JP3600903B2 - 手動式電動車椅子 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、車両に間欠的に加えられる人力の大きさに応じた駆動力を補助動力として車輪に与えてこれを回転駆動する手動式電動車椅子に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、手動車椅子と電動車椅子の中間的な存在として手動式電動車椅子が提案されている。この手動式電動車椅子は、車輪に間欠的に加えられる人力を検知し、その人力に応じた補助動力を車輪に加えることによって歩行の不自由な乗り手の肉体的な負担を軽減するものであって、これによれば乗り手は手動車椅子の感覚で操作することができ、精神的苦痛も緩和される。
【0003】
ところで、斯かる手動式電動車椅子にあっては、補助動力によらないで手動式車椅子として使用する場合があるため、駆動源から車輪への動力伝達を断接するクラッチ手段が不可欠となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、左右一対の補助動力ユニットを備える手動式電動車椅子においては、各補助動力ユニット毎にクラッチ手段をそれぞれ設ける必要があり、左右のクラッチ手段を簡単な操作で確実に、且つ、同時に切換操作し得ることが望まれる。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、左右一対の補助動力ユニットにそれぞれ設けられたクラッチ手段を簡単な操作で確実に、且つ、同時に切換操作することができる手動式電動車椅子を提供することにある。
【0006】
又、左右のクラッチ手段が共にON状態となった後に駆動源が作動可能状態となることは安全対策上から望ましいことである。
【0007】
従って、本発明の他の目的とする処は、安全性の高い手動式電動車椅子を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、左右一対の車輪に間欠的に加えられる人力を検知する入力検知手段と、該入力検知手段によって検知された人力に応じた補助動力を車輪に加えてこれを回転駆動する左右一対の補助動力ユニットを備える手動式電動車椅子において、前記各補助動力ユニットに、駆動源から車輪への動力伝達を断接するクラッチ手段を設けるとともに、左右のクラッチ手段を単一のレバーで同時に切換操作するよう構成し、前記各クラッチ手段に、これのON/OFFを検知するクラッチ検知手段を設け、該クラッチ検知手段によって左右のクラッチ手段が共にONであるときにのみ前記各駆動源が作動可能となるよう構成したことを特徴とする。
【0010】
【作用】
発明によれば、左右のクラッチ手段を単一のレバーで同時に切換操作するよう構成したため、駆動源から左右の車輪への動力伝達の断接を簡単な操作で確実に行うことができる。
【0011】
又、発明によれば、左右のクラッチ検知手段によって左右のクラッチ手段が共にONであることが確認された後に駆動源が作動可能となるため、異常旋回等の異常動作が防がれて安全性の向上が図られる。
【0012】
【実施例】
以下に本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
【0013】
図1は本発明に係る補助動力式車両の一態様としての手動式電動車椅子の側面図、図2は同車椅子の正面図、図3は同車椅子を折り畳んだ状態を示す背面図、図4は同車椅子の入力検出部及び補助動力ユニット部を示す車輪部分の破断平面図、図5は同拡大破断平面図、図6はドグクラッチ部の構成を示す断面図、図7はドグクラッチの分解斜視図、図8及び図9はドグクラッチの作用を説明するための断面図、図10は車輪の外側面図、図11は車輪のハブ部の外側面図、図12は入力検出部のスプリングの状態を説明するための断面図、図13及び図14は人力が加えられたときの検出部のスプリングの状態を説明するための断面図である。
【0014】
本実施例に係る手動式電動車椅子1は、既存の折り畳み式手動車椅子に補助動力装置(Power Assist System )を組み付けたものであって、図1に示すように、これのパイプ枠状のフレーム2の前後部は左右一対のキャスタ3、車輪4によって支持されている。
【0015】
