JP4445112B2 - 伝動ベルト成形用心線巻付け装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、歯付ベルトなど、心線がベルト長手方向に沿って埋入された伝動ベルトを成形する際に、成形用の金型に心線を巻き付けるために用いられる装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
歯付ベルトなどの伝動ベルトを製造するにあたっては、例えば次のようにして行なわれている。すなわち図3(a)に示すような、外周に歯部成形用の凹溝11を軸方向と並行に多数本設けて形成した円筒状の金型2を用い、まずこの金型2の外周に帆布などのシート材を筒状にした補強材1を被せ、次に金型2に被せた補強材1の外周に心線4をスパイラル状に巻き付ける。この後、心線4の上から補強材1の外周に未加硫のゴムシート12を巻き付け、これを加熱・加圧して加硫することによって、円筒状のスリーブを成形する。そしてこのスリーブを輪切りするように切断することによって、図3(b)に示すような、片面に補強材1で表面が補強された歯部13が所定ピッチで形成され、複数本の心線4がベルト長手方向に埋入された伝動ベルトTを得ることができるものである。
【0003】
ここで、上記のように金型2に被せた補強材1の外周に心線4をスパイラル状に巻き付けるために、特公平6−92133号公報などで提供されているように、タッチプーリ3が使用されている。タッチプーリ3は円柱状に形成されるものであって、軸15を中心にして回転自在にしてある。このタッチプーリ3は回転駆動される金型2の回転軸16に軸15が平行になるように金型2の外周部に配置されるものであり、金型2の軸方向と平行に移動駆動されるようにしてある。
【0004】
図4及び図5は従来のタッチプーリ3の一例を示すものであり、その軸方向の一方の端部は巻付け心線押さえ部5として、軸方向の他の部分は巻済み心線押さえ部6としてそれぞれ形成してある。巻付け心線押さえ部5の外周には心線ガイド溝17が凹設してある。尚、図のものは、S撚りとZ撚りの一対の心線4を同時に巻き付ける2条巻きに用いるために2本の心線ガイド溝17が凹設してあるが、1条巻の場合には1本の心線ガイド溝17を凹設したタッチプーリ3を用いる。そして従来のタッチプーリ3では、巻付け心線押さえ部5の半径(心線ガイド溝17の溝底部での半径)r1と、巻済み心線押さえ部6の半径r1とは、等しい寸法に形成してある。
【0005】
このようなタッチプーリ3を用いて、金型2に被せた補強材1の外周に心線4をスパイラル状に巻き付けるにあたっては、金型2に被せた補強材1の外周に供給される心線4を、タッチプーリ3の巻付け心線押さえ部5の心線ガイド溝17に嵌合させてガイドしながら、金型2を図5の矢印のように回転駆動することによって、心線ガイド溝17でガイドして位置決めした状態で補強材1の外周に心線4を巻き付けることができるものであり、同時に図4の矢印のようにタッチプーリ3を金型2と平行に移動させることによって、心線ガイド溝17で心線1をガイドする位置を移動させ、スパイラル状に巻き付けることができるものである。
【0006】
ここで、タッチプーリ3を金型2に被せた補強材1の外周に直接接触させず浮かせた状態で心線4の巻き付けを行なう方法もあるが、この方法では巻き付けられた心線4の並びが悪くなり、得られた伝動ベルトTに埋入されている心線4の本数にばらつきが生じて、伝動ベルトTの強度のばらつきが大きくなると共に、心線4同士が接触しているとベルト走行中に心線4間にストレスが生じて切断されるおそれがある。
【0007】
