JP4010656B2 - 収納什器等の免震装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、地震の発生時に、展示ケース、ロッカー、キャビネット、家具等の転倒を防止することができるようにした収納什器等の免震装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の従来の免震装置としては、例えば特開平9−173171号公報、実開平2−45038号公報に開示されているものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記前者の免震装置は、床面上に前後方向に移動可能として載置した収納家具を、4本の引張りスプリングを介して床板の中央に連結し、地震発生時に収納家具が前後方向に移動するのを引張りスプリングのばね力により規制し、家具の転倒を防止しようとするものである。
【0004】
この免震装置は、前後方向のみの免震構造であり、従って前後に転倒し易い横長の家具に対しての免震効果は期待できるが、左右方向にも転倒する恐れのある立方体形の収納什器等に対処できない問題がある。
【0005】
一方、上記後者の免震装置は、家具の下方に敷設された下板の複数箇所に皿形の凹部を形成し、凹部内に収容した鋼球により支持された上板上に、家具を載置してあるため、地震の発生時に鋼球が凹部内を転動することにより、どの方向にも免震効果が期待できる。
【0006】
しかし、鋼球を単に皿状の凹部内に収容し、その自由な転動により地震の揺れを吸収するようにしているため、家具より収納物を出し入れする通常の使用でも、小さな外力を加えただけで家具本体が揺れてしまい、使用しにくい問題がある。
【0007】
また、凹部の大きさも限られることから、大きな地震が発生すると、免震作用が失われて家具が転倒したり、鋼球が凹部より飛び出したりする恐れがある。
【0008】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、通常時における小さな外力による揺れを防止するとともに、二次元方向の揺れを吸収することにより、什器等の形状に関係なくその転倒防止が図れるようにした収納什器等の免震装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の免震装置は、床面上に設置され、少なくとも両側部に、中央部よりも両端部が上位となるような複数の案内溝が形成された下ベースと、この下ベースの上方に水平方向に移動可能として設けられ、前記下ベースの案内溝とほぼ直交する方向を向き、中央部よりも両側部が下位となるような複数の案内溝が形成された上ベースとを備えるとともに、前記下ベースと上ベースとの間に、それらの各案内溝に嵌合されて案内溝内を転動可能なローラを有する移動体を設け、上下のベースにおける互いの対向面のいずれか一方に、通常時において他方の対向面と当接する摩擦材を設けたことを特徴としている。
このような構成としたことにより、地震の発生時に床面に設置した下ベースが例えば前後又は左右の二次元方向に揺れると、上下のベースにおける各案内溝に嵌合されているローラが、収納什器等の荷重に抗して相対的に前後又は左右方向に転動して上昇運動を繰り返すため、その際の運動エネルギが揺れのエネルギを吸収する。従って、上ベースに載置された収納什器の前後又は左右の二次元方向の揺れが吸収され、それらの方向に転倒するのが防止される。また、上下のベースが相対的に移動する際の摩擦材の摺動抵抗により、収納什器等の揺れを短時間で終息させることができるとともに、通常時において収納什器等が妄りに動くのが防止される。
【0010】
上記免震装置において、各案内溝の長さを、上ベースが最大限移動しても、上ベース上に載置した収納什器等の重心が下ベースの外方に出ない長さとするのが好ましい。
このようにすると、大きな揺れでも収納什器等が転倒する恐れがない。
【0012】
上記免震装置において、各案内溝の中央部に、通常時においてローラの一部が嵌入可能な凹部を設けるのが好ましい。
このようにすると、上記と同様、通常時において収納什器等が妄りに動くのが防止される。
【0013】
上記免震装置において、上下のベースの周囲をそれぞれカバーにより覆ってなることが好ましい。
このようにすると、各案内溝やそれに嵌合されているローラ等が隠蔽されるので、外観的体裁を向上することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1は本発明を適用した展示ケース1を示すもので、展示ケース1は、免震装置2上に固定的に載置されている。
