JP4131762B2 - サーマルヘッドおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ビデオプリンタやカード印刷機、製版機などに用いられるサーマルヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のサーマルヘッドについて図4を参照して説明する。図4(a)は平面図、図4の(b)は、図4(a)をA−Aで断面にした断面図である。
【0003】
符号41は支持基体で、アルミナなどで構成されている。支持基体41上には保温および平滑化のためにグレーズ層42が形成されている。グレーズ層42上には多数の発熱抵抗体43が平行に設けられている。発熱抵抗体43上には電極44が設けられ、電極44の一部に間隙Gが形成されている。電極44は、間隙Gの一方の側に位置する個別電極44aや他方の側に位置する共通電極44b、共通電極44bよりも幅が広いボンディングパッド44cなどから構成されている。
【0004】
また、電極44の間隙G部分に位置する発熱抵抗体43は発熱部43aを形成し、発熱部43aは保護層47で被覆されている。保護層47はマスクスパッタ法で形成される。また、保護層47の外側に位置する電極44部分はきずなどを防止するために、ボンディングパッド44cに近い部分まで、スクリーン印刷法などでソルダーレジスト48が塗布されている。
【0005】
支持基板41の端部には、駆動回路を構成する集積回路49が配置されている。集積回路49には複数のICボンディングパッド50が設けられている。そして、それぞれのICボンディングパッド50は対応するボンディングパッド44cとワイヤボンディングにより金線51で結線されている。
【0006】
上記した構成のサーマルヘッドは、高画質化などへの要求から電極44を構成する電極パターンが高密度化している。このため、隣接する電極パターンの間隔が小さくなり、また、ボンディングパッド44c周辺のパターンも複雑化している。
【0007】
このため、たとえばICボンディングパッド50とボンディングパッド44c間をワイヤボンディングにより金線51で結線する場合、金線51にねじれやたれなどがあると、隣接するボンディングパッド44cなどと接触し、配線不良が発生する。また、ワイヤボンディングの際に配線不良が発生しない場合でも、集積回路49をシリコーン樹脂などで封止する際に、接続が予定されていないボンディングパッド44cに金線51が接触するなどして、配線不良を発生することがある。
【0008】
また、電極44部分にきずなどが発生しないようにソルダーレジスト48が塗布されている。ソルダーレジスト48の塗布には、通常、スクリーン印刷法が用いられる。しかし、スクリーン印刷法は高い精度での再現性が難しいため、ボンディングパッド44cの近くまで塗布することができない。そのため、ソルダーレジスト48が塗布されない電極44部分が残り、その部分にきずが発生することがある。また、金線51の接続位置にずれや伸びなどがあると、隣接するボンディングパッド44cと接触し、配線不良を発生することもある。
【0009】
そして、上記したような配線不良がサーマルヘッドの実装歩留りを低下させている。
【0010】
そこで、配線不良を防止するために、感光性樹脂を使用し、写真食刻技術によってボンディングパッド部分を選択的に露出させ開口する方法が提案されている(特開平6−218969号公報参照)。この方法は、写真食刻技術を用いるため、ボンディングパッド部分のみを精度よく開口できる。
【0011】
しかし、感光性樹脂は水分やイオンなどに対する遮蔽効果が十分でない。このため、長年の使用で電極が腐蝕するという問題がある。
【0012】
また、カードのような堅い記録媒体の印刷に用いるサーマルヘッドの場合は、主走査方向に平行な傾斜面を支持基体上に形成し、電極パターンをその傾斜面に設ける構造になっている。したがって感光性樹脂も傾斜面に塗布されることになる。このため、感光性樹脂はカードとの接触で摩滅や剥離を起こしやすい。また、感光性樹脂を斜面部に均一よく塗布することも容易でなく、感光性樹脂パターンにばらつきが発生する。
【0013】
また、発熱部分に保護層を形成する場合、通常、マスクスパッタ法が利用される。この方法は、マスク治具を取扱う際に電極パターンにきずをつけやすく、パ−ティクル発生の原因になる。さらに、サーマルヘッドの品種毎に異なった寸法のマスク治具を必要とするため、メンテナンスが煩雑化し、コストを上昇させる。また、マスクスパッタ法は成膜レイトが3割程度減少する。このため、生産性が低下し、タ−ゲット材料の消費が増大する。
