JP4401036B2 - フォトダイオードの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体受光素子に関し、さらに言えば、ガードリングを有するフォトダイオードの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図8は、従来のアバランシェ・フォトダイオード110の構成を示す要部断面図である。
【0003】
図8において、n+型InP基板111の表面には、n型InPバッファ層112と、n型InGaAs光吸収層113と、n型InGaAsPパイルアップ抑制層114と、n+型InP増倍層115と、n型InPキャップ層116とがこの順に積層形成されている。n型InPキャップ層116の上には、これら積層体を保護するためのパッシベーション層117が形成されている。
【0004】
n型InPキャップ層116の内部には、平面形状が円形のp型領域125が形成されている。外光は、パッシベーション層117を貫通してp型領域125に入射せしめられる。つまり、p型領域125が「受光領域」となっている。
【0005】
フォトダイオード110のpn接合126は、p型領域125とその直下のn+型InP増倍層115との界面に形成される。
【0006】
n型InPキャップ層116の内部にはさらに、p型領域121を囲むように、平面形状が円形リング状のp型領域122aが形成されている。また、n+型InP増倍層115の内部には、p型領域121の外縁に沿って、平面形状が円形リング状のp型領域122bが形成されている。p型領域122bの上端部は、p型領域122aの下端部と接続されている。二つのp型領域122aと122bは互いに同心であり、領域122bが外側に、領域122aが内側にそれぞれ位置している。これら二つのp型領域122aと122bは、いわゆる「二重ガードリング」を形成している。
【0007】
n型InPキャップ層116の上には、パッシベーション層117を貫通してリング状のp側電極131が形成されている。p側電極131の下端は、受光領域であるp型領域121に接触している。
【0008】
+型InP基板111の裏面には、n側電極132が形成されている。n側電極132は、基板111の裏面の全体を覆っている。
【0009】
以上の構成を持つ従来のアバランシェ・フォトダイオードは、次のようにして製造される。
【0010】
まず、n+型InP基板111の表面に、n+型InPバッファ層112と、n型InGaAs光吸収層113と、n型InGaAsPパイルアップ抑制層114と、n+型InP増倍層115と、n型InPキャップ層116とを、この順に成長させ、図8に示す積層構造を得る。これらの層の形成には、公知の気相成長法あるいは液相成長法が使用される。
【0011】
次に、n型InPキャップ層116の上に、選択注入用のマスク層(図示せず)を形成する。このマスク層は、例えばSiN層、SiO2層、またはPSG(PhosphorSilicate Glass)層を形成した後、その層をフォトリソグラフィ法でパターン化して形成される。そして、そのマスク層を用いて、n型InPキャップ層116内にイオン注入法によりBeイオンを選択的に導入し、平面形状が円形リング状のp型領域122aを形成する。この時、p型領域122aの底部がn+型InP増倍層115に達しないように注入条件を設定する。
【0012】
続いて、選択注入用の上記マスク層を除去してから、n型InPキャップ層116の上に選択注入用のマスク層(図示せず)を形成する。そして、そのマスク層を用いて、p型領域122aの内部にイオン注入法によりBeイオンを選択的に導入し、円形リング状のp型領域122bを形成する。その結果、Beイオンを二回注入された部分がp型領域122bとなる。この時、Beイオンがp型領域122aの内側部分にのみ注入されるように、また、p型領域122bの底部がn+型InP増倍層115内に入り込むように注入条件を設定する。
【0013】
そして、所定の方法で熱処理を施すことにより、注入したBeイオンを活性化させる。こうして、二重ガードリングとなる二つのp型領域122aと122bが形成される。
