JP3700178B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
本発明はパーフルオロ系重合体と液晶ポリエステルとを混合してえられるブレンド物において互いの分散性および界面接着性を改善した熱可塑性樹脂組成物に関する。さらに詳しくはパーフルオロ系重合体の分子鎖末端にメチロール基を導入した重合体と液晶ポリエステルとを混合してえられるブレンド物からなる熱可塑性樹脂組成物に関する。
背景技術
パーフルオロ系フッ素樹脂(たとえばPTFE、FEP、PFAなど)は、使用できる温度範囲が広く、耐薬品性、耐アルカリ性、耐酸性、耐水性、耐候性、耐食性、耐摩耗性、電気絶縁性などが優れているのでパイプ、バルブ、ポンプなどのライニング材、フレキシブルチューブ、フィルム、ウェハーバスケット、ポンプインペラー、機械部品、化学実験器具など種々の用途に使用されている。
しかし、機械的特性、荷重たわみ温度で示される物理的耐熱性、線膨張係数で示される寸法安定性、成形性などに劣ることが多い。
とくに線膨張係数が大きいため、温度変化の激しい条件下または高温領域で使用すると熱的に変化するばあいがある。したがって前記フッ素樹脂からなる成形体は、エレクトロニクス分野において高精度が要求される部品、化学装置に使用されるパイプやライニング材に応用することは困難である。
成形体の機械的強度、荷重たわみ温度、寸法安定性を改善するために、フッ素樹脂に炭素繊維、ガラス繊維などの無機フィラーを配合することが試みられているが、フッ素樹脂との分散性や界面接着性などの親和性がわるいため充分な効果がえられず、逆に、成形性、フッ素樹脂が有している優れた表面特性(非粘着性、低摩擦性など)を低下させたり、またリサイクルするとき、前記フィラーが切断されやすくリサイクルを繰り返すことにより強度低下を引き起こす。
また、フッ素樹脂のこれらの欠点を非フッ素系耐熱性熱可塑性樹脂との複合化により改善する試みが盛んに行なわれており、そのなかでも異方性溶融相を形成する芳香族ポリエステル、すなわち液晶性の芳香族ポリエステル(以下、液晶ポリエステルと略す)との複合化について報告されている。
たとえば特開平1−165647号公報、特開平2−110156号公報では、PVDFなどの含フッ素ポリマーの耐候性、耐薬品性、耐摩耗性、耐汚染性を損なわずに線膨張係数を低下させ、さらに機械的特性、成形加工性を改良する目的で、たとえば前記液晶ポリエステルなどを添加する試みが行なわれている。液晶ポリマーとPTFEとのブレンドは、たとえば特公平4−5693号公報、特開昭63−230756号公報などがある。
しかし、含フッ素ポリマーは表面エネルギーが小さいため、一般にほかの材料との親和性がわるいという問題がある。そのため、フッ素樹脂と液晶ポリエステルとを溶融ブレンドすると相分離が生じ、その界面接着性は実質的にないに等しく、界面の剥離が起きやすいとともにブレンドするときに液晶ポリエステルがフッ素樹脂中に分散しにくく、凝集を起こして添加した効果を充分に発揮することが困難である。
異種ポリマー同士の親和性を向上させるため、第3成分としていわゆる相溶化剤を添加して前記の欠点を改善する試みが行なわれている。
たとえば特開平1−165647号公報の請求項2、特開平1−197551号公報および特開平1−263144号公報などではPVDFと異方性溶融相形成性ポリマーとのブレンドに対して、それぞれアクリルポリマー、ポリ酢酸ビニルおよびポリビニルメチルケトンの添加が単純ブレンドよりも効果的であることが述べられている。
しかしこれらは実質上、PVDFとアクリルポリマーのようなカルボニル基含有ポリマーとの親和性が優れることを利用して合成された非フッ素系相溶化剤を用いる例であり、含フッ素ポリマーがPVDFに限定される。またこのような相溶化剤を用いた親和性の改良方法では、相溶化剤自身の耐薬品性や耐熱性が主成分のポリマーよりも劣るため、成形品の物性が低下するという問題がある。
つまりパーフルオロ系フッ素樹脂と液晶ポリエステルとのブレンドに際して充分効果的な相溶化剤となりうるものはえられていない。
本発明の目的は、上記従来の問題点を解決し、パーフルオロ系フッ素樹脂の優れた耐熱性、耐薬品性、耐候性、表面特性(非粘着性、低摩擦性)、耐汚染性、電気絶縁性などの特性を維持し、さらに優れた機械的物性、寸法安定性、成形加工性、荷重たわみ温度を併せもった性能を成形体に与えうる、末端にメチロール基を有するパーフルオロ系重合体と液晶ポリエステルからなる熱可塑性樹脂組成物を提供するものである。
発明の開示
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、
(A)数平均分子量5×102〜5×105のメチロール基含有含フッ素重合体0.1〜99%(重量%、以下同様)と
(B)液晶ポリエステル1〜99.9%とを
混合してえられるブレンド物からなり、該メチロール基含有含フッ素重合体(A)が、その分子鎖末端にメチロール基を炭素数1×106個に対し2×102〜1×105個有するパーフルオロ系重合体よりなる群から選ばれた少なくとも1種である。
前記メチロール基含有含フッ素重合体(A)は、その分子鎖末端にメチロール基を炭素数1×106個に対し3×102〜1×105個有するパーフルオロ系重合体よりなる群から選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
前記メチロール基含有含フッ素重合体(A)は、テトラフルオロエチレンと、式:
Rf−O−CF=CF2
(式中、Rfは炭素数3〜4のパーフルオロアルキル基)で示されるパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)よりなる群から選ばれた少なくとも1種との共重合体であって、該共重合体はパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)単位を1〜10%含み、その分子鎖末端にメチロール基を炭素数1×106個に対して2×102〜1×103個有し、380℃7kg荷重時のメルトフローレートが1〜100g/10分のものよりなる群から選ばれた少なくとも1種であるのが好ましい。
前記メチロール基含有含フッ素重合体(A)が、その分子鎖末端にメチロール基を炭素数1×106個に対し3×102〜1×103個有するのが好ましい。
前記メチロール基含有含フッ素重合体(A)50〜99%と前記液晶ポリエステル(B)1〜50%とを混合するのが好ましい。
本発明はまた、(A)数平均分子量5×102〜5×105のメチロール基含有含フッ素重合体を0.1〜40%と
(B)液晶ポリエステルを1〜50%と
