JP4488574B2 - 内燃機関のガスケットシール構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関のシリンダブロックとシリンダヘッドとの間に介装されるガスケットによるシール構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
シリンダブロックとシリンダヘッドとの間に介装されるガスケットは、シリンダボアを囲むようにしてビード部が形成されており、シリンダブロックとシリンダヘッドとをヘッドボルトにより締結すると、ビード部が圧縮されて燃焼室を強固にシールする。
【0003】
一般にアルミ合金等からなるシリンダブロック本体には高強度材からなるシリンダスリーブが圧入または鋳込まれてシリンダボアを構成しているので、シリンダブロック本体とシリンダスリーブの熱膨張係数の違いによるガスケットのシール性への影響を考慮した従来技術が、特開平11−182341号公報に開示されている。
【0004】
同公報に記載された例を図8に示す。
図8は内燃機関01のシール構造を示す断面図であり、シリンダブロック02とシリンダヘッド04の互いの合わせ面を対応させて示しており、両合わせ面間に3枚の薄板を重ね合わせたガスケット05が介装される。
【0005】
シリンダブロック02はアルミ合金製のシリンダブロック本体02aに高強度材のシリンダスリーブ03(アルミ合金製スリーブであってもシリンダブロック本体より各段に高強度である)が鋳込まれており、アルミ合金製のシリンダヘッド04がシリンダスリーブ03のシリンダボアに燃焼室を構成する凹部を対応させてガスケット05を挟んで重ねられ、両者がヘッドボルトにより強固に締結される。
【0006】
ガスケット05は、シリンダスリーブ03を囲むように同シリンダスリーブ03より大径の同心円のボアビード部05aと合わせ面周縁に沿う周縁ビード部05bが形成されている。
ボアビード部05aは断面が略三角形状をした所謂フルビードである。
そしてボアビード部05aをシリンダスリーブ03に渡ることなくシリンダブロック本体02aにのみ当接するように配設している。
【0007】
すなわち該内燃機関の熱間運転状態で熱膨張係数の違いからシリンダブロック本体02aの合わせ面とシリンダスリーブ03の合わせ面にシリンダ軸方向の段差が生じる可能性があるが、ガスケット05のボアビード部05aがシリンダブロック本体02aとシリンダスリーブ03の両方に渡っていないので、ボアビード部05aにせん断応力が作用してシール性を低下させるようなことはない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしボアビード部05aを挟圧するアルミ合金製のシリンダブロック本体02aの落ち込みによりボアビード部05aへの荷重分担率が低下してシール性を低下させるおそれがある。
【0009】
またシリンダ軸間のボアビード部が断面略三角形状をした1本ビードであると、図9に示すようにシリンダ軸間以外の両側のビード部b1,b1が、シリンダ軸間で合流して1本ビード部B2を形成する際に、両ビード部b1,b1の稜線が交わる合流部分b3,b3が鋭角な突起形状をなし構造上挟圧に対して耐クラック性が低下して割れ易い状態となる。
そこでシリンダ軸間を2本ビードとすると、耐クラック性が向上する代わりに、シリンダ軸間を短縮(狭軸化)して内燃機関の小型化を図ることはできない。
【0010】
さらに上記公報の例のようにガスケット05のボアビード部05aをシリンダブロック本体02aのみに当接するようにしたことにより、シールを確実にするために従来に対して大きなスペースを必要とし、近年のニーズである狭軸化による内燃機関の小型化は図れない。
【0011】
さらにまたボアビード部05aがシリンダブロック本体02aにのみ当接するようにガスケット05の端縁05cからいくらか距離をおいて位置するので、燃焼指圧によるウェッジアクション(楔効果)が大きく働き易く、シール性を低下させる。
【0012】
なお従来図10に示すようにガスケット010のシリンダボアに対応する開口端部に折り返しのようなストッパ011を介在させる例があり、該ストッパによりビード部の全屈を防止し、ウェッジアクションを小さくしようとするものである。
【0013】