【0014】
その後、上記マスク層を除去してから新たに、n型InPキャップ層116の上に選択拡散用のマスク層(図示せず)を形成する。このマスク層も、SiN層、SiO2層、またはPSG層で形成される。そして、そのマスク層を用いて、真空にした拡散管内に拡散源を入れてから熱処理を施すことによって、二重ガードリングとなるp型領域122aと122bの内側にZnを選択的に拡散させる。つまり、いわゆる「封管拡散」を行う。拡散源としては、例えばZn32が使用される。こうして、受光領域として機能するp型領域125が形成される。
【0015】
以後は、通常の方法によって、パッシベーション層117をn型InPキャップ層116の上に形成し、そのパッシベーション層117にコンタクト孔をあける。そのパッシベーション層117上に金属膜を形成してからその不要部分を除去し、図8に示すようなp側電極131を形成する。n+型InP基板111の裏面にも金属膜を形成し、n側電極132とする。
【0016】
以上のようにして、従来のアバランシェ・フォトダイオード110が製造される。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来のアバランシェ・フォトダイオード110では、次のような問題がある。
【0018】
第一に、二重ガードリングを形成する二つのp型領域122aと122bを形成するためにBeイオンの導入を「イオン注入法」で行い、受光領域を形成するp型領域125を形成するために「封管拡散」によってZn原子を導入するので、製造工程が複雑となる。
【0019】
第二に、フォトダイオードの高速応答を確保するためには、pn接合126の近傍のドナーとアクセプタの濃度分布が急峻な傾斜を持つことが望まれるが、上記従来の製造方法では、「封管拡散」によってZn原子を気相で導入しているため、実現が困難である。
【0020】
第三に、フォトダイオードを大口径の半導体基板(ウェハ)を用いて製造するには、「封管拡散」工程において使用する管を大径にすることが望まれるが、上記従来の製造方法ではいわゆる「封管拡散」を行っているため、実現が困難である。
【0021】
本発明は、これらの問題を解消するためになされたもので、その目的とするところは、イオン注入法の使用が不要であって、製造工程が簡易になるフォトダイオードの製造方法を提供することにある。
【0022】
本発明の他の目的は、pn接合近傍のドナーとアクセプタの濃度分布を急峻な傾斜を持つようにして高速応答を確保できるフォトダイオードの製造方法を提供することにある。
【0023】
本発明のさらに他の目的は、大口径の半導体基板(ウェハ)の使用に容易に対応できるフォトダイオードの製造方法を提供することにある。
【0024】
本発明のさらに他の目的は、ガードリングと受光領域の形成プロセスで生じる半導体層の損傷に起因する不都合(暗電流の増加や表面荒れなど)を回避できるフォトダイオードの製造方法を提供することにある。
【0025】
本発明の他の目的は、以下の説明から明らかになる。
【0026】
【課題を解決するための手段】
(1) 本発明のフォトダイオードの製造方法は、
(a) 第1導電型の半導体基板上に、前記第1導電型の第1および第2の半導体層を積層形成する工程と、
(b) 前記第2半導体層の上にダメージ緩衝層を形成する工程と、
(c) 前記ダメージ緩衝層の上に、第1マスク層を介して、前記第1導電型とは反対の極性を持つ第2導電型のドーパントを含む第1拡散源層を形成する工程と、
(d) 前記第1拡散源層に含まれる前記第2導電型のドーパントを、前記第1マスク層と前記ダメージ緩衝層とを介して前記第2半導体層の内部に選択的に拡散させ、もってガードリングとなる前記第2導電型の第1拡散領域を形成する工程と、
(e) 前記第1拡散源層と前記第1マスク層を除去する工程と、
(f) 前記ダメージ緩衝層の上に、第2マスク層を介して、前記第2導電型のドーパントを含む第2拡散源層を形成する工程と、
(g) 前記第2拡散源層に含まれる前記第2導電型のドーパントを、前記第2マスク層と前記ダメージ緩衝層とを介して前記第2半導体層の内部に選択的に拡散させ、もって受光領域となる前記第2導電型の第2拡散領域を形成する工程と、
