JP3868730B2 - 自走式建設機械のブレーキ機構 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この出願の発明は、ブレーキ装置を駆動するための動力源に作動油を利用し、ブレーキ装置へ制動力を伝達するための媒体にこの作動油とブレーキ液を用いたオイル・バイ・オイルブレーキと称するホイールショベル等の自走式建設機械のブレーキ機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ホイールショベル等の自走式建設機械のブレーキシステムには、ブレーキ装置を駆動するための動力源に圧縮空気を利用し、ブレーキ装置へ制動力を伝達するための媒体にこの圧縮空気とブレーキ液を用いたエアオバーハイドロブレーキと称するシステム、前記動力源に作動油を利用し、ブレーキ装置への制動力伝達媒体にこの作動油とブレーキ液を用いたオイル・バイ・オイルブレーキと称するシステム、前記動力源及び制動力伝達媒体の双方に作動油を用いた全油圧ブレーキと称するシステムの3種類のブレーキシステムがある。
【0003】
出願人は、自走式建設機械のブレーキシステムに、これまでエアオバーハイドロブレーキのブレーキシステムを採用していたが、このブレーキシステムは、コンプレッサ、エアタンク、エアドライヤ等の専用の空圧機器が必要となって、部品点数が多く原価の面でも不利であるという問題が生じた。また、エア漏れが発生した際にエア漏れの発生部位の確認作業に時間を要したり、空圧機器の定期交換が必要になったりするというような問題も生じた。こうしたことから、出願人は、こうしたブレーキシステムに代えてオイル・バイ・オイルブレーキのブレーキシステムを自走式建設機械のブレーキシステムに採用することについて、これまで研究開発を進めてきた。
【0004】
このオイル・バイ・オイルブレーキの自走式建設機械のブレーキ機構は、ブレーキ液の液圧により駆動されるホイールシリンダ等を有するブレーキ装置と、一次側に作用する作動油の油圧を増圧して二次側のブレーキ液に伝達してその液圧をブレーキ装置に供給するブースタと、油タンク内の作動油を加圧してその圧油をブースタへ供給する油圧ポンプと、オペレータがブレーキペダルを踏むことにより操作されるブレーキバルブとを備えている。このブレーキバルブは、ブレーキペダルの踏み込み量に応じてブースタへの圧油の供給量を調節できるとともに非操作時に二次側の圧油を油タンクへ排出するように構成されている。また、このブレーキ機構は、ブレーキバルブの一次側に配設され油圧ポンプから供給される圧油の最高圧力を制限するように圧力調整し、その結果生じた余剰油を油タンクへ返送するリリーフバルブと、ブレーキバルブの一次側に配設されリリーフバルブで圧力調整された圧油を蓄えるアキュムレータを備えている。
【0005】
後に詳述する図1以降に図示の各自走式建設機械のブレーキ機構は、こうした従来のブレーキ機構をベースにして構成していて従来のブレーキ機構を包含しているので、このオイル・バイ・オイルブレーキのブレーキ機構を理解するに当たっては、図1及びその説明を参考にされたい。オイル・バイ・オイルブレーキのブレーキ機構では、作動油に鉱油系の油を使用しているのに対し、ブレーキ液には、鉱油系の油に比べて粘性が低い非鉱油系の油を使用しており、温度変化による粘性の変化が少ない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このオイル・バイ・オイルブレーキによる従来のブレーキ機構では、制動力伝達媒体として、ブースタの二次側には、温度変化による粘性の変化が少ない非鉱油系の油のブレーキ液を用いているものの、油圧ポンプからブースタの一次側に至る流路には、低温の環境下で粘性が高まる作動油を用いている。そのため、氷点下の環境下、特に外気温がー10°Cやー20°Cというようなきわめて低い環境下では、作動油の粘性が著しく高まることにより粘性抵抗が増加して、ブースタから油タンクに至るまでの作動油の排出流路内の圧力損失が大きくなる。
【0007】
そうすると、ブレーキペダルを踏み込んだ状態からこれを離してブレーキバルブを非操作状態にしても、ブースタの一次側の作動油が中々排出されないでブースタのシリンダ内に残圧が発生する。その結果、ブレーキペダルが操作されていないにもかかわらずブレーキが効いている状態が生じて、いわゆる引きずりが発生する。この引きずりが発生すると、ブレーキが効いた状態で自走式建設機械が走行するため、走行抵抗となり、燃料消費量が増加したりブレーキシューのブレーキライニングが摩耗したりする等の問題が発生する。
【0008】
この出願の発明は、こうした従来の技術の問題を解決するために創作されたものであって、その技術課題は、外気温が低くても引きずりが発生しない自走式建設機械のブレーキ機構を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、こうした技術課題を解決するため、
ブレーキ液の液圧により駆動されるブレーキ装置と、一次側に作用する作動油の油圧を増圧して二次側のブレーキ液に伝達してその液圧をブレーキ装置に供給するブースタと、油タンク内の作動油を加圧してその圧油をブースタへ供給する油圧ポンプと、オペレータにより操作されその操作量に応じてブースタへの圧油の供給量を調節できるとともに非操作時に一次側から二次側への圧油の流通を遮断して二次側の圧油を排出するブレーキバルブと、ブレーキバルブの一次側に配設され油圧ポンプから供給される圧油の最高圧力を制限するように圧力調整して余剰油を油タンクへ返送するリリーフバルブと、ブレーキバルブの一次側に配設されリリーフバルブで圧力調整された圧油を蓄えるアキュムレータとを備えた自走式建設機械のブレーキ機構において、
ブレーキバルブの二次側の圧油を排出するためのブレーキバルブの排出ポートを油圧ポンプの吸込み口側に接続する接続回路を設けて、ブレーキバルブの操作を解除したときに、ブースタの一次側の残圧として作用する作動油を、ブレーキバルブの排出ポートから油圧ポンプで強制的に吸引することができるようにした。