しかしストッパの存在はシリンダ軸間を狭軸化するのに不利であり、ガスケットに対して偏荷重が働き耐久性を悪くする。
【0014】
本発明は、斯かる点に鑑みなされたもので、その目的とする処は、シリンダ軸間の狭軸化が図れガスケットにせん断応力が働かずウェッジアクションを最小限に抑え耐クラック性に優れた内燃機関のガスケットシール構造を供する点にある。
【0015】
【課題を解決するための手段及び作用効果】
上記目的を達成するために、本請求項1記載の発明は、シリンダボアを囲むように形成されたビード部を有するガスケットがシリンダブロックとシリンダヘッドとの間に介装された内燃機関において、シリンダボア周りの前記ビード部は全周に亘って断面が、平らな環状の底辺と同環状の底辺の環状内側に屈曲して連なる内側傾斜辺および前記環状の底辺の環状外側に屈曲して連なる外側傾斜辺と、前記内側傾斜辺に屈曲して連なる前記底辺に平行な内側の裾部および前記外側傾斜辺に屈曲して連なる前記底辺に平行な外側の裾部と、を形成することで台形状をなし、シリンダ軸間の前記ビード部は、前記シリンダボア周りの台形状のビード部が合流し、両底辺は互いに合流して単一の底辺となり、両外側傾斜辺と両外側の裾部はシリンダ軸間に存在せず、両内側傾斜辺は独立して前記シリンダボアを囲むように形成されることで、断面が平らな底辺を有する台形状の1本のビード部が形成され、前記ガスケットは、3枚の薄板が上下に重ね合わされてなり、下層の薄板は台形の前記ビード部が上方に膨出し、中層の薄板は台形の前記ビード部が下方に膨出し、上層の薄板は台形の前記ビード部が上方に膨出し、前記下層の薄板と前記中層の薄板は互いの底辺が当接して重なり、前記中層の薄板と前記上層の薄板は互いの裾部が当接して重なることで、3枚の前記薄板の各ビード部が上下位置に重なる内燃機関のガスケットシール構造とした。
【0016】
シリンダ軸間において断面台形状のビード部が両側から合流して断面が台形状の1本のビード部を形成するので、シリンダ軸間以外もハーフビードの組み合わせであるため耐クラック性が向上し、さらに両側ビード部が交わる合流部で鋭角な突起形状が形成されず、耐クラック性が格段に向上している。
【0017】
またビード部の断面形状が、ハーフビード形状の組合せに相当する台形状をしているので、ビード部の形状自体が挟圧に対して耐クラック性に優れている。
さらにシリンダ軸間で1本ビード構成であるので、シリンダ軸間の狭軸化が可能で内燃機関の小型化が図られる。
【0018】
請求項2記載の発明は、軽金属材料からなるシリンダブロック本体のシリンダボア側に高強度部が形成されたシリンダブロックと軽金属材料からなるシリンダヘッドとの間に、前記高強度部のシリンダボアを囲むように形成されたビード部を有するガスケットが介装され、シリンダ軸間部の前記ビード部が前記シリンダブロック本体の合わせ面を跨いで前記高強度部のみに当接するように配設された請求項1記載の内燃機関のガスケットシール構造である。
【0019】
荷重をかけた際にビード部の最も面圧が高くなるシール部が熱膨張係数の等しい高強度部のみにあるので、高強度部の落ち込みはなく、またシール部に段差が生じずせん断応力が作用してシール性を低下させることはなく、さらにシール部が前記シリンダボア側の高強度部にかかるガスケット端部にあるので、燃焼指圧によるウェッジアクションが最小となり、高いシール性を確保することができる。
【0020】
シリンダ軸間部のビード部がシリンダブロック本体の合わせ面を跨いで高強度部のみに当接するので、シリンダブロック本体の合わせ面を狭くしてシリンダ軸間の狭軸化を可能とし、内燃機関の小型化を達成できる。
【0022】
断面台形状をしたビード部は、ハーフビード形状の組合せに相当し、ハーフビードの特性であるクラック割れなどの防止が図られガスケットの耐久性が向上する。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下本発明に係る一実施の形態について図1ないし図7に図示し説明する。
本実施の形態に係るガスケット1は、ステンレス鋼製の3枚の薄板2,3,4を重ね合わせた構造のものである。
【0024】
図1に示すようにガスケット1は、アルミ合金製シリンダブロック20とアルミ合金製シリンダヘッド30との間に介装され、鋼製ボルトにより挟圧される。
