JP4203647B2 - 単結晶の製造装置、及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば電子機器や医療用機器などに用いられる単結晶の製造技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
加熱にした原料の融液に種結晶を接触させ、この種結晶を引き上げることで、単結晶を製造する単結晶の製造技術が知られている。単結晶の育成は、通常、次の手順で行われる。炉本体内部に、単結晶の原料をいれるとともに周囲に加熱手段を備えたルツボを配置し、前記加熱手段でルツボを加熱して高温になったルツボで原料の融液を加熱する。この融液の表面に、製造しようとする単結晶よりも径の小さい種結晶を接触させると、種結晶と接触した融液は種結晶を介して放熱して冷却され、種結晶の結晶の方向に揃うように結晶を成長させる。結晶の成長に合わせて種結晶が引き上げられ、成長した結晶が順次冷却されてさらに結晶が成長する。これが繰り返されて単結晶が生成される。単結晶成長の初期の段階では、結晶の径を大きくするため、種結晶を引き上げつつ、種結晶から円錐形に径が大きくなるテーパ部を形成する。種結晶の径が所定の大きさに達したら、径を漸次拡大するテーパ部の形成は止められ、軸方向に円柱状に結晶が成長するの直胴部の形成が始まる。
【0003】
このとき、融液の液面はルツボの上端から下がった位置にあるため、引き上げられる単結晶は、ルツボ上端よりも下にある間はルツボ内周面からの放射熱を受けて加熱され、ルツボ上端よりも上に出た部分は、熱を放出して冷却される。十分な長さの直胴部を形成した後、直胴部を融液から離し、ルツボの加熱量を徐々に減らして室温まで冷却する。
【0004】
このような単結晶の製造技術において、欠陥や割れなどが発生すると、欠陥や割れなどが発生した部分は、不良箇所となり製品にならない。したがって、不良箇所の発生率、つまり不良率を低減することが生産性を向上するために必要とされている。単結晶における欠陥や割れなどの発生の原因の一つは、単結晶の育成時や、形成した単結晶の冷却時における単結晶内の温度分布にある。
【0005】
このような単結晶の育成時や単結晶の冷却時における単結晶内の長手方向の温度分布つまり温度勾配を適正にするための単結晶の製造技術として、単結晶の上方に放射熱反射板を配置して単結晶の上方への熱放散を抑制し、単結晶の引き上げと共に放射熱反射板を上昇させることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。さらに、単結晶が生成されるルツボを収容した炉本体の上部開口に、可動式の耐火蓋を設けることが提案されている(例えば、特許文献2参照)。また、単結晶が生成されるルツボの上部に蓋を設けることが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0006】
一方、ルツボ内の融液の温度勾配により生じる密度勾配に起因する自然対流や、表面張力勾配に起因するマランゴリ対流などがルツボ内の融液で発生している。これらの融液の対流が発生すると、単結晶が育成されている部分、つまり単結晶の固液界面部分が平坦にならず、例えば凹状や凸状となり、これにより、単結晶の固液界面近傍部分における半径方向の温度分布が不均一となる。このような、単結晶の固液界面近傍部分における温度分布の不均一を低減する単結晶の製造技術として、単結晶の固液界面部分の形状をできるだけ平坦にするため、単結晶を引き上げる際に、単結晶を回転させたり、円筒状のルツボの中心軸を回転軸として回転させることで、ルツボの半径方向に広がる融液の強制対流を生起させ、融液の全体の対流パターンを制御することが提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開平8−175896号公報(第3−4頁、第5図)
【特許文献2】
特開平6−157187号公報(第2頁、第1図)
【特許文献3】
特開2001−316195号公報(第4−6頁、第1図、第3図)
【特許文献4】
特開平6−183877号公報(第3−4頁、第1図)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1は、単結晶育成過程において単結晶内の長手方向の温度分布を低減して欠陥や割れなどの発生を低減しようとするものである。しかし、単結晶の直上位置に放射熱反射体を設けると冷却時に単結晶内の半径方向における温度分布の差が増大してしまうため、欠陥や割れなどの発生を低減し難い。特許文献2は、冷却過程において耐火物上部に蓋をすることにより冷却速度を遅くし、単結晶内の温度分布を低減して欠陥や割れなどの発生を低減しようとするものである。しかし、単結晶の育成過程における単結晶の表面温度の制御に関して考慮がなされておらず、単結晶の育成過程における温度分布を適正にすることはできず、やはり、欠陥や割れの発生を低減し難い。
【0009】
特許文献3は、ルツボの上部に蓋を設けているため、冷却過程でのルツボ上方における単結晶の表面温度を制御することはできず、やはり、単結晶の育成過程における温度分布を適正にすることはできず、欠陥や割れの発生を低減し難い。加えて、単結晶の育成過程の初期においても、ルツボ上部に蓋が設けられているため、単結晶のテーパ部の面、つまりテーパ面が温度上昇して表面粗れが生じ、逆に欠陥や割れなどが発生し易くなる場合がある。このように、特許文献1乃至3の単結晶の製造技術では、欠陥や割れなどの発生を低減できない場合があり、不良率を低減することは難しい。
【0010】
一方、加熱手段として高周波コイルを含む高周波発生手段を用いた高周波誘導加熱では、単位時間に対する単位体積当たりの発熱量は、金属の表面に誘起される周方向の電流JΘの2乗に比例する。そして、コイルに近い金属ほどJΘは大きくなる。また、電磁界は、金属の角部の表面に集中する性質がある。そこで、高周波誘導加熱により、円筒形のルツボを加熱すると、ルツボの側壁の上端部分と下端部分となる底の周縁部分とに電磁界が集中する。このため、これらのルツボの側壁の上端部分と下端部分での発熱量が他の部分よりも大きくなる。このため、例えば側壁が底の径よりも軸方向に長くなるに連れて、側壁のルツボ側壁の上端部分と下端部分以外の部分の温度が上端部分と下端部分の温度に比べて低くなって行く。したがって、ルツボの温度分布が不均一になり、特許文献4のように、種結晶やルツボを回転させても、融液は、望ましくない対流パターンを呈し、単結晶の固液界面部分が平坦にならない場合がある。
【0011】
さらに、特許文献4のように単結晶やルツボが回転することで、半径方向に広がる強制対流を生起させて、単結晶の固液界面部分を平坦にできる場合であっても、種結晶からテーパ部を育成する過程では、単結晶の直胴部が育成されているときに比べて結晶の外径が小さいため、半径方向に広がる強制対流を十分に生起させることができない。このため、ルツボの底の大きさなどの条件によって、種結晶からのテーパ部の育成段階で、ルツボ内の融液は、望ましくない対流パターンを呈し、単結晶の固液界面部分が平坦にならない場合がある。このように、特許文献4の単結晶の製造技術でも、ルツボの大きさや形状などの条件によって、単結晶の固液界面部分が平坦にならず、温度分布が不均一となるため、欠陥や割れなどの発生を低減できない場合があり、不良率を低減することは難しい。
【0012】
本発明の課題は、単結晶の製造における不良率を低減することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
結晶に生ずる欠陥や割れなどの発生の主な原因の一つは、冷却過程において単結晶の中心部よりも外周部が先に冷却されるため、単結晶内の温度分布が不均一になることにある。特に、単結晶の半径方向の温度差による熱応力の影響が大きいのに比較して、単結晶の長手方向の直線的な温度分布による熱応力は小さいことを本発明の発明者らは見いだした。このことから、冷却過程において結晶の外周面を保温することにより単結晶の半径方向における温度差を低減することが有効であること、さらに、単結晶の半径方向における温度差を低減すると共に、単結晶の上端面つまりテーパ部のテーパ面のみを冷却して長手方向における温度分布を直線的にして冷却速度を維持することが有効であることを本発明の発明者らは見いだした。
【0014】
そこで、本発明の単結晶の製造装置は、原料を収容するルツボと、該ルツボ内の原料を加熱する加熱手段と、種結晶を前記ルツボ内から上方へ移動する結晶移動手段とを備えた単結晶の製造装置であり、少なくとも前記ルツボの側壁の上端部分近傍から上方に延在し、形成される単結晶を囲み、伝熱性を有する材料で形成した伝熱部材を設けた構成とすることにより上記課題を解決する。
【0015】
このような構成とすることにより、ルツボから出た単結晶が冷却されるとき、単結晶の下方にあるルツボの熱が伝熱部材によってルツボ外の上方に伝わり、単結晶の外周面からの放熱量を低減する。このため、単結晶の半径方向における温度差が低減される。したがって、欠陥や割れなどの発生を低減でき、不良率を低減できる。
【0016】
また、本発明の単結晶の製造装置は、少なくとも単結晶育成後の冷却時に、形成された単結晶の種結晶に連続して漸次拡径するテーパ部と形成された単結晶のテーパ部に連続する円柱状の直胴部との境界部分の外周位置に、直胴部の径よりも大きな径の開口を有し放射熱を遮断する円盤状又は平板リング状の境界部分放射熱遮断体を設けた構成とすることにより上記課題を解決する。
【0017】
このようにすれば、ルツボから出た単結晶の直胴部が冷却されるとき、単結晶の直胴部外周面から上方への放射伝熱による放熱が遮断されると共に、装置上方から比較的低温のガスが単結晶の直胴部外周面の周囲に流入することが遮断される。このため、単結晶の直胴部内の半径方向における温度差が低減される。さらに、単結晶のテーパ部のテーパ面のみを冷却して長手方向における温度分布を直線的にして冷却速度を維持できる。したがって、欠陥や割れなどの発生を低減でき、不良率を低減できる。
【0018】