【0014】
なお、感光性樹脂を用いた場合の問題を解消するために、図5に示された構造のサーマルヘッドが提案されている。図5では、図4に対応する部分には同一の符号を付している。
【0015】
図5の場合、発熱抵抗体43の発熱部43a、および、電極44を構成する電極パターン部分のほとんど全部がほぼ一様な厚さの保護層61で覆われている。そして、ボンディングパッド44cの部分が選択的に開口される。
【0016】
図5のような構造のサーマルヘッドを製造する場合、まず、アルミナ板よりなる支持基体41上に、厚さ60μmのグレーズ層42が形成される。
【0017】
次に、TaSiOからなる発熱抵抗体膜43をスパッタリングで0.07μmの厚さに形成し、さらに、Alからなる電極膜44をスパッタリングで0.8μmの厚さに形成する。そして、写真食刻法によるパタ−ニングを行い、個別電極44aや共通電極44b、ボンディングパッド44cなどの電極パターンを形成し、また、発熱抵抗体43の発熱部43aを開口する。
【0018】
次に、マスク治具を使用せずに、スパッタリングでSiONの保護層を10μmの厚さで全面に成膜し、写真食刻法でボンディングパッド44c部分を開口する。このとき、保護層の厚さやレジストの厚さのばらつきを考慮してマージンを取り、その上で、ボンディングパッド部分の開口が行なわれる。したがって、実質的な厚さはその3〜4倍にもなり、10μmの保護層をエッチングする場合は、40μmものレジストが塗布される。
【0019】
この場合、ロールコータ法で40μmの厚さに塗布するためには、都合16回程度の塗布ベークを繰り返すことになり、作業性や生産性に難がある。また、レジスト消費量も多くなる。さらに、必要な露光量はレジスト厚に対して指数関数的に上昇し、20000mjとなり、必要な現像時間も20分に達する。RIEでの実エッチング時間もl50分に及ぶ。その上、ボンディングパッド部分を精度良く開口することも難しくなっている。例えば、ボンディングパッド部分の開口部の寸法のばらつきは、後述するように、この発明に比較すると10倍以上になっている。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
上記したSiONの保護膜を使用する方法は、ボンディングパッドの開口部分を除いて、無機材料のスパッタ膜を基板全面に形成する方法であるため、マスク治具が不要となる、また、写真食刻技術を利用できるためボンディングパッド部分を確実に選択的に開口できる。また、SiON膜は遮蔽性や耐摩耗性に優れているため、良好な保護膜を形成できるなどの利点がある。
【0021】
しかし、この方法は、発熱部を保護することと、ボンディングパッド部分を確実に開口することとの両立性に問題がある。例えば、発熱部に耐摩耗性や耐酸化性を実現するためにはある程度の厚さをもった保護層が必要となる。SiON系の場合は、3〜10μm程度の膜厚が要求される。
【0022】
一方、3〜10μmの厚さの保護層を写真食刻法を用いてエッチングすることは容易ではない。エッチングには、通常、CF4 等の雰囲気でRIE法が用いられるが、RIE法は、保護層だけでなく有機物を基本成分とするレジストもエッチングする性質がある。また、SiONやSiO2 の対レジストエッチングレイト比は0.7〜l.3程度に留まっている。
【0023】
また、保護層を形成する場合に、保護層の厚さやレジストの厚さのばらつきを考慮してマージンを取り、その上で、電極用ボンディングパッド部の開口が行なわれる。したがって、保護層の実質的な厚さはその3〜4倍にもなる。したがって、10μmの保護層をエッチングする場合は、40μmものレジストを塗布することになり量産が難しくなる。
【0024】
また、レジストを塗布する方法には、ロールコート法やスピンコート法、スプレーコート法などが知られている。いずれの方法も、40μmのレジストを均一に塗布することは困難である。また、露光や現像にも多くの時間と手間がかかる。また、RIEにも多くの時間を費やし、電極用ボンディングパッド部分を精度よく開口することが困難になっている。
【0025】
なお、弗酸系液などを用いた湿式法エッチングを利用すれば、レジストを厚くする必要はなくなる。しかし、エッチャント中でレジストの付着力が低下する。また、弗酸は、アルミなどの配線材料やグレーズ層を腐蝕するため、実用上に問題がある。なお、アルミやクロムなどの金属はCF4 中でもほとんど損傷を受けないため、これらの金属をレジストとして代用することが考えられる。しかし、リフトオフなどの工程が必要となり、プロセスが複雑になる。また、リフトオフ用のレジストがRIE中に膨張しやすく、金属膜が破壊することもある。
