JP6400449B2 - 動力分割式無段変速機の制御装置 - Google Patents

動力分割式無段変速機の制御装置 Download PDF

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Description

本発明は、動力分割式無段変速機の制御装置に関する。
自動車などの車両に搭載される変速機として、エンジンの動力を無段階に変速する無段変速機構と、エンジンの動力を無段変速機構を経由せずに伝達する歯車機構と、無段変速機構からの動力と歯車機構からの動力とを合成するための遊星歯車機構とを備えたものが提案されている。この変速機では、エンジンからの動力を無段変速機構と歯車機構とに分割し、その分割された各動力を遊星歯車機構で合成して車輪に伝達することができる。
特開2004−176890号公報
駆動源の動力を2系統に分割して伝達可能な変速機は、動力分割式無段変速機として、出願人も提案している。
この提案に係る動力分割式無段変速機には、変速比の変更により動力を無段階に変速する無段変速機構と、動力を一定の変速比で変速する一定変速機構と、無段変速機構を経由する動力と一定変速機構を経由する動力とを合成するための遊星歯車機構を含む合成用歯車機構とが備えられている。合成用歯車機構のサンギヤには、無段変速機構のセカンダリ軸が接続されている。また、合成用歯車機構のリングギヤには、出力軸が接続されている。出力軸の回転は、デファレンシャルギヤに伝達され、デファレンシャルギヤから左右の駆動輪に伝達される。
この動力分割式無段変速機は、動力伝達モード(変速モード)として、動力が無段変速機構のみを経由して合成用歯車機構に伝達されるベルトモードと、動力が無段変速機構および一定変速機構を経由して合成用歯車機構に伝達されるスプリットモードとを有している。
ベルトモードでは、合成用歯車機構のサンギヤとリングギヤとがクラッチにより直結され、合成用歯車機構のキャリアがフリーな状態にされる。そのため、無段変速機構から出力される動力により、サンギヤおよびリングギヤが一体的に回転し、出力軸がリングギヤと一体的に回転する。したがって、ベルトモードでは、動力分割式無段変速機の変速比が無段変速機構の変速比と一致する。
スプリットモードでは、合成用歯車機構のサンギヤとリングギヤとの直結が解除され、一定変速機構を経由する動力が合成用歯車機構のキャリアに入力される。一定変速機構の変速比が一定で不変であるので、動力分割式無段変速機に入力される回転速度が一定であれば、キャリアの回転速度が一定に保持される。そのため、無段変速機構の変速比が上げられて、サンギヤの回転速度が下げられると、リングギヤおよびリングギヤに接続された出力軸の回転速度が上がり、動力分割式無段変速機の変速比が下がる。したがって、スプリットモードでは、動力分割式無段変速機の変速比が一定変速比(一定変速機構の変速比)以下となる。
サンギヤとリングギヤとの間に差回転が生じている状態(無段変速機構の変速比(プーリ比)と一定変速機構の変速比とがずれた状態)で、スプリットモードとベルトモードとの切り替えが行われると、その差回転により、ベルトまたはクラッチの滑りが発生する。そのため、ベルトモードとスプリットモードとの切り替えは、合成用歯車機構のサンギヤの回転数とリングギヤの回転数とがほぼ一致した状態で行われる。
しかしながら、クラッチの応答遅れやその係合/解放に要する時間のばらつき、無段変速機構の変速比を制御する油圧の変動など、種々の要因により、無段変速機構の変速比と一定変速機構の変速比との間にずれが生じ、ベルトまたはクラッチの滑りが発生することがある。ベルトの滑りが発生すると、ベルトの異常摩耗によるベルトとプーリ(プライマリプーリおよびセカンダリプーリ)との間の摩擦抵抗の低下、ベルトの破損などを生じるおそれがある。
本発明の目的は、ベルトモードとスプリットモードとが切り替えられる際のベルトの滑りに起因する、ベルトとプーリとの間の摩擦抵抗の低下やベルトの破損を防止できる、動力分割式無段変速機の制御装置を提供することである。
