本発明は、ステロール調節エレメント結合タンパク質(SREBP)シャペロン(SCAP)遺伝子のRNA転写物のRNA誘導サイレンシング複合体(RISC)媒介切断をもたらすiRNA組成物を提供する。SCAP遺伝子は、細胞内、例えばヒトなどの対象内にある細胞内にあり得る。本発明はまた、本発明のiRNA組成物を使用してSCAP遺伝子の発現を阻害する方法、および/またはSCAP遺伝子の発現の阻害または低下から利益を受けるであろう障害、例えば、SCAP関連疾患、例えば、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、例えば、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を有する対象を治療する方法も提供する。
本発明のiRNAとしては、例えば、15~30、15~29、15~28、15~27、15~26、15~25、15~24、15~23、15~22、15~21、15~20、15~19、15~18、15~17、18~30、18~29、18~28、18~27、18~26、18~25、18~24、18~23、18~22、18~21、18~20、19~30、19~29、19~28、19~27、19~26、19~25、19~24、19~23、19~22、19~21、19~20、20~30、20~29、20~28、20~27、20~26、20~25、20~24、20~23、20~22、20~21、21~30、21~29、21~28、21~27、21~26、21~25、21~24、21~23、または21~22ヌクレオチド長などの約30ヌクレオチド長以下の領域を有するRNA鎖(アンチセンス鎖)が挙げられ、その領域は、SCAP遺伝子のmRNA転写物の少なくとも一部と実質的に相補的である。
特定の実施形態では、本発明のiRNAは、C3遺伝子のmRNA転写物の少なくとも一部と実質的に相補的な少なくとも19の連続ヌクレオチドの領域を含むより長い長さ、例えば最長66ヌクレオチド、例えば、36~66、26~36、25~36、31~60、22~43、27~53ヌクレオチド長を含み得るRNA鎖(アンチセンス鎖)を含む。より長い長さのアンチセンス鎖を有するこれらのiRNAは、好ましくは、20~60ヌクレオチド長の第2のRNA鎖(センス鎖)を含み、ここで、センス鎖とアンチセンス鎖とは、18~30の連続ヌクレオチドの二重鎖を形成する。
これらのiRNAを使用することにより、哺乳類のSCAP遺伝子のmRNAを標的化して分解することが可能になる。特に、極めて低い投薬量のSCAP iRNAがRNA干渉(RNAi)を特異的かつ効率的に媒介することができ、SCAP遺伝子の発現の有意な阻害をもたらし得る。本発明者らは、細胞ベースのアッセイを用いて、SCAPを標的化するiRNAがRNAiを媒介し、SCAP遺伝子の発現の有意な阻害をもたらし得ることを実証した。したがって、これらのiRNAを含む方法および組成物は、SCAP関連疾患、例えば、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、例えば、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を有する対象など、SCAPタンパク質のレベルおよび/または活性の低下によって利益を受けるであろう対象の治療に有用である。
以下の詳細な説明は、SCAP遺伝子の発現を阻害するiRNAを含有する組成物を作製して利用する方法、ならびにこの遺伝子の発現の阻害および/または低下から利益を受けるであろう疾患および障害を有する対象を治療するための組成物および方法を開示する。
I.定義
本発明がより容易に理解されるように、特定の用語を最初に定義する。加えて、パラメータの値または値範囲が列挙される場合には常に、列挙された値の中間の値および範囲も本発明の一部であることが意図されることに留意すべきである。
冠詞「1つの(a)」および「1つの(an)」は、冠詞の1つまたは2つ以上(すなわち少なくとも1つ)の文法的目的に言及するために、本明細書で使用される。一例として「因子」は、1つの因子、または例えば複数の因子などの2つ以上の因子を意味する。
「含む」という用語は、本明細書では、「をはじめとするが、これに限定されるものではない」という用語を意味するために使用され、またそれと区別なく使用される。用語「または」は、本明細書では、文脈上特に明らかに指示されない限り、用語「および/または」を意味して使用され、およびそれと同義的に使用される。
「約」という用語は、本明細書では、当技術分野における典型的な誤差の範囲内を意味するために使用される。例えば、「約」は、平均値からの約2標準偏差として理解することができる。特定の実施形態では、約は、±10%を意味する。特定の実施形態では、約は、±5%を意味する。約が、一連の数値または範囲の前に置かれる場合、「約」は、上記一連の数値または範囲内の数値の各々を変更し得ることが理解される。
数値または一連の数値の前に置かれる「少なくとも」という用語は、「少なくとも」という用語に隣接する数値、および文脈から明らかなように、論理的に包含され得るあらゆる後続の数値または整数を含むことが理解される。例えば、核酸分子中のヌクレオチドの数は、整数でなければならない。例えば、「21ヌクレオチド核酸分子の少なくとも18ヌクレオチド」は、18、19、20、または21ヌクレオチドが、示される特性を有することを意味する。「少なくとも」が、一連の数値または範囲の前に置かれる場合、「少なくとも」は、上記一連の数値または範囲内の数値の各々を変更し得ることが理解される。
本明細書の用法では、「~以下」または「~未満」は、その語句に隣接する数値、および文脈から論理的であるように、論理的にそれより低い、ゼロまでの値または整数として理解される。例えば、「2ヌクレオチド以下」のオーバーハングを有する二本鎖は、2、1、または0ヌクレオチドオーバーハングを有する。「~以下」が、一連の数値または範囲の前に置かれる場合、「~以下」は、上記一連の数値または範囲内の数値の各々を変更し得ることが理解される。
用語「SCAP」は、SREBP切断活性化タンパク質としても知られる、限定はされないが、特に指定のない限り、ヒト、ウシ、ニワトリ、げっ歯類、マウス、ラット、ブタ、ヒツジ、霊長類、サル、およびモルモットを含めた任意の脊椎動物または哺乳類起源のアミノ酸配列を有するステロール調節エレメント結合タンパク質(SREBP)シャペロンを指す。この用語はまた、天然SCAPの少なくとも1つの生体内または試験管内活性を維持している天然SCAPの断片および変異体も指す。この用語には、完全長のプロセシングされていない前駆体形態のSCAP、ならびにシグナルペプチドの翻訳後切断によって生じる成熟形態が包含される。ヒトSCAPのヌクレオチドおよびアミノ酸配列は、例えば、GenBank受託番号GI:66932901(NM_012235.2;配列番号1)を参照し得る。
ヒトSCAPのヌクレオチドおよびアミノ酸配列はまた、例えば、GenBank受託番号GI:987996597(NM_012235.3;配列番号2);GenBank受託番号GI:530372097(XM_005264967.1;配列番号3);GenBank受託番号GI:530372099(XM_005264968.1;配列番号4);GenBank受託番号GI:530372101(XM_005264969.1;配列番号5);GenBank受託番号GI:767922691(XM_011533501.1;配列番号6);GenBank受託番号GI:767922693(XM_011533502.1;配列番号7);GenBank受託番号GI:767922696(XM_005264970.3;配列番号8);GenBank受託番号GI:530372105(XM_005264971.1;配列番号9);およびGenBank受託番号GI:767922697(XM_005264972.3;配列番号10)も参照し得る。
カニクイザルSCAPのヌクレオチドおよびアミノ酸配列は、例えば、GenBank受託番号GI:544413972(XM_005546963.1;配列番号11)を参照し得る。マウスSCAPのヌクレオチドおよびアミノ酸配列は、例えば、GenBank受託番号GI:557636668(NM_001103162.2;配列番号12)を参照し得る。ラットSCAPのヌクレオチドおよびアミノ酸配列は、例えば、GenBank受託番号GI:155369286(NM_001100966.1;配列番号13)を参照し得る。SCAP配列のさらなる例は、公的に利用可能なデータベース、例えば、GenBank、UniProt、およびOMIMを用いて容易に入手可能である。
用語「SCAP」はまた、本明細書で使用されるとき、SCAP遺伝子における一塩基変異多型など、SCAP遺伝子の天然に存在するDNA配列変異によって細胞で発現する特定のポリペプチドも指す。SCAP遺伝子内に多くのSNPが同定されており、例えば、NCBI dbSNPを参照し得る(例えば、www.ncbi.nlm.nih.gov/snpを参照)。SCAP遺伝子内にあるSNPの非限定的な例については、NCBI dbSNP受託番号rs926103;rs12487736;rs12490383;rs754498;rs877097;rs878659;rs881264;rs900690;rs900691;rs900692;rs909200;rs909201;rs928391;またはrs943555を参照し得る。
本明細書で使用されるとき、「標的配列」は、一次転写産物のRNAプロセシングの産物であるmRNAを含め、SCAP遺伝子の転写時に形成されるmRNA分子のヌクレオチド配列の連続部分を指す。一実施形態では、配列の標的部分は、少なくとも、SCAP遺伝子の転写時に形成されるmRNA分子のヌクレオチド配列のその部分またはその近傍におけるiRNA指向性切断の基質としての役割を果たすのに十分な長さであり得る。
標的配列は、例えば約15~30ヌクレオチド長などの約9~36ヌクレオチド長であってもよい。例えば、標的配列は、15~29、15~28、15~27、15~26、15~25、15~24、15~23、15~22、15~21、15~20、15~19、15~18、15~17、18~30、18~29、18~28、18~27、18~26、18~25、18~24、18~23、18~22、18~21、18~20、19~30、19~29、19~28、19~27、19~26、19~25、19~24、19~23、19~22、19~21、19~20、20~30、20~29、20~28、20~27、20~26、20~25、20~24、20~23、20~22、20~21、21~30、21~29、21~28、21~27、21~26、21~25、21~24、21~23、または21~22ヌクレオチドなど、約15~30ヌクレオチド長であり得る。列挙された範囲および長さの中間の範囲および長さも本発明の一部であることが意図される。
本明細書の用法では、「配列を含む鎖」という用語は、標準ヌクレオチド命名法を使用して、言及される配列によって記載されるヌクレオチド鎖を含むオリゴヌクレオチドを指す。
「G」、「C」、「A」、「T」、および「U」は、通常、塩基としてそれぞれグアニン、シトシン、アデニン、チミジン、およびウラシルを含有するヌクレオチドをそれぞれ表す。しかし、「リボヌクレオチド」または「ヌクレオチド」という用語はまた、以下でさらに詳述されるような修飾ヌクレオチドにも、または代替置換部分にも言及し得るものと理解される(例えば、表1を参照されたい)。当業者は、このような置換部分を有するヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドの塩基対形成特性を実質的に変更することなく、グアニン、シトシン、アデニン、およびウラシルを他の部分で置き換え得ることを十分承知している。限定を意図しない例として、塩基としてイノシンを含むヌクレオチドは、アデニン、シトシン、またはウラシルを含有するヌクレオチドと塩基対形成し得る。したがって、ウラシル、グアニン、またはアデニンを含有するヌクレオチドは、本発明で取り上げるdsRNAのヌクレオチド配列中で、例えばイノシンを含有するヌクレオチドで置き換え得る。別の実施例では、アデニンおよびシトシンは、オリゴヌクレオチドのどこでも、それぞれグアニンおよびウラシルで置換され得、標的mRNAとG-Uゆらぎ塩基対を形成する。このような置換部分を含有する配列は、本発明で取り上げる組成物および方法に適する。
