JP3663824B2 - 燃焼装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は燃料を燃焼させる燃焼装置および火炎の評価方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来この種の燃焼装置は、特開平6−101834号公報および特開平6−213432号公報などに記載されているようなものが一般的であった。これらの装置は図11に示されているようにフレームロッド1とバーナヘッド2を用いていた。また、フレームロッド1は図12(a)に示されているように電極の表面にミゾ1aが形成されていたり、同図(b)に示されているように電極の先端に補助ロッド1bが溶接されているなどの加工が施されていた。燃料は気化筒3においてヒータ4により気化され、ノズル5から噴出されると同時に空気と混合され、バーナーヘッド2の内部を通過し、複数の炎孔6を通過するときに着火し、火炎7を形成する。フレームロッド1はセラミックからなる絶縁体8を介し、取り付け金具9により固定台10に取り付けられ、先端は火炎7に接触するように配置されていた。さらにフレームロッド1とバーナヘッド2の間には電圧供給手段11として直流電圧電源および電流検出手段12として電流計が接続されていた。また、点火は点火手段13により行われ、例えば点火ロッド14をセラミックからなる絶縁体15を介し、取り付け金具16により固定台10に取り付け、交流電圧電源17で高電圧を印加することにより点火ロッド14の先端とバーナヘッド2の間に火花放電を発生させ点火するものが一般的であった。
【0003】
上記構成により、フレームロッド1とバーナヘッド2の間に一定の直流電圧を供給したときに流れる直流電流を検出し、その電流値から燃焼状態を判断し、燃焼制御手段18により燃焼を制御できるようになっていた。一般に燃焼火炎7中には熱電離により生じたイオンや電子が多く存在しており、フレームロッド1とバーナヘッド2の間に電圧を供給したときに電流が流れれば着火、流れなければ失火といった火炎7の有無を検知することができる。また電流は燃焼空気中の酸素濃度などの燃焼条件に大きく依存し、酸素濃度の低下により不完全燃焼になると電流は小さくなり、電流が予め設定したしきい値より小さくなったとき、燃焼制御手段17により不完全燃焼と判断し、換気を促すブザーやランプといった警報を発したり強制的に燃焼を停止させるなどの燃焼制御を行っていた。
【0004】
ところで燃焼空気中に整髪料などに含まれる有機シリコーンが存在しても燃焼自身は正常である。しかし、この燃焼中にフレームロッド1やバーナヘッド2の表面に絶縁性のシリコン酸化物被膜が形成され、フレームロッド1とバーナヘッド2の間に流れる電流が見掛け上小さくなるため正常燃焼であるにも関らず検知不良を起こす可能性がある。しかし、図12(a)のように表面にミゾ1aを設けた場合、ミゾ1aの内側には飛散している有機シリコーンが入り込まないのでシリコン酸化物被膜が形成されず、電流が減少しないとしている。また、同図(b)のように先端部に、フレームロッド1と熱膨張係数の異なる補助ロッド1bが溶接された場合、シリコン酸化物が形成されても、温度上昇したとき、両者の熱膨張係数の差に起因する微少な物理的形状変化のためにその表面に亀裂や付着シリコン酸化物の剥離が生じ、その部分が新たな導通部となり、電流は減少しないので安定して燃焼状態を検出することができるとしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の燃焼装置は、フレームロッド1に前述した加工を施し、耐シリコーン性を向上するとしているが、シリコン酸化物被膜の形成による電流の低下はフレームロッド1のみならず相対的に表面積が大きいバーナヘッド2にも大きく依存しているので、たとえフレームロッド1にシリコン酸化物が付着しなくても、バーヘッド2へのシリコン酸化物付着により電流は徐々に低下する。このため正常燃焼であるにもかかわらず、検知不良を起こし燃焼を強制的に停止させるなどの燃焼制御が誤って動作してしまうという課題を有していた。
【0006】
