≪第1の実施の形態≫
以下、図1乃至図12を参照して本発明による積層マスクおよび積層マスクの製造方法の第1の実施の形態について説明する。ここで図1乃至図12は本発明の第1の実施の形態を説明するための図である。なお、以下の実施の形態では、有機ELディスプレイ装置を製造する際に有機発光材料を所望のパターンでガラス基板上にパターニングするために用いられる蒸着用の積層マスクおよび積層マスクの製造方法を例にあげて説明する。ただし、このような適用に限定されることなく、種々の用途に用いられる積層マスクおよび積層マスクの製造方法に対し、本発明を適用することができる。
最初に、本実施の形態による積層マスクの製造方法により製造され得る積層マスクを含む積層マスク装置の一例について、主に図1乃至図6を参照して説明する。ここで、図1は、本実施の形態による積層マスクを含む積層マスク装置の一例を示す斜視図であり、図2は、図1に示す積層マスク装置の使用方法を説明するための図である。
図1に示すように、本実施の形態における積層マスク装置10は、矩形状の積層マスク20と、積層マスク20の周縁部に取り付けられたフレーム15と、を備えている。積層マスク20は、金属製シート21と、当該金属製シート21に積層された樹脂製シート24と、を備え、積層マスク20には、金属製シート21および樹脂製シート24を貫通する複数の貫通孔25が形成されている。この積層マスク装置10は、図2に示すように、積層マスク20がガラス基板42に対面するようにして、蒸着装置40内に支持される。そして、不図示の磁石によって、積層マスク20とガラス基板42とが密着するように付勢される。蒸着装置40内には、この積層マスク装置10を挟んだガラス基板42の下方に、蒸着材料(一例として、有機発光材料)48を収容するるつぼ44と、るつぼ44を加熱するヒータ46とが配置されている。るつぼ44内の蒸着材料48は、ヒータ46からの加熱により、気化または昇華してガラス基板42の表面に付着するようになる。上述したように、積層マスク20には多数の貫通孔25が形成されており、蒸着材料48はこの貫通孔25を介してガラス基板42に付着する。この結果、積層マスク20の貫通孔25の位置に対応した所望のパターンで、蒸着材料48がガラス基板42の表面に成膜される。
図3に、図1に示された積層マスク20の平面図を示す。図3に示すように、積層マスク20の金属製シート21の外輪郭211は、平面視において略四角形形状、さらに正確には平面視において略矩形状の輪郭を有している。同様に、樹脂製シート24の外輪郭241は、平面視において略四角形形状、さらに正確には平面視において略矩形状の輪郭を有している。そして、平面視において、金属製シート21の外輪郭211は、樹脂製シート24の外輪郭241よりも内側に位置している。言い換えると、平面視において、金属製シート21の外輪郭211は、樹脂製シート24の外輪郭241によって取り囲まれている。なお、平面視において、金属製シート21の外輪郭211の一部が樹脂製シート24の外輪郭241と点状乃至局所的に重なっているような場合でも、平面視において、金属製シート21の外輪郭211が樹脂製シート24の外輪郭241よりも内側に位置しているとみなすことができる。
このような形態によれば、平面視において、シート状の金属製シート21の外輪郭211がシート状の樹脂製シート24の外輪郭241よりも内側に位置しているため、積層マスク20の取り扱い中(例えば搬送中や開梱中)に、金属製シート21よりも耐衝撃性のある樹脂製シート24が、外部の部位、部材等(例えば梱包ケース)に金属製シート21よりも先に接触し、樹脂製シート24が緩衝作用を示して外部の部材等からの加重を吸収する。このため、金属製シート21にまで加重があまり伝わらず、金属製シート21が破損することを防止することができる。他方で、樹脂製シート24は金属製シート21よりも耐衝撃性を有するため、外部の部材等からの加重が樹脂製シート24に加わっても、当該樹脂製シート24が破損するおそれは極めて少なくなる。
図示する例では、樹脂製シート24の外輪郭241は、平面視において、第1縁部242と、当該第1縁部242に対向する第2縁部243と、第1縁部242の一端部および第2縁部243の一端部の間を延びる第3縁部244と、第1縁部242の他端部および第2縁部243の他端部の間を延び第3縁部244に対向する第4縁部245と、を含んでいる。
本実施の形態では、前述したように、樹脂製シート24の外輪郭241が平面視において矩形状になっており、積層マスク20の対向する2つの縁部が互いに平行になっている。この場合、積層マスク20の取り扱い中、例えば輸送中に、平面視において隙間をほどんど設けずに複数の積層マスク20を並べて配置することができる。このような形態によれば、積層マスク20の取り扱い中に、ある積層マスク20が動いてしまっても、隣り合う積層マスク20に強く接触することはない。このため、積層マスク20が破損することを効果的に防止することができる。
一方、金属製シート21の外輪郭211は、平面視において、第5縁部212と、当該第5縁部212に対向する第6縁部213と、第5縁部212の一端部および第6縁部213の一端部の間を延びる第7縁部214と、第5縁部212の他端部および第6縁部213の他端部の間を延び第7縁部214に対向する第8縁部215と、を含んでいる。このうち、金属製シート21の第5縁部212と樹脂製シート24の第1縁部242とが、互いに平行に近接して配置され、金属製シート21の第6縁部213と樹脂製シート24の第2縁部243とが、互いに平行に近接して配置され、金属製シート21の第7縁部214と樹脂製シート24の第3縁部244とが、互いに平行に近接して配置され、金属製シート21の第8縁部215と樹脂製シート24の第4縁部245とが、互いに平行に近接して配置されている。このような形態によれば、金属製シート21のシート面に沿った任意の方向において、金属製シート21の外輪郭211は、樹脂製シート24の外輪郭241とある程度の間隔を空けて配置されるようになる。このため、金属製シート21のシート面に沿ったどの方向においても、金属製シート21が破損することを防止することができる。
