JP4662420B2 - アミノ酸とイミノジカルボン酸を分離回収する製造方法 - Google Patents
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Description
さらに詳しくはアミノ酸であるグリシンの製造法に関し、ストレッカー法で合成したグリシンの製造工程でグリシンソーダ水溶液を弱酸性陽イオン交換樹脂で処理した後、グリシン及びイミノジ酢酸を含む水溶液をさらに弱塩基性陰イオン交換樹脂で処理することにより、有用なグリシンの回収損失が極めて少なく、グリシンとイミノジ酢酸をそれぞれ高純度で簡便に分離・精製して工業的に製造することが出来る製造方法に関する。グリシンはアミノ酸の一種であり、医農薬合成原料、食品添加物、洗浄剤原料として広く使用されている有用な化合物である。
また金属表面処理剤、キレート試薬、医農薬合成原料の用途に有用であるイミノジ酢酸の製造方法に関する。
具体的にグリシンとイミノジ酢酸を分離回収するにあたって、硫酸ナトリウムや塩化ナトリウムなどの無機塩は、グリシンと溶解度が酷似しているため1段の晶析では十分回収できない。そのためpHの調整を煩雑に行って無機塩の一部を晶析、イミノジ酢酸の一部を晶析、グリシンの晶析と一連の煩雑な操作を行う方法(例えば、特許文献5、特許文献6、特許文献7参照)、高温で硫酸ナトリウムの一部を晶析し、次に低温でグリシンを晶析する操作を複数回繰り返す方法(例えば、特許文献8参照)があり、いずれも操作が煩雑で生産性の低いものであった。
またイオン交換膜電気透析法を利用した方法では、高純度なグリシン液は得られるが、排出液にグリシンが透過してしまい、イミノジ酢酸の多価イオンだけを選択的に透過させる膜が開発されていないため工業的には利用できない。(例えば、特許文献10参照)
またH型の強酸性陽イオン交換樹脂にアミノ酸を吸着させその後分離させる方法(例えば、特許文献11参照)があるが、実験室的には行われるものの大量のアミノ酸を吸着させるには大量のイオン交換樹脂を必要としてしまう。塩型の強酸性陽イオン交換樹脂を用いてクロマト分離する方法(例えば、特許文献12参照)があるが、工業的規模における大量の被処理液を連続的に処理するのは困難であり、相当数のイオン交換処理塔を必要としてしまう。
また、陽イオン交換樹脂を用いてグリシンソーダ水溶液のナトリウムイオンを陽イオン交換(脱塩)し、着色物質を含んだ粗グリシン水溶液を得た後に弱塩基性陰イオン交換樹脂もしくは中塩基性イオン交換樹脂で処理する方法(例えば、特許文献13参照)が記載されている。
得られるグリシンの純度(不純物の残存量)に関する記載は無いが、イオン交換樹脂へのグリシンの吸着損失が約0.2から1.5%の範囲で記載されている。得られるグリシンの純度は陰イオン交換の際、所定の有機酸(イミノジ酢酸、グリコール酸、ギ酸)の含有濃度、即ち有機酸が所定量漏洩する破過点に達したら通液を停止することで保たれる。この場合、有機酸吸着による破過点は陰イオン交換樹脂の飽和吸着点ではないので、陰イオン交換樹脂先端には有機酸が飽和吸着していないため未交換のイオン交換帯が存在し、このイオン交換帯には、OH型陰イオンの他にグリシンの陰イオンがイオン交換して陰イオン交換樹脂に吸着している。
このように従来の陰イオン交換法では多大の有用なグリシンとイミノジ酢酸を損失し、廃棄物により環境負荷が増加し、工業的に実施するうえで満足できるものではなかった。
本発明は、アミノ酸とイミノジカルボン酸を含む水溶液から有用なアミノ酸とイミノジカルボン酸をそれぞれ高純度かつ高収率で簡便に分離・精製して工業的に製造することが出来る製造方法を提供することを目的とするものである。
1)イミノジカルボン酸を含む粗アミノ酸水溶液からアミノ酸とイミノジカルボン酸をそれぞれ分離回収する一連のプロセスが、a)イミノジカルボン酸を含む粗アミノ酸水溶液を弱塩基性陰イオン交換樹脂と接触処理させて副生成物であるイミノジカルボン酸をイオン交換しアミノ酸水溶液を製造するイオン交換工程、b)弱塩基性陰イオン交換樹脂の破過後にさらに継続してイミノジカルボン酸を含む粗アミノ酸水溶液を弱塩基性陰イオン交換樹脂に接触処理させて弱塩基性陰イオン交換樹脂に捕捉されたアミノ酸とイミノジカルボン酸をイオン交換してアミノ酸を回収する工程、c)弱塩基性陰イオン交換樹脂に残存するアミノ酸含有水溶液を水で押し出し洗浄する工程、d)弱塩基性陰イオン交換樹脂に基部から水を流し逆洗浄する工程、e)アルカリ金属水酸化物の水溶液を弱塩基性陰イオン交換樹脂に接触処理させて弱塩基性陰イオン交換樹脂に捕捉されたイミノジカルボン酸をクロマト分離することによりイミノジカルボン酸のアルカリ金属塩水溶液を製造すると同時に弱塩基性陰イオン交換樹脂を再生する工程、f)弱塩基性陰イオン交換樹脂に残存するイミノジカルボン酸のアルカリ金属塩含有水溶液を水で押し出し洗浄する工程からなり、イミノジカルボン酸を含む粗アミノ酸水溶液がストレッカー法で合成されたアミノ酸を含む水溶液であることを特徴とするアミノ酸とイミノジカルボン酸を分離回収する製造方法。
