JP4072840B2 - ブロー成形用金型 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ブロー成形用金型、特には鏡面又はシボ面成形用型面を有し、該型面裏側に型面温度調節用の流体が供給される温度調節室を有するブロー成形用金型に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、中空のプラスチック成形品はブロー成形により成形されることが多い。このブロー成形は、加熱により軟化させたプラスチック製のパリソン内に空気等の流体を吹き込み、パリソンを膨張させて金型の型面に密着させることにより金型の型面形状に賦形し、中空のプラスチック成形品を成形する方法である。
【0003】
ブロー成形に用いられる金型としては種々のものがあるが、特に、鏡面又はシボ面を有する中空プラスチック成形品の成形に用いられる金型は、鏡面又はシボ面成形用型面を有し、その鏡面又はシボ面成形用型面の形状を前記中空プラスチック成形品の表面にきれいに転写するため、シボ面や鏡面を形成しない通常のブロー成形の場合に比べて型面の温度を正確にコントロールする必要がある。
【0004】
そのため、従来、鏡面又はシボ面を有する中空プラスチック成形品のためのブロー成形型には、型面の裏側に温度調節室を設けると共に、その温度調節室に流体供給口と流体排出口を設け、加熱された蒸気等の流体を前記流体供給口から温度調節室内に供給することによって型面の温度を所要温度に加熱し、パリソンを膨張させて型面に密着させた後、前記温度調節室内に冷却水等の流体を供給することにより、型面の温度を下げてパリソンを冷却し、形状を固定させていた。
【0005】
しかし、前記鏡面又はシボ面成形用型面を有するブロー成形用金型にあっては、温度調節室内に供給した蒸気等の流体が温度調節室内全体に効率よく分散せず、型面の加熱に時間がかかっていた。そのため、前記金型を使用して鏡面又はシボ面を有する中空プラスチック成形品を成形すると、加熱・冷却をしない通常の中空プラスチック成形品を成形する場合と比べ、成形に要する時間が1.2〜2.0倍程度必要となり、成形効率が低い問題があった。しかも、前記流体供給口に近い位置と流体供給口付近から離れた位置とで型面に温度差を生じ、鏡面又はシボ面がきれいに転写されないこともあった。
【0006】
また、型面裏側に仕切板を立設し、その仕切板によって温度調節室内を複数の部屋に分けると共に、前記型面裏側から離れた仕切板の中央付近に設けた連通路によって各部屋を連通させて、各部屋に加熱・冷却用の流体を供給する構造も提案されている。
【0007】
しかし、前記構造にあっては、型面裏側に仕切板が立設されているため、その仕切板が存在する型面裏側は流体と接することができず、流体によって直接加熱・冷却されないことになる。その結果、仕切板が裏側に存在する型面部分と他の型面部分との間で温度差を生じるのが避けられず、特に型面の加熱時、仕切板立設部分の型面でパリソンが溶融しにくくなって型面の鏡面又はシボ面がきれいに転写されない不具合を生じ易い問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、前記の点に鑑みなされたもので、鏡面又はシボ面を有する中空プラスチック成形品の成形時間を短縮でき、しかも鏡面又はシボ面がきれいに転写されるブロー成形用金型を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
すなわち、請求項1の発明は、鏡面又はシボ面成形用型面を有し、該型面裏側に型面温度調節用の流体が供給される温度調節室を有するブロー成形用金型において、前記型面裏側と対向する温度調節室内面に立設された一又は複数の仕切板により温度調節室が複数の部屋に分けられると共に、前記仕切板先端と型面裏側間に隙間が設けられることにより各部屋が連通し、前記部屋ごとに少なくとも一の流体供給口が加熱用流体と冷却用流体用に設けられ、前記温度調節室の下部には開閉可能な流体排出口を設け、前記加熱用流体と冷却用流体用の流体供給口とは別に加圧用の気体供給孔を前記温度調節室の上部に設けたことを特徴とするブロー成形用金型に係る。
【0010】