さらに、テーパ部と直胴部との境界部分から上方への放射熱を遮断する放射熱遮断体が上下方向に移動可能であり、この放射熱遮断体を上下方向に移動させる境界部分放射熱遮断体移動手段を設けた構成とする。このような構成とすれば、単結晶の育成時にも放射熱遮断体をテーパ部と直胴部との境界部分に位置させ、テーパ部と直胴部との境界部分から上方への放射熱などを遮断できるため、欠陥や割れなどの発生をより低減でき、不良率をより低減できる。
【0019】
また、結晶に生ずる欠陥や割れなどの発生の別の原因は、単結晶の育成時にテーパ部のテーパ面の温度が上昇し過ぎ表面粗れが生じることにあることを本発明の発明者らは見いだした。単結晶の成長初期の、単結晶のテーパ部がルツボ内に位置しているテーパ部の形成時において、テーパ部のテーパ面の温度上昇を抑制することが、このテーパ面の表面粗れを抑制するのに有効である。一方、単結晶のテーパ部が形成された後の、単結晶の直胴部の形成時には、ルツボから出ているテーパ部からの放熱を大きくし、かつルツボ内にある直胴部の外周面からの放熱を低減することが、融液の液面位置、つまり固液界面位置における、生成中の単結晶の半径方向における温度分布の不均一、つまり温度差を低減するのに効果がある。
【0020】
そこで、本発明の単結晶の製造方法は、原料を入れたルツボを加熱し、原料の融液に種結晶を接触させながら引き上げて単結晶を製造する単結晶の製造方法であって、単結晶の直径を大きくする単結晶の成長初期の単結晶のテーパ部形成時及びテーパ部に連続して円柱状に成長する単結晶の直胴部形成時のうち、単結晶のテーパ部形成時には、ルツボの内面と単結晶のテーパ部との間に放射熱を遮断するルツボ内放射熱遮断体を配置して、ルツボの内面から単結晶のテーパ部に到達する放射熱を遮断することにより上記課題を解決する。
【0021】
また、本発明の単結晶の製造装置は、単結晶を囲み、ルツボの内面からこのルツボの内に位置する単結晶に向かう放射熱を遮断するルツボ内放射熱遮断体と、この放射熱遮断体を上下方向に移動させるルツボ内放射熱遮断体移動手段とを設け、このルツボ内放射熱遮断体移動手段は、単結晶成長初期の単結晶の直径を大きくする単結晶のテーパ部形成時に、単結晶のテーパ部を囲む位置にルツボ内放射熱遮断体を移動させ、テーパ部に連続して円柱状に成長する単結晶の直胴部形成時には、ルツボの内面から直胴部の外周面に到達する放射熱を遮断しない位置にルツボ内放射熱遮断体を移動させる構成とすることにより上記課題を解決する。
【0022】
このような構成とすれば、単結晶のテーパ部の形成時には、ルツボ内面からの放射熱によるテーパ部のテーパ面の加熱がルツボ内放射熱遮断体により抑制され、テーパ面の温度上昇が抑制され、テーパ面の表面粗れを抑制できる。一方、単結晶の直胴部の形成時には、ルツボ内放射熱遮断体が結晶から離れた位置に移動するため、単結晶のテーパ部から上方への放熱が妨げられず、ルツボ内に位置する単結晶の直胴部の外周面がルツボ内面からの放射熱を受けることにより、単結晶の直胴部の外周部の温度降下が低減され、結晶成長面、つまり融液の液面位置における単結晶の半径方向における温度差を低減できる。したがって、欠陥や割れなどの発生を低減でき、不良率を低減できる。
【0023】
さらに、加熱手段が軸線を上下方向にしてルツボを囲んで巻回され高周波電流が通電される高周波コイルを含む高周波発生手段であり、単結晶を囲み、ルツボの内面からこのルツボの内に位置する単結晶に向かう放射熱を遮断するルツボ内放射熱遮断体は、非金属性の材料で作り、中央に種結晶、及び結晶移動手段の棒状または帯状のシードホルダーを挿通可能な開口を備えた円錐形状、もしくは内径が単結晶の直胴部の径より大きい円筒形状とした構成とすることが望ましい。
【0024】
さらに、本発明の単結晶の製造方法は、単結晶の直径を大きくする単結晶の成長初期の単結晶のテーパ部形成時及びテーパ部に連続して円柱状に成長する単結晶の直胴部形成時のうち、単結晶の直胴部形成時には、ルツボの上端部分から上方への放射熱を遮断することにより上記課題を解決する。
【0025】
また、本発明の単結晶の製造装置は、単結晶が挿通可能で導電性のルツボの上端部分から上方への放射熱を遮断する直胴部放射熱遮断体と、この直胴部放射熱遮断体を上下方向に移動させる直胴部放射熱遮断体移動手段とを設け、加熱手段は、ルツボを囲む高周波コイルを含む高周波発生手段で形成されるとともに、高周波コイルの上端部がルツボの上端部分よりも低くなるように設けられ、直胴部放射熱遮断体移動手段は、単結晶成長初期の、単結晶の直径を大きくする単結晶のテーパ部形成時には、直胴部放射熱遮断体をルツボの上端部分から離れた位置に移動させ、テーパ部に連続して円柱状に成長する単結晶の直胴部形成時には、直胴部放射熱遮断体を、単結晶の直胴部外周面とルツボの内周面との間、もしくは単結晶の直胴部外周面とルツボの上端部分との間に位置させる構成とすることにより上記課題を解決する。
【0026】
このようにすれば、単結晶の直胴部の形成時には、直胴部放熱遮断体により、ルツボ内にある単結晶の直胴部の外周面からの放熱が低減されるので、単結晶の生成面、すなわち、融液の液面位置における単結晶の半径方向における温度差を低減できる。一方、単結晶のテーパ部の形成時には、テーパ部のテーパ面からの放熱を妨げるものがないので、テーパ部から上方へ放熱ができ、ルツボの融液液面よりも上の部分の加熱量を少なくすることにより、テーパ面の温度上昇を抑制し、表面粗れを抑制できる。したがって、欠陥や割れなどの発生を低減でき、不良率を低減できる。
【0027】
さらに、加熱手段が軸線を上下方向にしてルツボを囲んで巻回され高周波電流が通電される高周波コイルを含む高周波発生手段であり、単結晶が挿通可能でルツボの上端部分から上方への放射熱を遮断する放射熱遮断体が金属製である構成とすれば、単結晶の直胴部外周からの放熱を更に少なくし、単結晶の生成面、すなわち、融液の液面位置における単結晶の半径方向における温度差をより低減できる。
【0028】
また、本発明の単結晶の製造装置は、原料を収容する導電性のルツボと、このルツボを囲んで設けられた高周波コイルを含む高周波発生手段と、種結晶を回転させながら前記ルツボ内から上方へ移動する結晶移動手段とを備えた単結晶の製造装置であり、ルツボの側壁の上端部分と下端部分との間の部分のみを、高周波発生手段の作動により加熱する壁側加熱部材を設けた構成とすることにより上記課題を解決する。
【0029】
このような構成とすれば、壁側加熱部材を設けている場合、ルツボの上端部分や下端部分に加えて、ルツボの上端部分と下端部分との間の部分も加熱するようになり、ルツボの側壁の温度分布を均一化できる。この結果、ルツボの側壁に沿って液面に向かって上昇する融液の対流を生起させることができ、ルツボ内の融液が望ましくない対流パターンを呈するのを防ぐことができる。したがって、ルツボの大きさや形状などの条件に関係なく単結晶の固液界面部分を平坦化して欠陥や割れなどの発生を低減でき、不良率を低減できる。
【0030】
さらに、本発明の単結晶の製造装置は、ルツボの底に、この底の中央部分を、高周波発生手段の作動により加熱する底側加熱部材を設けた構成とすることにより上記課題を解決する。
【0031】
このような構成とすれば、底側加熱部材を設けている場合、ルツボの下端部分、つまりルツボの底の周縁部分に加えて、底の中央部分を加熱するようになり、ルツボの底の中央部分から種結晶または単結晶の固液界面部分に向かって上昇し、種結晶または単結晶の固液界面部分に当たって半径方向に広がる融液の対流を生起させることができ、ルツボ内の融液が望ましくない対流パターンを呈するのを防ぐことができる。したがって、ルツボの大きさや形状などの条件に関係なく単結晶の固液界面部分を平坦化して欠陥や割れなどの発生を低減でき、不良率を低減できる。
【0032】
また、壁側加熱部材は、ルツボの側壁外面の上端部分と下端部分との間の部分に、導電性を有する材料でルツボの側壁外面の周方向に沿って延在させて設けた突起状の部材で形成されている構成とする。このような構成とすれば、高周波コイルで発生した電磁界は、高周波コイルに近く尖った角部に集中するため、高周波コイルで発生した電磁界によって、ルツボの上端部分や下端部分に加えて、突起状の部材で形成された壁側加熱部材も発熱し、ルツボの上端部分と下端部分との間の部分を加熱できる。
【0033】
さらに、底側加熱部材は、ルツボの底外面の中央部分に熱を伝える熱伝導性を有する材料で形成した伝熱部と、この伝熱部よりも大きな径を有し、導電性を有する材料で形成した盤状の発熱部とで形成されている構成とする。また、加熱部材は、ルツボの底外面の中央部分に対応する位置に伝熱部となる貫通穴を有する断熱性の材料で形成した断熱部材と、この断熱部材の貫通穴よりも大きな径を有し、導電性を有する材料で形成した盤状の発熱部とで形成されている構成とする。このような構成とすれば、高周波コイルで発生した電磁界は、高周波コイルに近く尖った角部に集中するため、高周波コイルで発生した電磁界によって、底側加熱部材の発熱部の周縁部でも発熱する。この発熱部の熱が底側加熱部材の伝熱部または断熱部材の貫通穴を介してルツボの底の中央部分に伝えられるため、ルツボの底の中央部分を加熱できる。
【0034】
さらに、発熱部が円盤状であり、発熱部の直径がルツボの底の直径の2/3以上である構成とすれば、高周波発生手段により確実に発熱部の周縁部分で発熱させることができる。
【0035】
また、壁側加熱部材及び底側加熱部材がルツボに着脱自在に取り付けられている構成とする。さらに、壁側加熱部及び底側加熱部がルツボと接触した位置と、壁側加熱部材及び底側加熱部材がルツボと離れた位置との間で壁側加熱部材及び底側加熱部材を移動する加熱部材移動手段を設けた構成とする。このような構成とすれば、単結晶を育成する段階などに応じて、壁側加熱部材及び底側加熱部材をルツボに着脱し、ルツボの側壁及び底の壁側加熱部及び底側加熱部による加熱を必要に応じて選択できる。
【0036】
また、高周波コイルを含む高周波発生手段と、種結晶を回転させながら前記ルツボ内から上方へ移動する結晶移動手段とを備えた単結晶の製造装置を用いて単結晶を育成するとき、ルツボの側壁の上端部分と下端部分との間の部分及びルツボの底の中央部分の少なくとも一方を加熱する単結晶の育成方法とすれば、ルツボ内の融液の加熱分布を制御できるため、育成する単結晶の品質を向上できる。
【0037】
上記のいずれかに記載の単結晶の製造装置あるいは単結晶の製造方法により製造した単結晶とすれば、単結晶の品質を向上できる。