又、上記フレーム2の中央部には、乗り手が着座すべき布製のシート5(図2参照)が張設されている。尚、フレーム2は前後一対のクロス部材2aを有しており、X字状を成す2本のクロス部材2aはその交点を軸6によって枢着されている。従って、車椅子1は図3に示すようにこれを折り畳むことができ、このとき前記シート5も撓む。
【0016】
更に、フレーム2の後部には左右一対のハンドルアーム2bが立設されており、各ハンドルアーム2bの上端部は後方に折曲され、その折曲部には介助者用のグリップ7が取り付けられている。
【0017】
又、フレーム2の中央上部には、乗り手のための左右一対の肘掛8が取り付けられ、同フレーム2の前端下部には左右一対のステップ9が取り付けられている。そして、同フレーム2の下部に前後方向に延びる左右一対のアーム2cの後端部には、別のアーム2dが前後方向に移動自在に嵌装されており、各アーム2dの後端部にはローラ10が回転自在に軸支されている。尚、アーム2dは、アーム2cに突設されたピン11に長孔係合することによって前後方向に移動自在に支持され、これはアーム2cとの間に縮装された不図示のスプリングによって常時後方へ付勢されている。
【0018】
ところで、前記左右一対の車輪4の各々は、図4及び図5に示すように、フレーム2に取り付けられたブラケット12に支持された車軸13にボールベアリング14,15を介して回転自在に支承されており、各車輪4の外側には、乗り手が手でこれを回すべきリング状のハンドリム16が設けられている。このハンドリム16は、車輪4のハブ4aに軸受17によって回転自在に支承された円板状のディスク18に3本のスポーク19を介して取り付けられており、従って、該ハンドリム16は車輪4に対して独立に回転し得る。尚、本実施例においては、図4及び図5に示すように、車輪4のハブ4aとディスク18との間にダンパー20が介設されている。
【0019】
而して、上記ハンドリム16は、その全周の3箇所が図11に示す構造によって車輪4に対して弾性的に連結されている。
【0020】
即ち、図11に示すように、車輪4のハブ4aに形成された各一対のリブ4a−1で挟まれる空間には、円弧状の溝21aを有するスプリングガイド21が収納されており、該スプリングガイド21には大小異径のスプリング22,23が収納されている。尚、図11において、24はスプリング22,23の脱落を防ぐ保持部材である。
【0021】
ところで、前記スプリング22,23はその両端がスプリング受け25,26によって受けられており、前記ハンドリム16に人力が加わらない中立状態においては、図12に詳細に示すように、スプリング受け25,26は一対のリブ4a−1に当接し、小径のスプリング23は両スプリング受け25,26間に所定の予圧を持って縮装される一方、大径のスプリング22はその両端がスプリング受け25,26から若干離脱してスプリング受け25,26に力を及ぼしていない。尚、大径のスプリング22のバネ定数は小径のスプリング23のそれよりも大きく設定されている。
【0022】
一方、図10に示すように、前記ディスク18の全周3箇所には一対のピン27,28が内方に向かって突設されており、各一対のピン27,28はハンドリム16に人力が加わらない中立状態においては、図11及び図12に示すように前記スプリング受け25,26の端面に当接している。尚、一方のピン27はディスク18の内面に固設されているが、他方のピン28は図11に示すようにディスク18に形成された円弧状の長孔18aに位置調整自在に貫設されており、該ピン28はスプリング受け26の端面に当接した状態でナット29によって締め付けられてディスク18に固定される。又、リブ4a−1には、ピン27,28の移動を許容するための溝4a−2が形成されている。
【0023】
又、図4及び図5に示すように、ハンドリム16側のディスク18には、ハンドリム16に加えられる人力の大きさ及び方向を検出するためのポテンショメータ30が固設されており、該ポテンショメータ30の人力軸30aの端部にはレバー31の一端が結着されており、該レバー31の他端は、車輪4のハブ4aに突設されたピン32にゴム製のキャップ33を介して係合している。尚、キャップ33はレバー31のガタを防止するためのものである。
【0024】
ところで、図4及び図5に示すように、左右一対の車輪4の各々の内側には補助動力ユニット(図4及び図5には一方のみ図示)40が設けられている。
【0025】
上記補助動力ユニット40は、補助動力を発生する駆動モータ41と、該駆動モータ41の駆動力を車輪4に伝達するギヤG1〜G4を収容するギヤケース42を有しており、駆動モータ41の出力軸端には小径のギヤG1が結着されている。
