JP4115151B2 - 加飾シートと加飾成形品の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動車内外装、建材、住宅設備等に用いられるポリプロピレン樹脂からなる加飾成形品を得るための加飾シートと、それを用いた加飾成形品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、成形樹脂としてポリプロピレン樹脂を用いた成形品の表面に加飾シートを形成する製造方法として、次のようなものがある。つまり、アクリル樹脂シート上に加飾層と接着層を有する印刷層が形成された加飾シートを、射出成形金型内に入れ、型閉めして溶融状態のポリプロピレン樹脂からなる成形樹脂をキャビティに射出し、成形樹脂を固化した成形品に加飾シートの印刷層側を一体化接着させるものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
成形樹脂として用いることができるポリプロピレン樹脂は、射出成形後の収縮率が15/1000〜18/1000程度と大きい。このため、例えば、収縮率4/1000〜6/1000程度のアクリル樹脂シートを用いた加飾シートを成形樹脂に一体化接着したものは、成形樹脂と加飾シートとの収縮率の差が大きくなる。したがって、射出成形後の収縮時に発生する応力により成形品と加飾シートとの間に接着不良が発生する。特に成形品のコーナー部では、加飾シートの延伸度合が大きく、加飾シートの接着層の接着力自体が低下するため、より顕著に加飾シートと成形樹脂との間に接着不良が発生する。
この発明は、ポリプロピレン樹脂からなる成形樹脂と加飾シートとの接着力が向上した加飾シートと加飾成形品の製造方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
この発明の加飾シートは、3次元形状に加工可能な熱可塑性シート上にアクリル系、ビニル系、ウレタン系から選択される少なくとも1つの樹脂を含む加飾層、アクリル系樹脂−塩素化ポリプロピレン樹脂の共重合体樹脂を含むアンカー層、塩素化ポリプロピレン樹脂を含む接着層を順次積層した加飾シートにおいて、アンカー層が2層以上の構成であり、且つ、加飾層と接する第1アンカー層中における塩素化ポリプロピレン樹脂の割合(重合比%)をM1、接着層と接する第nアンカー層中における塩素化ポリプロピレン樹脂の割合(重合比%)をMnとしたとき、5≦M1≦M2≦……≦Mn−1≦Mn≦95(nは2以上10以下の自然数)の関係を満たすことを特徴とする。上記この発明の加飾シートは、第1アンカー層中における塩素化ポリプロピレン樹脂の割合(重合比%)が10%であってもよい。この発明の加飾成形品の製造方法は、上記いずれかに記載の加飾シートを射出成形金型内に入れ、所望の3次元形状に加工した後、射出成形金型内でポリプロピレン樹脂からなる成形樹脂と加飾シートの接着層側とを一体化接着させることを特徴とする。この発明の加飾成形品の製造方法は、上記いずれかに記載の加飾シートの接着層側に、JIS−C2318によるシートのMD方向における収縮率が4/1000〜10/1000のプロピレン樹脂シートを裏打ちシートとしてラミネートし、3次元形状に加工し、不要な部分をカットした後、射出成形金型に入れ、ポリプロピレン樹脂からなる成形樹脂を射出して、ポリプロピレン樹脂からなる成形品と裏打ちシート側とを一体化接着させることを特徴とする。上記この発明の加飾成形品の製造方法は、ポリプロピレン樹脂からなる成形樹脂の射出成形後の収縮率が4/1000〜18/1000であってもよい。
【0005】
【発明の実施の形態】
この発明の加飾シートの説明をする。