「iRNA」、「RNAi剤」、「iRNA剤」、「RNA干渉剤」という用語は、本明細書で同義的に使用され、本明細書定義で定義されるRNAを含有して、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)経路を通じたRNA転写物の標的切断を媒介する薬剤を指す。iRNAは、RNA干渉(RNAi)として知られている過程を通じて、mRNAの配列特異的分解を誘発する。iRNAは、例えば哺乳類対象などの対象内の細胞などの細胞内で、SCAP遺伝子の発現を調節し、例えば阻害する。
一実施形態では、本発明のRNAi剤としては、例えば、SCAP標的mRNA配列などの標的RNA配列と相互作用して、標的RNAの切断を誘導する一本鎖RNAが挙げられる。理論による拘束は望まないが、細胞に導入された長い二本鎖RNAは、ダイサー(Dicer)として知られているIII型エンドヌクレアーゼにより、センス鎖およびアンチセンス鎖を含む二本鎖低分子干渉RNA(siRNA)に分解されると考えられる(Sharp et al.(2001)Genes Dev.15:485)。リボヌクレアーゼ-III様酵素であるダイサーは、これらのdsRNAをプロセスして、特徴的な2塩基3’オーバーハングがある19~23塩基対の低分子干渉RNAにする(Bernstein,et al.,(2001)Nature 409:363)。次に、上記siRNAは、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)に組み込まれ、1つ以上のヘリカーゼがsiRNA二本鎖を巻き戻し、相補的アンチセンス鎖が標的認識を誘導できるようにする(Nykanen,et al.,(2001)Cell 107:309)。適切な標的mRNAとの結合に際して、RISC内の1つ以上のエンドヌクレアーゼが標的を切断し、サイレンシングを誘発する(Elbashir,et al.,(2001)Genes Dev.15:188)。したがって、一態様では、本発明は、細胞内で生成されて、RISC複合体の形成を促進し、標的遺伝子、すなわちSCAP遺伝子のサイレンシングをもたらす一本鎖RNA(ssRNA)(siRNA二本鎖のアンチセンス鎖)に関する。したがって、「siRNA」という用語はまた、上述したようなRNAiを指すために本明細書で使用される。
別の実施形態では、RNAi剤は、標的mRNAを阻害するために、細胞または生物に導入された一本鎖RNAであってもよい。一本鎖RNAi剤は、RISCエンドヌクレアーゼ、Argonaute2に結合し、次にこれが、標的mRNAを切断する。一本鎖siRNAは、一般に15~30個のヌクレオチドであり、化学的に修飾されている。一本鎖RNAのデザインおよび試験は、そのそれぞれの内容全体を参照によって本明細書に援用する、米国特許第8,101,348号明細書、およびLima et al.,(2012)Cell 150:883-894に記載される。本明細書に記載されるあらゆるアンチセンスヌクレオチド配列は、本明細書に記載される一本鎖siRNAとして、またはLima et al.,(2012)Cell 150;:883-894に記載される方法で化学的に修飾して、使用してもよい。
別の実施形態では、本発明の組成物および方法で使用される「iRNA」は、二本鎖RNAであり、本明細書で「二本鎖RNAi剤」、「二本鎖RNA(dsRNA)分子」、「dsRNA剤」または「dsRNA」と称される。「dsRNA」という用語は、標的RNA、すなわちSCAP遺伝子に関して「センス」および「アンチセンス」配向を有すると言及される、2本の逆平行で実質的に相補的な核酸鎖を含む、二本鎖構造を有するリボ核酸分子複合体を指す。本発明の一部の実施形態では、二本鎖RNA(dsRNA)は、本明細書でRNA干渉またはRNAiと称される転写後遺伝子サイレンシング機序を通じて、例えばmRNAなどの標的RNA分解を引き起こす。
一般に、dsRNA分子の各鎖のヌクレオチドの大部分は、リボヌクレオチドであるが、本明細書に詳細に記載するとおり、各鎖または両方の鎖は、1つ以上の非リボヌクレオチド、例えば、デオキシリボヌクレオチドおよび/または修飾ヌクレオチドを含んでもよい。さらに、本明細書の用法では、「RNAi剤」は、化学修飾を有するリボヌクレオチドを含んでもよく;RNAi剤は、複数のヌクレオチドに実質的な修飾を含んでもよい。本明細書の用法では、「修飾ヌクレオチド」という用語は、独立に、修飾糖部分、修飾ヌクレオチド間結合、および/または修飾核酸塩基を有するヌクレオチドを指す。したがって、修飾ヌクレオチドという用語は、ヌクレオシド間結合、糖部分、もしくは核酸塩基に対する、例えば官能基または原子の置換、付加または除去を包含する。本発明の薬剤での使用に好適な修飾は、本明細書に開示する、または当技術分野で公知のあらゆる種類の修飾を含む。siRNAタイプの分子に使用される任意のそのような修飾は、本明細書および特許請求の範囲の目的のために「RNAi剤」に包含される。
二本鎖領域は、RISC経路を通じた所望の標的RNA特異的分解を可能にするあらゆる長さであってもよく、約9~36塩基対長さなどの範囲であってもよく、例えば約9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、または36塩基対長さなどの約15~30塩基対長さ、例えば約15~30、15~29、15~28、15~27、15~26、15~25、15~24、15~23、15~22、15~21、15~20、15~19、15~18、15~17、18~30、18~29、18~28、18~27、18~26、18~25、18~24、18~23、18~22、18~21、18~20、19~30、19~29、19~28、19~27、19~26、19~25、19~24、19~23、19~22、19~21、19~20、20~30、20~29、20~28、20~27、20~26、20~25、20~24、20~23、20~22、20~21、21~30、21~29、21~28、21~27、21~26、21~25、21~24、21~23、または21~22塩基対長さなどである。列挙された範囲および長さの中間の範囲および長さも本発明の一部であることが意図される。
二本鎖構造を形成する2本の鎖は、より大型のRNA分子の異なる部分であってもよく、またはそれらは別のRNA分子であってもよい。2本の鎖が1つのより大型の分子の部分であり、したがって二本鎖構造を形成する1本の鎖の3’末端と、それぞれの他方の鎖の5’末端との間が中断されていないヌクレオチド鎖によって結合される場合、結合RNA鎖は「ヘアピンループ」と称される。ヘアピンループは、少なくとも1つの不対ヌクレオチドを含み得;一部の実施形態では、ヘアピンループは、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも23以上の不対ヌクレオチドを含み得る。一部の実施形態では、ヘアピンループは、10ヌクレオチド以下であってもよい。一部の実施形態では、ヘアピンループは、8以下の不対ヌクレオチドであってよい。一部の実施形態では、ヘアピンループは、4~10の不対ヌクレオチドであってよい。一部の実施形態では、ヘアピンループは、4~8のヌクレオチドであってよい。
dsRNAの2本の実質的に相補的な鎖が、別のRNA分子によって構成されている場合、これらの分子は共有結合的に連結され得るが、必ずしもそうである必要はない。2本の鎖が、二本鎖構造を形成する1本の鎖の3’末端と、それぞれの他方の鎖の5’末端との間で、中断されていないヌクレオチド鎖以外の手段によって共有結合される場合、結合構造は「リンカー」と称される。RNA鎖は、同じまたは異なるヌクレオチド数を有してもよい。最大塩基対数は、dsRNAの最短鎖中のヌクレオチド数から、二本鎖中に存在するあらゆるオーバーハングを差し引いた数である。二本鎖構造に加えて、RNAiは、1つ以上のヌクレオチドオーバーハングを含んでもよい。RNAi剤の一実施形態では、少なくとも一方の鎖が少なくとも1ヌクレオチドの3’オーバーハングを含む。別の実施形態では、少なくとも一方の鎖が少なくとも2ヌクレオチド、例えば、2、3、4、5、6、7、9、10、11、12、13、14、または15ヌクレオチドの3’オーバーハングを含む。他の実施形態では、RNAi剤の少なくとも一方の鎖が少なくとも1ヌクレオチドの5’オーバーハングを含む。特定の実施形態では、少なくとも一方の鎖が少なくとも2ヌクレオチド、例えば、2、3、4、5、6、7、9、10、11、12、13、14、または15ヌクレオチドの5’オーバーハングを含む。なおも他の実施形態では、RNAi剤の一方の鎖の3’末端および5’末端の両方が少なくとも1ヌクレオチドのオーバーハングを含む。
一実施形態では、本発明のRNAi剤は、標的RNAの切断を導くために標的RNA配列、例えばSCAP標的mRNA配列と相互作用するdsRNAであり、その各鎖は19~23ヌクレオチドを含む。理論による拘束は望まないが、細胞に導入された長い二本鎖RNAは、ダイサーとして知られているIII型エンドヌクレアーゼによってsiRNAに分解される(Sharp et al.(2001)Genes Dev.15:485)。リボヌクレアーゼ-III様酵素であるダイサーは、dsRNAをプロセスして、特徴的な2塩基3’オーバーハングを有する19~23塩基対の低分子干渉RNAにする(Bernstein,et al.,(2001)Nature 409:363)。次に、上記siRNAは、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)に組み込まれ、1つ以上のヘリカーゼがsiRNA二本鎖を巻き戻し、相補的アンチセンス鎖が標的認識を誘導できるようにする(Nykanen,et al.,(2001)Cell 107:309)。適切な標的mRNAと結合すると、RISC内の1つ以上のエンドヌクレアーゼは、標的を切断して、サイレンシングを誘導する(Elbashir,et al.,(2001)Genes Dev.15:188)。
本明細書の用法では、「ヌクレオチドオーバーハング」という用語は、例えばdsRNAなどのiRNAの二本鎖構造から突出する、少なくとも1つの不対ヌクレオチドを指す。例えば、dsRNAの1本の鎖の3’末端が他方の鎖の5’末端を越えて伸びる、またはその逆の場合、ヌクレオチドオーバーハングがある。dsRNAは、少なくとも1つのヌクレオチドのオーバーハングを含み得;代案としては、オーバーハングは、少なくとも2つのヌクレオチド、少なくとも3つのヌクレオチド、少なくとも4つのヌクレオチド、少なくとも5つ以上のヌクレオチドを含み得る。ヌクレオチドオーバーハングは、デオキシリボヌクレオチド/ヌクレオシドをはじめとする、ヌクレオチド/ヌクレオシド類似体を含み得るかまたはそれからなり得る。オーバーハングは、センス鎖、アンチセンス鎖、またはそのあらゆる組合せ上にあり得る。さらに、オーバーハングのヌクレオチドは、dsRNAのアンチセンスまたはセンス鎖のいずれかの5’末端、3’末端、または両方の末端上に存在し得る。
一実施形態では、dsRNAのアンチセンス鎖は、例えば3’末端および/または5’末端でオーバーハングする、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10ヌクレオチドなどの1~10ヌクレオチドを有する。一実施形態では、dsRNAのセンス鎖は、例えば3’末端および/または5’末端でオーバーハングする、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10ヌクレオチドなどの1~10ヌクレオチドを有する。別の実施形態では、オーバーハング中の1つ以上のヌクレオチドは、チオリン酸ヌクレオシドで置換されている。
特定の実施形態では、dsRNAのアンチセンス鎖は、3’末端および/または5’末端に1~10ヌクレオチド、例えば、0~3、1~3、2~4、2~5、4~10、5~10、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10ヌクレオチドのオーバーハングを有する。一実施形態では、dsRNAのセンス鎖は、3’末端および/または5’末端に1~10ヌクレオチド、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10ヌクレオチドのオーバーハングを有する。別の実施形態では、オーバーハングのヌクレオチドの1つ以上がヌクレオシドチオホスフェートに置換されている。
