JP7212877B2 - 変性フィルムの製造方法 - Google Patents
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Description
特に、分子量の低下は、フィルムの場合、強度だけでなく耐久性の低下につながる場合があり、また、分子量分布が狭くなり、成形し難くなる可能性も考えられる。
本発明者らは、特定の箇所(例:表面)をメインに改質できれば、フィルムとしての強度の低下を抑制しつつ、改質効果を高めることが期待できると考えた。
融点および/またはガラス転移温度が50℃以上300℃以下であるオレフィン系重合体フィルムの一部または全部を変性した変性フィルムの製造方法。
[3] 前記工程1が、前記ラジカルおよび前記フィルムの存在下に、前記ラジカルおよび前記フィルムに光照射して前記フィルムを変性する工程である、[1]または[2]に記載の変性製布の製造方法。
[8] 前記変性フィルムが離型フィルムである、[1]~[7]のいずれかに記載の変性フィルムの製造方法。
本発明に係る変性フィルムの製造方法(以下「本方法」ともいう。)は、融点および/またはガラス転移温度が50℃以上300℃以下であるオレフィン系重合体フィルムの一部または全部を変性した変性フィルムの製造方法であって、
1分子中に、15族元素および16族元素から選ばれる元素の原子(α)と17族元素の原子(β)とを、原子(α)の数:原子(β)の数=1:1~4:1の比で含むラジカルの存在下に光照射する工程1を含む。
なお、以下では、変性前のオレフィン系重合体フィルムを単に「フィルム」ともいい、変性後のフィルムを「変性フィルム」という。
また、従来の改質方法では、改質効果は経時劣化しやすい傾向にあったが、本方法によれば、該経時劣化の抑制も期待できる。
前記工程1は、1分子中に、15族元素および16族元素から選ばれる元素の原子(α)と17族元素の原子(β)とを、原子(α)の数:原子(β)の数=1:1~4:1の比で含むラジカルの存在下に光照射する工程である。
該工程1は、前記ラジカルの存在下で光照射すればよいが、好ましくは前記ラジカルの存在下に該ラジカルに光照射する工程である。
前記フィルムの変性方法としては、この方法(I)以外に、例えば、前記工程1を行った系と前記フィルムとを接触させる方法(II)を挙げることもできる。
前記ラジカルおよびフィルムに光照射する場合、前記ラジカルおよび前記フィルムのそれぞれに、別途光を照射してもよいが、例えば、1つの光源からの光によって前記ラジカルおよびフィルムに同時に光照射することが好ましい。
前記ラジカルは、15族元素の原子を2種以上含んでいてもよく、16族元素の原子を2種以上含んでいてもよく、15族元素および16族元素の原子をそれぞれ1種以上含んでいてもよく、17族元素の原子を2種以上含んでいてもよい。ただし、これらの場合、前記原子の数の比は、15族元素および16族元素の原子の合計の数と17族元素の原子の合計の数との比である。
原子(β)としては、好ましくは、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられ、塩素、臭素が好ましい。これらの中でも、塩素を含むラジカルが、入手が容易であるため、塩素がより好ましい。塩素を含むラジカルを用いる場合、照射する光としては、紫外線を含む光が好ましく、臭素やヨウ素を含むラジカルを用いる場合、紫外線より長波長の光も用いることができると考えられる。従って、光の選択自由度を考慮する場合や、フィルムに光劣化が生じる可能性がある場合など、状況によっては、臭素、ヨウ素が好ましい。
二酸化塩素ラジカル(ClO2・)の存在下に光照射した場合、例えば、二酸化塩素ラジカルに光が照射されることで、塩素ラジカル(Cl・)および酸素分子(O2)が発生すると考えられる。
光照射時間は特に限定されないが、例えば1分以上であり、例えば1000時間以下である。
