JP4060909B2 - 水性乳化懸濁状農薬組成物およびその製造法 - Google Patents

水性乳化懸濁状農薬組成物およびその製造法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、農薬活性成分、ポリビニルアルコール、界面活性剤、グリコール類、尿素、ベントナイトおよびラテックスを含有する複合組成物であって、長期間の貯蔵下および低温・高温の条件下において、安定な水性乳化懸濁状組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
それぞれ異なる活性を持つ2つ以上の有効成分を混合して使用することは、散布作業の省力化などのメリットを生じるが、有効成分の持つ様々な化学物性により、長期的に安定な混合製剤化は、容易でないことが多い。有効成分の混合が可能であっても、施用目的にかなった剤型にできず、実用的な剤型とすることが困難な場合さえある。
混合製剤化が困難な例の一つとして、水に難溶性の液状農薬活性成分と水に難溶性の固体農薬活性成分といった2種類の異なる化学物性を有する農薬成分の液状混合製剤化が挙げられる。上記活性成分の製剤化は、両成分とも高濃度に溶解させ得る有機溶剤が存在すれば、これに溶解させ、乳剤として物理化学的安定性の高い製剤化が可能である。しかしながら、環境および人体などに対する安全性が重要視されている今日の情勢では、有機溶剤を用いて製剤化をはかることは好ましいとは言えない。また、安全性の高い有機溶剤で、目的とする活性成分を高濃度に溶解するものが存在すれば乳剤化も可能ではあるが、このような有機溶剤が存在しないことも多く、その場合、乳剤としての製剤化は不可能である。適当な有機溶剤が見つからない場合は、水を分散媒とし、液状または固体である農薬活性成分を、界面活性剤の作用で乳化または懸濁させる方法が考えられる。
【0003】
このような剤型は、一般に水性乳化懸濁状組成物(以下、サスポエマルジョンと略称する場合がある)と呼ばれている。しかしながら、この剤型は長期間の貯蔵下、または低温・高温の条件下においての物理化学的安定性を確保することが難しく、長期間の貯蔵においては、水層の分離度合いが大きくなりがちで、これが著しい場合にはハードケーキを生じたり、凝集および沈澱物の生成などによってクリーム化する場合もある。また、低温下においては凍結してクリーム化したり、高温下においてもクリーム化する場合もあるため、このような剤型での製剤化は一般に困難であると考えられてきた。
例えば、特開平6−92801では、水を分散媒として、常温で液状の水難溶性除草活性成分、常温で固体の水難溶性除草活性成分、エトキシ化スチリルフェニルエーテルなどの除草活性成分の乳化および分散作用を担う界面活性剤、およびベントナイトなどのチキソトロピー剤を含有する水性乳化懸濁状除草剤組成物が記載されている。
また、特開平5−85903では、水不溶性の固体植物保護用活性物質、シュクログリセリド、非イオン性表面活性剤などの特定の界面活性剤および水を含有する水性サスポエマルジョンが記載されている。
さらに、特開平9−143001では農薬活性成分、界面活性剤、グリコール類および尿素を含有する水性乳化懸濁状組成物が記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
2つの異なる化学物性を有する物質、例えば、水に難溶性の液状農薬活性成分と水に難溶性の固状活性成分を有効成分として含有する水性乳化懸濁状組成物は、長期間の貯蔵下または低温・高温の条件下において、物理的、化学的に不安定であり、必ずしも満足できるものではない。
水に難溶性を示す液状農薬活性成分を、水中に均一に分散させる方法としては、乳化剤の作用により乳化させる方法があり、一方、水に難溶性を示す固状農薬活性成分を同様に、水中に均一に分散させる方法としては、微粒子化した農薬活性成分を界面活性剤の作用により懸濁させる方法がある。この方法を用いて混合製剤化する場合には、乳化系と懸濁系が混在することになるが、物理化学的安定性を得るためには、各々の系が互いの安定性を阻害するものであってはならない。そこで、活性成分や乳化剤、懸濁に用いる界面活性剤などが両系の安定性を阻害せず、相分離、クリーム化などがなく、安定性が良好な製剤の開発が望まれていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、水難溶性の液状農薬活性成分の乳化剤としてポリビニルアルコールを添加し、かつ凍結による物性の変化などを防止する目的として尿素を添加して水難溶性の液状農薬活性成分を含有する乳化液を調製し、一方、水難溶性の固状農薬活性成分の湿潤分散剤として界面活性剤を添加し、かつ凍結による物性の変化などを防止する目的としてグリコール類および尿素を添加し、さらに懸濁安定化剤としてベントナイトを添加して水難溶性の固状農薬活性成分を含有する懸濁液を調製し、次いで、これらにラテックスおよび界面活性剤を加えて混合することによって、長期間の貯蔵下または低温・高温の条件下において、物理的、化学的に安定である水性乳化懸濁状組成物を得ることができることを見いだした。本発明者らは、この知見に基づいて、さらに研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、
(1)農薬活性成分、ポリビニルアルコール、界面活性剤、グリコール類、尿素、ベントナイトおよびラテックスを含有することを特徴とする水性乳化懸濁状組成物、
(2)農薬活性成分が少なくとも1種以上の液状の農薬活性成分と少なくとも1種以上の固状の農薬活性成分からなる第(1)項記載の農薬組成物、
(3)液状の農薬活性成分および固状の農薬活性成分がともに水難溶性である第(2)項記載の農薬組成物、
(4)ポリビニルアルコールが組成物全体に対して約0.1〜2重量%である第(1)項記載の農薬組成物、
(5)グリコール類、尿素およびラテックスがそれぞれ組成物全体に対して約1〜30重量%である第(1)項記載の農薬組成物、
(6)固状の農薬活性成分がフェリムゾン、フサライドおよびトリシクラゾールから選ばれる1種以上である第(2)項記載の農薬組成物、
(7)液状の農薬活性成分がシラフルオフェンである第(2)項記載の農薬組成物、
