縮荷重および付着力の測定 実施例2および比較例で調製した対照品1、対照品2の
冷凍うどんを、沸騰湯浴中にて1分間茹で、その後20
℃の水で1分間冷却し、次いで各麺を50mmに切りだ
し、これを測定試料とした。測定条件はレオナーRE3
3005(山電株式会社製)を用い、温度20℃、プラ
ンジャー径8mm、圧縮距離1mm、圧縮速度0.5m
m/sec.にて行い、最大圧縮荷重を圧縮荷重とし
た。また最大圧縮荷重に達した後、プランジャーを上昇
させた時、プランジャーに麺が付着し負の圧力を示すが
この最大引力を付着力とした。なお測定は同一試料20
回の測定による平均値を求め統計的に有意差検定を行っ
た。測定結果を図1及び2に示した。実施例2の麺が何
れの測定においても、対照品と比較して有意に優れてい
ることが判明した。
【0016】b.切断荷重の測定 圧縮荷重と同様に、実施例2および比較例で調製した対
照品1、対照品2の冷凍うどんを、沸騰湯浴中にて1分
間茹で、その後20℃の水で1分間冷却し、次いで各麺
を50mmに切りだし、これを測定試料とした。測定条
件はレオナーRE33005(山電株式会社製)を用
い、温度20℃、ピアノ線直径0.21mm、線長54
mmの切断測定用アタッチメントを用い、切断速度0.
5mm/sec.とし完全切断に至る最大荷重を切断荷
重とした。測定結果を図3に示した。実施例2の麺が切
断力の測定においても、対照品と比較して有意に大きい
ことが判明した。以上の測定結果から、本発明による麺
類の品質改良剤を用いて調製した麺類は従来の技術と比
較して、コシの強い麺であることが明らかとなった。
【0017】茹でのびに対する本発明の品質改良剤の効
果の評価 麺類は、茹で上げた後速やかに水にとり、冷却しないと
茹でのびしてしまう。実施例2および比較例で調製した
対照品1、対照品2の冷凍うどんを、沸騰湯浴中にて1
分間茹でた後、火を止め、1分後、5分後、9分後に麺
を取り出し、その後20℃の水で1分間冷却し、次いで
各麺を50mmに切りだし、これを測定試料として、圧
縮荷重と付着力を同様に測定した。なお1分後、5分
後、9分後のお湯の温度はそれぞれ98℃、85℃、7
5℃であった。測定結果を図4、図5に示した。図から
明らかなように本発明による麺類の品質改良剤を用いて
調製した麺類は、茹でのびが少なく、コシの強さを維持
することが判明した。
【0018】官能評価 上記の特性値に加えて、20名のパネルによる単純ブラ
インド法による官能評価を行った。評価項目は、麺の光
沢、コシの強さ、歯ごたえ、滑らかさ、美味しさの5項
目とし、1〜5点の5段階で評価を行った。20名のパ
ネルによる各評価項目の平均点数を表1に示した。
【0019】
【表1】
【0020】本発明による麺類の品質改良剤を用いたう
どんはいずれの評価項目でも、高い得点を得た。以上の
測定結果、官能評価結果から本発明による麺類の品質改
良剤を用いて調製したうどんは、コシのある茹でのびせ
ずしかも滑らかで歯ごたえのある優れた品質であること
が判明した。
【0021】実施例3 本実施例では、本発明による麺類の品質改良剤を用いた
中華麺の調製例を示す。小麦粉100部に対し、実施例
1で得た粉末の品質改良剤を1部を粉混合し、かんすい
(炭酸水素ナトリウム3%)47部を混合し、ロールで
2回圧延し、20分間寝かした。その後ロール間隙1.
