JP4846105B2 - セメント組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主に、土木・建築業界で使用されるセメント組成物に関する。
なお、本発明で使用する(部)や(%)は特に規定のないかぎり質量基準である。
【0002】
【従来の技術とその課題】
最近では、環境問題が顕在化しており、各業界で環境負荷の低減が求められている。
全産業から排出される二酸化炭素量に対する土木・建設業界の占める割合が極めて大きいことから、特に、土木・建設業界では、環境負荷の低減が切望されている。
【0003】
セメント産業から排出される二酸化炭素はそのほとんどが原料の石灰石の焼成や、その際に使用する燃料の燃焼に由来している。
したがって、二酸化炭素排出量を軽減するためには、セメントクリンカの焼成量を低減することが最も有効な方法であり、セメント使用量を低減した石灰石混合セメントの利用を推進することは極めて重要である。
しかしながら、石灰石は強度発現性の面からは不活性の無機粉末と見なすことができ、多量に混和した場合には強度発現性が悪くなるという課題があった。
【0004】
初期強度は脱型サイクルと深く関連するので工期を短縮する上でも重要であり、今日では、初期強度発現性が良好で、特に石灰石を35%を超えて使用しても普通ポルトランドセメントと同等の強度発現性が得られるセメント組成物の開発が待たれているのが実状である。
【0005】
そこで、本発明者は前記の課題を解決すべく、種々努力を重ねた結果、3CaO・Al2O3含有量が60%以上のポルトランドセメントと石灰石粉末を含有してなるセメント組成物を使用することにより、初期強度発現性が良好となり、特に、石灰石を35%を超えて使用しても、そのセメント組成物が、普通ポルトランドセメントと同等の強度発現性が得られることを知見し本発明を完成するに至った。
【0006】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、ブレーン比表面積で3,800cm2/g以上の3CaO・SiO2含有量が60%以上のポルトランドセメントとブレーン比表面積で3,000〜9,000cm2/gの石灰石粉末と粉砕助剤のアルカノールアミン類とを含有してなり、石灰石粉末のセメント組成物100質量部中の配合量が10〜30質量部である、普通ポルトランドセメントと同等の初期強度発現性を有することを特徴とする環境負荷低減型のセメント組成物であり、さらに、粉砕助剤、特に、アルカノールアミン類を配合してなる該セメント組成物であり、粉末度が、ブレーン比表面積値で、(α+1.8β)×3,800(ただし、αはセメント組成物を1.0としたときの3CaO・SiO2含有量が60%以上のポルトランドセメントの配合割合で、βはセメント組成物を1.0としたときの石灰石粉末の配合割合)以上である該セメント組成物である。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
【0008】
本発明で使用する3CaO・SiO2(以下、C3Sという)含有量が60%以上のポルトランドセメント(以下、セメント物質という)とは、C3S含有量が60%以上であればよく、3CaO・Al2O3、4CaO・Al2O3・Fe2O3、2CaO・SiO2、及びセッコウなどの含有量には特に限定定されるものではない。C3S含有量が60%未満では、普通ポルトランドセメント並の初期強度発現性を得るという本発明の効果が得られない場合がある。
通常、ポルトランドセメントは、CaOをC、SiO2をS、Al2O3をA、及びFe2O3をFで表すと、C2S、C3S、C3A、及びC4AFを主体とするクリンカとセッコウから構成されている。
セメント物質としては、市販の早強セメントや超早強セメントなどが使用可能である。
セメント物質の粒度は特に限定されるものではないが、通常、ブレーン比表面積値(以下、ブレーン値という)で3,800cm2/g以上が好ましく、4,000cm2/g以上がより好ましい。3,800cm2/g未満では、本発明の効果、即ち、優れた凝結性状や初期強度発現性が得られない場合がある。
【0009】
本発明で使用する石灰石粉末(以下、石灰粉という)とは、天然に産出する炭酸カルシウムを総称するものであり、その産地や純度は特に限定されるものではないが、その成分としては、CaO、CO2の他に、SiO2、Al2O3、Fe2O3、MgO、及びTiO2などが挙げられる。
石灰粉の粒度は特に限定されるものではないが、通常、ブレーン値で3,000〜9,000cm2/gが好ましく、4,000〜6,000cm2/gがより好ましい。3,000cm2/g未満では長期の強度発現性が悪くなる場合があり、9,000cm2/gを超えると作業性が悪くなる場合がある。
また、石灰粉を調製する場合、セメント物質のクリンカを粉砕する際に同時粉砕しても良いし、別々に粉砕しても差し支えない。
石灰粉の配合量は特に限定されるものではないが、通常、セメント物質と石灰粉とからなるセメント組成物100部中、10〜50部が好ましく、30〜40部がより好ましい。10部未満では環境負荷低減の面から充分でなく、50部を超えて使用すると、強度発現性が悪くなる場合がある。
【0010】
本発明では、セメント物質と石灰粉に粉砕助剤を併用することが粉砕効率の向上の面から、また、本発明のセメント組成物を用いたセメントコンクリートの28日強度が増進することから好ましい。
粉砕助剤としては、アルカノールアミン類が使用可能である。
【0011】
ここで、アルカノールアミン類とは、特に限定されるものではないが、その具体例としては、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、及びN,N-ビス-(2-ヒドロキシエチル)-N-(2-ヒドロキシプロピル)-アミンやトリス-(2-ヒドロキシブチル)-アミンなどの水酸基とアミノ基を有する高級トリアルカノールアミン、水酸基以外のイオン性の官能基を有するアルカノールアミンなどが挙げられる。