(8)農薬活性成分、界面活性剤、グリコール類および尿素を含有し、粘度が200〜1000mPa・sであることを特徴とする水性乳化懸濁状農薬組成物。
(9)農薬活性成分、界面活性剤、グリコール類、尿素およびポリビニルアルコールを含有することを特徴とする水性乳化懸濁状農薬組成物。
(10)農薬活性成分、ポリビニルアルコール、界面活性剤、グリコール類、尿素、ベントナイトおよびラテックスを水に乳化懸濁することを特徴とする水性乳化懸濁状農薬組成物の製造法、
(11)水、尿素、ポリビニルアルコールおよび少なくとも1種以上の液状の農薬活性成分を含有する乳化液と、水、界面活性剤、グリコール類、尿素、ベントナイトおよび少なくとも1種以上の固状の農薬活性成分を含有する懸濁液と、ラテックスおよび界面活性剤を混合することを特徴とする第(10)項記載の水性乳化懸濁状農薬組成物の製造法、
(12)乳化液の平均粒子径が約1.5〜10μmである第(11)項記載の水性乳化懸濁状農薬組成物の製造法、
(13)懸濁液のpHを約2〜6に調整することを特徴とする第(11)項記載の水性乳化懸濁状農薬組成物の製造法、および
(14)第(1)項記載の水性乳化懸濁状農薬組成物を水田、畑地、芝地、果樹園あるいは非農耕地に散布または浸漬することを特徴とする、殺虫、殺菌または除草する方法を提供する。
【0007】
本発明の農薬組成物における農薬活性成分としては、特に限定されないが、殺虫剤、殺菌剤、除草剤などの農薬分野で広く用いられている農薬活性成分を用いることができる。該農薬活性成分は、室温において液状の農薬活性成分であってもよいし、固状の農薬活性成分であってもよく、さらには、液状の農薬活性成分と固状の農薬活性成分とを組み合わせて用いてもよい。液状の農薬活性成分としては、常温で液状の農薬活性成分であってもよいし、溶媒類(例えば、ラウリル酸アミル,ミリスチン酸アミルなどの脂肪酸エステル類、コハク酸ジエステル,アジピン酸ジブチルなどの脂肪酸ジエステル類、トリブチルホスフェート,トリアミルホスフェートなどのリン酸エステル類、ジエチルベンゼン,ジイソプロピルベンゼンなどのアルキルベンゼン類、フェニルキシリルエタン,トリキシリルエタンなどのジフェニルメタン類、フタル酸ジメチル,フタル酸ジオクチルなどの安息香酸エステル類など)に溶解して液状とした農薬活性成分であってもよい。固状の農薬活性成分としては、常温で固状の農薬活性成分が好ましい。また、該農薬活性成分は、水難溶性の農薬活性成分であってもよいし、水溶性の農薬活性成分であってもよい。水難溶性の農薬活性成分としては、例えば、25℃で水に対して約1000ppm以下の溶解度を有する農薬活性成分などが用いられる。水溶性の農薬活性成分としては、例えば、25℃で水に対して約1000ppmを越える溶解度を有する農薬活性成分などが用いられる。
本発明の農薬組成物においては、上記の農薬活性成分の中から少なくとも1種の水難溶性の農薬活性成分が用いられる。特に、1種または2種以上の水難溶性の液状農薬活性成分と1種または2種以上の水難溶性の固状農薬活性成分とを組み合わせて用いるのが好ましい。この場合、水溶性の農薬活性成分であって、本発明の農薬組成物に添加することによって水難溶性となる農薬活性成分は、本発明の農薬組成物において水難溶性の農薬活性成分として使用することができる。
【0008】
本発明の農薬組成物に使用される農薬活性成分としては、例えば、下記のものを挙げることができる。
〔水難溶性の液状農薬活性成分〕
(1)殺虫剤
(a)カーバメイト系:フラチオカルブ(furathiocarb)、カルボスルファン(carbosulfan)、ベンフラカルブ(benfuracarb)など。
(b)合成ピレスロイド系:シフルトリン(cyfluthrin)、シハロトリン(cyhalothrin)、フェンバレレート(fenvalerate)、フルシトリネート(flucythrinate)、フルバリネート(fluvalinate)、シラフルオフェン(silafluofen)、シクロプロトリン(cycloprothrin)、アレスリン(allethrin)など。
(c)有機リン系:MPP;フェンチオン(fenthion)、MEP;フェニトロチオン(fenitrothion)、プロパホス(propaphos)、シアノホス(cyanophos)、プロチオホス(prothiofos)、スルプロホス(sulprofos)、プロフェノホス(profenofos)、エチルチオメトン(disulfoton)、チオメトン(thiometon)、PAP;フェントエート(phenthoate)、マラソン(malathion)、ピラクロホス(pyraclofos)、BRP;ナレッド(naled)、CVP;クロルフェンビンホス(chlorfenvinphos)、ピリミホスメチル(pirimiphosmethyl)、ダイアジノン(diazinon)、エトリムホス(etrimfos)、イソキサチオン(isoxathion)など。
(2)殺菌剤
(a)有機リン系:エジフェンホス(edifenphos)、イプロベンホス(iprobenfos)など。
(3)除草剤
(a)酸アミド系:プレチラクロール(pretilachlor)など。
(b)カルバメート系:チオベンカルブ(thiobencarb)など。
(c)その他:ピリブチカルブ(pyributicarb)、ベンスライド(bensulide)など。
【0009】
〔水難溶性の固状農薬活性成分〕
(1)殺虫剤
(a)カーバメイト系:MIPC;イソプロカルブ(isoprocarb)、BPMC;フェノブカルブ(fenobucarb)、MPMC;キシリルカルブ(xylylcarb)、XMC、NAC;カルバリル(carbaryl)、ベンダイオカルブ(bendiocarb)、カルボフラン(carbofuran)など。
(b)合成ピレスロイド系:シペルメトリン(cypermethrin)、フェンプロパトリン(fenpropathrin)、エトフェンプロックス(ethofenprox)、レスメトリン(resmethrin)など。