このために、図4や図5に示すように、タッチプーリ3を金型2に被せた補強材1に押さえ付けた状態で、心線4の巻き付けを行なうようにしている。図4及び図5において、符号4aは補強材1の外周にこれから巻き付けようとする心線4を示し、符号4bは補強材1の外周に既に巻き付けた巻付け済みの心線4を示すものであり、巻き付けようとする心線4aは巻付け心線押さえ部5の心線ガイド溝17で押さえ付けられて補強材1の外周に巻き付けられ、また補強材1の外周に巻付け済みの心線4bは巻済み心線押さえ部6で押さえられている。このように巻き付けようとする心線4aと巻付け済みの心線4bがそれぞれタッチプーリ3で押さえ付けられた状態で巻き付けが行なわれるので、補強材1の外周での心線4の並びが良くなるのである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記のようにタッチプーリ3を金型2に被せた補強材1に押さえ付けることによって、並び良く心線4をスパイラルに巻き付けることができるが、この反面、タッチプーリ3による押圧力の作用で金型2に被せた補強材1にずれによるネジレが発生し易くなる。補強材1は帆布等を筒状にして付き合わせた端部同士を縫い合わせてあり、この縫い目14は図3(b)に示すように歯部13の頂部に位置するように伝動ベルトTを製造する必要があり、このためには縫い目14が凹溝11の位置にくるように補強材1を金型2に被せて、成形を行なう必要があるが、心線4を巻き付ける際に補強材1にずれが生じると、補強材1の縫い目14が凹溝11の位置からずれるおそれがあり、縫い目14が歯部13の頂部からずれて歯部13間の谷部などの位置に縫い目14が存在して、強度の上で問題がある伝動ベルトTが製造されるおそれがあるのである。
【0009】
ここで、心線4を巻き付ける際に補強材1にずれによるネジレが発生する原理を図5に基づいて説明する。
【0010】
タッチプーリ3は自身では回転駆動されないものであり、図4や図5に示すように、補強材1の外周に既に巻き付けられている巻付け済みの心線4bに巻済み心線押さえ部6が圧接していることによって、金型2の回転駆動に従動してタッチプーリ3は図5の矢印のように回転されるものであり、補強材1の外周にこれから巻き付けようとする心線4aは角度θの範囲で巻付け心線押さえ部5の心線ガイド溝17に巻き掛けられている。そしてタッチプーリ3の外周のうち金型2に最も近い個所に接する心線4a,4bの表面上の点をA0とし、これから巻き付けようとする心線4aがタッチプーリ3の巻付け心線押さえ部5の外周に角度θで巻き掛けられている範囲である円弧A0B0をとり、さらに円弧A0B0=円弧A0C0となるように点C0を巻付け済み心線4bの外側の表面上にプロットする。またタッチプーリ3の軸15と点A0を結ぶ直線の延長線とこれから巻き付けようとする心線4aのピッチラインpとの交点と、金型2の回転軸16と点A0を結ぶ直線と巻付け済みの心線4bのピッチラインpとの交点は図5において一致するので、それぞれ点A1としてプロットし、さらにタッチプーリ3の軸15と点B0を結ぶ直線の延長線とこれから巻き付けようとする心線4aのピッチラインpとの交点を点B1としてプロットすると共に、金型2の回転軸16と点C0を結ぶ直線と巻付け済みの心線4bのピッチラインpとの交点をC1としてプロットする。尚、心線4のピッチラインpは心線4のほぼ中心にある。
【0011】
タッチプーリ3の巻付け心線押さえ部5の半径r1と巻済み心線押さえ部6の半径r1は等しいので、タッチプーリ3と心線4の間で滑りがなければ、金型2の回転駆動に伴って回転される巻付け済み心線4bの外側表面の速度とタッチプーリ3の巻付け心線押さえ部5の外周表面の速度は等しくなり、従って巻付け心線押さえ部5に接するこれから巻き付けようとする心線4aの内側表面の速度と巻付け済み心線4bの外側表面の速度は等しくなる。すなわち、[巻き付けようとする心線4aの内側表面の送り速度:巻付け済み心線4bの外側表面の送り速度=円弧A0B0:円弧A0C0]であり、円弧A0B0=円弧A0C0である。
【0012】
ここで、巻き付けようとする心線4aの送り速度と巻付け済み心線4bの送り速度を、心線4の真の長さであるピッチラインpについて比較をすると、[巻き付けようとする心線4aの送り速度:巻付け済み心線4bの送り速度=円弧A1B1:円弧A1C1]である。そして心線4の厚み(直径)をt、金型2に補強材1の厚みを加えた金型2の中心の回転軸16から補強材1の外周までの半径をr2とすると、円弧A1B1/円弧A0B0=(r1+0.5t)/r1であり、円弧A1C1/円弧A0C0=(r2+0.5t)/(r2+t)である。上記のように円弧A0B0=円弧A0C0であるから、[巻き付けようとする心線4aの送り速度:巻付け済み心線4bの送り速度=円弧A1B1:円弧A1C1=(r1+0.5t)/r1:(r2+0.5t)/(r2+t)]の関係になる。一般にr2はr1より大であるので、(r1+0.5t)/r1>(r2+0.5t)/(r2+t)であり、従って円弧A1B1>円弧A1C1である。よって、巻き付けようとする心線4aの送り速度は巻付け済み心線4bの送り速度より常に速くなる。