【0026】
本発明は、上記した欠点を解決するもので、発熱部や電極部分を保護する保護層に対し、ボンディングパッド部分の開口を確実に容易に形成できるサーマルヘッドおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【0027】
【課題を解決するための手段】
本発明は、支持基体と、一部が発熱部を形成し前記支持基体上に設けられた発熱抵抗体と、この発熱抵抗体と電気的に接続しボンディングパッドが設けられた電極と、前記発熱抵抗体の前記発熱部を被覆し前記ボンディングパッド部分が開口された無機材料の保護層とを具備したサーマルヘッドにおいて、前記ボンディングパッド部分が開口された部分の保護層は、厚さが0.3〜3.0μmの範囲で、前記発熱部の部分を被覆する保護層よりも薄いことを特徴としている。
【0028】
また、本発明のサーマルヘッドの製造方法は、発熱抵抗体の発熱部上およびボンディングパッドが設けられ前記発熱抵抗体と電気的に接続する電極上にそれぞれ無機材料の第1保護層を形成する第1工程と、前記発熱部上に前記第1保護層を残して前記第1保護層を除去する第2工程と、この第2工程で残された前記第1保護層上および前記第2工程で前記第1保護層が除去された部分に、前記第1保護層よりも薄い無機材料の第2保護層を形成する第3工程と、前記ボンディングパッド部分が開口するように前記第2保護層を除去する第4工程とからなっている。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態について図1を参照して説明する。図1は主要部を模式的に示したもので、図の(a)は平面図、図の(b)は、図(a)のA−Aで断面にした断面図である。
【0030】
符号11は支持基体で、アルミナなどで構成されている。支持基体11上にグレーズ層12が形成され、グレーズ層12上に多数の発熱抵抗体13が平行に設けられている。発熱抵抗体13上には電極14が設けられ、電極14の一部に間隙Gが形成されている。電極14は、間隙Gの一方の側に位置する個別電極14aおよび他方の側に位置する共通電極14b、共通電極14bよりも幅が広いボンディングパッド14cなどから構成されている。
【0031】
発熱抵抗体13と電極14は電気的に接続されており、また、幅が広いボンディングパッド14cは、高密度に配置できるように、例えば、1つおきに電極14の延長方向に前後させている。
【0032】
電極14の間隙G部分に位置する発熱抵抗体13は発熱部13aを形成している。そして、発熱部13a上に保護層17が構成されている。保護層17は2層に構成され、下層の保護層17aは、例えば発熱部13aと発熱部13aに近いその周辺部分のみを被覆している。また、上層の保護層17bは、ボンディングパッド14c部分を除いて、発熱部13aおよびほとんど全ての電極14上を被覆している。
【0033】
また、支持基板11の端部に駆動回路を構成する集積回路18が配置されている。集積回路18には、多数のICボンディングパッド19が設けられており、ICボンディングパッド19はそれぞれ対応するボンディングパッド14cとワイヤボンディングにより金線20で結線されている。ICボンディングパッド19とボンディングパッド14cとの間を金線20で結線する場合に、隣接する他の電極14部分に金線20が接触しないように、保護層17bが電極14部分を保護している。
【0034】
ここで、上記した構成のサーマルヘッドの製造方法について説明する。
【0035】
まず、アルミナ板よりなる支持基体11上に、グレーズ層12を60μmの厚さで形成する。次に、TaSiO2 からなる発熱抵抗体膜を0.07μmの厚さに形成し、さらに、Alの電極膜を0.8μmの厚さに形成する。なお、発熱抵抗体膜や電極膜はいずれもスパッタリングで形成される。
【0036】
次に、写真食刻法によるパタ−ニングを行って電極14部分の電極パターンを形成し、また、発熱部13aの部分を開口する。
【0037】
次に、マスク治具を使用せずに、SiONなどの無機材料をスパッタリングし、たとえば支持基板上の全面に9μmの厚さで、下層の保護層17aを形成する。このとき、ターゲットとしてSiON焼結体を用い、また、焼結助材として微量のMgO等をタ−ゲットに添加することもできる。
【0038】
次に、テフロン治具で発熱部13aとその周辺を覆い、RIEに投じ、テフロン治具で覆われていない部位の下層の保護層17aを除去し、電極14を構成する電極パターンを露出させる。RIE(リアクティブ・イオン・エッチング)は、CF4 を用い、13Pa/l00sccm、かつ、高周波パワ−密度3.0W/cm2 の条件で実施し、実エッチング時間は40分であった。