(C)パーフルオロ系樹脂を残部(ただし、メチロール基含有含フッ素重合体との合計量が50〜99%)とを混合してえられるブレンド物からなり、該メチロール基含有含フッ素重合体(A)が、その分子鎖末端にメチロール基を炭素数1×106個に対し、2×102〜1×105個有するパーフルオロ系重合体よりなる群から選ばれた少なくとも1種であり、該パーフルオロ系樹脂(C)が、その分子鎖末端にメチロール基を炭素数1×106個に対し2×102個未満であるPTFE、FEPおよびPFAよりなる群から選ばれた少なくとも1種である熱可塑性樹脂組成物に関する。
前記メチロール基含有含フッ素重合体(A)は、その分子鎖末端にメチロール基を炭素数1×106個に対し3×102〜1×105個有するパーフルオロ系重合体よりなる群から選ばれた少なくとも1種であるのが好ましい。
前記パーフルオロ系樹脂(C)が380℃7kg荷重時のメルトフローレートで1〜60g/10分のPFAよりなる群から選ばれた少なくとも1種であるのが好ましい。
前記メチロール基含有含フッ素重合体(A)は、テトラフルオロエチレンと、式:
Rf−OCF=CF2
(式中、Rfは炭素数3〜4のパーフルオロアルキル基)で示されるパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)よりなる群から選ばれた少なくとも1種との共重合体であって、該共重合体はパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)単位を1〜10重量%含み、その分子鎖末端にメチロール基を炭素数1×106個に対して2×102〜1×103個有し、380℃7kg荷重時のメルトフローレートが1〜100g/10分のものよりなる群から選ばれた少なくとも1種であるのが好ましい。
前記メチロール基含有含フッ素重合体(A)は、テトラフルオロエチレンとパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)との共重合体であって、その分子鎖末端にメチロール基を炭素数1×106個に対し3×102〜1×103個有するものよりなる群から選ばれた少なくとも1種であるのが好ましい。
前記メチロール基含有含フッ素重合体(A)は、式:
(式中、nは5〜103の整数)で示される含フッ素重合体よりなる群から選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
発明を実施するための最良の形態
本発明で用いるメチロール基含有パーフルオロ系重合体(A)とは、たとえばテトラフルオロエチレン単独重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)−ヘキサフルオロプロピレン3元共重体のようなパーフルオロ系重合体の片末端または両末端にメチロール基を導入したものである。
これらメチロール基をもつ含フッ素重合体の分子量は、たとえば式:
(n:5〜100)で代表されるような、分子量5×102〜1×104程度のオリゴマー状のものから、いわゆるPTFE、FEP、PFAに相当する分子量と同程度の高分子量のものまで使用可能であり、数平均分子量で5×102〜5×105までのものが使用可能である。
本発明で用いるメチロール基含有含フッ素重合体(A)中のメチロール基の濃度は、その重合体中の炭素原子1×106個に対するメチロール基数で表わすことができ、パーフルオロ系重合体と液晶ポリエステルとのブレンドに際し、分散性、界面接着性の改善に効果的なメチロール基濃度は、その重合体の炭素原子1×106個に対し、メチロール基2×102〜1×105個、好ましくは3×102〜1×105個である。
前記メチロール基が2×102個未満であると充分な効果がえられない傾向があり、1×105個を超えると組成物の耐熱性、耐薬品性が低下する傾向がある。
本発明で用いるメチロール基含有含フッ素重合体(A)とは、1つの重合体分子鎖の片末端または両末端にメチロール基をもつ分子のみで構成されているものだけでなく、片末端あるいは両末端にメチロール基をもつ分子と、メチロール基を含まない分子との混合物であってもよい。
なお、前記メチロール基含有含フッ素重合体(A)中にメチロール基を含まない含フッ素重合体が存在していても、全体として炭素数1×106個に対して2×102〜1×105個、好ましくは3×102〜1×105個のメチロール基をもつものであれば、液晶ポリエステルとの親和性を損なうものではない。
メチロール基含有含フッ素重合体(A)は、種々の方法により製造することができる。
たとえばパーフルオロ系重合体をラジカル重合により製造する際にメタノール、エタノール、プロパノールといったアルコール類、メルカプトエタノールを連鎖移動剤として用いる方法、ヒドロキシ基を有するラジカル重合開始剤を用いる方法などにより末端にメチロール基を導入できる。
また、重合したのちに高分子反応によってポリマー末端にメチロール基を導入する方法も可能であり、たとえば重合したのちにポリマー末端をメチロール基をもつセグメントに容易に変換できるような連鎖移動剤や重合開始剤を用いて重合を行なったのち、えられた重合体の末端を高分子反応によりメチロール基を含むセグメントに交換することによってうることができる。
これらの製造法の中でもパーフルオロ系重合体をラジカル重合により製造する際にメタノールを連鎖移動剤として用い末端にメチロール基を導入する方法が、えられたメチロール基含有含フッ素重合体自体の耐熱性や耐薬品性を低下させない点で、また経済的に有利な点で好ましい。
本発明で用いる液晶ポリエステルとは、たとえば芳香族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸よりなる群から選ばれた少なくとも1種、芳香族ジオール、脂環式ジオール、脂肪族ジオールよりなる群から選ばれた少なくとも1種、芳香族ヒドロキシカルボン酸よりなる群から選ばれた少なくとも1種からなる成分で構成される液晶コポリエステルがあげられる。これらの代表的な組合わせとしては、たとえばパラヒドロキシ安息香酸、ビフェニルジオール、テレフタル酸を主成分とするもの(たとえば住友化学工業(株)製、商品名エコノールE2000またはE6000、日本石油化学(株)製、商品名Xydar RC−FC400または300、ポリプラスチックス(株)製、商品名ベクトラ Cシリーズ、上野製薬(株)製、商品名UENO LCP2000、出光石油化学(株)製、商品名出光LCP300など)、パラヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシナフトエ酸を主成分とするもの(たとえばアイ・シー・アイ・ジャパン(株)製、商品名VICTREX SRP、上野製薬(株)製、商品名UENO LCP100、ポリプラスチックス(株)製、商品名ベクトラ Aシリーズ、三菱化成(株)製、商品名ノバキュレートE324、出光石油化学(株)製、商品名出光LCP300、ユニチカ(株)製、商品名ロッドランLC−5000など)、パラヒドロキシ安息香酸、テレフタル酸、脂肪族ジオールを主成分とするもの(たとえば、三菱化成(株)製、商品名ノバキュレートE310、出光石油化学(株)製、商品名出光LCP100、ユニチカ(株)製、商品名ロッドランLC−3000、イーストマンコダック(株)製、商品名X7Gなど)などがあげられるが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
