JP3661799B2 - 一方向クラッチの潤滑装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、例えば自動車の自動変速装置の一方向クラッチを潤滑するための装置、より詳しくは遠心力を利用して一方向クラッチの内部を十分に潤滑することのできる回転部材を備えた一方向クラッチの潤滑装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図7は自動車の自動変速機構内部の潤滑構造を示す一部断面図である。
この自動変速機構の中央部には入力軸1から各段における回転を最終的に取り出すカウンタドライブギヤ2が配置されている。該カウンタドライブギヤ2の内周はキャリヤ3とスプライン嵌合され、外周はトランスアクスルケ−ス4の円筒部4aに軸受5を介して回転自在に支持されている。そして該トランスアクスルケ−ス4の円筒部4aの外周面には一方向クラッチ6の内輪6bがスプライン嵌合されて固定状態に置かれ、該一方向クラッチ6の外輪6aはプラネタリギヤユニットのリングギヤ7と一体に回転するようになっている。8は前記リングギヤの外周とアクスルハウジング4との間に介在させたディスクブレ−キであってピストン9によりブレ−キの係合と解放が行われる。前記リングギヤ7の内周面には前記一方向クラッチ6を潤滑するための潤滑油送り込みプレ−ト10が圧入されており、潤滑油は前記入力軸1の油孔1a、中空軸11の油孔11a、キャリヤ3の油孔3a、カウンタドライブギヤ2の切欠を経て遠心力により送り出して飛散させ、該飛散させた潤滑油は前記潤滑油送り込みプレ−ト10により集められ前記一方向クラッチ6に導くと共に、該潤滑油送り込みプレ−ト10に付着した潤滑油は更に一方向クラッチ6内部に送り込む圧力を発生させている(特開昭63−275854号)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
自動変速装置内部での一方向クラッチ6の潤滑は、通常内輪6b側からの強制潤滑または内輪回転の遠心力により給油することによって行われる。しかし軌道径が大きく、特に内輪6bが固定されている場合は強制給油路を設けるのが難しく且つ内輪からの遠心力による給油は期待できない。その結果潤滑油不足となりエンドベアリング等に焼付等のトラブルが発生しやすい。
【0004】
従来の潤滑装置でも、図8に示すように、矢印Aのル−トで潤滑した場合、潤滑油送り込みプレ−ト10の回転によりP部分に油圧を発生させて給油させるが、長時間運転すると昇温によりエンドベアリング6cと内輪6bとの隙間が小さくなり、給油が困難となり、その結果焼付が発生する。即ち、エンドベアリング6cの材質は熱膨張係数が大きく薄いため熱変形量がおおきくエンドベアリング6cと内輪6bとの隙間が小さくなりやすい。
また、内輪6bに給油用の孔6eを設けた場合、空間Qが大きく開いているため油圧が発生しにくく該内輪6bの給油用の孔6eからの給油は難しい。
【0005】
この発明は上記する課題に着目してなされたものであり、内輪が固定されている場合でも簡単な装置で一方向クラッチへの潤滑油を十分に供給することが可能でエンドベアリング等の焼付を防止することのできる一方向クラッチの潤滑装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
即ち、この発明は上記する課題を解決するために、一方向クラッチの潤滑装置が、▲1▼外輪はリングギヤ等の回転部材に嵌着し内輪はトランスアクスルケ−ス等の固定部材に嵌着しこれら外輪と内輪との間に、前記リングギヤ等の回転部材が一方向に回転するとき回転を許容し他方向に回転しようとすると回転をロックする係合部材と保持器及びエンドベアリングを配置してなる一方向クラッチの該内輪に油孔を穿設すると共に、該内輪の内周側近傍に、円筒部材の周方向に外方凹部と外方凸部とを交互に形成してなるリング部材を歯車機構のキャリヤ或いはドライブギヤ等の回転部材に固定して配置し、前記リング部材の外方凸部に複数個の油孔を穿設したことを特徴とする。
或いはまた、▲2▼フランジ部材を前記歯車機構のリングギヤ或いは外輪の回転部材に固定して配置し、円筒部材の周方向に外方凹部と外方凸部とを交互に形成してなるリング部材が一方向クラッチの内輪内周側近傍に位置するよう、該リング部材の円筒部材端部を前記フランジ部材に固着したことを特徴とする。
【0007】
【作用】
