JP4137905B2 - 鎌錠 - Google Patents

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Description

本発明は、錠面から出没するデッドボルトに鎌片を取り付けた鎌錠に関する。
玄関扉等に取り付けられる一般的な施錠装置としては、サムターンまたはキーシリンダの操作によって錠面からデッドボルト(本締めボルト)を水平方向に出没させ、突出したデッドボルトを扉枠に取り付けたストライクの受穴に係合させる本締錠と、ドアノブやドアハンドルの操作によってラッチボルトを出没させる仮締用のラッチ錠とを組み合わせた、いわゆる箱錠が広く普及している。ところが近年では、扉と扉枠との間にバール等を差し込んで強引に破錠するような犯罪が増加してきたので、これを阻止すべく、デッドボルトに鎌片を組み込んだ鎌錠(鎌型デッドボルト付き本締錠)が種々提案されるようになった。
図5は、特許文献1に記載された鎌錠の一部を示す図である。(a)は解錠状態、(b)は施錠状態をそれぞれ示す。両図において符号91はデッドボルト、符号92は施解錠操作に連動して回動する回動部材である。回動部材92の一端にはデッドボルト91を出没させるためのカム93が形成され、このカム93が、デッドボルト91に形成されたカム受け部94に係合して、デッドボルト91を図示左右方向に摺動させるように構成されている。
デッドボルト91は、錠面側から見た端面形状が略U字状に形成されて、その内側にフック状の鎌片95が組み込まれている。鎌片95は、デッドボルト91を幅方向に貫通する軸部材96を中心として回動可能に軸支され、デッドボルト91が錠面から突出すると、これに連動して図示時計回りに回動し、先端の鎌状突起部97を上方に突出させる。突出した鎌状突起部97はストライク98の受穴に係合するので、例えば、バール等により扉と扉枠との隙間をこじ開けようとしても、ここが容易に外れることがなく、不法な破錠を阻止することができる。
特開2001−164808号公報
上記従来のような鎌錠は、縦断面略U字状のデッドボルトの内側に鎌片を組み込んでいるため、例えば扉の周辺を水洗いしたときや、錠面付近に結露が生じたとき、その水分がデッドボルトの内側に浸入して、デッドボルトの内側面や底部に溜まることがある。本出願人らは、寒冷地において、デッドボルトの内側に溜まった水分が凍結し、鎌片の回動を阻害して、施解錠操作に支障をきたす可能性があることを確認した。
そこで本発明は、デッドボルトに鎌片を組み込んだ鎌錠において、デッドボルトの内側に水分が溜まって凍結するのを防止する技術を提供するものである。
本発明は、錠面から出没するデッドボルトの先端側に、上方に開口する縦断面略溝形の凹部が形成され、先端に鎌状突起部を有する鎌片が上記凹部内に収容されて、デッドボルトを幅方向に貫通する軸部材を中心として上下方向に回動しうるように軸支された鎌錠において、凹部の底面に、軸部材の下方近傍からデッドボルトの先端側に向かって下降傾斜する排水勾配を設け、この排水勾配の下流位置に、デッドボルトの底部を上下方向に貫通する水抜き孔を形成したことを特徴とする。
この発明によれば、デッドボルトの凹部内に浸入した水分の大部分が、デッドボルトの底部に形成された水抜き孔から自然に排出されるので、デッドボルトの内側に水分が長時間、溜まることがなくなり、滞留した水分の凍結による鎌片の作動阻害も防ぐことができる。
上記発明において、凹部の底面の略中央に、排水勾配に沿って延びる凸条を形成すれば、収容状態にある鎌片と凹部との接触面積が小さくなるので、当該接触部分での表面張力による水分の滞留も少なくなり、排水勾配に沿う水抜きがいっそう円滑に行われる。
また、本発明は、凹部の内側面と鎌片の外側面との間に少なくとも両側各0.5mm以上のクリアランスを設けるとともに、鎌片を軸支する軸部材に潤滑性樹脂からなる軸受けリングを嵌装したことを特徴とする。
従来一般の鎌錠におけるデッドボルトの内側面と鎌片の外側面とのクリアランスは、概ね0.2mm前後であるが、このクリアランスを両側各0.5mm以上と拡げることにより、この隙間に表面張力によって滞留する水分を従来よりも減らすことができ、円滑な水抜きが促進される。
鎌片を軸支する軸部材に軸受けリングを嵌装したのは、上記クリアランスを設けることによって鎌片がデッドボルトの凹部内で一方に偏るのを防ぐためであるが、この軸受けリングを潤滑性樹脂で成形すれば、水分が滞留しやすい軸孔周辺での凍結や錆を生じにくくすることもでき、常に鎌片の円滑な回動を可能にすることができる。
