JP3774541B2 - 空気入りラジアルタイヤ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カーカスコードを左右一対のビード部間を往復させてカーカス層を形成した空気入りタイヤに関し、さらに詳しくは、耐久性、操縦安定性及び生産性を向上しながら、サイド部における剛性を調整自在にし、かつカーカスコードの使用量を低減してコストダウンを可能にする空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、一般的な空気入りラジアルタイヤに適用されるカーカス層を形成する場合は、予め引き揃えられた複数本のカーカスコードをカレンダー工程に掛けて未加硫ゴムをゴム引きして帯状のシート材にし、このゴム引きシート材を長手方向に略カーカス層の径方向長さより両端の巻き上げ高さ分だけやや長い大きさに切断した後、それら裁断片をタイヤサイズに応じて単数もしくは複数枚をタイヤ周方向に必要な周長になるように継ぎ合わせてカーカス材を形成する。
【0003】
このように準備されたカーカス材は、グリーンタイヤの成形工程に移されて成形ドラムに巻き付けられ、次いでその外周の両端部にビードコアを嵌め込んだ後、カーカス材の両端部をビードコアを包み込むように巻き上げ、さらにサイドゴム等を巻き付けることによって、グリーンタイヤが成形されるようになっている。
【0004】
しかるに、このようにして成形されるカーカス層では、成形後のカーカス材の巻き上げ端部にカーカスコードの切断破面が形成され、この切断破面が変形量の大きなタイヤサイドウォール部に存在するため、切断破面への応力集中によってタイヤ故障を招くことが少なくなかった。また、このカーカス構造では、タイヤサイド部の周方向の剛性を十分に確保するためには、必要に応じて重量増加を伴う補強層を追加しなければならないという問題もあった。更に、このようなカーカス層を形成するには、上述のようなカレンダー工程を経てシート材を切断し、その裁断片を継ぎ合わせるなどの多数の工程があるため、これが生産性を低下させる要因になっていた。
【0005】
これに対して、カーカス層を1本のカーカスコードから連続的に編み上げることにより切断破面を持たないカーカス構造を形成したタイヤが種々提案されている。例えば、特開平1−110941号公報は、円形に配置された一対の保持機構に回転アームの往復運動によってカーカスコードを順次掛け渡すことにより上記カーカス構造を形成することを開示している。
【0006】
しかしながら、上記カーカス構造では、カーカスコードを左右一対のビード部間に切れ目なく連続的に往復させて編み上げているため、サイド部の剛性を必要に応じて調整することができず、設計の自由度が狭く限定されると共に、カーカスコードの使用量を低減してコストダウンを図ることが現実的に不可能であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、耐久性、操縦安定性及び生産性を向上しながら、サイド部における剛性を調整自在にし、かつカーカスコードの使用量を低減してコストダウンを可能にする空気入りラジアルタイヤを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の空気入りタイヤは、カーカスコードをラジアル配列してなるカーカス層とベルト層とを有する空気入りラジアルタイヤにおいて、前記カーカスコードを左右一対のビードコア間に往復させると共に、該左右のビードコアと各ビードコアに隣接するショルダー部との間のサイド領域にそれぞれ往復させ、これらビードコア間の往復とサイド領域の往復とをタイヤ周方向に連続的に組み合わせ、かつ、前記サイド領域における往復折り返し部の前記ビードコアの内径面からの高さを50mm以上でかつ前記ベルト層のエッジの高さまでの範囲内にして延在させてカーカス層を形成したことを特徴とするものである。
【0009】
このようにカーカスコードを左右一対のビードコア間に往復させると共に、該ビードコアとショルダー部との間の左右のサイド領域に往復させ、これらビードコア間の往復とサイド領域の往復とをタイヤ周方向に連続的に組み合わせながら延在させてカーカス層を形成することにより、カーカス層が切断破面を有していないので、カーカス層におけるエッジセパレーションの発生を防止して荷重耐久性を向上することができ、しかもサイド領域における往復折り返し部ではカーカスコードがタイヤ周方向に延長するように配置されるので、タイヤ周方向の剛性を高めて操縦安定性や高速耐久性を向上することができる。
【0010】
また、上述のようにカーカスコードを左右一対のビードコア間及び左右のサイド領域に連続的に往復させてカーカス層を形成するので、従来のようにカレンダー工程や切断工程等の複雑かつ多数の工程を経てカーカス層を形成する必要はなく、タイヤの生産性を高めることができる。
更に、上記カーカス構造では、カーカスコードを左右のサイド領域で往復させ、その往復折り返し部の高さを任意に設定することができるので、サイド部の剛性を自在に調整することが可能となり、しかもカーカスコードに張力があまりかからないベルト層の下方域ではカーカスコードの使用量を低減してコストダウンを図ることが可能になる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成について添付の図面を参照して詳細に説明する。
