JP3774886B2 - アンカー施工方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、高被圧水が流出するような地下水の移動の激しい地盤にアンカーを造成するのに適したアンカー施工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のアンカーは、アンボンドPC鋼より線等を緊張材として組み込んだアンカーテンドンをアンカー孔に挿入し、グラウト材の注入・固化のもとで固定させて緊張材を緊張、定着させるのが通常である。
【0003】
従来のアンカー施工方法の一例を図8及び図9において説明する。図8はアンカーの従来例を示す断面図、図9は図8の部分拡大斜視図である。
地盤に掘削したアンカー孔6には、セメントミルク等のグラウト材を注入して固化させたアンカー体7が形成され、このアンカー体7内には、複数(本例では3個)の耐荷体2a、2b、2cが深さ位置を違えて配設され、その各耐荷体2a、2b、2cには、それぞれ独立のアンボンドPC鋼より線等の緊張材3がUターンさせて巻き掛けられたアンカーテンドン1が設けられ、その緊張材3の端部がアンカー孔6の開口外で緊張、定着されている。
【0004】
アンカー孔6は、削孔機を用いて削孔され、このアンカー孔6にグラウト材の1次注入を行い、ここにテンドン1加工をした復数の緊張材3が挿入され、次にケーシングを引き抜きながらグラウト材の2次注入を行い、グラウト材の固化後、複数の緊張材3を緊張して定着する。前記ケーシングには削孔機の掘削ロッドをそのまま用いる。
【0005】
耐荷体2a、2b、2cは、図9に示すように先端に、緊張材3を挿入して折り返す(Uターンさせる)溝9がU字状に形成されており、緊張材3は、各耐荷体2a、2b、2cの先端で溝9に挿入されて折り曲げられUターンされ、耐荷体2a、2b、2cに金属バンド10で固定される。
【0006】
耐荷体2a、2b、2cは、定着部に深さ位置を違えて、等間隔又は不等間隔で配置される。このため浅い位置側の耐荷体2b、2cの側部は、深い位置側の耐荷体2aから折り返された緊張材3が通過することとなるため、これらの緊張材3も全て耐荷体2b、2cに金属バンド10で固定される。すなわち、耐荷体2bには耐荷体2aから折り返された緊張材3も固定されるし、耐荷体2cには、耐荷体2aおよび2bから折り返された緊張材3も固定される(図9参照)。前記定着部の長さは、設計荷重に対応して削孔径や地盤土質の性状等により決定される。
【0007】
前記のように配設された複数の緊張材3は、アンカー孔6の開口外において緊張して定着される。図8においては、台座11、支圧プレート12及びアンカーヘッド13等の定着具で定着されている。なお、符号14は山留壁、15は腹起し材を示す。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記のような従来のアンカー施工方法においては、地盤が高被圧水を流出するような地下水の移動の激しい地盤であると、アンカー孔6にグラウト材を注入しても、地下水及び高被圧水でグラウト材が硬化するまでに洗われたり,グラウト材が希釈され、アンカー造成ができなかったり、アンカー体7と地盤との付着に悪影響を与え、所定のアンカー耐力が得られない、等の課題がある。
【0009】
この発明は、このような従来技術の課題を解決せんと提案されたものであり、その目的は、高被圧水が流出するような地下水の移動の激しい地盤にアンカーを造成するのに最適なアンカー施工方法の提供にある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、この発明のアンカー施工方法は、下記工程よりなることを特徴とする。
(1)先端に捨てビットを具備する掘削パイプを使用し、所定の角度で所定の深度までアンカー孔を削孔する工程、
(2)予めアンカーテンドンの定着部に織布製の袋体を被せ、その中にグラウト注入用のホースとグラウト充填確認用のホースを差し込んだアンカーテンドンを、前記掘削パイプをケーシングとしてその内に挿入する工程、
(3)前記挿入したアンカーテンドンで前記ケーシング先端の捨てビットを叩いてケーシングから外す工程、
(4)前記挿入したアンカーテンドンを傷つけないように前記ケーシングを引き抜く工程、
(5)前記袋体内にグラウト注入用のホースによってグラウト材を注入する工程、
(6)グラウト充填確認用のホースで前記グラウト材の充填状態を確認し、所定の充填状態になったらグラウト充填確認用のホースを閉じる工程、
(7)さらに前記グラウト注入用のホースからグラウト材を加圧注入し、袋体の外周面をアンカー孔の孔壁に加圧密着させ、地盤とアンカー定着体の密着性をよくし、十分に加圧注入後グラウト注入用のホースを閉じ、グラウト材を固化させる工程、
(8)前記アンカー孔の口元を口元パッカーで止水する工程、