特定の実施形態では、センス鎖もしくはアンチセンス鎖、またはその両方のオーバーハングは、10ヌクレオチドを超える伸長された長さ、例えば、1~30ヌクレオチド、2~30ヌクレオチド、10~30ヌクレオチド、または10~15ヌクレオチドの長さを含み得る。特定の実施形態では、伸長されたオーバーハングは、二本鎖のセンス鎖にある。特定の実施形態では、伸長されたオーバーハングは、二本鎖のセンス鎖の3’末端に存在する。特定の実施形態では、伸長されたオーバーハングは、二本鎖のセンス鎖の5’末端に存在する。特定の実施形態では、伸長されたオーバーハングは、二本鎖のアンチセンス鎖にある。特定の実施形態では、伸長されたオーバーハングは、二本鎖のアンチセンス鎖の3’末端に存在する。特定の実施形態では、伸長されたオーバーハングは、二本鎖のアンチセンス鎖の5’末端に存在する。特定の実施形態では、オーバーハング中の1つ以上のヌクレオチドは、ヌクレオシドチオリン酸で置換されている。特定の実施形態では、オーバーハングは、自己相補性部分を含み、そのため、オーバーハングは、生理的条件下で安定なヘアピン構造の形成能を有する。
用語「平滑」または「平滑末端化された」は、dsRNAを参照して本明細書で使用されるとき、dsRNAの所与の端部側の末端に対を成さないヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体がない、すなわちヌクレオチドオーバーハングがないことを意味する。dsRNAの一方または両方の末端が平滑であり得る。dsRNAの両方の末端が平滑である場合、そのdsRNAは、平滑末端化されていると言われる。明確化のために言うと、「平滑末端化された」dsRNAは、両方の末端が平滑化されたdsRNAであり、すなわち、分子のいずれの末端にもヌクレオチドオーバーハングがない。ほとんどの場合、このような分子は、その全長にわたって二本鎖である。
「アンチセンス鎖」または「ガイド鎖」という用語は、例えば、SCAP mRNAなどの標的配列と実質的に相補的な領域を含む、dsRNAなどのiRNA鎖を指す。
本明細書の用法では、「相補性領域」という用語は、例えば、本明細書で定義されるとおりのSCAPヌクレオチド配列のような標的配列などの配列と実質的に相補的なアンチセンス鎖上の領域を指す。相補性領域が標的配列と完全に相補的でない場合、分子の内部または末端領域にミスマッチがあり得る。概して、最も許容されるミスマッチはiRNAの末端領域、例えば、5’末端および/または3’末端の5、4、3、または2ヌクレオチドの範囲内にある。
「センス鎖」または「パッセンジャー鎖」という用語は、本明細書の用法では、本明細書で定義されるアンチセンス鎖の領域と実質的に相補的な領域を含む、iRNA鎖を指す。
本明細書の用法では、「切断領域」という用語は、切断部位に直接隣接して位置する領域を指す。切断部位は、切断が起こる標的の部位である。一部の実施形態では、切断領域は、切断部位のいずれかの末端、および切断部位に直接隣接する3つの塩基を含む。一部の実施形態では、切断領域は、切断部位のいずれかの末端、および切断部位に直接隣接する2つの塩基を含む。一部の実施形態では、切断領域は、特に、アンチセンス鎖のヌクレオチド10および11と結合する部位に存在し、切断領域は、ヌクレオチド11、12および13を含む。
本明細書の用法では、特に断りのない限り、「相補的」という用語は、第2のヌクレオチド配列との関連で第1のヌクレオチド配列を記述するのに使用される場合、当業者に理解されるであろうように、第1のヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドが、特定条件下で、第2のヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドとハイブリダイズして、二本鎖構造を生成する能力を指す。このような条件は、例えばストリンジェントな条件であり得、ストリンジェントな条件としては、400mMのNaCl、pH6.4の40mMのPIPES、1mMのEDTA、50℃または70℃で12~16時間と、それに続く洗浄が挙げられる(例えば、“Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Sambrook,et al.(1989)Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照されたい)。生物中で遭遇し得る生理学的に妥当な条件などの他の条件が適用され得る。当業者は、ハイブリダイズしたヌクレオチドの最終用途に従って、2つの配列の相補性試験に最適な条件の組を判定することができる。
例えば、本明細書に記載されるdsRNA内などのiRNA内の相補配列は、一方または両方のヌクレオチド配列全長にわたる、第1のヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドと、第2のヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドとの塩基対合を含む。このような配列は、本明細書で互いに「完全に相補的」と称し得る。しかし、本明細書で第1の配列が第2の配列に関して「実質的に相補的」と称される場合、2つの配列は完全に相補的であり得、またはそれらは最大で30塩基対の二本鎖のハイブリダイゼーションに際して、例えばRISC経路を通じた遺伝子発現の阻害などのそれらの最終用途に最も妥当な条件下でハイブリダイズする能力を保ちながら、1つ以上であるが概して5、4、3または2以下のミスマッチ塩基対を形成し得る。しかし、ハイブリダイゼーションに際して、1つ以上の一本鎖オーバーハングを形成するように、2つのオリゴヌクレオチドがデザインされる場合、このようなオーバーハングは、相補性の判定に関してミスマッチと見なされないものとする。例えば、21ヌクレオチド長の1つのオリゴヌクレオチドと、23ヌクレオチド長の別のオリゴヌクレオチドとを含み、より長いオリゴヌクレオチドがより短いオリゴヌクレオチドと完全に相補的な21ヌクレオチドの配列を含むdsRNAは、本明細書に記載される目的では、なおも「完全に相補的」と称される。
「相補的」配列は、本明細書の用法ではまた、それらのハイブリダイズ能力に関する上の要件が満たされる限りにおいて、非ワトソン・クリック塩基対および/または非天然および修飾ヌクレオチドから形成される塩基対も含み、またはそれから完全に形成され得る。このような非ワトソン・クリック塩基対としては、G:Uゆらぎ塩基対またはフーグスティーン型塩基対が挙げられるが、これに限定されるものではない。
本明細書では、「相補的」、「完全に相補的」、および「実質的に相補的」という用語は、それらが使用される文脈から理解されるであろうように、dsRNAのセンス鎖とアンチセンス鎖との間の、またはiRNA剤のアンチセンス鎖と標的配列間の塩基整合に関して使用し得る。
本明細書の用法では、メッセンジャーRNA(mRNA)「の少なくとも一部と実質的に相補的」なポリヌクレオチドは、対象mRNA(例えば、SCAP遺伝子をコードするmRNA)の連続部分と、実質的に相補的なポリヌクレオチドを指す。例えば、ポリヌクレオチドは、配列が、SCAP遺伝子をコードするmRNAの非分断部分と実質的に相補的であれば、SCAP mRNAの少なくとも一部と相補的である。
したがって、一部の実施形態では、本明細書に開示するアンチセンス鎖ポリヌクレオチドは、標的SCAP配列と完全に相補的である。他の実施形態では、本明細書に開示されるアンチセンス鎖ポリヌクレオチドは、標的SCAP配列と実質的に相補的であり、配列番号1~13のヌクレオチド配列、または配列番号1~13の断片の均等な領域とその全長にわたって少なくとも約80%相補的、例えば、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約%91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、または約99%相補的な連続ヌクレオチド配列を含む。
他の実施形態では、本明細書に開示されるアンチセンスポリヌクレオチドは、標的SCAP配列と実質的に相補的であり、表2、表3、表5、または表6のいずれか1つにおけるセンス鎖ヌクレオチド配列のいずれか1つ、または表2、表3、表5、または表6のいずれか1つにおけるセンス鎖ヌクレオチド配列のいずれか1つの断片とその全長にわたって少なくとも約80%相補的、例えば、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約%91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、または約99%相補的な連続ヌクレオチド配列を含む。
一実施形態では、本発明のRNAi剤は、アンチセンスポリヌクレオチドと実質的に相補的なセンス鎖を含み、次に、そのアンチセンスポリヌクレオチドが標的SCAP配列と同じであり、ここで、センス鎖ポリヌクレオチドは、配列番号14~26のヌクレオチド配列、または配列番号14~26のいずれか1つの断片の均等な領域とその全長にわたって少なくとも約80%相補的、例えば、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約%91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、または約99%相補的な連続ヌクレオチド配列を含む。
一実施形態では、SCAP遺伝子の発現の少なくとも部分的な抑制は、SCAP遺伝子が転写されるところであり、かつSCAP遺伝子の発現が阻害されるように処理された第1の細胞または細胞集団から単離し得る、またはそこに検出し得るSCAP mRNAの量を、第1の細胞または細胞集団と実質的に同一であるがそのような処理を受けていない第2の細胞または細胞集団(対照細胞)と比較したときの低下によって評価される。阻害の程度は、
の点で表すことができる。
dsRNAなどの「RNAi剤と細胞を接触させる」という語句は、本明細書で使用されるとき、任意の可能な手段によって細胞を接触させることを含む。RNAi剤と細胞を接触させることには、iRNAと試験管内で細胞を接触させること、またはiRNAと生体内で細胞を接触させることが含まれる。接触は直接または間接的に行われ得る。したがって、例えば、RNAi剤が、個々にこの方法を実施することによって細胞と物理的接触下に置かれてもよく、あるいはRNAi剤が、続く細胞との接触を許容し得るかまたはそれを引き起こし得る状況に置かれてもよい。
試験管内での細胞の接触は、例えば細胞をRNAi剤とインキュベートすることにより行われ得る。生体内での細胞の接触は、例えば細胞が位置する組織中またはその近傍にRNAi剤を注入することによるか、またはRNAi剤を別の範囲、例えば血流中または皮下腔に注入して、続いて接触させようとする細胞が位置する組織に薬剤を到達させることによって行われ得る。例えば、RNAi剤は、RNAi剤を目的の部位、例えば肝臓に導くリガンド、例えばGalNAc3を含有し得るか、および/またはそれとカップリングされ得る。試験管内および生体内接触方法の組合せも可能である。例えば、細胞はまた、試験管内でRNAi剤と接触させて、続いて対象に移植してもよい。
一実施形態では、細胞をiRNAと接触させることは、細胞への取込みまたは吸収を促進し、または生じさせることにより「導入すること」または「iRNAを細胞に送達すること」を含む。iRNAの吸収または取込みは、自然の拡散または活性細胞過程で、または助剤もしくは装置によって起こり得る。細胞へのiRNAの導入は試験管内および/または生体内であってよい。例えば、生体内導入については、iRNAが組織部位に注入され、または全身投与される。細胞への試験管内導入は、電気穿孔およびリポフェクションなどの当技術分野において公知の方法を含む。さらなる手法については、本明細書で以下に記載され、および/または当技術分野において公知である。
用語「脂質ナノ粒子」または「LNP」は、核酸分子、例えばiRNAまたはiRNAの転写元のプラスミドなど、薬学的に活性な分子を封入する脂質層を含む小胞である。LNPについては、例えば、米国特許第6,858,225号明細書、同第6,815,432号明細書、同第8,158,601号明細書、および同第8,058,069号明細書(これらの内容は、全て本明細書によって参照により本明細書に援用される)に記載されている。