さらに、シリコン酸化物被膜の形成されたフレームロッド1やバーナヘッド2はその都度交換する必要があるので経済的でないという課題を有していた。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するために、燃料を燃焼させるバーナヘッドと、火炎により生成した荷電粒子と接触する電極手段と、前記バーナヘッドと前記電極手段の間に電圧を印加する電圧印加手段と、前記バーナヘッドと前記電極手段の間に流れる電流を検出する電流検出手段と、前記電極手段と前記バーナヘッドの間の荷電粒子の電位を検出する第1電位検出手段と、前記電位と異なる電位を検出する第2電位検出手段と、前記第1電位検出手段と前記第2電位検出手段の間の第1電位差V12を検出する第1電位差検出手段とを備え、前記火炎が前記バーナヘッド面より遊離するにつれて前記第1電位検出手段と前記第2電位検出手段の間の火炎インピーダンスが単調に増加する燃焼装置である。
【0008】
電極手段表面やバーナヘッド表面へのシリコン酸化物付着の有無にかかわらず、すなわち、電流の大小にかかわらず、第1電位検出手段と第2電位検出手段の間の火炎インピーダンスはほぼ一定である。本発明によれば、従来のように電流を用いるのではなくて、この火炎インピーダンスを用いているので、シリコン酸化物付着の影響を受けることなく、燃焼状態を検知できる。更に、酸欠燃焼などのときに火炎がバーナヘッド面より遊離したとき第1電位検出手段と第2電位検出手段の間の火炎インピーダンスが単調に増加するので、酸欠燃焼など異常燃焼を的確に検知できる。従って、シリコン酸化物付着に対して安定に動作できるのみならず、酸欠燃焼などに対しても燃焼停止などの的確な対応ができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明は、燃料を燃焼させるバーナヘッドと、火炎により生成した荷電粒子と接触する電極手段と、前記バーナヘッドと前記電極手段の間に電圧を印加する電圧印加手段と、前記バーナヘッドと前記電極手段の間に流れる電流を検出する電流検出手段と、前記電極手段と前記バーナヘッドの間の荷電粒子の電位を検出する第1電位検出手段と、前記電位と異なる電位を検出する第2電位検出手段と、前記第1電位検出手段と前記第2電位検出手段の間の第1電位差V12を検出する第1電位差検出手段とを備え、前記火炎が前記バーナヘッド面より遊離するにつれて、前記第1電位検出手段と前記第2電位検出手段の間の火炎 インピーダンスが単調に増加する燃焼装置である。
【0010】
電極手段表面やバーナヘッド表面へのシリコン酸化物付着の有無にかかわらず、すなわち、電流の大小にかかわらず、正常燃焼であれば、第1電位検出手段と前記第2電位検出手段の間の火炎インピーダンスは一定である。本発明によれば、従来のように電流を用いるのではなくて、この火炎インピーダンスを用いているので、シリコン酸化物付着の影響も小さくして、燃焼状態を検知できる。更に、酸欠燃焼などの異常燃焼のときに火炎がバーナヘッド面より遊離するにつれて、この火炎インピーダンスは単調に増加するので、酸欠燃焼など異常燃焼を的確に検知できる。
【0011】
また、火炎がバーナヘッド面より遊離したとき火炎が、バーナヘッドを除き、バーナヘッド電位と等しい電位面に接触しない燃焼装置である。
【0012】
バーナヘッド面より遊離した火炎が、バーナヘッドを除き、バーナヘッド電位と等しい等電位面に接触した場合、電極手段とバーナヘッド間の電位分布はこの等電位面の影響を受けて、火炎インピーダンスは小さくなる。火炎の遊離が大きくなるとこの傾向は一層助長される。初期の酸欠燃焼では、火炎はバーナヘッドから少ししか遊離せず、酸素濃度の低下と共に火炎インピーダンスは増加する。しかし、酸素濃度が更に低下すると火炎がバーナヘッド面より大きく遊離して、バーナヘッド電位と等しい等電位面に接触すると火炎インピーダンスは減少する。それ以降、この傾向は一層助長される。従って、火炎インピーダンスは酸素濃度に対して極大値を有する。これは、ある火炎インピーダンスに対して二つの酸素濃度が対応することになるので、好ましくない。本構成では、火炎がバーナヘッド面より遊離したとき火炎が、バーナヘッドを除き、バーナヘッド電位と等しい電位面に接触しないので、火炎インピーダンスは酸素濃度の低下に対して単調に増加する。従って、酸欠燃焼を的確に検知できる。
【0013】
また、保炎板が絶縁物である燃焼装置である。
種々のバーナ構成が構成が実用に供されているが、その一つにバーナヘッドの外周辺部に保炎板を備えたバーナ構成がある。この保炎板、バーナヘッドおよびそれらを固定する支持体は、通常、ステンレスなどの高耐熱性金属で構成さる。この場合、これらは電気的に同電位である。このようなバーナ構成では、火炎がバーナヘッド面より遊離したとき火炎が、バーナヘッドおよびバーナヘッド電位と等しい電位の保炎板に接触するので、前述した課題を生じる。本構成では、保炎板が絶縁物で構成されているので、前述下課題は生じない。従って、バーナヘッドの外周辺部に保炎板を備えたバーナ構成が可能である。
