JP4169960B2 - 電気的接続用爪付きナットおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、固定部材に雄ネジが設けられたアンテナなどを、車両などの取付部材にナットで締め付け固定するとともに、取付部材にナットの爪が食い込んで確実に電気的接続するようにした電気的接続用爪付きナットおよびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車載用アンテナにあっては、雄ネジが刻設された固定部材を、車両のシャーシなどの取付部材に穿設した孔に挿通し、内側から雄ネジにナットが螺合されて、固定部材が取付部材に締め付け固定される。ここで、車載用アンテナのアンテナエレメントにケーブルの芯線の一端が電気的接続されて適宜に車両内に導入され、アンテナの外部導体はシャーシなどに適宜に電気的接続されて、アースがなされる。
【0003】
そこで、従来より、アンテナを取付部材に締め付け固定するナットに爪を設けて、取付部材を締め付け固定することにより爪が取付部材の表面に食い込んで電気的接続するようになし、アンテナの外部導体が雄ネジと導電性のナットを順次に介してシャーシなどの取付部材に電気的接続されるように構成されている。
【0004】
かかる従来のナットの一例を図5および図6を参照して説明する。図5は、従来のナットの一例の外観図であり、(a)は正面図、(b)は底面図である。図6は、爪が取付部材の表面に食い込む状況を説明する図である。
【0005】
図5に示すごとく、従来のナット10の車両のシャーシなどの取付部材30に当接する一側面10aに、周方向に突条の爪12,12…が複数(図5にあっては3つ)突設される。この爪12は、断面が三角状または半円弧状であり、しかも周方向にその突設高さhはほぼ一定である。
【0006】
ナット10の締め付けにより、図6のごとく、取付部材30の表面に爪12,12…が当接すると、表面の絶縁層として作用する塗装膜30aを爪12,12…がすじ状に取り除き、さらには取付部材30の表面に食い込む。もって、ナット10が取付部材30に電気的接続される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ナット10は安価に大量生産されることが望ましい。そこで、一般的には圧造による型打ちで外形を成形し、最終工程で雌ネジ14が刻設される。この外形を成型する一工程において、爪12,12…も成形されており、爪12の周方向の両端面はダレが生じて角が丸くなってしまう。そこで、図6に示すごとく、ナット10が締め付けられて爪12が取付部材30の表面に当接した際に、塗装膜30aを確実に取り除くことが困難であり、また取付部材30の表面に食い込みにくいものであった。さらに、爪12は周方向に突設高さhがほぼ一定であることで、取付部材30の表面への食い込みが悪い要因ともなっている。この結果、取付部材30とナット10との電気的接続が確実になされない、という不具合があった。また、確実な電気的接続を得るためには、大きな締め付けトルクでナット10を締め付けなければならない。
【0008】
本発明は、上述のごとき従来技術の不具合を改善すべくなされたもので、塗装膜を確実に取り除くことができるとともに取付部材の表面に食い込み易く、確実に電気的接続が得られる電気的接続用爪付きナットおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために本発明の電気的接続用爪付きナットは、雄ネジに螺合して取付部材に一側面を当接させて前記取付部材に電気的接続するナットであって、前記ナットの前記一側面に、周方向の突条で爪を複数突設し、前記爪を前記ナットの締め付け回転方向で前半部分の突設高さを低くし段差を設けて後半部分の突設高さを高くし、前記段差による前記後半部分の前端面と前記後半部分のなす角を鋭角にするとともに、前記後半部分の突設高さが前記前端面で最も高く後側ほど低くなるようにし、締め付け固定に伴い前記爪の前記後半部分の前記前端面が前記取付部材の表面を切削もしくは食い込むように構成されている。
【0010】
また、本発明の電気的接続用爪付きナットの製造方法は、雄ネジに螺合して取付部材に一側面を当接させるナットの素材の前記一側面に、圧造による型打ちで周方向に突条を複数突設し、次の型打ちにより、前記ナットの締め付け回転方向で前記突条の前半部分をネジ軸方向に押し潰して段差を設けて後半部分より突設高さを低くして、前記段差による前記後半部分の前端面と前記後半部分のなす角を鋭角として爪を形成し、さらに別の工程で前記素材に雌ネジを刻設するものである。
【0011】
