JP3676533B2 - 摺動ドクター装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、抄紙機ロール等のロールの外周面にドクターブレードを圧接することにより当該外周面から紙滓等の異物を除去するドクター装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ドクター装置は、製紙業等のように製造あるいは加工工程においてロールが使用される分野で広範に利用されている。例えば、抄紙機ロールの表面に付着した紙滓等の異物を除去するためにドクター装置が用いられている。
【0003】
ドクター装置は、対象となるロールの外周面全幅(軸線方向の長さ)に渡る長さのドクターブレードを備えている。このドクターブレードの刃先を、適切な圧接力で回転するロールの外周面に押し付けることにより、ロールの外周面から異物をかき落とすことができる。
【0004】
異物のかき落とし動作(ドクターリング)を適切に行なうためには、ドクターブレードの刃先を、その全幅に渡って、均一な圧接力でロールの外周面に押し付けた状態を形成する必要がある。しかし、ロール表面は平坦ではなく僅かではあるが凹凸がある。また、ドクターブレードの刃先の側にも製造誤差がある。
【0005】
このために、ドクターブレードの刃先の或る部分では圧接力が高過ぎ、他の部分では、圧接力が低く過ぎる場合が発生する。この場合には、圧接力が高過ぎる部分では、ドクターブレードの刃先の摩耗が激しくなってしまう。逆に、圧接力が低く過ぎる部分では、異物が十分にかき落とされずにロール外周面に残ってしまう。
【0006】
一方、長いロールのドクタリングを行なうためには、ロール幅に応じた長いドクターブレードを用いる必要がある。この場合、全体として、大きな力でドクターブレードをロールに対して押し付けないと、必要とされる圧接力を得ることができないことがある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このように、一般的に使用されているドクター装置では、ドクターブレードの圧接力を適切な状態に設定することが困難な場合がある。
【0008】
本発明の課題は、ドクターブレードの刃先を常に適切な状態でロールの外周面に圧接させ、常に適正な異物かき取り動作を行なうことの可能なドクター装置を提案することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明では、ドクターブレードとして、対象となるロールの幅(軸線方向の長さ)よりも十分に狭い幅のものを用意し、この狭い幅のドクターブレードをロール外周面に圧接させた状態でロール軸線方向に摺動させながら異物のかき落としを行なう構成を採用している。すなわち、ドクターブレードをロールの軸線方向に移動させることにより、当該軸線方向における異なる位置において当該ロールの外周面から異物を除去するようにしている。
【0010】
また、ドクターブレードの幅は、対象となるロールの軸線方向の長さの半分以下としている。最も一般的な場合には、ドクターブレードの幅は、50mmから500mmの範囲に設定される。さらに、好適な実施の形態では、100mmに設定される。
【0011】
このように、本発明では、ドクターブレードをロール軸線方向に摺動させながらロール外周面から異物をかき落とすようにしている。したがって、ドクターブレードはロール幅に比べて狭い幅のものを使用することができる。この結果、ドクターブレードの刃先の全ての部分を適切な圧接力でロール外周面に圧接した状態を形成することが簡単になる。また、ドクターブレードの幅が狭いので、全体として大きな力でドクターブレードをロールに押し付けなくとも、必要な圧接力を発生させることができる。
【0012】
さらに、本願発明は、ドクターブレードの刃先に流体を吹き付けることにより、当該ドクターブレードの刃先に付着している異物を除去する構成を採用している。この構成を採用すれば、ドクターブレードの刃先に異物が付着してかき落とし動作が適切に行なわれなくなってしまうという弊害を回避できる。
【0013】
ここで、前記ドクターブレードを前記ロールの軸線方向に向けて異なる速度で移動可能な構成を採用してもよい。この構成を採用すれば、ロール外周面のうち、異物が付着しやすい部分が他の部分よりもドクターブレードの刃先に接触している時間を長くすることができる。したがって、ロール外周面のうちの特定の部分のみのかき落とし動作を十分に行なうことができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0015】