【0014】
また、火炎が鉛直方向に形成される燃焼装置である。
上述したバーナ構成以外にも、火炎が鉛直方向に形成されるバーナ構成がある。この場合、通常、保炎板を必要としないので、バーナヘッドやそれを固定する支持体が高耐熱性金属で構成されても、酸欠燃焼時などの異常燃焼のときに火炎がバーナ面から遊離しても、火炎はバーナヘッド以外に、バーナヘッド電位と等しい等電位面と接触しない。従って、火炎インピーダンスは酸素濃度の低下に対して単調に増加し、酸欠燃焼を的確に検知できる。
【0015】
また、第2電位検出手段とバーナヘッドの間の第2電位差V2bを検出する第2電位差検出手段を備え、第2電位検出手段とバーナヘッドの間の第2火炎インピーダンスが単調に増加する燃焼装置である。
【0016】
火炎が鉛直方向に形成されるバーナ構成では、シリコン酸化物がバーナヘッド表面および電極手段表面に形成されても第2火炎インピーダンスはほぼ一定である。他方、酸欠燃焼時にはこの第2火炎インピーダンスは単調に増加するので、酸欠燃焼を的確に検知できる。本構成では、第1火炎インピーダンスに加えて、第2火炎インピーダンスも利用できる。第1火炎インピーダンスも、また、第2火炎インピーダンスもシリコン酸化物付着に対して安定に動作できると共に酸欠燃焼などの異常燃焼に対しても的確に検知できる。従って、これら両インピーダンスを用いて燃焼検知することにより、どちらか一方のインピーダンスが異常値、例えば、断線によりインピーダンスが零になった場合でも、残りのインピーダンスにより燃焼検知できるので、燃焼検知の信頼性を向上できる。
【0017】
また、燃料を燃焼させるバーナヘッドと、鉛直方向に形成される火炎と、火炎により生成した荷電粒子と接触する電極手段と、バーナヘッドと電極手段の間に電圧を印加する電圧印加手段と、バーナヘッドと電極手段の間に流れる電流を検出する電流検出手段と、電極手段とバーナヘッドの間の荷電粒子の電位を検出する第1電位検出手段と、第1電位検出手段とバーナヘッドの間の第2電位差V1bを検出する第2電位差検出手段とを備え、火炎が前記バーナヘッド面より遊離したとき前記第1電位検出手段と前記バーナヘッドの間の第2火炎インピーダンスが単調に増加する燃焼装置である。
【0018】
火炎が鉛直方向に形成されるバーナ構成では、第2火炎インピーダンスがシリコン酸化物付着に対して安定に動作できると共に酸欠燃焼などの異常燃焼に対しても的確に検知できることは前述したとうりである。本構成では、電位検出手段が1個でよいので、構成の簡素化、低価格化が得られる。
【0019】
以下、本発明の実施例を図面に従い説明する。なお、従来例と同一部分には同一符号をつけ説明は省略する。また、気化筒3など本発明の必須要件でない部分は、図面で省略している。
【0020】
(実施例1)
図1は、本発明の実施例1の燃焼装置の構成を示す断面図である。一般的にガス状燃料に予め理論燃焼空気量以下の1次空気を混合した混合ガスを複数の炎孔6より噴出させて燃焼させたとき、炎孔6のごく近傍に可燃ガスと予混合された1次空気との燃焼反応による内炎7aが形成され、さらにこの内炎7aの外側に周囲からの2次空気との燃焼反応による外炎7bが形成される。内炎7aは明るく輝いて見え、外炎7bは透明に近い燃焼炎となりる。内炎7aと外炎7bとで全体の火炎7を形成している。この火炎7の中に荷電粒子(イオンと電子)が存在する。電極手段19の一方の端部は、火炎7により生成した荷電粒子と接触し、他端は電圧印加手段11や電流検出手段12を介してバーナヘッド6に接続されている。火炎7は、内炎7aと外炎7bとから構成され、内炎7aに多くの荷電粒子が存在するが、外炎7bにも少ない密度であるにしても荷電粒子は存在する。荷電粒子が無視できる程度に少ない場合、例えば、火炎7が存在しないとき、すなわち、燃焼が停止した状態では、電圧印加手段11により、(10〜20)Vの電圧を電極手段19とバーナヘッド2に印加しても、殆ど電流は流れない。しかし、正常燃焼状態で電極手段19を内炎7aから数mm離れた位置に配置しても、上記電圧を印加したとき、数μA以上の電流が流れる。このことは、内炎7aの近傍および外炎7bにも荷電粒子が存在することを示す。電極手段19とバーナヘッド2間に流れる電流は、例えば、一定の抵抗値を有する抵抗体の両端の電圧から求める電流検出手段12により検出される。もちろん、抵抗体の代わりに電流計を用いてもよい。
【0021】