【0038】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
以下、本発明を適用してなる単結晶製造技術の第1の実施形態について図1及び図2を参照して説明する。図1は、本発明を適用してなる単結晶の製造装置の概略構成を冷却過程の状態で示す縦断面図である。図2は、本発明を適用してなる単結晶の製造装置の概略構成を育成過程の状態で示す縦断面図である。
【0039】
本実施形態の単結晶の製造装置は、例えば融点が1500℃以上といった単結晶の製造装置であり、図1及び図2に示すように、円筒状のルツボ1、ルツボ1の側壁1a外面を囲み、ルツボ1よりも高さが高い円筒状の伝熱部材3、伝熱部材3の上端部分に設けられて中央部分に開口5を有する円盤状の境界部分放射熱遮断体となる放射熱遮断部材7、伝熱部材3の外側を取り囲む耐火物9、耐火物9の外側で高周波を発生する高周波コイル11を含む高周波発生手段、そして種結晶13及び育成された単結晶15を保持する棒状または帯状のシードホルダー17を含んでシードホルダー17に保持された結晶を回転させながら上方に引き上げる結晶移動手段などを備えている。
【0040】
ルツボ1は、上端が開口され、下端が閉塞されて底1bが形成された円筒状の容器であり、導電性を有し高融点の金属材料、例えばイリジウム、白金、タングステン、モリブデンなどで形成されている。伝熱部材3は、伝熱性を有する材料、例えば高熱伝導アルミナ、セラミック、イリジウムなどで形成されている。伝熱部材3は、上端と下端が開口されて、内径が、ルツボ1の外径と同じか、または、ルツボ1の外径より大きい円筒状であり、ルツボ1及びルツボ1の上方の空間を囲んだ状態で設置されている。伝熱部材3の上端は、図1に示すような単結晶の製造の冷却過程において単結晶15が保持されているときに、単結晶15の漸次拡径する円錐状のテーパ部15aと、テーパ部15aに連続して形成される円柱状の直胴部15bとの境界部分に対応する位置に在る。
【0041】
境界部分放射熱遮断体となる放射熱遮断部材7は、中央部分に単結晶15の直胴部15bの径よりも大きな径を有する開口が形成された円盤状または平板リング状で、放射熱を遮断可能な材料、例えばイリジウム、アルミナ、セラミック、ジリコニアなどで形成されている。放射熱遮断部材7は、伝熱部材3の上端に対応する位置、つまり単結晶の製造の冷却過程において保持された単結晶15のテーパ部15aと直胴部15bとの境界部分に対応する位置に、耐火物9に外周縁部分が取り付けられて保持されている。放射熱遮断部材7の中央部分に設けられた開口は、単結晶15に接触しないできるだけ小さいな径で形成することが望ましい。また、放射熱遮断部材7を形成する材料は、放射熱を遮断可能であれば、伝熱性を有する材料であっても、断熱性の材料であってもよいが、放射熱の遮断能力を向上する上では断熱性の材料を用いる方が望ましい。
【0042】
耐火物9は、上端が開口され、下端が閉塞されて底が形成されたルツボ1及び伝熱部材3よりも大きな円筒状の容器であり、絶縁性と断熱性を有する高温耐性の材料、例えば低熱伝導アルミナ、ジリコニア、アルミナウールなどで形成されている。耐火物9の高さは、伝熱部材3よりも高くなっている。高周波発生手段は、図1及び図2では図示していない高周波電源や、高周波電源と図示していない配線で電気的に接続された高周波コイル11などを備えている。高周波コイル11は、耐火物9の外側で、ルツボ1の側壁1aに対応する位置に、上下方向を中心軸として、この耐火物9の外側を取り囲んだ状態で設置されている。結晶移動手段は、棒状または帯状のシードホルダー17、そしてシードホルダー17が垂下されると共に、シードホルダー17を回転させながら引き上げる図示していない駆動部などを備えている。
【0043】
なお、ルツボ1、伝熱部材3、放射熱遮断部材7、耐火物9、高周波コイル11、そして、シードホルダー17の一部分などは、容器19内に収容されている。ルツボ1は、容器19の底面に設置された支持部材21上に支持されている。また、容器19の天井には、ルツボ1の開口の中央部分に対応する位置に貫通穴23が形成されており、この貫通穴23にシードホルダー17が上方から垂下された状態で挿通されている。
【0044】
このような構成の単結晶の製造装置の動作と本発明の特徴部について説明する。ルツボ1中には、結晶の原料である結晶材料、例えばGd2SiO5、Bi4Ge3O12、Lu2SiO5などが収容されており融液25となっている。図示していない高周波電源から高周波電流を高周波コイル11に流すと、導電性のルツボ1に誘導電流が流れる。これにより、ジュール加熱によってルツボ1が加熱され、昇温したルツボ1内の融液25が加熱された状態となる。この状態で、この融液25に、シードホルダー17の下端部に保持された種結晶13を接触させて、融液25から引き上げると、図2に示すように、単結晶15が生成される。単結晶の製造は、図2に示すように、最初、種結晶13に連続して漸次拡径する円錐状に単結晶15のテーパ部15aを形成し、テーパ部15aに連続して、円柱状の直胴部15bを形成する育成過程と、図1に示すように、生成された単結晶15を引き上げた状態でシードホルダー17に保持したまま放置して冷却する冷却過程とを含んでいる。
【0045】
図2に示すような育成過程では、育成される単結晶15は、種結晶13及び単結晶15の表面から放射伝熱によって容器19の天井に向かって放熱され、さらに、種結晶13とシードホルダー17を経た熱伝導によって冷却されることにより、結晶材料の融点以下となっているため、融液25に接触している単結晶15の下面が成長面15cとなり、新しい結晶が成長する。
【0046】
このとき、ルツボ1の発熱は、融液25に接している部分と、融液25より上方にある部分との両方で生じるが、このルツボ1の発熱により生じた熱は、伝熱部材3を伝導し、ルツボ1よりも上方に伝わる。このため、伝熱部材3によって囲まれた空間は、伝熱部材3が内場合に比べ、どの高さにおいても生成直後の単結晶15に近い温度になっている。したがって、育成過程においてルツボ1から上方に出て冷却される単結晶15の外周面からルツボ1外の単結晶15の周囲の空間への放射伝熱による放熱が少なくなり、単結晶15の半径方向の温度差が低減される。
【0047】
一方、冷却過程は、図1に示すように、長く成長した単結晶15を融液25から離し、加熱量を少しづつ減らして室温まで冷却するものである。この冷却過程においては、十分に長く成長した単結晶15を上方に移動し、融液25から切り離す。高周波コイル11から発生する高周波電力を少しづつ低減することにより、温度を下げてゆく。このとき、育成過程と同様に、伝熱部材3にルツボ1の発熱による熱が伝わることにより、単結晶15の外周面からルツボ1外の単結晶15の周囲の空間への放熱が少なくなる。
【0048】
さらに、冷却過程では、単結晶15のテーパ部15aと直胴部15bとの境界部分に対応する位置に放射熱遮断体7が在るため、放射熱遮断体7が蓋の役割を果たし、単結晶15のテーパ部15aと直胴部15bとの境界部分から上方への放射伝熱による放熱が少なくなる。容器19内の天井部分などの比較的低温のガスが単結晶15のテーパ部15aと直胴部15bとの境界部分から下方に流入し難くなる。つまり、単結晶15の直胴部15bのみが保温され、単結晶15の直胴部15bのみからの放熱が低減された状態となる。これにより、単結晶15の直胴部15bの半径方向における温度差が低減される。
【0049】
一般的に、冷却過程では、育成過程と異なり、ルツボ1の発熱が小さいため単結晶15の半径方向における温度差、つまり不均一な温度分布が生じやすい。しかし、本実施形態では、伝熱部材3と放射熱遮断体7の両者の作用が合わさって冷却過程での単結晶15の直胴部15b外周面からの放熱が少なくなり、半径方向の温度差が低減される。さらに、単結晶15のテーパ部15aでは、テーパ部15aのテーパ面からの放射伝熱と、容器19内の比較的低温のガスがテーパ部15aのテーパ面に流ることによる対流伝熱とによる放熱があり、適切な冷却速度で単結晶15を冷却できる。テーパ部15aのテーパ面からの放熱により単結晶15の縦方向、つまり長手方向には温度勾配が一定の直線的温度分布を有して生じるが、この長手方向の温度勾配つまり温度差による熱応力は小さいため、この長手方向の温度差により欠陥や割れなどは生じ難い。
【0050】
このように、本実施形態の単結晶の製造装置及び単結晶の製造方法では、伝熱部材3を備えており、ルツボ1から出た単結晶15が冷却されるとき、ルツボ1の熱が伝熱部材3によってルツボ1外の上方の伝熱部材3で囲まれた空間に伝わり、単結晶15の外周面からの放熱量を低減する。このため、単結晶15の半径方向における温度差が低減される。したがって、欠陥や割れなどの発生を低減でき、単結晶の製造における不良率を低減できる。
【0051】
さらに、本実施形態の単結晶の製造装置及び単結晶の製造方法では、単結晶15のテーパ部15aと直胴部15bとの境界部分から上方への放射熱を遮断する放射熱遮断体7を備えているため、冷却過程において単結晶15が冷却されるとき、単結晶15の直胴部15b外周面からの放射伝熱による放熱が遮断されると共に、容器19内の天井近傍などから比較的低温のガスが単結晶15の直胴部15b外周面の周囲の空間に流入することが遮断される。このため、単結晶15の直胴部15b内の半径方向における温度差が低減される。また、単結晶15のテーパ部15aのテーパ面のみを冷却して単結晶15の長手方向における温度分布を直線的にして冷却速度を維持できる。したがって、欠陥や割れなどの発生を低減でき、単結晶の製造における不良率を低減できる。
【0052】
加えて、本実施形態の単結晶の製造装置及び単結晶の製造方法では、放射熱遮断体7と共に伝熱部材3を備えているため、冷却過程において単結晶15の直胴部15bの保温効果を向上でき、欠陥や割れなどの発生をより低減し、単結晶の製造における不良率をより低減できる。
【0053】
さらに、欠陥や割れなどの発生をより低減できるということは、欠陥や割れに繋がる結晶の欠落を低減できることであり、製品となった単結晶の結晶の欠落も低減できることとなるため、製品化された単結晶の品質を向上することもできる。
【0054】