この発明の加飾シートは、3次元形状に加工可能な熱可塑性シート上にアクリル系、ビニル系、ウレタン系から選択される少なくとも1の樹脂を含む加飾層、アクリル系樹脂−塩素化ポリプロピレン樹脂の共重合体樹脂を含むアンカー層、塩素化ポリプロピレン樹脂を含む接着層を順次積層した加飾シートにおいて、アンカー層が2層以上の構成であり、且つ、加飾層と接する第1アンカー層中における塩素化ポリプロピレン樹脂の割合(重合比%)をM1、接着層と接する第nアンカー層中における塩素化ポリプロピレン樹脂の割合(重合比%)をMnとしたとき、5≦M1≦M2≦……≦Mn−1≦Mn≦95(nは2以上10以下の自然数)の関係を満たすことを特徴とする。
【0006】
熱可塑性シート1は、3次元形状に加工可能なものである。3次元形状に加工する方法としては、真空成形や圧空成形などがある。熱可塑性シート1としては、塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリカーボネート−ポリブチレンテレフタレート系樹脂、ポリプロピレン樹脂、A−PET(アモルファスポリエチレンテレフタレート)、ポリアクリロニトリル系樹脂からなるものがある。熱可塑性シート1の膜厚は50〜300μmとすることができる。50μmより薄いと3次元形状に加工する際の延伸に追従できず破れや皺が発生する不具合がある。300μmより厚いと真空成形金型や圧空成形金型の屈曲部に追従できなかったり、コストが上がったりするという不具合がある。例えば、加飾成形品を自動車内装用に使用するには、熱可塑性シート1としては、透明性、耐光性を兼ね備えたアクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂からなるものが好ましい。また、加飾成形品を建材用に使用するには、安価で且つ透明性もあり柔軟性に優れたポリプロピレン樹脂、塩化ビニル系樹脂からなるものが好ましい。
【0007】
加飾層2は、アクリル系、ビニル系、ウレタン系から選択される少なくとも1つの樹脂を含むものである。これらの樹脂を選択する理由は、アクリル系樹脂の割合(重合比)が大きい第1アンカー層との接着力を確保するためである。また、3次元形状に加工しやすい樹脂であるためである。さらに、有機あるいは無機顔料を混練した時の分散性、発色性、増粘性、塗膜となった時の造膜性が優れるためである。アクリル系樹脂としては、メチルメタクリレート樹脂やアクリル酸メチルがある。ビニル系樹脂としては、塩化ビニル樹脂や塩化ビニリデン樹脂、酢酸ビニルがある。ウレタン系樹脂としては、ポリウレタンがある。有機あるいは無機顔料としては、カーボンブラック、酸化鉄、酸化チタン、モノアゾイエロー、フタロシアニンがある。加飾層2の形成方法としては、印刷法、コート法がある。印刷法としては、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷がある。コート法としては、リバースコート法、ダイレクトコート法、リップコート法、コンマコート法がある。
【0008】
アンカー層3は、アクリル系樹脂−塩素化ポリプロピレン樹脂の共重合体樹脂を含むものである。
アンカー層3にアクリル系樹脂−塩素化ポリプロピレン樹脂の共重合体樹脂を含ませる理由は、アクリル系樹脂と塩素化ポリプロピレン樹脂とは、元来、相溶性がよくないので共重合体樹脂を用いることにより、加飾層2に含まれる樹脂と接着層4に含まれる塩素化ポリプロピレン樹脂との両方に接着できるようにするためである。
【0009】
アンカー層3は2層以上の構成であり、且つ、加飾層2と接する第1アンカー層31の樹脂中における塩素化ポリプロピレン樹脂の割合(重合比%)をM1、接着層4と接する第nアンカー層3n中の塩素化ポリプロピレン樹脂の割合(重合比%)をMnとしたとき、5≦M1≦M2≦……≦Mn−1≦Mn≦95(nは2以上10以下の自然数)の関係を満たすものである。