【0026】
又、上記ギヤケース42にはカウンタ軸43と駆動軸44が車軸13と平行に回転自在に支承されており、カウンタ軸43には大小異径のギヤG2,G3が結着され、駆動軸44には大径のギヤG4が自由回転自在に支承されるとともに、その端部には小径のギヤG5が結着されている。そして、前記大径のギヤG2は前記小径のギヤG1に噛合し、小径のギヤG3は大径のギヤG4に噛合している。又、前記ギヤG5は、ハブ4aの内周部に嵌合保持された大径のリングギヤG6に噛合している。尚、リングギヤG6はハブ4aに対して相対回転可能に保持されており、両者の間には周方向に配列された複数のダンパー部材45が介設されている。
【0027】
ところで、前記駆動軸44上には大径のギヤG4の駆動軸44との係合を断接するためのドグクラッチ46が設けられており、該ドグクラッチ46は前記フレーム2の前方上部に設けられたクラッチレバー47(図1参照)の回動操作によってON/OFF動作する。そして、ドグクラッチ46の近傍には、該ドグクラッチ46のON/OFFを検知するリミットスイッチ48が設けられており、ドグクラッチ46がOFF状態にあるときには駆動モータ41に電流が流れないように構成されている。
【0028】
ここで、ドグクラッチ46の構成の詳細を図6及び図7に基づいて説明する。
【0029】
前記駆動軸44上には円盤状のドグ49が回転自在及び横方向に移動自在に支承されており、該ドグ49には前記ギヤG4に形成された3つの円孔50に対して係脱する3本の係合ピン51が突設されている。そして、このドグ49はスプリング52によって係合ピン51がギヤG4の円孔50から離脱する方向(図6の右方)に付勢されている。
【0030】
又、駆動軸44には、その軸中心に円孔44aが形成されるとともに、該円孔44aに連通する横方向に長い長孔44bが形成されている。そして、駆動軸44の前記長孔44bにはキー63が挿通されており、該キー63は前記ドグ49に形成された溝49a(図7参照)に係合している。従って、駆動軸44とドグ49とはキー63によって回転方向に連結されており、両者は一体的に回転する。
【0031】
一方、ギヤケース42にはブラケット53が取り付けられており、該ブラケット53にはガイドスリーブ54が駆動軸44と同軸的に結着されている。そして、このガイドスリーブ54内には有底筒状のプランジャ55が摺動自在に嵌装されており、該プランジャ55はスプリング56によって付勢されてレバー57の一端に当接されている。
【0032】
ところで、上記レバー57は前記ブラケット53に軸58によって回動自在に枢着されており、その他端はワイヤー59によって前記クラッチレバー47(図1参照)に連結されている。
【0033】
又、前記駆動軸44に形成された円孔44aとプランジャ55にはロッド60が摺動自在に嵌装されており、該ロッド60は前記スプリング56によって付勢されてその一端がボール61を介して前記キー63に当接されており、同ロッド60の他端にはプランジャ55に形成された長孔55aに挿通する抜け止め用のピン62が貫設されている。
【0034】
尚、以上は一方の車輪4側に設けられた補助動力ユニット40及びドグクラッチ46の構成について述べたが、他方の車輪4側に設けられた補助動力ユニット40及びドグクラッチ46の構成も同じであり、部品の共通化による量産効果を得ることができる。そのため、左右一対の補助動力ユニット40は、図2に示すように点対称の関係を保って配置されている。即ち、各補助動力ユニット40においては、駆動モータ41が車軸13の中心線からオフセットしており、このような共通の補助動力ユニット40を左右の車輪4に対して点対称の関係を保って配置すると、本実施例の最凸部である左右一対の駆動モータ41は上下方向に段差をもって配されることとなり、当該車椅子1を図3に示すように折り畳んだ際に両駆動モータ41が互いに干渉することがなく、この結果、車椅子1をコンパクトに折り畳むことができる。
【0035】
ここで、ドグクラッチ46の作用を図6、図8及び図9に基づいて説明する。
【0036】
前記クラッチレバー47を図1の実線位置(OFF位置)にセットした状態では、左右のドグクラッチ46は共にOFF状態にあり、このとき、図6に示すように各ドグ49に突設された係合ピン51はギヤG4の円孔50から離脱しており、左右のリミットスイッチ48はドグクラッチ46が共にOFF状態にあることを検知する。