図1〜図3は、本発明の実施形態からなる空気入りタイヤを例示するものである。図において、左右一対のビード部1,1間には、カーカス層2が装架されており、このカーカス層2のタイヤ幅方向両端部がビードコア3に係止されている。トレッド部4におけるカーカス層2の外側には、2層のベルト層5がタイヤ1周にわたって環状に配置されている。
【0012】
カーカス層2は、図2及び図3に示すように、1本又は複数本のカーカスコード6を左右一対のビードコア3、3間に往復させると共に、左右のビードコア3と各ビードコア3に隣接するショルダー部7との間のサイド領域8にそれぞれ往復させ、これらビードコア3、3間の往復とサイド領域8の往復とをタイヤ周方向に連続的に組み合わせながら延在させることにより形成されている。該サイド領域における往復は、該サイド領域の往復折り返し部のビードコアの内径面からの高さを50mm以上でかつベルト層のエッジの高さまでの範囲内にして延在させて、カーカス層を形成することが肝要である
【0013】
図においては、カーカスコード6がビードコア3,3間を1往復する間にそれぞれ左右のサイド領域8を1往復するようになっている。しかしながら、この組み合わせのパターン及び比率は、特に限定されることはなく、タイヤ周方向に任意に配置することができる。本発明では、サイド領域8を通過するカーカスコード6の本数をZとし、そのうちビードコア3,3間を往復するカーカスコード6の本数をBとすると、0<B/Z<1の範囲、さらに好ましくは0.2<B/Z<0.6の範囲でカーカス層2を形成するようにすればよい。
【0014】
一方、カーカスコード6に対するビードロック構造は、特に限定されることはなく、図4(a)〜(e)のように種々の形態にすることができる。すなわち、図4(a)では、カーカスコード6がビードコア3の外側でサイド領域8を往復するようになっている。図4(b)では、カーカスコード6がビードコア3の周りに螺旋状に巻きつくようにようにビードコア3を挿入している。図4(c)では、カーカスコード6によって形成される一対のループのうち一方のループにビードコア3を挿入している。図4(d)では、カーカスコード6を2本のビードコア3で挟み込むようにしている。更に、図4(e)では、カーカスコード6によって形成される一対のループでビードコア3を内外から挟み込むようにしている。いずれのビードロック構造においても、カーカスコード6が互いに接触することはない。
【0015】
上述のようにカーカスコード6のビードコア3,3間の往復とサイド領域8の往復とをタイヤ周方向に連続的に組み合わせてカーカス層2を形成することにより、カーカス層2が切断破面を有していないので、カーカス層2におけるエッジセパレーションの発生を防止して荷重耐久性を向上することができる。また、サイド領域8における往復折り返し部9ではカーカスコード6がタイヤ周方向に延長するように配置されるので、タイヤ周方向の剛性を高めて操縦安定性や高速耐久性を向上することができる。
【0016】
更に、上述のようにカーカスコード6を左右一対のビードコア3,3間及び左右のサイド領域8に連続的に往復させてカーカス層2を形成するので、従来のようにカレンダー工程や切断工程等の複雑かつ多数の工程を経てカーカス層を形成する必要はなく、タイヤの生産性を高めることができる。従って、本発明では、カーカス層に切断破面を有する空気入りタイヤに比べて、耐久性、操縦安定性及び生産性が優れている。
【0017】
また、上記カーカス構造では、左右のサイド領域8における往復折り返し部9の高さを任意に設定することができるので、サイド部の剛性を自在に調整することが可能となる。これにより、カーカスコード6にタイヤ内圧による張力があまりかからないベルト層5の下方域ではカーカスコード6の使用量を低減してコストダウンを図ることが可能になる。
【0018】
従って、カーカスコードを左右一対のビード部間に切れ目なく連続的に往復させて編み上げた空気入りタイヤに比べて、設計の自由度が大きくなり、かつコストダウンを図ることができる。なお、上記カーカス構造では、全カーカスコード中の少なくとも一部のカーカスコード6が左右一対のビードコア3,3間にわたって往復しているので、タイヤ成形時にインフレート成形を行うことが可能である。
【0019】
本発明において、サイド領域8における往復折り返し部9のビードコア3の内径面からの高さHは、全ての往復折り返し部9をタイヤ周方向に同一にしてもよく、或いはランダムに異ならせるようにしてもよい。このように往復折り返し部9の高さHを種々異ならせることにより、サイド部の剛性を調整することが容易になり、設計の自由度が増大する。また、往復折り返し部9のビードコア3の内径面からの高さHは50mm以上にすることが肝要である。このように往復折り返し部9の高さHを50mm以上にすることにより、サイド部の剛性を十分に確保することができる。また、往復折り返し部9の高さHの上限はベルト層5のエッジに対応するところまでとする。
【0020】
【実施例】
タイヤサイズを185/60R14とし、カーカス構造だけを下記のように異ならせた本発明タイヤ、従来タイヤ及び比較タイヤ1、2を製作した。
【0021】
本発明タイヤ1