nの値が2以上である理由は、nが1であると塩素化ポリプロピレン樹脂の割合が少なすぎてアンカー層3と接着層4との間で接着不良が起るからである。nの値が10以下である理由は、nが11以上であるとインキ層の絶対数が増えるため、残留溶剤が増える結果となり、成形樹脂を射出するときにアンカー層3や加飾層2などの飛散が起るからである。M1、M2、……、Mn−1、Mnの下限が「5」である理由は、塩素化ポリプロピレン樹脂の割合が5より小さいと、加飾層2とアンカー層3との接着力が強くなりすぎてアンカー層3内で剥離が起るからである。M1、M2、……、Mn−1、Mnの上限が「95」である理由は、塩素化ポリプロピレン樹脂の割合が95より多くなるとアンカー層3と接着層4との接着力が強くなりすぎてアンカー層3内で剥離が起るからである。
【0010】
「M1≦M2≦……≦Mn−1≦Mn」とした理由は、第1アンカー層31と加飾層2との接着力を有効に保つためには、アンカー層3中のアクリル系樹脂の割合(重合比%)を極力大きくすることが有効であるからである。一方、第nアンカー層3nと接着層4との接着力を有効に保つためには、アンカー層3中の塩素化ポリプロピレン樹脂の割合(重合比%)を極力大きくすることが必要となるからである。そこで、接着層4に近づく程、つまりnの数値が大きくなる程、アンカー層3中の塩素化ポリプロピレン樹脂の割合(重合比%)が漸次増加するようにすることによって、nの数値が小さいアンカー層間では、アクリル系樹脂の割合が大きいためアクリル系樹脂どうしの接着力が隣接するアンカー層間の接着力に大きく寄与する反面、nの数値が大きくなるにしたがって、塩素化ポリプロピレン樹脂の割合がお互いに大きくなるため塩素化ポリプロピレン樹脂どうしの接着力が隣接するアンカー層間の接着力に大きく寄与することになるのである。このようにすることにより、加飾層2/アンカー層3/接着層4の各層間のファンデルワールス力が均等に分散される結果、各層間の接着力が安定し加飾シート全体としての接着力が増すのである。
【0011】
第1アンカー層31中におけるアクリル系樹脂と塩素化ポリプロピレン樹脂の割合(重合比%)が10%であるのが特に好ましい。その理由は、前記値を外れると、加飾層2と第1アンカー層31との接着力が強くなりすぎて、第2アンカー層以降で層間剥離が起りやすくなる場合があるからである。
【0012】
接着層4は、塩素化ポリプロピレン樹脂を含む層である。
塩素化ポリプロピレン樹脂の割合が大きくなった第nアンカー層との接着力を確保するためと、成形樹脂として用いるポリプロピレン樹脂との一体化接着の接着力を確保するためである。塩素化ポリプロピレン樹脂は塩素化されているためポリプロピレン樹脂に比べ、耐溶剤性が弱くて分散しやすく容易にインキ化できて効果的である。
塩素化ポリプロピレン樹脂の形成方法としては、印刷法、コート法がある。印刷法としては、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷などがある。コート法としては、リバースコート法、ダイレクトコート法、リップコート法、コンマコート法などがある。
【0017】
加飾シートを用いた加飾成形品の製造方法を説明する。
まず、加飾シート6を射出成形金型内に入れる。
枚葉の加飾シートを1枚づつ入れることもできるし、長尺の加飾シートのまま、間欠的に連続して入れることもできる。長尺の加飾シートを入れる場合、位置決め機構を有する送り装置を使用して、加飾シートの絵柄層と射出成形金型との見当が一致するようにすることができる。不要な部分を切り取る方法としては、トリミング装置やカッター等を用いる方法がある。
【0018】
つぎに、加飾シート6を所望の3次元形状に加工する。
所望の3次元形状に加工するには、真空成形、圧空成形あるいはプレス成形により行うことができる。加飾シートは、射出成形金型のキャビティ形成面9の凹部や凸部のコーナー部10に沿って部分的あるいは全面に延伸しながら接着することにより3次元形状に加工する。3次元形状に加工する前に、射出成形金型7のキャビティの周囲で加飾シート6をクランプ材8により枠状にクランプしてもよい。真空成形とは、熱成形の一種であって、一般的には、加熱軟化させた加飾シートと型との間の空気を真空吸引孔11から吸引して、大気圧により加飾シートを型に密着させて3次元形状の加飾シートを得る方法をいう。圧空成形とは、熱成形の一種であって、一般的には、圧空を送り込み、加熱軟化させた加飾シートを型に密着させて3次元形状の加飾シートを得る方法をいう。