前記の目的を達成するため、本発明に係る動力分割式無段変速機の制御装置は、入力軸と、出力軸と、入力軸に連結されたプライマリ軸と、プライマリ軸と平行に設けられたセカンダリ軸と、プライマリ軸に支持されたプライマリプーリと、セカンダリ軸に支持されたセカンダリプーリと、プライマリプーリとセカンダリプーリとに巻き掛けられたベルトと、ピニオンギヤを回転可能に支持するキャリアと、ピニオンギヤと噛合し、セカンダリ軸が連結されたサンギヤと、ピニオンギヤと噛合し、出力軸が連結されたリングギヤと、入力軸に入力される動力を一定の変速比で変速してキャリアに伝達するための一定変速機構とを備え、キャリアが自由回転状態でサンギヤとリングギヤとが直結されるベルトモードと、サンギヤとリングギヤとの直結が解除され、一定変速機構を経由する動力がキャリアに伝達されるスプリットモードとに切替可能に構成された動力分割式無段変速機を制御する制御装置であって、ベルトモードとスプリットモードとを切り替えるモード切替手段と、ベルトモードとスプリットモードとが切り替えられる際のベルトの滑りにより生じる発熱量を推定する発熱量推定手段と、発熱量推定手段により推定される発熱量が所定値以上である場合、モード切替手段によるベルトモードとスプリットモードとの切り替えを禁止するモード切替禁止手段とを含む。
この構成によれば、ベルトモードとスプリットモードとの切り替えに際しては、その切り替えの際のベルトの滑りにより生じる発熱量が推定される。そして、推定された発熱量が所定値以上である場合には、ベルトモードとスプリットモードとの切り替えが禁止される。これにより、ベルトモードとスプリットモードとが実際に切り替えられたときに、ベルトの滑りにより生じる発熱量を所定値未満に抑えることができる。
そのため、ベルトが発熱により焼きなまされることを抑制でき、ベルトの焼きなましによる軟化を抑制できる。その結果、ベルトの異常摩耗を抑制でき、ベルトとプーリ(プライマリプーリおよびセカンダリプーリ)との間の摩擦抵抗が低下することを抑制できる。また、ベルトの破損を抑制することができる。
本発明によれば、ベルトの表面が発熱により焼きなまされることを抑制でき、ベルトの表面の焼きなましによる軟化を抑制できる。その結果、ベルトの異常摩耗を抑制でき、ベルトとプーリとの間の摩擦抵抗が低下することを抑制できる。また、ベルトの破損を抑制することができる。
本発明の一実施形態に係る制御装置が適用される車両の駆動系統の構成を示すスケルトン図である。 車両の前進時および後進時におけるハイブレーキ、リバースブレーキおよびロークラッチの状態を示す図である。 無段変速機構の変速比と動力分割式無段変速機の変速比との関係を示す図である。 合成用歯車機構のサンギヤ、キャリアおよびリングギヤの回転数の関係を示す共線図である。 車両の電気的構成の要部を示すブロック図である。 モード切替禁止処理の流れを示すフローチャートである。
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
<駆動系統の構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る制御装置が適用される車両1の駆動系統の構成を示すスケルトン図である。
車両1は、エンジン(E/G)2を動力源とする自動車である。車両1には、トルクコンバータ3および動力分割式無段変速機4が搭載されている。
トルクコンバータ3は、トルコン入力軸11、トルコン出力軸12、ポンプインペラ13、タービンランナ14およびロックアップクラッチ15を備えている。トルコン入力軸11およびトルコン出力軸12は、エンジン2の出力軸16(以下「E/G出力軸16」という。)と同一の回転軸線を中心に回転可能に設けられている。トルコン入力軸11には、E/G出力軸16が連結されている。ポンプインペラ13の中心には、トルコン入力軸11が接続され、ポンプインペラ13は、トルコン入力軸11と一体的に回転可能に設けられている。タービンランナ14の中心には、トルコン出力軸12が接続され、タービンランナ14は、トルコン出力軸12と一体的に回転可能に設けられている。ロックアップクラッチ15が係合されると、ポンプインペラ13とタービンランナ14とが直結され、ロックアップクラッチ15が解放されると、ポンプインペラ13とタービンランナ14とが分離される。