【0013】
このように、巻き付けようとする心線4aの送り速度が巻付け済み心線4bの送り速度より速いと、送り込まれる心線4aはその長さが送り込まれた心線4bより大きいため、巻き付けようとする心線4aは送り終わった方向、すなわち金型2の回転方向へ逃げ、この結果、金型2の回転方向に補強材1がずれてネジレが発生するのである。
【0014】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、タッチプーリで押さえ付けながら心線を巻き付けるにあたって、補強材がずれてネジレるようなことなく、心線を補強材の外周に巻き付けることができる伝動ベルト成形用心線巻付け装置を提供することを目的とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、補強材1を外周に被せた伝動ベルト成形用の金型2と、金型2に被せた補強材1の外周に接して回転自在で且つ金型2の軸方向に沿って移動駆動されるタッチプーリ3とを備えて成り、金型2に被せた補強材1の外周に供給される心線4をタッチプーリ3の外周面で押さえながら金型2を回転駆動させることによって、心線4を補強材1の外周にスパイラル状に巻き付けるようにした伝動ベルト成形用心線巻付け装置において、タッチプーリ3に、補強材1の外周に供給されて巻き付けられる心線4を押さえる巻付け心線押さえ部5と、補強材1の外周に巻き付け済みの心線4を押さえる巻済み心線押さえ部6を形成すると共に、巻済み心線押さえ部6の半径r3を巻付け心線押さえ部5の半径r1よりも大きく形成して成ることを特徴とするものである。
【0016】
また請求項2の発明は、タッチプーリ3の巻付け心線押さえ部5の半径をr1、巻済み心線押え部6の半径をr3、補強材1の厚みも含めた金型の半径をr2、心線4の厚みをtとすると、巻済み心線押え部6の半径r3と巻付け心線押さえ部5の半径r1の差dを、
d=A×(0.5t(r1+r2)/r2)
(ただし、Aは0.1〜0.7の係数)
に設定することを特徴とするものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0018】
図1及び図2は本発明の実施の形態の一例を示すものであり、タッチプーリ3は円柱状(あるいは円筒状)に形成されるものであって、軸15を中心にして回転自在にしてある。またタッチプーリ3は軸方向の一方の端部を巻付け心線押さえ部5として、軸方向の他の部分を巻済み心線押さえ部6として一体に形成してあり、巻付け心線押さえ部5の外周には心線ガイド溝17が凹設してある。そしてこのタッチプーリ3において、巻付け心線押さえ部5の半径(心線ガイド溝17の溝底部での半径)r1よりも、巻済み心線押さえ部6の半径r3を大きい寸法に形成してある。
【0019】
また金型2は既述のように、外周に歯部成形用の凹溝11を軸方向と並行に多数本設けて形成した円筒体(あるいは円柱体)で形成されるものであり、回転軸16を中心にして回転駆動されるようになっている。タッチプーリ3はこの金型2の外周部に軸15,16が平行になるように配置されるものであり、金型2の軸方向と平行な方向に移動駆動されるようにしてある。
【0020】
そしてこの金型2の外周には、帆布などのシート材を縫い合わせて筒状にした補強材1が被せられるものであり、金型2に被せたこの補強材1の外周に心線4をスパイラル状に巻き付けるにあたっては、心線4を補強材1の外周に供給し、タッチプーリ3の巻付け心線押さえ部5の心線ガイド溝17で心線4をガイドしながら、金型2を図2の矢印方向のように回転駆動すると共にタッチプーリ3を金型2に対して図1の矢印のように平行に移動させることによって行なうことができる。また、タッチプーリ3には心線4を金型2に被せた補強材1に押さえ付ける押圧力が与えられており、これから巻き付けようとする心線4aは巻付け心線押さえ部5の心線ガイド溝17で押さえ付けられて補強材1の外周に巻き付けられると同時に、補強材1の外周に巻付け済みの心線4bは巻済み心線押さえ部6で押さえられているので、補強材1の外周での心線4の並びを良好なものとすることができる。