(h) 前記第2拡散源層と前記第2マスク層を除去する工程と、
(i) 前記ダメージ緩衝層を除去する工程と
を備えている。
【0027】
(2) 本発明のフォトダイオードの製造方法では、第1導電型の第2半導体層の上にダメージ緩衝層を形成してから、その上に選択拡散用の第1マスク層を介して第2導電型のドーパントを含む第1拡散源層を形成し、その後、その第1拡散源層に含まれるドーパントを第1マスク層を介して第2半導体層の内部に選択的に拡散させる。こうして、ガードリングとなる第2導電型の第1拡散領域を第2半導体層の内部に形成する。
【0028】
続いて、第1拡散源層と第1マスク層を除去した後、ダメージ緩衝層の上に、選択拡散用の第2マスク層を介して第2導電型のドーパントを含む第2拡散源層を形成する。その後、その第2拡散源層に含まれるドーパントを第2マスク層を介して第2半導体層の内部に選択的に拡散させる。こうして、受光領域となる第2導電型の第2拡散領域を形成する。最後に、第2拡散源層と第2マスク層とダメージ緩衝層とを除去する。このため、ガードリングと受光領域の形成の際にイオン注入工程が不要となるから、製造工程が簡易になる。
【0029】
また、pn接合は、第2半導体層の中に形成された受光領域となる第2導電型の第2拡散領域と、それに隣接する第1導電型の第1半導体層との界面に形成される。また、ガードリングとなる第2導電型の第1拡散領域の形成と、受光領域となる第2導電型の第2拡散領域の形成とを、第1および第2の拡散源層の中に含まれる第2導電型のドーパントを拡散させることによって行っている。このため、拡散条件を調整することにより、pn接合の近傍のドナーとアクセプタの濃度分布を急峻な傾斜を持つようにすることができ、よってフォトダイオードの高速応答を確保できる。
【0030】
さらに、ガードリングとなる第2導電型の第1拡散領域の形成と、受光領域となる第2導電型の第2拡散領域の形成とを、第1および第2の拡散源層の中に含まれる第2導電型のドーパントを拡散させることによって行っているため、いわゆる「開管拡散」が実行できる。よって、大口径の半導体基板(ウェハ)の使用に容易に対応することができる。
【0031】
加えて、上記の(c)〜(h)の工程の間は、第2半導体層の表面がダメージ緩衝層で覆われているので、それらの工程で第2半導体層の損傷が生じる恐れがなくなる。このため、第2半導体層の損傷に起因する不都合(暗電流の増加や表面荒れなど)を回避することができる。
【0032】
(3) 本発明のフォトダイオードの製造方法の好ましい例では、前記第1半導体層が増倍層とされ、前記第2半導体層がキャップ層とされる。あるいは、前記第1半導体層がn型InP増倍層とされ、前記第2半導体層がn型InPキャップ層とされる。
【0033】
本発明のフォトダイオードの製造方法の他の好ましい例では、ガードリングとなる前記第1拡散領域が、前記工程(d)の終了時には全体が前記第2半導体層の内部にあるが、受光領域となる前記第2拡散領域を形成するための前記工程(g)において拡大し、前記第1拡散領域の底部が前記第1半導体層の内部に位置する。
【0034】
本発明のフォトダイオードの製造方法のさらに他の好ましい例では、前記第1拡散源層に含まれる前記第2導電型のドーパントと、前記第2拡散源層に含まれる前記第2導電型のドーパントが、いずれもZnとされる。
【0035】
本発明のフォトダイオードの製造方法のさらに他の好ましい例では、前記ダメージ緩衝層として化合物半導体層が使用される。
【0036】
(4) なお、特開平3−297173号公報には、フォトダイオードなどの半導体受光素子が開示されている。同公報の半導体受光素子は、光吸収層またはアバランシェ増倍層が3元以上の化合物半導体で形成されている半導体受光素子において、(001)面から[−110]方向にわずかに傾いた半導体基板上に少なくともストイキオメトリーが整合され、且つ混晶散乱および金属散乱の少ない光吸収層またはアバランシェ増倍層を備えることを特徴とするものである。したがって、本発明の「ダメージ緩衝層を利用して2度の拡散工程でガードリングと受光領域を形成する」点については何ら開示されていなく、本発明とは異なっていることが明らかである。