ロックアップクラッチ15が解放された状態において、E/G出力軸16からトルコン入力軸11に動力が入力されると、トルコン入力軸11およびポンプインペラ13が回転する。ポンプインペラ13が回転すると、ポンプインペラ13からタービンランナ14に向かうオイルの流れが生じる。このオイルの流れがタービンランナ14で受けられて、タービンランナ14が回転する。このとき、トルクコンバータ3の増幅作用が生じ、タービンランナ14には、トルコン入力軸11に入力される動力(トルク)よりも大きな動力が発生する。そして、そのタービンランナ14の動力がトルコン出力軸12から出力される。
ロックアップクラッチ15が係合された状態では、E/G出力軸16からトルコン入力軸11に動力が入力されると、トルコン入力軸11、ポンプインペラ13およびタービンランナ14が一体となって回転する。そして、タービンランナ14の回転による動力がトルコン出力軸12から出力される。
動力分割式無段変速機4は、トルクコンバータ3から出力される動力をデファレンシャルギヤ5に伝達する。動力分割式無段変速機4は、T/M入力軸21、T/M出力軸22、無段変速機構23、一定変速機構24および合成用歯車機構25を備えている。
T/M入力軸21には、トルコン出力軸12が連結されている。
T/M出力軸22は、T/M入力軸21と平行に設けられている。
無段変速機構23は、公知のベルト式の無段変速機(CVT:Continuously Variable Transmission)と同様の構成を有している。具体的には、無段変速機構23は、T/M入力軸21に連結されたプライマリ軸31と、プライマリ軸31と平行に設けられたセカンダリ軸32と、プライマリ軸31に相対回転不能に支持されたプライマリプーリ33と、セカンダリ軸32に相対回転不能に支持されたセカンダリプーリ34と、プライマリプーリ33とセカンダリプーリ34とに巻き掛けられたベルト35とを備えている。
一定変速機構24は、遊星歯車機構41、スプリットドライブギヤ42、スプリットドリブンギヤ43およびアイドルギヤ44を備えている。
遊星歯車機構41には、キャリア45、サンギヤ46およびリングギヤ47が含まれる。キャリア45は、T/M入力軸21に相対回転不能に支持されている。キャリア45は、複数個のピニオンギヤ48を回転可能に支持している。複数のピニオンギヤ48は、円周上に間隔で配置されている。サンギヤ46は、T/M入力軸21に相対回転可能に外嵌されて、各ピニオンギヤ48にT/M入力軸21の回転径方向の内側から噛合している。リングギヤ47は、キャリア45の周囲を取り囲む円環状を有し、各ピニオンギヤ48にT/M入力軸21の回転径方向の外側から噛合している。
スプリットドライブギヤ42は、サンギヤ46と一体回転可能に設けられている。
スプリットドリブンギヤ43は、次に述べる合成用歯車機構25のキャリア51の外周に、キャリア51と一体回転可能に設けられている。
アイドルギヤ44は、スプリットドライブギヤ42およびスプリットドリブンギヤ43と噛合している。
合成用歯車機構25は、遊星歯車機構の構成を有している。すなわち、合成用歯車機構25は、キャリア51、サンギヤ52およびリングギヤ53を備えている。キャリア51の中心には、無段変速機構23のセカンダリ軸32が相対回転可能に挿通されている。キャリア51は、複数個のピニオンギヤ54を回転可能に支持している。複数のピニオンギヤ54は、円周上に配置されている。サンギヤ52は、セカンダリ軸32に相対回転不能に支持されて、各ピニオンギヤ54にセカンダリ軸32の回転径方向の内側から噛合している。リングギヤ53は、キャリア51の周囲を取り囲む円環状を有し、各ピニオンギヤ54にセカンダリ軸32の回転径方向の外側から噛合している。また、リングギヤ53の中心には、T/M出力軸22の一端が接続され、リングギヤ53は、T/M出力軸22と一体回転可能に設けられている。T/M出力軸22の他端部には、出力ギヤ55が相対回転不能に支持されている。