本方法は、例えば、後述の実施例に示すように、加熱、加圧、減圧等を一切行わずに、大気中、常温(例:5~35℃)および常圧(大気圧)下で行なうことも可能である。
前記有機溶媒は特に制限されないが、例えば、炭化水素溶媒、ハロゲン化溶媒が挙げられる。
前記有機溶媒は、1種類でもよく、2種類以上でもよい。
該他の成分としては、特に限定されないが、例えば、前記ラジカルの発生源、ブレンステッド酸、ルイス酸、酸素(O2)が挙げられる。
これらはそれぞれ、1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
前記他の成分は、水相および/または有機相に溶解してもよいが、溶解していなくてもよい。
なお、1つの物質がルイス酸およびブレンステッド酸を兼ねていてもよい。「ルイス酸」は、前記ラジカルの発生源に対してルイス酸として働く物質をいう。
前記二酸化塩素ラジカルの発生源は、より具体的には、例えば、亜塩素酸ナトリウム(NaClO2)、亜塩素酸リチウム(LiClO2)、亜塩素酸カリウム(KClO2)、亜塩素酸マグネシウム(Mg(ClO2)2)、亜塩素酸カルシウム(Ca(ClO2)2)が挙げられる。これらの中でも、コスト、取扱い易さ等の点から、亜塩素酸ナトリウムが好ましい。
前記有機物質としては、例えば、アンモニウムイオン、有機酸(例:カルボン酸)が挙げられる。
前記無機物質は、金属イオンおよび非金属イオンの一方または両方を含んでいてもよい。前記金属イオンは、典型金属イオンおよび遷移金属イオンの一方または両方を含んでいてもよい。
前記無機物質は、例えば、アルカリ土類金属イオン(例えばCa2+等)、希土類イオン、Mg2+、Sc3+、Li+、Fe2+、Fe3+、Al3+、ケイ酸イオンおよびホウ酸イオンからなる群から選択される少なくとも一つであってもよい。
前記アルカリ土類金属イオンとしては、例えば、カルシウム、ストロンチウム、バリウムまたはラジウムのイオンが挙げられ、より具体的には、Ca2+、Sr2+、Ba2+およびRa2+が挙げられる。
前記「希土類」は、スカンジウム、イットリウムの2元素と、ランタンからルテチウムまでの15元素(ランタノイド)の計17元素の総称である。希土類イオンとしては、例えば、3価の陽イオンが挙げられる。
前記ブレンステッド酸の酸解離定数pKaは、例えば10以下である。前記pKaの下限値は、特に限定されないが、例えば、-10以上である。
水相および/または有機相が前記酸素(O2)を含むことで、例えば、フィルムの変性(酸化反応)を促進させることができる。
本方法は、前記ラジカルを生成するラジカル生成工程を含んでいてもよく、具体的には、前記ラジカル発生源から前記ラジカルを生成する工程が挙げられる。
下記スキーム1の第1の(上段の)反応式は、亜塩素酸イオン(ClO2 -)の不均化反応を示し、この反応系中にルイス酸およびブレンステッド酸の少なくとも一方が存在することで、平衡が右側に移動しやすくなると考えられる。
下記スキーム1中の第2の(中段の)反応式は、二量化反応を示し、不均化反応で生成した次亜塩素酸イオン(ClO-)と亜塩素酸イオンとが反応して二酸化二塩素(Cl2O2)が生成する。この反応は、水中にプロトンH+が多いほど、すなわち酸性であるほど進行しやすいと考えられる。
下記スキーム1中の第3の(下段の)反応式は、ラジカル生成を表す。この反応では、二量化反応で生成した二酸化二塩素が、亜塩素酸イオンと反応して二酸化塩素ラジカルを生成する。
前記フィルムは、融点および/またはガラス転移温度が50℃以上300℃以下であるオレフィン系重合体を含むフィルムである。
これらの中でも、エチレン系重合体、プロピレン系重合体、ブテン系重合体、4-メチル-1-ペンテン系重合体が好ましく、エチレン系重合体、プロピレン系重合体、4-メチル-1-ペンテン系重合体がより好ましく、用途にもよるが、4-メチル-1-ペンテン系重合体が特に好ましい。