また、請求項2の発明は、一又は複数の仕切板に温度測定用センサーを取り付けたことを特徴とする請求項1記載のブロー成形用金型に係る。
【0011】
請求項3の発明は、温度調節室の周りの一部又は型面側を除く全部に断熱層を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載のブロー成形用金型に係る。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下添付の図面に従ってこの発明を詳細に説明する。
図1はこの発明の第1実施例に係るブロー成形用金型を示す断面図、図2は図1の金型を用いたブロー成形過程における型面加熱時を示す断面図、図3はブロー成形過程におけるパリソン膨張時及び型面冷却時を示す断面図、図4は第2実施例に係るブロー成形用金型を示す断面図、図5は第3実施例に係るブロー成形用金型を示す断面図である。
【0013】
図1ないし図3に示すのは、この発明の第1実施例に係るブロー成形用金型10である。該金型10は電鋳型からなって、鏡面又はシボ面成形用型面11を有し、該型面裏側12に温度調節室20を有している。
【0014】
前記型面11は、パリソンPをブローして該型面11に沿わせることにより所望の製品を得られるように所定形状に形成されている。また、前記型面11は鏡面又はシボ面状になっており、前記パリソンPに鏡面又はシボ面を転写できるようになっている。
【0015】
前記温度調節室20は型面温度調節用の流体Rを供給するために設けられた空間であり、前記型面11略全体の裏側12に設けられている。また、前記温度調節室20に流体Rを供給したときに該流体Rの温度が型面11に均等に伝わるように、型面11と型面裏側12間の金型の厚みAは均一に形成されている。なお、前記金型の厚みAは、流体Rの温度が型面11に伝わり易く、しかもブロー成形に耐え得る強度を保つために2〜30mm程度にするのが好ましい。
【0016】
前記温度調節室20は、型面裏側12と対向する温度調節室内面22に立設された一又は複数の仕切板30によって複数の部屋21に分けられている。この仕切板30は金型10と同一材質で形成されているのが好ましい。また、仕切板30の厚みBは2〜50mm程度にするのが好ましい。前記仕切板30の先端31と型面裏側12の間には0.5mm〜30mm以下の隙間Gが設けられており、仕切板30によって分けられた各部屋21が該隙間Gにより型面裏側12に沿って連通している。
【0017】
また、前記温度調節室20の型面裏側12と対向する内面22には、流体Rを供給するための流体供給口40が各部屋21ごとに設けられている。前記流体供給口40は流体供給管50につながっており、流体供給装置(図示せず)から流体供給管50、流体供給口40を通って型面温度調節用の流体Rが温度調節室20に供給されるようになっている。
【0018】
前記流体Rには蒸気等の型面加熱用流体R1と冷却水等の型面冷却用流体R2があり、それぞれ別の流体供給管、流体供給口を設けてもよいが、この実施例では一つの流体供給口40、流体供給管50を加熱用、冷却用両方に使用するようになっている。
【0019】
なお、前記仕切板30によって分けられる部屋21の数は金型10の大きさ、形状等によって異なるが、部屋数を多くすれば前記流体供給口40の数が増えて型面裏側12のより多くの部分に流体が効率よくあたるようにできるため、型面11の温度をより均等にすることができ、また、型面11を早く所定温度にすることができるため成形時間も短縮することができる。
【0020】
さらにこの実施例では、温度調節室20下部22にバルブVで開閉可能とされた流体排出口70を設けてある。この流体排出口70は、加熱あるいは冷却後に温度調節室20内に残った流体Rを温度調節室20から排出して、次の加熱あるいは冷却用に供給される流体Rの邪魔にならないようにするためのものである。このように、流体排出口70を温度調節室20の下部22に設けてあるため、流体Rの自重を利用してスムーズに排出を行うことができる。また、温度調節室20上部23に加圧用の気体供給孔Eを設け、前記流体排出口70からの流体排出時に気体供給孔Eから空気等の気体を温度調節室20内に供給して該温度調節室20内に圧力をかけるようにすれば、流体排出口70からの流体Rの排出を早めることができる。なお、符号Hは、流体排出口70から排出した流体を溜める容器状の収容部であり、この例のように温度調節室20の下部外面に接して設けられる他に、ブロー成形用金型10と離して設けられ、図示しない管等で、前記流体排出口70と接続される場合もある。