第1電位検出手段20および第2電位検出手段21は、高耐熱性金属体で構成され、その一方の端部は荷電粒子と接触する位置に配置されている。第1電位検出手段20および第2電位検出手段21は、電極手段19と同様、絶縁セラミック8を介して固定台(図示なし)に取り付けられる。電極手段19とバーナヘッド2の間に電流が流れているとき、両者の間には電位勾配が存在し、電流は空間的に広がりをもって流れるので、荷電粒子の等電位面が、電流の流れ方向に対して直交して存在する。第1電位検出手段20および第2電位検出手段21のそれぞれに接触する等電位面が存在する。第1電位検出手段20および第2電位検出手段21は、導電性であるので、これらの電位は、接触する等電位面と同じ電位になる。荷電粒子と接触する電極手段19の端部表面やバーナヘッド2の表面にシリコン酸化物が形成された場合、このシリコン酸化物は絶縁性であるので、たとえ正常燃焼状態であっても、電流は当然減少する。しかし、電流は減少しても正常燃焼であれば、電極手段19とバーナヘッド2の間には、その電流値に対応した一定の電位勾配が存在し、また、等電位面も存在することは明らかである。
【0022】
電圧印加手段11を用いて種々の電圧を印加したとき、電極手段19とバーナヘッド2の間に流れる電流(Ifr)および第1電位差(V12)を測定し、横軸に電流(Ifr)、縦軸に第1電位差(V12)をプロットすると一定の傾きを有する直線が得られる。第1電位検出手段20に接触する等電位面と第2電位検出手段21に接触する等電位面の間の第1火炎インピーダンス(R12s)は、この傾きで定義される。この点は、後述する図6で詳述する。
【0023】
シリコン酸化物がバーナヘッド2の表面や電極手段19の表面に形成された場合、電流(Ifr)は減少し、第1電位差(V12)も電流の減少とともに減少するが、第1火炎インピーダンス(R12)は、ほぼ一定であるので、シリコン酸化物付着に対して安定して燃焼状態を検知できる。
【0024】
酸素不足状態での燃焼(酸欠燃焼)は、酸素不足そのものが健康に好ましくなく、また、燃焼にとっても火炎7がバーナヘッド2の表面から遊離する点で正常燃焼と異なり好ましくない。このため、酸素濃度が一定レベル以下になったときに、燃焼停止などの対応が求められる。本発明の第1火炎インピーダンス(R12)は、火炎7がバーナヘッド2の表面から遊離するにつれて、すなわち、酸素濃度が低下すると共に単調に増加するので、酸欠燃焼を的確に検知できる。
【0025】
(実施例2)
種々のバーナ構成が実用に供されいるが、その一つにバーナヘッド2の外周辺部に保炎板を備えたバーナ構成がある。このバーナ構成を用いたときの本発明の構成を図2に示す
バーナヘッド2は、支持体23に固定され、バーナヘッド2の外周部に保炎板24も支持体23に固定される。これらバーナヘッド2、支持体23および保炎板24は、通常、ステンレスなどの高耐熱性金属で構成される。従って、これらの電位は全て同じ電位である。保炎板24は、広い範囲にわたる燃焼量を確保するために設けられる。なお、電極手段19、第1電位検出手段20、第2電位検出手段21、第1電位差検出手段22、電圧印加手段11および電流検出手段12は図1と同様に配置される。
【0026】
締め切った小部屋で本構成の石油ファンヒータを燃焼して酸欠燃焼実験した。燃焼量2360kcal/hのときは、容積9.95m3、換気回数0.12回/hの小部屋を、燃焼量710kcal/hのときは、容積3.38m3、換気回数0.12回/hの小部屋を、それぞれ用いた。燃焼開始と共に室内酸素濃度は初期値約20.2%から徐々に低下し、前者の場合約80分経過後酸素濃度は約16%に、また、後者の場合約110分経過後酸素濃度は約16%に、それぞれ低下した。それぞれの時間経過の中で連続して、酸素濃度、電流(Ifr)、第1火炎抵抗(R12)を測定した。
【0027】
この測定で得られた酸素濃度ー電流(Ifr)特性を図3に、また、酸素濃度ー第1火炎抵抗(R12)特性を図4にそれぞれ示す。図3に示すように、酸素濃度の減少と共に燃焼量によらず電流(Ifr)も減少した。他方、図4に示すように、第1火炎抵抗(R12)の酸素濃度依存性は燃焼量に依存して異なる傾向を示した。すなわち、燃焼量が710kcal/hの場合、第1火炎抵抗(R12)は酸素濃度の低下と共に単調に増加した。しかし、燃焼量が2380kcal/hの場合、第1火炎抵抗(R12)は、酸素濃度が20.2%から約17%に低下するまで単調に増加したが、酸素濃度が約17%以下になると逆に減少した。このように酸素濃度約17%で第1火炎抵抗(R12)は極大値を示すので、例えば、第1火炎抵抗(R12)が25kΩに対応する酸素濃度は約16.5%と約17.4%の2点存在する。このように酸欠状態を検知する量が複数の酸素濃度に対応することは好ましくない。そのときの酸欠状態が、どの酸素濃度であるか特定できないからである。