0mmに設定したローラーで圧延を行い、生地厚1.5
mmとした。その後麺幅2.0mmに切りだし、中華生
麺を得た。実施例2の比較例と同様に、対照品を調製
し、官能評価を行ったが、本発明による品質改良剤を用
いて得られた中華生麺は、対照品と比較しコシがあり、
茹でのびの少ないものとの評価であった。
【0022】実施例4 本実施例では、本発明による麺類の品質改良剤を用いた
パスタの調製例を示す。小麦粉(セモリナ)100部に
対し、水45部、さらに蛋白質濃度を12%になるよう
に水に溶解し、70℃30分間加熱を行うことにより得
られた、液状の品質改良剤7部を混合し、圧延ロールで
4回圧延を行い、1時間寝かせた。その後更に7回圧延
を繰り返し、ロール間隙1.25mmに設定したローラ
ーで圧延を行い、生地厚2.0mmとし、気温20℃湿
度40%の条件で、表面が軽度に乾燥状態になるまで風
乾した。その後麺幅2.0mmに切りだし、スパゲティ
ーパスタを得た。実施例2の比較例と同様に、品質改良
剤としてWPIを水に溶解したのみの水溶液、および水
のみを用いた対照品を調製し、官能評価を行ったが、本
発明による品質改良剤を用いて得られたスパゲティーパ
スタは、対照品と比較しコシがあり、茹でのびの少ない
ものとの評価であった。
【0023】実施例5 本実施例では、本発明による麺類の品質改良剤をあらか
じめ配合したうどん用の調製粉の製造例を示す。小麦粉
100部に対し、上記実施例1で得た粉末の品質改良剤
1.0部を粉混合し、さらに食塩粉末を4.6部混合
し、うどん調製用粉を製造した。この粉に水42部を混
合し、以下実施例2と同様にロールで2回圧延し、20
分間ねかした。その後ロール間隙1.7mmに設定した
ローラーで圧延を行い、生地厚2.6mmとした。その
後麺幅3.75mmに切りだし、生麺を得た。この生麺
をpH5.5の湯浴中にて12分間茹で、水道水洗1分
後、5℃で45秒冷却した。得られた麺はコシのある滑
らかなものであった。
【0024】
【発明の効果】本発明の実施により麺類の品質改良剤お
よび、それを用いた麺類の製造方法、麺類調製用粉が提
供される。本発明の麺類の品質改良剤を使用した麺およ
び、調製粉から製造される麺は、コシが強くかつ歯ごた
えの良好なものとなる。また栄養学的にも優れたものと
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2のうどんおよび比較例の対照品1、対
照品2のうどんの圧縮荷重を測定した結果を示したもの
である。図中の*はスチューデントのT検定により5%
の危険率で有意差があることを示す。
【図2】実施例2のうどんおよび比較例の対照品1、対
照品2のうどんの付着力を測定した結果を示したもので
ある。図中の*はスチューデントのT検定により5%の
危険率で有意差があることを示す。
【図3】実施例2のうどんおよび比較例の対照品1、対
照品2のうどんの切弾二重を測定した結果を示したもの
である。図中の*はスチューデントのT検定により5%
の危険率で有意差があることを示す。
【図4】実施例2のうどんおよび比較例の対照品1、対
照品2のうどんの茹でのびを見るため、圧縮荷重経時変
化を測定した結果を示したものである。
【符号の説明】
○ 実施例2のうどんの圧縮荷重経時変化 △ 比較例の対照品1の圧縮荷重経時変化 □ 比較例の対照品2の圧縮荷重経時変化
【図5】実施例2のうどんおよび比較例の対照品1、対
照品2のうどんの茹でのびを見るため、付着力の経時変
化を測定した結果を示したものである。
【符号の説明】
○ 実施例2のうどんの付着力経時変化 △ 比較例の対照品1の付着力経時変化 □ 比較例の対照品2の付着力経時変化
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 木村 利昭 埼玉県狭山市狭山台4−47−20 (56)参考文献 日本食品機械研究会年次大会(平成6 年度)講演要旨集,日本食品機械研究 会,1994年6月3日,p.5−9 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A23L 1/16 A23J 3/08

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 実 質的に脱塩されたホエー蛋白質を蛋白
    質濃度15%以下で水に溶解し、55〜120℃の温度で60分
    以下の加熱処理を行った、疎水性度(FI)が50/mg蛋白
    質以上である加熱処理水溶液を有効成分とする麺類の
    質改良剤。
  2. 【請求項2】 実 質的に脱塩されたホエー蛋白質を蛋白
    質濃度15%以下で水に溶解し、55〜120℃の温度で60分
    以下の加熱処理を行った、疎水性度(FI)が50/mg蛋白
    質以上である加熱処理水溶液を乾燥して得られたもの
    有効成分とする麺類の品質改良剤。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の麺類品質改良剤
    を麺類原料あたり0.1%以上添加混合し、次いで製麺を
    行うことを特徴とする麺類の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1または2記載の麺類品質改良剤
    を麺類原料の小麦粉あたり0.1%以上を添加混合して調
    製した製麺用調製粉。
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日本食品機械研究会年次大会(平成6年度)講演要旨集,日本食品機械研究会,1994年6月3日,p.5−9

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