(c)有機リン系:EPN、シアノフェンホス(cyanofenphos)、CVMP;テトラクロルビンホス(tetrachlorvinphos)、モノクロトホス(monocrotophos)、ホサロン(phosalone)、クロルピリホスメチル(chlorpyrifos-methyl)、クロルピリホス(chlorpyrifos)、ピリダフェンチオン(pyridaphenthion)、キナルホス(quinalphos)、DMTP;メチダチオン(methidathion)、サリチオン(dioxabenzofos)など。
(d)有機塩素系:ベンゾエピン(endosulfan)など。
(e)その他:ベンスルタップ(bensultap)、ブプロフェジン(buprofezin)、フルフェノクスロン(flufenoxuron)、ジフルベンズロン(diflubenzuron)、クロルフルアズロン(chlorfluazuron)、イミダクロプリド(imidacloprid)など。
【0010】
(2)殺菌剤
(a)N−ヘテロ環系エルゴステロール阻害剤:トリフルミゾール(triflumizole)、トリホリン(triforine)など。
(b)カルボキシアミド系:メプロニル(mepronil)、フルトラニル(flutoluanil)、ペンシクロン(pencycuron)、オキシカルボキシン(oxycarboxin)など。
(c)ジカルボキシイミド系:イプロジオン(iprodione)、ビンクロゾリン(vinclozolin)、プロシミドン(procymidone)、ヘキサコナゾール(hexaconazole)など。
(d)ベンゾイミダゾール系:ベノミル(benomyl)など。
(e)ポリハロアルキルチオ系:キャプタン(captan)など。
(f)有機塩素系:フサライド(fthalide)、TPN;クロロタロニル(chlorothalonil)など。
(g)硫黄系:ジネブ(zineb)、マンネブ(maneb)など。
(h)その他:ジクロメジン(diclomezin)、トリシクラゾール(tricyclazole)、イソプロチオラン(isoprothiolane)、プロベナゾール(probenazole)、アニラジン(anilazine)、オキソリニック酸(oxolinic acid)、フェリムゾン(ferimzone)、フラメトピル(furametpyr)など。
【0011】
(3)除草剤
(a)スルホニル尿素系:イマゾスルフロン(imazosulfuron)、スルホスルフロン(sulfosulfuron)、ベンスルフロンメチル(bensulfuron-methyl)など。
(b)トリアジン系:シメトリン(simetryn)、ジメタメトリン(dimethametryn)など。
(c)尿素系:ダイムロン(dymron)など。
(d)酸アミド系:プロパニル(propanil)、メフェナセット(mefenacet)など。
(e)カルバメート系:スエップ(swep)など。
(f)ダイアゾール系:オキサジアゾン(oxadiazon)、ピラゾレート(pyrazolate)など。
(g)ジニトロアニリン系:トリフルラリン(trifluralin)、プロジアミン(prodiamine)など。
(h)その他:ジチオピル(dithiopyr)、シハロホップブチル(cyhalofopbutyl)など。
【0012】
〔水溶性の農薬活性成分〕
(i)殺虫剤
(a)カーバメイト系
PHC,プロポキスル(propoxur)、MTMC;メトルカルブ(metolcarb)、エチオフェンカルブ(ethiofencarb)、ピリミカーブ(pirimicarb)、メソミル(methomyl)など。
(b)有機リン系
アセフェート(acephate)、ESP;オキシデプロポス(oxydeprofos)、ジメトエート(dimethoate)、バミドチオン(vamidothion)、DEP;トリクロルホン(trichlorfon)、DDVP;ジクロルボス(dichlorvos)など。
(c)その他
チオシクラム(thiocyclam)、ニテンピラム(nitenpyram)、カルタップ塩酸塩(cartap)など。
(ii)殺菌剤
(a)抗生物質剤
カスガマイシン(kasugamycin)、ミルディオマイシン(mildiomycin)、バリダマイシンA(validamycin A)など。
(b)その他
ピロキロン(pyroquilon)、ジメチリモール(dimethirimol)など。
【0013】
本発明の農薬組成物においては、上記の農薬活性成分の中から使用目的に適した化合物を任意に組み合わせて用いることができるが、上記の農薬活性成分に限定されない。
本発明の農薬組成物においては、上記の農薬活性成分の中でも、1種または2種以上の水難溶性の殺虫性の液状農薬活性成分と、1種または2種以上の水難溶性の殺菌性の固状農薬活性成分とを組み合わせて用いるのが好ましい。水難溶性の殺虫性の液状農薬活性成分としては、例えば、シラフルオフェンなどが好ましく、水難溶性の殺菌性の固状農薬活性成分としては、例えば、フェリムゾン、フサライド、トリシクラゾールなどが好ましい。
水難溶性の固状農薬活性成分と水難溶性の液状農薬活性成分との組み合わせの好ましい例としては、例えば、シラフルオフェンとフェリムゾン、シラフルオフェンとフサライド、シラフルオフェンとトリシクラゾール、シラフルオフェンとフェリムゾンとフサライド、シラフルオフェンとフェリムゾンとトリシクラゾールなどが好ましく、特にシラフルオフェンとフェリムゾンとフサライド、シラフルオフェンとフェリムゾンとトリシクラゾールなどが好適である。
本発明の農薬組成物に水溶性の農薬活性成分を添加する場合、該水溶性の農薬活性成分としては、例えば、バリダマイシンAなどが好ましい。
本発明の農薬組成物における農薬活性成分の含有量は、組成物全体に対して通常約0.1〜70重量%、好ましくは約1〜50重量%である。より具体的には、本発明の農薬組成物における水難溶性の液状農薬活性成分の含有量は、組成物全体に対して通常約0.1〜50重量%、好ましくは約1〜40重量%である。水難溶性の固状農薬活性成分の含有量は、組成物全体に対して通常約0.1〜50重量%、好ましくは約1〜40重量%である。水溶性の農薬活性成分の含有量は、組成物全体に対して通常約0〜50重量%、好ましくは0〜約30重量%である。
【0014】