【0021】
そして従来例の図5において説明したように、タッチプーリ3で押さえ付けながら金型2を回転駆動して心線4を補強材1の外周に巻き付ける際に、これから巻き付けようとする心線4aの送り速度が、巻付け済み心線4bの送り速度より速いと、巻き付けられる心線4aに補強材1が部分的に引かれて移動し、金型2の回転方向に補強材1がずれてネジレが発生する。従って、これから巻き付けようとする心線4aの送り速度と、巻付け済み心線4bの送り速度が等しくなれば、送り込まれる心線4aにの長さと送り込まれた心線4bの長さは等しくなり、巻き付けられる心線4aに補強材1が部分的に引かれるようなことがなくなって、補強材1がずれてネジレることを防止することができる。
【0022】
本発明ではタッチプーリ3の巻付け心線押さえ部5の半径r1よりも、巻済み心線押さえ部6の半径r3を大きい寸法に形成することによって、巻付け心線押さえ部5の外周と巻済み心線押さえ部6の外周での周速度に差を付け、巻付け心線押さえ部5で押さえながらこれから巻き付けようとする心線4aの送り速度と、巻済み心線押さえ部6で押さえられている巻付け済み心線4bの送り速度を等しくすることができるようにしたものであり、この原理を図2に基づいて説明する。
【0023】
図2においてA0,B0,C0,A1,B1,C1はそれぞれ図5のものと同じである(ただし、A0は巻き付けようとする心線4aの表面上の点、A1は巻き付けようとする心線4aのピッチラインp上の点である)。また、巻済み心線押え部6の半径r3は巻付け心線押え部5の半径r1よりも大きく形成されているので、巻済み心線押え部6によって補強材1及び巻付け済み心線4bは圧縮されており、巻済み心線押さえ部6の外周のうち金型2に最も近い個所に接する巻済み心線4bの外側表面上の点をA3、金型2の回転軸16と点A3を結ぶ直線と巻付け済み心線4bのピッチラインp上の点をA5としてプロットする。そして図5の場合と同様に円弧A0B0=円弧A0C0であり、巻付け済み心線4bは圧縮されているが、実質的に円弧A0C0=円弧A3C0として差し支えない。そして円弧A3C0=円弧A3B3となる点B3を巻済み心線押さえ部6の外周表面上にプロットし、さらにタッチプーリ3の中心である軸15とB3を結ぶ直線が巻き付けようとする心線4aのピッチラインpと交わる点B4をプロットする。
【0024】
ここで、既述のようにタッチプーリ3は自身では回転駆動されず、補強材1の外周に既に巻き付けられている巻付け済みの心線4bに巻済み心線押さえ部6が圧接していることによって、金型2の回転駆動に従動してタッチプーリ3は図2の矢印のように回転されるものである。そして円弧A3C0=円弧A3B3であるから、金型2が図2の矢印のように回転駆動されて巻付け済み心線4bが送られ、巻付け済み心線4bの外周上の点C0が図2の点A3に達するときには、巻付け心線押さえ部6の外周上の点B3が図2の点A3に達するようにタッチプーリ3は回転されることになり、タッチプーリ3のこの回転に伴って巻付け心線押さえ部5によってこれから巻き付けようとする心線4aが送られる。従ってこのときの、巻き付けようとする心線4aの送り速度と、巻付け済み心線4bの送り速度を、心線4の真の長さであるピッチラインpについて比較をすると、[巻き付けようとする心線4aの送り速度:巻付け済み心線4bの送り速度=円弧A1B4:円弧A5C1]の関係が成立する。図2から明らかなように、円弧A1B4<円弧A1B1であり、実質的に円弧A5C1=円弧A1C1であるので、従来の図5の[巻き付けようとする心線4aの送り速度:巻付け済み心線4bの送り速度=円弧A1B1:円弧A1C1]の関係の場合よりも、巻き付けようとする心線4aの送り速度を遅くすることができる。従って、従来のような巻き付けようとする心線4aの送り速度が巻付け済み心線4bの送り速度より速くなる状態を解消し、巻き付けようとする心線4aの送り速度と巻付け済み心線4bの送り速度ができるだけ等しくなるようにすることが可能になり、補強材1がずれてネジレることを防止することが可能になるものである。