【0037】
次に、乗り手が図1の実線位置にあるクラッチレバー47を回動操作してこれを図1の鎖線位置(ON位置)にセットすると、不図示のロック機構によってクラッチレバー47がON状態でロックされ、レバー57がワイヤー59によって引かれて軸58を中心として図6の矢印方向(時計方向)に回動してプランジャ55を図8に示すようにドグ49側(図8の左方)に摺動せしめる。すると、スプリング56が圧縮されその付勢力がロッド60、ボール61及びキー63を介してドグ49に伝達されるため、ドグ49が駆動軸44上をスプリング52の付勢力に抗してギヤG4側に移動し、これによって該ドグ49に突設された係合ピン51がギヤG4の端面に当接する待ちの状態となる。
【0038】
而して、乗り手がハンドリム16を回して車輪4を回転駆動すると、車輪4の回転はリングギヤG6(図4参照)及びギヤG5を経て駆動軸44に伝達され、該駆動軸44と共にドグ49が回転するため、ドグ49に突設された係合ピン51がギヤG4の円孔50に合致した時点で図9に示すように該係合ピン51が円孔50に係合し、ここに、ドグクラッチ46がON状態となる。そして、ドグクラッチ46のON状態はリミットスイッチ48によって検知される。
【0039】
ところで、本実施例においては、リミットスイッチ48によって左右のドグクラッチ46が共にONであるときにのみ前記駆動モータ41が作動可能となるように構成されている。ここで、これを実現するための回路構成例を図15、図16にそれぞれ示す。
【0040】
図15に示す例においては、左右のリミットスイッチ48(48L,48R)及びメインスイッチ64がバッテリ80とコントローラ70の間に直列に接続されており、左右のドグクラッチ46が共にON状態にあって、左右のリミットスイッチ48L,48Rも共にONされたときのみメインスイッチ64をONすることによってバッテリ80からコントローラ70を経て駆動モータ41に通電が可能とされる。
【0041】
又、図16に示す例においては、左右のリミットスイッチ48(48L,48R)がバッテリ80とコントローラ70の間に直列に接続されており、左右のドグクラッチ46が共にON状態にあって、左右のリミットスイッチ48L,48Rも共にONされたときにバッテリ80からコントローラ70を経て駆動モータ41に通電される。
【0042】
而して、図1に示す解除レバー47aを押すと、不図示のロック機構が解除され、クラッチレバー47は不図示のリターンスプリングの付勢力によってOFF位置に戻る。すると、プランジャ55がスプリング56の付勢力によってドグ49から遠ざかる方向(図6の右方)に摺動するため、これに連動してドグ49もスプリング52の付勢力によって駆動軸44上を同方向に摺動し、該ドッグ49に突設された係合ピン51が図6に示すようにギヤG4の円孔50から離脱してドグクラッチ46がOFFされる。そして、このドグクラッチのOFF状態はリミットスイッチ48によって検知される。
【0043】
ここで、前記コントローラ70について説明する。
【0044】
図1に示すように、フレーム2の前部側方には前記補助動力ユニット40の駆動を制御するためのコントローラ70が取り付けられており、該コントローラ70の上方にはバッテリ80が取り付けられている。尚、コントローラ70は、図2に鎖線にて示すように、フレーム2のクロス部材2aに取り付けても良い。
【0045】
コントローラ70の構成は図17のブロック図に示されるが、該コントローラ70は、前記ポテンショメータ30によって検出されるハンドリム16に加えられる人力に対する補助動力を演算するアシスト力演算手段71と、該アシスト力演算手段71によって求められた補助動力(つまり、補助動力の目標値(目標トルク))に対して駆動モータ41の駆動を制御する(駆動モータ41に供給すべき電流を制御する)モータ制御手段72と、該モータ制御手段72からの制御信号を受けてそれに見合うデューティ値のゲート信号G ,G ,G ,G をゲートに出力するゲートドライブ回路73を含んで構成されている。尚、図17において、74a,74b,74c,74dはゲート信号G ,G ,G ,G をそれぞれ印加されてON/OFFするFET(電界効果トランジスタ)である。
【0046】
次に、本手動式電動車椅子1の作用を説明する。
【0047】
