JP3551780B2 - バリスタおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は各種電子機器を異常高電圧から保護するバリスタおよびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のバリスタは、主成分のZnOに副成分としてBi2O3,Co2O3,MnO2,Al2O3等を含むバリスタ材料の成形体を、1150〜1350℃の温度で焼成した後、焼結体の両面に電極ペーストを印刷、焼付けを行いバリスタを完成させていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記バリスタ材料は実用的なバリスタ特性を得るには1150℃より高い温度で焼成する必要がある。このためAg又はAg−Pd化合物を主成分とする電極ペーストを成形体に塗布し、成形体と電極とを1150℃より高い温度で一体焼成を行うと、電極金属成分のAgが溶融凝集したり、Pdが組成中のBi2O3と反応し電極としての機能が消失してしまう。従って電極の形成は成形体の焼成と別個に行わなければならないという問題があった。
【0004】
本発明はこの問題点を解決するもので、成形体の焼結と電極形成を同時に行うことのできるバリスタおよびその製造方法を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決する本発明のバリスタは、主成分のZnOに副成分として少なくともBi2O3と、Sb2O3を含む組成物に、更にMn化合物を溶液の形でMnがZnOに対し0.01〜1.0at%の範囲で添加した材料を用いた成形体を850〜1100℃の温度で焼成したバリスタ素子を用いたものである。この構成とすることにより溶液の形で添加したMn化合物は成形体の焼成過程で、熱分解し活性度の高いMnO2となり、これがBi2O3と容易に反応し成形体の焼結開始温度を低温側に押し下げる効果があり、この結果、バリスタの成形体を比較的低い850〜1100℃の温度でも焼結させることができ、従って成形体の焼結と電極形成を同時に行うことができると共に、低温焼成によって主成分のZnO結晶粒径が均一な大きさとなり、得られたバリスタはバリスタ電圧のバラツキ(標準偏差σ)が小さくなり歩留まりも向上するという効果がある。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、ZnOを主成分とし副成分として少なくともBi2O3とSb2O3を含む組成物に、更にMn化合物の溶液の形でMnがZnOに対し0.01〜1.0at%の範囲となるように添加した材料の成形体を850〜1100℃の温度で焼成したバリスタ素子を用いたバリスタである。溶液の形で添加したMn化合物は成形体の焼成過程の600℃近傍の温度で熱分解し化学的活性が高いMnO2となり、これが組成物中のBi2O3と容易に反応し比較的低温度で液相を生成し、この液相がZnOと反応し焼結開始温度を低下させる効果があり、このため、従来の焼成温度より低い850〜1100℃の温度でも焼結が可能となり、従って、成形体の焼結と電極形成を同時に行うことができると共に、低温で焼結を行うため主成分のZnO結晶粒径が均一な大きさに成長し、バリスタ電圧のバラツキを小さくし、特性歩留まりを向上させると言う作用をも有するものである。
【0007】
本発明の請求項2に記載の発明は、Mn化合物としてMn(NO3)2またはMnSO4を溶液の形で用いた請求項1に記載のバリスタである。溶液の状態で添加し前記効果が得られるMn化合物の材料を規定したものであると共に、溶液の状態で添加することにより微量なMnの分散性を向上させることができるという作用を有するものである。
【0008】
本発明の請求項3に記載の発明は、電極金属成分としてAgまたはAg−Pd化合物を用いた請求項1に記載のバリスタである。850〜1100℃の温度範囲でバリスタ成形体との一体焼結が可能な電極金属成分を規定したものである。
【0009】
本発明の請求項4に記載の発明は、成形体の両面に融点が850℃以上の金属成分を主成分とする電極ペーストを印刷塗布後、成形体と電極を一体焼成することを特徴とする請求項1に記載のバリスタの製造方法である。前項で説明したように本発明のバリスタ組成物は850〜1100℃の低温で焼結が可能であるため、融点が850℃以上の金属成分からなる電極ペーストを成形体に塗布し、成形体の焼結と電極形成を同時に行うことが可能となるものである。
【0010】
以下本発明の一実施の形態について説明する。
(実施の形態1)
図1に本発明の一実施の形態のバリスタを示す。図1において1はバリスタ素子、2a,2bは電極である。
【0011】