一例として、平面視において、金属製シート21の外輪郭211と樹脂製シート24の外輪郭241との間の間隔は、1mm以下に設定される。当該間隔が1mmを超えると、法線方向ndからの加重が樹脂製シート24の縁部に掛かったときに、当該樹脂製シート24が、金属製シート21の外輪郭211と重なる領域付近から大きく撓んで破損してしまうおそれがある。
このような積層マスク20の樹脂製シート24は、優れた強度および弾性をもつ方が好ましい。更に、積層マスク装置10は、高温雰囲気となる蒸着装置40の内部に保持されるため、樹脂製シート24は、熱膨張率が低く、耐熱性を有する方が好ましい。このような樹脂製シート24として、例えばいわゆるエンジニアリングプラスチックやスーパーエンジニアリングプラスチックが用いられる。具体的には、エンジニアリングプラスチックとして、例えばポリアミド(PA)やポリカーボネート(PC)が挙げられ、スーパーエンジニアリングプラスチックとして、例えば、ポリイミド(PI)や非晶ポリアレート(PAR)が挙げられる。これらのうち、樹脂製シート24としてポリイミドが特に好ましい。ポリイミドは、強固な分子構造をもち、イミド結合が強い分子間力を発揮するため、市場で入手可能な高分子材料のうち極めて高い機械的乃至物理的特性を示す。このため、ポリイミドは、優れた強度および高弾性を呈し、取り扱い中に、外部の部材等からの加重を効果的に吸収することができる。
一方、金属製シート21は、優れた強度を有し、熱膨張率が低い方が好ましい。このような金属製シート21として、磁石によって積層マスク20とガラス基板42とが密着するように付勢される場合には、磁性材が用いられ、一般に、ニッケルー鉄合金が用いられる。一方、磁石による付勢が行われない場合には、銅やステンレス等も用いることができる。
次に、積層マスク20に形成された貫通孔25について説明する。図1および図3に示すように、積層マスク20の金属製シート21は、貫通孔25が形成された有孔領域22と、貫通孔25が形成されておらず、有孔領域22の周囲を取り囲む領域を占める無孔領域23と、を有している。図1および図3に示すように、各有孔領域22は、平面視において略四角形形状、さらに正確には平面視において略矩形状の輪郭を有している。
本実施の形態において、複数の有孔領域22は、積層マスク20の一辺と平行な一方向に沿って所定の間隔を空けて配置されるとともに、前記一方向と直交する他方向に沿って所定の間隔を空けて配置されている。本実施の形態において、一つの有孔領域22が一つの有機ELディスプレイ装置に対応するようになっている。すなわち、図1に示された積層マスク装置10(積層マスク20)によれば、多面付蒸着が可能となっている。
また、図1および図3に示すように、各有孔領域22に形成された複数の貫通孔25は、当該有孔領域22において、一方向に沿って等しい間隔をあけて並べて配置されている。また、各貫通孔25は、前記一方向に直交する他方向と平行に、有孔領域22の一端から他端まで細長く延びている。
ここで、図4および図5を参照して貫通孔25について更に詳述する。図4は、積層マスク20を金属製シート21側から示す部分平面図であり、図5は、図4のV−V線に沿った断面図である。図5に示すように、金属製シート21は、樹脂製シート24と反対側の第1面21aおよび第1面21aとは反対側の第2面21bを有している。樹脂製シート24は、金属製シート21側の第3面24cおよび第3面24cとは反対側の第4面24dを有している。複数の貫通孔25は、金属製シート21の第1面21aと樹脂製シート24の第4面24dとの間に渡って延びている。また、第1面21aから第4面24dに向け、金属製シート21の法線方向ndに沿った各位置における金属製シート21のシート面に沿った断面での各貫通孔25の断面積が、しだいに小さくなっていく。とりわけ図示された例では、第1面21aから第4面24dに向け、各貫通孔25の断面積は、小さくなるように変化し続けている。
なお、本明細書において、「シート面」とは、対象となるシート状乃至帯状の部材を全体的かつ大局的に見た場合において対象となるシート状部材の平面方向と一致する面のことを指す。本実施の形態では、金属製シート21の第1面21aおよび第2面21bは、金属製シート21のシート面、樹脂製シート24のシート面、樹脂製シート24の第3面24aおよび第4面24bと平行になっている。また、金属製シート21のシート面に直交する法線方向と、樹脂製シート24のシート面に直交する法線方向とは、互いに平行になっており、これらの法線方向を同一の符号ndを用いて示す。
図5に示すように、各貫通孔25は、金属製シート21に形成された第1孔28と、樹脂製シート24に形成された第2孔29と、により形成されている。金属製シート21の法線方向ndに沿った断面における各第1孔28の輪郭、言い換えると、金属製シート21のシート面に直交した法線方向ndに沿った断面にて各第1孔28の壁面の形状(壁面が画成する線分)は、金属製シート21のシート面に平行な方向に対向して配置され、各々が、金属製シート21の法線方向ndに沿って第1面21aの側から第2面21bの側へ向かうにつれて、金属製シート21のシート面に平行な方向に互いに接近していく一対の第1部分28aを有している。一方、樹脂製シート24の法線方向ndに沿った断面における各第2孔29の輪郭、言い換えると、樹脂製シート24のシート面に直交した法線方向ndに沿った断面にて各第2孔29の壁面の形状(壁面が画成する線分)は、樹脂製シート24のシート面に平行な方向に対向して配置され、各々が、樹脂製シート24の法線方向ndに沿って第3面24cの側から第4面24dの側へ向かうにつれて、樹脂製シート24のシート面に平行な方向に互いに接近していく一対の第2部分29aを有している。
図5に示すように、一対の第1部分28aは、第1面21aの側から第2面21bの側へ向かうにつれて互いに接近していく。すなわち、一対の第1部分28aは、金属製シート21の法線方向ndに沿って第1面21aの側から第2面21bの側へ向かうにつれて、金属製シート21のシート面に平行な方向に沿って互いに接近していく。別の見方をみすれば、一対の第1部分28aは、第1面21aの側から第2面21bの側へ向かうにつれて先細りになるテーパ形状になっている。