出力ギヤ55の回転は、アイドルギヤ機構6を経由して、デファレンシャルギヤ5に伝達される。アイドルギヤ機構6には、T/M出力軸22と平行に設けられたアイドル軸61と、アイドル軸61に相対回転不能に支持された第1アイドルギヤ62および第2アイドルギヤ63とが含まれる。第1アイドルギヤ62は、出力ギヤ55と噛合している。第2アイドルギヤ63は、デファレンシャルギヤ5に備えられたリングギヤ64と噛合している。
また、動力分割式無段変速機4は、ハイブレーキHB、リバースブレーキRBおよびロークラッチLCを備えている。
ハイブレーキHBは、リングギヤ47を制動する係合状態(オン)と、リングギヤ47の回転を許容する解放状態(オフ)とに切り替えられる。
リバースブレーキRBは、スプリットドライブギヤ42(サンギヤ46)を制動する係合状態(オン)と、スプリットドライブギヤ42の回転を許容する解放状態(オフ)とに切り替えられる。
ロークラッチLCは、T/M出力軸22とセカンダリ軸32とを直結する係合状態(オン)と、その直結を解除する解放状態(オフ)とに切り替えられる。
<動力伝達モード>
図2は、車両1の前進時および後進時におけるハイブレーキHB、リバースブレーキRBおよびロークラッチLCの状態を示す図である。図3は、無段変速機構23の変速比(以下「ベルト変速比」という。)γと動力分割式無段変速機4の変速比(以下「T/M変速比」という。)γallとの関係を示す図である。
図2において、「○」は、ハイブレーキHB、リバースブレーキRBおよびロークラッチLCが係合状態であることを示している。
動力分割式無段変速機4は、車両1の前進時の動力伝達モードとして、ベルトモードおよびスプリットモードを有している。
ベルトモードでは、ハイブレーキHBおよびリバースブレーキRBが解放状態にされる。そして、ロークラッチLCが係合状態にされる。これにより、T/M出力軸22およびセカンダリ軸32が直結される。
T/M入力軸21に入力される動力は、無段変速機構23のプライマリ軸31に伝達され、プライマリ軸31およびプライマリプーリ33を回転させる。プライマリプーリ33の回転は、ベルト35を介して、セカンダリプーリ34に伝達され、セカンダリプーリ34およびセカンダリ軸32を回転させる。ロークラッチLCが係合されているので、T/M出力軸22がセカンダリ軸32と一体に回転する。したがって、ベルトモードでは、図3に示されるように、T/M変速比γallがベルト変速比γと一致する。
T/M出力軸22の回転は、出力ギヤ55、第1アイドルギヤ62、アイドル軸61および第2アイドルギヤ63を介して、デファレンシャルギヤ5のリングギヤ64に伝達される。これにより、車両1のドライブシャフト71,72が前進方向に回転する。
図4は、合成用歯車機構25のキャリア51、サンギヤ52およびリングギヤ53の回転数の関係を示す共線図である。
スプリットモードでは、図2に示されるように、ハイブレーキHBが係合状態にされ、リバースブレーキRBおよびロークラッチLCが解放状態にされる。ハイブレーキHBが係合状態にされることにより、一定変速機構24のリングギヤ47が制動される。また、ロークラッチLCが解放状態にされることにより、T/M出力軸22とセカンダリ軸32との直結が解除される。
T/M入力軸21に入力される動力は、無段変速機構23のプライマリ軸31に伝達され、プライマリ軸31およびプライマリプーリ33を回転させる。プライマリプーリ33の回転は、ベルト35を介して、セカンダリプーリ34に伝達され、セカンダリプーリ34およびセカンダリ軸32を回転させる。セカンダリ軸32の回転により、合成用歯車機構25のサンギヤ52が回転する。
また、一定変速機構24のリングギヤ47が制動されているので、T/M入力軸21に入力される動力は、一定変速機構24のキャリア45を公転させるとともに、そのキャリア45に保持されているピニオンギヤ48を回転させる。ピニオンギヤ48の回転により、ピニオンギヤ48からサンギヤ46に動力が入力される。これにより、ピニオンギヤ48およびスプリットドライブギヤ42が回転する。スプリットドライブギヤ42の回転は、アイドルギヤ44を介して、スプリットドリブンギヤ43に伝達され、スプリットドリブンギヤ43および合成用歯車機構25のキャリア51を回転させる。