【0028】
高燃焼量のときに第1火炎抵抗(R12)が極大値を示す理由は次のように考えられる。これら酸欠燃焼実験のときに火炎7を観察すると、火炎7は酸素濃度の低下と共にバーナヘッド2から遊離し、その長さも伸びることが観察された。燃焼量2380kcal/hの場合、内炎7aは酸素濃度20.2%のときには、バーナヘッド2のみに接触し、保炎板24には接触していないが、酸素濃度の低下と共にその先端部が伸びて、酸素濃度が約17%のときに、保炎板24に接触した。しかし、燃焼量710kcal/hの場合、内炎7aはもともと小さな火炎体積であるので、酸素濃度が低下して、その先端部が伸びても保炎板24に接触するまでには至らなかった。バーナヘッド2、支持体23および保炎板24は、高耐熱性金属で構成されているので、これらの電位は同じである。従って、第1火炎抵抗(R12)が酸素濃度約17%のときに極大値を示した原因は、火炎7がバーナヘッド2から遊離して、その先端部が伸びたときにバーナヘッド2の電位と等しい等電位面を有する保炎板24に接触したことに起因する。火炎7がバーナヘッド2から遊離したとき、火炎7がバーナヘッド2を除き、バーナヘッド2の電位と等しい等電位面に接触しないことが望ましく、この点で、石英などの保炎板24は絶縁物であることが好ましい。この点は実施例3でも詳述する。
【0029】
(実施例3)
図5は、本発明の実施例3の燃焼装置の構成を示す断面図である。火炎7が鉛直方向に形成されるバーナヘッド2が用いられる。燃料と空気の混合気体がバーナヘッド2の下面から供給され、バーナヘッド2の表面に火炎7が鉛直方向に形成される。図1や図2に示したバーナヘド7は、複数の炎孔6を有し、複数の火炎7が水平方向に形成されるが、本実施例のバーナヘッド2は多数個の小さな炎孔6(図示しない)が隣接した構成であるので、実質的に一つの炎孔であり、火炎7も一つである。なお、電極手段19、第1電位検出手段20および第2電位検出手段21はバーナヘッド2のほぼ中央部に配置され、図1と同じ作用を有する。また、第1電位差検出手段22、電圧印加手段11および電流検出手段12は、図1の構成と同じである。
【0030】
本構成の石油ファンヒータを燃焼量2400kcal/hで燃焼して、電圧印加手段11として直流電源を用いて、直流電源の電圧を種々の値に保持して、シリコン酸化物の付着の無い状態で、電極手段19とバーナヘッド2の間の電圧(Vfr)、そのときに流れる電流(Ifr)、第1電位差(V12)および第2電位差(V2b)を測定した。第1電位差(V12)は、第1電位検出手段19と第2電位検出手段20の間を1MΩの固定抵抗器と5μFのコンデンサの並列接続回路で短絡して測定した。また、第2電位検出手段20とバーナヘッド2の間も1MΩの固定抵抗器と5μFのコンデンサの並列接続回路で短絡した。なお、第1電位差(V12)の測定は、上記並列接続回路の1MΩの固定抵抗器の両端の電圧を測定することになるので、測定器の入力インピーダンスは10MΩ以上であれば充分である。従って、テスター程度の簡単な電圧計でも測定できる。測定器として、例えば、エレクトロメータのように1000MΩ以上の高入力インピーダンスを有する電圧計を用いるのであれば、1MΩ以上であっても何ら問題無い。
【0031】
その結果得られたIfr−V12特性を図6に、Ifr−V2b特性を図7に示す。これらの図では、比較のために、図1のバーナ構成における特性も同時に示している。なお、電流(Ifr)は電圧(Vfr)の増加に対して直線的に増加しなかった。これは、電極手段19とバーナヘッド2の間のインピーダンスがオーミックでなく、電流(Ifr)が電圧依存性を有することを示す。他方、図6や図7に示すように、第1電位差(V12)および第2電位差(V2b)は、電流(Ifr)の増加に対してほぼ直線的に増加した。第1電位差(V12)は、前述したように、第1電位検出手段19に接する等電位面と第2電位検出手段20に接する等電位面の間の電位差であることを考慮すると、第1電位差(V12)の直線的増加は、両等電位面間がほぼオーミックであることを暗示している。このことは、第2電位差(V2b)でも同様である。
【0032】