更に、金属製シート21の法線方向ndに沿った断面において、第1部分28aは、湾曲形状となっている。図示された第1部分28aの断面輪郭は、当該第1部分28a上の任意の地点における、金属製シート21の法線方向ndに対する傾斜角度が、当該地点よりも法線方向ndに沿って第1面21a側となる地点における傾斜角度より大きくなっている。すなわち、第1部分28aは、第1面21aの側から第2面21bの側へ向かうにつれて法線方向ndに対する傾斜角度が徐々に大きくなっていく。この場合、金属製シート21の法線方向ndに沿った断面において、第1部分28aの両端部を結ぶ線分L1に対して、第1部分28aは、第2面21b側に位置することになる。なお、この第1部分28aの形状は、後述する製造方法におけるエッチング液による浸食の等方性によって画成されるようになる。このため、第1孔28の中心を通る金属製シート21の法線方向ndに沿った任意の断面において、第1部分28aは、湾曲形状となり得る。
一方、一対の第2部分29aは、図5に示すように、第3面24cの側から第4面24dの側へ向かうにつれて互いに接近していく。すなわち、一対の第2部分29aは、樹脂製シート24の法線方向ndに沿って第3面24cの側から第4面24dの側へ向かうにつれて、樹脂製シート24のシート面に平行な方向に互いに接近していく。別の見方をすれば、一対の第2部分29aは、第3面24cの側から第4面24dの側へ向かうにつれて先細りになるテーパ形状になっている。
本実施の形態では、樹脂製シート24の法線方向ndに沿った断面において、第2部分29aは、直線状になっている。すなわち、第2部分29a上の任意の地点において法線方向ndに対する傾斜角度が一定になっている。
また、図5に示すように、本実施の形態では、第1孔28の第1面21aにおける開口の断面積と、第1孔28の第2面21bにおける開口の断面積と、第2孔29の第3面24cにおける開口の断面積と、第2孔29の第4面24dにおける開口の断面積とは、この順に小さくなっていく。とりわけ、第1孔28の第2面21bにおける開口の断面積が第2孔29の第3面24cにおける開口の断面積よりも大きいため、第1部分28aと第2部分29aとの間には、金属製シート21のシート面に平行な平坦部26が形成されている。本実施の形態では、平坦部26は、樹脂製シート24の第3面24cによって規定されている。もっとも、第1部分28aと第2部分29aとの間に平坦部26は必ずしも形成されていなくてもよく、第1部分28aと第2部分29aとが連接されてもよい。
ここで、図6に、積層マスク装置10を用いてガラス基板42に蒸着材料48を蒸着させる状態を示す。図6に示すように、積層マスク装置10は蒸着装置40に収容された場合、金属製シート21の第1面21aが蒸着材料48を保持したるつぼ44側に位置し、樹脂製シート24の第4面24dがガラス基板42に対面する。すなわち、図6に示すように、蒸着材料48は次第に断面積が小さくなっていく積層マスク20の貫通孔25を通過してガラス基板42に付着する。図6に示すように、蒸着材料48は、るつぼ44からガラス基板42に向けてガラス基板42の法線方向に沿って移動するだけでなく、ガラス基板42の法線方向に対して大きく傾斜した方向に移動することもある。このとき、貫通孔25の断面形状が図6の点線で示す輪郭を有していたとすると、斜めに移動する蒸着材料48は、積層マスク20に付着してガラス基板42まで到達しない。結果として、蒸着材料48を所望の量だけガラス基板42に付着させ難くなり、蒸着材料48の利用効率が低下すると共に、蒸着パターンの縁部がぼやけてしまう。
すなわち、蒸着材料の利用効率(成膜効率:ガラス基板42に付着する割合)を高めて高価な蒸着材料を節約し、且つ、高精細なパターニングを行うためには、積層マスク20のシート面に直交する図5や図6の断面において、第1面21a側の第1部分28aの端部および第2面21b側の第1部分28aの端部を結ぶ直線L1と、金属製シート21の法線方向ndと、によってなされる角度θ1(図5参照)が大きい方がよい。ただし、ガラス基板42への垂線に対して大きな角度をなすようにしてガラス基板42に向けて移動する蒸着材料の割合は少ない。そして、本件発明者らが確認したところ、前述の直線L1が法線方向ndに対してなす角度θ1が30°以上となっていれば、蒸着材料の利用効率は十分な値となった。
更に、図5に示すように、金属製シート21の法線方向ndに沿った断面において、第1部分28aの両端部を結ぶ線分L1が当該金属製シート21の法線方向ndに対してなす角度θ1は、第2部分29aの両端部を結ぶ線分L2が金属製シート21の法線方向ndに対してなす角度θ2よりも大きい方が好ましい。このような形態によれば、第2部分29aを規定する壁面に囲まれる領域に向かっていく蒸着材料48が、第1部分28aを規定する壁面に遮られ難くなる。加えて、金属製シート21の第1面21aの面積が減少し、このため、第1面21aに付着する蒸着材料48の量を低減することができる。これらの結果、蒸着材料48を所望の量だけガラス基板42に付着させ易くなり、蒸着材料48の利用効率を更に高めることができる。
このような第1孔28が形成された金属製シート21の厚みは、一例として、20〜30μm程度のものが用いられる。金属製シート21の厚みが30μm以下になると、第2部分29aを規定する壁面に囲まれる領域に向かっていく蒸着材料48が、第1部分28aを規定する壁面に遮られ難くなるため、蒸着材料48が第1孔28を通過し易い。このため、蒸着材料48を所望の量だけ安定してガラス基板42に付着させることができるようになり、高精細なパターンでの蒸着を行うことに寄与する。一方、金属製シート21の厚みが20μm未満になると、積層マスク20の取り扱い中に、例えば積層マスク20の搬送中に、当該積層マスク20を破損してしまう虞が高まる。とりわけ、有機EL表示装置を製造する際に例えば蒸着材料48を所望のパターンでガラス基板42上にパターニングするために用いられる積層マスク20においては、本実施の形態のように、同一方向に細長く延びる複数の貫通孔25が短ピッチで並べて配置されていることがある。このような積層マスク20を取り扱う場合、積層マスク20に作用する力によって、積層マスク20の孔と孔との間が切断されてしまったり、孔と孔との間を線状に延びる部分同士がからまったりするといった不具合が生じるおそれがある。