ところで、従来の単結晶の製造技術では、単結晶の直上位置に放射熱反射体を設けたり、冷却過程にて耐火物上部に蓋をしたり、ルツボ上部に蓋を設けている。このため、育成過程や冷却過程における冷却時間が長くなり、育成過程における単結晶の成長速度が低下すると共に、冷却過程における単結晶の冷却時間が長くなることから、生産能力が低下してしまうという問題もある。
【0055】
これに対して、本実施形態の単結晶の製造技術では、育成過程では、蓋となるものが無い状態であり、冷却過程では、単結晶のテーパ部から放熱できる状態であるため、育成過程における単結晶の成長速度が低下し難く、また、冷却過程における冷却時間は長くなり難い。したがって、生産能力の低下を抑制することができる。
【0056】
また、本実施形態では、境界部分放射熱遮断体として、伝熱部材3の上端部分に設けられて中央部分に開口5を有する円盤状の放射熱遮断部材7を示したが、境界部分放射熱遮断体は、このような構成に限らず、単結晶の直胴部とテーパ部との境界部分に対応する位置に在り、上方への放射熱を遮断できれば様々な構成にすることができる。例えば、図3に示すように、耐火物9の上端部を冷却過程における単結晶15のテーパ部15aと直胴部15bとの境界部分に対応する位置とし、この耐火物9の上端部に、この上端部から単結晶に向かってリング状に突出した蓋部9aを境界部分放射熱遮断体として形成した構成とすることもできる。
【0057】
このとき、耐火物9は、厚みがあるため、耐火物9の蓋部9aの下面が単結晶15のテーパ部15aと直胴部15bとの境界部分に対応する位置に来るようにし、蓋部9aの中央部分に形成された開口部9bは、上に行くに従って漸次拡径するテーパ状の開口とする。これにより、単結晶15のテーパ部15aと直胴部15bとの境界部分から上方への放射熱が遮断されると共に、単結晶15のテーパ部15aが厚みのある耐火物9の蓋部9aで囲まれて保温されるのを防ぐことができる。
【0058】
また、本実施形態では、伝熱部材として、ルツボ1の側壁1a外面を囲み、ルツボ1よりも高さが高い円筒状の伝熱部材3を示したが、伝熱部材は、このような構成に限らず、ルツボ1またはルツボ1近傍の熱を上方に伝えることができれば様々な構成にすることができる。例えば、図3に示すように、ルツボ1の上端部分近傍に下端部分が位置し、上端部分が冷却過程における単結晶15の直胴部15bの途中の高さまでとすることもできる。このように伝熱部材は、ルツボ1と接触していたり、ルツボ1を囲んでいる必要はなく、また、高さも境界部分放射熱遮断体を設けたか否かなどの条件などにより適宜選択できる。
【0059】
また、本実施形態では境界部分放射熱遮断体となる放射熱遮断部材7と伝熱部材3との両方を設けた構成を示したが、境界部分放射熱遮断体と伝熱部材とはいずれか一方だけを設けても、本発明の効果を得ることができる。ここで、境界部分放射熱遮断体のみを設けた場合の効果を数値シミュレーションにより計算した例を示す。計算条件として、結晶材料を融点1950℃のGd2SiO5とし、図1に示すような放射熱遮断部材7が有る場合と無い場合の結晶内温度分布を計算した。計算の結果、冷却過程の単結晶15の中央部分の高さにおける半径方向の温度差が、放射熱遮断部材7が無い場合には50℃程度であるのに対し、放射熱遮断部材7が有る場合には35℃程度になった。このように、境界部分放射熱遮断体のみを設けても冷却過程における単結晶の半径方向の温度差を低減でき、熱応力による割れなどを防止し、不良率の低減や、品質の向上などが可能となる。ただし、境界部分放射熱遮断体と伝熱部材との両方を設ければ、いずれか一方をを設けた場合よりもこれらの効果を向上できる。
【0060】
(第2の実施形態)
以下、本発明を適用してなる単結晶製造技術の第2の実施形態について図4を参照して説明する。図4は、本発明を適用してなる単結晶の製造装置の概略構成を育成過程の状態で示す縦断面図である。なお、本実施形態では、第1の実施形態と同一のもの及び動作などには同じ符号を付して説明を省略し、第1の実施形態と相違する構成及び特徴部などについて説明する。
【0061】
本実施形態の単結晶製造技術が第1の実施形態と相違する点は、境界部分放射熱遮断体を上下方向に移動可能としたことにある。すなわち、本実施形態の単結晶の製造装置は、図4に示すように、中央部分に単結晶15の直胴部15bの径に対応する貫通穴27が形成された円盤リング状の放射熱遮断部材29、放射熱遮断部材29を支持すると共に上下方向に移動させる境界部分放射熱遮断体移動手段などを備えている。境界部分放射熱遮断体となる放射熱遮断部材29は、円盤の面を上下方向に向けた状態で、境界部分放射熱遮断体移動手段を構成する棒状の支持部材によって支持されている。境界部分放射熱遮断体移動手段は、放射熱遮断部材29を支持し、容器19の天井に形成された貫通穴に挿通されて上下方向に延在する棒状の支持部材31、容器19の外側に設けられて支持部材31を上下方向に移動させるための図示していない移動機構などで構成されている。
【0062】
このような本実施形態では、放射熱遮断部材29は、冷却過程だけでなく、育成過程においても単結晶15のテーパ部15aと直胴部15bとの境界部分に対応する位置に位置し、単結晶15の成長と共に上方に移動する。この結果、育成過程と冷却過程の両者において、放射熱遮断部材29の作用により単結晶15の半径方向の温度差が低減され、単結晶の製造における不良率を低減できる。
【0063】
さらに、品質の向上や生産能力の向上といった効果も得られる。
【0064】
なお、製造する単結晶の種類などの条件によって、育成過程には放射熱遮断部材29を単結晶15や耐火物9から離して装置上部に移動させ、冷却過程のみに単結晶15の境界部分に位置させるような動作を行うこともできる。この場合、育成過程では放射熱遮断部材29による放射熱遮蔽作用がないため、単結晶15の周囲からの放熱により、成長速度を大きくでき、冷却過程のみに単結晶15の半径方向の温度分布を均一化させられる。製造する単結晶の種類などの条件によっては、単結晶15の育成過程では結晶の半径方向の温度差が生じるが、結晶の材料物性として融点に近い場合には流動性があり欠陥や割れなどが発生し難い場合もある。
【0065】
(第3の実施形態)
以下、本発明を適用してなる単結晶製造技術の第3の実施形態について図5乃至図7を参照して説明する。図5は、本発明を適用してなる単結晶の製造装置の概略構成を育成過程におけるテーパ部形成時の状態で示す縦断面図である。図6は、単結晶のテーパ部形成時における放射熱遮断筒の配置がわかるように示したルツボ近傍の斜視図である。図7は、図5に示す単結晶の製造装置の育成過程における直胴部形成時の状態を示す縦断面図である。なお、本実施形態では、第1及び第2の実施形態と同一のもの及び動作などには同じ符号を付している。
【0066】
本実施形態の単結晶の製造装置は、図5に示すように、軸線を上下方向にして配置された、縦断面が矩形の円筒状の容器19と、容器19の底面19a上面に支持部材21で支持され容器19と同心状に配置された円筒状の断熱材である耐火物9と、耐火物9の底面9a上に耐火物9と同心状に配置されたルツボ1と、容器19の上面19bの中心部分に形成された開口に挿通され、耐火物9の中心線上を上下動可能に配置された棒状及び帯状のシードホルダー17を含む結晶移動手段と、シードホルダー17の下端に装着された種結晶13と、棒状または帯状のシードホルダー17と同心状に配置され、耐火物9の中心線に沿って上下動可能に構成されたルツボ内放射熱遮断体となる放射熱遮断筒33と、容器19の上面19bに形成された開口に挿通され、放射熱遮断筒33を耐火物9の中心線に沿って上下に移動させるルツボ内放射熱遮断体移動手段となる放射熱遮断筒移動手段と、耐火物9の下部外周に耐火物9と同心状に巻回されたルツボ1の高周波誘導加熱用の高周波コイル11とを含んで構成されている。
【0067】
容器19は、上下が閉じられた円筒状をなし、上面19bに前記シードホルダー17が挿通される開口、及び放射熱遮断筒移動手段が有する棒状の放射熱遮断筒33の支持部材35が挿通される開口が形成されている。耐火物9は、下端が底面9aで閉じられ、上部が開放された円筒状をなしている。また、高周波コイル11は、ルツボ1の全体を加熱するように、耐火物9の下端部分から、ルツボ1の上端部分に対応する耐火物9の外周面位置よりも上の方にまで、巻回されている。ルツボ1には、単結晶の材料である融液25が、ルツボ1の上端よりも少し低い位置に液面が来る程度に満たされる。
【0068】
放射熱遮断筒33は、非金属材料、例えば結晶材料と同じ材料などで作られ、図6に示すように、内径が製品単結晶の直胴部の径と同じかそれより大きい、短い筒状をなしている。なお、結晶移動手段は、シードホルダー17、シードホルダー17を上下方向に移動させるための図示していない移動機構などで構成されている。同様に、ルツボ内放射熱遮断体移動手段は、支持部材35、支持部材35を上下方向に移動させるための図示していない移動機構などで構成されている。
【0069】
このような構成の単結晶の製造装置の動作と本発明の特徴部について説明する。高周波コイル11への通電によってルツボ1の近傍に高周波が発生し、金属製のルツボ1が発熱する。ルツボ1が高温となり結晶材料の融液25を高温にする。種結晶13の下端部が融液25に接触され、種結晶13に接触した融液25は種結晶13とシードホルダー17を経た熱伝導によって冷却され、種結晶13が結晶材料の融点以下になっているため、融液25に接触している種結晶13の表面に新しい結晶つまり単結晶15が成長する。新しい結晶の成長につれて種結晶13はシードホルダー17によって上方に引き上げられるが、種結晶13及び単結晶15の表面から放射伝熱によって容器19の天井部及び耐火物9の内面に放熱するとともに、種結晶13とシードホルダー17とを経た熱伝導によって冷却され、単結晶15が結晶材料の融点以下になっているため、融液25に接触している単結晶15の表面に新しい結晶が成長する。
【0070】