図6に示した実線は、I fr−V12特性を直線回帰して求めた直線で、その回帰式は、例えば、図5の構成の場合、V12=−0.177+0.0179*Ifrである。図1の構成の場合も、同様にして直線回帰式から求めた実線が示されている。図7でも同様である。図6の直線回帰式は、一般的に下式で示される。
【0033】
12=V120+R12d*Ifr ・・・・・(1)
ただし、[V12]=[V120]=V、[R12]=MΩ、[Ifr]=μA、また、V120を第1切片電位差、R12dを第1火炎インピーダンスと定義する。第1火炎インピーダンス(R12d)は、第1電位検出手段19に接する等電位面と第2電位検出手段20に接する等電位面の間の火炎インピーダンスに対応すると言える。
【0034】
図7の直線回帰式も式(1)と同様、一般的に下式で示される。
2b=V2b0+R2bd*Ifr ・・・・・(2)
ただし、[V2b]=[V2b0]=V、[R2b]=MΩ、[Ifr]=μA、また、V2b0を第1切片電位差、R2bdを第2火炎インピーダンスと定義する。この第2火炎インピーダンス(R2bd)は、第2電位差検出手段(図示しない)を備えることにより、第1火炎インピーダンス(R12d)と同様、容易に求められる。図6、図7あるいは式(1)に示したように、Ifr−V12特性およびIfr−V2b特性は直線関係にあるが、その直線は原点を通過しない。この詳細な原因は明確でないが、燃焼プラズマのプラズマ電位が関与していると考えられる。
【0035】
図6や図7から明らかなように、図5の構成、すなわち、火炎7が鉛直方向に形成される構成では、第1および第2動的火炎抵抗(R12dおよびR2bd)とも、図1の構成のそれらと比較すると3倍以上大きな値を有する。両動的火炎抵抗とも大きい方が、電流(Ifr)変化に対する電位差変化も大きくなる点で、言い換えると、電流(Ifr)に対して高感度である点で優れている。このように両動的火炎抵抗とも大きいことは、図5の構成の特有の効果である。
【0036】
図3および図4の場合と同様にして、締め切った小部屋で本構成(図5)の石油ファンヒータを燃焼して酸欠燃焼実験した。燃焼量は2200kcal/h一定で、容積9.95m3、換気回数0.12回/hの小部屋を用いた。燃焼開始と共に室内酸素濃度は初期値約20.2%から徐々に低下し、約100分経過後酸素濃度は約15%に低下した。時間経過の中で連続して、酸素濃度、電流(Ifr)、第1火炎抵抗(R12)および第2火炎抵抗(R2b)を測定した。
【0037】
この測定で得られた電流(Ifr)および第1火炎抵抗(R12)の酸素濃度依存性を図8に、また、電流(Ifr)および第2火炎抵抗(R2b)の酸素濃度依存性を図9にそれぞれ示す。図8に示すように、電流(Ifr)は図3のときと同様酸素濃度の低下と共に減少した。しかし、燃焼量2200kcal/hは、図4の場合(2380kcal/h)と同程度であるにもかかわらず、第1火炎抵抗(R12)は酸素濃度が約15%にまで低下しても単調に大きく増加した。図5の構成は、図2の構成と異なり、保炎板24を必要としないので、バーナヘッド2の外周辺部にはバーナヘッド2の電位と等しい等電位面が存在しない。。従って、火炎7が、酸素濃度の低下と共にバーナヘッド2から遊離して、その先端部が伸びても、バーナヘッド2の電位と等しい等電位面と接触できない。このために第1火炎抵抗(R12)は単調に増加したと考えられる。
【0038】
図9から明らかなように、第2火炎抵抗(R2b)も酸素濃度の低下に対して第1火炎抵抗(R12)と同様の傾向を示した。なお、図9の電流(Ifr)のデータは、図8のそれと同じである。図2の構成でも第2火炎抵抗(R2b)について同じ測定をしたが、図4と同様の傾向を示した。第2火炎抵抗(R2b)の場合も、第1火炎抵抗(R12)の場合のときと同じ現象に支配されていると考えられる。
【0039】
本構成では、第1火炎インピーダンスに加えて、第2火炎インピーダンスも利用できる。第1火炎インピーダンスも、また、第2火炎インピーダンスもシリコン酸化物付着に対して安定に動作できると共に酸欠燃焼などの異常燃焼に対しても的確に検知できる。従って、これら両インピーダンスを用いて燃焼検知することにより、どちらか一方のインピーダンスが異常値、例えば、断線によりインピーダンスが零になった場合でも、残りのインピーダンスにより燃焼検知できるので、燃焼検知の信頼性を向上できる。
【0040】
次に、図5の構成のシリコン酸化物付着に対する安定性について詳述する。
