JP3645331B2 - ホーロー部材の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は表面にカラー転写シートを焼成して成るホーロー部材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ホーローの持つ堅牢さと意匠的な優位性を活かし、エレベーター用乗かご側板等の種々の分野でホーロー部材が使用されており、例えば、特願平3−332816号にはホーロー板を用いたエレベーター用乗かご側板の製造方法が提案されている。
従来のこの種のホーロー部材は、所定厚さの素地金属板を製缶作業によって所定の形状に成し、その表面の脱脂および酸洗いなどの表面処理を行なった後、ニッケルメッキを施し、その後、三段階の焼成作業を繰り返していた。この三段階の焼成作業とは、先ず、一段階目としてニッケルメッキを施した素地金属板の表面に釉薬を下塗りし乾燥させて焼成し、二段階目として釉薬を中塗りし乾燥させて焼成し、三段階目として釉薬を上塗りし乾燥させて焼成するものである。
【0003】
一方、特開平5−318990号公報には、陶器等の表面の美観性および意匠性を高めるために、陶器等の表面にカラーの写真転写シートを焼成するようにしたものが記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本件発明者等は、ホーロー部材に高級意匠感を与えるために、ホーロー部材表面にカラーの写真転写シートを焼成することを検討した。しかしながら、これまでの経験に基づいて、ホーロー部材表面に写真転写シートを貼付け、乾燥後に1時間あたり100°Cの温度上昇率で4〜5時間かけて400〜550°Cまで焼成温度を上昇させて焼成し、一旦常温に戻した後、分のオーダーで650〜800°Cまで急激に温度上昇させて本焼成していたが、極め細かい写真画像を再現できないことが分かった。
【0005】
本発明の目的とするところは、写真転写シートを用いて極め細かいカラー写真画像を再現できるようにしたホーロー部材の製造方法を提供するにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために、素地部材の表面にホーロー層を焼成し、その上に写真転写シートを貼付け、乾燥させて焼成させるホーロー部材の製造方法において、上記写真転写シートを貼付ける貼付け部を、白色のコーティングカバーを施して白色にした後、上記写真転写シートの焼成を、緩やかな温度上昇特性を持つ第一段階焼成と、常温に戻すことなくこの第一段階焼成に連続して上記第一段階焼成よりも急速で高い温度に上昇させる第二段階焼成とで行なうようにしたことを特徴とする。
【0007】
本発明によるホーロー部材の製造方法は、上述の素地部材に白色のカバーコーティングを施した上に、写真転写シートを焼成するようにしたため、カバーコーティングの影響を受けずに写真転写シートの色を確実に再現して極め細かな絵や模様等を転写することができるようになった。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面によって説明する。図1は本発明の一実施の形態によるホーロー部材としてホーロー板の製造方法を示すフローチャートである。図中、左側は写真転写シートの製造工程を示し、右側はホーロー板の製造工程と、その後のホーロー板へ写真転写シートを焼成する工程を示している。先ず、ホーロー板の製作について説明すると、工程S1で所定厚さ、例えば0.35〜0.5mmの素地金属板を製缶作業によって所定の形状に成し、工程S2でその表面の脱脂および酸洗いなどの表面処理を行なった後、工程S3でニッケルメッキを施し、その後、一段階目の焼成作業として、ニッケルメッキを施した素地金属板の表面に工程S4でグランドコーティングの釉薬を下塗りし、工程S5で乾燥させてから工程S6として約800°Cで焼成する。通常、このグランドコーティングは黒色である。続いて二段階目の焼成作業として、工程S7で白色のコーティングカバーの釉薬を中塗りし工程S8として乾燥させてから、工程S9として約800°Cで5〜10分間焼成する。
【0009】
一方、写真転写シートの製造工程は、予め工程S20として写真プリントもしくはネガあるいはポジフィルムを準備し、これを工程S21でトリミング色分解する。つまり、写真プリントもしくはネガあるいはポジフィルムとして準備された原画を色の三原色(イエロー、マゼンダ、シアン)とブラックに色分解する。その後、工程S22でトリミング色分解して製作した製版を得るが、これは原画の色数に関係なくイエロー版、マゼンダ版、シアン版、ブラック版の一律4枚となり、これらの重なりによって原画の色を再現する。顔料としてイエロー版はプラセオジウム、マゼンダ版は包金、シアン版はコバルト、ブラック版はマンガンを混ぜて使用し、これらを保持する薄膜としてポリエステルフィルムを用い、これら各製版を印刷して工程S23で写真転写シートを得る。次に、工程S24として写真転写シートの表面に、例えばウレタンをコーティングして写真転写シート保護膜を形成し、写真転写シートが完成する。この写真転写シート保護膜は、その後の写真転写シートの表面の傷付きを防止するので、後述する全工程終了後における写真転写シートの表面をより美しく、原画を忠実に再現するのに寄与する。
【0010】
次に、工程S10に示すように白色のコーティングカバー4によってホーロー板上を白色にした貼付け部3に写真転写シートを水貼りし24時間乾燥させる。その後、工程S11として写真転写シート用焼成を行なう。この写真転写シート用焼成工程は、少なくとも二段階の温度上昇特性で常温に戻すことなくほぼ連続して行なうのが特徴である。つまり、図2に示すように、写真転写シート用焼成工程における第一段階焼成の温度上昇特性1は、上述した写真転写シートを構成するフィルムやインクが完全に溶解するものであり、写真転写シート用焼成工程における第二段階焼成の温度上昇特性2は、写真転写シートが焼き上がりガラス化させるものである。より具体的には、第一段階焼成においては焼成温度を急激に上昇させるのではなく、例えば、5時間かけて500〜650°Cまで時間当たり100°C程度の上昇率で徐々に上昇させる温度上昇特性とし、続く第二段階焼成においては常温に戻すことなくほぼ連続して第一段階焼成の温度上昇特性よりも急激な温度上昇特性、例えば1時間で700〜800°Cまで上昇させる温度上昇特性としている。この第二段階焼成の上昇温度は、エレベータ用側板として一般に使用される素地金属板の厚みが0.5mmと1.6mmであるなら740〜760°Cとすれば良く、素地金属板の条件を考慮して決定すると良い。