【0025】
次に、補強材1がずれてネジレることを防止するために必要な、タッチプーリ3における巻付け心線押さえ部5の半径r1と巻済み心線押さえ部6の半径r3の差dを、図2に基づいて求める。すなわち、上記の[巻き付けようとする心線4aの送り速度:巻付け済み心線4bの送り速度=円弧A1B4:円弧A5C1]の関係から、円弧A1B4=円弧A5C1であれば、巻き付けようとする心線4aの速度と巻付け済み心線4bの速度は等しくなり、補強材1がずれてネジレることを防止することができる。従って、円弧A1B4=円弧A5C1にするために必要な条件として、巻付け心線押さえ部5の半径r1と巻済み心線押さえ部6の半径r3の差dを求めればよい。
【0026】
しかして図2において、円弧A5C1/円弧A3C0=(r2+0.5t)/(r2+t)である(巻付け済み心線4bは圧縮されているが、両辺は実質的にイコールとして差し支えない)。また円弧A1B4/円弧A3B3=(r1+0.5t)/r3=(r1+0.5t)/(r1+d)である。円弧A3C0=円弧A3B3であるから、円弧A1B4:円弧A5C1=(r1+0.5t)/(r1+d):(r2+0.5t)/(r2+t)となる。そして円弧A1B4=円弧A5C1を成立させる条件は、(r1+0.5t)/(r1+d)=(r2+0.5t)/(r2+t)である。この等式を展開すると、d=0.5t(r1+r2+t)/(r2+0.5t)となる。tはr1やr2よりも十分に小さいのでr1+r2+t≒r1+r2、r2+0.5t≒r2とすることができる。従って、d=0.5t(r1+r2)/r2を得ることができる。
【0027】
このように、補強材1がずれてネジレることを防止するために必要な、タッチプーリ3における巻付け心線押さえ部5の半径r1と巻済み心線押さえ部6の半径r3の差dは、
d=0.5t(r1+r2)/r2 …(1)
として求めることができる。しかし実際には、心線4とタッチプーリ3との間の滑り、補強材1の圧縮変形による心線4の沈みなどが複雑に影響し、さらに補強材1がタッチプーリ3による押圧力でタクレて金型2の回転と逆方向にずれるタクレの現象があるので、理論的に得られる上記の式(1)に係数をかけて補正する必要がある。タクレの現象は、図6に示すように、金型2の外周に被せた補強材1にこれから巻き付けようとする心線4aを介してタッチプーリ3の押圧力が作用すると、この押圧力で補強材1が金型2の表面から部分的に浮いて金型2の回転方向と反対方向に押されてずれることによって生じるものであり、心線4を補強材1の外周に巻き付ける際に発生するずれによって補強材1が金型2の回転方向にベジレるのとは反対向きのずれである。従って、上記の式(1)に1以下の係数Aをかけて得られる
d=A×(0.5t(r1+r2)/r2) …(2)
が実用的に採用されるものである。この係数Aは補強材1や心線4の材質等に応じて異なるが、実機による試験から経験的に0.1〜0.7であると求められている。
【0028】
ここで、歯数106、歯形MY、ベルト幅25mmの歯付ベルトを製造するにあたって、r1=70mm、r2=135mm、t=1.20mmであるとき、これらの数値を代入して式(1)からdを求めると、d=0.9mmとなるが、これに係数A=0.1〜0.7をかけると、d=0.09mm〜0.63mmとなる。従って、巻付け心線押さえ部5の半径r1が70mmのタッチプーリ3の場合、巻済み心線押さえ部の半径r3を70.09mm〜70.63mmの間に形成することによって、補強材1がずれてネジレるようなことを確実に防止しながら、心線4の巻き付けを行なうことができるものである。
【0029】