【0021】
次に、この実施例のブロー成形用金型10を用いた中空プラスチック成形品の成形方法について説明する。まず、図1に示すように、パリソンPを金型10間に挿入し、型締めする。次いで、図2に示すように、前記温度調節室20の各部屋21ごとに設けられた流体供給口40から蒸気等の型面加熱用流体R1を供給して型面11をパリソンPが溶融する温度に加熱し、型面加熱用流体R1の供給を停止する。その間、前記流体排出口70は閉じた状態としておく。符号DはパリソンPを供給するためのダイスである。
【0022】
前記型面加熱用流体R1は、前記流体供給口40が温度調節室20の型面裏側12と対向する内面22に形成されており、さらには仕切板30で仕切られた各部屋21ごとに設けられているため、各部屋21の型面裏側12に直接あたり、型面11を速やかに所定温度まで上げることができる。また、前記仕切板30の先端31と型面裏側12の間に隙間Gが設けられているため、各部屋21に供給された型面加熱用流体R1は、前記隙間G部分でも型面裏側に直接あたることになり、型面裏側12の全ての部分が型面加熱用流体R1で満遍なく加熱されるので、型面11の温度が均一となる。しかも、型面11は型面裏側12が隙間Gによって仕切板30と分離しているため、型面11の厚みが仕切板30の存在によって部分的に増大せず、その型面11の部分的な厚み増大に起因する型面11の加熱温度不均一を生じることがない。
【0023】
次いで、図3に示すように、吹き込みノズルNから空気などの気体K等を吹き込むことによりパリソンPを膨張させ、型面11に沿わせる。ここで、型面11は前記した金型10の構造により均一の温度に加熱されているので、パリソンPの表面が型面11形状に均一に賦形され、型面11の鏡面又はシボ面がきれいに転写される。
【0024】
その後、前記流体供給口40から温度調節室20に冷却水等からなる型面冷却用流体R2を供給して、型面11を所定温度まで冷却することにより、パリソンPを冷却して形状を固定した後、ブロー成形用型を脱型して所望の製品を得る。なお、前記型面11冷却後適宜時点で流体排水口70が開かれて、型面冷却用流体R2が温度調節室20から排出される。その際、前記温度調節室20上部23の気体供給孔Eから空気等の気体を温度調節室20内に供給して該温度調節室20内を加圧すれば、より短時間で型面冷却用流体R2を温度調節室20から排出でき、次の製品のブロー成形に移ることができる。
【0025】
また、良質の製品を安定して得るためには所定の型面温度でブロー成形する必要がある。そのため、図4に示すように、熱電対等からなる公知の温度測定用センサーSをブロー成形用金型10に設け、図示しない温度測定装置と接続して型面11の温度を測定し、製品の品質管理に役立たせるのが好ましい。
【0026】
前記温度測定用センサーSは、型面11の裏側12に密着させて設けることが考えられる。しかし、その場合、温度測定用センサーSが型面裏側12に存在する部分と存在しない部分とでは、温度測定用センサーSを含めた型面11の見かけ上の厚みや、材質が異なることとなるため、型面11の温度が不均一になり、ブロー成形品表面に良好なシボ面や鏡面を転写できなくなる。
【0027】
前記不具合を解消するには、この図4の例のように、一又は複数の仕切板30の側面32に温度測定用センサーSを設けるのが好ましい。この位置に温度測定用センサーSを設ければ、温度測定用センサーSが型面11の裏側12から離れることになるため、温度測定用センサーSによる型面11への影響を防ぐことができ、型面11を均一に温調でき、良好なシボ面又は鏡面をブロー成形品に転写することができるようになる。
【0028】