本明細書の用法では、「対象」は、霊長類(ヒト、例えばサルおよびチンパンジーなどの非ヒト霊長類など)、非霊長類(ウシ、ブタ、ラクダ、ラマ、ウマ、ヤギ、ウサギ、ヒツジ、ハムスター、モルモット、ネコ、イヌ、ラット、マウス、ウマ、およびクジラなど)をはじめとする哺乳類、または鳥類(例えば、アヒルもしくはガチョウ)などの動物である。一実施形態では、対象は、SCAP発現の低下から利益を受けるであろう疾患、障害または病状について治療または評価されるヒト;SCAP発現の低下から利益を受けるであろう疾患、障害または病状のリスクがあるヒト;SCAP発現の低下から利益を受けるであろう疾患、障害または病状を有するヒト;および/または本明細書に記載されるようにSCAP発現の低下から利益を受けるであろう疾患、障害または病状について治療されるヒトなどのヒトである。
本明細書で使用されるとき、用語「治療する」または「治療」は、限定はされないが、SCAP遺伝子発現および/またはSCAPタンパク質産生に関連する1つ以上の症状、例えば、脂肪肝(脂肪症)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、肝硬変、肝臓内の脂肪蓄積、肝炎、肝臓細胞壊死、肝線維症、肥満症、または非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の軽減または改善を含めた有益なまたは所望の結果を指す。「治療」はまた、治療を施さない場合の予測生存期間と比較した生存期間の延長も意味し得る。
対象におけるSCAPのレベルまたは疾患マーカもしくは症状に関連して「低下させる」という用語は、このようなレベルの統計的に有意な低下を意味する。低下は、例えば、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはそれを超え得る。特定の実施形態では、低下は少なくとも20%である。対象のSCAPレベルに関連して「低下させる」とは、好ましくは、かかる障害を有しない個体の正常範囲内にあると認められるレベルに至るまでの低下である。
本明細書の用法では、SCAP遺伝子の発現および/またはSCAPタンパク質の産生の低下から利益を受けるであろう疾患、障害もしくはその病状に関して使用される「予防」または「予防する」は、対象が、例えば、SCAP遺伝子発現の症状、例えば、脂肪肝(脂肪症)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、肝硬変、肝臓内の脂肪蓄積、肝臓の炎症、肝細胞壊死、肝線維症、肥満、または非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の存在などの疾患、障害、または病状に伴う症状を発症する可能性の低下を指す。疾患、障害または病状を発症しないこと、またはこのような疾患、障害または病状に伴う症状発症の減少(例えば、その疾患または障害の臨床的に認められた尺度で少なくとも約10%の)、または遅延した症状呈示の遅延(例えば、数日間、数週間、数ヶ月または数年間)が、効果的予防と見なされる。
本明細書で使用されるとき、用語「SCAP関連疾患」は、SCAP遺伝子発現またはSCAPタンパク質産生によって引き起こされるかまたはそれに関連する疾患または障害である。用語「SCAP関連疾患」には、SCAP遺伝子発現、複製、またはタンパク質活性の低下から利益を受けるであろう疾患、障害または病態が含まれる。SCAP関連疾患の非限定的な例としては、例えば、脂肪肝(脂肪症)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、肝硬変、肝臓内の脂肪蓄積、肝炎、肝細胞壊死、肝線維症、肥満症、または非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、高脂血症、高リポタンパク血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、アテローム性動脈硬化症、膵炎、非インスリン依存性真性糖尿病、冠動脈心疾患、および脳血管疾患が挙げられる。一実施形態では、SCAP関連疾患は非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)である。別の実施形態では、SCAP関連疾患は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)である。別の実施形態では、SCAP関連疾患は、肝硬変である。別の実施形態では、SCAP関連疾患は、インスリン抵抗性である。別の実施形態では、SCAP関連疾患は、インスリン抵抗性ではない。一実施形態では、SCAP関連疾患は、肥満である。
一実施形態では、SCAP関連疾患は、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)である。本明細書の用法では、「非アルコール性脂肪性肝疾患」は、「NAFLD」という用語と置き換え可能に用いられ、毎日20gm未満のアルコール摂取の存在下で、大血管性脂肪症の存在により定義される疾患を指す。NAFLDは、米国で最も一般的な肝臓疾患であり、一般に、インスリン抵抗性/2型糖尿病および肥満に関連する。NAFLDは、脂肪症、脂肪性肝炎、硬変、および時として肝細胞癌により発現される。NAFLDについて詳しくは、Tolman and Dalpiaz(2007)Ther.Clin.Risk.Manag.,3(6):1153-1163(その内容全体を参照によって本明細書に援用する)を参照されたい。
本明細書で使用されるとき、用語「脂肪症」、「肝脂肪症」、および「脂肪性肝疾患」は、肝臓細胞内へのトリグリセリド類および他の脂肪の蓄積を指す。
本明細書で使用されるとき、用語「非アルコール性脂肪性肝炎」または「NASH」は、肝臓内への脂肪の蓄積によって引き起こされる肝炎および肝損傷を指す。NASHは、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)と呼ばれる病態群の一部である。NASHはアルコール性肝疾患と類似しているが、アルコールをほとんどまたは全く飲まない人にも起こる。NASHの主な特徴は、炎症および損傷を伴う肝臓内の脂肪である。NASHを有する人の大多数は体調が良く、肝臓に問題があることに気付かない。それにもかかわらず、NASHは重篤になることもあり、肝臓が永久的な損傷を受けて瘢痕化し、もはや正常に機能できなくなる肝硬変につながり得る。NASHは、通常、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)またはアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)など、ルーチンの血液検査パネルに含まれる肝検査値の上昇が認められる人において初めは疑われる。さらなる評価によっても肝疾患の明確な理由(薬物療法、ウイルス性肝炎、またはアルコール過剰摂取など)が示されない場合、および肝臓のX線または画像診断が脂肪を示す場合、NASHが疑われる。NASHの診断を立証し、それを単なる脂肪肝と区別する唯一の手段は肝生検である。
本明細書で使用されるとき、組織学的に定義される用語「肝硬変」は、線維症および正常な肝臓構造から構造的に異常な結節への変化によって特徴付けられる肝臓のびまん性の経過である。
本明細書で使用されるとき、用語「血清脂質」は、血中に存在する任意の重大な脂質を指す。血清脂質は、遊離形態で、またはタンパク質複合体、例えばリポタンパク質複合体の一部としてのいずれかで血中に存在し得る。血清脂質の非限定的な例としては、トリグリセリド類(TG)、コレステロール、例えば、総コレステロール(TC)、低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-C)、高密度リポタンパク質コレステロール(HDL-C)、超低密度リポタンパク質コレステロール(VLDL-C)および中間比重リポタンパク質コレステロール(IDL-C)を挙げることができる。
「治療有効量」は、本明細書で使用されるとき、SCAP関連障害を有する対象への投与時に疾患の治療を(例えば、既存の疾患または疾患の1つ以上の症状を軽減し、改善し、または維持することにより)もたらすのに十分なRNAi剤の量を含むことが意図される。「治療有効量」は、RNAi剤、薬剤がどのように投与されるか、疾患およびその重症度ならびに病歴、年齢、体重、家族歴、遺伝子構成、存在する場合には先行治療または併用治療のタイプ、および他の治療下の対象の個別的な特徴に応じて異なり得る。
「予防有効量」は、本明細書で使用されるとき、SCAP関連障害を有する対象への投与時に疾患または疾患の1つ以上の症状を予防または改善するのに十分なiRNAの量を含むことが意図される。疾患の改善としては、疾患経過の減速、または後に発症する疾患の重症度の低下が挙げられる。「予防有効量」は、iRNA、薬剤投与方法、疾患リスクの程度、および治療される患者の病歴、年齢、体重、家族歴、遺伝的体質、先行または併用治療薬のタイプ、存在する場合には他の個人特性に応じて変動してもよい。
「治療有効量」または「予防有効量」としてはまた、あらゆる治療薬に当てはまる妥当な利点/リスク比で、いくつかの所望の局所性または全身性効果を生じる、RNAi剤の量も挙げられる。本発明の方法で用いられるiRNAは、このような治療に当てはまる妥当な利点/リスク比を生じるのに十分な量で、投与されてもよい。
「薬学的に許容可能」という語句は、本明細書で、健全な医学的判断の範囲内で、過剰な毒性、刺激、アレルギー性応答がなく、または他の問題または合併症が、妥当な利点/リスク比で釣り合う、ヒト対象および動物対象の組織との接触で使用するのに適する、化合物、材料、組成物、および/または剤形を指すために用いられる。
本明細書の用法では、「薬理的に許容可能な担体」という語句は、液体または固体増量剤、希釈剤、賦形剤、製造助剤(例えば、潤滑剤、滑石マグネシウム、カルシウムまたはステアリン酸亜鉛、またはステアリン酸など)、または対象化合物を1つの臓器または身体の部分から、別の臓器または身体の部分に運搬または輸送するのに関与する溶媒封入材料などの薬理的に許容可能な材料、組成物またはビヒクルを意味する。各担体は、製剤の他の成分と適合し、治療される対象に傷害性でないと言う意味で、「許容可能」でなくてはならない。薬理的に許容可能な担体の役割を果たし得る材料のいくつかの例としては、(1)乳糖、グルコースおよびスクロースなどの糖類;(2)コーンスターチおよびジャガイモデンプンなどのデンプン;(3)カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、および酢酸セルロースなどのセルロースとその誘導体;(4)粉末トラガカント;(5)麦芽;(6)ゼラチン;(7)マグネシウム状態、ラウリル硫酸ナトリウム、および滑石などの平滑剤;(8)カカオ脂および坐薬ワックスなどの賦形剤;(9)落花生油、綿実油、紅花油、ゴマ油、オリーブ油、コーンオイル、および大豆油などの油;(10)プロピレングリコールなどのグリコール;(11)グリセリン、ソルビトール、マンニトール、およびポリエチレングリコールなどのポリオール;(12)オレイン酸エチルおよびエチルラウレートなどのエステル;(13)寒天;(14)水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなどの緩衝剤;(15)アルギン酸;(16)発熱性物質非含有水;(17)等張生理食塩水;(18)リンゲル液;(19)エチルアルコール;(20)pH緩衝溶液;(21)ポリエステル、ポリカーボネートおよび/またはポリ酸無水物;(22)ポリペプチドおよびアミノ酸などの増量剤;(23)血清アルブミン、HDL、およびLDLなどの血清成分;および(22)医薬製剤で用いられる他の無毒の適合性物質が挙げられる。
本明細書の用法では、「サンプル」という用語は、対象から単離された同様の体液、細胞、または組織の採取物、ならびに対象内に存在する体液、細胞、または組織を含む。生体液の例としては、血液、血清および漿液(serosal fluid)、血漿、脳脊髄液、眼液、リンパ液、尿、唾液などが挙げられる。組織サンプルとしては、組織、臓器または局在性領域からのサンプルが挙げられる。例えば、サンプルは、特定の臓器、臓器の部分、または体液またはこれらの臓器内の細胞に由来してもよい。特定の実施形態では、サンプルは、肝臓(例えば、全肝臓または肝臓の特定のセグメントまたは肝臓内の特定の種類の細胞、例えば肝細胞など)から得られてもよい。一部の実施形態では、「対象から得られたサンプル」は、対象から採取された血液または血漿を指す。さらなる実施形態では、「対象から得られたサンプル」は、対象から得られた肝臓組織(またはその構成部分)または網膜組織(またはその構成部分)を指す。