【0010】
本発明は、こうした手段を採用しているので、自走式建設機械の運転を開始した後、ブレーキバルブが操作されていない状態にあるときには、油圧ポンプの圧油がリリーフバルブを通過して油タンクへ返送され、こうした過程が繰り返されているとともに、ブースタの一次側の作動油は、ブレーキバルブの排出ポートを通じて排出されていて、ブレーキ装置は、作動していない状態にある。この状態でオペレータがブレーキバルブを操作すると、ブレーキバルブは、切り換えられてその操作量に応じて圧油の供給量を調節しながら油圧ポンプの圧油をブースタの一次側へ供給し、ブレーキ装置を作動させる。
【0011】
しかる後、オペレータがブレーキバルブの操作を解除すると、ブレーキバルブは、非操作状態に切り換えられて一次側から二次側への圧油の流通を遮断するとともに、ブースタの一次側の残圧として作用する作動油を、ブレーキバルブの排出ポートから油圧ポンプで強制的に吸引するようにしながら接続回路を通じて速やかに排出する。本発明の自走式建設機械のブレーキ機構は、このように、ブレーキバルブの操作を解除するときにブースタの作動油を油圧ポンプで強制的に吸引するようにしているので、ブレーキ装置の作動を速やかに解除することができて、外気温が低く作動油の粘性が著しく高まったときでも、引きずりが発生しない。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明が実際上どのように具体化されるのかを示す具体化例を図1乃至図5に基づいて説明することにより、本発明の実施の形態を明らかにする。図1は、本発明の第1の具体化例に係る自走式建設機械のブレーキ機構におけるブレーキ用油圧回路を示す図、図2は、本発明の第2の具体化例に係る自走式建設機械のブレーキ機構におけるブレーキ用油圧回路を示す図、図3は、図2及び図5のブレーキ用油圧回路と関連してコントローラで制御される自走式建設機械の走行用油圧回路の一例を示す図、図4は、本発明の第3の具体化例に係る自走式建設機械のブレーキ機構におけるブレーキ用油圧回路を示す図、図5は、本発明の第4の具体化例に係る自走式建設機械のブレーキ機構におけるブレーキ用油圧回路を示すを示す図である。
【0013】
本発明の第1の具体化例に係る自走式建設機械のブレーキ機構を、図1に基づいて説明する。
【0014】
図1において、21はブレーキ液の液圧により駆動されるブレーキ装置を構成するホイールシリンダ、22は一次側に作用する作動油の油圧を増圧して二次側のブレーキ液に伝達してその液圧をホイールシリンダ21に供給するブースタ、23は油タンク24内の作動油を加圧してその圧油をブースタ22へ供給するブレーキ用の油圧ポンプ、24は油タンク、25はオペレータにより操作されその操作量に応じてブースタ22への圧油の供給量を調節できるとともに非操作時に一次側から二次側への圧油の流通を遮断して二次側の圧油を油タンク24へ逃がすブレーキバルブ、26はブレーキバルブ25の一次側に配設され油圧ポンプ23から供給される圧油の最高圧力を制限するように圧力調整して余剰油を油タンク24へ返送するリリーフバルブ、27はブレーキバルブ25の一次側に配設されリリーフバルブ26で圧力調整された圧油を蓄えるアキュムレータ、28はアキュムレータ27内の圧油の逆流を阻止するチェックバルブである。
【0015】
ホイールシリンダ21は、ブースタ22の二次側のブレーキ液が供給されたときに伸長してブレーキシュー21aを押し広げ、自走式建設機械にブレーキをかけることができる。ブースタ22は、一次側に設けられる大断面積のラムシリンダ22aと二次側に設けられる小断面積のラムシリンダ22bとを組み合わせることにより一次側に作用する作動油の圧力を増圧して二次側のブレーキ液に伝達する。前述したように、ブースタ22の一次側に作用する作動油は、低温の環境下で粘性が高まる性質を有するのに対し、二次側のブレーキ液は、温度変化による粘性の変化が少ない性質を有する。ブースタ22についての作動油の供給排出は、センタージョイント29を通じて行われる。
【0016】
ブレーキバルブ25は、オペレータがブレーキペダル25aを踏むことにより切換操作され、ブースタ22の一次側における作動油の流れを制御する。すなわち、オペレータがブレーキバルブ25を踏むと、その踏み込み量に応じて下位置から順次中央位置及び上位置に切り換えられる。ブレーキペダル25aを踏まないときには、下位置に切り換えられており、油圧ポンプ23からの圧油をブースタ22へ供給するための供給ポートを閉じて一次側から二次側への圧油の流通を遮断するとともにブースタ22の一次側(ブレーキバルブ25の二次側)の作動油を排出するための排出ポートを開く。また、ブレーキバルブ25を踏んで中央位置に切り換えられると、供給ポート及び排出ポートの双方を閉じ、上位置に切り換えられると、供給ポートを開き、排出ポートを閉じるとともに、踏み込み量に応じてブースタ22への圧油の供給量を調節し、ひいては、ブースタ22へ出力する油圧の圧力値を調節することができる。
【0017】
リリーフバルブ26は、ブレーキ用油圧回路を保護するために設けられるが、そのリリーフ圧は、少なくともブレーキバルブ25の二次圧よりも高く設定し、アキュムレータ27に蓄えるべき圧力値等を考慮しながら設定する。アキュムレータ27は、油圧ポンプ23で発生した油圧を蓄圧してブレーキの応答性を良くするために設けられるとともに、エンジンを停止させて油圧ポンプ23が停止したときでも、ブレーキを作動させることができるようにするために設けられている。以上述べた機器は、オイル・バイ・オイルブレーキのブレーキ機構が通常備えている機器である。
【0018】
この図1の自走式建設機械のブレーキ機構は、こうしたオイル・バイ・オイルブレーキのブレーキ機構において、二次側の圧油を排出するためのブレーキバルブ25の排出ポートを油圧ポンプ23の吸込み口側に接続する接続回路20を設けている。すなわち、油タンク24内の作動油を油圧ポンプ23に導く作動油導入用の流路Aとブレーキバルブ25の排出ポートとの間を、フィルタ20aを設けた接続回路20により接続し、ブレーキバルブ25が下位置に切り換えられたときに、ブースタ22の一次側に供給されている作動油をブレーキバルブ25の排出ポートから接続回路20及び作動油導入用の流路Aを通じて油圧ポンプ23に導入できるようにしている。ブレーキバルブ25の排出ポートは、通常、流路を介して油タンク24に接続されているが、本ブレーキ機構では、こうした排出ポートを油圧ポンプ23に接続している。