3)イミノジカルボン酸が、イミノジ酢酸、イミノジプロピオン酸、イミノジ−4−メチルチオ酪酸である事を特徴とする1)または2)に記載の方法。
4)アミノ酸とイミノジカルボン酸の組合せがグリシンとイミノジ酢酸であり、粗アミノ酸水溶液が副生成物としてイミノジ酢酸、グリコール酸、ギ酸を含む粗グリシン水溶液である事を特徴とする1)ないし3)のいずれかに記載の方法。
5)アルカリ金属水酸化物のアルカリ金属がナトリウムである事を特徴とする1)に記載の方法。
7)一連のプロセスを1塔または多塔の弱塩基性陰イオン交換樹脂で充填されたカラムを其々独立して一連のプロセスを実施することを特徴とする1)〜6)のいずれかに記載の方法。
本発明で分離製造の対象となるアミノ酸は、アミノ基を有する弱塩基性陰イオン交換樹脂とアミノ酸ならびに副生成物とするイミノジカルボン酸の間に相対的な親和性、アミノ酸並びにイミノジカルボン酸のカルボキシル基との吸着能力および置換の際の遊離能力がそれぞれ異なる化合物である。このようなアミノ酸としては、例えば、グリシン、アラニン、メチオニン、セリン、バリン、ロイシン、イソロイシン、トレオニン、システイン、シスチン、フェニルアラニン、グルタミン酸、アスパラギン酸等が挙げられる。イミノジカルボン酸としては、イミノジ酢酸、イミノジプロピオン酸、イミノジ−4−メチルチオ酪酸などが挙げられる。
好ましくは、グリシン、アラニン、メチオニンである。特に好ましくは、グリシンとその副生成物であるイミノジ酢酸、グリコール酸、ギ酸から構成された粗グリシン水溶液が挙げられる。
好ましくは、2級のアミノ基からなる官能基を有し、樹脂母体がスチレン系の弱塩基性陰イオン交換樹脂である。中でもアンバーライトIRA−96SBを用いると、驚くべきことにグリシンの回収効率が最も優れている。
樹脂の処理温度は、一般には常温以上、好ましくは20〜90℃の範囲内で行われる。
樹脂処理の時間は、被処理液の濃度、イオン交換塔のサイズで異なるが、バッチ式の場合、通常1〜6hrの範囲、好ましくは1〜4hrの範囲である。連続式で処理する場合、樹脂塔への通液速度は液空間速度(L/L−樹脂/Hr)で1〜20の範囲、好ましくは5〜15の範囲である。
次に、実施例および参考例によって本発明を説明する。
バッチ式プロセスによる通液
一般的に公知なアミノ酸合成法であるストレッカー法で得られる粗グリシン水溶液(副生成物としてイミノジ酢酸、グリコール酸、ギ酸を含む)に相当する模擬液を試薬から調整した。グリシン濃度を11.1重量%、その他の副生成物はそれぞれイミノジ酢酸が1.26重量%、グリコール酸が658重量ppm、ギ酸が321重量ppm、ナトリウムイオン量が21重量ppmとした。この調整した粗グリシン水溶液730g(pH=3.6)を弱塩基性陰イオン交換樹脂アンバーライトIRA96SB(商品名オルガノ(株))(OH型)100mlを充填した樹脂塔にダウンフローで通液し、グリシン水溶液を得た。操作温度は40℃、通液の液空間速度は4.6(L/L/Hr)で行った。有機酸であるイミノジ酢酸のイオン交換の状況は処理出口液の電導度及びpH測定結果からリアルタイムでモニタリングし、最終的にはOPA分析より決定した。該水溶液650ml流した時点でpH=6.3を観測し、該弱塩基性陰イオン交換樹脂の過破過を確認したが、そのまま該水溶液を流し続け、最終的に700mlを流した時点で該操作を終了した。(実験後のOPA分析より、520ml流した時点からイミノジ酢酸の漏出は始まっていたことが判明し、結局粗グリシン水溶液での過破過通液を180mlで行ったことになる。)
副生成物としてイミノジ酢酸、グリコール酸、ギ酸を含む粗グリシン水溶液による過破過通液非実施条件