本発明の農薬組成物において、界面活性剤としては、通常の水性乳化懸濁状組成物に用いられるものであれば何れのものでもよく、非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤などいずれの界面活性剤であってもよい。本発明の農薬組成物において、界面活性剤は、通常組成物全量に対して約1〜30重量%、好ましくは約1〜20重量%用いられる。
本発明の農薬組成物は、農薬活性成分、ポリビニルアルコール、界面活性剤、グリコール類、尿素、ベントナイトおよびラテックスを水に乳化懸濁することにより製造できる。具体的には後述するように水難溶性の液状農薬活性成分を含有する乳化液と、水難溶性の固状農薬活性成分を含有する懸濁液と、ラテックスおよび界面活性剤を混合して製造することができる。ここで、懸濁液の調製に際しては湿潤分散剤として使用される湿潤分散用界面活性剤を、また乳化液および懸濁液を混合したサスポエマルジョンの調製に際しては分散剤として使用される分散用界面活性剤を用いることが好ましい。すなわち、本発明の農薬組成物中には、湿潤分散剤として使用される界面活性剤と分散剤として使用される界面活性剤を添加するのが好ましい。
乳化剤として使用されるポリビニルアルコールとしては、例えば、ゴーセノールKL−05(商品名、日本合成化学工業(株))などの粘度(ヘプラー粘度計、4%水溶液、20℃)が、2〜60mPa・s、好ましくは2〜10mPa・sであり、けん化度が70〜90モル%のポリビニルアルコールが挙げられ、組成物全体に対して通常約0.1〜2重量%、好ましくは約0.2〜1重量%添加することができる。
湿潤分散剤として使用される界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル〔例えば、ノイゲンEA−177、ノイゲンEA−87(いずれも商品名、第一工業製薬(株))など〕、ポリオキシエチレンオレイルエーテル〔例えば、エマルミン140(商品名、三洋化成工業(株))など〕などが挙げられ、組成物全体に対して通常約1〜10重量%、好ましくは約2〜5重量%添加することができる。上記の湿潤分散用界面活性剤の中でも、特に、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル〔例えば、ノイゲンEA−177(商品名、第一工業製薬(株))など〕などが好ましい。
分散剤として使用される界面活性剤としては、例えば、アルキレンマレイン酸共重合物〔例えば、デモールEP(商品名、花王(株))など〕、リグニンスルホン酸ナトリウム〔例えば、バニレックスN(商品名、山陽国策パルプ(株))など〕、ポリカルボン酸型高分子活性剤〔例えば、サンスパールPS−8(商品名、三洋化成工業(株))など〕、ポリアクリル酸ナトリウム〔例えば、トキサノンGR−30(商品名、三洋化成工業(株))など〕、ポリスチレンスルホン酸系特殊高分子活性剤〔例えば、トキサノンFW−10(商品名、三洋化成工業(株))など〕などが挙げられ、組成物全体に対して通常約1〜10重量%、好ましくは約2〜5重量%添加することができる。上記の分散用界面活性剤の中でも、特に、アルキレンマレイン酸共重合物〔例えば、デモールEP(商品名、花王(株))など〕とポリアクリル酸ナトリウム〔例えば、トキサノンGR−30(商品名、三洋化成工業(株))など〕の組み合わせなどが好ましい。
【0015】
懸濁安定化剤として使用されるベントナイトとしては、例えば、クニピアF(商品名、クニミネ工業(株))などのコロイド性含水ケイ酸アルミニウムなどが挙げられ、組成物全体に対して通常約0.05〜5重量%、好ましくは約0.1〜1重量%添加することができる。
本発明の農薬組成物に使用されるグリコール類および尿素は、通常、凍結による物性変化の防止剤として用いられるものである。グリコール類としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリンなどが用いられ、特にエチレングリコールなどが好ましい。
グリコール類および尿素は、それぞれ組成物全体に対して通常約1〜50重量%、好ましくは約1〜30重量%添加することができる。
本発明の農薬組成物において、凍結による物性変化の防止剤の中でもグリコール類および尿素を組み合わせて使用することにより安定性が向上する。
本発明の農薬組成物において、必要に応じて、一般に水性乳化懸濁状組成物に使用される添加剤を含有せしめることができる。例えば、消泡剤[例えば、アンチホームE−20(花王(株))など]を組成物全体に対して通常0.05〜0.5重量%、防腐剤[例えば、p−ヒドロキシ安息香酸n−ブチル(和光純薬工業(株))など]を組成物全体に対して通常0.1〜3重量%添加することができる。
【0016】
本発明の農薬組成物に使用されるラテックスとしては天然ゴムラテックスおよび合成ゴムラテックスのいずれであってもよい。
合成ゴムラテックスとしては、共役ジエン系単量体とエチレン系不飽和単量体の共重合体ラテックスが好ましく、特に、共役ジエン系単量体、エチレン系不飽和単量体およびエチレン系不飽和カルボン酸単量体の共重合体ラテックスが好ましい。
共役ジエン系単量体としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2−クロル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン等が挙げられる。これらは単独で、又は2種以上を組み合わせて用いられる。特に、1,3−ブタジエンが好ましい。
共役ジエン系単量体の使用量は、全単量体混合物において10〜80重量%、好ましくは20〜60重量%である。
エチレン系不飽和単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸グリシジルなどの(メタ)アクリル酸エステル化合物、特に好ましくは炭素数1〜10のアルキルエステル化合物、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド化合物、例えば、酢酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル類、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物、例えばメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジンなどのエチレン系不飽和アミン化合物など、後述するエチレン系不飽和カルボン酸単量体以外のエチレン性不飽和単量体を挙げることができる。これらは単独で、又は2種以上を組み合わせて用いられる。
なかでもスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メチルスチレンなどのスチレン系単量体が好ましく、スチレンが特に好ましい。
エチレン系不飽和単量体の使用量は全単量体混合物において20〜90重量%、好ましくは40〜80重量%である。
【0017】
エチレン系不飽和カルボン酸単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などのモノカルボン酸、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などのジカルボン酸やそれらの無水物、例えば、マレイン酸メチル、イタコン酸メチルなどのジカルボン酸のモノエステルなどを挙げることができる。これらは単独で、又は2種以上を組み合わせて用いられる。
なかでもイタコン酸が好ましい。
エチレン系不飽和カルボン酸単量体の使用量は全単量体混合物において0.2〜12重量%、好ましくは0.5〜8重量%である。
共重合体ラテックスは上記所望の単量体を自体公知の乳化重合法にしたがい乳化重合することにより製造できる。すなわち、上記単量体を例えば水のような水性溶媒中に重合開始剤(例、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムなど)、乳化剤(例、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエステルなどのノニオン性界面活性剤など)および重合連鎖移動剤(t−ドデシルメルカプタンなどのアルキルメルカプタンなど)などを適宜加えて乳化重合すればよい。
本発明で用いるラテックスとしては特に、CROSLENE SK−72(武田薬品工業(株))などのブタジエン−スチレンゴムラテックスなどが好ましい。
ラテックスは、組成物全体に対して通常約1〜30重量%、好ましくは約1〜20重量%添加することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の農薬組成物は、それ自体公知あるいはそれに準じる方法にしたがって製造することができるが、例えば、水、尿素、ポリビニルアルコールおよび少なくとも1種の液状農薬活性成分(好ましくは、水難溶性の液状農薬活性成分)を含有する乳化液と、水、尿素、界面活性剤、グリコール類、ベントナイトおよび少なくとも1種以上の固状農薬活性成分(好ましくは、水難溶性の固状農薬活性成分)を含有する懸濁液と、さらにラテックス、界面活性剤を加えて混合して、水性乳化懸濁状組成物とすることができる。より具体的には、水、尿素、ポリビニルアルコールおよび少なくとも1種以上の水難溶性の液状農薬活性成分を含有する混合液を撹拌して得られる乳化液と、水、湿潤分散用界面活性剤、グリコール類、尿素、ベントナイトおよび少なくとも1種以上の水難溶性の固状農薬活性成分を含有する混合液を湿式粉砕して得られる懸濁液と、さらにラテックスおよび分散用界面活性剤を混合することによって本発明の水性乳化懸濁状農薬組成物を製造することができる。
液状農薬活性成分を含有する乳化液については、まず所定量の水に尿素を溶解させ、次にポリビニルアルコールを溶解させた後に、液状農薬活性成分を加え、混合する。これを高速撹拌機、例えばCLEARMIXを用いて、撹拌を行うことにより、所定の平均粒子径を持つ均一で安定な乳化液が得られる。
水、ポリビニルアルコールおよび少なくとも1種以上の水難溶性の液状農薬活性成分を含有する乳化液の平均粒子径は、約1.5〜10μmであり、好ましくは約1.5〜6μmである。
固状農薬活性成分を含有する懸濁液については、所定量の水に尿素を溶解させた後に、ベントナイトを加えて分散させ、懸濁液(湿潤分散)用の界面活性剤を溶解させる。これにグリコール類、水難溶性の固状農薬活性成分を加え、必要により防腐剤、消泡剤などの添加剤を加え、混合する。これを湿式粉砕機、例えばダイノミルを用いて、湿式粉砕を行うことにより、平均粒子径が約3μm以下の均一で安定な懸濁粒子が得られる。水、尿素、界面活性剤、グリコール類、ベントナイトおよび少なくとも1種以上の水難溶性固状農薬活性成分を含有する懸濁液は、粉砕後pHを約2〜6、好ましくは2〜4に調整する。pHの調整には通常、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸などの無機酸、酢酸、クエン酸などの有機酸が用いられる。
得られる乳化液と懸濁液、ラテックスおよび界面活性剤(分散用界面活性剤)を所定の割合で混合し撹拌することによって、安定な水性乳化懸濁状農薬組成物を得ることができる。乳化液と懸濁液との混合割合は通常1:10〜10:1(重量部)である。
乳化液および懸濁液における各成分の含有量は、最終的に上記した組成物全量に対する含有量になるように選択して調製することができる。
ここで水性乳化懸濁状農薬組成物の粘度は通常約200〜1000mPa・s、好ましくは約200〜500mPa・sである。
【0019】
また本発明は農薬活性成分、界面活性剤、グリコール類および尿素を含有し、粘度が約200〜1000mPa・s(好ましくは約200〜500mPa・s)である水性乳化懸濁状農薬組成物および農薬活性成分、界面活性剤、グリコール類、尿素およびポリビニルアルコールを含有する水性乳化懸濁状農薬組成物に関する。
農薬活性成分、界面活性剤、グリコール類およびポリビニルアルコールとしては、上記したものと同様なものが用いられる。
本発明の農薬組成物における農薬活性成分の含有量は、組成物全体に対して通常約0.1〜70重量%、好ましくは約1〜50重量%である。より具体的には、本発明の農薬組成物における水難溶性の液状農薬活性成分の含有量は、組成物全体に対して通常約0.1〜50重量%、好ましくは約1〜40重量%である。水難溶性の固状農薬活性成分の含有量は、組成物全体に対して通常約0.1〜50重量%、好ましくは約1〜40重量%である。水溶性の農薬活性成分の含有量は、組成物全体に対して通常約0〜50重量%、好ましくは0〜約30重量%である。