一方、第2孔29が形成された樹脂製シート24の厚みは、一例として、2〜10μm程度のものが用いられる。樹脂製シート24の厚みが10μm以下になると、第2孔29の壁面に蒸着材料48が付着し難くなるため、蒸着材料48が貫通孔25を著しく通過し易くなる。このため、蒸着材料48を所望の量だけ安定してガラス基板42に付着させることができるようになり、高精細なパターンでの蒸着を行うことが可能になる。一方、樹脂製シート24の厚みが2μm未満になると、樹脂製シート24の取り扱い中に、例えば樹脂製シート24の搬送中に、当該樹脂製シート24を破損してしまう虞が高まる。すなわち、樹脂製シート24の強度が大きく低下してしまうため、工業上の利用が困難になる。
ところで、従来の蒸着マスクでは、例えば特開2004−39319号公報に記載されているように、金属板の両方の側の面からエッチングして複数の貫通孔を形成していた。図19に、特開2004−39319号公報に記載された蒸着マスクを用いて蒸着する方法を示す。図19に示す蒸着マスクでは、フォトリソグラフィー技術を用いたエッチングによって孔2aが形成される。このエッチングにおいては、金属板2のうちのレジスト膜で覆われていない領域から浸食が開始される。その後、浸食は、金属板2の厚さ方向のみに進むのではなく、金属板2のシート面に沿った方向にも進む。したがって、エッチングによって先細りした孔2aが形成されていく。このため、金属板2の両方の側の面からエッチングを行った場合、図19に示すように、金属板2の厚さ方向の端部以外において孔2a内に張り出し部3が形成される。張り出し部3は、孔2aの壁面のうち、金属板2の板面に沿って最も孔2aの内側に入り込んだ部分を形成し、したがって、金属板2を厚さ方向から観察した場合には、この張り出し部3が孔2aの開孔領域を画成すようになる。そして、このようなメタルマスク1を用いて蒸着を行った場合、基板4のうちの張り出し部3の裏側に対応する領域に成膜される蒸着膜5の膜厚は安定しない。この結果、蒸着パターンの縁部がぼやけてしまう(蒸着パターンの輪郭がはっきりしない)。またそもそも、孔内に形成される張り出し部の位置や断面形状を制御すること自体が困難である。以上のことから、金属板を両方の側の面からエッチングした場合、極めて高精細なパターンでの蒸着を精度良く行うことができない。
一方、本実施の形態の積層マスク20では、前述したように、一対の第2部分29aは、第3面24cの側から第4面24dの側へ向かうにつれて先細りになるテーパ形状になっている。このような形態によれば、図19に示す積層マスクとは異なり、貫通孔25の開孔面積(金属板21の板面に沿った貫通孔25の開孔領域の面積)は、金属板21の法線方向に沿って第1面21aと第4面24dとの間の位置ではなく、第4面24d上で最小となる。したがって、ここで説明する積層マスク20を用いてガラス基板42に蒸着を行う場合には、図6に示すように、蒸着材料48は、その進行方向に依存することなく、ガラス基板42のうちの、金属板21の第2面21b上における貫通孔25に対面する領域に付着し、当該領域よりも外方となるガラス基板42上の領域に付着することを効果的に抑制されるようになる。従って、図19に示す積層マスクに比べて、高精細なパターンでの蒸着を精度良く行うことができる。
上述したように、本実施の形態では、貫通孔25が各有孔領域22において等間隔に配置されている。一例として、積層マスク20(積層マスク装置10)が携帯電話やデジタルカメラ等のディスプレイ(2〜5インチ程度)を作製するために用いられる場合、貫通孔25の配列ピッチ(図5参照)は、58μm(440ppi)以上254μm(100ppi)以下程度とすることができる。なお、カラー表示を行いたい場合には、貫通孔25の配列方向(前述の一方向)に沿って積層マスク20(積層マスク装置10)とガラス基板42とを少しずつ相対移動させ、赤色用の有機発光材料、緑色用の有機発光材料および青色用の有機発光材料を順に蒸着させていってもよい。また、積層マスク20(積層マスク装置10)が携帯電話のディスプレイを作製するために用いられる場合、各貫通孔25の配列方向(上述の一方向)に沿った幅(スリット幅)Wは、28μm以上84μm以下程度とすることができる。
一方、図1に示すように、積層マスク装置10のフレーム15は、矩形状の積層マスク20の周縁部に取り付けられている。フレーム15は、積層マスク20が撓んでしまうことがないように積層マスクを張った状態に保持する。積層マスク20とフレーム15とは、例えばスポット溶接により互いに対して固定されている。なお、樹脂製シート24には、スポット溶接位置に対応して不図示の作業孔が設けられている。
積層マスク装置10は、高温雰囲気となる蒸着装置40の内部に保持される。したがって、積層マスク20およびフレーム15は、フレームの撓みや熱応力の発生を防止するため、熱膨張率が低い同一の材料によって作製されていることが好ましい。このような材料として、例えば、36%Niインバー材を用いることができる。
以上のように、本実施の形態によれば、平面視において、シート状の金属製シート21の外輪郭211がシート状の樹脂製シート24の外輪郭241よりも内側に位置している。この場合、積層マスク20の取り扱い中(例えば搬送中や開梱中)に、金属製シート21よりも耐衝撃性のある樹脂製シート24が、外部の部位、部材等(例えば梱包ケース)に金属製シート21よりも先に接触し、樹脂製シート24が緩衝作用を示して外部の部材等からの加重を吸収する。このため、金属製シート21にまで加重があまり伝わらず、金属製シート21が破損することを防止することができる。他方で、樹脂製シート24は金属製シート21よりも耐衝撃性を有するため、外部の部材等からの加重が樹脂製シート24に加わっても、当該樹脂製シート24が破損するおそれは極めて少なくなる。この結果、損傷しにくい積層マスク20が実現される。