ユーザーが左右一対のハンドリム16を例えば前進方向に回すためにこれに力を加えると、各ハンドリム16に加えられた人力F の大きさが前記3本の小径スプリング23の予圧力に打ち勝つまでの間はハンドリム16は不動であって、ハンドリム16と車輪4の間に相対回転は生じず、このとき、図18に示すようにポテンショメータ30の出力は0を示す。尚、図18はハンドリム16に加えられる人力F に対するポテンショメータ30の出力特性を示す図であり、同図において、FM0は3本の小径スプリング23の予圧力に等しい人力の値である。
【0048】
その後、人力F がFM0を超えて増大すると、図13に示すように一方のピン27がスプリング受け25を押圧して先ず小径のスプリング23のみを圧縮し、ハンドリム16はスプリング23の圧縮量に見合う角度だけ車輪4に対して相対回転する。そして、このハンドリム16の相対回転量はレバー31によって拡大されてポテンショメータ30に伝達され、ポテンショメータ30は、図18に直線aに示すように、ハンドリム16に加えられる人力F に対する信号を出力する。尚、小径のスプリング23のバネ定数は小さいため、該スプリング23の人力F の増加量に対する圧縮量、つまり、ハンドリム16の回動量は大きく、従って、ポテンショメータ30の感度は高く保たれる。
【0049】
そして、ハンドリム16に加えられる人力F の値が図18に示すFM1に達すると、大径のスプリング22も小径のスプリング23と共に圧縮され始め、ハンドリム16は両スプリング22,23の圧縮量に見合う角度だけ車輪4に対して相対回転し、このとき、ポテンショメータ30は、図18の直線bに示すようにハンドリム16に加えられる人力F に対する信号を出力する。
【0050】
その後、ハンドリム16に加えられる人力F が図18に示すFM2を超えた場合には、図14に示すようにピン27が保持部材24に当接するため、人力F はピン27から保持部材24を経て車輪4に直接伝達される。このとき、ポテンショメータ30の出力は、図18に直線cにて示すように一定となる。
【0051】
尚、乗り手がハンドリム16に逆方向の力を加えた場合のポテンショメータ30の出力は、図18の直線a’,b’,c’によって表され、図18にハッチングを付した領域が不感帯領域となる。このような不感帯域を設けることにより、機械的誤差や電気的誤差を許容しながら車椅子1の静止を確実に検出することができる。
【0052】
而して、ハンドリム16には人力F が間欠的に加えられ、この人力F は前述のようにポテンショメータ30によって検出され、その検出信号Vinは前記コントローラ70のアシスト力演算手段71に入力される。
【0053】
上記アシスト力演算手段71はポテンショメータ30から出力された入力信号Vinに対して所要のアシスト比に基づいて目標トルクτを演算し、それに見合う制御信号をモータ制御手段72に出力する。尚、入力信号Vinと目標トルクτとの関係(アシスト力演算手段71の特性)をアシスト比をパラメータとして図19に示す。
【0054】
モータ制御手段72は駆動モータ41に供給すべき電流を制御し、ゲートドライブ回路73はモータ制御手段72からの制御信号を受けて必要なデューティ値のゲート信号G ,G をFET74a,74dのゲートに印加する(前進の場合)。すると、バッテリ80からの電流はFET74a,74dを通って図17の矢印方向に流れ、これによって駆動モータ41が正転される。FET74dを通る電流値I はモータ制御手段72にフィードバックされて目標値と比較され、ゲート信号G ,G のデューティ値を増減する。
【0055】
而して、上述のように駆動モータ41が正転すると、該駆動モータ41によって発生する駆動力が補助動力F として車輪4に与えられる。即ち、駆動モータ41の回転は、図5に示すギヤG1,G2によって1段減速されてカウンタ軸43に伝達され、ドグクラッチ46がONされているときには、該カウンタ軸43の回転はギヤG3,G4によって2段減速されて駆動軸44に伝達される。そして、この駆動軸44の回転はギヤG5,G6によって3段減速された後、ダンパー部材45を介して車輪4に伝達され、該車輪4が人力F に補助動力F を加えた大きさの駆動力F(=F +F )によって回転駆動され、これによって手動式電動車椅子1が前進せしめられ、乗り手は全駆動力Fの例えば約1/2程度の小さな駆動力(人力)F で楽に車椅子1を操作することができる。
【0056】