このバリスタの製造方法について以下に説明する。先ず、主成分のZnOに、副成分としてBi2O3を0.5mol%、Sb2O3を0.25mol%、Co2O3を0.5mol%、Al2O3を0.005mol%含む組成物に、更にMn(NO3)2溶液をMnがZnOに対し0.005〜1.5at%の範囲となるように添加、混合した後、脱水乾燥を行う。得られた各バリスタ材料にポリビニルアルコールを加えて造粒を行う。
【0012】
次に、各造粒粉を80MPa/cm2の成形圧力で、直径15mm、厚さ1.5mmの円板を成形した後、夫々の成形体の両面にAgを主成分とする電極ペーストをスクリーン印刷法を用いて直径10mmの電極2a,2bの印刷を行い、950℃の温度で5時間、成形体と電極2a,2bの一体焼成を行いバリスタを作製した。比較例としてMn(NO3)2に代えて、MnO2を用いMnをZnOに対し0.005〜1.5at%の範囲で添加した材料についても同条件で処理してバリスタを作製した。
【0013】
得られた夫々のバリスタに1mA及び10μAの電流を流したときのバリスタ電圧を測定し、これから厚さ1mm当たりのバリスタ電圧(V1mA/mm)、及び電圧非直線係数(α)を算出し、その結果を(表1)に示した。尚、電圧非直線係数αは(数1)より求めたものである。
【0014】
【表1】
【0015】
【数1】
【0016】
(表1)に示すように、Mn(NO3)2の溶液の形でのMnをZnOに対し0.01から1.0at%の範囲で添加したものは、バリスタ電圧のバラツキ(標準偏差σ)が小さく、電圧非直線性が高い。これに対しMnの添加量が0.01at%より少ない場合、バリスタ電圧が高過ぎ実用的ではなく、またバリスタ電圧のバラツキも大きい。また、Mnの添加量が1.0at%より多い場合、電圧非直線性が極めて小さくなる。一方Mn(NO3)2の代わりにMnO2を用いた場合は、同じMnの添加量であるにも拘らずバリスタ電圧が高く、バリスタ電圧のバラツキが大きいことがわかる。
【0017】
また、前記組成物の内、Mnを添加量0.5at%とした組成について、800から1000℃の各温度で30分間焼成し、各温度における焼成収縮率を測定しその結果を図2に示した。
【0018】
図2から明らかなように、MnをMn(NO3)2の溶液の形で添加した場合、粉末状態のMnO2の形で添加した場合よりも低い温度で、成形体の焼成収縮が始り比較的低い温度で焼結反応が終了することがわかる。これは、溶液の形で添加したMn(NO3)2が成形体の焼結過程の600℃近傍温度で熱分解し、化学的活性度の高いMnO2微粒子を生成する。これが組成中のBi2O3と反応し比較的低い温度で液相を生成する。この液相がZnOと反応し焼結開始温度を低下させるものと思われる。従って、従来の焼成温度より低い850〜1100℃の温度でも成形体の焼結を終了させることができることを示している。
【0019】
この結果から推測すると、本実施の形態のMnの添加量が0.01at%より少ない場合、活性度の高いMnO2が少なく、MnO2とBi2O3とで生成される液相が少なく、950℃でZnOの結晶粒成長促進効果が不十分となり、バリスタ焼結体が末焼結の状態であることを示しているものと思われる。しかしながら1.0at%より多い場合、電圧非直線性が小さくなる理由については解析が十分になされていないため定かではない。
【0020】
以上の結果から1100℃以下の焼成温度で、電圧非直線係数が大きく、しかもバリスタ電圧のバラツキが小さい焼結体を得るためには、MnをMn(NO3)2溶液の形で0.01〜1.0at%の範囲で添加する必要があることがわかる。尚、本実施の形態ではMn(NO3)2の溶液の形で添加したが、これをMnSO4の溶液を用いても同様な効果が得られることを確認している。
【0021】
(実施の形態2)
先ず、実施の形態1で作製したMn(NO3)2の形でMnをZnOに対し0.1at%添加した造粒粉を用い、80MPa/cm2の成形圧力で直径15mm、厚さ1.5mmの円板状に成形を行った。
【0022】
次に、成形体の両面に(表2)に示す組成の電極ペーストを用い、直径10mmの電極2a,2bをスクリーン印刷した。
【0023】
次いで、850から1100℃の温度で30分間、成形体の焼結と電極2a,2bの形成を同時に行いバリスタを作製した。得られたバリスタの電極2a,2bの形成状態を評価し、その結果を(表2)に示した。
【0024】
【表2】
【0025】
(表2)に示したように、電極2a,2bの金属成分がAgのみの場合、焼成温度がAgの溶融温度960℃を超えるとAgが溶融凝縮してしまい電極2a,2bとしての機能を果たさなくなる。一方金属成分のAgにPdを添加することにより1100℃までは電極機能を保つことはできるが、焼成温度が1100℃を超えるとバリスタ材料成分中のBi2O3と電極2a,2bの成分のPdが反応し電極2a,2bとしての機能が消失し好ましくない。