II.本発明のiRNA
本明細書に記載されるのは、SCAP遺伝子の発現を阻害するiRNAである。一実施形態では、iRNA剤は、例えば、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)または非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)などのSCAP関連障害を有するヒトのような、哺乳類などの対象内の細胞などの細胞内で、SCAP遺伝子の発現を阻害する二本鎖リボ核酸(dsRNA)分子を含む。dsRNAは、SCAP遺伝子の発現中に形成されるmRNAの少なくとも一部と相補的である、相補性領域を有するアンチセンス鎖を含み、相補性領域は、約30ヌクレオチド長以下(例えば、約30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、または18ヌクレオチド長以下)である。SCAP遺伝子を発現する細胞との接触に際して、iRNAは、SCAP遺伝子(例えば、ヒト、霊長類、非霊長類、もしくは鳥類SCAP遺伝子)の発現を、例えば、PCRまたは分枝DNA(bDNA)に基づく方法により、あるいは、例えば、ウエスタンブロット法またはフローサイトメトリー技術を用いた免疫蛍光分析などのタンパク質に基づく方法によりアッセイして、少なくとも約10%だけ阻害する。
dsRNAは相補的な2本のRNA鎖を含み、それらはその中でdsRNAが使用される条件下でハイブリダイズして二本鎖構造を形成する。dsRNAの1本の鎖(アンチセンス鎖)は相補性領域を含み、それは標的配列と実質的に相補的であり、一般に完全に相補的である。標的配列は、SCAP遺伝子の発現中に形成されるmRNAの配列に由来し得る。他方の鎖(センス鎖)は、適切な条件下で組み合わせると、2本の鎖がハイブリダイズして二本鎖構造を形成するように、アンチセンス鎖と相補的な領域を含む。本明細書の他の箇所に記載されるように、かつ当技術分野で公知のように、dsRNAの相補配列はまた、別個のオリゴヌクレオチド上にあるものとは対照的に、単一核酸分子の自己相補領域として含有され得る。
一般に、二本鎖構造は、例えば15~29、15~28、15~27、15~26、15~25、15~24、15~23、15~22、15~21、15~20、15~19、15~18、15~17、18~30、18~29、18~28、18~27、18~26、18~25、18~24、18~23、18~22、18~21、18~20、19~30、19~29、19~28、19~27、19~26、19~25、19~24、19~23、19~22、19~21、19~20、20~30、20~29、20~28、20~27、20~26、20~25、20~24、20~23、20~22、20~21、21~30、21~29、21~28、21~27、21~26、21~25、21~24、21~23、または21~22塩基対長さなどの15~30塩基対長さである。列挙された範囲および長さの中間の範囲および長さも本発明の一部であることが意図される。
同様に、標的配列の相補性領域は、例えば15~29、15~28、15~27、15~26、15~25、15~24、15~23、15~22、15~21、15~20、15~19、15~18、15~17、18~30、18~29、18~28、18~27、18~26、18~25、18~24、18~23、18~22、18~21、18~20、19~30、19~29、19~28、19~27、19~26、19~25、19~24、19~23、19~22、19~21、19~20、20~30、20~29、20~28、20~27、20~26、20~25、20~24、20~23、20~22、20~21、21~30、21~29、21~28、21~27、21~26、21~25、21~24、21~23、または21~22ヌクレオチド長など15~30ヌクレオチド長である。列挙された範囲および長さの中間の範囲および長さも本発明の一部であることが意図される。
一部の実施形態では、dsRNAは、約15~約23ヌクレオチド長、または約25~約30ヌクレオチド長である。一般にdsRNAは、ダイサー酵素の基質の役割を果たすのに十分長い。例えば、約21~23ヌクレオチドより長いdsRNAが、ダイサーの基質の役割を果たしてもよいことは、当技術分野で周知である。当業者は認識するであろうように、切断標的とされるRNAの標的領域は、ほとんどの場合、より大型のRNA分子の一部であり、それはmRNA分子であることが多い。該当する場合、mRNA標的の「部分」は、RNAi指向切断(すなわちRISC経路を通じた切断)の基質となるのに十分長い、mRNA標的の連続配列である。
当業者は、例えば約10~36、11~36、12~36、13~36、14~36、15~36、9~35、10~35、11~35、12~35、13~35、14~35、15~35、9~34、10~34、11~34、12~34、13~34、14~34、15~34、9~33、10~33、11~33、12~33、13~33、14~33、15~33、9~32、10~32、11~32、12~32、13~32、14~32、15~32、9~31、10~31、11~31、12~31、13~32、14~31、15~31、15~30、15~29、15~28、15~27、15~26、15~25、15~24、15~23、15~22、15~21、15~20、15~19、15~18、15~17、18~30、18~29、18~28、18~27、18~26、18~25、18~24、18~23、18~22、18~21、18~20、19~30、19~29、19~28、19~27、19~26、19~25、19~24、19~23、19~22、19~21、19~20、20~30、20~29、20~28、20~27、20~26、20~25、20~24、20~23、20~22、20~21、21~30、21~29、21~28、21~27、21~26、21~25、21~24、21~23、または21~22塩基対などの約9~36塩基対の二本鎖領域などの二本鎖領域が、dsRNAの主要機能部分であることも認識するであろう。したがって、一実施形態では、それが例えば、所望のRNAを切断に標的化する15~30塩基対の機能性二本鎖にプロセシングされる範囲内で、30塩基対を超える二本鎖領域を有するRNA分子またはRNA分子複合体は、dsRNAである。したがって、当業者は、一実施形態では、miRNAがdsRNAであることを認識するであろう。別の実施形態では、dsRNAは、天然miRNAでない。別の実施形態では、SCAP遺伝子発現を標的化するのに有用なiRNA剤は、より大型のdsRNAの切断によって標的細胞内で生成されない。
本明細書に記載されるdsRNAは、例えば1、2、3、または4ヌクレオチドなどの1つ以上の一本鎖ヌクレオチドオーバーハングをさらに含み得る。少なくとも1つのヌクレオチドオーバーハングを有するdsRNAは、それらの平滑末端相当物と比較して、意外にも優れた阻害特性を有し得る。ヌクレオチドオーバーハングは、デオキシリボヌクレオチド/ヌクレオシドをはじめとする、ヌクレオチド/ヌクレオシド類似体を含み得るかまたはそれからなり得る。オーバーハングは、センス鎖、アンチセンス鎖、またはそのあらゆる組合せ上にあり得る。さらに、オーバーハングのヌクレオチドは、dsRNAのアンチセンスまたはセンス鎖のいずれかの5’末端、3’末端、または両方の末端上に存在し得る。
dsRNAは、以下でさらに考察されるように、例えばBiosearch,Applied Biosystems,Inc.から市販されるものなどの自動DNA合成機を使用して、当技術分野で公知の標準法によって合成し得る。
本発明のiRNA化合物は、二段階法を使用して調製されてもよい。最初に、二本鎖RNA分子の個々の鎖が、別々に調製される。次に、構成要素鎖がアニールされる。siRNA化合物の個々の鎖は、溶液相または固相有機または両方を使用して調製し得る。有機合成は、非天然または修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド鎖を容易に調製し得る利点を提供する。本発明の一本鎖オリゴヌクレオチドは、溶液相または固相有機合成または両方を使用して調製し得る。
一態様では、本発明のdsRNAは、センス配列とアンチセンス配列の少なくとも2つのヌクレオチド配列を含む。センス鎖配列は、表2、表3、表5および表6のいずれか1つに提供される配列の群から選択されてもよく、およびセンス鎖のアンチセンス鎖の対応するヌクレオチド配列は、表2、表3、表5および表6のいずれか1つの配列の群から選択されてもよい。この態様では、2配列の一方は2配列の他方に相補的であり、配列の1つは、SCAP遺伝子発現中に生じるmRNA配列と実質的に相補的である。したがって、この態様では、dsRNAは2つのオリゴヌクレオチドを含むことになり、ここで、一方のオリゴヌクレオチドが、表2、表3、表5および表6のいずれか1つにおけるセンス鎖(パッセンジャー鎖)として記載され、および第2のオリゴヌクレオチドが、表2、表3、表5および表6のいずれか1つにおけるセンス鎖の対応するアンチセンス鎖(ガイド鎖)として記載される。一実施形態では、dsRNAの実質的に相補的な配列は、別々のオリゴヌクレオチド上に含有される。別の実施形態では、dsRNAの実質的に相補的な配列は、単一オリゴヌクレオチド上に含有される。
表2、表3、表5および表6の配列は、修飾された配列および/または複合体化した配列として記載されるが、本発明のiRNAのRNA、例えば本発明のdsRNAは、表2、表3、表5および表6のいずれか1つに示される修飾されていない、複合体化していない、および/またはそこに記載されているものと別様に修飾されているおよび/または複合体化している配列のいずれか1つを含み得ることが理解されるであろう。
当業者は、例えば21塩基対などの約20~23塩基対の二本鎖構造を有するdsRNAが、RNA干渉を誘発するのに特に効果的であるとして支持されていることを十分承知している(Elbashir et al.,(2001)EMBO J.,20:6877-6888)。しかし、他の当業者は、より短いまたはより長いRNA二本鎖構造も同様に効果的であり得ることを見出している。(Chu and Rana(2007)RNA 14:1714-1719;Kim et al.(2005)Nat Biotech 23:222-226)。上述の実施形態では、本明細書で提供されるオリゴヌクレオチド配列の性質のために、本明細書に記載されるdsRNAは、最低限21ヌクレオチド長の少なくとも1本の鎖を含み得る。一方または両方の末端の数個のヌクレオチドのみが抜けているより短い二本鎖が、上で説明したdsRNAと比較して同様に効果的であり得ることは、合理的に予想され得る。したがって、本明細書で提供される配列の1つに由来する、少なくとも15、16、17、18、19、20以上の連続ヌクレオチドの配列を有して、SCAP遺伝子発現を阻害する能力が、完全長配列を含むdsRNAと、約5、10、15、20、25、または30%以下だけ異なるdsRNAは、本発明の範囲内であることが意図される。
さらに、本明細書に記載されるRNAは、RISC媒介切断に対する感受性が高いSCAP転写物中の部位を同定する。したがって、本発明は、この部位内を標的とするiRNAをさらに特徴とする。本明細書の用法では、iRNAが、特定部位内のどこかで転写物の切断を促進する場合、iRNAはRNA転写物のその特定部位内を標的にすると言われる。このようなiRNAは、一般に、SCAP遺伝子中の選択配列に隣接する領域からの追加的なヌクレオチド配列と連結されている、本明細書で提供される配列の1つからの約15個の連続ヌクレオチドを含む。