この場合、型面11の真の温度は測定できないが、型面11の熱は温度調節室20の壁面等を通って仕切板30に伝わるので、仕切板30の温度は型面11の温度に対応した温度となる。したがって、あらかじめ型面11と仕切板30とにおける両温度間の関係、すなわち温度差や温度比率等を測定しておくことにより、仕切板30の位置で測定した温度から、型面11の温度を知ることができ、その温度を管理すれば加熱・冷却時の型面11の温度を一定にすることができる。なお、この図では温度測定用センサーSは一つしか設けていないが、金型10の大きさ、形状等によって複数の仕切板30に前記温度測定用センサーSを設けても良い。複数のセンサーで型面11の温度管理をすることにより、より適確な温度管理ができる。また、前記温度測定用センサーSが設けられる仕切板30の厚みBは、型面11と型面裏側12間の金型の厚みAと等しくし、仕切板30の材質も型面の材質と熱伝導率の近いもの(±2kal/min)にするのが好ましい。
【0029】
さらに、加熱・冷却時の熱が金型10の外部に漏れないように、温度調節室20の周りに図5に示すような断熱材、空気層等からなる断熱層60を設けても良い。これによって、より効率良く型面11の加熱・冷却ができる。なお、この図では温度調節室20の上下だけに断熱層60が設けられているが、型面11側を除く温度調節室20の周り全てに断熱層60を設けるのが熱効率上好ましい。
【0030】
【発明の効果】
以上図示し説明したように、この発明におけるブロー成形用金型によれば、温度調節室を型面裏側との間に隙間を残した仕切板によって複数の部屋に分け、各部屋ごとに型面温度調節用の流体供給口を設けたため、型面を速く所定温度にすることができ、鏡面又はシボ面を有する中空プラスチック成形品の成形時間を短縮することができるのである。さらに、温度調節室の周りに断熱層を設けたり、温度調節室下部に流体排出口を設けることにより、より成形時間の短縮を図ることができる。具体的には、従来180〜240秒の成形サイクルであったものを約150秒に短縮することができた。
【0031】
また、この発明は、仕切板先端と型面裏側の間に隙間を設けたことによって流体が型面裏側に均等に行き渡り、これにより型面の温度にムラがなくなり鏡面又はシボ面がきれいに転写できる効果がある。さらに、温度測定用センサーSを仕切板側面に取り付けることにより、型面温度にムラを生じさせずに型面の温度管理を行うことができ、同質の製品を安定して得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の第1実施例に係るブロー成形用金型を示す断面図である。
【図2】 図1の金型を用いたブロー成形過程における型面加熱時を示す断面図である。
【図3】 ブロー成形過程におけるパリソン膨張時及び型面冷却時を示す断面図である。
【図4】 第2実施例に係るブロー成形用金型を示す断面図である。
【図5】 第3実施例に係るブロー成形用金型を示す断面図である。
【符号の説明】
10 ブロー成形用金型
11 型面
20 温度調節室
30 仕切板
40 流体供給口
50 流体供給管
60 断熱層
70 流体排出口
D ダイス
E 気体供給孔
H 収容部
N 吹き込みノズル
P パリソン
R,R1,R2 流体
S 温度測定用センサー

Claims (3)

  1. 鏡面又はシボ面成形用型面を有し、該型面裏側に型面温度調節用の流体が供給される温度調節室を有するブロー成形用金型において、
    前記型面裏側と対向する温度調節室内面に立設された一又は複数の仕切板により温度調節室が複数の部屋に分けられると共に、前記仕切板先端と型面裏側間に隙間が設けられることにより各部屋が連通し、前記部屋ごとに少なくとも一の流体供給口が加熱用流体と冷却用流体用に設けられ、
    前記温度調節室の下部には開閉可能な流体排出口を設け、前記加熱用流体と冷却用流体用の流体供給口とは別に加圧用の気体供給孔を前記温度調節室の上部に設けたことを特徴とするブロー成形用金型。
  2. 一又は複数の仕切板に温度測定用センサーを取り付けたことを特徴とする請求項1記載のブロー成形用金型。
  3. 温度調節室の周りの一部又は型面側を除く全部に断熱層を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載のブロー成形用金型。
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