単結晶の成長初期のテーパ部形成時には、図5に示すように、単結晶15の直径を次第に大きくするように、単結晶15の上部表面は円錐形に末広がりのテーパ形状をなすテーパ部15aが形成される。この段階では、テーパ部15aのテーパ面が、融液25の液面より上方のルツボ内面37に直接対面しないように、ルツボ内面37と単結晶15のテーパ部15aのテーパ面との間になる位置に、放射熱遮断筒33が、種結晶13、即ちシードホルダー17と同心状に移動、配置される。放射熱遮断筒33の軸方向の長さは、テーパ部形成時に融液25の液面が最も低下したときでも、テーパ部15aのテーパ面の最上部からテーパ部15aのテーパ面の最下部まで、ルツボ内面37からの放射熱がテーパ部15aのテーパ面に到達することが防げるような長さにしてある。
【0071】
ルツボ1の発熱は融液25に接している部分と融液25より上方にある部分の両方で生じるが、図5に示したテーパ部形成時には、放射熱遮断筒33によって高温のルツボ内面37からテーパ部15aのテーパ面への放射熱が遮断されるため、テーパ部15aのテーパ面を低温に保つことができ、テーパ面の熱エッチングによる表面粗れを生じることがない。放射熱遮断筒33は非金属材料製であるため、高周波加熱されない。
【0072】
単結晶15の直径が大きくなり、所定の大きさに達すると、図7に示すように、テーパ部15aの形成が終わり、直胴部形成に移る。直胴部形成では、円柱状に単結晶15が長く育成され直胴部15bが形成される。このとき、放射熱遮断筒33はルツボ1や単結晶15から離れて容器19の上部に移動し、単結晶15の直胴部15bの外周面はルツボ内面37に直接対面している。
【0073】
直胴部形成に移った時に、図7に示すように、放射熱遮断筒33を上方に移動させるから、単結晶15の直胴部15bの外周面は、高温のルツボ内面37に直面し、ルツボ内面37の放射熱により加熱される。その加熱量によって、単結晶15の直胴部15bの外周面から容器19の天井部や耐火物9への放熱量が相殺されるため、単結晶15の半径方向に温度差が低減され、融液25に接触している単結晶15の表面15cにおいて均一に結晶が成長する。直胴部形成時には、ルツボ1の上方に出ている結晶部分、つまりテーパ部15aのテーパ面からの放熱が大きいため、単結晶15の直胴部15bの外周面のルツボ内部分がルツボ内面37に直接対面していても高温とならず、直胴部15bの外周面に熱エッチングによる表面粗れが生じることはない。これらの作用によって割れつまりクラックなどを発生させることなく、不良率を低減でき、さらに、品質を向上した単結晶の成長が可能になる。
【0074】
本実施の形態の効果を数値シミュレーションにより計算した。計算条件として、結晶材料を融点1950℃のGd2SiO5とし、図5と図7に示す本実施形態のようにテーパ部形成時におけるルツボ内放射熱遮断体である放射熱遮断筒33の有無による温度変化を計算した。結晶下部の結晶成長面の温度を融点1950℃とする。計算の結果、テーパ部形成時において図5に示すように放射熱遮断筒33を入れると、テーパ部15aのテーパ面は約1730℃となる。このとき、放射熱遮断筒33の反射率を1.0とする。仮に放射熱遮断筒33がないとするとテーパ部15aのテーパ面は約1780℃となり、放射熱遮断筒、つまりルツボ内放射熱遮断体の有無によってテーパ面は50℃程度の差がある。
【0075】
このように、本実施形態の単結晶の製造技術によれば、テーパ部形成時のテーパ面温度を低減でき、熱エッチングによるその表面の粗れを低減でき、テーパ面を発生源とした欠陥や割れの発生を低減できる。したがって、単結晶の製造における不良率を低減できる。
【0076】
さらに、本実施形態では、結晶の直胴部形成時において結晶の面内を均一に成長させることができ、また成長速度を大きくすることが可能である。さらに本発明は結晶成長の制御性を向上する効果もある。
【0077】
(第4の実施形態)
以下、本発明を適用してなる単結晶製造技術の第4の実施形態について図8及び図9を参照して説明する。図8は、本発明を適用してなる単結晶の製造装置の概略構成を育成過程におけるテーパ部形成時の状態で示す縦断面図である。図9は、本実施形態の直胴部形成時のルツボ近傍の状態を示す縦断面図である。なお、本実施形態では、第3の実施形態と同一のもの及び動作などには同じ符号を付して説明を省略し、第3の実施形態と相違する構成及び特徴部などについて説明する。
【0078】
本実施形態が第3の実施形態と相違する点は、放射熱遮断筒移動手段と放射熱遮断筒に代えて、ルツボと同じ金属材料などからなる環状の直胴部放射熱遮断体と、直胴部放射熱遮断体を耐火物の中心線に沿って上下方向に移動させる直胴部放射熱遮断体移動手段を設けたことにある。すなわち、本実施形態の単結晶の製造装置は、図8に示すように、ルツボ1と同じ金属材料などからなる環状の直胴部放射熱遮断体となる放射熱遮蔽板39、放射熱遮蔽板39を耐火物9の中心線に沿って上下方向に移動させる直胴部放射熱遮断体移動手段などを備えている。
【0079】
直胴部放射熱遮断体移動手段は、放射熱遮蔽板39を支持する棒状の支持部材41、支持部材41を上下方向に移動させるための図示していない移動機構などで構成されている。また、高周波コイル11は、その上端部がルツボ1の上端部分よりも低くなるように全体として第3の実施形態に比べて下に下げられており、ルツボ1の融液25の液面より上の部分の加熱量が第3の実施の形態よりも少なくなっている。
【0080】
放射熱遮蔽板39は、単結晶15のテーパ部形成時には耐火物9の上端よりも上方に位置させ、単結晶15の直胴部形成時にはルツボ1上部の単結晶周囲に位置させる。したがって、放射熱遮蔽板39は、外径がルツボ1の内径とほぼ同じかそれよりも小さく、内径が育成される単結晶15の直胴部15bの外径よりも僅かに大きくなっている。
【0081】
高周波コイル11への通電によってルツボ1が加熱されるが、この加熱は、高周波コイル11が全体として第3の実施形態に比べて下に下げられているため、ルツボ1の融液25の液面より上方部分の加熱量が少なくなっている。そして、本実施形態では、単結晶15のテーパ部形成時には、図8に示すように、放射熱遮蔽板39が、支持部材41を含む直胴部放射熱遮断体移動手段によって容器19の上部、耐火物9の上端よりも上方に移動している。
【0082】
すなわち、テーパ部形成時には、放射熱遮蔽板39がないため、単結晶15のテーパ部15aのテーパ面から上方に放熱し、テーパ部15aのテーパ面をより低い温度に保つことができる。テーパ部15aのテーパ面は、ルツボ1の内面と直接対向するが、ルツボ1の融液25の液面より上方部分の高周波コイル11による加熱量が少なくなっているので、テーパ部15aのテーパ面の放熱量に比べて加熱量が少なく、テーパ部15aのテーパ面は低温に保たれ、高温による表面粗れが避けられる。
【0083】
テーパ部15aのテーパ面の形成が終わり、直胴部形成の過程では、図9に示すように、放射熱遮蔽板39が図8に示された位置から下方に下げられ、ルツボ1上部の単結晶15の直胴部15b周囲に、ルツボ1上端と単結晶15の直胴部15bの外周面との間を塞ぐように、配置される。このため、ルツボ1の内部にある単結晶15の直胴部15bの外周面からの放熱が小さくなり、単結晶15の半径方向の温度差が低減され、欠陥や割れなどの発生が低減され、単結晶の製造における不良率が低減される。
【0084】
さらに、融液25に接触している単結晶15の表面15cの全面において均一に結晶が成長する。加えて、テーパ部15aのテーパ面からの放熱を遮るものがないので、結晶成長面の冷却の速度が速くなり、結晶成長速度を大きく保つことができる。さらに、放射熱遮蔽板39は金属製であるため、放射熱遮蔽板21においても高周波加熱にて高温となり、ルツボ1の内部を加熱する効果もある。
【0085】
なお、図9では、放射熱遮蔽板39がルツボ1上部の単結晶15の直胴部15b周囲に、ルツボ1上端と単結晶15の直胴部15b外周面の間を塞ぐように配置されており、この位置が最も直胴部15bの外周面からの放熱を抑止するので望ましい。しかし、放射熱遮蔽板39を更に下げ、ルツボ1の内部になる位置に配置しても、融液25の液面に近い位置の直胴部15bの外周面の温度降下を抑止することができるから、図9に示す位置の場合とほぼ同様の効果が得られる。
【0086】
放射熱遮蔽板39を、内径が単結晶15の直胴部15bの外径よりも大きくてルツボ1の内径よりも小さく、かつ外径がルツボ1の外径よりも大きい環状体とし、このような放射熱遮蔽板を、単結晶直胴部形成時に、ルツボ1上端部に近接して位置させ、単結晶15のテーパ部形成時にはルツボ1上端部分から上方に離れた位置に移動させるようにすることでも、同様の効果がある。
【0087】
(第5の実施形態)
以下、本発明を適用してなる単結晶製造技術の第5の実施形態について図10及び図11を参照して説明する。図10及び図11は、本発明を適用してなる単結晶の製造装置の概略構成を育成過程におけるテーパ部形成時の状態で示すルツボ近傍の縦断面図である。なお、本実施形態では、第3及び第4の実施形態と同一のもの及び動作などには同じ符号を付して説明を省略し、第3及び第4の実施形態と相違する構成及び特徴部などについて説明する。
【0088】
本実施の形態が第3の実施形態と相違する点は、図5に示す放射熱遮断筒33と放射熱遮断筒移動手段に代えて、単結晶のテーパ部のテーパ形状に沿った円錐形状の非金属材料のルツボ内放射熱遮断体と、ルツボ内放射熱遮断体を耐火物の中心線に沿って上下させるルツボ内放射熱遮断体移動手段を設けたことにある。すなわち、本実施形態の単結晶の製造装置は、図10に示すように、単結晶15のテーパ部15aのテーパ形状に沿った円錐形状の非金属材料のルツボ内放射熱遮断体である放射熱遮断板43、放射熱遮断板43を支持する棒状の支持部材45を含んで放射熱遮断板43を耐火物9の中心線に沿って上下させるルツボ内放射熱遮断体移動手段を備えている。ルツボ内放射熱遮断体移動手段は、放射熱遮断板43を支持して上下方向に延在する棒状の支持部材45、支持部材45を上下方向に移動させるための図示していない移動機構などで構成されている。
【0089】
本実施形態では、単結晶15のテーパ部形成時には、図10に示すように、単結晶15のテーパ部15aのテーパ面の近くに放射熱遮断板43が位置される。放射熱遮断板43の円錐面の傾斜角度は、テーパ部15aのテーパ面の傾斜角度とほぼ同じになっている。また、図11に示すように、単結晶15の直胴部形成時には、放射熱遮断板43は単結晶15のテーパ部15aのテーパ面から離れた位置に移動している。
【0090】