一定変速機構24の変速比γが一定で不変(固定)であるので、スプリットモードでは、T/M入力軸21に入力される動力が一定であれば、合成用歯車機構25のキャリア51の回転が一定速度に保持される。そのため、ベルト変速比γが上げられると、図4に示されるように、合成用歯車機構25のサンギヤ52の回転速度が下がるので、合成用歯車機構25のリングギヤ53(T/M出力軸22)の回転速度が上がる。その結果、スプリットモードでは、図3に示されるように、ベルト変速比γが大きいほど、T/M変速比γallが下がる。
T/M出力軸22の回転は、出力ギヤ55、第1アイドルギヤ62、アイドル軸61および第2アイドルギヤ63を介して、デファレンシャルギヤ5のリングギヤ64に伝達される。これにより、車両1のドライブシャフト71,72が前進方向に回転する。
車両1を後進させるための後進モードでは、ハイブレーキHBおよびロークラッチLCが解放状態にされる。そして、リバースブレーキRBが係合状態にされる。これにより、スプリットドライブギヤ42(サンギヤ46)が制動される。スプリットドライブギヤ42の制動により、一定変速機構24のアイドルギヤ44が回転不能となり、スプリットドリブンギヤ43およびキャリア51が回転不能となる。
T/M入力軸21に入力される動力は、無段変速機構23のプライマリ軸31に伝達され、プライマリ軸31およびプライマリプーリ33を回転させる。プライマリプーリ33の回転は、ベルト35を介して、セカンダリプーリ34に伝達され、セカンダリプーリ34およびセカンダリ軸32を回転させる。セカンダリ軸32の回転により、合成用歯車機構25のサンギヤ52が回転する。キャリア51が回転不能なため、サンギヤ52が回転すると、リングギヤ53がサンギヤ52と逆方向に回転する。このリングギヤ53の回転方向は、ベルトモードおよびスプリットモードにおけるリングギヤ53の回転方向と逆方向となる。そして、リングギヤ53と一体にT/M出力軸22が回転する。T/M出力軸22の回転は、出力ギヤ55、第1アイドルギヤ62、アイドル軸61および第2アイドルギヤ63を介して、デファレンシャルギヤ5のリングギヤ64に伝達される。これにより、車両1のドライブシャフト71,72が後進方向に回転する。
<電気的構成>
図5は、車両1の電気的構成の要部を示すブロック図である。
車両1には、複数のECU(電子制御ユニット)が搭載されている。各ECUは、たとえば、CPUおよびメモリを含む構成であり、CAN(Controller Area Network)通信プロトコルによる双方向通信が可能に接続されている。複数のECUには、駆動系統を制御するためのECU81が含まれる。
ECU81には、プライマリ回転数センサ82、セカンダリ回転数センサ83、出力回転数センサ84および油圧センサ85が接続されている。
プライマリ回転数センサ82は、たとえば、無段変速機構23のプライマリプーリ33の回転に同期したパルス信号をECU81に入力する。ECU81は、プライマリ回転数センサ82から入力されるパルス信号の周波数をプライマリ軸31の回転数(プライマリ回転数)に換算する。
セカンダリ回転数センサ83は、たとえば、無段変速機構23のセカンダリプーリ34の回転に同期したパルス信号をECU81に入力する。ECU81は、セカンダリ回転数センサ83から入力されるパルス信号の周波数をセカンダリ軸32の回転数(セカンダリ回転数)に換算する。
出力回転数センサ84は、たとえば、出力ギヤ55の回転に同期したパルス信号をECU81に入力する。ECU81は、出力回転数センサ84から入力されるパルス信号の周波数をT/M出力軸22の回転数(出力回転数)に換算する。