そして、圧造による型打ちで、前記突条の突設高さが中央で最も高い円弧状とし、次の型打ちにより、突設高さが最も高い中央より前半部分を押し潰して突設高さを低くして前記爪を形成することもできる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図1ないし図4を参照して説明する。図1は、本発明の電気的接続用爪付きナットの一実施例の外観図であり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は底面図である。図2は、爪の成形を示す図であり、(a)は前半部分が押し潰される工程前の突条の図、(b)は前半部分が押し潰されて爪の最終形状に成型された図である。図3は、本発明の電気的接続用爪付きナットの爪が塗装膜を取り除きさらに取付部材の表面に食い込むのを説明する図である。図4は、本発明の電気的接続用爪付きナットを圧造による複数の工程よりその外形を成形し、最終工程で雌ネジを刻設する製造方法を示す図である。
【0013】
まず、本発明の電気的接続用爪付きナットの形状を図1および図2を参照して説明する。本発明のナット20は、図5および図6に示すナット10とは、一側面20aに突設される爪22,22…の形状が異なるだけであり、爪22,22…が突設される個数の相違は問題とならない。
【0014】
本発明にあっては、まず図2(a)に示すごとく、ナット20の取付部材30に当接する一側面20aに周方向に6ヶの突条28,28…が突設される。突条28,28…の断面は、従来例の爪12,12…と同様に三角状または半円弧状である。しかも、突条28,28…の突設高さは、周方向の中央が最も高い円弧状である。なお、突条28,28…の突設高さを周方向の中央で最も高い円弧状とするには、圧造の型を突条28,28…の高さが円弧状となるようにしても良いことは勿論であるが、突条28,28…の周方向の両端側が中央より金属の流動性が悪いことを用いて結果として中央が高くなるようにしても良い。そして次に、ナット20の締め付け回転方向で、突条28,28…の中央より前半部分22a,22a…ががネジ軸方向に型26で押し潰されて、図2(b)のごとく、突設高さが低くされ、押し潰されてない後半部分22b,22b…との間に段差が設けられる。この押し潰しにより、突条28,28…の幅はさほど広くなく金属素材の流れが良くまた剪断作用によって、段差による後半部分22b,22b…の前端面と後半部分22b,22b…のなす角は、略90度の鋭角に形成される。もって、爪22,22…が形成される。
【0015】
かかる形状の本発明の電気的接続用爪付きナットにあっては、図3に示すごとく、取付部材30の表面に爪22,22…が当接すると、後半部分22b,22b…とその前端面の角が鋭角であるので、塗装膜30aを確実に取り除き、しかも金属切削加工用のバイトと同様に、後半部分22b,22b…の突設高さが前端面で最も高く後側ほど低くなるようにして、逃げ角θを設けているために、従来のナット10の爪12のごとく食い込みが妨げられるようなことがなく、取付部材30の表面に確実な食い込みが得られる。そこで、本発明のナット20は取付部材30に確実に電気的接続がなされる。実験によれば、取付部材30に爪22,22…が食い込んで確実に電気的接続させるには、ナット20を約0.5〜1.5N.mの締め付けトルクで締め付ければ充分であった。これに対して、図5および図6にし示す従来例にあっては、確実な電気的接続を得るためには、約2.5〜4.0N.mの締め付けトルクが必要であった。かかる点からも、本発明では、より低い締め付けトルクで安定した電気的接続が得られる。
【0016】
次に上述のごとき構造の本発明の電気的接続用爪付きナットの製造方法の一例を図4を参照して説明する。図4で説明する製造方法は、圧造によりまず外形を成形し、最終工程で雌ネジを刻設するものである。第1工程として、図4(a)のごとき、所定の容積の円柱状で導電性の金属素材としての鋼材を準備し、これを第2工程で、図4(b)のごとく、次の型打ちにより上下から押し潰して偏平にするとともに上下面に浅い孔を設ける。さらに、第3工程で、図4(c)のごとく、さらなる型打ちによりさらに偏平に押し潰すとともに上下の面の孔を大きくしかも深くするとともに、一側面20aに周状の突条28,28…を形成する。そしてさらに、第4工程で、図4(d)のごとく、上下の面の孔を貫通させるとともに、突条28,28…の前半部分22a,22a…を押し潰して爪22,22…を完成させる。そしてまた、最終工程の第5工程にて、貫通させた孔に雌ネジ24を刻設して本発明の電気接続用爪付きナットが完成される。
【0017】
この圧造による製造方法は、外形および爪を切削加工などで製造する方法に比較して、量産に好都合で安価に製造し得ることは勿論である。
【0018】