前記オレフィン系重合体を得る手段は多くの報告があり、それらを制限なく採用することができ、例えば、分子量の高いエチレン重合体を得る方法としては、国際公開第2008/013144号、国際公開第2016/136540号などに記載の方法が挙げられ、4-メチル-1-ペンテン系重合体を得る方法としては、国際公開第2006/054613号などに記載の方法が挙げられる。
また、ガラス転移温度(Tg)は、2度目の昇温の際に、比熱の変化によりDSC曲線が屈曲し、ベースラインが平行移動する形で感知される。この屈曲より低温のベースラインの接線と、屈曲した部分で傾きが最大となる点の接線との交点の温度をガラス転移温度(Tg)とする。
前記オレフィン系重合体の極限粘度が前記範囲にあると、成形性と強度等のバランスが好適である。
前記メルトフローレート(ASTM1238規格)の好ましい測定条件は、以下の通りである。
エチレン系重合体の場合は、190℃、2.16kg荷重、プロピレン系重合体の場合は230℃、2.16kg荷重、4-メチル-1-ペンテン系重合体の場合は、260℃、5kg荷重、環状オレフィン系重合体の場合は、260℃、2.16kg荷重である。
また、前記フィルムとしては、これらの方法でフィルムを成形したのち、そのフィルムを延伸したフィルムであってもよい。この延伸を行うことにより、結晶化度や可視光における透視性を高めることが可能になったり、多孔化させることもできる。多孔化させる場合、分散させた微粒子を含むフィルムを延伸してもよい。
フィルムの厚みが前記範囲にあると、フィルムの強度などの機械特性を維持しつつ、表面特性などの機能を容易に付与することができる。使用する光線の波長とオレフィン重合体の吸光特性にもよるが、フィルムが薄すぎると表面などの一部分を主として変性するというような細かい設計がし難くなる場合がある。
前記フィルムには、前記ラジカルに含まれる原子(α)を含む官能基が導入される場合もあるが、空気中の酸素由来などの15族、16族原子を含む官能基が導入される場合もある。この際に、前記ラジカルに含まれる原子(β)もフィルムに導入される可能性がある。
本方法によれば、このように原子(β)もフィルムに導入されると考えられるため、変性フィルムには、原子(β)の有する効果も期待できる場合がある。
フィルムに原子(β)が導入される場合、フィルムに導入される、原子(α)の合計量[Cα]と、原子(β)の合計量[Cβ]との比率[Cα]/[Cβ]の下限は、好ましくは、ゼロを超え、より好ましくは0.01、さらに好ましくは0.1、特に好ましくは0.5であり、上限値は、好ましくは5000、より好ましくは100、さらに好ましくは20である。
前記の[Cα]、[Cβ]値は、XPS法によって特定される値である。測定は、製品名AXIS-Nova(KRATOS社製)を用い常法で実施される。
前記表面とは、前記フィルムの表面からの深さが、その厚みの1/10以下、より好ましくは1/20以下の領域をいう。この変性される部分の深さは、例えば、XPS法で確認することができる。
本方法は、光を介して進行するので、主として光の当たった場所を変性できることが期待される。
また、光をフィルムの一面だけに照射すれば、該一面だけ変性した変性フィルムや、フォトマスク等により、光の当たる部分を制御すれば、特定の箇所だけ変性することも可能となり、変性部分と未変性部分の比率を自由に制御することもできると期待される。
前記変性は、前記ラジカルの存在下に光が当たって発生する17族元素のラジカルを起点に反応が進行すると考えられる。従って、当該ラジカルが変性対象であるフィルムと接触した部分で変性が起こると考えられる。例えば、前記方法(I)において、前記ラジカルおよびフィルムに光照射する場合、変性対象であるフィルムに光照射された面積と変性された面積とは、ほぼ等価と考えることができる場合がある。
光を照射した周辺部や、光が届かない細孔の深層部が変性される場合もあるが、その割合は小さいと考えられる。
前記変性フィルムが多孔質フィルムである場合、例えば、電池などの各種セパレータ用途やフィルター用途、離型フィルムなどに好適であると考えられる。