これらの共重合体が液晶ポリマーであることを判別するには、液晶ポリマーが溶融状態で光学的異方性を示しうることを利用するとよい。光学的異方性は、通常の偏向顕微鏡を用いることによって確認しうる。たとえば加熱ステージ上に1mm以下の厚さに調整された試験片を置き、チッ素雰囲気下で2℃/mm程度の昇温速度で加熱してゆく。この状態で偏向顕微鏡の偏光子と検光子を直交させ、40倍または100倍の倍率で観測することにより容易に確認することができる。このような方法では、また同時に、これら共重合体が液晶相に転移する温度も測定しうる。このことは熱分析(たとえばDSC、TMAなど)によっても測定可能なばあいがある。
本発明の第1の熱可塑性樹脂組成物は、
(A)メチロール基含有含フッ素重合体と
(B)液晶ポリエステルとの
2成分からなる。
このばあいメチロール基含有含フッ素重合体(A)は前述のものが使用できるが、この2成分からなる熱可塑性樹脂組成物を成形用として用いるばあい、数平均分子量が1×105〜5×105程度の、末端にメチロール基を導入したテトラフルオロエチレン単独重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)−ヘキサフルオロプロピレン3元共重合体といったパーフルオロ系樹脂の末端にメチロール基を導入したものが好ましく、液晶ポリエステル(B)との組成物からえられる成形体に良好な耐熱性、耐薬品性、電気特性、機械的物性、表面特性を与えうる。
さらにそれらのなかでも比較的良好な成形加工性と優れた耐熱性(いいかえれば広い連続使用温度をもつ)を併せもった特徴を有する点でテトラフルオロエチレンと式:
RfO−CF=CF2
(式中、Rfは炭素数3〜4パーフルオロアルキル基)で示されるパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)よりなる群から選ばれた少なくとも1種の共重合体であってパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)単位を1〜10重量%を含み、その分子鎖末端にメチロール基を有する含フッ素重合体が好ましい。
このテトラフルオロエチレンとパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)の共重合体中のメチロール基はその分子鎖末端に炭素数1×106個に対し2×102〜1×103個含むものが液晶ポリエステルとのブレンド時の相互の分散性や親和性の点で好ましく、さらに3×102〜1×103個もつものが好ましい。また、この共重合体のメルトフローレートは、1〜100g/10分のものが好ましく、3〜60g/10分のものがさらに好ましい。
前記メルトフローレートが1未満であると溶融混練操作での分散性が不充分になったり組成物の成形加工性を低下させたりする傾向があり、100を超えるとその組成物からえられる成形体の機械的強度を低下させる傾向がある。
これらの熱可塑樹脂組成物において用いる液晶ポリエステルは前述のものが使用できるが、それらのなかでもパーフルオロ系樹脂の成形温度範囲において異方性溶融相を形成する重合体が好適に使用されうる。
すなわち、本発明の組成物がえられる成形体はパーフルオロ系樹脂と、それが熱分解を起こさずに溶融する温度範囲と部分的に重複する温度範囲内で異方性溶融相を形成しうる(すなわち溶融可能である)液晶ポリエステルとで構成されているのが好ましい。
なぜなら、本発明の組成物からえられる成形体の製法としては、一般に、前記組成物を溶融状態で互いに分散させる工程を包含する方法が用いられるためである。このような方法において、組成物を構成するパーフルオロ系樹脂と液晶ポリエステルとのうちいずれか一方が熱分解を起こすようなばあいには、えられた成形体の物理的特性が低下するため好ましくない。
たとえば前記メチロール基含有含フッ素重合体(A)が前記テトラフルオロエチレンとパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)との共重合体のばあい、その含フッ素重合体の単独の好ましい成形温度範囲は300〜400℃、さらに好ましくは320〜400℃であり、これとブレンドする液晶ポリエステルもこのような温度範囲で成形可能な液晶ポリエステルを選ぶことが好ましい。そうした好ましい液晶ポリエステルとしては、たとえば全芳香族ポリエステル、たとえばパラヒドロキシ安息香酸、ビフェニルジオール、テレフタル酸を主成分とするもの(たとえば住友化学工業(株)製、商品名エコノールE2000、E6000またはE7000、日本石油化学(株)製、商品名Xydar RC/FC400または300、ポリプラスチックス(株)製、商品名ベクトラ Cシリーズ、上野製薬(株)製、商品名UENO LCP2000、出光石油化学(株)製、商品名出光LCP300など)、パラヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシナフトエ酸を主成分とするもの(たとえばアイ・シー・アイ・ジャパン(株)製、商品名VICTREX SRP、上野製薬(株)製、商品名ベクトラ Aシリーズ、三菱化成(株)製、商品名ノバキュレートE324、出光石油化学(株)製、商品名出光LCP300、ユニチカ(株)製、商品名ロッドランLC−5000など)などがあげられる。
これらのなかでも、より高い耐熱性、連続使用温度、熱変形温度をもち、パーフルオロ系樹脂の成形温度範囲と同様な温度での成形が充分可能なものであるパラヒドロキシ安息香酸、ビフェニルジオール、テレフタル酸を主成分とするもの(たとえば住友化学工業(株)製、商品名エコノールE2000またはE6000、日本石油化学(株)製、商品名Xydar RC/FC400または300、ポリプラスチックス(株)製、商品名ベクトラ Cシリーズ、上野製薬(株)製、商品名UENO LCP2000、出光石油化学(株)製、商品名出光LCP300など)などがさらに好ましい。