(9)アンカーテンドンの緊張材を、緊張、定着させる工程。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1乃至図5はこの発明の実施の形態を施工順に示す概略断面図、図6はこの発明の実施の形態を示す部分斜視図、図7はこの発明のアンカー施工方法に使用する耐荷体の斜視図であり、前記図8及び図9に示す従来例と同一構成要素には同一符号を付して説明する。
【0012】
この発明のアンカー施工方法は、アンカーテンドン1の定着部に相当する範囲に織布製の袋体8を被せ、この袋体8内にグラウト注入用ホースとしてグラウト注入管16を差し込み、袋体8の開口を封止17し、この袋体8が被せられたグラウト注入管16を含むアンカーテンドン1をアンカー孔6内に挿入した後、前記グラウト注入管16よりグラウト材を加圧注入し、袋体8の外周面がアンカー孔6の孔壁に加圧密着されるまで加圧充填する。
【0013】
前記アンカーテンドン1は、図6に示すように同一軸線上に複数の耐荷体2、2を配置し、各耐荷体2、2に独立したPC鋼より線等の緊張材3を各々ターンさせて構成され、グラウト注入管16も前記耐荷体2、2に固定して配設し、アンカーテンドン1の一部となるように組み込まれており、このグラウト注入管16を含むアンカーテンドン1の定着部に相当する範囲に織布製の袋体8を被せ、その開口を封止17し、これをアンカー孔6内に挿入した後、前記グラウト注入管16よりグラウト材を加圧注入し、袋体8の外周面がアンカー孔6の孔壁に加圧密着するまで加圧充填する。
【0014】
図1乃至図5に基づいて更に具体的に説明すると、まず、図1に示すように掘削機(図示省略)を用いて先端に捨てビット21を具備する掘削パイプ(これは単管パイプ)20で、アンカー孔6を削孔する。これは所定の角度で所定の深度まで行う。所定の深度まで削孔したら削孔を停止し、掘削機を掘削パイプ20から取り外し、この掘削パイプ20をケーシングとして用いる。
【0015】
一方、予めアンカーテンドン1の定着部に相当する範囲に織布製の袋体8を被せ、その中にグラウト注入用のホース22(グラウト注入管16)とグラウト充填確認用のホース(以下、リターンホースと称す)23を差し込んだアンカーテンドン1を用意しておき、このアンカーテンドン1を図2に示すように前記掘削パイプ20をケーシングとしてその中に挿入する。符号17は、袋体8の開口の封止部を示す。
【0016】
好ましくは、図6に示すように同一軸線上に複数の耐荷体2、2を配置し、各耐荷体2、2に独立した緊張材3を各々ターンさせて構成され、グラウト注入管16も前記耐荷体2、2に固定して配設して組み込み、このグラウト注入管16を含む定着部に相当する範囲に織布製の袋体8を被せ、その開口を封止したアンカーテンドン1とする。耐荷体2は、図7に示すように緊張材3を挿入してUターンさせる凹溝9と、グラウト注入管16を挿通する凹溝19とが設けられて構成され、緊張材3は凹溝9に挿入されてUターンされ、グラウト注入管16は凹溝19に挿通されて配管され、いずれも金属バンド10で締結固定される。このように構成したアンカーテンドン1を、前記ケーシング20中に挿入する。本例においては、グラウト注入管16が、前記グラウト注入用のホース22となる。
【0017】
次に、図2に示すようにケーシング20内に挿入したアンカーテンドン1で、ケーシング20先端の捨てビット21を叩いてケーシング20から取り外す(分離する)。ここで、ケーシング20から捨てビット21を取り外すのは、次の工程でアンカーテンドン1をアンカー孔6内に残してケーシング20を引き抜くためである。捨てビット21があると障害となりアンカーテンドン1をアンカー孔6内に残して引き抜くことができないからである。捨てビット21は、アンカーテンドン1で叩けば取り外すことができる構造であり、従来公知の手段が採用される。
【0018】
次に、図3に示すように前記挿入したアンカーテンドン1を傷つけないように前記ケーシング20を引き抜く。するとアンカーテンドン1がアンカー孔6内に設置された状態になると共に、捨てビット21はアンカー孔6の孔底に残される。
【0019】
次に、図4に示すように前記袋体8内にグラウト注入用のホース22またはグラウト注入管16からセメントミルク等のグラウト材を加圧注入する。このグラウト材の加圧注入による充填状態の確認は、グラウト充填確認用のリターンホース23で確認する。リターンホース23から流出するグラウト材が、グラウト注入用のホース22またはグラウト注入管16から注入するグラウト材と同等の濃さになれば所定の充填状態と判断する。リターンホース23で所定の充填状態と確認したら、このリターンホース23は閉口する。このとき袋体8の中はグラウト材で充填された状態となる。
【0020】
次に、リターンホース23を閉口したら、さらにグラウト注入用のホース22またはグラウト注入管16からグラウト材を加圧注入し、袋体8の外周面をアンカー孔6の孔壁に加圧密着させ、地盤とアンカー体(アンカー定着体)7の密着性をよくし、十分に加圧注入後グラウト注入用のホース23またはグラウト注入管16を閉口し、グラウト材を固化させる。袋体8を織布製としたのは、この時グラウト材が袋体8の外周面からしみ出てアンカー孔6の孔壁(地盤)との付着力を向上させ一体化し、耐力が増加するからである。