ところで、ハンドリム16に逆方向(後進方向)の人力F が加えられた場合には、図17に示すゲートドライブ回路73はゲート信号G ,G をFET74b,74cにそれぞれ印加してこれらをON/OFFする。すると、バッテリ80からの電流は駆動モータ41を逆方向に流れるために該駆動モータ41は逆転し、車輪4にはこれを逆転させる方向の補助動力F が加えられる。FET74bを通るモータ電流値I はモータ制御手段72にフィードバックされて目標値と比較され、ゲート信号G ,G のデューティ値を増減する。
【0057】
以上のように、本実施例においては、左右のドグクラッチ46を単一のクラッチレバー47で同時に切換操作するよう構成したため、左右の補助動力ユニット40の各駆動モータ41から左右の車輪4への動力伝達の断接を簡単な操作で確実に行うことができる。
【0058】
又、本実施例によれば、左右のリミットスイッチ48(48L,48R)によって左右のドグクラッチ46が共にONであることが確認された後に駆動モータ41が作動可能となるよう構成したため、異常旋回等の異常動作が防がれて安全性の向上が図られる。
【0059】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、発明によれば、左右のクラッチ手段を単一のレバーで同時に切換操作するよう構成したため、駆動源から左右の車輪への動力伝達の断接を簡単な操作で確実に行うことができるという効果が得られる。
【0060】
又、発明によれば、左右のクラッチ検知手段によって左右のクラッチ手段が共にONであることが確認された後に駆動源が作動可能となるため、異常旋回等の異常動作が防がれて安全性の向上が図られるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る手動式電動車椅子の側面図である。
【図2】本発明の実施例に係る手動式電動車椅子の正面図である。
【図3】本発明の実施例に係る手動式電動車椅子を折り畳んだ状態を示す背面図である。
【図4】本発明の実施例に係る手動式電動車椅子の入力検出部及び補助動力ユニット部を示す車輪部分の破断平面図である。
【図5】本発明の実施例に係る手動式電動車椅子の入力検出部及び補助動力ユニット部を示す車輪部分の拡大破断平面図である。
【図6】ドグクラッチ部の構成を示す断面図である。
【図7】ドグクラッチの分解斜視図である。
【図8】ドグクラッチの作用を説明するための断面図である。
【図9】ドグクラッチの作用を説明するための断面図である。
【図10】本発明の実施例に係る手動式電動車椅子の車輪の外側面図である。
【図11】本発明の実施例に係る手動式電動車椅子の車輪のハブ部の外側面図である。
【図12】入力検出部のスプリングの状態を説明するための断面図である。
【図13】人力が加えられたときの検出部のスプリングの状態を説明するための断面図である。
【図14】人力が加えられたときの検出部のスプリングの状態を説明するための断面図である。
【図15】駆動モータへの電力供給回路の構成例を示す図である。
【図16】駆動モータへの電力供給回路の構成例を示す図である。
【図17】コントローラの構成を示すブロック図である。
【図18】ハンドリムに加えられる人力に対するポテンショメータの出力特性を示す図である。
【図19】入力信号と目標トルクとの関係(アシスト力演算手段の特性)をアシスト比をパラメータとして示す図である。
【符号の説明】
1 手動式電動車椅子
4 車輪
30 ポテンショメータ(入力検知手段)
40 補助動力ユニット
41 駆動モータ(駆動源)
46 ドグクラッチ(クラッチ手段)
47 クラッチレバー(レバー)
48 リミットスイッチ(クラッチ検知手段)

Claims (1)

  1. 左右一対の車輪に間欠的に加えられる人力を検知する入力検知手段と、該入力検知手段によって検知された人力に応じた補助動力を車輪に加えてこれを回転駆動する左右一対の補助動力ユニットを備える手動式電動車椅子において、
    前記各補助動力ユニットに、駆動源から車輪への動力伝達を断接するクラッチ手段を設けるとともに、左右のクラッチ手段を単一のレバーで同時に切換操作するよう構成し、前記各クラッチ手段に、これのON/OFFを検知するクラッチ検知手段を設け、該クラッチ検知手段によって左右のクラッチ手段が共にONであるときにのみ前記各駆動源が作動可能となるよう構成したことを特徴とする手動式電動車椅子。
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