粗グリシン水溶液による過破過通液効果を明確にするため、粗グリシン水溶液通液量を460mlで止めて、次の過破過通液を行わず、その他は実施例1と同一条件にて、水による残グリシン水溶液の押し出し操作、水による逆洗浄操作、1N−水酸化ナトリウム水溶液によるクロマト分離/再生操作を順次行った。分析の結果、得られたグリシン水溶液中のイミノジ酢酸のイオン量は177重量ppm/グリシン基、ギ酸、グリコール酸は未検出であった。しかし得られたイミノジ酢酸ソーダ水溶液81ml中のイミノジ酢酸は5.6重量%、グリシン濃度は3540重量ppmとグリシンの混入が多く見られた。グリシンの回収損失は、0.39%であった。
Claims (7)
- イミノジカルボン酸を含む粗アミノ酸水溶液からアミノ酸とイミノジカルボン酸をそれぞれ分離回収する一連のプロセスが、a)イミノジカルボン酸を含む粗アミノ酸水溶液を弱塩基性陰イオン交換樹脂と接触処理させて副生成物であるイミノジカルボン酸をイオン交換しアミノ酸水溶液を製造するイオン交換工程、b)弱塩基性陰イオン交換樹脂の破過後にさらに継続してイミノジカルボン酸を含む粗アミノ酸水溶液を弱塩基性陰イオン交換樹脂に接触処理させて弱塩基性陰イオン交換樹脂に捕捉されたアミノ酸とイミノジカルボン酸をイオン交換してアミノ酸を回収する工程、c)弱塩基性陰イオン交換樹脂に残存するアミノ酸含有水溶液を水で押し出し洗浄する工程、d)弱塩基性陰イオン交換樹脂に基部から水を流し逆洗浄する工程、e)アルカリ金属水酸化物の水溶液を弱塩基性陰イオン交換樹脂に接触処理させて弱塩基性陰イオン交換樹脂に捕捉されたイミノジカルボン酸をクロマト分離することによりイミノジカルボン酸のアルカリ金属塩水溶液を製造すると同時に弱塩基性陰イオン交換樹脂を再生する工程、f)弱塩基性陰イオン交換樹脂に残存するイミノジカルボン酸のアルカリ金属塩含有水溶液を水で押し出し洗浄する工程からなり、イミノジカルボン酸を含む粗アミノ酸水溶液がストレッカー法で合成されたアミノ酸を含む水溶液であることを特徴とするアミノ酸とイミノジカルボン酸を分離回収する製造方法。
- アミノ酸がグリシン、アラニン、メチオニンであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
- イミノジカルボン酸が、イミノジ酢酸、イミノジプロピオン酸、イミノジ−4−メチルチオ酪酸である事を特徴とする請求項1または請求項2に記載の方法。
- アミノ酸とイミノジカルボン酸の組合せがグリシンとイミノジ酢酸であり、粗アミノ酸水溶液が副生成物としてイミノジ酢酸、グリコール酸、ギ酸を含む粗グリシン水溶液である事を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
- アルカリ金属水酸化物のアルカリ金属がナトリウムである事を特徴とする請求項1に記載の方法。
- 副生成物としてイミノジ酢酸、グリコール酸、ギ酸を含む粗グリシン水溶液からグリシンとイミノジ酢酸をそれぞれ分離回収する一連のプロセスが、a)副生成物としてイミノジ酢酸、グリコール酸、ギ酸を含む粗グリシン水溶液を弱塩基性陰イオン交換樹脂と接触処理させて副生成物であるイミノジ酢酸、グリコール酸、ギ酸をイオン交換しグリシン水溶液を製造するイオン交換工程、b)弱塩基性陰イオン交換樹脂の破過後にさらに継続してイミノジ酢酸、グリコール酸、ギ酸を含む粗グリシン水溶液を弱塩基性陰イオン交換樹脂に接触処理させて弱塩基性陰イオン交換樹脂に捕捉されたグリシンと副生成物であるイミノジ酢酸、グリコール酸、ギ酸をイオン交換してグリシンを回収する工程、c)弱塩基性陰イオン交換樹脂に残存するグリシン含有水溶液を水で押し出し洗浄する工程、d)弱塩基性陰イオン交換樹脂に基部から水を流し逆洗浄する工程、e)アルカリ金属水酸化物の水溶液を弱塩基性陰イオン交換樹脂に接触処理させて弱塩基性陰イオン交換樹脂に捕捉されたイミノジ酢酸、グリコール酸、ギ酸とイオン交換してイミノジ酢酸をクロマト分離することによりイミノジ酢酸のアルカリ金属塩水溶液を製造すると同時に弱塩基性陰イオン交換樹脂を再生する工程、f)弱塩基性陰イオン交換樹脂に残存するイミノジ酢酸、グリコール酸、ギ酸のアルカリ金属塩水溶液を水で押し出し洗浄する工程からなる一連のプロセスであるグリシンとイミノジ酢酸を分離回収する製造方法を特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
- 一連のプロセスを1塔または多塔の弱塩基性陰イオン交換樹脂で充填されたカラムを其々独立して一連のプロセスを実施することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
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