本発明の、メチロール基含有含フッ素重合体(A)と液晶ポリエステル(B)との2成分からなる熱可塑性樹脂組成物において、(A)と(B)の混合割合は、(A)が0.1〜99%、(B)が1〜99.9%であり、好ましくは(A)が50〜99%、(B)が1〜50%であり、さらに好ましくは(A)が60〜97%、(B)が3〜40%である。
液晶ポリエステル(B)が3%未満であると、含フッ素重合体の機械的強度、線膨張係数、成形性の改良の効果は少なくなる傾向があり、40%を超えると該改良効果はほぼ一定値に収束し、逆に含フッ素重合体のもつ優れた耐薬品性、電気絶縁性、表面特性(非粘着性、低摩擦性)などを低下させる傾向がある。
本発明の第2の熱可塑性樹脂組成物は、
(A)メチロール基含有含フッ素重合体と
(B)液晶ポリエステルと
(C)パーフルオロ系樹脂との
3成分からなる。
つまりこの3成分からなる熱可塑性樹脂組成物は、メチロール基を含まないかまたはある特定量以下しか含まないパーフルオロ系樹脂(C)と液晶ポリエステル(B)とのブレンドに際して、末端にメチロール基をある特定量以上含むパーフルオロ系含フッ素重合体(A)が、(C)と(B)との間の相溶化剤として働き、分散性、界面接着性を改善した組成物である。
より詳しくは、(A)、(B)、(C)の3成分の組成物において、その組成物中のメチロール基含有フッ素重合体(A)と液晶ポリエステル(B)の一部分との組成物部分が、残りの液晶ポリエステル(B)とパーフルオロ系樹脂(C)との間の相溶化剤として働くものと考えられる。
相溶化剤として効果的なメチロール基含有含フッ素重合体(A)は、その分子鎖末端にメチロール基をもち、その数が1×106個に対し2×102〜1×105個有する、数平均分子量5×102〜1×105であるパーフルオロ系重合体よりなる群から選ばれた少なくとも1種である。
本発明で用いるメチロール基含有パーフルオロ系重合体(A)とは、たとえばテトラフルオロエチレン単独重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)−ヘキサフルオロプロピレン3元共重体などのパーフルオロ系重合体の末端にメチロール基を導入したものである。
これらメチロール基をもつ含フッ素重合体の分子量は、たとえば式:
(n:5〜100)で示されるような、分子量5×102〜1×104程度のオリゴマー状のものからいわゆるPTFE、FEP、PFAに相当する分子量と同程度の高分子量のものまで使用可能であり、数平均分子量で5×102〜5×105までのものが使用可能である。
本発明で用いるメチロール基含有含フッ素重合体(A)中の末端メチロール基の濃度は、その重合体中の炭素原子1×106個に対するメチロール基数で表わすことができ、パーフルオロ系重合体と液晶ポリエステルとのブレンドに際し、分散性、界面接着性の向上に効果的なメチロール基濃度は、その重合体の炭素原子1×106個に対し、メチロール基2×102〜1×105個、好ましくは3×102〜1×105個である。
前記メチロール基が2×102個未満では充分な効果がえられない傾向にあり、1×105個を超えると組成物の耐熱性、耐薬品性を低下させる傾向がある。
本発明の3成分からなる熱可塑性樹脂組成物において、パーフルオロ系フッ素樹脂(C)とは、たとえばPTFE、FEP、PFAよりなる群から選ばれた1種であり、メチロール基、ヒドロキシル基などを分子鎖末端または側鎖に有さないかあるいは、有していても炭素数1×106個に対し2×102個未満という低い濃度でしか有さない重合体である。
これらのパーフルオロ系樹脂(C)のなかでも、比較的良好な成形性と優れた耐熱性(言いかえれば広い連続使用温度をもつ)を併せもった特徴を有するPFAが最も好ましい。
本発明で使用するPFAとは、テトラフルオロエチレンと、式:
Rf−OCF=CF2
(Rfは炭素数3〜4のパーフルオロアルキル基)で示されるパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)よりなる群から選ばれた少なくとも1種との共重合体であってパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)の単位を1〜10%含む共重合体から選ばれるものであって、380℃7kg荷重時のメルトフローレートで1〜100g/10分のものが使用できるが、好ましくは1〜60g/10分、さらに好ましくは3〜50g/10分である。前記メルトフローレートが1未満であると、溶融混練操作をするときの分散性が不充分となったり、組成物の成形性を低下させたりする傾向があり、100を超えるとその組成物からえられる成形体の機械的強度を低下させる傾向がある。
本発明の3成分からなる熱可塑性樹脂組成物において使用する液晶ポリエステル(B)は、2成分からなる前述の熱可塑性樹脂組成物で使用される液晶ポリエステルと同様のものが好適に使用できる。
本発明の、
(A)メチロール基含有含フッ素重合体と
(B)液晶ポリエステルと
(C)パーフルオロ系樹脂との
3成分からなる熱可塑性樹脂組成物において、(A)、(B)、(C)の混合割合は、(A)が0.1〜400%、(B)が1〜50%、(C)が残部(ただし、(A)と、(C)の合計量が50〜99%)であり、好ましくは(A)が1〜30%、(B)が3〜40%、(C)が残部%(ただし、(A)と、(C)の合計量が60〜97%)である。
液晶ポリエステル(B)が1%未満であると、パーフルオロ系樹脂の機械的強度、線膨張係数、成形性の改良の効果が不充分となる傾向があり、50%を超えると(つまり(A)と(C)との合計量が50%未満)パーフルオロ系樹脂のもつ優れた耐薬品性、電気絶縁性、表面特性(非粘着性、低摩擦性)などが低下する傾向がある。
また(B)と(C)の間の相溶化剤として使用するメチロール基含有含フッ素重合体(A)は、その組成物全体に対して0.1%未満であると(B)と(C)の分散性、界面接着性の効果は不充分になる傾向がある。
前記(A)が30%を超えると(A)の種類、分子量によってはその組成物、そこからえられる成形体の耐熱性、耐薬品性、機械的特性が低下する傾向があり、40%を超えると、(B)と(C)との相溶化剤としての効果はほぼ一定値に収束する傾向がある。
前記メチロール基含有含フッ素重合体(A)としては、たとえば式:
(n:5〜100の整数)で示される分子量5×102〜1×104程度のオリゴマー状のものを(B)と(C)の間の相溶化剤として用いるばあい、(A)の含有量は熱可塑性樹脂組成物全体に対して好ましくは20%未満、さらに10%未満であることが好ましい。
前記オリゴマー状のものが20%以上のばあい、組成物、それからえられる成形体の耐熱性、耐薬品性、機械的特性を低下させる傾向がある。
本発明の3成分からなる熱可塑性樹脂組成物において、好ましい具体例の第1は、
(A)テトラフルオロエチレンと式:
Rf−O−CF=CF2
(式中、Rfは炭素数3〜4のパーフルオロアルキル基)で示されるパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)よりなる群から選ばれた少なくとも1種との共重合物であってパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)の単位を1〜10%含み、その分子鎖末端にメチロール基を炭素数1×106個に対して2×102〜1×103個有し、380℃7kg荷重時のメルトフローレートが1〜100g/10分よりなる群から選ばれた含フッ素重合体と
(B)液晶ポリエステルと
(C)分子末端にメチロール基を含まないか、または含んでいても炭素数1×106個に対し2×102個未満であるPFAとを
混合してえられるブレンド物であって、(A)が0.1〜40%、(B)が1〜50%、(C)が残部(ただし、(A)と(C)の合計量が50〜99%)からなる熱可塑性樹脂組成物である。
つまりこの組成物は、液晶ポリエステル(B)とPFA(C)とのブレンドに際し、上記(A)で示したような末端にメチロール基を炭素数1×106個に対して2×102〜1×103個含有したPFAを(B)と(C)の間の相溶化剤としてブレンドし、相溶性、界面接着性に効果的であることを示す具体例である。
なかでも前記含フッ素重合体(A)は、メチロール基を1×106個に対し3×102〜1×103個有するものが分散性、界面接着性の点で好ましく、含フッ素重合体(A)の380℃7kg荷重時のメルトフローレートは10〜100g/10分の範囲のものがさらに好ましい。含フッ素重合体(A)のメルトフローレートが10g/10分以上であるとき、液晶ポリエステルとのブレンド時の分散性に効果的に寄与する。一方100g/10分を超えると、含フッ素重合体(A)を比較的高い割合(30〜40%)でブレンドする際、機械的強度の低下をもたらすことがある。
液晶ポリエステル(B)は、前記の液晶ポリエステルが好適に使用でき、全芳香族ポリエステルが耐熱性の点から好ましい。
PFAのメルトフローレートは、1〜100g/10分、好ましくは1〜60g/10分、さらに好ましくは3〜50g/10である。メルトフローレートが1未満であると、溶融混練操作をするときの分散性が不充分となったり、組成物の成形性を低下させたりする傾向があり、100を超えるとその組成物からえられる成形体の機械的強度を低下させる傾向がある。
(A)、(B)、(C)の混合割合は(A)が0.1〜40%、好ましくは1〜30%、(B)が1〜50%、好ましくは3〜40%、(C)が残部(ただし、(A)と(C)の合計量が50〜99%、好ましくは60〜97%)である。液晶ポリエステル(B)が1%未満であると、パーフルオロ系樹脂の機械的強度、線膨張係数、成形性の改良の効果が不充分となる傾向があり、50%を超えると(つまり(A)と(C)との合計量が50%未満)パーフルオロ系樹脂のもつ優れた耐薬品性、電気絶縁性、表面特性(非粘着性、低摩擦性)などが低下する傾向がある。
また(B)と(C)の間の相溶化剤として使用するメチロール基含有含フッ素重合体(A)は、その組成物全体に対して0.1%未満であると(B)と(C)の分散性、界面接着性の効果は不充分になる傾向がある。
前記(A)が30%を超えると(A)の種類、分子量によってはその組成物、そこからえられる成形体の耐熱性、耐薬品性、機械的特性が低下する傾向があり、40%を超えると、(B)と(C)との相溶化剤としての効果はほぼ一定値に収束する傾向がある。
本発明に3成分からなる熱可塑性樹脂組成物において、好ましい具体例の第2は、
(A)式:
(n:5〜103の整数)で示される含フッ素重合体と
(B)液晶ポリエステルと
(C)分子末端にメチロール基を含まないか、または含んでいても炭素数1×106に対し2×102個未満であるPFAとを
混合してえられるブレンド物であって、(A)が0.1〜20%、(B)が1〜50%、(C)が残部(ただし、(A)と(B)の合計量が50〜99%)からなる熱可塑性樹脂組成物である。
つまりこの組成物は、液晶ポリエステル(B)とPFA(C)とのブレンドに際し、(A)で示したようなメチロール基をもつオリゴマー状の重合体をブレンドすることによっても、(B)と(C)との間の分散性、界面接着性の向上に効果的である具体例である。
ただし、このようなオリゴマー状の含フッ素重合体(A)を用いるばあいは、添加量が多すぎると、組成物の機械的物性や耐薬品性を低下させる傾向があるので、20%未満、さらに好ましくは10%未満である。
したがって、(A)、(B)、(C)の特に好ましい組成は、(A)が0.5〜10%、(B)が3〜40%、(C)が残部(ただし、(A)と(C)の合計量が60〜97%)である。
また、(B)液晶ポリエステルおよび(C)PFAのそれぞれの好ましい形態としては、前記熱可塑性樹脂組成物の第1の好ましい具体例の記載内容と同様なものが好適に使用できる。
メチロール基含有含フッ素重合体(A)と液晶ポリエステル(B)との2成分のブレンドまたは(A)、(B)にさらに官能基をもたないパーフルオロ系樹脂(C)を加えた3成分のブレンドを行なう方法は種々の方法が適用可能であるが少なくとも液晶ポリエステルの液晶相に転移する温度以上の溶融・流動状態で行うことが必要である。ブレンド中、メチロール含有含フッ素重合体(A)および/またはパーフルオロ系樹脂(C)も溶融状態であることが望ましいが、溶融粘度が高い理由などで非溶融性を保持していても可能である。
本発明で用いる溶融混合する装置としては、混合ロール、バンバリーミキサー、ブラベンダーミキサー、押出機などがあげられるが、なかでも押出機が、混練力がより大きく液晶ポリエステルとのブレンド時に分散性の向上がより一層期待できる点で、また、組成物の製造時の生産性が良好である点で好ましい。押出機としては、単軸または二軸以上のスクリューを有するものなどが使用できるが、特に二軸押出機を使用するのが、より混練力が大きいためより分散性のよい組成物がえられる点で、また、混練力を自由に制御できる点で好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は一般にペレットの形態とされたうえ、射出成形および射出成形用の成形原料として用いられる。ペレットの製造手段は、特に限定されるものではない。たとえば、メチロール基含有含フッ素重合体(A)、液晶ポリエステル(B)、または(A)、(B)とパーフルオロ系樹脂(C)をタンブラーミキサー、リボンブレンダー、ヘンシェルミキサー、Vブレンダー、ロッキングミキサーなどを用いてドライブレンドした後、押出機に供給し溶融混練し、押出し、切断してペレットとするか、または(A)、(B)、(C)をそれぞれ別々に押出機に供給し、溶融混練してペレットとすることもできる。