【0019】
つぎに、射出成形金型内でポリプロピレン樹脂からなる成形樹脂と加飾シートの接着層側とを一体化接着させる。
成形樹脂は、射出成形金型の射出口12から注入する。加飾シートの接着層4が塩素化ポリエチレン樹脂からなるため、成形樹脂のポリプロピレン樹脂との分子間力により、強固に一体化接着する。
ポリプロピレン樹脂からなる成形樹脂の射出成形後の収縮率は、2/1000〜20/1000である。特に、収縮率として4/1000〜18/1000のものを使用するのが好ましい。その理由は、次のとおりである。収縮率が4/1000より低いと、多くの充填材を使用しているため、成形時または成形後に充填材が表面に突き出てくることがあり、これにより接着力が低下する場合があるという不具合がある。収縮率が18/1000を超えると、成形時にヒケが発生したり、成形サイクルが長くなったりして、成形時の保圧を高圧にしたり射出速度を高速にしなければならないなど制限項目が多くなる場合があるという不具合がある。
【0020】
なお、ここでいう射出成形後の収縮率とは、ポリプロピレン樹脂からなる試験片を軟化温度以上に加熱し、固化したのち24時間以内に起る収縮の割合であり、より詳しくはJIS規格6911に従って作成した試験片を用いて、次式によって算出される値である。収縮率=(D1−d1)/D1+(D2−d2)/D2………+(Dn−dn)/Dn。なお、d1〜dnは試験片の最長内径を示す。D1〜Dnはd1〜dnに対応する射出成形金型の最長外径を示す。
また、この発明では、高収縮率のポリプロピレン樹脂からなる成形樹脂を用いる場合に、特に効果的である。この発明において高収縮率とは、ポリプロピレン樹脂にガラス繊維やタルク(滑石)などの充填剤を全く混入しないか、あるいは、混入しても5〜10重量%程度のごく少量であるポリプロピレン樹脂を指す。数値的には10/1000〜18/1000の成形樹脂が高収縮率の成形樹脂である。
【0021】
以上は、射出成形金型内に入れた加飾シートを3次元形状に加工して、成形樹脂を一体化接着する製造方法であるが、加飾シートの接着層4側に、JIS−C2318によるシートのMD方向の収縮率が4/1000〜10/1000のポリプロピレン樹脂シートを裏打ちシートとしてラミネートしたものを使用する場合は、予め、3次元形状に加工して不要な部分をカットした後に、射出成形金型に入れ、ポリプロピレン樹脂からなる成形樹脂と裏打ちシート側とを一体化接着させることができる。
なお、MD方向とは、ロール状に巻取った加飾シートを巻き出す方向を意味する。
裏打ちシートの材質としてポリプロピレン樹脂を用いる理由は成形樹脂として用いられるポリプロピレン樹脂との相溶性を向上させるためである。
つまり、プロピレン樹脂シートのMD方向の収縮率が4/1000〜10/1000であるものを用いる。その理由は、裏打ちシートとしてのプロピレン樹脂シートの収縮率は、3次元形状に加工した後の形状保持のために低めに設定したほうがよいからである。つまり、4/1000〜10/1000の収縮率の範囲内に設定すると、予め3次元形状に加工した加飾シートに反りが発生せず、射出成形金型内に入れて成形樹脂を注入しても、成形樹脂が加飾シートとキャビティ形成面9との間に侵入することがなく、射出成形金型内に入れる際にズレ落ちることもないからである。