図5の構成を有する石油ファンヒータを用いて、200ppm(重量比)のシリコーン油を添加した灯油燃焼中で、燃焼量を2200kcal/hとして、第1電位検出手段20と第2電位検出手段21の間の第1電位差(V12)、第2電位検出手段21とバーナーヘッド2の間の第2電位差(V2b)およびそのときに流れる電流(Ifr)の燃焼時間経過に対する変化を測定した。電圧印加手段11の電圧はDC24V(一定)とした。
【0041】
ここで、式(3)に示すように、平均火炎インピーダンス(Rfr)を定義する。
【0042】
fr=Vfr/Ifr ・・・・・(3)
平均火炎インピーダンス(Rfr)、第1火炎インピーダンス(R12)および第2火炎インピーダンス(R2b)について、それぞれの初期値に対する割合をの焼経過時間依存性を図10に示す。
【0043】
図10から明らかなように、平均火炎インピーダンス(Rfr)は、シリコン酸化物の付着により約450分経過後、初期値の約2倍に増加した。これは電流(Ifr)が約1/2に低下したことと等価である。他方、第1火炎インピーダンス(R12)および第2火炎インピーダンス(R2b)ともに初期的に約30%低下したが、同じ経過時間後、初期値に対して約20%以下の増加であり、シリコン酸化物付着に対しても安定して動作できることは明らかである。シリコン酸化物付着に対する安定性は、図1の構成でも確認されている。第1火炎インピーダンス(R12)は図10と同様の安定性を示したが、第2火炎インピーダンス(R2b)はシリコン酸化物付着と共に増加する結果を示した。図1および図5のバーナ構成における第2火炎インピーダンス(R2b)のシリコン酸化物付着に対する安定性の相違は、詳細には不明であるが、図5の構成の場合電流(Ifr)の流れる有効バーナ表面積が大きいことに起因すると考えられる。このように、第2火炎インピーダンス(R2b)がシリコン酸化物付着に対して安定であることは、図5のバーナ構成における特有の効果である。
【0044】
図9や図10に示した第2火炎インピーダンス(R2b)に関する結果は、図5の構成において電位検出手段が一個でも、シリコン酸化物付着に対しても安定して動作できると共に酸欠燃焼に対しても的確に対応できることを示している。すなわち、図5の構成では、第1電位検出手段20と第2電位検出手段21の2個の電位検出手段を用いたが、第1電位検出手段20のみを用いて、この第1電位検出手段20とバーナヘッド2の間の第2電位差(V1b)を検出する第2電位差検出手段手段を備え、式(2)に従って求められる第2火炎インピーダンス(R 1bd)のみを用いることにより、シリコン酸化物付着に対しても安定して動作できると共に酸欠燃焼に対しても的確に対応できる。この第2火炎インピーダンス(R1bd)と前述した第2火炎インピーダンス(R2bd)は、全く等価であるからである。この場合は、構成が簡素であるので、低価格化が得られる。
【0045】
なお、電極手段19、第1電位検出手段20や第2電位検出手段21の形状は、図中では線状もしくは棒状で示したが、例えば、必要に応じてU字型、L字型など湾曲していてもよいことも明らかである。
【0046】
また、燃焼は、燃料タンクから補給される液体燃料を用いた燃焼について述べてきたが、気体燃料を用いた燃焼でもよいことも明らかである。
【0047】
【発明の効果】
以上のように本発明の燃焼装置によれば次の効果が得られる。
【0048】
(1)第1電位検出手段と第2電位検出手段のそれぞれに接触する等電位面間の第1火炎インピーダンスを用い、火炎がバーナヘッドから遊離するにつれてこの第1火炎インピーダンスは単調に増加するので、電極手段表面やバナヘッド表面へのシリコン酸化物付着の有無にかかわらず、すなわち、電流の大小にかかわらず、燃焼状態を検知できると共に酸欠燃焼に対しても的確に対応できる。
【0049】
(2)また、酸欠燃焼などにより火炎がバーナヘッドから遊離したとき、火炎がバーナヘッド電位と等しい等電位面に接触しないので、火炎がバーナヘッドから遊離するにつれて第1火炎インピーダンスは単調に増加する。従って、酸欠燃焼に対しても的確に対応できる。
【0050】
(3)また、バーナヘッドの外周辺部に保炎板を配置したバーナ構成において、保炎板が絶縁物で構成されているので、火炎がバーナヘッドから遊離するにつれて第1火炎インピーダンスは単調に増加する。従って、酸欠燃焼に対しても的確に対応できる。
【0051】