【0016】
図2は、免震装置2の平面図、図3は同じく正面図、図4は同じく右側面図を示すもので、免震装置2は、平面視正方形状の上下1対のベース枠3,3(上ベース,下ベース)と、長方形をなす枠体4a,4bを、その中央部において直交するように井げた状に重ねて固着した移動枠体4と、各ベース枠3の周囲を覆う上下1対のカバー枠5とからなっている。
【0017】
図5及び図6に示すように、移動枠体4における左右方向に長い下側の枠体4aの左右の側片4cと、前後方向に長い上側の枠体4bの前後の側片4dとには、それぞれ左右方向を向く軸回りに回転する前後1対ずつのローラ6と、前後方向を向く軸回りに回転する左右1対ずつのローラ6とが枢着されている。7は、上下の枠体4a,4bが交叉する四隅に固着された補強片である。上下のベース枠3の四隅にも補強片7が固着されている。
【0018】
上下のベース枠3は、移動枠体4をがたなく収容可能な大きさをなし、上側のベース枠3の前後の枠板3aには、図3に示すように、ほぼ中央に頂部を有し、その両側部が漸次下向きに傾斜する概ねへの字形の左右1対の案内溝8,8が形成されている。
【0019】
各案内溝8には、上側の枠体4bの4個の各ローラ6が転動可能として嵌合され、通常時において各ローラ6は、上側のベース枠3の自重により各案内溝8の中央の頂部に位置するようになっている。
【0020】
下側のベース枠3における左右の枠板3bには、図4に示すように、ほぼ中央に底部を有し、その両側部が漸次上向きに傾斜する前後1対の案内溝9が形成され、各案内溝9には、下側の枠体4aの4個のローラ6が転動可能として嵌合されている。
【0021】
通常時において各ローラ6は、上側のベース枠3と移動枠体4の重さにより各案内溝9の中央の底部に位置するようになっている。
【0022】
全てのローラ6が案内溝8,9のそれぞれの頂部と底部に位置する通常時においては、上下のベース枠3は上下に整合し、かつ互いの対向面間に若干の隙間が形成されるようになっている。
【0023】
上記各案内溝8,9の長さは、各ローラ6が前後左右に最大限転動しても、免震装置2上に載置した展示ケース1が転倒しない長さ、すなわち展示ケース1の重心が免震装置2の外方に出ない長さとしてある。
【0024】
上側のベース枠3の前後及び左右の下面の中央部には、摩擦抵抗の大きな摩擦パッド10が、下側のベース枠3の前後及び左右の上面と摺接するようにして固着されている。
【0025】
下側のベース枠3の下面の四隅には、高さ調整用のアジャスタボルト12が取付けられている。
【0026】
次に、上記実施例の作用について説明する。
【0027】
地震発生時以外の通常時においては、展示ケース1の荷重が免震装置2に加わっているため、上側のベース枠3の案内溝8に嵌合しているローラ6は、図3に示すように、案内溝8の頂部に位置するとともに、下側のベース枠3の案内溝9に嵌合しているローラ6は、図4に示すように、案内溝9の最下点である底部に位置している。
【0028】
この状態から左右方向の揺れが発生すると、下側のベース枠3及び移動枠体4は床面と共に振動するが、上側のベース枠3は、図7に示すように(カバー枠5は図示を省略)、その案内溝8に嵌合しているローラ6が左右方向に移動して、上昇運動を繰り返し、このときの展示ケース1を上昇させる運動エネルギが揺れのエネルギを吸収するため、展示ケース1の大きな揺れが伝わることがなく、その転倒が防止される。
【0029】
一方、前後方向の揺れが発生した際には、下側のベース枠3は床面と共に振動するが、その案内溝9に嵌合している各ローラ6が、図8に示すように、前後方向に転動して上昇運動を繰り返すことにより、移動枠体4、上側のベース枠3及び展示ケース1も上昇を繰り返し、このときの運動エネルギにより揺れのエネルギが吸収され、展示ケース1が前後方向に転倒するのが防止される。
【0030】
上記前後及び左右方向への振動時において、各ローラ6が案内溝8,9の頂部及び底部を通過する際、上側のベース枠3の下面に固着した摩擦パッド10が下側のベース枠3の上面と接触するため、展示ケース1の揺れを短時間で終息させることができる。
【0031】
また、通常時においては、摩擦パッド10が常時下側のベース枠3上に当接しているため、その摩擦抵抗により小さな外力で展示ケース1が妄りに動く恐れはない。
【0032】
本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、種々の実施形態をとり得る。