プロピレン樹脂シートの膜厚は100〜700μmが好ましい。ポリプロピレン樹脂シートの膜厚が100μmより薄いと、成膜時に膜厚が均一にならなかったりシートが破れたりする不具合がある。ポリプロピレン樹脂シートの膜厚が700μmより厚いと折れ曲がっている部分や曲率半径の小さなコーナー部に沿わなかったり加熱時間が長くなったりするので、成形サイクルが長くなったりコストが高くなったりする不具合がある。プロピレン樹脂シートの製造方法としては、Tダイ、カレンダー、注型法がある。ラミネート法としては、熱ラミネート法、ドライラミネート法、ホットメルトラミネート法、押出しラミネート法などを用いることができる。
【0022】
【実施例】
(実施例1)以下のようにして、木目意匠を呈する自動車内装用ドアトリムを作製した。3次元形状に加工可能な熱可塑性シートとしては、膜厚125μmのアクリル系樹脂シート(三菱レイヨン製HBXN47)を用いた。膜厚5μmの図柄層を木目意匠となるようにアクリル系樹脂を20〜30重量%含むインキ(顔料としてカーボンブラック、酸化鉄 、モノアゾイエローを含む。)を用いてグラビア印刷法にて形成した。膜厚2μmの第1アンカー層をアクリル系樹脂−塩素化ポリプロピレン樹脂(重合比9:1)でグラビア印刷法にて形成した。膜厚2μmの第2アンカー層をアクリル系樹脂−塩素化ポリプロピレン樹脂(重合比5:5)でグラビア印刷法にて形成した。膜厚2μmの第3アンカー層をアクリル系樹脂−塩素化ポリプロピレン樹脂(重合比1:9)でグラビア印刷法にて形成した。アンカー層全体の膜厚は6μmであった。膜厚6μmの接着層を塩素化ポリプロピレン樹脂からなるインキを用いてスクリーン印刷法にて形成した。以上のように形成されたシートを、供給装置により射出成形金型内に送り、自動車内装用ドアトリム形状のキャビティ形成面の周囲で加飾シートをクランプし、セラミックヒーターにより加熱して軟化させ真空吸引して、キャビティ形成面の凹部や凸部に沿って接着させた。その後、溶融したポリプロピレン樹脂を成形樹脂として射出成形し、加飾シートの接着層側と成形樹脂とを一体化接着させて加飾成形品を得た。真空吸引前の加飾シートの表面温度は150℃、成形樹脂の樹脂温度は210℃であった。得られた加飾成形品は、曲率半径2mmのコーナー部分でも接着不良が発生することなく美麗な仕上がりであった。
【0023】
【実施例2】
(実施例2)以下のようにして、木目意匠を呈する自動車内装用センタークラスターを作製した。3次元形状に加工可能な熱可塑性シートとしては、膜厚125μmのアクリル系樹脂シート(三菱レイヨン製HBXN47)を用いた。膜厚5μmの図柄層を木目意匠となるようにアクリル系樹脂を20〜30重量%含むインキ(顔料としてカーボンブラック、酸化鉄 、酸化チタン、モノアゾイエローを含む。)を用いてグラビア印刷法にて形成した。膜厚2μmの第1アンカー層をアクリル系樹脂−塩素化ポリプロピレン樹脂(重合比9:1)でグラビア印刷法にて形成した。膜厚2μmの第2アンカー層をアクリル系樹脂−塩素化ポリプロピレン樹脂(重合比7:3)でグラビア印刷法にて形成した。膜厚2μmの第3アンカー層をアクリル系樹脂−塩素化ポリプロピレン樹脂(重合比3.5:6.5)でグラビア印刷法にて形成した。アンカー層全体の膜厚は6μmであった。膜厚6μmの接着層を塩素化ポリプロピレン樹脂からなるインキを用いてスクリーン印刷法にて形成した。以上のように形成されたシートを、供給装置により射出成形金型内に送り、自動車内装用センタークラスター形状のキャビティ形成面の周囲で加飾シートをクランプし、セラミックヒーターにより加熱して軟化させ真空吸引して、キャビティ形成面の凹部や凸部に沿って接着させた。その後、溶融したポリプロピレン樹脂を成形樹脂として射出成形し、加飾シートの接着層側と成形樹脂とを一体化接着させて加飾成形品を得た。真空吸引前の加飾シートの表面温度は150℃、成形樹脂の樹脂温度は210℃であった。得られた加飾成形品は、曲率半径0.5mmのコーナー部分でも接着不良が発生することなく美麗な仕上がりであった。
【0024】
【発明の効果】