これまで例示してきた液晶ポリエステルは、それぞれ単独の成形体としては、通常優れた機械的物性(たとえば強度、弾性率および衝撃強度)を有する。さらに射出成形や押し出し成形によってえられた成形体は、溶融時にポリマー分子が樹脂の流れ方向に対して平行に配向することにより、増強された機械的物性を示す。これは液晶ポリマーが異方性溶融相を形成することによる自己補強の効果であり、その増加度合はポリマー分子の配向程度によって支配されている。すなわち液晶ポリマーの溶融成形体の機械的物性は、成形の方法および/または成形体の形状によってしばしば異なる。また同じ理由により液晶ポリマーの成形体は、機械的物性に関して顕著な異方性を示す。さらに、液晶ポリマーはその分子構造が線状であるため、通常極めて小さな線膨張係数(熱膨張率)を有する。しかも成形体においては流動に平行な方向に対しては、さらに小さい値を示すことも認められている。
メチロール基や、ヒドロキシル基その他官能基をもたない、あるいは少ない一般のフッ素樹脂と液晶ポリエステルの単なるブレンド組成物からえられる成形体もフッ素樹脂中に液晶ポリエステルが配向するため、前記液晶ポリエステルと同様の性質が付与され、フッ素樹脂単体からなる成形体に比べて、寸法安定性、成形加工性などにおいてある程度の効果はえられる。しかしながら、そもそもフッ素樹脂と液晶ポリエステルは親和性が乏しいという特徴のため、ブレンドするときフッ素樹脂と液晶ポリエステルとの相互の分散性がわるく、凝集を起こしやすい。また、フッ素樹脂と液晶ポリエステルとのブレンド物からえられる成形体中のフッ素樹脂と液晶ポリエステルのその界面における界面接着性がほとんどないために界面剥離などを起こしやすい。そのため、液晶ポリエステルの添加による機械的物性や寸法安定性、荷重たわみ温度、成形性を改善する効果が不充分であったり、またフッ素樹脂が有する耐薬品性、表面特性(非粘着性、低摩擦性)や電気絶縁性などといった優れた特徴を著しく低下させたりする。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、含フッ素重合体の分子鎖末端にメチロール基を炭素数1×106に対し2×102〜1×105個導入したものを用いることによって、官能基をもたない、あるいは少ないフッ素樹脂と液晶ポリエステルとの単なるブレンド物では不充分であった分散性、界面接着性を改善した組成物に関するものである。また、本発明の組成物を成形してえられる成形体は、優れた機械的物性、寸法安定性、荷重たわみ温度、成形加工性、耐薬品性、表面特性、電気絶縁性を有する。
つまり、液晶ポリエステルは、主鎖にエステル結合、末端にヒドロキシ基またはカルボキシル基を有する。したがって、含フッ素重合体にメチロール基を導入することによって、高温での溶融混練時、液晶ポリエステルの主鎖のエステル結合と部分的にでもエステル交換反応し、互いの相溶性が改善されるか、あるいは、メチロール基の導入が含フッ素重合体の極性を高め、特に化学反応を起こさずとも液晶ポリエステルとの界面接着性、分散性を向上させると考えられる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、末端にメチロール基を有する含フッ素重合体(A)と液晶ポリエステル(B)とをブレンドすることにより、またフッ素樹脂と液晶ポリエステルとのブレンド物に、末端メチロール基を有する含フッ素重合体を添加することにより、
(1)メチロール基含有含フッ素重合体(A)と液晶ポリエステル(B)との単なる混合物、
(2)メチロール基含有含フッ素重合体(A)と液晶ポリエステル(B)との反応生成物または
(3)これら(1)と(2)との混合物
の形で存在しうるものと推定される。
このように本発明のブレンドのメカニズムは明瞭ではないが、このことのみによって本発明が限定されるものではない。
さらに本発明の樹脂組成物は、その効果を損なわない範囲において、たとえばガラス繊維、カーボン繊維、アラミド繊維、グラファイトウィスカー、チタン酸カリウムウィスカー、塩基性硫酸マグネシウムウィスカー、マグネシウムウィスカー、ホウ酸マグネシウムウィスカー、炭酸カルシウムウィスカー、硫酸カルシウムウィスカー、酸化亜鉛ウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、アルミナウィスカー、炭化珪素ウィスカー、窒化珪素ウィスカー、ウォラスナイト、ゾノライト、セピオライト、石膏繊維、スラグ繊維などの繊維状の強化剤、カーボン粉末、グラファイト粉末、炭酸カルシウム粉末、タルク、マイカ、クレイ、ガラスビーズなどの無機充填剤、ポリイミドなどの耐熱性樹脂、さらに二硫化モリブデンのような固体閏滑剤やその他の着色剤、難燃剤など通常使用される無機または有機の充填剤は含んでいてもよく、その配合量は組成物全体の通常1〜30%である。このとき、本発明の樹脂組成物に含まれる未反応のメチロール基が存在することによってこれらの充填効果が一層向上するばあいもある。
つぎに本発明で用いるメチロール基含有含フッ素重合体およびパーフルオロ系樹脂の製法を参考例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
参考例1
水性懸濁重合体によりテトラフルオロエチレン−パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)共重合体(重量比95/5)を特開昭58−189210号公報記載の方法にしたがって製造した。
えられたPFAの末端基は−CH2OH、−COOCH3およびCOOHであり炭素数106個当たりの個数はそれぞれ100、43、2個であった。
えられたPFAを特開平4−20507号公報記載の方法にしたがって、これら不安定な分子鎖の末端をフッ素ガス、さらにアンモニアガスにより処理を行なり、該末端を安定化させ、末端メチロール基の個数をゼロとした。
えられたPFAに関し、つぎに示す方法により末端メチロール基の個数およびメルトフローレートを測定した。結果を表2に示す。
(1)含フッ素重合体の末端基(メチロール基)の分析
各種フッ素重合体を350℃で30分間圧縮成形して厚さ0.25〜0.3mmのフィルタを赤外吸収スペクトル分析し、既知のフィルムの赤外吸収スペクトルと比較して末端基の種類を決定し、その差スペクトルから次式により個数を算出する。
対象となる末端基の補正係数をつぎに示す。
この補正係数は炭素数1×106個あたりの末端基を計算するためにモデル化合物の赤外吸収スペクトルから決定した。
赤外吸収スペクトル分析は、パーキンエルマーFTIRスペクトロメーター1760Xおよびパーキンエルマー7700プロフェショナルコンピュータ(いずれもパーキンエルマー社製)を用いて100回スキャンして行った。