標的配列は、一般に約15~30ヌクレオチド長であるが、この範囲内の特定の配列が、あらゆる所与の標的RNAの切断を誘導する適合性には、幅広い多様性がある。本明細書で提示される様々なソフトウェアパッケージおよびガイドラインは、あらゆる所与の遺伝子標的の最適標的配列を同定するためのガイダンスを提供するが、標的RNA配列に、所与のサイズの「ウィンドウ」または「マスク」(非限定的例として21個のヌクレオチド)を実際にまたは比喩的に(例えば、コンピュータシミュレーションによるものをはじめとする)配置させて、標的配列の役割を果たし得るサイズ範囲の配列を同定する、経験的アプローチも取り得る。配列「ウィンドウ」を最初の標的配列位置の1ヌクレオチド上流または下流に連続的に移動することで、選択されたあらゆる所与の標的サイズについて完全な可能な配列の組が同定されるまで、次の潜在的標的配列が同定され得る。このプロセスにより、同定された配列の(本明細書に記載される、または当技術分野において公知のとおりのアッセイを用いた)体系的な合成および試験による最適なパフォーマンスの配列の同定と併せて、iRNA剤で標的化したときに標的遺伝子発現の最良の阻害を媒介するRNA配列を同定することができる。したがって、本明細書に同定される配列は有効な標的配列に相当するが、所与の配列の上流または下流に漸進的に1ヌクレオチドずつ「ウィンドウをずらす」ことにより、同等のまたはより良好な阻害特性の配列を同定して、阻害効率のさらなる最適化を達成し得ることが企図される。
さらに、ヌクレオチドを体系的に付加または除去して、より長いまたはより短い配列を作成し、その位置から、標的RNAよりも長いまたはより短いサイズのウィンドウを歩行させることで、これらの作成された配列を試験することにより、本明細書で同定されるあらゆる配列のさらなる最適化を達成し得ることが検討される。この場合もやはり、この新しい標的候補を作成するアプローチと、当技術分野で公知のおよび/または本明細書に記載される阻害アッセイにおける、これらの標的配列に基づくiRNAの有効性の試験とを組み合わせることにより、阻害効率にさらなる改善をもたらし得る。なおもさらに、例えば本明細書に記載されまたは当技術分野で公知の修飾ヌクレオチドの導入、オーバーハングの付加またはその変更、または当技術分野で公知のおよび/または本明細書で考察される他の修飾により、発現阻害物質として分子をさらに最適化する(例えば、血清安定性または循環半減期増大、熱安定増大、膜貫通送達促進、特定位置または細胞型の標的化、サイレンシング経路酵素との相互作用増大、エンドソームからの放出増大など)ことで、このような最適化配列を調節し得る。
本明細書に記載されるiRNA剤は、標的配列との1つ以上のミスマッチを含有し得る。一実施形態では、本明細書に記載されるiRNAは、3個以下のミスマッチを含有する。iRNAのアンチセンス鎖が、標的配列とのミスマッチを含有する場合、ミスマッチの範囲は、相補性領域の中心に位置しないことが好ましい。iRNAのアンチセンス鎖が標的配列とのミスマッチを含有する場合、ミスマッチは、相補性領域の5’または3’末端のいずれかから、最後の5ヌクレオチド内に限定されることが好ましい。例えば、SCAP遺伝子領域に相補的な23ヌクレオチドiRNA剤鎖では、RNA鎖は、一般に、中心的な13ヌクレオチド内にいかなるミスマッチも含有しない。本明細書に記載される方法または当技術分野で公知の方法を使用して、標的配列とのミスマッチを含有するiRNAが、SCAP遺伝子の発現の阻害に効果的かどうかを判定し得る。SCAP遺伝子の発現の阻害における、ミスマッチがあるiRNAの有効性の検討は、特にSCAP遺伝子の特定の相補性領域が、集団内で多型配列バリエーションを有することが知られている場合に重要である。
III.発明の修飾iRNA
一実施形態では、例えばdsRNAなどの本発明のiRNAのRNAは、未変性であり、例えば当技術分野で公知であり本明細書に記載される、化学修飾および/または結合を含まない。別の実施形態では、例えばdsRNAなどの発明のiRNAのRNAを化学的に修飾して、安定性または他の有益な特性を高める。本発明の特定の実施形態では、本発明のiRNAのヌクレオチドの実質的に全部が修飾される。本発明の他の実施形態では、本発明のiRNAのヌクレオチドの全部が修飾されている。「ヌクレオチドの実質的に全部が修飾されている」本発明のiRNAは、大部分が修飾されているが、完全には修飾されておらず、5、4、3、2、または1以下の未修飾ヌクレオチドを含み得る。
本発明で取り上げる核酸は、参照によって本明細書に援用する、“Current protocols in nucleic acid chemistry,”Beaucage,S.L.et al.(Edrs.),John Wiley&Sons,Inc.,New York,NY,USAに記載されるものなどの当技術分野で確立された方法によって合成および/または修飾し得る。例えば、修飾としては、例えば5’末端修飾(リン酸化、共役結合、逆転結合)または3’末端修飾(共役結合、DNAヌクレオチド、逆転結合など)などの末端修飾;例えば安定化塩基での、不安定化塩基での、または拡大パートナーのレパートリーと塩基対形成する塩基での置換、塩基除去(脱塩基ヌクレオチド)、または共役結合塩基などの塩基修飾;糖修飾(例えば、2’位または4’位における)または糖置換;リン酸ジエステル結合の修飾または置換をはじめとする主鎖修飾が挙げられる。本明細書に記載される実施形態で有用なiRNA化合物の特定の例としては、修飾主鎖を含有するRNA、または天然ヌクレオシド間結合を含有しないRNAが挙げられるが、これに限定されるものではない。修飾主鎖を有するRNAとしては、特に主鎖中にリン原子を有しないものが挙げられる。本明細書の目的では、かつ当技術分野で時に言及されるように、それらのヌクレオシド間主鎖中にリン原子を有しない修飾RNAもオリゴヌクレオシドであると見なされる。一部の実施形態では、修飾iRNAは、そのヌクレオシド間主鎖中にリン原子を有する。
修飾RNA主鎖としては、例えばホスホロチオエート、キラルホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホトリエステル、アミノアルキルホスホトリエステル、3’-アルキレンホスホネートおよびキラルホスホネートをはじめとするメチルおよび他のアルキルホスホネート、ホスフィネート、3’-アミノホスホロアミダートおよびアミノアルキルホスホルアミダートをはじめとするホスホロアミダート、チオノホスホルアミダート、チオノアルキルホスホネート、チオノアルキルホスホトリエステル、およびノルマル3’-5’結合、それらの2’-5’連結アナログを有するボラノホスフェート、および隣接するヌクレオシド単位対が3’-5’から5’-3’、または2’-5’から5’-2’に連結されている、逆転極性を有するボラノホスフェートが挙げられる。様々な塩、混合塩、および遊離酸形態も挙げられる。
上記リン含有結合の調製を教示する、代表的な米国特許としては、その全体がそれぞれ参照によって本明細書によりここに援用される、米国特許第3,687,808号明細書;米国特許第4,469,863号明細書;米国特許第4,476,301号明細書;米国特許第5,023,243号明細書;米国特許第5,177,195号明細書;米国特許第5,188,897号明細書;米国特許第5,264,423号明細書;米国特許第5,276,019号明細書;米国特許第5,278,302号明細書;米国特許第5,286,717号明細書;米国特許第5,321,131号明細書;米国特許第5,399,676号明細書;米国特許第5,405,939号明細書;米国特許第5,453,496号明細書;米国特許第5,455,233号明細書;米国特許第5,466,677号明細書;米国特許第5,476,925号明細書;米国特許第5,519,126号明細書;米国特許第5,536,821号明細書;米国特許第5,541,316号明細書;米国特許第5,550,111号明細書;米国特許第5,563,253号明細書;米国特許第5,571,799号明細書;米国特許第5,587,361号明細書;米国特許第5,625,050号明細書;米国特許第6,028,188号明細書;米国特許第6,124,445号明細書;米国特許第6,160,109号明細書;米国特許第6,169,170号明細書;米国特許第6,172,209号明細書;米国特許第6、239,265号明細書;米国特許第6,277,603号明細書;米国特許第6,326,199号明細書;米国特許第6,346,614号明細書;米国特許第6,444,423号明細書;米国特許第6,531,590号明細書;米国特許第6,534,639号明細書;米国特許第6,608,035号明細書;米国特許第6,683,167号明細書;米国特許第6,858,715号明細書;米国特許第6,867,294号明細書;米国特許第6,878,805号明細書;米国特許第7,015,315号明細書;米国特許第7,041,816号明細書;米国特許第7,273,933号明細書;米国特許第7,321,029号明細書;および米国特許第RE39464号明細書が挙げられるが、これに限定されるものではない。
その中にリン原子を含まない修飾RNA主鎖は、短鎖アルキルまたはシクロアルキルヌクレオシド間結合、混合ヘテロ原子およびアルキルまたはシクロアルキルヌクレオシド間結合、または1つ以上の短鎖ヘテロ原子または複素環式ヌクレオシド間結合によって形成された主鎖を有する。これらとしては、モルホリノ結合(一部はヌクレオシドの糖部分から形成される);シロキサン主鎖;スルフィド、スルホキシドおよびスルホン主鎖;ホルムアセチルおよびチオホルムアセチル主鎖;メチレンホルムアセチルおよびチオホルムアセチル主鎖;アルケン含有主鎖;スルファメート主鎖;メチレンイミノおよびメチレンヒドラジノ主鎖;スルホネートおよびスルホンアミド主鎖;アミド主鎖を有するもの;および混合N、O、S、およびCH2構成成分を有する他のものが挙げられる。
上記オリゴヌクレオシドの調製を教示する、代表的な米国特許としては、その全体がそれぞれ参照によって本明細書によりここに援用される、米国特許第5,034,506号明細書;米国特許第5,166,315;5,185,444号明細書;米国特許第5,214,134号明細書;米国特許第5,216,141号明細書;米国特許第5,235,033号明細書;米国特許第5,64,562号明細書;米国特許第5,264,564号明細書;米国特許第5,405,938号明細書;米国特許第5,434,257号明細書;米国特許第5,466,677号明細書;米国特許第5,470,967号明細書;米国特許第5,489,677号明細書;米国特許第5,541,307号明細書;米国特許第5,561,225号明細書;米国特許第5,596,086号明細書;米国特許第5,602,240号明細書;米国特許第5,608,046号明細書;米国特許第5,610,289号明細書;米国特許第5,618,704号明細書;米国特許第5,623,070号明細書;米国特許第5,663,312号明細書;米国特許第5,633,360号明細書;米国特許第5,677,437号明細書;および米国特許第5,677,439号明細書が挙げられるが、これに限定されるものではない。
別の実施形態では、適切なRNA模倣物がiRNA中での使用のために検討され、その中では、糖およびヌクレオシド間結合の両方、すなわち、ヌクレオチド単位の骨格が、新しいグループで置換されている。塩基単位は、適切な核酸標的化合物とのハイブリダイゼーションのために維持される。このような1つのオリゴマー化合物であり、優れたハイブリダイゼーション特性を有することが示されているRNA模倣体は、ペプチド核酸(PNA)と称される。PNA化合物中では、RNAの糖主鎖が、アミド含有主鎖、特にアミノエチルグリシン主鎖で置換されている。核酸塩基は保持されて、主鎖のアミド部分のアザ窒素原子と直接または間接的に結合されている。PNA化合物の調製を教示する代表的な米国特許としては、そのそれぞれの内容全体を参照によって本明細書に援用する、米国特許第5,539,082号明細書;米国特許第5,714,331号明細書;および米国特許第5,719,262号明細書が挙げられるが、これに限定されるものではない。さらに、本発明のiRNA中で使用するのに適するPNA化合物は、例えばNielsen et al.,Science,1991,254,1497-1500に記載される。
本発明で取り上げる一部の実施形態は、ホスホロチオエート主鎖があるRNA、および特に先述の米国特許第5,489,677号明細書の--CH2--NH--CH2-、--CH2--N(CH3)--O--CH2--[メチレン(メチルイミノ)またはMMI主鎖として知られている]、--CH2--O--N(CH3)--CH2--、--CH2--N(CH3)--N(CH3)--CH2--、および--N(CH3)--CH2--CH2--[天然リン酸ジエステル主鎖は--O--P--O--CH2--として表される]であるヘテロ原子主鎖がある、および先述の米国特許第5,602,240号明細書のアミド主鎖がある、オリゴヌクレオシドとを含む。一部の実施形態では、本明細書で取り上げるRNAは、先述の米国特許第5,034,506号明細書のモルホリノ主鎖構造を有する。