【0019】
このような自走式建設機械のブレーキ機構において、オペレータが自走式建設機械の運転を開始してブレーキ用の油圧ポンプ23を駆動すると、ブレーキバルブ25が図示の下位置にあるときすなわちブレーキバルブ25の非操作時には、油圧ポンプ23の圧油は、ブースタ22側への流通をブレーキバルブ25で遮断されているため、リリーフバルブ26を通過して油タンク24へ返送され、こうした過程が繰り返されている。また、ブースタ22の一次側の作動油は、ブレーキバルブ25の排出ポートを通じて排出されていて、ブレーキ装置のホイールシリンダ21は、作動していない状態にある。
【0020】
この状態でオペレータがブレーキをかけるためにブレーキペダル25aを踏み込んでブレーキバルブ25を操作すると、ブレーキバルブ25は、中間位置を経た後に上位置に切り換えられ、その操作量に応じて圧油の供給量を調節しながらブレーキ用の油圧ポンプ23の圧油をブースタ22の一次側へ供給し、ホイールシリンダ21を伸長させてブレーキ装置を作動させる。このとき、ブレーキバルブ25は、その排出ポートを閉じていて、ブースタ22の一次側の作動油が接続回路20側に排出されるのを阻止している。
【0021】
しかる後、オペレータがブレーキバルブ25の操作を解除すると、ブレーキバルブ25は、非操作状態の下位置に切り換えられて一次側から二次側への圧油の流通を遮断するとともに、ブースタ22の一次側の残圧として作用する作動油を、ブレーキバルブ25の排出ポートからブレーキ用の油圧ポンプ23で強制的に吸引するようにしながら接続回路20を通じて速やかに排出する。この自走式建設機械のブレーキ機構は、このように、ブレーキバルブ25の操作を解除するときにブースタ22の作動油を油圧ポンプ23で強制的に吸引するようにしているので、ブレーキ装置をなすホイールシリンダ21の作動を速やかに解除することができて、外気温が低く作動油の粘性が著しく高まったときでも、引きずりが発生しない。その結果、ブレーキが効いた状態で自走式建設機械が走行することは防止できるため、こうしたことに起因して燃料消費量が増加したりブレーキシューのブレーキライニングが摩耗したりする等の問題が発生することはなくなる。
【0022】
作動油の中に含まれる固形物は、油圧ポンプ23やリリーフバルブ26、チェックバルブ28等の制御弁を損傷させる原因となるが、図1の例では、接続回路20に特にフィルタ20aを設けているので、ブースタ22の一次側等で発生する金属粉やパッキン屑等の固形物をこのフィルタ20aにより除去して油圧ポンプ23や前記制御弁に入り込ませないようにすることができ、これらの損傷を防止することができる。図1の例では、ブレーキバルブ25の排出ポートを接続回路20により油圧ポンプ23の吸込み口側に接続しているが、この接続回路20に、油タンク24に通じる分岐流路を設け、作動油の温度が低くないときには、ブースタ22の作動油を、この分岐流路に導入するように切換弁等で流路を切り換えて、分岐流路を通じて油タンク24に排出できるようにしてもよい。
【0023】
以上、外気温が低くても引きずりが発生しないように改良した本発明の自走式建設機械のブレーキ機構に関する基本例について述べたが、こうしたブレーキ機構において、外気温が低くてもブレーキの応答性が悪化しない手段を付加した本発明の第2〜第4の具体化例に係る自走式建設機械のブレーキ機構について説明する。なお、これらのブレーキ機構を図示した図2乃至図5において図1と同一の符号をつけた部分は、同図と同等の部分を表すので、詳述しない。
【0024】
これらの各具体化例のブレーキ機構は、何れも、図1のブレーキ機構と同様、ブレーキ液の液圧により駆動されるホイールシリンダ21やブレーキシュー21a等からなるブレーキ装置と、一次側に作用する作動油の油圧を増圧して二次側のブレーキ液に伝達してその液圧をホイールシリンダ21に供給するブースタ22と、油タンク24内の作動油を加圧してその圧油をブースタ22へ供給する油圧ポンプ23と、オペレータにより操作されその操作量に応じてブースタ22への圧油の供給量を調節できるとともに非操作時に一次側から二次側への圧油の流通を遮断して二次側の圧油を排出するブレーキバルブ25と、ブレーキバルブ25の一次側に配設され油圧ポンプ23から供給される圧油の最高圧力を制限するように圧力調整して余剰油を油タンク24へ返送するリリーフバルブ26と、ブレーキバルブ25の一次側に配設されリリーフバルブ26で圧力調整された圧油を蓄えるアキュムレータ27とを備えている。また、こうしたオイル・バイ・オイルブレーキのブレーキ機構において、ブレーキバルブ25の二次側の圧油を排出するためのブレーキバルブ25の排出ポートを油圧ポンプ23の吸込み口側に接続する接続回路20を設けて、ブレーキバルブ25の操作を解除したときに、ブースタ22の一次側の残圧として作用する作動油を、ブレーキバルブ25の排出ポートから油圧ポンプ23で強制的に吸引することができるようにしていて、図1のブレーキ機構の手段をそのまま備えている。
【0025】
まず、本発明の第2の具体化例のブレーキ機構について、補足事項を図2及び図3を用いて説明する。
【0026】
30はブースタ22へ供給する圧油の温度を検出する油温センサ、31はこの油温センサ30で検出された作動油の温度が設定温度以下に低下したときに、リリーフバルブ26で圧力調整された圧油がアキュムレータ27側へ流通するのを遮断するように切り換える圧油遮断用のソレノイドバルブ、32は前記作動油の温度が前記設定温度以下に低下したときに、アキュムレータ27内の圧油がブレーキバルブ25側へ流通するのを遮断するとともにその圧油を油タンク24へ排出するように切り換える圧油排出用のソレノイドバルブである。