また、デッドボルトの内側面及び鎌片の外側面の少なくともいずれか一方にフッ素樹脂コーティングを施せば、その撥水効果によって排水性がさらに向上する。
上述のように構成される本発明の鎌錠によれば、デッドボルトの凹部内に浸入した水分が水抜き孔から円滑に排出されて、デッドボルトの内側に長時間、溜まることがなくなる。したがって、滞留した水分が凍結して鎌片の作動阻害を生じるのを防ぐことができ、併せて、デッドボルトの内側に錆が発生するのも防ぐことができる。そして、これらにより、長期間にわたって鎌片の円滑な回動が担保されることとなる。
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
図1は本発明の実施形態に係る鎌錠10を組み込んだ箱錠1の全体的な構成を示す。この箱錠1は、キーシリンダまたはサムターンの操作によって錠ケース11の錠面から出没するデッドボルト2と、ドアハンドルの押し引き操作等によって錠面から出没可能となる反転式のラッチボルト3とを備えている。図1における(a)は解錠状態、(c)は施錠状態をそれぞれ示し、(b)はその中間状態を示している。
錠ケース11内には、キーシリンダまたはサムターンの施解錠操作に連動して回動する回動部材12が取り付けられている。この回動部材12の一端には、デッドボルト2を出没させるためのカム13が突設されて、このカム13が、デッドボルト2の後端側に形成された側面視略U字形のカム受け部21に係合している。また、デッドボルト2の後端側には、デッドボルト2の出没方向に延びる長孔22が、デッドボルト2を幅方向に貫通して形成されている。この長孔22には、錠ケース11内に突設されたガイドピン14が係合している。
デッドボルト2の先端側には、先端に上向きの鎌状突起部41を有するフック状の鎌片4が組み込まれている。鎌片4は、デッドボルト2に形成された縦断面略溝形の凹部5に収容され、デッドボルト2及び鎌片4を幅方向に貫通する軸部材23を中心として回動可能に軸支されている。凹部5の詳細な形状については、図2〜図4を参照して後述する。鎌片4における軸部材23の上方位置には、鎌片4を回動させて鎌状突起部41を突出させるための跳ね上げ突片42が形成されて、この跳ね上げ突片42がデッドボルト2の上方に突出している。
(a)の解錠状態から回動部材12を図示時計回りに回動させると、デッドボルト2のカム受け部21に係合したカム13が、デッドボルト2を図示左方に移動させる。このとき、鎌片4は、自重によってデッドボルト2の凹部5内に落ち込んだままになっている。
デッドボルト2が押し出され、その先端部がストライク6の受穴61内に達するあたりで、(b)に示すように、鎌片4に形成された跳ね上げ突片42が錠ケース11の前面板15に当接して、その反作用により鎌片4を図示時計回りに回動させる。すると、鎌状突起部41が跳ね上げられてストライク6の受穴61の裏側に係合し、(c)の施錠状態となる。解錠時には、回動部材12を図示反時計回りに回動させる操作により、デッドボルト2が錠ケース11内に引き戻されつつ、鎌片4がデッドボルト2の凹部5内に落ち込んで、開扉可能となる。
なお、ラッチボルト3を反転・出没させる機構は本発明の要部ではなく、公知従来の技術を適宜、利用できるものであるから、その詳細な説明は省略する。
図2〜図4は、デッドボルト2の詳細な構造を示す。鎌片4を収容する凹部5は、デッドボルト2の先端側略半部において、幅方向(図3、図4における左右方向)の縦断面が略溝形をなすように上方に開口している。凹部5の開口幅は略一定で、凹部5の左右の内側面は略垂直である。例示の実施形態においては、鎌片4の鎌状突起部41とデッドボルト2の先端面とをほぼ揃えるために、凹部5がデッドボルト2の先端側にも開口しているが、先端側への開口は略上半部にとどまっており、デッドボルト2の先端下部には、デッドボルト2を幅方向に一体化する架橋部24が残されている。デッドボルト2の先端に、この架橋部24を設けることによって、デッドボルト2自体の強度が確保されるとともに、デッドボルト2を先端側から見たときの視覚的な印象においても堅牢感が増す。鎌片4の鎌状突起部41を、デッドボルト2の先端面よりもやや後退した位置から突出させる場合は、凹部5をデッドボルト2の先端側には開口させず、上記架橋部24をデッドボルト2の高さ全体にわたって形成してもよい。
凹部5の軸方向(デッドボルト2の出没方向)の縦断面は、図2(b)に示すように、略垂直の後壁面51が、その下部から曲面を経て中段の水平面52へと連続し、中段の水平面52が、軸部材23の下方位置から、デッドボルト2の先端側に向かって下降傾斜した斜底面53へと連続するように形成されている。斜底面53の勾配は1/3ないし1/1程度に設定され、その下流位置には、デッドボルト2の底部を上下方向に貫通する水抜き孔54が形成されている。水抜き孔54の開口幅は、凹部5の開口幅と略同寸である。