このような本実施形態の放射熱遮断板43の動作は、第3の実施形態の放射熱遮断筒33の動作と同様であり、単結晶15のテーパ部形成時には単結晶15のテーパ部15aのテーパ面の近くに放射熱遮断板43が配置され、単結晶15の直胴部形成時には、放射熱遮断板43は単結晶15のテーパ部15aのテーパ面から離れた位置に移動させられている。
【0091】
本実施形態では、放射熱遮断板43の円錐面の傾斜角度がテーパ部15aのテーパ面の傾斜角度とほぼ同じであるため、テーパ部形成時に、テーパ部15aのテーパ面のどの位置でも、テーパ部15aのテーパ面と放射熱遮断板43の間隔が同じ状態でテーパ部15aが形成されるため、テーパ部15aのテーパ面の全面を均一に形成でき、クラックつまり割れの発生源が生じ難くなり、単結晶の製造における不良率を低減できる。
【0092】
加えて、直胴部形成時には放射熱遮断板43がテーパ部15aのテーパ面に近接した位置にないため、テーパ部15aのテーパ面からの放熱を大きくして成長速度を大きくすることができる。
【0093】
すなわち、本実施形態によっても、他の実施形態と同様の効果が得られる。
【0094】
なお、放射熱遮断板43として、図10のような円錐板だけでなく、平円板を用いても表面粗れ防止の効果が得られるが、形成するテーパ部のテーパ面の傾斜に合った円錐板を用いるのが望ましい。
【0095】
(第6の実施形態)
本発明を適用してなる単結晶の製造装置の第6の実施形態について図12乃至図15を参照して説明する。図12は、本発明を適用してなる単結晶の製造装置の概略構成と動作を示す縦断面図であり、単結晶のテーパ部の育成段階を示す図である。図13は、本発明を適用してなる単結晶の製造装置の概略構成と動作を示す縦断面図であり、単結晶の直胴部の育成段階を示す図である。図14は、本発明を適用してなる単結晶製造装置と、従来の単結晶製造装置の側壁の高さ方向における発熱量の分布を比較した図である。図15は、本発明を適用してなる単結晶製造装置と、従来の単結晶製造装置の側壁の高さ方向における温度分布を比較した図である。なお、本実施形態では、第1乃至第5の実施形態と同一のもの及び動作などには同じ符号を付している。
【0096】
本実施形態の単結晶の製造装置は、図12に示すように、円筒状のルツボ1、ルツボ1の側壁外面に取り付けられて壁側加熱部材となるリング状部材47、ルツボ1を取り囲む耐火物9、耐火物9の外側で高周波を発生する高周波発生手段49、そして種結晶を保持すると共に結晶を回転させながら上方に引き上げる結晶移動手段51などで構成されている。
【0097】
本実施形態の単結晶の製造装置は、融点が1500℃以上の単結晶の製造装置であり、ルツボ1は、上端部分1cが開口され、下端部分1dが閉塞されて底1bが形成された円筒状の容器であり、導電性を有し高融点の金属材料、例えばイリジウム、白金、タングステン、モリブデンなどで形成されている。リング状部材47は、ルツボ1の側壁1aの外面に、この側壁1aの外面の周方向に沿ってリング状に設けられており、側壁1a外面から横方向に突出した状態の突起状の部材である。
【0098】
このようなリング状部材47は、ルツボ1と同様に導電性を有し高融点の金属材料、例えばイリジウム、白金、タングステン、モリブデンなどで形成されており、ルツボ1と一体に形成することもできるし、ルツボ1と別体で形成したものをルツボ1の側壁に取り付けることもできる。リング状部材47をルツボ1と別体で形成した場合、リング状部材47は、ルツボ1を形成した材料と同じ材料で形成することもできるし、異なる材料で形成することもできる。また、リング状部材47をルツボ1と別体で形成した場合、リング状部材47は、ルツボ1とできるだけ強く接触した状態で取り付けることが望ましい。なお、本実施形態では、リング状部材47は、ルツボ1の側壁1a外面の上端部分1cと下端部分1dとの間の部分に、間隔をおいて2つ設けられている。
【0099】
耐火物9は、上端部分が開口され、下端部分が閉塞されて底が形成されたルツボ1よりも大きな円筒状の容器であり、絶縁性と断熱性を有する高温耐性の材料、例えばジルコニアやアルミナなどで形成されており、内部にリング状部材47が設けられたルツボ1を収容している。高周波発生手段49は、耐火物9の外側で、ルツボ1の側壁1aに対応する位置に、この耐火物9の外側を取り囲んで設置された高周波コイル11や、高周波コイル11と配線53を介して電気的に接続された高周波電源55などで構成されている。結晶移動手段51は、棒状または帯状のシードホルダー17、シードホルダー17が垂下されると共に、シードホルダー17を回転させながら引き上げる駆動部57などで構成されている。駆動部57は、耐火物9の上端部分の開口上方からルツボ1の開口の中央部分に向けてシードホルダー17が垂下された状態でシードホルダー17を支持しており、シードホルダー17のルツボ1側の先端部分に種結晶13が取り付けられる。
【0100】
このような構成の単結晶の製造装置の動作と本発明の特徴部について説明する。ルツボ1内に原料を収容した状態で、高周波電源55から高周波電流を高周波コイル11に流すと、導電性のルツボ1に誘導電流が流れる。これにより、ジュール加熱によってルツボ1が加熱され、昇温したルツボ1内の原料が溶解され溶融状態となり、融液25となる。シードホルダー17の先端部に付けた種結晶13を融液25から引き上げると、単結晶15が生成される。単結晶15が生成されるとき、最初、種結晶13に連続して円錐状にテーパ部15aが形成され、テーパ部15aに連続して、図13に示すように、円柱状の直胴部15bが形成される。なお、単結晶15を融液25から引き上げて行くとき、融液25の液面近傍に単結晶15からルツボ1の側壁1aの内面に向かう流れ、つまり単結晶15の位置から半径方向に拡がる流れを生じさせるため、シードホルダー17を回転軸として回転させることで単結晶15を回転させている。
【0101】
ここで、高周波コイル11によって発生した電磁界は、特に角部に集中するため、ルツボ1の上端部分1c及び下端部分1dで他の部分よりも大きく発熱する。さらに、本実施形態では、ルツボ1の側壁1a外面の上端部分1cと下端部分1dとの間の部分に設置されているリング状部材47も、ルツボ1の上端部分1c及び下端部分1dと同様に他の部分よりも大きく発熱する。
【0102】
したがって、単位体積量当たりの側壁1aの発熱量は、図14の実線で示した発熱量分布101で示すように、ルツボ1の底1bから上端部分1c方向つまり高さ方向に向かって順に、側壁1aの底1bの周縁部分つまり下端部分1d、下側に位置するリング状部材47が設けられた部分、上側に位置するリング状部材47が設けられた部分、そして側壁1aの上端部分1cでピークとなるように分布する。この結果、ルツボ1の側壁1aの温度分布も、図15の実線で示した温度分布105で示すように、ルツボ1の底1bから上端部分1c方向つまり高さ方向に向かって順に、側壁1aの底1bの部分、下側に位置するリング状部材47が設けられた部分、上側に位置するリング状部材47が設けられた部分、そして側壁1aの上端部分1cでピークとなる。
【0103】
ところで、リング状部材47が設けられていない従来の単結晶の製造装置では、単位体積量当たりの側壁の発熱量は、図14の破線で示した発熱量分布103で示すように、ルツボの底から上端部分方向つまり高さ方向に向かって順に、側壁の底の周縁部分つまり下端部分、そして側壁の上端部分のみでピークとなるように分布する。この結果、ルツボの側壁の温度分布も、図15の破線で示した温度分布107で示すように、ルツボの底から上端部分方向つまり高さ方向に向かって順に、側壁の底の周縁部分、そして側壁の上端部分のみでピークとなる。すなわち、従来の単結晶の製造装置では、側壁の下端部分と上端部分の発熱量と温度が他の部分よりも高くなり、発熱量と温度の分布が不均一な状態になっている。側壁の下端部分と上端部分の距離が長くなるに連れ、側壁の下端部分と上端部分との間の部分の発熱量と温度は低下して行くため、このような発熱量と温度の分布が不均一な状態は、特に底の直径に比べて高さの方が高いルツボや、底の直径及び高さが数十センチ以上といった大型のルツボを使用する際に大きくなる。
【0104】
したがって、従来の単結晶の製造装置では、ルツボの大きさや形状などの条件によって、側壁1aの高さ方向における発熱量及び温度の分布が不均一で側壁1aの下端部分1dと上端部分1cとの間の部分の温度が低いと、図16に示すように、ルツボ1内の融液25は、ルツボ1の下端部分1dで加熱されて膨張し、最初ルツボ1の側壁1a内面に沿って上昇するが、ルツボ1の側壁1aの中ほどの高さでは温度が低くなるため、側壁1aから離れるように流れ、ルツボ1内の上部の融液25の流れと干渉し、複雑な対流パターンを呈し、ルツボ1内の融液25全体の流れが乱れる。
【0105】
これにより、種結晶13に連続して形成された単結晶15の単結晶育成部分つまり固液界面部分59の形状が乱れて凹凸状態となってしまう。単結晶15の固液界面部分59の形状が乱れて凹凸状態となってしまうと、単結晶15の固液界面部分59やその近傍部分の温度分布が不均一となり、単結晶15内に歪が生じるなど、単結晶15の品質が悪くなる。また、単結晶15内に歪が生じると、育成した単結晶15の冷却時に、結晶が割れるなどの問題も発生する。
【0106】
これに対して、本実施形態の単結晶の製造装置では、上述のように、ルツボ1にリング状部材47が設けられたことにより、側壁1aにおける発熱量は、側壁1aの下端部分1dと上端部分1cに加えて、下側のリング状部材47が設けられた部分と上側のリング状部材47が設けられた部分で他の部分よりも高くなる。そして、下側のリング状部材47が設けられた部分と上側のリング状部材47が設けられた部分の発熱量が高くなることによって、側壁1aの下端部分1d、下側のリング状部材47が設けられた部分、上側のリング状部材47が設けられた部分、そして上端部分1c以外の部分の発熱量も従来の単結晶の製造装置よりも高くなっており、従来の単結晶の製造装置に比べ、側壁の高さ方向の発熱量分布が均一化されている。
【0107】