油圧センサ85は、無段変速機構23のセカンダリプーリ34に供給される油圧に応じた検出信号をECU81に入力する。具体的には、セカンダリプーリ34は、セカンダリ軸32に固定された固定シーブ、セカンダリ軸32に相対回転不能かつ軸方向移動可能に支持された可動シーブ、可動シーブとの間に油室を形成するシリンダ、および可動シーブとシリンダとを違いに離間する方向に付勢するシーブスプリングを備え、油室に供給される油圧が制御されることにより、ベルト35に挟圧力を与える構成である。油圧センサ85は、セカンダリプーリ34の油室に供給される油圧を検出し、その油圧に応じた検出信号をECU81に入力する。
ECU81には、制御対象として、動力分割式無段変速機4に油圧を供給するための油圧回路86に含まれる各種のバルブ(図示せず)が接続されている。バルブには、たとえば、動力分割式無段変速機4のハイブレーキHB、リバースブレーキRBおよびロークラッチLCの係合/解放のための油圧をそれぞれ制御するバルブなどが含まれる。
ECU81は、油圧回路86に含まれるバルブを制御して、ハイブレーキHBおよびロークラッチLCの係合/解放を切り替えることにより、ベルトモードとスプリットモードとを切り替える。ベルトモードとスプリットモードとの切り替えは、無段変速機構23の変速比が所定の切替許容範囲内である状態で行われる。切替許容範囲は、一定変速機構24の変速比を含む所定範囲に設定されている。一定変速機構24の変速比は、たとえば、無段変速機構23の最小変速比と同じ値に設定されている。
また、ECU81は、油圧回路86に含まれるバルブを制御して、ロークラッチLCおよびリバースブレーキRBの係合/解放を切り替えることにより、前進モード(ベルトモード)と後進モードとを切り替える。
<モード切替禁止処理>
図6は、モード切替禁止処理の流れを示すフローチャートである。
無段変速機構23の変速比が所定の切替許容範囲内であり、ベルトモードとスプリットモードとを切り替える必要が生じると、ECU81により、図6に示されるモード切替禁止処理が実行される。
モード切替禁止処理では、まず、無段変速機構23のベルト35のエレメント1個あたりが受けるエレメント荷重F(N)が演算される(ステップS1)。
ベルト35は、環状の金属板からなるフープ(無端環状体)に対して多数のエレメントをフープの周方向に連ねた状態で装着することにより構成されている。エレメント荷重Fは、ベルト35の全体がセカンダリプーリ34から受ける荷重fをベルト35に含まれるエレメントの個数Cで除することにより求められる。
荷重fは、セカンダリプーリ34の油室に供給される油圧に、セカンダリプーリ34の可動シーブにおける油圧を受ける部分の面積(受圧面積)を乗じ、その乗算値に、セカンダリプーリ34の可動シーブに作用する遠心油圧と、セカンダリプーリ34のシーブスプリングのばね力とを加えることにより算出される。セカンダリプーリ34の油室に供給される油圧は、油圧センサ85により検出される。可動シーブの受圧面積、可動シーブに作用する遠心油圧およびシーブスプリングのばね力は、セカンダリプーリ34の構成により定まる値であり、それぞれ既知の値である。
個数Cは、エレメントの厚み(周方向の寸法)をセカンダリプーリ34に対するベルト35の巻きかけ角度と巻きかけ径(直径)との乗算値で除することにより算出される。エレメントの厚み(m)は、既知の値であり、巻きかけ角度(rad)および巻きかけ径(m)は、プライマリプーリ33およびセカンダリプーリ34のプーリ比(ベルト変速比γ)により定まる値である。プーリ比は、プライマリ回転数およびセカンダリ回転数から求めることができる。プライマリ回転数およびセカンダリ回転数は、前述したように、それぞれプライマリ回転数センサ82およびセカンダリ回転数センサ83が出力するパルス信号から取得される。
次に、ベルトモードとスプリットモードとが切り替えられた場合に生じるベルト35のスリップ量Vが算出される(ステップS2)。ベルト35の滑り(スリップ)は、ベルト変速比γと一定変速機構24の変速比γとのずれにより発生する。したがって、プライマリ回転数をベルト変速比γで除することにより得られるセカンダリプーリ34の回転数と、プライマリ回転数を変速比γで除することにより得られるセカンダリプーリ34の回転数との差は、ベルト35のスリップ量V(rpm)に相当する。