尚、本発明では上記のようにタッチプーリ3の巻済み心線押さえ部6の半径r3を巻付け心線押さえ部5の半径r1より大きくなるように形成しているため、巻付け済み心線4bに対する巻済み心線押さえ部6の押圧力が弱いと、巻付け心線押さえ部5が巻き付けようとする心線4aから浮いて、補強材1の外周に巻き付けられた心線4の並びが悪くなるおそれがある。このために、タッチプーリ3に付加的な押圧力を与え、巻付け済み心線4bや補強材1を巻済み心線押さえ部6で圧縮させるようにして、巻付け心線押さえ部5で巻き付けようとする心線4aを押さえ付けることができるようにする必要がある。このようにタッチプーリ3を強く押圧させるようにしても、金属材料で形成されるタッチプーリ3において巻付け心線押さえ部5の半径r1と巻済み心線押さえ部6の半径r3の比率は変わらないので、補強材1がずれてネジレることを防ぐ効果に影響はない。また心線4や補強材1は繊維材料で形成されるので、タッチプーリ3で一時的に押圧されて圧縮変形しても、伝動ベルトTの性能には何ら問題は生じない。
【0030】
【発明の効果】
上記のように本発明は、補強材を外周に被せた伝動ベルト成形用の金型と、金型に被せた補強材の外周に接して回転自在で且つ金型の軸方向に沿って移動駆動されるタッチプーリとを備えて成り、金型に被せた補強材の外周に供給される心線をタッチプーリの外周面で押さえながら金型を回転駆動させることによって、心線を補強材の外周にスパイラル状に巻き付けるようにした伝動ベルト成形用心線巻付け装置において、タッチプーリに、補強材の外周に供給されて巻き付けられる心線を押さえる巻付け心線押さえ部と、補強材の外周に巻き付け済みの心線を押さえる巻済み心線押さえ部を形成するようにしたので、これから巻き付けようとする心線と巻付け済みの心線をそれぞれ押さえた状態で心線を巻き付けることができ、補強材の外周での心線の並びを良好なものとすることができるものである。しかも巻済み心線押さえ部の半径を巻付け心線押さえ部の半径よりも大きく形成するようにしたので、巻付け心線押さえ部の外周と巻済み心線押さえ部の外周での周速度に差を付け、巻付け心線押さえ部で押さえながらこれから巻き付けようとする心線の送り速度と、巻済み心線押さえ部で押さえられている巻付け済み心線の送り速度が等しくなるようにすることができ、巻き付けようとする心線の速度が巻付け済み心線の速度より速いことによって生じる補強材のずれによるネジレを防止しながら、心線を補強材の外周に巻き付けることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示す一部の正面図である。
【図2】同上の一部の側面図である。
【図3】(a)は伝動ベルトの製造の工程の一例を示す側面断面図、(b)は伝動ベルトの一部を示す拡大した斜視図である。
【図4】従来例を示す一部の正面図である。
【図5】同上の一部の側面図である。
【図6】タクレの現象を示す一部の側面図である。
【符号の説明】
1 補強材
2 金型
3 タッチプーリ
4 心線
5 巻付け心線押さえ部
6 巻済み心線押さえ部
Claims (2)
- 補強材を外周に被せた伝動ベルト成形用の金型と、金型に被せた補強材の外周に接して回転自在で且つ金型の軸方向に沿って移動駆動されるタッチプーリとを備えて成り、金型に被せた補強材の外周に供給される心線をタッチプーリの外周面で押さえながら金型を回転駆動させることによって、心線を補強材の外周にスパイラル状に巻き付けるようにした伝動ベルト成形用心線巻付け装置において、タッチプーリに、補強材の外周に供給されて巻き付けられる心線を押さえる巻付け心線押さえ部と、補強材の外周に巻き付け済みの心線を押さえる巻済み心線押さえ部を形成すると共に、巻済み心線押さえ部の半径を巻付け心線押さえ部の半径よりも大きく形成して成ることを特徴とする伝動ベルト成形用心線巻付け装置。
- タッチプーリの巻付け心線押さえ部の半径をr1、巻済み心線押え部の半径をr3、補強材の厚みも含めた金型の半径をr2、心線の厚みをtとすると、巻済み心線押え部の半径r3と巻付け心線押さえ部の半径r1の差dを、
d=A×(0.5t(r1+r2)/r2)
(ただし、Aは0.1〜0.7の係数)
に設定することを特徴とする請求項1に記載の伝動ベルト成形用心線巻付け装置。
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