修飾RNAはまた、1つ以上の置換糖部分を含有し得る。例えば、本明細書で取り上げるdsRNAなどのiRNAは、2’位に、OH;F;O-、S-、またはN-アルキル;O-、S-、またはN-アルケニル;O-、S-、またはN-アルキニル;またはO-アルキル-O-アルキルの1つを含み得、アルキル、アルケニル、およびアルキニルは、置換または非置換C1~C10アルキル、またはC2~C10アルケニルおよびアルキニルであり得る。例示的な適切な修飾としては、O[(CH2)nO]mCH3、O(CH2).nOCH3、O(CH2)nNH2、O(CH2)nCH3、O(CH2)nONH2、およびO(CH2)nON[(CH2)nCH3)]2(式中、nおよびmは1~約10である)が挙げられる。別の実施形態では、dsRNAは、2’位に以下の1つを含む:C1~C10低級アルキル、置換低級アルキル、アルカリール、アラルキル、O-アルカリールまたはO-アラルキル、SH、SCH3、OCN、Cl、Br、CN、CF3、OCF3、SOCH3、SO2CH3、ONO2、NO2、N3、NH2、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカアリール、アミノアルキルアミノ、ポリアルキルアミノ、置換シリル、RNA切断基、レポーター基、介入物、iRNAの薬物動態特性を改善する基、またはiRNAの薬力学的特性を改善する基、および同様の特性を有する他の置換基。一部の実施形態では、修飾は、2’-メトキシエトキシ(2’-O-CH2CH2OCH3、2’-O-(2-メトキシエチル)または2’-MOEとしても知られている)(Martin et al.,Helv.Chim.Acta,1995,78:486-504)、すなわちアルコキシ-アルコキシ基を含む。別の例示的修飾は、2’-ジメチルアミノオキシエトキシ、すなわち2’-DMAOEとしても知られる、本明細書の以下の例に記載されるとおりのO(CH2)2ON(CH3)2基、および2’-ジメチルアミノエトキシエトキシ(当技術分野において2’-O-ジメチルアミノエトキシエチルまたは2’-DMAEOEとしても知られる)、すなわち2’-O-CH2-O-CH2-N(CH2)2である。さらなる例示的修飾には、5’-Me-2’-Fヌクレオチド、5’-Me-2’-OMeヌクレオチド、5’-Me-2’-デオキシヌクレオチド(これらの3つのファミリーにおけるRおよびS異性体の両方);2’-アルコキシアルキル;および2’-NMA(N-メチルアセトアミド)が含まれる。
他の修飾としては、2’-メトキシ(2’-OCH3)、2’-アミノプロポキシ(2’-OCH2CH2CH2NH2)、および2’-フルオロ(2’-F)が挙げられる。同様の修飾はまた、具体的には3’末端ヌクレオチド上の糖の3’位、または2’-5’結合dsRNA中、および5’末端ヌクレオチドの5’位など、iRNAのRNA上の他の位置でも行い得る。iRNAはまた、ペントフラノシル糖の代わりにシクロブチル部分などの糖模倣体を有してもよい。上記修飾糖構造の調製を教示する、代表的な米国特許としては、特定のものは本出願と所有者が共通である、米国特許第4,981,957号明細書;米国特許第5,118,800号明細書;米国特許第5,319,080号明細書;米国特許第5,359,044号明細書;米国特許第5,393,878号明細書;米国特許第5,446,137号明細書;米国特許第5,466,786号明細書;米国特許第5,514,785号明細書;米国特許第5,519,134号明細書;米国特許第5,567,811号明細書;米国特許第5,576,427号明細書;米国特許第5,591,722号明細書;米国特許第5,597,909号明細書;米国特許第5,610,300号明細書;米国特許第5,627,053号明細書;米国特許第5,639,873号明細書;米国特許第5,646,265号明細書;米国特許第5,658,873号明細書;米国特許第5,670,633号明細書;および米国特許第5,700,920号明細書が挙げられるが、これに限定されるものではない。上記のそれぞれの内容全体を参照によって本明細書によりここに援用する。
本発明のiRNAはまた、核酸塩基(当技術分野では単に「塩基」と称されることが多い)修飾または置換を含み得る。本明細書の用法では、「未修飾」または「天然」核酸塩基としては、プリン塩基アデニン(A)およびグアニン(G)、およびピリミジン塩基チミン(T)、シトシン(C)およびウラシル(U)が挙げられる。修飾核酸塩基としては、5-メチルシトシン(5-me-C);5-ヒドロキシメチルシトシン;キサンチン;ヒポキサンチン;2-アミノアデニン;アデニンおよびグアニンの6-メチルおよび他のアルキル誘導体;アデニンおよびグアニンの2-プロピルおよび他のアルキル誘導体;2-チオウラシル、2-チオチミンおよび2-チオシトシン;5-ハロウラシルおよびシトシン;5-プロピニルウラシルおよびシトシン;6-アゾウラシル、シトシン、およびチミン;5-ウラシル(プソイドウラシル);4-チオウラシル;8-ハロ、8-アミノ、8-チオール、8-チオアルキル、8-ヒドロキシルおよび他の8置換アデニンおよびグアニン;5-ハロ、具体的には5-ブロモ、5-トリフルオロメチル、および他の5置換ウラシルおよびシトシン;7-メチルグアニンおよび7-メチルアデニン;8-アザグアニンおよび8-アザアデニン;7-デアザグアニンおよび7-ダアザアデニン(daazaadenine);および3-デアザグアニンおよび3-デアザアデニンなどの他の合成および天然核酸塩基が挙げられる。さらに、核酸塩基としては、米国特許第3,687,808号明細書で開示されるもの、Modified Nucleosides in Biochemistry,Biotechnology and Medicine,Herdewijn,P.ed.Wiley-VCH,2008で開示されるもの;The Concise Encyclopedia Of Polymer Science And Engineering,pages 858-859,Kroschwitz,J.L,ed.John Wiley&Sons,1990で開示されるもの、Englisch et al.,(1991)Angewandte Chemie,International Edition,30:613によって開示されるもの、およびSanghvi,Y S.,Chapter 15,dsRNA Research and Applications,pages 289-302,Crooke,S.T.and Lebleu,B.,Ed.,CRC Press,1993によって開示されるものが挙げられる。これらの核酸塩基のいくつかは、本発明で取り上げるオリゴマー化合物の結合親和性を増大させるのに特に有用である。これらとしては、2-アミノプロピルアデニン、5-プロピニルウラシル、および5-プロピニルシトシンをはじめとする、5-置換ピリミジン、6-アザピリミジン、およびN-2、N-6および0-6置換プリンが挙げられる。5-メチルシトシン置換は、核酸二重鎖安定性を0.6~1.2℃増大させることが示されており(Sanghvi,Y.S.,Crooke,S.T.and Lebleu,B.,Eds.,dsRNA Research and Applications,CRC Press,Boca Raton,1993,pp.276-278)、模範的な塩基置換であり、なおもより特に、2’-O-メトキシエチル糖修飾と組み合わされた場合にそうである。
上記の特定の修飾核酸塩基ならびに他の修飾核酸塩基の調製を教示する、代表的な米国特許としては、その内容全体をそれぞれ参照によって本明細書によりここに援用する、上記の米国特許第3,687,808号明細書、米国特許第4,845,205号明細書;米国特許第5,130,30号明細書;米国特許第5,134,066号明細書;米国特許第5,175,273号明細書;米国特許第5,367,066号明細書;米国特許第5,432,272号明細書;米国特許第5,457,187号明細書;米国特許第5,459,255号明細書;米国特許第5,484,908号明細書;米国特許第5,502,177号明細書;米国特許第5,525,711号明細書;米国特許第5,552,540号明細書;米国特許第5,587,469号明細書;米国特許第5,594,121、5,596,091号明細書;米国特許第5,614,617号明細書;米国特許第5,681,941号明細書;米国特許第5,750,692号明細書;米国特許第6,015,886号明細書;米国特許第6,147,200号明細書;米国特許第6,166,197号明細書;米国特許第6,222,025号明細書;米国特許第6,235,887号明細書;米国特許第6,380,368号明細書;米国特許第6,528,640号明細書;米国特許第6,639,062号明細書;米国特許第6,617,438号明細書;米国特許第7,045,610号明細書;米国特許第7,427,672号明細書;および米国特許第7,495,088号明細書が挙げられるが、これに限定されるものではない。
本発明のiRNAはまた、1つ以上のロックド核酸(LNA)を含むように修飾することもできる。ロックド核酸は、修飾リボース部分を有するヌクレオチドであり、リボース部分が、2’および4’炭素をつなぐ追加的な架橋を含んでいる。この構造はリボースを3’末端構造配置に有効に「ロックする」。siRNAにロックド核酸を加えると、血清中でのsiRNAの安定性が増し、オフターゲット効果が減少することが示されている(Elmen,J.et al.,(2005)Nucleic Acids Research 33(1):439-447;Mook,OR.et al.,(2007)Mol Canc Ther 6(3):833-843;Grunweller,A.et al.,(2003)Nucleic Acids Research 31(12):3185-3193)。
本発明のiRNAはまた、1つ以上の二環式糖部分を含むように修飾することもできる。「二環式糖」は、2つの原子の架橋により修飾されるフラノシル環である。「二環式ヌクレオシド」(「BNA」)は、糖環の2つの炭素原子を結合して、これにより二環系を形成する架橋を含む糖分子を有するヌクレオシドである。特定の実施形態では、架橋は、糖環の4’-炭素および2’-炭素を結合する。このように、一部の実施形態では、本発明の薬剤は、1つ以上のロックド核酸(LNA)を含む。ロックド核酸は、修飾リボース部分を有するヌクレオチドであり、その中でリボース部分は、2’および4’炭素を結合する追加の架橋を含む。言い換えれば、LNAは、4’-CH2-O-2’架橋を含む二環式糖部分を含むヌクレオチドである。この構造は、リボースを3’-エンド(endo)立体構造内に効果的に「ロック」する。siRNAへのロックド核酸の追加は、血清中のsiRNA安定性を増大させ、非特異的効果を低下させることが示されている(Elmen,J.et al.,(2005)Nucleic Acids Research 33(1):439-447;Mook,OR.et al.,(2007)Mol Canc Ther 6(3):833-843;Grunweller,A.et al.,(2003)Nucleic Acids Research 31(12):3185-3193)。本発明のポリヌクレオチドに使用する二環式ヌクレオシドの例としては、4’および2’リボシル環原子間の架橋を含むヌクレオシドが挙げられるが、これに限定されるものではない。特定の実施形態では、本発明のアンチセンスポリヌクレオチド剤は、4’-2’架橋を含む1つ以上の二環式ヌクレオシドを含む。このような4’-2’架橋二環式ヌクレオシドの例としては、4’-(CH2)-O-2’(LNA);4’-(CH2)-S-2’;4’-(CH2)2-O-2’(ENA);4’-CH(CH3)-O-2’(「拘束エチル」または「cEt」とも呼ばれる)および4’-CH(CH2OCH3)-O-2’(およびその類似体;例えば、米国特許第7,399,845号明細書を参照);4’-C(CH3)(CH3)-O-2’(およびその類似体;例えば、米国特許第8,278,283号明細書を参照);4’-CH2-N(OCH3)-2’(およびその類似体;例えば、米国特許第8,278,425号明細書を参照);4’-CH2-O-N(CH3)-2’(例えば、米国特許出願公開第2004/0171570号明細書を参照);4’-CH2-N(R)-O-2’(Rは、H、C1~C12アルキル、または保護基である(例えば、米国特許第7,427,672号明細書を参照));4’-CH2-C(H)(CH3)-2’(例えば、Chattopadhyaya et al.,J.Org.Chem.,2009,74,118-134);ならびに4’-CH2-C(=CH2)-2’(およびその類似体;例えば、米国特許第8,278,426号明細書を参照)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。上に挙げた各々の内容全体を参照によって本明細書に援用する。