前記離型フィルムは、例えば、前記TPX(登録商標)などのオレフィン系重合体フィルムを、紙やポリエステルフィルム等と貼り合わせた積層構造の離型フィルムとしてもよい。この場合、片面のみに本方法で得られた変性フィルムを用い、その変性面を紙やポリエステルフィルム等と貼合する態様とする場合、該紙やポリエステルフィルム等との接着性能を高め、他の面は離型性能を発揮できる、優れた積層離型フィルムとすることも期待できる。
ポリ容器に亜塩素酸ナトリウム(Sigma-Aldrich社製)10gおよび超純水100mLを入れ、亜塩素酸ナトリウムを超純水に溶解させた後、35~37%塩酸水溶液(富士フイルム和光純薬(株)製)1mLを加えることで、混合液を作成した。この条件で混合液中に二酸化塩素ラジカルが存在していることは別途、ESR法で確認した。この混合液を約22cm×16cm×高さ1.5cmの浅型バットに入れて網棚に置いた。次いで、約28cm×20cmのTPXフィルム(ポリ4-メチル-1-ペンテン、三井化学(株)製、DX231、50μm厚、融点:231℃、メルトフローレート(ASTM1238規格、260℃、5kg荷重):100g/10分)を混合液に触れないようにバットの上に載せた(このときの状態を図1に示す。)。このフィルムの上部からパイフォトニクス(株)製のホロライト・カク DC12Vで波長365nmの光を10分間、50~70mW/cm2で照射した。その後、その後、洗瓶を用いて、フィルム表面全体に超純水をかけて洗浄し、次いで減圧乾燥し、変性TPXフィルムを得た。
未処理のTPXフィルムおよび前記変性TPXフィルムそれぞれに対して、enercon社製の濡れ性確認用ペンセットVarietyに含まれる8本のEnerDyneペン(それぞれのダインレベル:30、32、35、38、41、44、48および56)で約1cmの線を引き、インクの濡れ性を目視で確認した。結果を表1に示す。また、この時のフィルムの状態を図2に示す。なお、図2の数字より上は、酸化TPXフィルムの状態を示し、数字より下は、未処理のTPXフィルムの状態を示す。
Claims (9)
- 1分子中に、15族元素および16族元素から選ばれる元素の原子(α)と17族元素の原子(β)とを、原子(α)の数:原子(β)の数=1:1~4:1の比で含むラジカルの存在下に光照射する工程1を含む、
融点および/またはガラス転移温度が50℃以上300℃以下であるオレフィン系重合体フィルムの一部または全部を変性した変性フィルムの製造方法であって、
前記原子(α)が酸素原子であり、前記原子(β)が塩素、臭素およびヨウ素から選ばれる原子である、
変性フィルムの製造方法。 - 前記工程1が、前記ラジカルおよび前記フィルムの存在下に、前記ラジカルに光照射して前記フィルムを変性する工程である、請求項1に記載の変性フィルムの製造方法。
- 前記工程1が、前記ラジカルおよび前記フィルムの存在下に、前記ラジカルおよび前記フィルムに光照射して前記フィルムを変性する工程である、請求項1または2に記載の変性フィルムの製造方法。
- 前記工程1が、前記ラジカルを含む水相および/または有機相と、前記フィルムとを接触させずに行う工程である、請求項1~3のいずれか1項に記載の変性フィルムの製造方法。
- 前記変性フィルムの厚さが1~1000μmである、請求項1~4のいずれか1項に記載の変性フィルムの製造方法。
- 前記ラジカルが二酸化塩素ラジカルである、請求項1~5のいずれか1項に記載の変性フィルムの製造方法。
- 前記オレフィン系重合体が、4-メチル-1-ペンテン系重合体である、請求項1~6のいずれか1項に記載の変性フィルムの製造方法。
- 前記変性フィルムが多孔質フィルムである、請求項1~7のいずれか1項に記載の変性フィルムの製造方法。
- 前記変性フィルムが離型フィルムである、請求項1~8のいずれか1項に記載の変性フィルムの製造方法。
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