図1ないし図3には、本発明を抄紙機用のロール外周面をドクターリングするためのドクター装置に適用した例を示してある。
【0016】
これらの図に示すように、ドクター装置1は、両側の支持用のフレーム21、22と、これらのフレーム21、22によって回転可能に支持されているドクターバッグ3と、このドクターバック3によって支持されている直線スライド機構4と、この直線スライド機構4によって直線往復移動が可能な状態で支持されているブレードホルダー5と、このブレードホルダー5によって保持されているドクターブレード6を有している。
【0017】
上記の各部分の構成を詳しく説明する。まず、ドクターバック3は、その両端に支軸31、32を備えており、これらの支軸31、32がそれぞれフレーム21、22の側の軸受けによって回転可能に支持されている。このドクターバック3によって支持されている直線スライド機構4は、例えば、THK株式会社製のベルト式のLMガイドである。
【0018】
この直線スライド機構4は、ドクターバッグ3に取り付けたベース41と、このベース41に形成した前後の直線スライドレール42、43と、これら直線スライドレール42、43に沿って直線往復移動するスライドテーブル44を備えている。スライドテーブル44は、その裏面が、駆動用ベルト45に連結されている。駆動用ベルト45は、一方の端の側の駆動プーリー46と、他方の端側の従動プーリー47の間に架け渡されて、スライドレール42、43と平行に延びている。駆動プーリー46は、駆動源であるACサーボモータ48の出力軸に固着されている。モータ48を駆動すると、スライドテーブル44は駆動用ベルト45によってレール42、43に沿って直線移動する。モータ48を逆転すれば、反対方向に直線移動する。
【0019】
このスライドテーブル44の上にはブレードホルダー5が取付けられている。ブレードホルダー5は、トッププレート51と、このトッププレート51の裏面側に取り付けた多数のフィンガ52を備えている。これらの部材51、52の先端側の部分の間に、ドクターブレード6の元端側の部分が抜き差し可能な状態で挟まれて保持されている。各フィンガ52は、その中心部分にロッド53が貫通している。ロッド53の両端は、回転可能な状態で、スライドテーブル44の側に支持されている。
【0020】
ここで、フィンガ52の裏面とスライトデーブル44の間に隙間が形成されており、ロッド53を挟み、前側(すなわちロール10の側)には小さい隙間が形成され、後ろ側には大きな隙間が形成されている。これらの隙間には、小径エアーチューブ54、大径エアーチューブ55がそれぞれ装着されている。これらのチューブ54、55に供給する空気量を調整することにより、ロッド53を中心として、ドクターブレード6を、ロール外周面10aに圧接した圧接状態と、そこから離れた開放状態とに切り換えることができる。すなわち、後ろ側の大径のチューブ55を膨張させ、小径のチューブ54を収縮させることにより、ドクターブレード6の刃先6aのロール外周面10aに対する圧接力を増加させることができる。逆に、小径のチューブ54を膨張させ、大径のチューブ55を収縮させることにより、ドクターブレードの圧接力を減少させることができる。さらには、ドクターブレード6をロール外周面から離れた開放状態ににすることもできる(図においてはこの状態を想像線で示してある。)。
【0021】
次に、図2を参照して、上記の各部分の長さ、移動範囲について説明する。図に示すように、ロール10の面長(軸線方向の長さ)をL10とする。直線スライド機構4を支持しているドクターバック3の長さL3は、このロール面長L10よりも十分に長くなるように設定される。この結果、直線スライド機構4のスライドテーブル44の移動範囲は、ロール面長L10よりも広くなるように設定できる。
【0022】
本例では、ブレードホルダー5の長さL5を例えば120mmに設定してあり、ここの保持されているドクターブレード6の長さL6を例えば100mmに設定してある。ドクターブレード6がロール外周面の一方の端から他方の端まで摺動できるようにするために、すなわち、図2において、実線で示す一方の端から想像線で示す他方の端まで移動できるように、ブレード移動量Lは、ロール面長L10よりも左右50mmだけ少なくなるように設定されている。