【0027】
油温センサ30での作動油の温度の検出結果は、後述するコントローラ33に送られる。ソレノイドバルブ31,32は、通常時は、図2に示すように上位置に切り換えられていて、ポンプ23の油圧をブレーキバルブ25側へ供給する流路を開放している。また、作動油の温度が設定温度以下に低下すると、ソレノイドバルブ31,32は、コントローラ33により下位置に切り換えられて前記の流路を遮断し、このとき、ソレノイドバルブ32は、一次側を油タンク24側に連通させてアキュムレータ27内の圧油を油タンク24へ戻す。そのため、ブレーキバルブ25を操作しても、ブレーキをかけることができなくなる。
【0028】
以上、この自走式建設機械のブレーキ機構の主要部の技術内容について述べたが、次に、その全体のシステムを図3に基づいて説明する。
【0029】
図3には、便宜上、図2のブレーキ用油圧回路の図示は省略している。図3において、14は自走式建設機械を前進、後退又は停止させるように選択的に切換操作するための操作手段としての前後進スイッチ、33は図2のブレーキ用油圧回路中の油温センサ30による作動油の温度の検出結果が入力されその検出結果に基づいて同油圧回路中のソレノイドバルブ31,32及び後記走行用油圧回路中の前後進スイッチ14を制御するコントローラ、34は前後進スイッチ14の電路中に設けた常閉接点34aとコントローラ33からの電気信号により通電してその常閉接点34aを開放させるソレノイド34bとを有する走行リレー、35は自走式建設機械の運転開始時に走行体の駆動を可能にするように操作するためのキースイッチであり、コントローラ33に電気的に接続されている。
【0030】
コントローラ33には、作動油の粘性が高まってブレーキの応答性に悪影響が生じる限界付近の温度(例えば−10C°以下の適宜の温度)が設定温度として記憶されている。このコントローラ33は、ソレノイドバルブ31,32の信号受け部に電気的に接続されており、コントローラ33に入力される油温センサ30の検出結果がその設定温度以下になると、電気信号をソレノイドバルブ31,32へ出力してこれらを下位置に切り換えるとともに、走行リレー34へも電気信号を出力して前後進スイッチ14の電路を開放して前後進スイッチ14を機能させないように構成している。コントローラ33には、キースイッチ35が接続されているので、オペレータが自走式建設機械の運転を開始するためにキースイッチ35を操作すると、コントローラ33が自動的に働く。
【0031】
図3中、走行リレー34の上方に図示されている前後進スイッチ14を含む油圧回路は、走行用の油圧モータ4を駆動するための自走式建設機械の走行用油圧回路である。以下、この走行用油圧回路について概説する。
【0032】
走行用の油圧モータ4は、ホイールショベルのホイール等の自走式建設機械の走行体を駆動する。この油圧モータ4は、走行用の油圧ポンプ1で発生した圧油により回転駆動され、同油圧ポンプ1は、エンジン15により駆動される。この油圧ポンプ1の圧油は、パイロット式制御弁2でその方向及び流量が制御され、カウンタバランス弁3を経て油圧モータ4に供給される。パイロット式制御弁2は、パイロット油圧回路からのパイロット圧力によりその切換方向とストローク量が制御されて油圧モータ4の回転方向と回転速度を制御し、自走式建設機械の前進後退動作と走行速度を制御することができる。
【0033】
このパイロット油圧回路は、パイロット圧力の発生源となるパイロット用の油圧ポンプ5と、この油圧ポンプ5に接続されペダル6aの踏み込み量によりパイロット式制御弁2のストローク量を制御するパイロット弁6と、このパイロット弁6に接続されパイロット弁6への戻り油を遅延するスローリターン弁7と、このスローリターン弁7に接続され自走式建設機械の前進、後進又は中立(停止)を選択する前後進切換弁8とを有する。この前後進切換弁8は、電磁切換弁であり、前後進スイッチ14により切り換えられる。
【0034】
図3は、前後進切換弁8が中立位置(N位置)にあり、パイロット弁6が操作されていない状態を示している。この状態では、パイロット式制御弁2も中立位置にあって、走行用の油圧ポンプ1からの圧油が油タンク9に戻り、自走式建設機械は停止している。前後進切換弁8を前進位置(F位置)又は後退位置(R位置)に切り換えてパイロット弁6のペダル6aを踏み込み操作すると、パイロット用の油圧ポンプ5からパイロット圧がパイロット式制御弁2のパイロットポート2a又はパイロットポート2bに送られ、同制御弁2が切り換えられる。その場合、前記パイロット圧に応じてパイロット式制御弁2の開口量が調節される。その結果、油圧ポンプ1からの圧油がパイロット式制御弁2で流量調整され、管路12a又は管路12b、カウンタバランス弁3を経由して走行用の油圧モータ4に導かれて、同油圧モータ4が駆動されて自走式建設機械が走行する。
【0035】
その走行中にパイロット弁6のペダル6aを離すと、同パイロット弁6がパイロット圧を遮断して、その出口ポートがタンク10と連通する。その結果、パイロットポート2a又はパイロットポート2bに作用していた圧油が前後進切換弁8からスローリターン弁7及びパイロット弁6を経由して油タンク10に戻る。このとき、スローリターン弁7の絞り7aにより戻り油が絞られるから、パイロット式制御弁2は、徐々に中立位置に切り換わる。
【0036】
パイロット式制御弁2が中立位置に戻ると、走行用の油圧ポンプ1からの圧油は油タンク9に戻り、カウンタバランス弁3も図示の中立位置に切り換わる。その結果、走行用の油圧モータ4からの圧油は、カウンタバランス弁3の絞り3a又は絞り3b及びパイロット式制御弁2内の絞り2cにより絞られるので、流量が多い場合には、リリーフ弁11a又はリリーフ弁11bが開いて、大きな油圧ブレーキが働く。この油圧ブレーキの働きにより減速されて油圧モータ4の吐出流量が減少すると、リリーフ弁11a又は11bは閉じ、カウンタバランス弁3の絞り3a又は絞り3bとパイロット式制御弁2内の絞り2cを介して油圧モータ4の吐出油が再び油圧モータ4に戻る循環通路が形成されて油圧モータ4に小さなブレーキが働く。