界面活性剤は本発明の組成物全量に対して通常約1〜30重量%、好ましくは約1〜20重量%用いられる。後述の湿潤分散用界面活性剤としては、上記した湿潤分散剤として使用される界面活性剤と同様なものが用いられ、組成物全量に対して通常約1〜10重量%、好ましくは約2〜5重量%添加することができる。後述の分散用界面活性剤としては、上記した分散剤として使用される界面活性剤と同様なものが用いられ、組成物全量に対して通常約1〜10重量%、好ましくは約2〜5重量%添加することができる。
グリコール類および尿素は、それぞれ組成全量に対して通常約1〜50重量%、好ましくは約1〜30重量%添加することができる。
ポリビニルアルコールは組成物全量に対して通常約0.1〜2重量%、好ましくは約0.2〜1重量%添加することができる。
【0020】
本発明の、粘度が約200〜1000mPa・sである水性乳化懸濁状農薬組成物はたとえば農薬活性成分、界面活性剤、グリコール類、尿素およびポリビニルアルコールを水に乳化懸濁されることにより製造することができるが、例えば、水,尿素,ポリビニルアルコール,および少なくとも1種の液状農薬活性成分(好ましくは、水難溶性の液状農薬活性成分)を含有する乳化液と、水,尿素,界面活性剤,グリコール類,および少なくとも1種以上の固状農薬活性成分(好ましくは、水難溶性の固状農薬活性成分)を含有する懸濁液とさらに所望によりラテックスおよび界面活性剤を加えて混合して、水性乳化懸濁状農薬組成物とすることができる。より具体的には、水,尿素,ポリビニルアルコールおよび少なくとも1種以上の水難溶性の液状農薬活性成分を含有する混合液を湿式粉砕してから得られる乳化液と水,尿素,グリコール類,湿潤分散用界面活性剤および少なくとも1種以上の水難溶性の固状農薬活性成分、さらに必要に応じてベントナイトを含有する混合液を湿式粉砕して得られる懸濁液とさらに所望によりラテックスおよび分散用界面活性剤とを混合することによって本発明の水性乳化懸濁状農薬組成物を製造することができる。
液状農薬活性成分を含有する乳化液については、まず所定量の水に尿素を溶解させ、次にポリビニルアルコールを溶解させた後に、液状農薬活性成分を加え、混合する。これを高速撹拌機、例えばCLEARMIXを用いて、撹拌を行うことにより、平均粒子径が約1.5〜10μm(好ましくは約1.5〜6μm)の均一で安定な乳化液が得られる。
固状農薬活性成分を含有する懸濁液については、所定量の水に尿素を溶解させた後に、ベントナイトを加えて分散させ、懸濁液(湿潤分散剤)用の界面活性剤を溶解させる。これにグリコール類、水難溶性の固状農薬活性成分を加え、必要により防腐剤、消泡剤などの添加剤を加え、混合する。これを湿式粉砕機、例えばダイノミルを用いて、湿式粉砕を行うことにより、平均粒子径が約3μm以下の均一で安定な懸濁粒子が得られる。
得られる乳化剤と懸濁液を所定の割合(通常1:10〜10:1)で混合し撹拌することによって、安定な水性乳化懸濁状農薬組成物を得ることができる。乳化剤および懸濁剤における各成分の含有量は、最終的に上記した組成物全量に対する含有量になるように選択して調製することができる。
ラテックスおよびベントナイトとしてはそれぞれ上記したラテックスおよびベントナイトと同様なものが用いられる。
以上のようにして得られる本発明の水性乳化懸濁状農薬組成物は、長期間貯蔵した後や、低温または高温下で貯蔵した後でもハードケーキを生じにくい。また、凝集や沈澱物の生成などによるクリーム化も起こりにくく、高い安定性を示す安全な農薬組成物である。
【0021】
本発明の水性乳化懸濁状農薬組成物はそのまま、あるいは水などの希釈剤に希釈して使用することができる。
本発明の水性乳化懸濁状農薬組成物の使用方法は、農薬活性成分の種類、目的(例、殺虫、殺菌、除草)、対象、使用場所などによって異なるが、公知の使用方法にしたがい水田、畑地、芝地、果樹園あるいは非農耕地などに噴霧あるいは滴下などにより散布するかあるいは浸漬することにより用いられる。より具体的には、例えば育苗箱処理、作物の茎葉散布、虫体散布、水田の水中施用あるいは土壌処理などにより使用することができる。そして、その施用量は、施用時間、施用場所、施用方法等に応じて広範囲に変えることができるが、一般には10アール当たり農薬活性成分が通常1〜500g、好ましくは5〜200gとなるように施用する。
【0022】
【実施例】
以下に、本発明の具体的な実施例、参考例及び試験例を示し、本発明を更に詳細に説明するが、本発明がこれらの例に限定されるものではない。
以下の実施例、参考例における「部」は全て「重量部」を示す。
【実施例1】
(1)乳化液の調製
尿素16部を水37.8部に混合し、マグミキサーで撹拌して完全に溶解させ、これにゴーセノールKL−05(ポリビニルアルコール、日本合成化学工業(株))2部を添加し、更に撹拌した。これにシラフルオフェン44.2部を加え混合した。この混合物をCLEARMIX(エム・テクニック(株)製、スクリーン:S1.0−24、ローター:R2−30、20000rpm)を用いて乳化し、平均粒子径1.73μmの乳化液を調製した。
(2)懸濁液の調製
尿素5.6部を水29.2部に混合し、マグミキサーで撹拌して完全に溶解させた。これにクニピアF(クニミネ工業(株))0.42部を加え、均一に分散させ、ノイゲンEA−177(ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、第一工業製薬(株))3.5部を添加し、更に撹拌した。これにエチレングリコール7部、p−ヒドロキシ安息香酸n−ブチル0.14部、アンチホームE−20(花王(株))を0.28部加え混合し、フェリムゾン23.7部、フサライド23.3部を加え、撹拌した。この混合物をダイノミル(シンマルエンタープライズ製、1.0mmガラスビーズ、充填率80%、周速15m/s)を用いて、湿式粉砕(1パス)した。この液に硫酸を添加して、pH3.5とした。
(3)サスポエマルジョンの調製