このように、凹部5の底面に排水のための勾配と水抜き孔54を設けることによって、凹部5内に浸入した水分の大部分が自然に排出される。さらに、排水勾配をデッドボルト2の先端側に向かって下降傾斜するように設け、デッドボルト2の先端寄りに水抜き孔54を形成することにより、水抜き孔54から排水される水分が錠ケース11内に再浸入する事態も防ぎやすくすることができる。
さらに、斜底面53の略中央には、排水勾配に沿って延びる凸条55が形成されている。この凸条55は、収容状態にある鎌片4と斜底面53との接触面積を小さくする作用をなす。この接触面積を小さくすることにより、当該接触部分での表面張力による水分の滞留をさらに小さくすることができ、斜底面53の排水勾配に沿う水抜きがいっそう円滑に行われる。
図2(a)に示すように、鎌片4を軸支する軸部材23は、鎌片4及びデッドボルト2を幅方向に貫通しているが、この軸部材23の周辺に水分が溜まって凍結や錆を生じるのも防ぐ必要がある。そこで、本発明の鎌錠10においては、凹部5の内側面と鎌片4の外側面との間に各0.5mm〜0.8mm程度のクリアランスdが設けられるとともに、軸部材23に潤滑性樹脂からなる軸受けリング25が嵌装されている。
軸受けリング25は、鎌片4の幅の略半分弱の筒長を有する円筒状のスリーブ26と、スリーブ26の一端から張り出す円板状のフランジ27とを有し、スリーブ26が、軸部材23と、鎌片4に形成された軸孔との間に嵌装される。フランジ27は、その厚みが凹部5の内側面と鎌片4の外側面との間に設けられたクリアランスdと合致するように形成されて、凹部5と鎌片4との間に挟み込まれている。このような構成により、凹部5内で鎌片4が一方に偏るのを防ぐことができるとともに、水分が滞留しやすい軸部材23周辺での凍結や錆を生じにくくすることもでき、常に鎌片4の円滑な回動を可能にすることができる。
軸受けリング25の成形材料となる潤滑性樹脂としては、摩擦係数や接触相手材への攻撃性が低くて耐摩耗性や耐水性に優れるものが好ましく、例えばポリアセタール、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネイト系樹脂等を挙げることができるが、これら以外にも、一般機械類の歯車や軸受け部品等に利用されている類似の樹脂が利用可能である。
また、デッドボルト2の内側面及び鎌片4の外側面の少なくともいずれか一方にフッ素樹脂コーティングを施すことにより、その撥水効果によって凹部5からの排水性がさらに向上する。
本発明の実施形態に係る鎌錠を組み込んだ箱錠の全体構成を示す側面図であって、(a)は解錠状態、(c)は施錠状態、(b)はその中間状態を示す。 上記鎌錠におけるデッドボルトの構造を示す横断面図及び縦断面図であって、(a)はA−A’断面、(b)はB−B’断面を示す。 図2に示すデッドボルトを先端側から見た正面図である。 図2に示すデッドボルトのC−C’断面図である。 従来の技術に係る鎌錠の一部を示す側面図であって、(a)は解錠状態、(b)は施錠状態を示す。
符号の説明
10 鎌錠
2 デッドボルト
23 軸部材
25 軸受けリング
4 鎌片
41 鎌状突起部
5 凹部
53 斜底面
54 水抜き孔
55 凸条
d クリアランス

Claims (4)

  1. 錠面から出没するデッドボルトの先端側に、上方に開口する縦断面略溝形の凹部が形成され、先端に鎌状突起部を有する鎌片が上記凹部内に収容されて、デッドボルトを幅方向に貫通する軸部材を中心として上下方向に回動しうるように軸支された鎌錠において、
    凹部の底面に、軸部材の下方近傍からデッドボルトの先端側に向かって下降傾斜する排水勾配を設け、この排水勾配の下流位置に、デッドボルトの底部を上下方向に貫通する水抜き孔を形成したことを特徴とする鎌錠。
  2. 凹部の底面の略中央に、排水勾配に沿って延びる凸条を形成したことを特徴とする請求項1に記載の鎌錠。
  3. 凹部の内側面と鎌片の外側面との間に少なくとも両側各0.5mm以上のクリアランスを設けるとともに、鎌片を軸支する軸部材に潤滑性樹脂からなる軸受けリングを嵌装したことを特徴とする請求項1又は2に記載の鎌錠。
  4. デッドボルトの内側面及び鎌片の外側面の少なくともいずれか一方にフッ素樹脂コーティングを施したことを特徴とする請求項1、2又は3に記載の鎌錠。
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