【0037】
また、特開平9−186357号公報には、アバランシェ・フォトダイオードとその製造方法が開示されている。同公報のアバランシェ・フォトダイオードは、不純物イオンが高濃度のn型InP増倍(領域)層と、不純物イオンが低濃度のn型InP増倍(領域)層との積層体を備えており、n型InP増倍(領域)層の内部に不純物イオンの濃度勾配を設けたものに相当する。そして、こうすることにより、n型InP増倍(領域)層において所望の増倍特性が得られるようにしている。したがって、同公報においても、本発明の「ダメージ緩衝層を利用して2度の拡散工程でガードリングと受光領域を形成する」点については何ら開示されていなく、本発明とは異なっていることが明らかである。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について添付図面を参照しながら説明する。
【0039】
図1は、本発明の一実施形態のアバランシェ・フォトダイオード10の概略構成を示す要部断面図である。
【0040】
この実施形態のアバランシェ・フォトダイオード10は、図1に示すように、n+型InP基板11と、その基板11の表面に積層形成されたn型InPバッファ層12、n型InGaAs光吸収層13、n型InGaAsPパイルアップ抑制層14、n+型InP増倍層15、およびn型InPキャップ層16とを備えている。n型InPキャップ層16の上には、これら積層体を保護するためのパッシベーション層17が形成されている。
【0041】
n型InPキャップ層16とその下のn+型InP増倍層15の内部には、平面形状が円形のp型拡散領域25が形成されている。外光は、パッシベーション層17の円形の窓を貫通してp型拡散領域25に入射せしめられる。つまり、p型拡散領域25が「受光領域」となる。
【0042】
ダイオード10のpn接合26は、p型拡散領域25と、その直下のn+型InP増倍層15の界面に形成される。
【0043】
n型InPキャップ層16の内部にはさらに、p型拡散領域25を囲むように、平面形状が円形リング状のp型拡散領域22が形成されている。このp型拡散領域22は、「ガードリング」を形成しており、pn接合26においてエッジブレークダウンが発生するのを抑制する働きをする。
【0044】
n型InPキャップ層16の上には、パッシベーション層17の窓を貫通して円形リング状のp側電極31が形成されている。p側電極31の下端は、受光領域であるp型拡散領域25に接触している。外光は、パッシベーション層17とp側電極31の中央の円形窓を通ってp型拡散領域25に照射される。
【0045】
+型InP基板11の裏面には、n側電極32が形成されている。n側電極32は、基板11の裏面の全面を覆っている。
【0046】
次に、以上の構成を持つアバランシェ・フォトダイオード10の製造方法について、図2〜図7を参照しながら説明する。
【0047】
まず、n+型InP基板11の表面に、n型InPバッファ層12と、n型InGaAs光吸収層13と、n型InGaAsPパイルアップ抑制層14と、n+型InP増倍層15と、n型InPキャップ層16とをこの順に成長させ、図2に示すような積層構造を得る。これらの層の形成には、公知の気相成長法あるいは液相成長法が使用される。
【0048】
次に、n型InPキャップ層16の上に、ダメージ緩衝層18を形成する。この時の状態は図2に示す通りである。
【0049】
ダメージ緩衝層18は、以後の工程でn型InPキャップ層16の上方に種々の層が形成され、またエッチング法等によって除去されることにより、n型InPキャップ層16の表面がダメージ(損傷)を受けないようにすることを目的とする。したがって、このような機能を持つ任意の層をダメージ緩衝層18として使用できる。例えば、InGaAs層が好適に使用できる。
【0050】
次に、図3に示すように、ダメージ緩衝層18の上に選択拡散用のマスク層19を形成する。このマスク層19は、略中央部に平面形状が円形リング状の開口19aを有している。このマスク層19は、ダメージ緩衝層18の上に、例えばSiN層、SiO2層、またはPSG層を形成した後、その層をフォトリソグラフィ法でパターン化して形成される。