【0037】
こうした図3の自走式建設機械の走行用油圧回路は、油温センサ30の検出結果が設定温度以下になると、コントローラ33により前後進スイッチ14の電路が開放されるため、前後進スイッチ14を操作しても、走行用の油圧モータ4を駆動できなくなって、自走式建設機械を走行不能にすることができる。図3の自走式建設機械の走行用油圧回路は、本発明に係る自走式建設機械のブレーキ機構とこうした点で関係を有するだけであって、油圧回路の具体的構造自体は直接関係を有するものでない。したがって、この走行用油圧回路は、走行用の油圧モータを駆動する油圧回路であれば、他の形態のものに代えてもよい。
【0038】
以上述べた第2の具体化例の自走式建設機械のブレーキ機構は、すでに図1で述べた第1の具体化例のブレーキ機構の作用効果を奏するほか、以下に述べる作用効果を奏する。
【0039】
いま、この第2の具体化例のブレーキ機構において、オペレータがキースイッチ35を操作して自走式建設機械の運転を開始しようとしたときに、油温センサ30で検出された作動油の温度が設定温度以下に低下していたものとする。そうすると、その作動油の温度がコントローラ33に入力され、コントローラ33は圧油遮断用のソレノイドバルブ31に電気信号を発して、リリーフバルブ26で圧力調整された圧油がアキュムレータ27側へ流通するのを遮断するようにソレノイドバルブ31を下位置に切り換える。また、圧油排出用のソレノイドバルブ32にも電気信号を発して、アキュムレータ27内の圧油がブレーキバルブ25側へ流通するのを遮断してその圧油を油タンク24へ逃がすようにソレノイドバルブ32を下位置に切り換える。
【0040】
このようにソレノイドバルブ31,32を下位置に切り換えると、自走式建設機械は、ブレーキバルブ25を操作しても、ブレーキをかけることができなり、この状態で自走式建設機械を誤って走行させると、暴走して危険である。こうした問題に対応して、作動油の温度が前記設定温度以下に低下していたときに、コントローラ33は、走行リレー34にも電気信号を発してその接点を開き、前後進スイッチ14をオフ状態にする。その結果、前後進スイッチ14をF位置又はR位置に切換操作しても、自走式建設機械を走行させることができなくなり、自走式建設機械が誤って暴走するのを防ぐことができる。
【0041】
ソレノイドバルブ31が下位置に切り換えられると、ブレーキ用の油圧ポンプ23の圧油は、アキュムレータ27側へ流通するのをソレノイドバルブ31で遮断されているため、リリーフバルブ26を通過して油タンク24へ返送され、油タンク24内の作動油に混入される。この油タンク24内の作動油は、再度、油圧ポンプ23で加圧された後にリリーフバルブ26を通過して油タンク24へ返送され、こうした作動油の循環が繰り返される。その過程において、油圧ポンプ23の圧油がリリーフバルブ26を通過するときに少なからぬ摩擦熱が発生し、さらに、作動油が油圧ポンプ23で加圧されるときにも若干の熱が発生する。そのため、油タンク24内の低温の作動油は、これらの熱により加熱され、この過程が繰り返されるこにより、次第に油温が高められて行く。
【0042】
一方、ソレノイドバルブ32が下位置に切り換えられると、アキュムレータ27内の圧油は、ソレノイドバルブ32を通じて油タンク24へ戻されて油タンク24内の作動油に混入される。その結果、アキュムレータ27に溜められた低温の圧油も、ブレーキ用の油圧ポンプ23で加圧されリリーフバルブ26を通過する前記の作動油の循環過程で温められる。こうして作動油が温められて所定の温度(前記設定温度と同じ温度でも別の温度でもよい。)に達すると、ソレノイドバルブ31,32がコントローラ33の指令により上位置に切り換えられ、ブレーキバルブ25側への圧油の流通が可能になるとともにアキュムレータ27内に適温の圧油が蓄えられる。また、走行リレー34の接点がコントローラ33の指令により閉じられ、前後進スイッチ14がオン状態になるため、前後進スイッチ14を切換操作して自走式建設機械を走行させることができるようになる。
【0043】
この第2の具体化例の自走式建設機械のブレーキ機構では、自走式建設機械の運転を開始しようとした場合において、外気温が低下して作動油の粘性が著しく高まったときに、油タンク24内の作動油の温度をコントローラ33の指令により自動的に高めて作動油の粘性を低下させた後、ブレーキバルブ25の操作により作動油をブースタ22に供給し得るようにしているため、ブレーキ用の油圧ポンプ23の圧油をブースタ22に供給するための流路内の圧力損失を減少させてブレーキの応答性の低下を抑えることができる。したがって、本ブレーキ機構によれば、外気温が低くても、ブレーキの応答性が悪化するようなことはない。加えて、アキュムレータ27内の圧油も、油タンク24に戻して温めるようにしていて、その圧油の粘性が低下するので、アキュムレータ27の本来の機能を円滑に発揮することができてブレーキの応答性を一層良好にすることができる。
【0044】
この自走式建設機械のブレーキ機構では、油タンク24内の作動油の温度を高める場合、オイル・バイ・オイルブレーキのブレーキ機構に通常設けられるリリーフバルブ26を利用してその作動油を温めるようにしているので、特別の加温手段を新設することなく作動油の温度を高めることができて、作動油の加温手段を設けたにもかかわらず、構造が複雑化することもない。また、ソレノイドバルブ31,32を下位置に切り換えてブレーキが効かない状態で作動油の温度を高めるときに、自走式建設機械を走行できなくしているので、自走式建設機械が誤って暴走するのを防ぐこともできて、運転の安全性も確保することができる。
【0045】