【0021】
次に、図5に示すようにアンカー孔6の口元を口元パッカー24で止水する。この口元パッカー24はアンカーテンドン1を通して止水壁部18の口元にセットし、ホース25から口元パッカー24内にセメントミルク等のグラウト材を注入充填し、流水が止まるのを確認して充填を止める。さらにホース26を利用して口元パッカー24より内側のアンカー孔6の空洞部にグラウト材を注入する。
【0022】
そして、最後にアンカーテンドン1の緊張材3を、緊張、定着させる。この緊張、定着手段は、従来公知の手段が採用される。
【0023】
しかして、アンカーテンドン1は、定着部に相当する部分に袋体8が被せられてアンカー孔6内に挿入され、この袋体8内にグラウト材が加圧注入されてアンカーが施工されるため、地盤が高被圧水を流出するような地下水の移動の激しい地盤であっても、グラウト材が固化するまでに洗われたり、希釈されることがない。
なお、前記実施の形態は、この発明を説明するためのものであって、この発明を限定するものではなく、この発明の技術的範囲内において変形、改造等も許されるものである。
【0024】
【発明の効果】
以上詳細に説明した通り、この発明のアンカー施工方法は、アンカーテンドンの定着部に相当する範囲に織布製の袋体を被せ、この袋体内にグラウト注入用ホース(グラウト注入管)を差し込み、袋体の開口を封止し、この袋体が被せられたグラウト注入用ホース(グラウト注入管)を含むアンカーテンドンをアンカー孔内に挿入した後、前記グラウト注入用ホース(グラウト注入管)よりグラウト材を加圧注入し、袋体の外周面がアンカー孔の孔壁に加圧密着するまで加圧充填するので、地盤が高被圧水を流出するような地下水の移動の激しい地盤であっても、充填したグラウト材が固化するまでに洗われたり、希釈されることがなく、アンカー造成ができなかったり、アンカー体と地盤との付着に悪影響を与え、所定のアンカー耐力が得られない、といった課題は全て解決される。
【0025】
この発明のアンカー施工方法によれば、地盤が高被圧水を流出するような地下水の移動の激しい地盤であっても、所定のアンカー耐力の有するアンカーの施工が可能となるばかりでなく、そのアンカーも容易に施工できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態の施工順に示す概略断面図である。
【図2】 この発明の実施の形態の次の施工順を示す概略説明図である。
【図3】 この発明の実施の形態のまた次の施工順を示す概略説明図である。
【図4】 この発明の実施の形態のさらに次の施工順を示す概略説明図である。
【図5】 この発明の実施の形態のまたさらに次の施工順を示す概略説明図である。
【図6】 この発明の実施の形態に係るアンカーテンドンの部分斜視図である。
【図7】 この発明の実施の形態に係る耐荷体の斜視図である。
【図8】 従来のアンカー施工方法を示す断面図である。
【図9】 従来のアンカー施工方法に係るアンカーテンドンの部分斜視図である。
【符号の説明】
1 アンカーテンドン
2 耐荷体
3 緊張材
6 アンカー孔
7 アンカー体
8 袋体
16 グラウト注入管
17 袋体の開口の封止部
20 掘削パイプ(ケーシング)
21 捨てビット
22 グラウト注入用のホース
23 グラウト充填確認用のホース(リターンホース)
24 口元パッカー
Claims (1)
- 下記工程よりなることを特徴とするアンカー施工方法。
(1)先端に捨てビットを具備する掘削パイプを使用し、所定の角度で所定の深度までアンカー孔を削孔する工程、
(2)予めアンカーテンドンの定着部に織布製の袋体を被せ、その中にグラウト注入用のホースとグラウト充填確認用のホースを差し込んだアンカーテンドンを、前記掘削パイプをケーシングとしてその内に挿入する工程、
(3)前記挿入したアンカーテンドンで前記ケーシング先端の捨てビットを叩いてケーシングから外す工程、
(4)前記挿入したアンカーテンドンを傷つけないように前記ケーシングを引き抜く工程、
(5)前記袋体内にグラウト注入用のホースによってグラウト材を注入する工程、
(6)グラウト充填確認用のホースで前記グラウト材の充填状態を確認し、所定の充填状態になったらグラウト充填確認用のホースを閉じる工程、
(7)さらに前記グラウト注入用のホースからグラウト材を加圧注入し、袋体の外周面をアンカー孔の孔壁に加圧密着させ、地盤とアンカー定着体の密着性をよくし、十分に加圧注入後グラウト注入用のホースを閉じ、グラウト材を固化させる工程、
(8)前記アンカー孔の口元を口元パッカーで止水する工程、
(9)アンカーテンドンの緊張材を、緊張、定着させる工程。
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