【0051】
次に、図4に示すように、選択拡散用のマスク層19の上に、ZnO層20とSiO2層21を順に積層形成する。ZnO層20とSiO2層21の形成には、例えばスパッタ法を使用する。ZnO層20は、n型InPキャップ層16の内部にp型ドーパントとしてのZn原子を選択的に拡散するための「Zn拡散源」として機能する。SiO2層21は、ZnO層20の保護膜として機能する。この時の状態は図4に示す通りであり、ZnO層20はマスク層19の開口19aを介してn型InPキャップ層16に接触している。
【0052】
次に、図4の状態を持つ構造体を所定の炉の中に入れ、所定温度で所定時間、加熱する。こうして、ZnO層20中に含まれるZn原子をn型InPキャップ層16に選択的に熱拡散させる。この時、ZnO層20中のZn原子は、マスク層19の開口19aを通り、さらにダメージ緩衝層17を貫通してからn型InPキャップ層16中に拡散する。その結果、図5に示すように、n型InPキャップ層16の内部にガードリングとなるp型拡散領域22が形成される。つまり、ガードリングとなるp型拡散領域22を、イオン注入法ではなく熱拡散法を利用して形成するのである。p型拡散領域22の平面形状は、マスク層19の開口19aとほぼ同じ円形リング状である。この時の加熱温度と加熱時間は、p型拡散領域22の底部がn型InP増倍層115の中に達しないように調整される。
【0053】
続いて、弗酸(HF)や緩衝弗酸などを用いてウェットエッチングを行い、SiO2層21とZnO層20をすべて除去する。この時、ダメージ緩衝層17がn型InPキャップ層16の表面を覆っているので、エッチング作用がキャップ層16に直接及ぶことはない。したがって、このエッチング工程でn型InPキャップ層16が損傷を受ける恐れがない、という利点がある。エッチング完了時の状態は図6のようになる。ダメージ緩衝層17も少しエッチングされるので、図6の状態では、ダメージ緩衝層17の厚さが少し減少している。
【0054】
次に、図7に示すように、ダメージ緩衝層18の上に選択拡散用のマスク層23を形成する。このマスク層23は、略中央部に平面形状が円形の開口23aを有している。このマスク層23は、マスク層19と同じようにして、つまり、SiN層、SiO2層、またはPSG層などを形成した後、その層をフォトリソグラフィ法でパターン化して形成される。
【0055】
次に、選択拡散用のマスク層23の上に、ZnO層24を形成する。ZnO層24の形成には、例えばスパッタ法を使用する。ZnO層24は、n型InPキャップ層16の内部にZn原子を選択的に拡散するための「Zn拡散源」として機能する。ZnO層24は、マスク層23の開口23aを介してn型InPキャップ層16に接触している。
【0056】
なお、マスク層23の開口23aは、受光領域となるp型拡散領域25が、ガードリングとなるp型拡散領域22の内側において所望の形状で形成されるように設定すればよい。この実施形態では、開口23aの外縁がガードリングとなるp型拡散領域22の内端縁とほぼ合致するように設定する。
【0057】
次に、図7の状態を持つ構造体を炉の中に入れ、所定温度で所定時間、加熱する。こうして、ZnO層24中に含まれるZn原子をn型InPキャップ層16中に選択的に拡散させる。この時、ZnO層24中のZn原子は、マスク層23の開口23aを通り、さらにダメージ緩衝層17を貫通してからn型InPキャップ層16中に拡散する。こうしてn型InPキャップ層16中に拡散してきたZn原子は、ガードリングとなるp型拡散領域22の内側だけでなく、p型拡散領域22の内端部にも少し入り込む。その結果、図7に示すように、n型InPキャップ層16の内部に円形の平面形状を持つp型拡散領域25が形成される。つまり、ガードリングとなるp型拡散領域22の内側にそれと同心となるように、受光領域となるp型拡散領域25が形成されるのである。
【0058】
このように、受光領域となるp型拡散領域25の形成方法は、ガードリングとなるp型拡散領域22の場合と同じ熱拡散法である。この時の加熱温度と加熱時間は、p型拡散領域25の底部がn型InP増倍層15の中に達しないように調整する。