一方向クラッチの潤滑装置を上記▲1▼及び▲2▼の手段とすると、いずれの場合でも、キャリヤ3と共にカウンタドライブギヤ2が回転すると、該キャリヤ3の側面に固着されたリング部材15も共に回転する。そして入力軸1の油孔1aや中間軸11の油孔11aそしてキャリヤ3及びカウンタドライブギヤ2に設けた油孔2bを通過した潤滑油は遠心力によりリング部材15の凸部15cに設けた油孔15dを通って隣の凹部15bに溜まるが、更に該リング部材15の遠心力により一方向クラッチ6の内輪6bに設けた油孔6jを通過して係合部材6d及びエンドベアリング6c等を潤滑する。
また、潤滑装置のリング部材15では、キャリヤ3及びカウンタドライブギヤ2が回転しないとき、自動変速機構内部において、上部の凹部15bには潤滑油が溜まっており且つ再始動の際キャリヤ3及びカウンタドライブギヤ2の回転による遠心力による飛散で直ちに該潤滑油は内輪6bの油孔6jを通り係合部材6dやエンドベアリング6c等の配置されている一方向クラッチ6内部を潤滑することができる。また、リング部材15の凹部15bはケ−ス下部に溜まっている潤滑油をくみ上げる作用を有するので迅速に潤滑油を供給することができる。
【0008】
【実施例】
以下、この発明の具体的実施例について図面を参照して説明する。
図1はこの発明の一方向クラッチの潤滑装置を取り付けた自動車の自動変速機構内部の一部断面図である。尚、重複を避けるため同一部品には従来技術で説明した同一の符号を用いて説明する。
エンジンから取り出される動力は入力軸1より変速機構を経て最終的にカウンタドライブギヤ2より取り出されるが、該カウンタドライブギヤ2に形成した円筒部2a内周側と遊星ギヤ12を装着したキャリヤ3の円筒部3b外周側とはスプライン嵌合させてある。プラネタリユニットのリングギヤ7には一方向クラッチ6の外輪6aが固定(この場合は溶接による固定)され、トランスアクスルケ−ス4には該一方向クラッチ6の内輪6bが軸受保持部材13と共にスプライン嵌合により固定されている。前記一方向クラッチ6の外輪6aと内輪6bとの間には、前記リングギヤ7が一方向に回転するときには回転を許容し他方向に回転しようとするとロックして回転不能とする係合部材(スプラグ)6dと該係合部材6dを保持する保持器6f及びこれらの係合部材6dと保持器6fの外側にはエンドベアリング6cが配置されている。従って、この一方向クラッチ6は外輪回転型のクラッチである。
【0009】
次に、15はリング部材であって図2の斜視図にも示すように、円筒部材15aの周方向に外方凹部15bと外方凸部15cとを交互に形成して製作される。該リング部材15は外周面が前記一方向クラッチ6の内輪6bの内径面近傍に位置するように円筒部材15aの端部をキャリヤ3の側面に固着してある。該リング部材15の凹部15bは後述するようにキャリヤ3の回転に伴い遠心力で飛散してくる潤滑油を溜めて保持するためのものである。また、該リング部材15の凸部15cには油孔15dが穿設され遠心力により飛散した潤滑油が内径側より該油孔15dを通過して隣の凹部15bに入って溜まるようにしてある。但し、該油孔15dは凸部15cのすべてに設ける必要はなく、所々複数個を設ければよい。前記一方向クラッチ6の内輪6bにはちょうど前記リング部材15の凹部15b或いは凸部15cの中央部が位置するように円周回りに数カ所(1箇所でも良い)油孔6jを設けてある。
【0010】
図3は図1のA−A矢視断面図、図4(A)は前記リング部材15の平面図である。該リング部材15はこのように円筒部材15aに凹部15bと凸部15cとを形成したものであるが、これらの凹部15bと凸部15cを金属板で製作する場合にはプレス加工等により、合成樹脂で製作する場合には射出成形により製作する。尚、リング部材15は図4(B)に示すように、凹部15bと凸部15cとは共に少し斜方向に形成し油孔15dは若干凹部15bに対して偏った位置に設けてもよい。
【0011】
この一方向クラッチの潤滑装置は以上のような構成からなり、キャリヤ3と共にカウンタドライブギヤ2が回転すると、該キャリヤ3の側面に固着されたリング部材15も共に回転する。そして入力軸1の油孔1aや中間軸11の油孔11aそしてキャリヤ3及びカウンタドライブギヤ2に設けた油孔2bを通過した潤滑油は遠心力によりリング部材15の凸部15cに設けた油孔15dを通って隣の凹部15bに溜まるが、更に該リング部材15の遠心力により一方向クラッチ6の内輪6bに設けた油孔6jを通過して係合部材6d及びエンドベアリング6c、6cを潤滑する。
【0012】
また、前記リング15部材では、前記キャリヤ3及びカウンタドライブギヤ2が回転しないとき、自動変速機構内部において、上部の凹部15bには潤滑油が溜まっており且つ再始動の際キャリヤ3及びカウンタドライブギヤ2の回転による遠心力による飛散で直ちに該潤滑油は内輪6bの油孔6jを通り係合部材6dやエンドベアリング6g等の配置されている一方向クラッチ6内部を潤滑することができる。また、リング部材15の凹部15bはトランスアクスルケ−ス4の下部に溜まっている潤滑油を汲み上げる作用を有するので迅速に潤滑油を供給することができる。