(2)メルトフローレート
島津製作所(株)製高化式フローテスターを用いて、直径2mm、長さ8mmのノズルを用い、予熱5分間でメルトフローレート(g/10min)を測定した。
参考例2
容量3リットルの撹拌器付ガラスライニング製オートクレーブに純水780mlを加え系内を窒素ガスと充分に置換した。そこへ、1,2−ジクロロ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン(R−114)600g、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)71g、メタノール200mlを加え、内温を35℃とした。続いて撹拌を行ないながらテトラフルオロエチレンを内圧9.5kgf/cm2Gとなるように圧入した。ついでジ−(ω−ヒドロパーフルオロプロパノイル)パーオキサイドを1,2,2−トリクロロ−1,1,2−トリフルオロエタン(R−113)に10%溶解させた溶液1.0gを圧入し重合を開始した。
重合反応の進行に従って圧力が低下するので内圧が8.5kgf/cm2Gまで低下した時点で、テトラフルオロエチレンにより9.5kgf/cm2Gまで再加圧し、降圧、昇圧を繰り返した。
途中前述の開始剤溶液1.0gを4回に分けて添加した。重合開始より7時間のち、テトラフルオロエチレンの供給を停止し、未反応モノマーをパージし、オートクレーブから重合体を取出した。ついで水洗、濾過、乾燥して共重合体250gをえた。
19F−NMRより、重合体中のパーフルオロ(プロピルビニルエーテル)の含有量は5.7%であった。
えられた共重合体に関し、前記に示す方法により末端メチロール基の個数およびメルトフローレートを測定した。結果を表2に示す。
参考例3
参考例2においてメタノール165ml使用した以外は同様にして含フッ素共重合体をえた。共重合体中のパーフルオロ(プロピルビニルエーテル)の含有量は5.5%であった。
えられた共重合体に関し、前記に示す方法により末端メチロール基の個数およびメルトフローレートを測定した。結果を表2に示す。
参考例4
参考例2においてメタノールを50ml、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)26gを用いて以外は同様にして含フッ素共重合体をえた。
共重合体中のパーフルオロ(プロピルビニルエーテル)の含有量は3.8%であった。
えられた共重合体に関し、前記に示す方法により末端メチロール基の個数およびメルトフローレートを測定した。結果を表2に示す。
参考例5
容量3リットルの撹拌器付きガラスライニング製オートクレーブに純水780ml、1,2−ジクロロ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン(R−114)600g、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)90g、メタノール120mlを加え内温を15℃とした。つづいて撹拌を行いながらテトラフルオロエチレンを内圧3.0kgf/cm2Gとなるように圧入した。ついで、ジ−(ω−ヒドロパーフルオロプロパノイル)パーオキサイドを1,2,2−トリクロロ−1,1,2−トリフルオロエタン(R−113)に10%溶解させた溶液1.0gを圧入し重合を開始した。
重合反応の進行に従って圧力が低下するので内圧が2.5kgf/cm2Gまで低下した時点でテトラフルオロエチレンにより3.0kgf/cm2Gまで再加圧し、降圧、昇圧を繰り返した。
途中前述の開始剤溶液1.0gを4回に分けて添加した。
重合開始より10時間のち、テトラフルオロエチレンの供給を停止し、未反応モノマーをパージし、オートクレーブから重合体を取出した。ついで水洗、濾過、乾燥して共重合体252gをえた。
19F−NMR分析より、重合体中のパーフルオロ(プロピルビニルエーテル)の含有量は5.2重量%であった。
えられた共重合体に関し、前記に示す方法により末端メチロール基の個数およびメルトフローレートを測定した。結果を表2に示す。
つぎに実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
実施例1
液晶ポリエステル(住友化学(株)製、商品名スミカスーパーLCP E6000)25.4gを340℃に設定した内容積60cm3のブラベンダーミキサーに投入し、回転数10rpmで2.5分間溶融し、参考例1でえられたPFA54.9gを加え、2分間混合した後、回転数50rpmで参考例2でえたメチロール基含有含フッ素重合体4.3gを加え、回転数100rpm、5分間混練した。えられた組成物を粉砕し、射出成形機にてシリンダー温度300〜340℃、金型温度190℃にて成形し、試験片を作製した。
えられた試験片に関し、下記に示す成形収縮率、引張試験、曲げ試験、線膨張係数、メルトフローレートの試験を行ない、結果を表1に示す。
なお実施例および比較例でえられた樹脂組成物はつぎの試験方法により評価した。
(3)引張試験
オリエンテック(株)製テンシロン万能試験機により、ASTM D638にしたがって、type5ダンベルを用いて、室温下クロスヘッドスピード10mm/minで測定した。
(4)曲げ試験
オリエンテック(株)製テンシロン万能試験機を用いて、JIS K−6911にしたがい、室温下、曲げ速度2mm/minで測定した。
(5)成形収縮率
ASTM D955にしたがって、流れ方向および流れに直角な方向の成形収縮率を測定した。
(6)線膨張係数
理学電気(株)製TMAを用いて、荷重0.16kgf/cm2で40〜150℃における線膨張係数を測定した。
実施例2
実施例1において参考例1でえたPFA50.7g、液晶ポリエステル(実施例1と同じ)25.4g、参考例2でえたメチロール基含有含フッ素重合体8.4gを用いた以外は同様にして混練、成形を行ない試験片をえ、実施例1と同様の方法により試験を行なった。試験結果を表1に示す。
実施例3
実施例1において参考例2でえたメチロール基含有含フッ素重合体にかえて、参考例3でえたメチロール基含有含フッ素重合体を4.3g用いた以外は同様にして混練、成形を行ない試験片をえ、実施例1と同様の方法により試験を行なった。試験結果を表1に示す。
比較例1
実施例1において参考例1でえたPFA59.2gと液晶ポリエステル(実施例1と同じ)25.3gの2成分のみを用いて同様にして混練、成形を行ない試験片をえ、実施例1と同様の方法により試験を行なった。結果を表1に示す。
比較例2
実施例1において参考例2でえたメチロール基含有含フッ素重合体にかえて、参考例4でえた含フッ素重合体を4.3g用いた以外は同様にして混練、成形を行ない試験片をえ、実施例1と同様の方法により試験を行なった。。結果を表1に示す。