ところで、外気温が低下して作動油の粘性が著しく高まると、粘性抵抗の増加により、ブレーキペダル25aを踏んでブレーキバルブ25のスプールを移動させるときの抵抗が増加するため、その操作に要する力が増加し、オペレータによっては、ブレーキペダル25aの操作が重いと感じることもあり、いわゆるブレーキフィーリングの悪化をもたらす。この自走式建設機械のブレーキ機構では、作動油の温度が設定温度以下に低下した場合、ブレーキペダル25aの操作時にブレーキバルブ25を通る作動油の粘性を低減させることができるため、ブレーキバルブ25のスプールをブレーキペダル25aで移動させるときの抵抗を低減することができる。したがって、本ブレーキ機構によれば、外気温が低くても、ブレーキペダル25aの操作が重くなるのを防ぐことができて、ブレーキフィーリングの悪化をもたらすようなこともない。
【0046】
次に、第3の具体化例の自走式建設機械のブレーキ機構について、補足事項を図4を用いて説明する。
【0047】
この自走式建設機械のブレーキ機構は、図1に示した第1の具体化例のブレーキ機構において、リリーフバルブ26による圧力調整の結果生じた余剰油をその逆流を阻止してブレーキバルブ25の二次側の流路へ供給することができる余剰油供給回路37を設けている。すなわち、リリーフバルブ26の二次側の流路とブレーキバルブ25の二次側の流路との間に、リリーフバルブ26の二次側への逆流を阻止するチェックバルブ36を有する余剰油供給回路37を接続して、リリーフバルブ26による圧力調整の結果生じた余剰油をブレーキバルブ25の二次側の流路に供給するようにしている。本ブレーキ機構は、図2のブレーキ機構とは異なり、油温センサ30やソレノイドバルブ31,32を設けていない。そのため、コントローラ33や走行リレー34も設けておらず、図3中の走行用油圧回路のような手段とは独立して設けることができる。
【0048】
この第3の具体化例の自走式建設機械のブレーキ機構は、図1によりすでに説明した第1の具体化例のブレーキ機構の作用効果を奏するほか、以下に述べる作用効果を奏する。
【0049】
すなわち、この第3の具体化例のブレーキ機構において、オペレータが自走式建設機械の運転を開始してブレーキ用の油圧ポンプ23を駆動すると、ブレーキバルブ25が図示の下位置にあるときすなわちブレーキバルブ25の非操作時には、油圧ポンプ23の圧油は、ブースタ22側への流通をブレーキバルブ25で遮断されているため、リリーフバルブ26を通過して一部が余剰油供給回路37に分流するとともに残部が油タンク24へ返送され、油タンク24内の作動油に混入される。余剰油供給回路37に分流した圧油は、チェックバルブ36で逆流3を阻止されながらブレーキバルブ25の二次側に供給され、次いで、ブレーキバルブ25の下位置の排出ポートから排出された後、接続回路20及び流路Aを経由して油圧ポンプ23で吸引されて加圧される。こうして油圧ポンプ23で吸引、加圧された圧油と油タンク24へ返送される圧油は、再びリリーフバルブ26を通過し、その通過時の摩擦熱等により温められるので、油タンク24内の作動油は、以上の過程を繰り返して温められて行く。
【0050】
一方、オペレータがブレーキペダル25aを踏み込んでブレーキバルブ25を上位置に切り換えたときすなわちブレーキバルブ25の操作時には、ブレーキ用の油圧ポンプ23の圧油がブースタ22へ供給されて、ブレーキバルブ25の二次側の圧油が接続回路20に排出されることはないので、リリーフバルブ26を通過したときに温められた圧油の一部は、余剰油供給回路を経由してブレーキバルブ25の二次側の流路から直接ブースタ22へ供給される。したがって、この自走式建設機械のブレーキ機構によれば、外気温が低いときでも、少なくともブレーキバルブ25の二次側の流路内を流通する作動油の温度を高めることができて同流路内の圧力損失を減少させることができ、ブレーキの応答性が悪化するようなことはない。特に、本ブレーキ機構では、運転開始後に間もなくブレーキをかけたときでも、ブレーキバルブ25の二次側の流路内を流通する作動油の温度を即時に高めることができるため、第2の具体化例のものとは異なり、運転を開始する際に待ち時間を要しない。
【0051】
この自走式建設機械のブレーキ機構において、運転開始後しばらくしてからブレーキをかけたときは、作動油がリリーフバルブ26を通過を繰り返す前記の過程により油タンク24内の作動油も温められてブレーキバルブ25の一次側の流路内の作動油の温度も高められるので、ブレーキの応答性を一層向上させることができる。本ブレーキ機構では、油タンク内の作動油の温度を高める場合、第2の具体化例のものと同様、リリーフバルブ26を利用してその作動油を温めるようにしているので、特別の加温手段を新設することなく作動油の温度を高めることができて、構造が複雑化することはない。
【0052】
最後に、第4の具体化例の自走式建設機械のブレーキ機構について、補足事項を図3及び図5を用いて説明する。
【0053】
この自走式建設機械のブレーキ機構は、前述の第1の具体化例のブレーキ機構において、油温センサ31で検出された作動油の温度が設定温度以下に低下したときに、リリーフバルブ26で圧力調整された圧油がアキュムレータ27側へ流通するのを遮断するように切り換える圧油遮断用のソレノイドバルブ31と、前記作動油の温度が前記設定温度以下に低下したときに、アキュムレータ27内の圧油がブレーキバルブ25側へ流通するのを遮断するとともにその圧油を油タンク24へ逃がすように切り換える圧油排出用のソレノイドバルブ32と、前記作動油の温度が前記設定温度以下に低下したときに走行リレー34の接点を開くことにより、前後進スイッチ14を切換操作しても走行用の油圧モータ4を駆動できなくして自走式建設機械を走行できなくするように制御するコントローラ33とを設けた第2の具体化例のブレーキ機構の手段をそのまま備えている。
【0054】
この第4の具体化例のブレーキ機構は、こうしたブレーキ機構において、図4に示した第3の具体化例のブレーキ機構における余剰油供給回路37を付加している。すなわち、リリーフバルブ26の二次側の流路とブレーキバルブ25の二次側の流路との間に、リリーフバルブ26の二次側への逆流を阻止するチェックバルブ36を有する余剰油供給回路37を接続して、リリーフバルブ26による圧力調整の結果生じた余剰油をその逆流を阻止してブレーキバルブ25の二次側の流路に供給するようにしている。
【0055】