【0013】
図5はこの一方向クラッチの潤滑装置の変形実施例を備えた自動変速機構内部の一部断面図、図6はこの潤滑装置部分の拡大図である。
この実施例では、リング部材15は回転フランジ16に固着され、回転フランジ16の外径部16bはリングギヤ7に固定(固定方法はスプライン嵌合でも、圧入でも溶接でもよい)して配置してある。即ち、該リング部材15の円筒部材15aの端部を回転フランジ16の中間部に固着して一体回転するようにしてある。尚、該回転フランジ16の内径部16aはカウンタドライブギヤ2にメタル17を介して摺接されている。なお、回転フランジ16は外輪6aに固定するようにしてもよい。
【0014】
この変形実施例の一方向クラッチの潤滑装置では、リングギヤ7が回転すると、該リングゾギヤ7に固着された回転フランジ16及びリング部材15も共に回転する。そして入力軸1の油孔1aや中間軸11の油孔11aそしてキャリヤ3及びカウンタドライブギヤ2に設けた油孔2bを通過した潤滑油は遠心力によりリング部材15の凸部15cに設けた油孔15dを通って隣の凹部15bに溜まり、更に該リング部材15の遠心力により一方向クラッチ6の内輪6bに設けた油孔6jを通過して係合部材6d及びエンドベアリング6c等を潤滑する。この場合、一方向クラッチ6とリング部材15の回転数は同じになり、一方向クラッチの回転数に比例した潤滑油の供給が可能になる。
【0015】
【発明の効果】
以上詳述したようにこの発明の一方向クラッチの潤滑装置によれば、内輪固定型の一方向クラッチ内部を十分に潤滑し焼付を防止することができる。特に、リング部材の凹部でケ−ス下部に溜まっている潤滑油を速やかに汲み上げ内輪に設けた油孔を介して一方向クラッチ内部に潤滑油を供給することができる。また、この潤滑装置では回転部材を設けるだけで済むのでコスト的にも安価に製作することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一方向クラッチの潤滑装置を取り付けた自動車の自動変速機構内部の一部断面図である。
【図2】この発明の一方向クラッチの潤滑装置で用いるリング部材の斜視図である。
【図3】図1のA−A矢視断面図である。
【図4】図4(A)はこの発明の一方向クラッチの潤滑装置の回転部材の平面図であって凹部と凸部とを周方向に対して直角に設けた場合の実施例図であり、図4(B)は回転部材の凹部と凸部とを周方向に対して少し斜方向に形成し油孔も若干凹部凹部に対して偏った位置に設けた場合の実施例である。
【図5】この発明の一方向クラッチの潤滑装置の変形実施例を備えた自動変速機構内部の一部断面図である。
【図6】この発明の一方向クラッチの潤滑装置の変形実施例の潤滑装置部分の拡大図である。
【図7】従来の一方向クラッチの潤滑装置の変形実施例を備えた自動変速機構内部の一部断面図である。
【図8】従来の一方向クラッチの潤滑装置の潤滑装置部分の拡大図である。
【符号の説明】
1 入力軸
2 カウンタドライブギヤ
3 キャリヤ
4 トランスアクスルケ−ス
6 一方向クラッチ
6a 外輪
6b 内輪
6c エンドベアリング
6j 油孔
7 リングギヤ
15 リング部材
15a 円筒部材
15b 凹部
15c 凸部
15d 油孔

Claims (2)

  1. 外輪はリングギヤ等の回転部材に嵌着し内輪はトランスアクスルケ−ス等の固定部材に嵌着しこれら外輪と内輪との間に、前記リングギヤ等の回転部材が一方向に回転するとき回転を許容し他方向に回転しようとすると回転をロックする係合部材と保持器及びエンドベアリングを配置してなる一方向クラッチの該内輪に油孔を穿設すると共に、該内輪の内周側近傍に、円筒部材の周方向に外方凹部と外方凸部とを交互に形成してなるリング部材を歯車機構のキャリヤ或いはドライブギヤ等の回転部材に固定して配置し、前記リング部材の外方凸部に複数個の油孔を穿設したことを特徴とする一方向クラッチの潤滑装置。
  2. フランジ部材を歯車機構のリングギヤ或いは外輪の回転部材に固定して配置し、円筒部材の周方向に外方凹部と外方凸部とを交互に形成してなるリング部材が一方向クラッチの内輪内周側近傍に位置するよう、該リング部材の円筒部材端部を前記フランジ部材に固着したことを特徴とする請求項第1項記載の一方向クラッチの潤滑装置。
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