比較例3
実施例1において参考例2でえたメチロール基含有含フッ素重合体にかえて参考例5でえた含フッ素重合体を4.3g用いた以外は同様にして混練、成形を行ない試験片をえ、実施例1と同様の方法により試験を行なった。結果を表1に示す。
比較例4
参考例1に示したPFAを用いて射出成形機にてシリンダー温度300〜340℃、金型温度190℃にて成形し試験片をえ、実施例1と同様の方法により試験を行なった。結果を表1に示す。
産業上の利用可能性
本発明によると、パーフルオロ系樹脂の機械的特性、寸法安定性、成形加工性、荷重たわみ温度、そのなかでも特に成形収縮率、線膨張係数に代表される寸法安定性がより効果的に改善され、それに加えてフッ素樹脂が本来もつ耐熱性、耐薬品性、耐候性、表面特性(非粘着性、低摩擦性)、耐汚染性、電気絶縁性などの優れた性能を成形体に与えることができる。
その結果、寸法安定性や耐熱性、電気特性を必要とする電気、電子部品、たとえばコネクター・チップ、キャリヤ、ソケット、プリント配線基板、電線被覆材、耐薬品性を必要とする半導体関連品、とくに成形性、強度不足でフッ素樹脂単体では困難であった大型ウエハーバスケット、またはバルブ、ケミカルポンプ部品など耐熱性、摺動性などを必要とする機械関係、たとえば自動車燃料廻りの部品、ギア、軸受けなどにとくに有用な材料となりうる。
なかでも、コネクター、チップ、ソケット、プリント配線基板などの電気電子部品および自動車のオートマチック用シールリング、ショックアブソーバー用シール、パワーステアリング用シール、クーラーのコンプレッサー用チップシール、産業機器のピストンリング、バルブリング、軸受けといった機械の摺動部品にとくに有用である。
Claims (12)
- (A)数平均分子量5×102〜5×105のメチロール基含有含フッ素重合体0.1〜99重量%と
(B)液晶ポリエステル1〜99.9重量%とを
混合してえられるブレンド物からなり、
該メチロール基含有含フッ素重合体(A)が、その分子鎖末端にメチロール基を炭素数1×106個に対し2×102〜1×105個有するパーフルオロ系重合体よりなる群から選ばれた少なくとも1種である熱可塑性樹脂組成物。 - 前記メチロール基含有含フッ素重合体(A)が、その分子鎖末端にメチロール基を炭素数1×106個に対し3×102〜1×105個有するパーフルオロ系重合体よりなる群から選ばれた少なくとも1種である請求の範囲第1項記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 前記メチロール基含有フッ素重合体(A)が、テトラフルオロエチレンと、式:
Rf−O−CF=CF2
(式中、Rfは炭素数3〜4のパーフルオロアルキル基)で示されるパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)よりなる群から選ばれた少なくとも1種との共重合体であって、該共重合体はパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)単位を1〜10重量%含み、
その分子鎖末端にメチロール基を炭素数1×106個に対して2×102〜1×103個有し、380℃7kg荷重時のメルトフローレートが1〜100g/10分のものよりなる群から選ばれた少なくとも1種である請求の範囲第1項記載の熱可塑性樹脂組成物。 - 前記メチロール基含有含フッ素重合体(A)が、その分子鎖末端にメチロール基を炭素数1×106個に対し3×102〜1×103個有する請求の範囲第3項記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 前記メチロール基含有含フッ素重合体(A)50〜99重量%と前記液晶ポリエステル(B)1〜50重量%とを混合してえられる請求の範囲第3項記載の熱可塑性樹脂組成物。
- (A)数平均分子量5×102〜5×105のメチロール基含有含フッ素重合体を0.1〜40重量%と
(B)液晶ポリエステルを1〜50重量%と
(C)パーフルオロ系樹脂を残部(ただし、メチロール基含有含フッ素重合体との合計量が50〜99重量%)とを
混合してえられるブレンド物からなり、該メチロール基含有含フッ素重合体(A)が、その分子鎖末端にメチロール基を炭素数1×106個に対し、2×102〜1×105個有するパーフルオロ系重合体よりなる群から選ばれた少なくとも1種であり、該パーフルオロ系樹脂(C)が、その分子鎖末端にメチロール基を炭素数1×106個に対し2×102個未満であるPTFE、FEPおよびPFAよりなる群から選ばれた少なくとも1種である熱可塑性樹脂組成物。 - 前記メチロール基含有含フッ素重合体(A)が、その分子鎖末端にメチロール基を炭素数1×106個に対し3×102〜1×105個有するパーフルオロ系重合体よりなる群から選ばれた少なくとも1種である請求の範囲第6項記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 前記パーフルオロ系樹脂(C)が、380℃7kg荷重時のメルトフローレートで1〜60g/10分のPFAよりなる群から選ばれた少なくとも1種である請求の範囲第6項記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 前記メチロール基含有含フッ素重合体(A)が、テトラフルオロエチレンと、式:
Rf−OCF=CF2
(式中、Rfは炭素数3〜4のパーフルオロアルキル基)で示されるパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)よりなる群から選ばれた少なくとも1種との共重合体であって、該共重合体はパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)単位を1〜10重量%含み、
その分子鎖末端にメチロール基を炭素数1×106個に対して2×102〜1×103個有し、380℃7kg荷重時のメルトフローレートが1〜100g/10分のものよりなる群から選ばれた少なくとも1種である請求の範囲第8項記載の熱可塑性樹脂組成物。 - 前記メチロール基含有含フッ素重合体(A)が、テトラフルオロエチレンとパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)との共重合体であって、その分子鎖末端にメチロール基を炭素数1×106個に対し3×102〜1×103個有するものよりなる群から選ばれた少なくとも1種である請求の範囲第9項記載の熱可塑性樹脂組成物。
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