【0039】
次に、再び、SiONなどの無機材料を用い、スパッタリングによって、発熱部や発熱部の周辺に残った下層の保護層、そして、先の工程で下層の保護層が除去された部分など、支持基板上の全面に1μmの厚さで、上層の保護層17bを形成する。
【0040】
次に、レジストをロールコータで2.5μmの厚さに塗布し、90℃で15分間べークし、300mjで露光し、さらに、0.5vol%のNaOH液で1分シャワーリングして現像し、120℃でl5分間べークし、再び、上記条件でRIEを行い、ボンディングパッド部分を選択的に開口する。このとき、実エッチングに要した時間はl5分であった。
【0041】
次に、集積回路18のICボンディングパッド19とボンディングパッド14c間をワイヤボンディング装置を用いて金線20で結線し、さらに、金線20を保護するために集積回路18部分をシリコン樹脂などで封止し、さらに、所定の実装工程を経てサーマルヘッドを完成する。
【0042】
上記した構成では、写真食刻法を適用するエッチング対象の保護層の厚さを、例えば0.3〜3.0μmの範囲にしている。したがって、ワイヤボンディング時の配線不良を阻止するための絶縁性や付着性、配線の保護性、さらには、エッチング性などが良好に実現される。なお、保護層の厚さが0.3μmより薄いと、付着性や配線の保護性が十分でなくなる。また、3.0μmより厚いとエッチング性が低下する。好ましくは0.5〜l.5μmの範囲であり、さらに好ましくは、0.7〜1.0μmの範囲である。
【0043】
また、発熱部を被覆する部分の保護層の厚さを、ボンディングパッド周辺の保護層よりも厚くしている。そして、その厚さは、フィルムや感熱紙など印刷媒体との摺動で早期に摩滅しないように、また、酸素や水分の遮断効果が十分に得られるように、また、応力過剰に伴う剥離を抑え、所定の寿命特性が得られるように、例えば3〜10μm程度の範囲に選ばれている。
【0044】
また、発熱部を被覆する保護層を複層構造とし、ボンディングパッド周辺の保護層は、発熱部を被覆する保護層のうち上層部分の保護層で形成している。この場合、上層の保護層は、支持基板の全面に形成するためマスク治具が不要となる。また、ボンディングパッド周辺の保護層は薄く形成されているため、ボンディングパッド部分は、次のような方法で精度よく、かつ容易に開口できる。
【0045】
例えば、2層構造の保護層のうち、まず、下層の保護層を全面に厚く形成する。そして、ボンディングパッド部分とその周辺部分を除いてテフロン等で覆いRIEを実施し、ボンディングパッド部分やボンディングパッド部分に近い周辺部分の保護膜を除去する。その後、上層の保護層を全面に薄く形成し、写真食刻法でボンディングパッド部分を選択的に開口する方法である。
【0046】
次に、この発明の他の実施形態について図2を参照して説明する。図2は主要部を模式的に示したもので、図(a)は平面図、図(b)は図(a)のA−Aで断面にした断面図である。また、図1に対応する部分には同一の符号を付し、重複する説明は一部省略する。
【0047】
この実施形態は、上層の保護層17bが、発熱抵抗体13の発熱部13aを含め、発熱部13aに近い方のボンディングパッド14cの直前の部分まで形成されている。さらに、位置が前後しているボンディングパッド14cで挟まれた領域に帯状に形成されている。
【0048】
この構成の場合、ボンディングパッド14cの側方部分、すなわち、電極14の延長方向と直交する側方部分に、上層の保護層17bが形成されない領域がある。しかし、金線20の垂れなどによる電気的な短絡は十分防止できる。
【0049】
ここで、この発明のもう1つの他の実施形態について図3を参照して説明する。図3は主要部を模式的に示したもので、図(a)は平面図、図(b)は図(a)のA−Aで断面にした断面図である。また、図3では、図1および図2に対応する部分には同一の符号を付し、重複する説明は一部省略する。
【0050】
この実施形態の場合も、発熱抵抗体13の発熱部13aを保護する保護層は2層構造になっている。そして、発熱部13aに形成された2層構造の保護層のうち、発熱部13aと接触する下層の保護層17aが、ボンディングパッド部分を除いて、発熱部13aやほとんど全ての電極部分を被覆している。そして、上層の保護層17bが発熱部13と発熱部13に近いその周辺部分を被覆している。この場合、保護層を製造する方法としてたとえば次の2通りがある。その1つは、下層の保護層17aを全面に形成し、そして、写真食刻法でボンディングパッド部分を開口し、その後、マスク治具を用いて上層の保護層17bを形成する方法である。もう1つは、下層の保護層17aを全面に形成し、そして、マスク治具を用いて上層の保護層17bを形成し、その後、写真食刻法を用いて、下層保護層17aのボンディングパッド部分を開口する方法である。