【0059】
この熱拡散工程において、ガードリングとなるp型拡散領域22に含まれているZn原子も拡散するので、p型拡散領域22は図6の状態よりも外側と内側に少し広がり、さらに下方にも少し広がる。よって、図7に示すように、p型拡散領域22の内端部は、p型拡散領域25の外端部と少し重複した形になり、またp型拡散領域22の底部はn+型InP増倍層15に入り込む。
【0060】
続いて、弗酸や緩衝弗酸などを用いてウェットエッチングを行い、マスク層23とZnO層24を除去する。この時も、ダメージ緩衝層17がn型InPキャップ層16の表面を覆っているので、エッチング作用はキャップ層16に及ばない。したがって、ここでも、n型InPキャップ層16が損傷を受ける恐れはない。
【0061】
以後は、通常の方法によって、パッシベーション層17をn型InPキャップ層16の上に形成してから、そのパッシベーション層17に円形の窓をあける。この時、図1に示すように、パッシベーション層17は、ガードリングとなるp型拡散領域22と残りのn型InPキャップ層16の全面を覆っており、受光領域となるp型拡散領域25のみがパッシベーション層17の窓から露出している。
【0062】
さらに、n+型InP基板11の裏面にも金属膜を形成し、n側電極32とする。n側電極32は、基板11の裏面の全面を覆っている。
【0063】
こうして、本発明の一実施形態のアバランシェ・フォトダイオード10が製造される。
【0064】
以上説明したところから明らかなように、本発明の一実施形態のアバランシェ・フォトダイオード10の製造方法では、n型InPキャップ層16の上にダメージ緩衝層17を先に形成しておき、そのダメージ緩衝層17の上に選択拡散用のマスク層19、23やZnO層20、24を形成してから、選択的にp型ドーパント(ここではZn原子)をn型InPキャップ層16の中に熱拡散し、もってガードリングとなるp型拡散領域22と受光領域となるp型拡散領域25を形成している。その後、不要となったマスク層19、23やZnO層20、24をエッチングによって除去している。
【0065】
このため、ダメージ緩衝層17の上に直接、マスク層19、23やZnO層20、24を形成した場合と異なり、これらの工程の間にn型InPキャップ層16が損傷を受ける恐れがない。よって、n型InPキャップ層16の合金化を抑制できると共に、n型InPキャップ層16の損傷に起因する暗電流の増加や表面荒れといった問題を回避できる。
【0066】
さらに、n型InPキャップ層16の中にp型ドーパント(ここではZn原子)を熱拡散法で選択的に導入することによって、p型拡散領域22と25を形成しているので、従来のフォトダイオード110の製造方法で使用していたBeのイオン注入工程が不要となる。よって、製造工程が簡略化される。
【0067】
加えて、n型InPキャップ層16の中にp型ドーパント(ここではZn原子)を熱拡散によって導入しているので、いわゆる「開管拡散」が可能となり、その結果、大径の半導体基板(ウェハ)にも容易に対応できる。
【0068】
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、n型のInP基板の上に、n型InPバッファ層、n型InGaAs光吸収層、n型InGaAsPパイルアップ抑制層、n型InP増倍層、n型InPキャップ層を積層形成しているが、InP以外の半導体基板も使用可能であるし、半導体基板上に形成される積層構造も、ダイオード機能が得られる限りは任意に変更できる。また、トーパントとしてZn以外の任意のものを使用できることも言うまでもない。
【0069】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のフォトダイオードの製造方法によれば、イオン注入法の使用が不要で製造工程を簡易にすることができると共に、pn接合近傍のドナーとアクセプタの濃度分布を急峻な傾斜を持つようにして高速応答を確保できる。また、大口径の半導体基板(ウェハ)の使用に容易に対応できる。さらに、ガードリングと受光領域の形成プロセスで生じる半導体層の損傷に起因する不都合(暗電流の増加や表面荒れなど)も回避できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態のアバランシェ・フォトダイオードの構成を示す要部概略断面図である。