【0011】
その後、工程S12で写真転写シートの貼付け部3を除いて表面の仕上げ指定色に対応する釉薬を上塗りし、工程S13として乾燥させてから工程S14として約720〜740°Cまで約10分間で焼成する。その後、工程S15あるいは上述した写真転写シート用焼成工程後にフラッキスコーティングを行なうが、これはホーロー板と同じ艶を確保し、また写真転写シートの耐摩耗性を向上させる目的で、透明の釉薬を写真転写シート部の表面にコーティングするものである。このとき、既にウレタンをコーティングした写真転写シートの保護膜は上述の写真転写シート用焼成工程で融解し蒸発しており、写真転写シートの表面はフラッキスコーティングによって艶出しされ耐摩耗性が与えられて、美しさを保持することができる。
【0012】
この写真転写シート用焼成工程により、写真転写シートを構成するフィルムやインクを完全に溶解させると共に、粒子状の状態からガラス化させて写真転写シートを焼き上げることができ、写真転写シートを定着させると共に、その極め細かな絵や模様等を再現できることが実験によって明らかになった。また上述した写真転写シート用焼成工程を行なわない場合、内部にクラックが発生し写真転写シートの美しさを損なう場合があった。これは、写真転写シート用焼成工程における第一段階焼成の上昇温度付近で焼成を止めて常温に戻してしまうと、ホーロー釉薬が丁度軟化し始める温度領域で素地金属薄板が既に膨張したのが、常温に戻されて素地金属薄板の膨張が元に戻るとき、ホーロー層が押しつぶされる現象が発生するためと考えられる。この現象は、第一段階焼成の上昇温度付近では表面に現れず、例えば、第二段階焼成の温度上昇を与えることなく工程を進めて工程S16の本焼成で約800度の温度を加えた場合、ホーロー層の最上面が融けて内部にクラックが現れてくるが、上述したように少なくとも二段階の温度上昇特性で常温に戻すことなくほぼ連続して行なう写真転写シート用焼成工程によってクラックの発生を防止することができるようになった。しかも、ホーロー板における写真転写シートの貼付け部1aを白色のコーティングカバー4としたため、写真転写シートは一層忠実に原画の色を再現することができ、非常に美しい写真転写シート付きホーロー板を得ることができるようになった。
【0013】
尚、上述の実施の形態では、エレベータ用側板となるホーロー板に写真転写シートを焼成したが、板状体に限らず他の形状のホーロー部材に採用することができる。
【0014】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によるホーロー部材の製造方法は、写真転写シートを貼付ける下地のコーティングカバーとして白色のものを用いたため、写真転写シートは一層忠実に原画の色や極め細かな絵や模様等を再現することができ、非常に美しい転写を行なうことができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態によるホーロー部材の製造方法による製造工程を示すフローチャートである。
【図2】図1に示したホーロー部材の製造方法による写真転写シート用焼成工程の温度上昇特性図である。
【符号の説明】
1,2 温度上昇特性
3 貼付け部
4 コーティングカバー
S11 写真転写シート用焼成工程
Claims (1)
- 素地部材の表面にホーロー層を焼成し、その上に写真転写シートを貼付け、乾燥させて焼成させるホーロー部材の製造方法において、上記写真転写シートを貼付ける貼付け部を、白色のコーティングカバーを施して白色にした後、上記写真転写シートの焼成を、緩やかな温度上昇特性を持つ第一段階焼成と、常温に戻すことなくこの第一段階焼成に連続して上記第一段階焼成よりも急速で高い温度に上昇させる第二段階焼成とで行なうようにしたことを特徴とするホーロー部材の製造方法。
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|---|---|---|---|
| JP27309495A JP3645331B2 (ja) | 1995-10-20 | 1995-10-20 | ホーロー部材の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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| JP27309495A JP3645331B2 (ja) | 1995-10-20 | 1995-10-20 | ホーロー部材の製造方法 |
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| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH09111477A JPH09111477A (ja) | 1997-04-28 |
| JP3645331B2 true JP3645331B2 (ja) | 2005-05-11 |
Family
ID=17523065
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| JP27309495A Expired - Fee Related JP3645331B2 (ja) | 1995-10-20 | 1995-10-20 | ホーロー部材の製造方法 |
Country Status (1)
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|---|---|
| JP (1) | JP3645331B2 (ja) |
-
1995
- 1995-10-20 JP JP27309495A patent/JP3645331B2/ja not_active Expired - Fee Related
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| JPH09111477A (ja) | 1997-04-28 |
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