これにより、本実施形態の単結晶の製造装置では、側壁1aにおける温度は、側壁1aの下端部分1dと上端部分1cに加えて、下側のリング状部材47が設けられた部分と上側のリング状部材47が設けられた部分で他の部分よりも高くなる。そして、下側のリング状部材47が設けられた部分と上側のリング状部材47が設けられた部分の温度が高くなることによって、側壁1aの下端部分1d、下側のリング状部材47が設けられた部分、上側のリング状部材47が設けられた部分、そして上端部分1c以外の部分の発熱量も従来の単結晶の製造装置よりも高くなっており、従来の単結晶の製造装置に比べ、側壁の高さ方向の温度分布が均一化されている。このようにルツボ1の側壁1aの高さ方向における発熱量及び温度の分布が均一化すると、図12び図13に示すように、ルツボ1内の融液25に、自然対流でルツボ1の側壁1aの内面に沿って滑らかに上昇する流れを形成するため、従来の単結晶の製造装置のように、望ましくない複雑な対流パターンを呈し難い。
【0108】
このように、本実施形態の単結晶の製造装置では、側壁1aの下端部分1dと上端部分1cとの間の部分にリング状部材47が設けられているため、上述のように、高周波発生手段49の駆動により、側壁1aの下端部分1dと上端部分1cに加えて、下側のリング状部材47と上側のリング状部材47も発熱し、ルツボ1の側壁1aの高さ方向における温度分布が均一化する。このため、ルツボ1の側壁1aの高さ方向の発熱分布を制御し、ルツボ1内の融液25の対流を制御することができ、ルツボ1内の融液25に自然対流でルツボ1の側壁1aの内面に沿って滑らかに上昇する流れを形成できるため、ルツボ1内の融液25が従来のような望ましくない対流パターンを呈し難い。したがって、ルツボの大きさや形状などの条件に関係なく単結晶の固液界面部分を平坦化でき、欠陥や割れなどの発生を低減して、単結晶の製造における不良率を低減することができる。
【0109】
さらに、単結晶の固液界面部分を平坦化できることにより、得られる単結晶の品質を向上でき。加えて、単結晶の品質を向上でき、また、結晶の割れなどの発生を抑えることができることにより、単結晶の生産性を向上できる。
【0110】
また、本実施形態では、リング状部材47を上下2段に設けているが、リング状部材47は、1段にすることもでき、また、3段以上設けることもできる。リング状部材47を設ける段数は、ルツボの大きさなどに応じて適宜決定する。
【0111】
また、本実施形態では、壁側加熱部材としてルツボ1の側壁1a外面の円周方向に設けられたリング状部材47を用いているが、壁側加熱部材は、ルツボ1の側壁1a外面の円周方向に延在していれば一連のリング状の形態である必要はなく、様々な形態にすることもできる。例えば、壁側加熱部材は、ルツボ1の側壁1a外面の円周方向に適当な間隔をおいて断続的にリング状に連なる部材片などで構成することもできる。この場合、部材片は、ルツボ1の側壁1aの高さ方向よりも側壁1a外面の円周方向に長く延在する形状にする必要があり、さらに、ルツボ1の側壁を均一に加熱するため、このような部材片を等間隔で設けることが望ましい。
【0112】
(第7の実施形態)
以下、本発明を適用してなる単結晶の製造装置の第7の実施形態について図17及び図18を参照して説明する。図17は、本発明を適用してなる単結晶の製造装置の概略構成と動作を示す断面図であり、単結晶のテーパ部の育成段階を示す図である。図18は、本発明を適用してなる単結晶製造装置と、従来の単結晶製造装置の底の温度分布を比較した図である。なお、本実施形態では、第6の実施形態と同一のもの及び動作などには同じ符号を付して説明を省略し、第6の実施形態と相違する構成及び特徴部などについて説明する。
【0113】
本実施形態の単結晶の製造装置が第6の実施形態と相違する点は、壁側加熱部材であるリング状部材に加えて、ルツボの底の中央部分を加熱するための底側加熱部材を設けたことにある。すなわち、本実施形態の単結晶の製造装置は、図17に示すように、ルツボ1の底1b外面の中央部分に設けられた円柱状または円盤状の部材からなる伝熱部61、そして伝熱部61が中央部分に設けられた円盤状の発熱部63で構成された底側加熱部材65を備えている。発熱部63は、伝熱部61の直径よりも大きな直径であり、さらにルツボ1の底1bが有する直径の2/3以上の直径で形成されている。このように発熱部63の直径をルツボ1の底1bの直径の2/3以上とすることで発熱部63が高周波電磁界で発熱し易くなり、底側加熱部材65の加熱能力を向上できる。なお、ルツボ1の底1b側に設けられた底側加熱部材65は、ルツボ1と共に耐火物9内に収容されている。
【0114】
伝熱部61と発熱部63で構成された底側加熱部材65は、ルツボ1及びリング状部材47と同様に導電性を有し高融点の金属材料、例えばイリジウム、白金、タングステン、モリブデンなどで形成されており、ルツボ1の底1bに連続させてルツボ1と一体に形成することもできるし、ルツボ1と別体で形成したものをルツボ1の底1bに取り付けることもできる。さらに、底側加熱部材65の伝熱部61と発熱部63とを別体で形成することもできる。底側加熱部材65をルツボ1と別体で形成した場合、底側加熱部材65は、ルツボ1を形成した材料と同じ材料で形成することもできるし、異なる材料で形成することもできる。また、底側加熱部材65をルツボ1と別体で形成した場合、底側加熱部材65は、伝熱部61がルツボ1とできるだけ強く接触した状態で取り付けることが望ましい。
【0115】
このような構成の本実施形態の単結晶の製造装置では、高周波コイル11によって発生した電磁界は、特に角部に集中するため、ルツボ1の底1bの周縁部分、つまりルツボ1の下端部分1dに加えて、底側加熱部材65の発熱部63の周縁部分でも発熱する。底側加熱部材65の発熱部63の周縁部分で発熱した熱は、熱伝導により、伝熱部61を介して発熱部63からルツボ1の底1bの中央部分に伝えられ、ルツボ1の底1bの中央部分が加熱される。したがって、単位体積量当たりの底1bの発熱量は、ルツボ1の底1bの周縁部分に加え、底1bの中央部分でもピークとなるように分布する。この結果、ルツボ1の底1bでの温度分布も、図18の実線で示した温度分布201で示すように、ルツボ1の底1bの周縁部分に加え、底1bの中央部分でピークとなる。
【0116】
これに対して、底側加熱部材65が設けられていない従来の単結晶の製造装置では、単位体積量当たりの底の発熱量は、ルツボ1の底の周縁部分のみでピークとなるように分布する。この結果、ルツボの側壁の温度分布も、図18の破線で示した温度分布203で示すように、ルツボの底の周縁部分のみでピークとなる。すなわち、従来の単結晶の製造装置では、ルツボの底の中央部分が、温度が最も低い状態になっている。そして、ルツボの底の中央部分の温度は、ルツボの底の直径が大きくなるに連れて低くなって行く。したがって、従来の単結晶の製造装置では、ルツボの大きさや形状などの条件によって、ルツボの底の中央部分から上昇する融液の流れが形成されず、単結晶の固液界面部分からルツボの側壁内面に向かう半径方向に拡がる融液の流れが形成されない場合がある。このため、種結晶に連続して形成された単結晶の固液界面部分の形状が乱れて凹凸状態となり、品質の悪い結晶が生成されたり、結晶に割れが生じたりする。
【0117】
従来、ルツボの底の中央部分の温度が低く、単結晶の固液界面部分からルツボの側壁内面に向かう半径方向に拡がる融液の流れが形成されなくても、単結晶を引き上げる際に結晶を回転させることにより、単結晶からルツボの側壁内面に向けて半径方向に拡がる融液の流れを形成できるようにしている。ところが、種結晶から単結晶のテーパ部の生成段階においては、結晶を回転させても、種結晶や単結晶のテーパ部の直径が小さいため、結晶の回転により発生する遠心力も小さく、融液に半径方向に拡がる流れが、単結晶の直胴部が形成されはじめた後の段階よりも弱い。したがって、結晶の回転だけでは単結晶の固液界面部分を平坦化させることは困難である。このような状況は、第1の実施形態の単結晶の製造装置のように、壁側加熱部材のみをルツボに設けた場合であっても同様に生じる。
【0118】
これに対して、本実施形態の単結晶の製造装置では、図17に示すように、ルツボ1に底側加熱部材65が設けられたことにより、ルツボ1の底1bにおける発熱量は、底1bの周縁部分に加えて、中央部分でも他の部分よりも高くなる。そして、底1bの中央部分の発熱量が高くなることによって、ルツボ1の底1bの温度は、底1bの周縁部分に加えて、中央部分でも他の部分よりも高くなる。このように底1bの中央部分の温度が高くなると、底1bの中央部分からルツボ1の中心軸近傍をこの中心軸に沿って上昇して種結晶13や単結晶15の固液界面部分59付近に到達し、種結晶13や単結晶15の固液界面部分59付近からルツボ1の側壁1a内面に向かう半径方向に拡がる融液31の流れが形成される。
【0119】
このように、本実施形態の単結晶の製造装置では、ルツボ1の底1bの中央部分を加熱する底側加熱部材65が設けられているため、上述のように、高周波発生手段49の駆動により、ルツボ1の底1bの周縁部分に加えて、中央部分も加熱する。このため、ルツボ1の底1bの中央部分から上昇して種結晶13や単結晶15の固液界面部分59付近に到達し、種結晶13や単結晶15の固液界面部分59付近からルツボ1の側壁1a内面に向かう半径方向に拡がる融液25の流れが形成される。したがって、ルツボの大きさや形状などの条件に関係なく、単結晶の固液界面部分を平坦化でき、欠陥や割れなどの発生を低減して、単結晶の製造における不良率を低減することができる。
【0120】
また、本実施形態では、壁側加熱部材であるリング状部材47を設けているが、ルツボの大きさや形状などの条件によって壁側加熱部材が不要な場合には、壁側加熱部材であるリング状部材47を設けない構成にすることもできる。
【0121】
また、本実施形態では、円柱状または円盤状の部材からなる伝熱部61、そして円盤状の発熱部63で構成された底側加熱部材65を備えているが、底側加熱部材は、高周波発生手段49によって発熱し、ルツボ1の底1bの中央部分を加熱できる様々な構成にできる。
【0122】