また、本実施の形態によれば、金属製シート21に形成された貫通孔25が、第1面21aの側から第2面21bの側へ向かうにつれて互いに接近していく一対の第1部分28aと、各々が対応する側の第1部分28aと接続され、第3面24cの側から第4面24dの側へ向かうにつれて互いに接近していく一対の第2部分29aと、を含んでいる。このような形態によれば、ガラス基板42の法線方向から大きく傾斜した方向に移動する蒸着材料48もガラス基板42に十分に付着させることができる。これにより、蒸着材料48の利用効率を大幅に高めることができる。また、樹脂製シート24の第4面24d上における貫通孔25に対面する領域の周辺となるガラス基板42上の領域に、蒸着膜が不安定な膜厚にて成膜されない。従って、本実施の形態の積層マスク20によれば、高精細なパターンでの蒸着を所望の厚さで精度良く行うことができる。
また、本実施の形態によれば、第1部分28aは、金属製シート21の法線方向ndに沿った断面において、湾曲形状となっている。この場合、第1部分が直線状に形成されている、すなわち、第1部分の両端部を結ぶ線分L1と一致するように形成されている場合に比べて、積層マスク20の薄肉化、軽量化を実現することができる。この一方で、貫通孔25の壁面がリブを構成して変形に対する耐性は維持される。このため、第1部分が直線状に形成されている場合と比べて、積層マスク20の撓みはほぼ変化しない。従って、このような形態によれば、積層マスク20の薄肉化、軽量化を実現しながら、積層マスク20の撓み防止効果を得ることができる。
とりわけ、有機ELディスプレイ装置では、高価な蒸着材料48を高精細なパターンで基板42上にパターニングすることが強く所望されている。このため、本実施の形態の積層マスク20は、有機ELディスプレイ装置を製造するために用いられる蒸着マスクに特に適している。
≪積層マスクの製造方法≫
次に、このような積層マスク20および蒸着マスク装置10の製造方法について、主に図7乃至図11を用いて説明する。このうち、図7および図10は、積層マスクの製造方法を全体的に説明するための図であり、図8は、金属製シートにレジストパターンを形成する方法を説明するための図であり、図9は、金属製シートをエッチングする方法を説明するための図であり、図11は、中間シートにレーザ光を照射して第1孔を形成する方法を説明するための図であり、図12は、中間シートにレーザ光を照射して樹脂層を複数の樹脂製シートに分断する方法を説明するための図である。
図7乃至図12に示すように、本実施の形態における積層マスクの製造方法は、金属層32と金属層32に積層された樹脂層34とを有する積層体30を供給する工程と、積層体30の金属層32をエッチングして、複数の金属製シート21に分断し、且つ、金属製シート21に第1孔61を形成する工程と、各第1孔61内にレーザ光を照射して、樹脂層34を貫通し且つ第1孔61に通じる第2孔62を樹脂層34に形成する工程と、平面視において隣り合う金属製シート21の間となる領域にて樹脂層34を切断して、樹脂層34を複数の樹脂製シート24に分断する工程と、を備えている。各工程について、以下においてさらに詳細に説明する。
図7に示すように、本実施の形態においては、積層体30を供給コア31に巻き取った巻体29が準備される。そして、この供給コア31が回転して巻体29が巻き戻されることにより、図7に示すように帯状に延びる積層体30が供給される。ここで、積層体30は、金属層32が下方に位置するとともに樹脂層34が上方に位置するようにして、供給される。
供給された金属層32は、エッチング装置(エッチング手段)50によってエッチング処理を施される。具体的には、まず、金属層32の一方の面をなす第1面32a上にネガ型感光性レジスト材料を塗布し、当該第1面32a上にレジスト膜36を形成する。次に、レジスト膜36のうちの除去したい領域に光を透過させないようにしたガラス乾板37を準備し、ガラス乾板37をレジスト膜36上に配置する。
その後、図8に示すように、レジスト膜36をガラス乾板37越しに露光し、さらにレジスト膜36を現像する。以上のようにして、金属層32の第1面32a上にレジストパターン(単に、レジストとも呼ぶ)35が形成される。
なお、ガラス乾板37のうちの除去すべきレジスト膜36に対面する領域を黒色にしておき、露光光として可視光を用いるようにしてもよい。この場合、黒色部分で可視光が吸収されることにより、レジスト膜36の除去すべき領域には光が入射せず、レジスト膜36が金属層32上で光硬化しない。一方、レジスト膜36の除去すべきでない領域には光が入射して、当該領域におけるレジスト膜36が金属層32上で光硬化する。光硬化していないレジスト膜36は、例えば湯洗によって除去される。
次に、図9に示すように、金属層32上に形成されたレジストパターン35をマスクとして、エッチング液(例えば塩化第二鉄溶液)38により積層体30の金属層32を第1面32a側からエッチングする。本実施の形態においては、エッチング液38が、搬送される積層体30の下方に配置されたエッチング装置50の下方ノズル51から、レジストパターン35越しに積層体30の金属層32に向けて噴射される。そして、図9に点線で示すように、金属層32のうちのレジストパターン35によって覆われていない領域で、エッチング液38による浸食が始まる。このエッチング液による浸食は、金属層32のうちのエッチング液に触れている部分において行われていく。従って、浸食は、金属層32の厚み方向のみに進むのではなく、金属層32のシート面に沿った方向にも進んでいく。加えて、本実施の形態では、下方ノズル51から噴射されるエッチング液38の流量および噴射時間を制御することができるようになっている。従って、噴射されるエッチング液38の流量および噴射時間を適切に制御することにより、金属層32の厚み方向における浸食および金属層32のシート面に沿った方向における浸食の度合いが調整される。