その後、先に算出したエレメント荷重Fおよびスリップ量Vを用いて、ベルト35の滑りにより生じる発熱量が推定される(ステップS3)。具体的には、エレメント荷重Fから無段変速機構23の伝達トルク容量Trが求められ、スリップ量V、ロークラッチLCとハイブレーキHBとの掛け替え(係合/解放)に要する時間および単位換算のための2π/60を伝達トルク容量Trに乗じることにより、ベルト35の滑りにより生じる発熱量が推定される。
そして、推定された発熱量が所定値以上であるか否かが判定される(ステップS4)。所定値は、たとえば、ベルト35の焼きなましが発生する熱量よりも小さい値に設定されている。
推定された発熱量が所定値以上である場合には(ステップS4のYES)、ベルトモードとスプリットモードとの切り替えが禁止されて(ステップS5)、モード切替禁止処理が終了される。
推定された発熱量が所定値未満である場合には(ステップS4のNO)、ベルトモードとスプリットモードとの切り替えが許可されて(ステップS6)、モード切替禁止処理が終了される。
<作用効果>
以上のように、ベルトモードとスプリットモードとの切り替えに際しては、その切り替えの際のベルト35の滑りにより生じる発熱量が推定される。そして、推定された発熱量が所定値以上である場合には、ベルトモードとスプリットモードとの切り替えが禁止される。これにより、ベルトモードとスプリットモードとが実際に切り替えられたときに、ベルト35の滑りにより生じる発熱量を所定値未満に抑えることができる。
そのため、ベルト35が発熱により焼きなまされることを抑制でき、ベルト35の焼きなましによる軟化を抑制できる。その結果、ベルト35の異常摩耗を抑制でき、ベルト35とプライマリプーリ33およびセカンダリプーリ34との間の摩擦抵抗が低下することを抑制できる。また、ベルト35の破損を抑制することができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、前述の実施形態に限定されない。本発明は、他の形態で実施することもでき、前述の構成には、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
4 動力分割式無段変速機
21 T/M入力軸
22 T/M出力軸
24 一定変速機構
31 プライマリ軸
32 セカンダリ軸
33 プライマリプーリ
34 セカンダリプーリ
35 ベルト
51 キャリア
52 サンギヤ
53 リングギヤ
54 ピニオンギヤ
81 ECU(制御装置、モード切替手段、発熱量推定手段、モード切替禁止手段)

Claims (1)

  1. 入力軸と、出力軸と、前記入力軸に連結されたプライマリ軸と、前記プライマリ軸と平行に設けられたセカンダリ軸と、前記プライマリ軸に支持されたプライマリプーリと、前記セカンダリ軸に支持されたセカンダリプーリと、前記プライマリプーリとセカンダリプーリとに巻き掛けられたベルトと、ピニオンギヤを回転可能に支持するキャリアと、前記ピニオンギヤと噛合し、前記セカンダリ軸が連結されたサンギヤと、前記ピニオンギヤと噛合し、前記出力軸が連結されたリングギヤと、前記入力軸に入力される動力を一定の変速比で変速して前記キャリアに伝達するための一定変速機構とを備え、前記キャリアが自由回転状態で前記サンギヤと前記リングギヤとが直結されるベルトモードと、前記サンギヤと前記リングギヤとの直結が解除され、前記一定変速機構を経由する動力が前記キャリアに伝達されるスプリットモードとに切替可能に構成された動力分割式無段変速機を制御する制御装置であって、
    前記ベルトモードと前記スプリットモードとを切り替えるモード切替手段と、
    前記ベルトモードと前記スプリットモードとの切り替えられる際の前記ベルトの滑りにより生じる発熱量を推定する発熱量推定手段と、
    前記発熱量推定手段により推定される発熱量が所定値以上である場合、前記モード切替手段による前記ベルトモードと前記スプリットモードとの切り替えを禁止するモード切替禁止手段とを含む、制御装置。
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