【0051】
上記したいずれの手順でも、上層の保護層のパターンを形成する際にマスク治具が必要となる。しかし、従来技術(図4)に比較した場合、ボンディングパッド部分を開口する部分の保護層が薄いため、ボンディングパッド部分を容易に、かつ、精度良く開口できる。
【0052】
なお、図1〜図3の各実施形態では、電極のボンディングパッドは配線の延長方向に前後し2列に配列されている。しかし、この発明は、2列の場合に限らず、ボンディングパッドが前後せずに1列に配列される場合、また、前後する位置が2段階以上になって3列以上になって配列される場合にも適用できる。例えば、3列以上に配列され、そして、隣接する列のボンディングパッドの位置が互いに列方向にずれて千鳥状に配列されるなど、ボンディングパッドの配列が複雑になった場合は、本発明の効果はより大きくなる。
【0053】
次に、この発明(図1)の場合と従来技術(図5)の場合とを比較した例を説明する。この比較は、供試数がそれぞれ300で、また開口部の寸法設計値が50μm×200μm(主走査方向×副走査方向)の場合で、開口した際の開口部分の寸法の平均値とバラツキ(3σ)の値を示している。
【0054】
この発明(図1)のサーマルヘッドの場合:
主走査方向…49.8μm±l.9μm
副走査方向…202.3μm±2.2μm、
従来技術(図5)のサーマルヘッドの場合:
主走査方向…49.8μm±20.4μm
副走査方向…201.1μm±25.6μm、
従来技術のように49.8μmの寸法に対し±20.4μmも偏差があると、ボンディングパッドの部分まで保護層で被覆されることがある。この場合、ワイヤボンディング自体ができなくなる。また、逆に、保護層が被覆されるべき部分の電極が露出し、配線不良の発生を防止できなくなる。これらの問題を阻止するに必要な偏差規格は±3μmであるが、発明のサーマルヘッドによればこの条件を満たしている。
【0055】
なお、上記した実施形態では、保護層を形成する無機の材料としてSiONが使用されている。しかし、無機の材料としてはSiO2 単独、SiON単独、SiO2 とSiONの組合わせなどを使用できる。
【0056】
しかし、保護層が2層の場合、上下の保護層にそれぞれSiON層を使用することが好ましい。たとえば発熱抵抗体と接する層、つまり下層をSiO2 で形成すると、サーマルヘッドの動作中に酸素が抵抗膜に拡散侵入しやすくなり、抵抗値が上昇する傾向がある。また、上層をSiO2 で形成すると、耐摩耗性や耐酸化性が低下する。しかし、サーマルへッドの駆動条件によってはSiO2 の使用が有効となる。
【0057】
上記したように、本発明によれば、ボンディングパッドを開口する写真食刻工程において、作業性や生産性、経済性が向上し、また、精度よく開口できる。その結果、ワイヤボンディング不良の少ないサーマルヘッドを安定に、そして安価に提供できる。
【0058】
また、保護層を形成する材料としてSiとO、さらにNを主成分とする無機材料を用いている。このため、水分やイオンに対する遮蔽効果が高く、悪条件での長年の使用に対しても電極の腐蝕を防止できる。また、耐摩耗性にも優れ、カードのような堅い媒体への印刷を行う際にも破壊を防止できる。また、保護層の上層を構成する無機材料として、発熱抵抗体の発熱部を被覆する下層の保護層と同じものを使用できる。この場合、マスク治具なしに全面をスパッタすることで保護層を形成できる。このようにマスク治具を不要とした場合、マスク治具を取扱う時に発生する電極パターンのきずを回避でき、パーティクル発塵も抑制される。また、品種毎に相違するマスク治具を作製する必要がなくなり、メンテナンスの実施が不要となり、コスト面でも有利となる。
【0059】
【発明の効果】
この発明によれば、発熱部や電極部分を保護する保護層に対し、ボンディングパッド部分の開口を確実に容易に形成できるサーマルヘッドおよびその製造方法を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を説明するための図である。
【図2】本発明の他の実施形態を説明するための図である。
【図3】本発明の他の実施形態を説明するための図である。
【図4】従来例を説明するための図である。
【図5】従来例を説明するための図である。
【符号の説明】
11…支持基板
12…グレーズ層
13…発熱抵抗体
13a…発熱部