乳化液25部、懸濁液66.5部、デモールEP(アルキレンマレイン酸共重合物、花王(株))0.5部、CROSLENE SK−72(ブタジエン−スチレンゴム、武田薬品工業(株))を5部混合し、マグミキサーで20分撹拌した後、トキサノンGR−30(ポリアクリル酸ナトリウム、三洋化成工業(株))を3部混合して、さらに20分撹拌した。このサスポエマルジョンの粘度は327mPa・sであった。
【0023】
【実施例2】
(1)乳化液の調製
尿素16部を水37.8部に混合し、マグミキサーで撹拌して完全に溶解させ、これにゴーセノールKL−05(ポリビニルアルコール、日本合成化学工業(株))2部を添加し、更に撹拌した。これにシラフルオフェン44.2部を加え混合した。この混合物をCLEARMIX(エム・テクニック(株)製、スクリーン:S1.0−24、ローター:R2−30、15000rpm)を用いて乳化し、平均粒子径2.41μmの乳化液を調製した。
(2)懸濁液の調製
尿素5.6部を水29.2部に混合し、マグミキサーで撹拌して完全に溶解させた。これにクニピアF(クニミネ工業(株))0.42部を加え、均一に分散させ、ノイゲンEA−177(ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、第一工業製薬(株))3.5部を添加し、更に撹拌した。これにエチレングリコール7部、p−ヒドロキシ安息香酸n−ブチル0.14部、アンチホームE−20(花王(株))を0.28部加え混合し、フェリムゾン23.7部、フサライド23.3部を加え、撹拌した。この混合物をダイノミル(シンマルエンタープライズ製、1.0mmガラスビーズ、充填率80%、周速15m/s)を用いて、湿式粉砕(1パス)した。この液に硫酸を添加して、pH3.2とした。
(3)サスポエマルジョンの調製
乳化液25部、懸濁液66.5部、デモールEP(アルキレンマレイン酸共重合物、花王(株))0.5部、CROSLENE SK−72(ブタジエン−スチレンゴム、武田薬品工業(株))を5部混合し、マグミキサーで20分撹拌した後、トキサノンGR−30(ポリアクリル酸ナトリウム、三洋化成工業(株))を3部混合して、さらに20分撹拌した。このサスポエマルジョンの粘度は310mPa・sであった。
【0024】
【実施例3】
(1)乳化液の調製
尿素16部を水37.8部に混合し、マグミキサーで撹拌して完全に溶解させ、これにゴーセノールKL−05(ポリビニルアルコール、日本合成化学工業(株))2部を添加し、更に撹拌した。これにシラフルオフェン44.2部を加え混合した。この混合物をCLEARMIX(エム・テクニック(株)製、スクリーン:S1.5−18、ローター:R−4、13000rpm)を用いて乳化し、平均粒子径4.54μmの乳化液を調製した。
(2)懸濁液の調製
尿素5.6部を水29.2部に混合し、マグミキサーで撹拌して完全に溶解させた。これにクニピアF(クニミネ工業(株))0.42部を加え、均一に分散させ、ノイゲンEA−177(ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、第一工業製薬(株))3.5部を添加し、更に撹拌した。これにエチレングリコール7部、p−ヒドロキシ安息香酸n−ブチル0.14部、アンチホームE−20(花王(株))を0.28部加え混合し、フェリムゾン23.7部、フサライド23.3部を加え、撹拌した。この混合物をダイノミル(シンマルエンタープライズ製、1.0mmガラスビーズ、充填率80%、周速15m/s)を用いて、湿式粉砕(1パス)した。この液に硫酸を添加して、pH3.2とした。
(3)サスポエマルジョンの調製
乳化液25部、懸濁液66.5部、デモールEP(アルキレンマレイン酸共重合物、花王(株))0.5部、CROSLENE SK−72(ブタジエン−スチレンゴム、武田薬品工業(株))を5部混合し、マグミキサーで20分撹拌した後、トキサノンGR−30(ポリアクリル酸ナトリウム、三洋化成工業(株))を3部混合して、さらに20分撹拌した。このサスポエマルジョンの粘度は284mPa・sであった。
【0025】
【実施例4】
(1)乳化液の調製
尿素16部を水37.8部に混合し、マグミキサーで撹拌して完全に溶解させ、これにゴーセノールKL−05(ポリビニルアルコール、日本合成化学工業(株))2部を添加し、更に撹拌した。これにシラフルオフェン44.2部を加え混合した。この混合物をCLEARMIX(エム・テクニック(株)製、スクリーン:S1.5−24、ローター:R−4、20000rpm)を用いて乳化し、平均粒子径1.83μmの乳化液を調製した。
(2)懸濁液の調製
尿素5.6部を水29.2部に混合し、マグミキサーで撹拌して完全に溶解させた。これにクニピアF(クニミネ工業(株))0.42部を加え、均一に分散させ、ノイゲンEA−177(ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、第一工業製薬(株))3.5部を添加し、更に撹拌した。これにエチレングリコール7部、p−ヒドロキシ安息香酸n−ブチル0.14部、アンチホームE−20(花王(株))を0.28部加え混合し、フェリムゾン23.7部、フサライド23.3部を加え、撹拌した。この混合物をダイノミル(シンマルエンタープライズ製、1.0mmガラスビーズ、充填率80%、周速15m/s)を用いて、湿式粉砕(1パス)した。この懸濁液のpHは9.09であった。
(3)サスポエマルジョンの調製
乳化液25部、懸濁液66.5部、デモールEP(アルキレンマレイン酸共重合物、花王(株))0.5部、CROSLENE SK−72(ブタジエン−スチレンゴム、武田薬品工業(株))を5部混合し、マグミキサーで20分撹拌した後、トキサノンGR−30(ポリアクリル酸ナトリウム、三洋化成工業(株))を3部混合して、さらに20分撹拌した。このサスポエマルジョンの粘度は375mPa・sであった。
【0026】
【実施例5】
(1)乳化液の調製
尿素16部を水37.8部に混合し、マグミキサーで撹拌して完全に溶解させ、これにゴーセノールKL−05(ポリビニルアルコール、日本合成化学工業(株))2部を添加し、更に撹拌した。これにシラフルオフェン44.2部を加え混合した。この混合物をマイクロフルイダイザー(Microfluidics Corp.、15000PSI)を用いて湿式粉砕し、平均粒子径1.00μmの乳化液を調製した。
(2)懸濁液の調製