したがって、本ブレーキ機構は、第2の具体化例のブレーキ機構の作用効果に加え、第3の具体化例のブレーキ機構の基本的な作用効果を併せて発揮することができる。すなわち、外気温が低いときには、第2の具体化例のブレーキ機構と同様、ソレノイドバルブ31が下位置に切り換えられて、油タンク24内の低温の作動油がブレーキ用の油圧ポンプ23で加圧された後にリリーフバルブ26を通過して温められる。また、リリーフバルブ26で温められて余剰油供給回路37に分流した作動油は、ブレーキバルブ25の二次側に送られてブレーキバルブ25の排出ポートから排出され、接続回路20及び流路Aを経由して油圧ポンプ23で吸引、加圧された後、再びリリーフバルブ26を通過して温められる。これらの温められた作動油は、一部が油タンク24に返送され、油タンク24内の作動油は、これらの過程を繰り返して温められて行く。
【0056】
その結果、第2の具体化例のブレーキ機構と同様、油タンク24内の作動油の粘性を低下させてブースタ22への圧油の供給流路内の圧力損失を減少させることができるため、外気温が低くても、ブレーキの応答性が悪化するようなことはない。しかも、アキュムレータ27内の圧油も粘性が低下してアキュムレータ27の本来の機能を円滑に発揮することができるため、ブレーキの応答性を一層良好にすることができる。また、ソレノイドバルブ31,32を下位置に切り換えてブレーキが効かない状態で作動油の温度を高めるときに、自走式建設機械を走行できなくしているので、自走式建設機械が誤って暴走するのを防ぐこともできて、運転の安全性も確保することができる。
【0057】
加えて、外気温が低いときには、第3の具体化例のブレーキ機構と同様、リリーフバルブ26の通過時に温められた圧油の一部を、余剰油供給回路37を経由してブレーキバルブ25の二次側の流路から直接ブースタ22へ供給するようにしているため、ブレーキをかけたときには、常にブレーキバルブ25の二次側の流路内を流通する作動油の温度を高めることができる。そのため、外気温が低いときに、少なくともブレーキバルブ25の二次側の流路内の圧力損失を減少させることができて、ブレーキの応答性が悪化するようなことはない。なお、本ブレーキ機構では、第3の具体化例のブレーキ機構に係る余剰油供給回路37を備えているものの、ソレノイドバルブ31,32を下位置に切り換えてブレーキが効かない状態で作動油の温度を高めるため、第3の具体化例のブレーキ機構とは異なり、運転を開始する際に若干の待ち時間を要する。
【0058】
特に、この第4の具体化例のブレーキ機構では、作動油の温度が低下したときに、ブレーキ用の油圧ポンプ23の圧油のブースタ22への供給流路のうち、ブレーキバルブ25の一次側の流路内の作動油については主として第2の具体化例に係る手段で油温を高めることができ、ブレーキバルブ25の二次側の流路内の作動油については主として第3の具体化例に係る手段で油温を高めることができる。そのため、第2の具体化例及び第3の具体化例の両ブレーキ機構に係る手段が相互に補完してブースタ22への供給流路内の作動油の温度を満遍なく高めることができ、ブレーキの応答性を一層向上させることができる。また、こうしてブレーキバルブ25の一次側及び二次側の流路内の作動油の温度を高める場合、何れの流路内の作動油も、オイル・バイ・オイルブレーキのブレーキ機構に通常設けられるリリーフバルブ26を利用し、その摩擦熱を二重に活用して温めるようにしているので、特別の加温手段を新設することなく作動油の温度を高めることができて、構造が複雑化しないだけではなく、その構造自体も、技術的にみてきわめて合理的なものとなる。
【0059】
以上のように、引きずり防止手段を設けた本発明は、種々の付加的手段を設けて具体化することができるが、第2の具体化例乃至第4の具体化例のように具体化して自走式建設機械のブレーキ機構を構成すれば、外気温が低いときでも、引きずりやブレーキの応答性の悪化が生じず、常温時と同様の良好なブレーキ性能を確保することができて、寒冷地に好適なブレーキ性能が得られる。
【0060】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の自走式建設機械のブレーキ機構は、「課題を解決するための手段」の項に示した手段を採用しているので、外気温が低くても引きずりが発生しない。その結果、ブレーキが効いた状態で自走式建設機械が走行することは防止できるため、こうしたことに起因して燃料消費量が増加したりブレーキシューのブレーキライニングが摩耗したりする等の問題が発生することはなくなる。
【0061】
本発明の自走式建設機械のブレーキ機構を具体化する場合、特許請求の範囲の請求項2又は請求項3に記載のように具体化すれば、こうした基本的な効果を発揮することに加え、外気温が低くてもブレーキの応答性が悪化しない。また、その結果得られる自走式建設機械のブレーキ機構は、油タンク内の作動油の温度を高める場合、オイル・バイ・オイルブレーキのブレーキ機構に通常設けられるリリーフバルブを利用してその作動油を温めるようにしているので、特別の加温手段を新設することなく作動油の温度を高めることができて、作動油の加温手段を付加したにもかかわらず、構造が複雑化することもない。特許請求の範囲の請求項2に記載の自走式建設機械のブレーキ機構を請求項3に記載のように具体化したときも同様である。したがって、特許請求の範囲の請求項2及び請求項3に係る自走式建設機械のブレーキ機構によれば、外気温が低いときでも、引きずりやブレーキの応答性の悪化が生じず、常温時と同様の良好なブレーキ性能を確保することができて、寒冷地に好適なブレーキ性能が得られる。
【0062】