該内燃機関は直列4気筒エンジンであり、シリンダブロック20のアルミ合金製シリンダブロック本体20aに鋳鉄製のシリンダスリーブ21が4本鋳込まれて4つのシリンダボア21aが並んで形成されている。
【0025】
4本のシリンダスリーブ21の周りには、ウォータジャケット20bが形成されている。
シリンダ軸間は狭軸であり、相隣るシリンダスリーブ21,21間の間隔は狭く、シリンダ軸間にはウォータジャケットは形成されていない。
【0026】
ガスケット1を上面から見ると、図2に示すようにシリンダスリーブ21の内径に等しい直径のシリンダ開口1aが4つ並んで形成されており、各シリンダ開口1aの周囲をビード部1bが囲うように形成され、ビード部1bの外周に沿って冷却水開口1cが穿設されている。
その他ガスケット1には、ボルト挿入開口1dやオイル戻し開口1e等が形成されている。
【0027】
各シリンダ開口1aの周囲を囲うビード部1bは、断面が台形状をしており、図3に示すようにシリンダ軸間において、シリンダ軸間以外のビード部B1,B1が両側から合流して1本のビード部B2を形成している。
【0028】
両側の断面台形状のビード部B1,B1の平らな底辺が交わる合流部B3,B3に、鋭角な突起形状を形成せずに両側の底辺が1つの底辺となってそのままシリンダ軸間で1本の断面が台形状のビード部B2が形成されている(図4参照)。
したがってシリンダ軸間のビード部B1,B1が合流するビード部B2の挟圧に対する耐クラック性に優れている。
【0029】
シリンダ軸間のガスケットシール構造を図4及び図5に示す。
シリンダ軸間ではガスケット1に台形のビード部1b(B2)が1本形成されている。
すなわち下層の薄板2は台形のビード部2bが上方に膨出し、中層の薄板3は台形のビード部3bが下方に膨出し、上層の薄板3は台形のビード部3bが上方に膨出し、以上の3枚の薄板2,3,4を重ね合わせ、シリンダブロック20とシリンダヘッド30間に介装する。
【0030】
図5に拡大して模式的に示すようにシリンダ軸間では相隣るシリンダスリーブ21,21間にシリンダブロック本体20aが挟まれて存在し、シリンダスリーブ21,21とシリンダブロック本体20aの合わせ面が同一面を形成している。
【0031】
一方ガスケット1の下層の薄板2は中央に上に膨出した台形のビード部2bが形成されていて、シリンダブロック本体20aを跨いで両側の裾部2c,2cがシリンダスリーブ21,21の合わせ面にのみ当接している。
【0032】
こうして3層の薄板2,3,4からなるガスケット1が、シリンダブロック20とシリンダヘッド30に挟圧されると、下層の薄板2においてはビード部2bの左右の屈曲部2d,2dが最も面圧が高くなるシール部となる。
このシール部となる屈曲部2d,2d及び裾部2c,2cは、シリンダスリーブ21,21の合わせ面にのみ当接する。
【0033】
シリンダブロック20のアルミ合金のシリンダブロック本体20aと鋳鉄製のシリンダスリーブ21は、その熱膨張係数の違いから熱間運転状態でシリンダブロック本体20aとシリンダスリーブ21の合わせ面に段差を生じることがある。
【0034】
なおシリンダブロックがスリーブレスの場合でも、シリンダボア側部分は他に比べ高強度に構成されており、ガスケットを挟圧する圧力変化による周期的な荷重がシリンダブロックに同じように掛かっていても強度の違いにより、段差が生じることがある。
【0035】
しかし段差を生じたとしても、前記したようにガスケット1のシール部となる屈曲部2d,2d及び裾部2c,2cは、シリンダスリーブ21,21の合わせ面にのみ当接するので、シール部に段差によるせん断応力が作用することはなく、シール性が低下するようなことはない。
【0036】
また最も面圧の高くなるシール部である屈曲部2d,2dが、シリンダスリーブ21上でガスケット1の薄板2の左右端部の裾部2c,2cの根元にあるので、燃焼指圧によるウェッジアクション(楔効果)すなわち薄板2の端部をめくり上げるような作用効果が最も小さくなり、高いシール性が確保される。
【0037】
ガスケット1は、シリンダブロック本体20aを跨いで両側のシリンダスリーブ21,21間に架設される1本ビード構造であるので、中央のシリンダブロック本体20aを狭くすることができ、シリンダ軸間の狭軸化を可能として内燃機関の小型化を実現できる。
【0038】