この発明の加飾シートは、3次元形状に加工可能な熱可塑性シート上にアクリル系、ビニル系、ウレタン系から選択される少なくとも1の樹脂を含む加飾層、アクリル系樹脂−塩素化ポリプロピレン樹脂の共重合体樹脂を含むアンカー層、塩素化ポリプロピレン樹脂を含む接着層を順次積層した加飾シートにおいて、アンカー層が2層以上の構成であり、且つ、加飾層と接する第1アンカー層中における塩素化ポリプロピレン樹脂の割合(重合比%)をM1、接着層と接する第nアンカー層中における塩素化ポリプロピレン樹脂の割合(重合比%)をMnとしたとき、5≦M1≦M2≦……≦Mn−1≦Mn≦95(nは2以上10以下の自然数)の関係を満たすことを特徴とする。
この発明の加飾成形品の製造方法は、加飾シートを射出成形金型内に入れ、所望の3次元形状に加工した後、射出成形金型内でポリプロピレン樹脂からなる成形樹脂と加飾シートの接着層側とを一体化接着させることを特徴とする。
したがって、成形樹脂として用いるポリプロピレン樹脂と収縮率の差が大きいアクリルシートを加飾シートとして用いた場合でも、樹脂の収縮時に発生する応力は、多層のアンカー層の各層により吸収・分散されるので、加飾シートと成形樹脂との間に接着不良が発生しない。また、加飾シートの延伸度合が他の平面部に比して大きいコーナー部においては、接着層の膜厚が小さくなったとしても、この発明の加飾シートのアンカー層には、その成分自体に接着層の成分が配合されているため、特定の箇所において加飾シートと成形樹脂との間に接着不良が発生することはなく、各アンカー層間の接着力も確保できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の加飾シートが成形樹脂に一体化接着した状態を示す一部断面図である。
【図2】 この発明の加飾成形品の製造方法の一工程を示す断面図である。
【符号の説明】
1 熱可塑性フィルム
2 加飾層
3 アンカー層
31 第1アンカー層
3n 第nアンカー層
4 接着層
5 ポリプロピレン樹脂
6 加飾シート
7 射出成形金型
8 クランプ材
9 キャビティ形成面
10 コーナー部
11 真空吸引孔
12 射出口
Claims (5)
- 3次元形状に加工可能な熱可塑性シート上にアクリル系、ビニル系、ウレタン系から選択される少なくとも1つの樹脂を含む加飾層、アクリル系樹脂−塩素化ポリプロピレン樹脂の共重合体樹脂を含むアンカー層、塩素化ポリプロピレン樹脂を含む接着層を順次積層した加飾シートにおいて、アンカー層が2層以上の構成であり、且つ、加飾層と接する第1アンカー層中における塩素化ポリプロピレン樹脂の割合(重合比%)をM1、接着層と接する第nアンカー層中における塩素化ポリプロピレン樹脂の割合(重合比%)をMnとしたとき、5≦M1≦M2≦……≦Mn−1≦Mn≦95(nは2以上10以下の自然数)の関係を満たすことを特徴とする加飾シート。
- 第1アンカー層中における塩素化ポリプロピレン樹脂の割合(重合比%)が10%である請求項1に記載の加飾シート。
- 請求項1、2のいずれかに記載の加飾シートを射出成形金型内に入れ、所望の3次元形状に加工した後、射出成形金型内でポリプロピレン樹脂からなる成形樹脂と加飾シートの接着層側とを一体化接着させることを特徴とする加飾成形品の製造方法。
- 請求項1、2のいずれかに記載の加飾シートの接着層側に、JIS−C2318によるシートのMD方向における収縮率が4/1000〜10/1000のプロピレン樹脂シートを裏打ちシートとしてラミネートし、3次元形状に加工し、不要な部分をカットした後、射出成形金型に入れ、ポリプロピレン樹脂からなる成形樹脂を射出して、ポリプロピレン樹脂からなる成形品と裏打ちシート側とを一体化接着させることを特徴とする加飾成形品の製造方法。
- ポリプロピレン樹脂からなる成形樹脂の射出成形後の収縮率が4/1000〜18/1000である請求項3または4に記載の加飾成形品の製造方法。
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