特に、本発明の自走式建設機械のブレーキ機構を特許請求の範囲の請求項2に記載のように具体化したときには、アキュムレータ内の圧油も、油タンクに戻して温めるようにしているので、アキュムレータの本来の機能を円滑に発揮することができてブレーキの応答性を一層良好にすることができる。また、圧油遮断用の切換弁及び圧油排出用の切換弁を切り換えてブレーキが効かない状態で作動油の温度を高めるときに、自走式建設機械を走行できなくしているので、自走式建設機械が誤って暴走するのを防ぐこともできて、運転の安全性も確保することができる。また、作動油の温度が設定温度以下に低下した場合、ブレーキバルブの操作時にブレーキバルブを通る作動油の粘性を低下させることができるため、ブレーキバルブのスプールを移動させるときの抵抗が増加するようなことはない。したがって、本発明の自走式建設機械のブレーキ機構によれば、外気温が低くても、ブレーキフィーリングの悪化をもたらすようなこともない。
【0063】
特に、本発明の自走式建設機械のブレーキ機構を特許請求の範囲の請求項3に記載のように具体化したときには、運転開始後に間もなくブレーキをかけたときでも、ブレーキバルブの二次側の流路内を流通する作動油の温度を即時に高めることができて、運転を開始する際に待ち時間を要しない。また、運転開始後しばらくしてからブレーキをかけたときは、油タンク内の作動油も温められてブレーキバルブの一次側の流路内の作動油の温度も高められるので、ブレーキの応答性を一層向上させることができる。
【0064】
また、特許請求の範囲の請求項2に記載の自走式建設機械のブレーキ機構を請求項3に記載のように具体化したときには、本発明の自走式建設機械のブレーキ機構を請求項2に記載のように具体化したときと同様の効果を発揮することに加えて、請求項3に記載のように具体化したときの基本的な効果も併せて発揮することができる。そして、作動油の温度が低下した場合に、前者のように具体化したときには、油圧ポンプの圧油のブースタへの供給流路のうちの特にブレーキバルブの一次側の流路内の作動油について油温を高めることができ、前者のように具体化したときには、特にブレーキバルブの二次側の流路内の作動油について油温を高めることができるので、請求項2に係る手段と請求項3に係る手段とが相互に補完してブースタへの供給流路内の作動油の温度を満遍なく高めることができ、ブレーキの応答性を一層向上させることができる。こうしてブレーキバルブの一次側及び二次側の流路内の作動油の温度を高める場合、何れの流路内の作動油も、オイル・バイ・オイルブレーキのブレーキ機構に通常設けられるリリーフバルブを利用し、その摩擦熱を二重に活用して温めるようにしているので、特別の加温手段を新設する必要がなく、構造が複雑化しないだけではなく、その構造自体も、技術的にみてきわめて合理的なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の具体化例に係る自走式建設機械のブレーキ機構におけるブレーキ用油圧回路を示す図である。
【図2】本発明の第2の具体化例に係る自走式建設機械のブレーキ機構におけるブレーキ用油圧回路を示す図である。
【図3】図2及び図5のブレーキ用油圧回路と関連してコントローラで制御される自走式建設機械の走行用油圧回路の一例を示す図である。
【図4】本発明の第3の具体化例に係る自走式建設機械のブレーキ機構におけるブレーキ用油圧回路を示す図である。
【図5】本発明の第4の具体化例に係る自走式建設機械のブレーキ機構におけるブレーキ用油圧回路を示すを示す図である。
【符号の説明】
1 走行用の油圧ポンプ
2 パイロット式制御弁
4 走行用の油圧モータ
5 パイロット用の油圧ポンプ
6 パイロット弁
6a パイロット弁のペダル
7 スローリターン弁
8 前後進切換弁
9,10 油タンク
14 前後進スイッチ
15 エンジン
20 接続回路
20a フィルタ
21 ホイールシリンダ
22 ブースタ
23 ブレーキ用の油圧ポンプ
24 油タンク
25 ブレーキバルブ
26 リリーフバルブ
27 アキュムレータ
28 チェックバルブ
29 センタージョイント
30 油温センサ
31 圧油遮断用のソレノイドバルブ
32 圧油排出用のソレノイドバルブ
33 コントローラ
34 走行リレー
35 キースイッチ
36 チェックバルブ
37 余剰油供給回路
Claims (3)
- ブレーキ液の液圧により駆動されるブレーキ装置と、一次側に作用する作動油の油圧を増圧して二次側のブレーキ液に伝達してその液圧をブレーキ装置に供給するブースタと、油タンク内の作動油を加圧してその圧油をブースタへ供給する油圧ポンプと、オペレータにより操作されその操作量に応じてブースタへの圧油の供給量を調節できるとともに非操作時に一次側から二次側への圧油の流通を遮断して二次側の圧油を排出するブレーキバルブと、ブレーキバルブの一次側に配設され油圧ポンプから供給される圧油の最高圧力を制限するように圧力調整して余剰油を油タンクへ返送するリリーフバルブと、ブレーキバルブの一次側に配設されリリーフバルブで圧力調整された圧油を蓄えるアキュムレータとを備えた自走式建設機械のブレーキ機構において、ブレーキバルブの二次側の圧油を排出するためのブレーキバルブの排出ポートを油圧ポンプの吸込み口側に接続する接続回路を設けて、ブレーキバルブの操作を解除したときに、ブースタの一次側の残圧として作用する作動油を、ブレーキバルブの排出ポートから油圧ポンプで強制的に吸引することができるようにしたことを特徴とする自走式建設機械のブレーキ機構。
- 請求項1に記載の自走式建設機械のブレーキ機構において、作動油の温度が設定温度以下に低下したときに、リリーフバルブで圧力調整された圧油がアキュムレータ側へ流通するのを遮断するように切り換える圧油遮断用の切換弁と、作動油の温度が前記設定温度以下に低下したときに、アキュムレータ内の圧油がブレーキバルブ側へ流通するのを遮断するとともにその圧油を油タンクへ逃がすように切り換える圧油排出用の切換弁と、作動油の温度が前記設定温度以下に低下したときに自走式建設機械を走行できなくする走行制御手段とを設けたことを特徴とする自走式建設機械のブレーキ機構。
- 請求項1又は請求項2に記載の自走式建設機械のブレーキ機構において、リリーフバルブによる圧力調整の結果生じた余剰油をその逆流を阻止してブレーキバルブの二次側の流路に供給することができる余剰油供給回路を設けたことを特徴とする自走式建設機械のブレーキ機構。
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