【0033】
例えば図9及び図10に示すように、上下のベース枠3における案内溝8,9の頂部と底部に、ローラ6の一部が嵌入する凹部13を形成してもよい。このようにすると、通常時において展示ケース1が容易に動くのが防止される。
【0034】
また、図11及び図12に示すように、上下の案内溝8,9を、中央部に頂部及び底部を有する円弧形としてもよい。この際にも、頂部と底部にローラ6の一部が嵌入する凹部13を形成するのが好ましい。
【0035】
なお、上述した各案内溝8,9の傾斜角度及び曲率半径は、免震装置2上に載置される什器等の重量や高さ、形状等により適宜に設定しうることは勿論である。
【0036】
上記実施例では、上下の枠体4a,4bの前後及び左右の側端のみに1対ずつのローラ6を設けているが、それらの中間部にも複数対のローラ6を上下のベース枠3の中間部に横架した横桟の案内溝に嵌合するようにしてもよい。
【0037】
上記実施例においては、免震装置2を展示ケース1等の収納什器と別体としているが、上側のベース枠3を収納什器の下部に一体的に設けてもよい。
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、次のような効果が得られる。
【0039】
(a)請求項1に記載の発明によれば、例えば前後、左右の二次元方向の揺れが吸収されるため、収納什器等の形状に関係なく、その転倒を防止することができる。また、上下のベースが相対的に移動する際の摩擦材の摺動抵抗により、収納什器等の揺れを短時間で終息させることができるとともに、通常時において収納什器等が妄りに動くのが防止される。
【0040】
(b)請求項2に記載の発明によれば、大きな揺れが発生しても収納什器等の転倒が防止される。
【0042】
)請求項に記載の発明によれば、通常時における収納什器の揺れをより効果的に防止することができる。
【0043】
)請求項に記載の発明によれば、上下のベースの各案内溝やそれに嵌合されたローラが外部に露呈しないので、外観的体裁が向上する。
【0044】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した展示ケースの斜視図である。
【図2】同じく、免震装置の平面図である。
【図3】同じく、一部切欠正面図である。
【図4】同じく、一部切欠右側面図である。
【図5】同じく、移動枠体の平面図である。
【図6】同じく、移動枠体の正面図である。
【図7】同じく、左右方向に揺れたときの正面図である。
【図8】同じく、前後方向に揺れたときの右側面図である。
【図9】上側のベース枠の案内溝の別実施例を示す拡大正面図である。
【図10】下側のベース枠の案内溝の別実施例を示す拡大右側面図である。
【図11】上側のベース枠の案内溝の他の実施例を示す拡大正面図である。
【図12】下側のベース枠の案内溝の他の実施例を示す拡大右側面図である。
【符号の説明】
1 展示ケース(収納什器)
2 免震装置
3 上下のベース枠(上下のベース)
3a,3b 枠板
4 移動枠体(移動体)
4a,4b 枠体
4c,4d 側片
5 カバー枠(カバー)
6 ローラ
7 補強片
8,9 案内溝
10 摩擦パッド(摩擦材)
12 アジャスタボルト
13 凹部

Claims (4)

  1. 床面上に設置され、少なくとも両側部に、中央部よりも両端部が上位となるような複数の案内溝が形成された下ベースと、この下ベースの上方に水平方向に移動可能として設けられ、前記下ベースの案内溝とほぼ直交する方向を向き、中央部よりも両側部が下位となるような複数の案内溝が形成された上ベースとを備えるとともに、前記下ベースと上ベースとの間に、それらの各案内溝に嵌合されて案内溝内を転動可能なローラを有する移動体を設け、上下のベースにおける互いの対向面のいずれか一方に、通常時において他方の対向面と当接する摩擦材を設けたことを特徴とする収納什器等の免震装置。
  2. 各案内溝の長さを、上ベースが最大限移動しても、上ベース上に載置した収納什器等の重心が下ベースの外方に出ない長さとした請求項1に記載の収納什器等の免震装置。
  3. 各案内溝の中央部に、通常時においてローラの一部が嵌入可能な凹部を設けた請求項1または2に記載の収納什器等の免震装置。
  4. 上下のベースの周囲をそれぞれカバーにより覆ってなる請求項1ないし3のいずれかに記載の収納什器等の免震装置。
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