【0026】
また、何れの場合においても、850℃より低い温度では電極2a,2bの形成状態は良好であるが、バリスタ素子1の焼結が不十分でバリスタ電圧が高くなり過ぎ実用的でなくなる。このため電極2a,2bの金属成分がAgのみの場合は850℃〜950℃の温度範囲、AgにPdを添加した場合は850〜1100℃で焼成することを行うことによって、実用に適するバリスタ特性を有するバリスタを得ることが可能となる。
【0027】
尚、本実施の形態では電極金属成分にAgとAg−Pd化合物を用いたが、本発明のバリスタ成形体の焼成温度範囲で溶融せず、またバリスタ材料成分中の構成元素と反応しない金属であれば、その他の金属を使用しても良い。
【0028】
【発明の効果】
以上本発明によれば、主成分のZnOに副成分として少なくともBi2O3,Sb2O3を含むバリスタ組成物に、さらにMn化合物を溶液の形でMnがZnOに対し0.01〜1.0at%の範囲で添加することによって、このバリスタ材料は焼成過程の600℃近傍の温度で溶液の形で添加したMn化合物が分解し活性度の高いMnO2の微粒子となり、これが成分中のBi2O3と反応し、比較的低い温度で液相を生成し焼結開始温度を低下させる効果がある。従って850〜1100℃の焼成温度で、成形体焼結と電極形成を同時に行うことが可能となる。また、得られた焼成体は均一なZnO結晶粒で構成され、電圧非直線性が大きくしかもバリスタ電圧のバラツキが小さくなり特性歩留まりが向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態のバリスタの製造方法により得たバリスタの断面図
【図2】本発明の組成の焼成温度と焼結体収縮率の関係を示す図
【符号の説明】
1 バリスタ素子
2a 電極
2b 電極
Claims (4)
- ZnOを主成分とし副成分として少なくともBi2O3とSb2O3を含むバリスタ組成物に、更にMn化合物の溶液をMnがZnOに対し0.01〜1.0at%となるように添加した材料を用いた成形体を、850〜1100℃の温度で焼成したバリスタ素子を用いたバリスタ。
- Mn化合物としてMn(NO3)またはMnSO4を溶液の形で用いた請求項1に記載のバリスタ。
- 電極金属成分としてAgまたはAg−Pd化合物を用いた請求項1に記載のバリスタ。
- 成形体の両面に融点が850℃以上の金属成分を主成分とする電極ペーストを塗布後、成形体と電極を一体焼結する請求項1に記載のバリスタの製造方法。
Priority Applications (1)
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|---|---|---|---|
| JP25825398A JP3551780B2 (ja) | 1998-09-11 | 1998-09-11 | バリスタおよびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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| JP25825398A JP3551780B2 (ja) | 1998-09-11 | 1998-09-11 | バリスタおよびその製造方法 |
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| JP2000091107A JP2000091107A (ja) | 2000-03-31 |
| JP3551780B2 true JP3551780B2 (ja) | 2004-08-11 |
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Family Applications (1)
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| JP25825398A Expired - Lifetime JP3551780B2 (ja) | 1998-09-11 | 1998-09-11 | バリスタおよびその製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3551780B2 (ja) |
-
1998
- 1998-09-11 JP JP25825398A patent/JP3551780B2/ja not_active Expired - Lifetime
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