このようなエッチング液38による浸食によって、金属層32が複数の金属製シート21に分断され、且つ、金属製シート21に第1孔61が形成される。本実施の形態では、金属製シート21は、エッチング液による浸食が金属製シート21の外輪郭211をなすようになる部分に沿って進んで、金属層32を複数の部分に分断することにより形成される。一方、第1孔61は、エッチング液による浸食が金属層32の第1面32aから当該第1面32aに対向する第2面32bまで進んで、曲面状の壁面を有し先細りする形状に形成される。言い換えると、金属層32の法線方向に沿った断面における第1孔61の輪郭は、金属層32の法線方向に沿って第1面32aの側から第2面32bの側へ向かうにつれて、金属層32のシート面に平行な方向に互いに接近していく。とりわけ、本実施の形態では、エッチング液による浸食は、金属層32のうちのエッチング液に触れている部分において等方的に行われ、各第1孔61は、金属層32の法線方向に沿った断面において湾曲形状となるように形成される。そして、第1孔61は、配列方向と直交する他方向に沿って細長く延びる。
その後、金属層32上のレジストパターン35を除去し、さらに金属層32を水洗いする。
ところで、積層体30に樹脂層34が設けられていなかったとすると、浸食によって金属層32に形成される先細り孔に、既に浸食に用いられ浸食能力が低くなったエッチング液が残留する。その後、金属層32の孔が第2面32bに達した時、それまで孔内に残留していたエッチング液が第2面32bから流れ出て、浸食能力の高いフレッシュなエッチング液が、形成された孔内に流れ込む。このとき、断面積(開孔面積)が小さくなる孔内の第2面32b側の領域において液圧が高くなり、孔内の第2面32b側の領域がフレッシュなエッチング液により激しく浸食される。この結果、第1孔61の形状および大きさが安定しないといった不具合が生じ得る。しかしながら、本実施の形態によれば、金属層32を貫通する第1孔61が形成されたとしても、この第1孔61は、第2面32b側の開口を樹脂層34によって覆われている。このため、金属層32の第2面32b上までエッチング液が到達することはない。したがって、従来の方法において生じていた上記不具合を確実に回避することができる。この結果、所望の開孔面積(平面視における第1孔61の面積)を有した第1孔61を精度よく形成することができる。
このようにして、図7に示すように、帯状の樹脂層34と当該樹脂層34に支持された複数の金属製シート21とからなる中間シート69が得られる。そして、中間シート69は、当該中間シート69を狭持した状態で回転する一対の搬送ローラ52,52により、巻取コア19へ搬送され、当該巻取コア19によって巻体68として巻取られる。なお、この搬送ローラ52,52の回転によって中間シート69に作用するテンション(引っ張り力)を介し、上述した供給コア31が回転させられ、巻体29から積層体30が供給されるようになっている。
本実施の形態においては、分断された金属製シート21は、樹脂層34によって支持され補強されている。したがって、積層体30の搬送時に、隣り合う第1孔61との間に作用する応力によって、金属製シート21の隣り合う第1孔61の間の部分が切断されてしまったり、隣り合う第1孔61の間を線状に延びる部分がからまったりするといった不具合を格段に抑制することができる。この結果、エッチング工程において金属製シート21に形成された微細な第1孔61の形状をその後に損なってしまうといった不具合を回避することができる。
なお、上述したように配列方向と直交する方向に沿って細長く延びる第1孔61を形成する場合、第1孔61が延びる方向(上述した他方向)と、積層体30が供給される方向(積層体が搬送される方向)とが略平行となっていることが好ましい。この場合、金属層32の隣り合う第1孔61との間の部分が切断されてしまったり、隣り合う第1孔61の間を線状に延びる部分がからまったりすることを効果的に防止することができる。
次に、図10に示すように、巻体68が第2供給コア74にセットされて、第2供給コア74の回転に伴い巻体68から中間シート69が供給される。中間シート69がレーザ加工装置(レーザ加工手段)70まで搬送されると、図11に示すように、積層体30は、しわやたるみのない状態でレーザ加工装置70の保持部73に保持される。このレーザ加工装置70には、蒸着マスクに所定のパターンの貫通孔を形成するために用いられ得るそれ自体既知のレーザ加工装置70が用いられる。レーザ加工装置70で利用されるレーザとして、YAGレーザ、炭酸ガスレーザまたは半導体レーザ等が挙げられ、樹脂層34の材質や第2孔62の深さ等に応じて適宜選定される。本実施の形態のレーザ加工装置70は、出力可変のレーザ発振器から発生したレーザ光を所定のスポット径でレーザ照射レンズ72から照射することができるようになっている。
レーザ加工装置70のレーザ照射レンズ72から中間シート69の金属製シート21の各第1孔61内にレーザ光が照射されて、当該レーザ光は、第1孔61の長手方向に沿って動かされる。レーザ光を照射することによって、樹脂層34の一部が蒸発し除去される。これにより、樹脂層34を貫通し且つ第1孔61に通じる第2孔62が形成される。とりわけ、樹脂層34は、金属製シート21側に面する第3面34c側で多く溶融し、第3面34cの反対側の第4面34d側に向かうにつれて溶融する量が少なくなっていく。これにより、第2孔62は、樹脂層34の第3面34cの側から第4面34dの側へ向けて先細りするテーパ形状に形成される。
続いて、図12に示すように、平面視において隣り合う金属製シート21の間となる領域にて樹脂層34が切断されて、樹脂層34が複数の樹脂製シート24に分断される。本実施の形態では、レーザ加工装置70によってレーザ光を樹脂層34に照射して当該樹脂層34を切断する。前述したように、レーザ照射レンズ72から照射されるレーザ光は、スポット径を調整可能になっている。従って、レーザ光のスポット径を調整することにより、金属製シート21の外輪郭211と樹脂製シート24の外輪郭241との平面視におけるズレを調整することができる。