そしてシリンダ軸間でない部分のガスケットシール構造は、図6及び図7に示すようにガスケット1は、シリンダボア21aの周りにビード部1b(B1)が形成され、端部にハーフビード部1fが形成されている。
ウォータジャケット20bに対応する部分は冷却水開口1cがある部分を除きガスケット1により塞がれる。
【0039】
ガスケット1は、ビード部1bが台形状をしているので、ハーフビードの組合せに相当し、三角形状のビードに比べてシリンダ軸方向の変形が容易で、クラック割れ等の防止が図られ耐久性が向上している。
【0040】
本ガスケット1は、端部にストッパを有しないストッパレスであり、シリンダ軸間の狭軸化を促進することができるとともに、ストッパのガスケット1の薄板2,3,4に対する偏荷重がないので、耐久性が一層向上する。
【0041】
またシリンダ軸間でガスケット1が1本ビードでストッパレスとすることで、偏荷重を抑制してボア変形、バルブシートの歪み、クランクジャーナルやカムジャーナルの変形等を防止することができる。
【0042】
以上の実施の形態ではシリンダブロック20は、シリンダブロック本体20aに鋳鉄製シリンダスリーブ21を鋳込んだものであったが、アルミ合金製のシリンダスリーブを圧入したもの、あるいはスリーブレスであっても、シリンダボア側部分は特に高強度に構成されるものであり、本発明に適用可能であって、前記同様の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係るシリンダブロック、ガスケット、シリンダヘッドの分解斜視図である。
【図2】ガスケットの平面図である。
【図3】同ガスケットのシリンダ軸間部の拡大図である。
【図4】シリンダ軸間のガスケットの構造を示す部分図である。
【図5】シリンダ軸間の要部断面を模式的に示す図である。
【図6】シリンダ軸間以外のガスケット及びシリンダブロックの構造を示す部分図である。
【図7】シリンダ軸間以外の要部断面を模式的に示す図である。
【図8】従来のガスケットシール構造を示す要部断面図である。
【図9】従来のガスケットのシリンダ軸間を示す平面図である。
【図10】ストッパを備えたガスケットの例を断面で示す図である。
【符号の説明】
1…ガスケット、2,3,4…薄板、
20…シリンダブロック、21…シリンダスリーブ、30…シリンダヘッド。

Claims (2)

  1. シリンダボアを囲むように形成されたビード部を有するガスケットがシリンダブロックとシリンダヘッドとの間に介装された内燃機関において、
    シリンダボア周りの前記ビード部は全周に亘って断面が、平らな環状の底辺と同環状の底辺の環状内側に屈曲して連なる内側傾斜辺および前記環状の底辺の環状外側に屈曲して連なる外側傾斜辺と、前記内側傾斜辺に屈曲して連なる前記底辺に平行な内側の裾部および前記外側傾斜辺に屈曲して連なる前記底辺に平行な外側の裾部と、を形成することで台形状をなし、
    シリンダ軸間の前記ビード部は、
    前記シリンダボア周りの台形状のビード部が合流し、
    両底辺は互いに合流して単一の底辺となり、
    両外側傾斜辺と両外側の裾部はシリンダ軸間に存在せず、
    両内側傾斜辺は独立して前記シリンダボアを囲むように形成されることで、
    断面が平らな底辺を有する台形状の1本のビード部が形成され、
    前記ガスケットは、
    3枚の薄板が上下に重ね合わされてなり、
    下層の薄板は台形の前記ビード部が上方に膨出し、中層の薄板は台形の前記ビード部が下方に膨出し、上層の薄板は台形の前記ビード部が上方に膨出し、
    前記下層の薄板と前記中層の薄板は互いの底辺が当接して重なり、前記中層の薄板と前記上層の薄板は互いの裾部が当接して重なることで、
    3枚の前記薄板の各ビード部が上下位置に重なることを特徴とする内燃機関のガスケットシール構造。
  2. 軽金属材料からなるシリンダブロック本体のシリンダボア側に高強度部が形成されたシリンダブロックと軽金属材料からなるシリンダヘッドとの間に、前記高強度部のシリンダボアを囲むように形成されたビード部を有するガスケットが介装され、
    シリンダ軸間部の前記ビード部が前記シリンダブロック本体の合わせ面を跨いで前記高強度部のみに当接するように配設されたことを特徴とする請求項1記載の内燃機関のガスケットシール構造。
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