尿素5.6部を水29.1部に混合し、マグミキサーで撹拌して完全に溶解させた。これにクニピアF(クニミネ工業(株))0.56部を加え、均一に分散させ、ノイゲンEA−177(ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、第一工業製薬(株))3.5部を添加し、更に撹拌した。これにエチレングリコール7部、p−ヒドロキシ安息香酸n−ブチル0.14部、アンチホームE−20(花王(株))を0.28部加え混合し、フェリムゾン23.7部、フサライド23.3部を加え、撹拌した。この混合物をダイノミル(シンマルエンタープライズ製、1.0mmガラスビーズ、充填率80%、周速15m/s)を用いて、湿式粉砕(1パス)した。この懸濁液のpHは9.09であった。
(3)サスポエマルジョンの調製
乳化液25部、懸濁液66.5部、デモールEP(アルキレンマレイン酸共重合物、花王(株))0.5部、CROSLENE SK−72(ブタジエン−スチレンゴム、武田薬品工業(株))を5部混合し、マグミキサーで20分撹拌した後、トキサノンGR−30(ポリアクリル酸ナトリウム、三洋化成工業(株))を3部混合して、さらに20分撹拌した。このサスポエマルジョンの粘度は400mPa・sであった。
【0027】
【参考例1】
(1)乳化液の調製
尿素16部を水37.8部に混合し、マグミキサーで撹拌して完全に溶解させ、これにニューポールPE−108(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、三洋化成工業(株))2部を添加し、更に撹拌した。これにシラフルオフェン44.2部を加え混合した。この混合物をCLEARMIX(エム・テクニック(株)製、スクリーン:S1.5−24、ローター:R−4、20000rpm)を用いて乳化し、平均粒子径2.70μmの乳化液を調製した。
(2)懸濁液の調製
尿素5.6部を水28.9部に混合し、マグミキサーで撹拌して完全に溶解させた。これにクニピアF(クニミネ工業(株))0.7部を加え、均一に分散させ、ノイゲンEA−177(ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、第一工業製薬(株))3.5部を添加し、更に撹拌した。これにエチレングリコール7部、p−ヒドロキシ安息香酸n−ブチル0.14部、アンチホームE−20(花王(株))を0.28部加え混合し、フェリムゾン23.7部、フサライド23.3部を加え、撹拌した。この混合物をダイノミル(シンマルエンタープライズ製、1.0mmガラスビーズ、充填率80%、周速15m/s)を用いて、湿式粉砕(1パス)した。この懸濁液のpHは9.09であった。
(3)サスポエマルジョンの調製
乳化液25部、CROSLENE SK−72(ブタジエン−スチレンゴム、武田薬品工業(株))を5部混合し、マグミキサーで20分撹拌した後、懸濁液66.5部、デモールEP(アルキレンマレイン酸共重合物、花王(株))0.5部、トキサノンGR−30(ポリアクリル酸ナトリウム、三洋化成工業(株))を3部混合して、さらに20分撹拌した。このサスポエマルジョンの粘度は144mPa・sであった。
【0028】
【試験例1】
高温下安定性試験
実施例1〜5および参考例1で得られた水性乳化懸濁状農薬組成物を用いて加熱試験を行った。各水性乳化懸濁状農薬組成物20mlをガラス瓶に入れ、室温(25℃)および40℃で3ヶ月間保存し、レーザー回折式粒度分布測定装置(SYMPATEC HEROS&RODOS)を使用して、90%粒子径を測定した。得られた結果を〔表1〕に示す。
【0029】
【表1】
Figure 0004060909
【0030】
表1より明らかなとおり、ポリビニルアルコールを含有せず粘度が200mPa・s未満であるサスポエマルジョンに比べ、ポリビニルアルコールを含有し粘度が200mPa・s以上であるサスポエマルジョンが高温の条件下において粒子径変化が少ないことがわかった。また、懸濁液のpHを2〜6に調整して調製されたサスポエマルジョンは、高温の条件下においてもクリーム化せず、粒子径が変化しないことがわかった。
【0031】
【発明の効果】
本発明の水性乳化懸濁状農薬組成物は、低温および高温の条件下においてもクリーム化せず、粒子径が変化しない。したがって、長期間の貯蔵下や低温・高温条件下でも品質劣化を抑制することができる。

Claims (10)

  1. 水、尿素、ポリビニルアルコールおよび少なくとも1種以上の液状の農薬活性成分を含有する乳化液と、水、界面活性剤、グリコール類、尿素、ベントナイトおよび少なくとも1種以上の固状の農薬活性成分を含有するpH2〜4の懸濁液と、ラテックスおよび界面活性剤を混合してなることを特徴とする水性乳化懸濁状農薬組成物
  2. 液状の農薬活性成分および固状の農薬活性成分がともに水難溶性である請求項1記載の農薬組成物
  3. ポリビニルアルコールが組成物全体に対して0.1〜2重量%である請求項1記載の農薬組成物
  4. グリコール類、尿素およびラテックスがそれぞれ組成物全体に対して1〜30重量%である請求項1記載の農薬組成物
  5. 固状の農薬活性成分がフェリムゾン、フサライドおよびトリシクラゾールから選ばれる1種以上である請求項1記載の農薬組成物
  6. 液状の農薬活性成分がシラフルオフェンである請求項1記載の農薬組成物
  7. 粘度が200〜1000m Pa ・sである請求項1記載の農薬組成物
  8. 水、尿素、ポリビニルアルコールおよび少なくとも1種以上の液状の農薬活性成分を含有する乳化液と、水、界面活性剤、グリコール類、尿素、ベントナイトおよび少なくとも1種以上の固状の農薬活性成分を含有するpH2〜4の懸濁液と、ラテックスおよび界面活性剤を混合することを特徴とする請求項1記載の水性乳化懸濁状農薬組成物の製造法
  9. 乳化液の平均粒子径が約1.5〜10μmである請求項8記載の水性乳化懸濁状農薬組成物の製造法
  10. 請求項1記載の水性乳化懸濁状農薬組成物を水田、畑地、芝地、果樹園あるいは非農耕地に散布または浸漬することを特徴とする、殺虫、殺菌または除草する方法
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