以上のようにして、第1孔61を形成された金属製シート21と、第2孔62を形成された樹脂製シート24と、からなる積層マスク20が得られる。
そして、各積層マスク20に対してフレーム15を取り付けることにより、蒸着マスク装置10が得られる。なお、フレーム15は、積層マスク20の金属製シート21の第1面21aに取り付けられてもよいし、樹脂製シート24の第4面24d側から金属製シート21に取り付けられてもよい。
以上のように、本実施の形態によれば、平面視において隣り合う金属製シート21の間となる領域にて樹脂層34を切断して、樹脂層34を複数の樹脂製シート24に分断し、樹脂製シート24と金属製シート21とを有する積層マスク20を作製する。このような形態によれば、樹脂層34を手作業で引き裂く必要がないため、樹脂製シート24の外輪郭241の形状を安定して形成することができる。加えて、樹脂層34を手作業で引き裂く必要がないため、製品にキズや凹みを付けたり、金属層32と樹脂層34とを剥離させてしまうことを防止することができる。このため、積層マスク20を安定した品質で効率よく製造することができる。
また、本実施の形態における積層マスクの製造方法によれば、樹脂層34を切断する工程において、レーザ光を照射して樹脂層34を切断する。このような形態によれば、数μmの厚みからなる樹脂層34であってもレーザ光によって高精度に切断することができる。このため、樹脂製シート24の外輪郭241の形状を更に安定して形成された積層マスク20を効率よく製造することができる。
また、本実施の形態における積層マスクの製造方法によれば、レーザ加工装置70を用いて、各第1孔61内にレーザ光を照射して樹脂層34に第2孔62を形成した後に、当該レーザ加工装置70を用いて樹脂層34を切断することができる。このため、樹脂層34を切断するために中間シート69を再び位置決めする必要がなくなり、積層マスク20を効率よく製造することができる。
また、本実施の形態における積層マスクの製造方法によれば、樹脂層34を切断する工程において照射されるレーザ光のスポット径を調整することにより、金属製シート21の外輪郭211と樹脂製シート24の外輪郭241との平面視におけるズレを調整することができる。このような形態によれば、平面視において、金属製シート21の外輪郭211と樹脂製シート24の外輪郭241との間の間隔を適切な大きさに調整することができる。これにより、製造される積層マスク20において、取り扱い中に、金属製シート21よりも耐衝撃性のある樹脂製シート24が、外部の部位、部材等に先に接触し、外部の部材等からの加重を効果的に吸収することができる。
加えて、本実施の形態における積層マスクの製造方法によれば、金属層32と樹脂層34とからなる積層体30の金属層32をエッチングして、複数の金属製シート21に分断し、且つ、金属製シート21に第1孔61を形成する。この場合、第1孔61は金属層32を貫通するものの、金属層32の第2面32b側の開口は、樹脂層34によって覆われている。すなわち、第1孔61は積層体30を貫通していないため、金属層32の第2面32b上までエッチング液が到達することはない。これにより、第1面32aから第2面32bに向けてしだいに断面積が小さくなっていく第1孔61を精度よく形成することができる。
加えて、本実施の形態における積層マスクの製造方法によれば、各第1孔61内にレーザ光を照射して、樹脂層34を貫通し且つ第1孔61に通じる第2孔62を樹脂層34に形成する。各第1孔61内にレーザ光を照射して第2孔62を形成することにより、第2孔62が微細であっても当該第2孔62を所望の位置に所望の大きさで精度よく形成することができる。とりわけ、第2孔62の第4面24dにおける開口の精度は、ガラス基板42に施される蒸着パターンの輪郭を高精度に形成する上で大きく寄与する。本実施の形態によれば、レーザ光のスポット径を調整することにより、第2孔62の第4面24dにおける開口をも所望の大きさで精度よく形成することができる。これにより、より高精細なパターンでの蒸着を精度良く行うことができる。
また、各第2孔62は、レーザ光を照射することにより、第1孔61に連通し、第3面24cの側から第4面24dの側へ向かうにつれて互いに接近していくように形成される。このような形態によれば、樹脂製シート24の第4面24d上における貫通孔25に対面する領域の周辺となるガラス基板42上の領域に、蒸着膜が不安定な膜厚にて成膜されない。従って、製造されたメタルマスク20を用いて、高精細なパターンでの蒸着を所望の厚さで精度良く行うことができる。
≪第2の実施の形態≫
次に、図13を参照して、本発明の第2の実施の形態について説明する。図13は、本発明の第2の実施の形態による積層マスクを示す平面図である。図13を参照して説明する第2の実施の形態は、金属製シート21の外輪郭211と樹脂製シート24の外輪郭241との関係が異なるが、その他の構成は、第1の実施形態と同様に構成することができる。第2の実施の形態に関する以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した第1の実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の第1の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。
図13に示すように、本実施の形態の積層マスク20’は、金属製シート21と、金属製シート21に積層された樹脂製シート24’と、を備える。積層マスク20’には、金属製シート21および樹脂製シート24’を貫通する複数の貫通孔25が形成されている。そして、平面視において、金属製シート21の外輪郭211は、樹脂製シート24’の外輪郭241’と重なっている。
このような本実施の形態によれば、平面視において、金属製シート21の外輪郭211は、樹脂製シート24’の外輪郭241’と重なっているため、積層マスク20の外輪郭の形状が安定している。このため、次工程において、例えば積層マスク20’の品質検査を行う際に、測定のための位置決めを安定して行うことができる。