カーカスコードを左右一対のビードコア間に往復させると共に、該ビードコアとショルダー部との間の左右のサイド領域に往復させ、これらビードコア間の往復と左右のサイド領域の往復とを図4(a)のようにタイヤ周方向に1対1の割合で交互に組み合わせてカーカス層を形成し、そのサイド領域における往復折り返し部のビードコアからの高さを50mmにした。
【0022】
比較タイヤ1
サイド領域における往復折り返し部のビードコアからの高さを20mmにしたこと以外は本発明タイヤ1と同じカーカス構造にした。
【0023】
従来タイヤ
図5のようにカーカスコードの切断破面を有するカーカス材を左右一対のビード部間に装架し、該カーカス材のタイヤ幅方向両端部をビードコアの周りにタイヤ内側から外側へ巻き上げることにより、カーカスコードの巻き上げ高さを50mmにした。
【0024】
比較タイヤ
図6のようにカーカスコードを左右一対のビード部間に連続的に往復させてカーカス層を形成した。
【0025】
これら試験タイヤについて、下記の試験方法により、生産性、サイド剛性、操縦安定性、荷重耐久性、カーカスコード使用量を評価し、その結果を表1に示した。
【0026】
生産性:
各試験タイヤについて、単位時間当たりに生産されるタイヤの本数を求め、従来タイヤを100とする指数で示した。この指数値が大きいほど生産性が高いことを示す。
【0027】
サイド剛性:
各試験タイヤについて、タイヤ回転軸方向の剛性を測定し、従来タイヤを100とする指数で示した。この指数値が大きいほどサイド部の周剛性が大きい。
【0028】
操縦安定性:
各試験タイヤを空気圧1.9kg/cm2 で排気量1.6リットルの国産乗用車に装着し、テストドライバーによるフィーリングテストを行った。その評価結果は、従来タイヤを100とする指数で示した。この指数値が大きいほど操縦安定性が優れている。
【0029】
荷重耐久性:
JIS D4230に準拠した試験方法により荷重耐久性を評価し、従来タイヤを100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど荷重耐久性が優れている。
【0030】
カーカスコード使用量:
各タイヤについて、カーカスコードの使用量を求め、従来タイヤを100とする指数で示した。この指数値が小さいほどカーカスコードの使用量が少ない。
【0031】
【表1】
Figure 0003774541
【0032】
この表1から明らかなように、本発明タイヤは、切断破面を有するカーカス材を使用した従来タイヤに比べて荷重耐久性、操縦安定性及び生産性が優れていると共に、従来タイヤと略同等のサイド剛性を維持しながらカーカスコードの使用量を低減することができた。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、カーカスコードを左右一対のビードコア間に往復させると共に、該左右のビードコアと各ビードコアに隣接するショルダー部との間のサイド領域にそれぞれ往復させ、これらビードコア間の往復とサイド領域の往復とをタイヤ周方向に連続的に組み合わせながら延在させてカーカス層を形成することで、カーカス層に切断破面を有する従来の空気入りタイヤに比べて耐久性、操縦安定性、生産性を向上しながら、サイド部の剛性を調整自在にし、しかもカーカスコードの使用量を低減してコストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態からなる空気入りタイヤを例示する子午線断面図である。
【図2】図1のタイヤのカーカス層を示す斜視図である。
【図3】図1のタイヤのカーカス層を示す平面図である。
【図4】(a)〜(e)は、図1のタイヤにおけるビードロック構造を例示する斜視図である。
【図5】従来タイヤのビードロック構造を示す斜視図である。
【図6】比較タイヤのビードロック構造を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 ビード部
2 カーカス層
3 ビードコア
6 カーカスコード
7 ショルダー部
8 サイド領域

Claims (3)

  1. カーカスコードをラジアル配列してなるカーカス層とベルト層とを有する空気入りラジアルタイヤにおいて、前記カーカスコードを左右一対のビードコア間に往復させると共に、該左右のビードコアと各ビードコアに隣接するショルダー部との間のサイド領域にそれぞれ往復させ、これらビードコア間の往復とサイド領域の往復とをタイヤ周方向に連続的に組み合わせ、かつ、前記サイド領域における往復折り返し部の前記ビードコアの内径面からの高さを50mm以上でかつ前記ベルト層のエッジの高さまでの範囲内にして延在させてカーカス層を形成した空気入りラジアルタイヤ。
  2. 前記サイド領域における往復折り返し部の前記ビードコアからの高さを複数の異なる大きさに設定した請求項1に記載の空気入りラジアルタイヤ。
  3. 前記サイド領域を通過するカーカスコードの本数をZとし、そのうち左右のビードコア間を往復するカーカスコードの本数をBとして、0.2<B/Z<0.6の範囲でカーカス層が形成されてなる請求項1または2に記載の空気入りラジアルタイヤ。
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