(4)また、火炎が鉛直方向に形成されるバーナ構成であるので、保炎板を必要としないので、バーナヘッドやそれを固定する支持体が高耐熱性金属で構成されても、酸欠燃焼時などの異常燃焼のときに火炎がバーナ面から遊離しても、火炎はバーナヘッド以外に、バーナヘッド電位と等しい等電位面と接触しない。従って、火炎インピーダンスは酸素濃度の低下に対して単調に増加し、酸欠燃焼を的確に検知できる。更に、このバーナ構成では、第1火炎インピーダンスも第2火炎インピーダンスも大きいという特有の効果も得られる。
【0052】
(5)また、火炎が鉛直方向に形成されるバーナ構成において、第2電位検出手段とバーナヘッドの間の第2電位差V2bを検出する第2電位差検出手段を備え、第2電位検出手段とバーナヘッドの間の第2火炎インピーダンスも用いることができるので、第1火炎インピーダンスに加えて、第2火炎インピーダンスも利用できる。第1火炎インピーダンスも、また、第2火炎インピーダンスもシリコン酸化物付着に対して安定に動作できると共に酸欠燃焼などの異常燃焼に対しても的確に検知できる。従って、これら両インピーダンスを用いて燃焼検知することにより、どちらか一方のインピーダンスが異常値、例えば、断線によりインピーダンスが零になった場合でも、残りのインピーダンスにより燃焼検知できるので、燃焼検知の信頼性を向上できる。第2火炎インピーダンスもシリコン酸化物付着に対して安定に動作できることは、このバーナ構成の特有の効果である。
【0053】
(6)また、前述した第2火炎インピーダンス(R2bd)と全く等価である第2火炎インピーダンス(R1bd)のみを用いることができるので、構成を簡素化し、低価格化が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の燃焼装置の要部断面図
【図2】本発明の実施例2の燃焼装置の要部断面図
【図3】同燃焼装置におけるIfr−酸素濃度特性図
【図4】同燃焼装置におけるR12d−酸素濃度特性図
【図5】本発明の実施例3の燃焼装置の構成図
【図6】同燃焼装置におけるV12−Ifr特性図
【図7】実施例3におけるV2b−Ifr特性図
【図8】同燃焼装置におけるR12d−酸素濃度特性図
【図9】同燃焼装置におけるR2bd−酸素濃度特性図
【図10】同燃焼装置を用いたときの200ppmシリコーン油添加灯油燃焼火炎中における初期値に対する割合の経過時間変化特性図
【図11】従来の燃焼装置の要部断面図
【図12】(a)従来の燃焼装置の要部構成図
(b)従来の燃焼装置の要部構成図
【符号の説明】
2 バーナヘッド
7 火炎
11 電圧印加手段
12 電流検出手段
19 電極手段
20 第1電位検出手段
21 第2電位検出手段
22 第1電位差検出手段
23 支持体
24 保炎板

Claims (6)

  1. 燃料を燃焼させるバーナヘッドと、火炎により生成した荷電粒子と接触する電極手段と、前記バーナヘッドと前記電極手段の間に電圧を印加する電圧印加手段と、前記バーナヘッドと前記電極手段の間に流れる電流を検出する電流検出手段と、前記電極手段と前記バーナヘッドの間の荷電粒子の電位を検出する第1電位検出手段と、前記電位と異なる電位を検出する第2電位検出手段と、前記第1電位検出手段と前記第2電位検出手段の間の第1電位差V12を検出する第1電位差検出手段とを備え、前記火炎が前記バーナヘッド面より遊離するにつれて前記第1電位検出手段と前記第2電位検出手段の間の第1火炎インピーダンスが単調に増加する燃焼装置。
  2. 火炎がバーナヘッド面より遊離したとき火炎が、バーナヘッドを除き、バーナヘッド電位と等しい等電位面に接触しない請求項1記載の燃焼装置。
  3. 保炎板が絶縁物である請求項2記載の燃焼装置。
  4. 火炎が鉛直方向に形成される請求項1記載の燃焼装置。
  5. 第2電位検出手段とバーナヘッドの間の第2電位差V2bを検出する第2電位差検出手段を備え、第2電位検出手段とバーナヘッドの間の第2火炎インピーダンスが単調に増加する請求項4記載の燃焼装置。
  6. 燃料を燃焼させるバーナヘッドと、鉛直方向に形成される火炎と、火炎により生成した荷電粒子と接触する電極手段と、前記バーナヘッドと前記電極手段の間に電圧を印加する電圧印加手段と、前記バーナヘッドと前記電極手段の間に流れる電流を検出する電流検出手段と、前記電極手段と前記バーナヘッドの間の荷電粒子の電位を検出する第1電位検出手段と、前記第1電位検出手段と前記バーナヘッドの間の第2電位差V1bを検出する第2電位差検出手段とを備え、前記火炎が前記バーナヘッド面より遊離するにつれて前記第1電位検出手段と前記バーナヘッドの間の第2火炎インピーダンスが単調に増加する燃焼装置。
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