なお、本実施の形態の積層マスク20’は、上述した第1の実施の形態の積層マスク20と略同様にして作製される。とりわけ、図12に示した樹脂層34を複数の樹脂製シート24に分断する工程において、レーザ照射レンズ72から照射されるレーザ光は、スポット径を調整可能になっている。従って、このレーザ光のスポット径を調整することにより、金属製シート21の外輪郭211と樹脂製シート24の外輪郭241とが重なるように、樹脂層34を切断することができる。
本実施の形態によれば、平面視において、金属製シート21の外輪郭211は、樹脂製シート24’の外輪郭241’と重なっているため、積層マスク20の取り扱い中(例えば搬送中や開梱中)に、金属製シート21と樹脂製シート24とが、外部の部位、部材等に同時に接触する。従って、積層マスク20’に加わる加重を金属製シート21と樹脂製シート24との両方が積層された状態で受けることができる。このため、金属製シート21のみで加重を受ける場合よりも、金属製シート21が破損するおそれを低減することができる。
≪変形例≫
なお、上述した第1の実施の形態および第2の実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、図面を参照しながら、変形の一例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した第1の実施の形態および第2の実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。
上述した実施の形態において、図5に示すように、隣り合う貫通孔25の壁面が、互いに離間して配置され、隣り合う貫通孔25の間に平坦な面が形成されている例を示したが、これに限られない。図14(a)および図14(b)に、隣り合う貫通孔25の壁面同士が接続されている例を示す。このうち図14(a)は、部分平面図であり、図14(b)は、図14(a)のA−A線に沿った断面における断面図である。図14(a)および図14(b)に示す例でも、金属製シート21の法線方向ndに沿った断面における各第1孔28の輪郭は、金属製シート21のシート面に平行な方向に対向して配置され、各々が、第1面21aの側から第2面21bの側へ向かうにつれて、互いに接近していく一対の第1部分28aを有している。一方、樹脂製シート24の法線方向ndに沿った断面における各第2孔29の輪郭は、樹脂製シート24のシート面に平行な方向に対向して配置され、各々が、第3面24cの側から第4面24dの側へ向かうにつれて、互いに接近していく一対の第2部分29aを有している。従って、図14に示す積層マスク20も、図5に示す積層マスク20と同様な作用効果を奏する。
上述した実施の形態において、図4に示すように、各貫通孔25が、有孔領域22の一端から他端まで細長く延びている例を示したが、これに限られない。図15に、複数の貫通孔125の他の配置例を示す。図15に示す例では、複数の貫通孔125は、有孔領域22において、一方向に沿って等しい間隔を空けて並べて配置されている。また、各貫通孔125は、前記一方向に直交する他方向に長手方向を有し、当該他方向に沿って等しいピッチで並べて配置されている。図15に示す積層マスク120は、例えば、図15のB−B線に沿った断面図において、図5に示す貫通孔25と略同様な断面形状を有している。従って、図15に示す積層マスク120も、図5に示す積層マスクと同様な作用効果を奏する。
上述した実施の形態では、1つの積層マスク20を用いてガラス基板42にパターニングを行う例を示したがこれに限られない。図16および図17に、ガラス基板に施される他の例および更に他の例を示す。図16および図17に示す例では、赤色に発光する赤色用の蒸着材料と、緑色に発光する緑色用の蒸着材料と、青色に発光する青色用の蒸着材料と、を用いて、ガラス基板42にパターニングが行われる。
図16および図17に示す例では、ガラス基板42に施される蒸着パターン140は、複数の第1配列141と複数の第2配列142とからなり、これら第1配列141と第2配列142とは、一方向に沿って交互に等しい間隔をあけて並べて配置されている。各第1配列141は、一方向に直交する他方向に沿って交互に等しい間隔をあけて並べて配置された、赤色用の蒸着材料からなる赤色パターン143と青色用の蒸着材料からなる青色パターン145とからなる。一方、各第2配列142は、前記他方向に沿って前記間隔と等しい間隔をあけて並べて配置された、緑色用の蒸着材料からなる緑色パターン144からなる。各赤色パターン143と各青色パターン145とは、同一の形状に形成されている。各緑色パターン144は、各赤色パターン143および各青色パターン145よりも短い一方向に沿った長さを有している。図16に示す例では、緑色パターン144は、赤色パターン143および青色パターン145と同一の他方向に沿った長さを有している。一方、図17に示す例では、緑色パターン144は、赤色パターン143および青色パターン145よりも長い他方向に沿った長さを有している。
図16または図17に示す蒸着パターン140をガラス基板42に施す場合、各パターン143、144、145毎に対応する積層マスクを準備する必要がある。一例として、図18に、図16に示す赤色パターン143用の積層マスク220における貫通孔225の配置例を示す。図18に示す例では、ガラス基板42に施される赤色パターン143に対応して貫通孔225が配置されている。図18に示す積層マスク220は、例えば、図18のC−C線に沿った断面図において、図5に示す貫通孔25と略同様な断面形状を有している。従って、図18に示す積層マスク220も、図5に示す積層マスクと同様な作用効果を奏する。同様に、図17に示す赤色パターン143用の積層マスク、図16および図17に示す緑色パターン144用の積層マスク、並びに、図16および図17に示す青色パターン145用の積層マスクも、図5に示す積層マスクと同様な作用効果を奏する。