【図2】図1のアバランシェ・フォトダイオードの製造方法の各工程を示す要部概略断図である。
【図3】図1のアバランシェ・フォトダイオードの製造方法の各工程を示す要部概略断図で、図2の続きである。
【図4】図1のアバランシェ・フォトダイオードの製造方法の各工程を示す要部概略断図で、図3の続きである。
【図5】図1のアバランシェ・フォトダイオードの製造方法の各工程を示す要部概略断図で、図4の続きである。
【図6】図1のアバランシェ・フォトダイオードの製造方法の各工程を示す要部概略断図で、図5の続きである。
【図7】図1のアバランシェ・フォトダイオードの製造方法の各工程を示す要部概略断図で、図6の続きである。
【図8】従来のアバランシェ・フォトダイオードの構成を示す要部概略断図である。
【符号の説明】
10 アバランシェ・フォトダイオード
11 n+型InP基板
12 n型InPバッファ層
13 n型InGaAs光吸収層
14 n型InGaAsPパイルアップ抑制層
15 n+型InP増倍層
16 n型InPキャップ層
17 パッシベーション層
18 ダメージ緩衝層
19 選択拡散用マスク層
20 ZnO層
21 SiO2
22 p型拡散領域(ガードリング)
23 選択拡散用マスク層
24 ZnO層
25 p型拡散領域(受光領域)
31 p側電極
32 n側電極

Claims (6)

  1. (a) 第1導電型の半導体基板上に、前記第1導電型の第1および第2の半導体層を積層形成する工程と、
    (b) 前記第2半導体層の上にダメージ緩衝層を形成する工程と、
    (c) 前記ダメージ緩衝層の上に、第1マスク層を介して、前記第1導電型とは反対の極性を持つ第2導電型のドーパントを含む第1拡散源層を形成する工程と、
    (d) 前記第1拡散源層に含まれる前記ドーパントを、前記第1マスク層と前記ダメージ緩衝層とを介して前記第2半導体層の内部に選択的に拡散させ、もってガードリングとなる前記第2導電型の第1拡散領域を形成する工程と、
    (e) 前記第1拡散源層と前記第1マスク層を除去する工程と、
    (f) 前記ダメージ緩衝層の上に、第2マスク層を介して、前記第2導電型のドーパントを含む第2拡散源層を形成する工程と、
    (g) 前記第2拡散源層に含まれる前記ドーパントを、前記第2マスク層と前記ダメージ緩衝層とを介して前記第2半導体層の内部に選択的に拡散させ、もって受光領域となる前記第2導電型の第2拡散領域を形成する工程と、
    (h) 前記第2拡散源層と前記第2マスク層を除去する工程と、
    (i) 前記ダメージ緩衝層を除去する工程と
    を備えてなるフォトダイオードの製造方法。
  2. 前記第1半導体層が増倍層であり、前記第2半導体層がキャップ層である請求項1に記載のフォトダイオードの製造方法。
  3. 前記第1半導体層がn型InP増倍層であり、前記第2半導体層がn型InPキャップ層である請求項1に記載のフォトダイオードの製造方法。
  4. ガードリングとなる前記第1拡散領域が、前記工程(d)の終了時には全体が前記第2半導体層の内部にあるが、受光領域となる前記第2拡散領域を形成するための前記工程(g)において拡大し、前記第1拡散領域の底部が前記第1半導体層の内部に位置する請求項1〜3のいずれか1項に記載のフォトダイオードの製造方法。
  5. 前記第1拡散源層に含まれる前記第2導電型のドーパントと、前記第2拡散源層に含まれる前記第2導電型のドーパントが、いずれもZnである請求項1〜4のいずれか1項に記載のフォトダイオードの製造方法。
  6. 前記ダメージ緩衝層として化合物半導体層を使用する請求項1〜5のいずれか1項に記載のフォトダイオードの製造方法。
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