水酸基以外のイオン性の官能基を有するアルカノールアミンの具体例としては、1-(ビス-2-ヒドロキシプロピルアミノ)-2-プロピルマレイン酸エステル、1-(ビスヒドロキシエチル)アミノ-2-ヒドロキシ−プロピルスルホン酸、1-(ビス-2-ヒドロキシプロピル)アミノプロピオン酸ナトリウム、及び1-(ビスヒドロキシエチル)アミノプロピオン酸ナトリウムなどが挙げられる。
本発明では、これらのアルカノールアミンやそのナトリウム塩のほかに、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、及びアンモニウム塩等も使用可能である。
アルカノールアミン類の使用量は特に限定されるものではないが、通常、セメント物質と石灰粉の合計100部に対して、0.01〜1部が好ましく、0.05〜0.5部がより好ましい。0.01部未満では粉砕効率や強度増進効果が充分でない場合があり、1部を超えて使用することは経済性の面から好ましくない。
【0012】
本発明のセメント組成物はセメント物質と石灰粉を含有するもので、その粒度は、使用する目的や用途に依存するため特に限定されるものではないが、通常、ブレーン値で3,000〜8,000cm2/gが好ましく、4,000〜6,000cm2/gがより好ましい。3,000cm2/g未満では強度発現性が充分に得られない場合があり、8,000cm2/gを超えると作業性が悪くなる場合がある。
【0013】
本発明のセメント組成物はそれぞれの材料を施工時に混合してもよいし、あらかじめ混合しておいても差し支えない。
【0014】
なお、セメント物質と石灰粉を混合粉砕して本発明のセメント組成物を製造する場合、セメント組成物の粉末度は、(α+1.8β)×3,800(ただし、αはセメント組成物を1.0としたときのセメント物質の配合割合で、βはセメント組成物を1.0としたときの石灰粉の配合割合)以上であることが好ましい。
例えば、セメント物質の配合量が80%(セメント組成物を1.0としたとき0.8)で、石灰粉の配合量が20%(セメント組成物を1.0としたとき0.2)の場合、セメント組成物のブレーン値は、4,408cm2/g以上が好ましい。
【0015】
本発明では、セメント組成物の他に、砂や砂利等の骨材、補強繊維材、減水剤、高性能減水剤、高性能AE減水剤、収縮低減剤、増粘剤、セメント膨張材、防錆剤、防凍剤、ベントナイトやモンモリロナイトなどの粘土鉱物、ゼオライト、ハイドロタルサイト、及びハイドロカルマイトなどのイオン交換体、フライアッシュ、高炉スラグ微粉末、並びに、シリカフュームなどを本発明の目的を実質的に阻害しない範囲で併用することが可能である。
【0016】
【実施例】
以下、実験例により本発明を詳細に説明する。
【0017】
実験例1
表1に示すセメント物質と石灰粉とからなるセメント組成物100部に対して、水50部と砂300部を混合してモルタルを調製して圧縮強度を測定した。結果を表1に併記する。
【0018】
<使用材料>
セメント物質A:普通ポルトランドセメント、C3S含有量55%、ブレーン値3,200cm2/g
セメント物質B:早強ポルトランドセメント、C3S含有量65%、ブレーン値4,400cm2/g
セメント物質C:セメント物質A50部とセメント物質B50部の混合物、C3S含有量60%、ブレーン値3,800cm2/g
石灰粉 :青海鉱山産、ブレーン値4,000cm2/g、比重2.70
砂 :JIS標準砂、ISO 679準拠
水 :水道水
【0019】
<測定方法>
圧縮強度 :JIS R 5201に準じて測定
【0020】
【表1】
Figure 0004846105
【0021】
実験例2
表2に示すセメント物質Bと石灰粉を使用したこと以外は実験例1と同様に行った。結果を表2に併記する。
【0022】
【表2】
Figure 0004846105
【0023】
実験例3
セメント物質Bのクリンカー100部に対して5部の二水セッコウを置換混合し、表3に示す石灰粉を使用し、ジエチレングリコールをセメント組成物100部に対して、0.05部使用したこと以外は実験例1と同様に行った。結果を表3に併記する。
【0024】
<使用材料>
ジエチレングリコール:市販品
【0025】
【表3】
Figure 0004846105
【0026】
実験例4
表4に示すアルカノールアミン類を使用したこと以外は実験例3と同様に行った。結果を表4に併記する。
【0027】
<使用材料>
アルカノールアミン類イ:トリイソプロパノールアミン、市販品
アルカノールアミン類ロ:1-(ビス-2-ヒドロキシプロピルアミノ)-2-プロピルマレイン酸エステル、市販品
【0028】
【表4】
Figure 0004846105
【0029】
【発明の効果】
本発明のセメント組成物を使用することによって、普通ポルトランドセメントと同等の初期強度発現性を有する石灰石混合セメントとすることができ、クリンカ焼成量を低減できるので、環境負荷低減型のセメント組成物とすることができるなどの効果を奏する。

Claims (2)

  1. ブレーン比表面積で3,800cm2/g以上の3CaO・SiO2含有量が60%以上のポルトランドセメントとブレーン比表面積で3,000〜9,000cm2/gの石灰石粉末と粉砕助剤のアルカノールアミン類とを含有してなり、石灰石粉末のセメント組成物100質量部中の配合量が10〜30質量部である、普通ポルトランドセメントと同等の初期強度発現性を有することを特徴とする環境負荷低減型のセメント組成物。
  2. 粉末度が、ブレーン比表面積値で、(α+1.8β)×3,800(ただし、αはセメント組成物を1.0としたときの3CaO・SiO2含有量が60%以上のポルトランドセメントの配合割合で、βはセメント組成物を1.0としたときの石灰石粉末の配合割合)以上であることを特徴とする請求項1記載のセメント組成物。
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