14…電極
14a…個別電極
14b…共通電極
14c…ボンディングパッド
17…保護層
17a…下層の保護層
17b…上層の保護層
18…集積回路
19…ICボンディングパッド
20…金線
Claims (8)
- 支持基体と、一部が発熱部を形成し前記支持基体上に設けられた発熱抵抗体と、この発熱抵抗体と電気的に接続しボンディングパッドが設けられた電極と、前記発熱抵抗体の前記発熱部を被覆し前記ボンディングパッド部分が開口された無機材料の保護層とを具備したサーマルヘッドにおいて、前記ボンディングパッド部分が開口された部分の保護層は、厚さが0.3〜3.0μmの範囲で、前記発熱部の部分を被覆する保護層よりも薄いことを特徴としたサーマルヘッド。
- 支持基体と、一部が発熱部を形成し前記支持基体上に設けられた発熱抵抗体と、この発熱抵抗体と電気的に接続しボンディングパッドが設けられた電極と、前記発熱抵抗体の前記発熱部を被覆し前記ボンディングパッド部分が開口された無機材料の保護層とを具備したサーマルヘッドにおいて、前記発熱抵抗体の前記発熱部を被覆する保護層が複数層で形成され、かつ、前記ボンディングパッド部分が開口された部分の保護層は、前記発熱部を被覆する保護層よりも薄く、前記発熱部を被覆する保護層の複数層のうち前記発熱部と接触しない層の保護層で形成されていることを特徴としたサーマルヘッド。
- 支持基体と、一部が発熱部を形成し前記支持基体上に設けられた発熱抵抗体と、この発熱抵抗体と電気的に接続しボンディングパッドが設けられた電極と、前記発熱抵抗体の前記発熱部を被覆し前記ボンディングパッド部分が開口された無機材料の保護層とを具備したサーマルヘッドにおいて、前記発熱抵抗体の前記発熱部を被覆する保護層が複数層で形成され、かつ、前記ボンディングパッド部分が開口された部分の保護層は、前記発熱部を被覆する保護層よりも薄く、前記発熱部を被覆する保護層の複数層のうち前記発熱部と接触する層の保護層で形成されていることを特徴としたサーマルヘッド。
- 支持基体と、一部が発熱部を形成し前記支持基体上に設けられた複数の発熱抵抗体と、この複数の発熱抵抗体とそれぞれ電気的に接続しボンディングパッドが延長方向に位置が前後して配列された複数の電極と、前記発熱抵抗体の前記発熱部を被覆し前記ボンディングパッド部分が開口された無機材料の保護層とを具備したサーマルヘッドにおいて、前記ボンディングパッド部分が開口された部分の保護層の厚さを前記発熱部を被覆する保護層よりも薄く形成し、かつ、前記ボンディングパッド部分が開口された部分の保護層は、前記発熱部に近い側に位置する前記ボンディングパッドの前記発熱部側の直前の領域および位置が前後する前記ボンディングパッドで挟まれた領域にそれぞれ形成され、前記ボンディングパッドの側方領域には保護層が形成されていないことを特徴としたサーマルヘッド。
- 保護層を形成する無機材料が、SiとO、あるいは、SiとOとNを主成分とする請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載されたサーマルヘッド。
- 発熱抵抗体の発熱部上およびボンディングパッドが設けられ前記発熱抵抗体と電気的に接続する電極上にそれぞれ無機材料の第1保護層を形成する第1工程と、前記発熱部上に前記第1保護層を残して前記第1保護層を除去する第2工程と、この第2工程で残された前記第1保護層上および前記第2工程で前記第1保護層が除去された部分に、前記第1保護層よりも薄い無機材料の第2保護層を形成する第3工程と、前記ボンディングパッド部分が開口するように前記第2保護層を除去する第4工程とからなるサーマルヘッドの製造方法。
- 第1保護層の形成および第2保護層の形成が、マスクを使用しないスパッタリングで形成される請求項6記載のサーマルヘッドの製造方法。
- 第1保護層を形成する無機材料と第2保護層を形成する無機材料とが同じ材料である請求項6記載のサーマルヘッドの製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP17868598A JP4131762B2 (ja) | 1998-06-25 | 1998-06-25 | サーマルヘッドおよびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP17868598A JP4131762B2 (ja) | 1998-06-25 | 1998-06-25 | サーマルヘッドおよびその製造方法 |
Publications (2)
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