なお、上記実施例においては、周方向に突設された突条28,28…の前半部分22a,22a…を圧造により押し潰して爪22,22…形成したが、これに限られず、ネジ軸方向にプレス成形により前半部分22a,22a…を押し潰しても良く、さらに前半部分22a,22a…を切削加工して突設高さを低くし、もって後半部分22b,22b…と段差によるその前端面の角を鋭角としても良い。また、爪22,22…の突設高さは、後半部分22b,22b…の前端面が最も高く後側が低ければ良く、円弧状に限られず、直線状に突設高さが低く変化されても良い。さらに、上記実施例では圧造により外形を成形して最終工程で雌ネジ24を刻設するように説明したが、後半部分22b,22b…とその前端面のなす角が鋭角に形成されるならば、いかなる順序の工程によって本発明の電気的接続用爪付きナットが形成されても良い。そしてまた、上記実施例では、突条28,28…の中央で前半部分22a,22a…と後半部分22b,22b…としているが、中央の位置に限られず、前側などの一方に偏った位置で前半部分22a,22a…と後半部分22b,22b…としても良く、後半部分22b,22b…の前端面が最も突設高さが高くなるように構成すれば良い。
【0019】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の電気的接続用爪付きナットは構成されているので、以下のごとき格別な効果を奏する。
【0020】
請求項1記載の電気的接続用爪付きナットにあっては、爪の後半部分と段差による後半部分の前端面のなす角が鋭角であるので、取付部材の表面の塗装膜を容易に取り除くとともに取付部材の表面に食い込み易く、しかも爪の後半部分の突設高さがその前端面で最も高く後側ほど低くしたので、爪が取付部材に食い込んでも、切削加工用のバイトと同様に逃げ角があり、食い込みが妨げられない。もって、食い込みが容易であり、確実な電気的接続が得られる。そして、この食い込みの良さにより、従来技術よりも低い締め付けトルクで充分な電気的接続が得られる。
【0021】
また、本発明の電気的接続用爪付きナットの製造方法にあっては、以下のごとき格別な効果を奏する。
【0022】
請求項2記載の電気的接続用爪付きナットの製造方法にあっては、圧造により外形を成形し、しかも型打ちにより突条の前半部分を押し潰して後半部分と段差によるその前端面のなす角を鋭角として爪を形成し、その後の工程で雌ネジを刻設するので、量産に好適であって、安価に製造できる。
【0023】
請求項3記載の電気的接続用爪付きナットの製造方法にあっては、爪の後半部分に逃げ角を備える工程をも圧造により行っており、外形の成形工程の一部として同時に行うことができ、特別に工程が増加するものでなく、安価に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の電気的接続用爪付きナットの一実施例の外観図であり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は底面図である。
【図2】 爪の成形を示す図であり、(a)は前半部分が押し潰される工程前の突条の図、(b)は前半部分が押し潰されて爪の最終形状に成型された図である。
【図3】 本発明の電気的接続用爪付きナットの爪が塗装膜を取り除きさらに取付部材の表面に食い込むのを説明する図である。
【図4】 本発明の電気的接続用爪付きナットを圧造による複数の工程よりその外形を成形し、最終工程で雌ネジを刻設する製造方法を示す図である。
【図5】 従来のナットの一例の外観図であり、(a)は正面図、(b)は底面図である。
【図6】 爪が取付部材の表面に食い込む状況を説明する図である。
【符号の説明】
10,20 ナット
10a,20a 一側面
12,22 爪
14,24 雌ネジ
22a 前半部分
22b 後半部分
28 突条
30 取付部材
30a 塗装膜
Claims (3)
- 雄ネジに螺合して取付部材に一側面を当接させて前記取付部材に電気的接続するナットであって、前記ナットの前記一側面に、周方向の突条で爪を複数突設し、前記爪を前記ナットの締め付け回転方向で前半部分の突設高さを低くし段差を設けて後半部分の突設高さを高くし、前記段差による前記後半部分の前端面と前記後半部分のなす角を鋭角にするとともに、前記後半部分の突設高さが前記前端面で最も高く後側ほど低くなるようにし、締め付け固定に伴い前記爪の前記後半部分の前記前端面が前記取付部材の表面を切削もしくは食い込むように構成したことを特徴とする電気的接続用爪付きナット。
- 雄ネジに螺合して取付部材に一側面を当接させるナットの素材の前記一側面に、圧造による型打ちで周方向に突条を複数突設し、次の型打ちにより、前記ナットの締め付け回転方向で前記突条の前半部分をネジ軸方向に押し潰して段差を設けて後半部分より突設高さを低くして、前記段差による前記後半部分の前端面と前記後半部分のなす角を鋭角として爪を形成し、さらに別の工程で前記素材に雌ネジを刻設することを特徴とした電気的接続用爪付きナットの製造方法。
- 請求項2記載の電気的接続用爪付きナットの製造方法において、圧造による型打ちで、前記突条の突設高さが中央で最も高い円弧状とし、次の型打ちにより、突設高さが最も高い中央より前半部分を押し潰して突設高さを低くして前記爪を形成することを特徴とした電気的接続用爪付きナットの製造方法。
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