【0023】
なお、ドクターブレード6の移動範囲をこのように制御するためには、移動範囲を規定するためのリミットスイッチ等を配置しておき、これらのリミットスイッチの出力信号に基づき、モータ48を制御すればよい。図2においてモータ48には、その制御基盤の部分に、電源用リード線48bと共に、リミットスイッチ等からの信号が伝送される検出器用ケーブル48cが接続されている。
【0024】
このように構成した本例のドクター装置1においては、ドクターブレード6を回転するロール10の表面10Aに適切な圧接力で押し付け、モータ48によってドクターブレード6を保持しているブレードホルダー5をロール軸線方向に向けて往復移動させる。この結果、ドクターブレード6は、ロール外周面10Aに沿ってその軸線方向に向けて摺動しながら、当該ロール外周面10Aのドクタリングを行なう。
【0025】
本例のドクターブレード6の幅は狭いので、ロール外周面10Aに対する圧接力の調整を簡単に行なうことができる。また、モータ48として回転速度が可変のものを使用すれば、ドクターブレード6の摺動速度を変化させることができる。このようにすれば、ロール外周面10Aのうち、紙滓等の異物が付着しやすい部分のドクタリングは摺動速度を遅くして十分に行い、それ以外の部分は摺動速度を速くして行なうことにより、効率の良いドクタリングを実現できる。
【0026】
また、本発明では、図1において想像線で示すように、移動するブレードホルダー5を覆う状態にカバー11を当該ブレードホルダー5に取付け、その内側に、薬液あるいは空気をドクターブレード6の刃先部分に吹きつけ可能なノズル12を取り付けておくこの構成を採用すれば、ドクターブレード6の刃先にかき落とされた紙滓等の異物が堆積しても、それらを、効率良く外部に排出できるので好ましい。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のドクター装置は、幅の狭いドクターブレードをロール外周面に圧接した状態でその軸線方向に摺動させて、当該ロール外周面のドクタリングを行なうように構成されている。したがって、従来において使用されているロール幅と同一の幅のドクターブレードを使用する構成のドクター装置に比べて、ドクターブレードの圧接力の調整を簡単に行なうことができる。また、ドクターブレードの刃先に十分な圧接力を加えることができる。さらには、ロール幅が異なるロールに対しては、ドクターブレードの移動範囲を変更するのみで、簡単に対処することができるので、ロール幅に対応したドクターブレードを使用する必要も無くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したドクター装置の例を示す概略構成図である。
【図2】図1のドクター装置における各部分の長さ関係およびドクターブレードの移動範囲を説明するための説明図である。
【図3】図1のドクター装置におけるドクターブレードおよびブレードホルダーの部分を拡大して示す部分拡大図である。
【符号の説明】
1 ドクター装置
3 ドクターバック
4 直線スライド機構
5 ブレードホルダー
6 ドクターブレード
10 ロール
10A ロール外周面
10a ロールの軸線

Claims (4)

  1. ロールの外周面に対して一定の幅のドクターブレードを押し付けることにより、当該外周面に付着している異物を除去するためのドクター装置であって、前記ドクターブレードを前記ロールの外周面に沿ってその軸線方向に移動させることにより、当該軸線方向における異なる位置において当該ロールの外周面から異物の除去を行ない、
    前記ドクターブレードの幅は、対象となるロールの軸線方向の長さの半分以下となるように設定されており、
    前記ドクターブレードの刃先に流体を吹き付けることにより、当該ドクターブレードの刃先に付着している異物を除去することを特徴とする摺動ドクター装置。
  2. 請求項1において、前記ドクターブレードの幅は50mmから500mmの範囲内であることを特徴とする摺動ドクター装置。
  3. 請求項2において、前記ドクターブレードの幅は100mmであることを特徴とする摺動ドクター装置。
  4. 請求項1において、前記ドクターブレードを前記ロールの軸線方向に向けて異なる速度で移動可能となっていることを特徴とする摺動ドクター装置。
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