例えば、図19に示すように、耐火物9内の底面上に導電性を有し高融点の金属材料で形成した円盤上の部材を設置して発熱部67とし、この発熱部67に重ねて、中央部分に貫通穴69が形成されて耐火物9の内径と同じ直径で形成された断熱部材71を設置する。そして、ルツボ1の底1bの中央部分を断熱部材71の貫通穴69の位置に合わせてルツボ1を断熱部材71上に設置する。このような底側加熱部材73では、発熱部67の周縁部分で発熱した熱は、熱伝導により発熱部67の中央部分に集まり、貫通穴69を介して輻射により、ルツボ1の底1bの中央部分を加熱する。このように、底側加熱部材は、底側加熱部材73のような、伝熱部を形成する断熱部材71と円盤上の部材である発熱部67とで構成することもできる。底側加熱部材を底側加熱部材73のような構成とすれば、部品点数を少なくできる。
【0123】
また、底側加熱部材は、発熱部を、導電性を有し高融点の金属材料で円形のリング状に形成し、この発熱部と同軸に導電性を有し高融点の金属材料で形成した円柱状の伝熱部を配置し、発熱部と伝熱部との間に高融点の金属材料で形成した棒状の連結部材をスポーク状に設ける構成などにもできる。なお、様々な構成の底側加熱部材において、伝熱部は、円盤状や円柱状である必要はなく、角柱状などにすることもできる。
【0124】
また、第6及び第7の実施形態では、壁側加熱部材であるリング状部材47と底側加熱部材65は、ルツボ1に固定された状態となっているが、壁側加熱部材と底側加熱部材を着脱自在な構成とし、不要な場合などにルツボから取り外すことができるようにすることもできる。さらに、壁側加熱部材と底側加熱部材をルツボ1に着脱する機構などを設けることもできる。例えば、図20に示すように、耐火物9内の底9cの上方に中央部分に貫通穴75が形成されて耐火物9の内径と同じ直径で形成された断熱部材77を設置する。耐火物9内の底9cと断熱部材77の間に、第7の実施形態と同じ構成で、ルツボ1とは別体に形成された底側加熱部材65を設置する。但し、底側加熱部材65の発熱部63の下面には、耐火物9の底を貫通して設けられた連結部材79が連結されている。連結部材79は、底側加熱部材65を上下移動させるための駆動部81、例えば油圧またはエアジャッキや、モータ及びラックアンドピニオン式駆動機構などに連結されており、連結部材79と駆動部81は加熱部材移動手段83を構成している。
【0125】
このような加熱部材移動手段83を備えた構成とすれば、必要に応じて底側加熱部材65の伝熱部61をルツボ1の底1bから離脱させ、底1bの中央部分の加熱を停止することができる。つまり、種結晶13から単結晶15のテーパ部15aを形成する段階などでは、加熱部材移動手段83により、底側加熱部材65を押し上げて、底側加熱部材65の伝熱部61をルツボ1の底1b接触させ、単結晶15のテーパ部15aの径が十分大きくなったら、加熱部材移動手段83により、底側加熱部材65を下に下げて、底側加熱部材65の熱がルツボ1の底1bの中央部分に伝熱しないようにする。なお、このような加熱部材移動手段を設けた構成を壁側加熱部材に適用することもできる。このように構成することにより、単結晶15の固液界面部分59を最適な状態に制御でき、より品質の高い単結晶を得ることができる。
【0126】
また、第1乃至第7の実施形態で示した単結晶の製造技術は、各々、適宜組み合わせて用いることができる。
【0127】
また、本発明は、第1乃至第7の実施形態の構成の製造装置に限らず、ルツボを高周波加熱する様々な構成の単結晶の製造装置に適用できる。さらに、本発明を適用してなる単結晶の製造装置は、特にガドリニウム、ガリウム、ガーネッド、セリウム付活珪酸ガドリニウムなどの酸化物単結晶の育成に有効であるが、その他の様々な種類の単結晶の製造に用いることができる。
【0128】
【発明の効果】
本発明によれば、単結晶の製造における不良率を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用してなる単結晶製造装置の第1の実施形態の概略構成を冷却過程の状態で示す縦断面図である。
【図2】本発明を適用してなる単結晶製造装置の第1の実施形態の概略構成を育成過程の状態で示す縦断面図である。
【図3】第1の実施形態の単結晶製造装置の変形例を示す縦断面図である。
【図4】本発明を適用してなる単結晶製造装置の第2の実施形態の概略構成を育成過程の状態で示す縦断面図である。
【図5】本発明を適用してなる単結晶製造装置の第3の実施形態の概略構成を育成過程におけるテーパ部形成時の状態で示す縦断面図である。
【図6】単結晶のテーパ部形成時における放射熱遮断筒の配置がわかるように示したルツボ近傍の斜視図である。
【図7】図5に示す単結晶の製造装置の育成過程における直胴部形成時の状態を示す縦断面図である。
【図8】本発明を適用してなる単結晶製造装置の第4の実施形態の概略構成を育成過程におけるテーパ部形成時の状態で示す縦断面図である。
【図9】第4の実施形態における直胴部形成時のルツボ近傍の状態を示す縦断面図である。
【図10】本発明を適用してなる単結晶製造装置の第5の実施形態の概略構成を育成過程におけるテーパ部形成時の状態で示すルツボ近傍の縦断面図である。
【図11】本発明を適用してなる単結晶製造装置の第5の実施形態の概略構成を育成過程におけるテーパ部形成時の状態で示すルツボ近傍の縦断面図である。
【図12】本発明を適用してなる単結晶製造装置の第6の実施形態の概略構成と動作を示す縦断面図であり、単結晶のテーパ部の育成段階を示す図である。
【図13】本発明を適用してなる単結晶製造装置の第6の実施形態の概略構成と動作を示す断面図であり、単結晶の直胴部の育成段階を示す図である。
【図14】第6の実施形態の単結晶製造装置と従来の単結晶製造装置の側壁の高さ方向における発熱量の分布を比較した図である。
【図15】第6の実施形態の単結晶製造装置と従来の単結晶製造装置の側壁の高さ方向における温度分布を比較した図である。
【図16】従来の単結晶の製造装置におけるルツボ内の融液の対流の状態を示す図である。
【図17】本発明を適用してなる単結晶製造装置の第7の実施形態の概略構成と動作を示す断面図であり、単結晶のテーパ部の育成段階を示す図である。
【図18】第7の実施形態の単結晶製造装置と従来の単結晶製造装置の底の温度分布を比較した図である。
【図19】本発明を適用してなる単結晶製造装置の第7の実施形態における変形例を示す断面図である。
【図20】本発明を適用してなる単結晶製造装置の第7の実施形態における別の変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 ルツボ
3 伝熱部材
7 放射熱遮断部材
11 高周波コイル
13 種結晶
15 単結晶
15a テーパ部
15b 直胴部
17 シードホルダー
Claims (6)
- 原料を収容するルツボと、該ルツボ内の原料を加熱する加熱手段と、種結晶を前記ルツボ内から上方へ移動する結晶移動手段とを備えた単結晶の製造装置であり、
少なくとも前記ルツボの側壁の上端部分近傍から上方に延在し、形成される単結晶を囲み、伝熱性を有する材料で形成した伝熱部材と、
少なくとも単結晶育成後の冷却時に、形成された単結晶の種結晶に連続して漸次拡径するテーパ部と形成された単結晶のテーパ部に連続する円柱状の直胴部との境界部分の外周位置に、前記直胴部の径よりも大きな径の開口を有し放射熱を遮断する円盤状又は平板リング状の境界部分放射熱遮断体が設けられてなることを特徴とする単結晶の製造装置。 - 原料を入れたルツボを加熱し、原料の融液に種結晶を接触させながら引き上げて単結晶を製造する単結晶の製造方法であって、
単結晶の直径を大きくする単結晶の成長初期の単結晶のテーパ部形成時及びテーパ部に連続して円柱状に成長する単結晶の直胴部形成時のうち、単結晶のテーパ部形成時には、前記ルツボの内面と前記単結晶のテーパ部との間に放射熱を遮断するルツボ内放射熱遮断体を配置して、前記ルツボの内面から単結晶のテーパ部に到達する放射熱を遮断することを特徴とする単結晶の製造方法。 - 原料を収容するルツボと、該ルツボ内の原料を加熱する加熱手段と、種結晶を前記ルツボ内から上方へ移動する結晶移動手段とを備えた単結晶の製造装置であり、
単結晶を囲み、前記ルツボの内面から該ルツボ内に位置する単結晶に向かう放射熱を遮断するルツボ内放射熱遮断体と、該ルツボ内放射熱遮断体を上下方向に移動させるルツボ内放射熱遮断体移動手段とを設け、該ルツボ内放射熱遮断体移動手段は、単結晶成長初期の単結晶の直径を大きくする単結晶のテーパ部形成時に、単結晶のテーパ部を囲む位置に前記ルツボ内放射熱遮断体を移動させ、テーパ部に連続して円柱状に成長する単結晶の直胴部形成時には、前記ルツボの内面から前記直胴部の外周面に到達する放射熱を遮断しない位置に前記ルツボ内放射熱遮断体を移動させてなることを特徴とする単結晶の製造装置。 - 原料を収容する導電性のルツボと、該ルツボ内の原料を加熱する加熱手段と、種結晶を前記ルツボ内から上方へ移動する結晶移動手段とを備えた単結晶の製造装置であり、
単結晶が挿通可能で前記ルツボの上端部分から上方への放射熱を遮断する直胴部放射熱遮断体と、該直胴部放射熱遮断体を上下方向に移動させる直胴部放射熱遮断体移動手段とを設け、前記加熱手段は、前記ルツボを囲む高周波コイルを含む高周波発生手段で形成されるとともに、前記高周波コイルの上端部が前記ルツボの上端部分よりも低くなるように設けられ、前記直胴部放射熱遮断体移動手段は、単結晶成長初期の、単結晶の直径を大きくする単結晶のテーパ部形成時には、前記直胴部放射熱遮断体を前記ルツボの上端部分から離れた位置に移動させ、テーパ部に連続して円柱状に成長する単結晶の直胴部形成時には、前記直胴部放射熱遮断体を、単結晶の直胴部外周面と前記ルツボの内周面との間、もしくは単結晶の直胴部外周面と前記ルツボの上端部分との間に位置させてなることを特徴とする単結晶の製造装置。 - 原料を収容する導電性のルツボと、該ルツボを囲んで設けられた高周波コイルを含む高周波発生手段と、種結晶を回転させながら前記ルツボ内から上方へ移動する結晶移動手段とを備えた単結晶の製造装置であり、
前記ルツボの側壁の上端部分と下端部分との間の部分のみを、前記高周波発生手段の作動により加熱する壁側加熱部材を設けたことを特徴とする単結晶の製造装置。 - 前記壁側加熱部材は、前記ルツボの側壁外面の上端部分と下端部分との間の部分に、導電性を有する材料で前記ルツボの側壁外面の周方向に沿って延在させて設けた突起状の部材で形成されていることを特徴とする請求項5に記載の単結晶の製造装置。
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