ロックド核酸ヌクレオチドの調製を教示する追加の代表的な米国特許および米国特許公報としては、そのそれぞれの内容全体を参照によって本明細書に援用する、米国特許第6,268,490号明細書;同第6,525,191号明細書;同第6,670,461号明細書;同第6,770,748号明細書;同第6,794,499号明細書;同第6,998,484号明細書;同第7,053,207号明細書;同第7,034,133号明細書;同第7,084,125号明細書;同第7,399,845号明細書;同第7,427,672号明細書;同第7,569,686号明細書;同第7,741,457号明細書;同第8,022,193号明細書;同第8,030,467号明細書;同第8,278,425号明細書;同第8,278,426号明細書;同第8,278,283号明細書;米国特許出願公開第2008/0039618号明細書;および米国特許出願公開第2009/0012281号明細書が挙げられるが、これに限定されるものではない。
例えば、α-L-リボフラノースおよびβ-D-リボフラノースを含め、1つ以上の立体化学的糖配置を有する任意の前述の二環式ヌクレオシドを調製することができる(国際公開第99/14226号パンフレットを参照)。
本発明のiRNAはまた、1つ以上の拘束エチルヌクレオチドを含むように修飾することもできる。本明細書で使用されるとき、「拘束エチルヌクレオチド」または「cEt」は、4’-CH(CH3)-0-2’架橋を含む二環式糖部分を含むロックド核酸である。一実施形態では、拘束エチルヌクレオチドは、本明細書で「S-cEt」と称されるS配置である。
本発明のiRNAにはまた、1つ以上の「配座固定されたヌクレオチド」(「CRN」)も含まれ得る。CRNは、リボースのC2’炭素とC4’炭素またはリボースのC3炭素とC5’炭素をつなぐリンカーを有するヌクレオチド類似体である。CRNはリボース環を安定した立体配置にロックし、mRNAとのハイブリダイゼーション親和性を増加させる。このリンカーは酸素を安定性および親和性に関して最適な位置に置くのに十分な長さであるため、リボース環パッカリングが低減される。
上述のCRNのいくつかの調製について教示する代表的な文献としては、限定はされないが、米国特許出願公開第2013/0190383号明細書;および国際公開第2013/036868号パンフレット(その各々の内容全体が本明細書によって参照により本明細書に援用される)が挙げられる。
一部の実施形態では、本発明のiRNAは、UNA(アンロックド核酸)ヌクレオチドである1つ以上のモノマーを含む。UNAは、アンロックド非環式核酸であり、この場合、糖の結合のいずれかが除去され、アンロックド「糖」残基を形成する。一例では、UNAは、C1’-C4’間の結合(すなわち、C1’およびC4’炭素間の炭素-酸素-炭素共有結合)が除去されたモノマーも包含する。別の例では、糖のC2’-C3’結合(すなわち、C2’およびC3’炭素間の炭素-炭素共有結合)が除去されている(参照によって本明細書に援用する、Nuc.Acids Symp.Series,52,133-134(2008)およびFluiter et al.,Mol.Biosyst.,2009,10,1039を参照)。
前述したCRNのいくつかの調製を教示する代表的な文献として、それぞれの内容全体を参照によって本明細書に援用する、米国特許出願公開第2013/0190383号明細書;および国際公開第2013/036868号パンフレットが挙げられるが、これに限定されるものではない。
RNA分子末端に対する潜在的安定化修飾としては、N-(アセチルアミノカプロイル)-4-ヒドロキシプロリノール(Hyp-C6-NHAc)、N-(カプロイル-4-ヒドロキシプロリノール(Hyp-C6)、N-(アセチル-4-ヒドロキシプロリノール(Hyp-NHAc)、チミジン-2’-0-デオキシチミジン(エーテル)、N-(アミノカプロイル)-4-ヒドロキシプロリノール(Hyp-C6-アミノ)、2-ドコサノイル-ウリジン-3’-リン酸、逆転塩基dT(idT)などを挙げることができる。この修飾の開示は、国際公開第2011/005861号パンフレットに見出すことができる。
本発明のiRNAの他の修飾としては、5’リン酸または5’リン酸模倣物、例えば、RNAi剤のアンチセンス鎖に対する5’-末端リン酸またはリン酸模倣物がある。好適なリン酸模倣物は、例えば、その内容全体を参照によって本明細書に援用する、米国特許出願公開第2012/0157511号明細書に開示されている。
A.本発明のモチーフを含む修飾iRNA
本発明の特定の態様では、本発明の二本鎖RNAi剤は、例えば、その内容全体を参照によって本明細書に援用する、2012年11月16日に出願された国際公開第2013/075035号パンフレットに開示されるように、化学修飾を有する薬剤を含む。本明細書および国際公開第2013/075035号パンフレットに示されるとおり、RNAi剤のセンス鎖および/またはアンチセンス鎖に、特に切断部位またはその近傍において、3つの連続するヌクレオチドに対する3つの同一の修飾の1つ以上のモチーフを導入することにより、優れた結果を達成し得る。これ以外に、一部の実施形態では、RNAi剤のセンス鎖およびアンチセンス鎖を完全に修飾してもよい。これらのモチーフの導入により、存在する場合にはセンスおよび/またはアンチセンス鎖の修飾パターンが分断される。RNAi剤は、例えば、センス鎖のGalNAc誘導体リガンドと任意選択で共役させてもよい。得られるRNAi剤は、優れた遺伝子サイレンシング活性を呈示する。
より具体的には、驚くことに、RNAi剤の少なくとも1つの鎖の切断部位もしくはその近辺の3つの連続ヌクレオチドに対する3つの同一の修飾の1つ以上のモチーフを有するように、二本鎖RNAi剤のセンス鎖およびアンチセンス鎖を完全に修飾するとき、RNAi剤の遺伝子サイレンシング活性は極めて増大することが見出された。
したがって、本発明は、標的遺伝的(すなわち、SCAP遺伝子)の発現をin vivoで阻害することができる二本鎖RNAi剤を提供する。RNAi剤は、センス鎖およびアンチセンス鎖を含む。RNAi剤の各鎖は、12~30ヌクレオチド長であってよい。例えば、各鎖は、14~30ヌクレオチド長、17~30ヌクレオチド長、25~30ヌクレオチド長、27~30ヌクレオチド長、17~23ヌクレオチド長、17~21ヌクレオチド長、17~19ヌクレオチド長、19~25ヌクレオチド長、19~23ヌクレオチド長、19~21ヌクレオチド長、21~25ヌクレオチド長、または21~23ヌクレオチド長であってよい。
センス鎖およびアンチセンス鎖は、典型的に、デュプレックス二本鎖RNA(「dsRNA」)を形成し、これは、本明細書で「RNAi剤」とも呼ばれる。RNAi剤の二本鎖領域は、12~30ヌクレオチド対長であってよい。例えば、二本鎖領域は、14~30ヌクレオチド対長、17~30ヌクレオチド対長、27~30ヌクレオチド対長、17~23ヌクレオチド対長、17~21ヌクレオチド対長、17~19ヌクレオチド対長、19~25ヌクレオチド対長、19~23ヌクレオチド対長、19~21ヌクレオチド対長、21~25ヌクレオチド対長、または21~23ヌクレオチド対長であってよい。別の例では、二本鎖領域は、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、および27ヌクレオチド長から選択される。
一実施形態では、RNAi剤は、一方もしくは両方の鎖の3’末端、5’末端、または両方の末端に1つ以上のオーバーハング領域および/もしくはキャッピング基を含んでもよい。オーバーハングは、1~6ヌクレオチド長、例えば、2~6ヌクレオチド長、1~5ヌクレオチド長、2~5ヌクレオチド長、1~4ヌクレオチド長、2~4ヌクレオチド長、1~3ヌクレオチド長、2~3ヌクレオチド長、または1~2ヌクレオチド長であってよい。オーバーハングは、一方の鎖が他方より長い結果、または同じ長さの2つの鎖がずれている結果生じ得る。オーバーハングは、標的mRNAとのミスマッチを形成してもよいし、または標的となる遺伝子配列と相補的であるか、または別の配列であってもよい。第1および第2鎖は、例えば、ヘアピンを形成する追加塩基により、または他の非塩基リンカーにより連結され得る。
一実施形態では、RNAi剤のオーバーハング領域中のヌクレオチドは、各々独立に、修飾または未修飾ヌクレオチドであってよく、こうしたものとして、2’-糖修飾、例えば、2-F、2’-Oメチル、チミジン(T)、およびこれらの任意の組合せが挙げられるが、これに限定されるものではない。例えば、TTは、いずれかの鎖のいずれかの末端に対するオーバーハング配列であってよい。オーバーハングは、標的mRNAとミスマッチを形成してもよいし、または標的となる遺伝子配列と相補的であるか、または別の配列であってもよい。
RNAi剤のセンス鎖、アンチセンス鎖または両方の鎖の5’もしくは3’末端をリン酸化してもよい。一部の実施形態では、オーバーハング領域は、2つのヌクレオチド間にホスホロチオエートを有する2つのヌクレオチドを含み、2つのヌクレオチドは、同じでも異なってもよい。一実施形態では、オーバーハングは、センス鎖、アンチセンス鎖または両方の鎖の3’末端に存在する。一実施形態では、この3’-オーバーハングは、アンチセンス鎖に存在する。一実施形態では、この3’-オーバーハングは、センス鎖に存在する。
RNAi剤は、単一オーバーハングのみを含み、これは、その全体的安定性に影響を及ぼすことなく、RNAiの干渉活性を強化することができる。例えば、一本鎖オーバーハングは、センス鎖の3’末端、あるいはまた、アンチセンス鎖の3’末端に位置し得る。RNAiはまた、アンチセンス鎖の5’末端(またはセンス鎖の3’末端)に位置する、あるいはその逆の平滑末端であってもよい。一般に、RNAiのアンチセンス鎖は、3’末端にヌクレオチドオーバーハングを有し、5’末端は平滑である。理論による拘束は望まないが、アンチセンス鎖の5’末端およびアンチセンス鎖の3’末端オーバーハングの非対称の平滑末端は、RISCプロセスへのガイド鎖導入に有利に作用する。
一実施形態では、RNAi剤は、19ヌクレオチド長の平滑末端二本鎖(double ended bluntmer)であり、センス鎖は、5’末端から7位、8位、9位の3つの連続ヌクレオチドに対する3つの2’-F修飾の少なくとも1つのモチーフを含む。アンチセンス鎖は、5’末端から11位、12位、13位の3つの連続ヌクレオチドに対する3つの2’-O-メチル修飾の少なくとも1つのモチーフを含む。
別の実施形態では、RNAi剤は、20ヌクレオチド長の平滑末端二本鎖であり、センス鎖は、5’末端から8位、9位、10位の3つの連続ヌクレオチドに対する3つの2’-F修飾の少なくとも1つのモチーフを含む。アンチセンス鎖は、5’末端から11位、12位、13位の3つの連続ヌクレオチドに対する3つの2’-O-メチル修飾の少なくとも1つのモチーフを含む。
また別の実施形態では、RNAi剤は、21ヌクレオチド長の平滑末端二本鎖であり、センス鎖は、5’末端から9位、10位、11位の3つの連続ヌクレオチドに対する3つの2’-F修飾の少なくとも1つのモチーフを含む。アンチセンス鎖は、5’末端から11位、12位、13位の3つの連続ヌクレオチドに対する3つの2’-O-メチル修飾の少なくとも1つのモチーフを含む。
一実施形態では、RNAi剤は、21ヌクレオチドセンス鎖および23ヌクレオチドアンチセンス鎖を含み、センス鎖は、5’末端から9位、10位、11位の3つの連続ヌクレオチドに対する3つの2’-F修飾の少なくとも1つのモチーフを含み;アンチセンス鎖は、5’末端から11位、12位、13位の3つの連続ヌクレオチドに対する3つの2’-O-メチル修飾の少なくとも1つのモチーフを含み、RNAi剤の一方の末端が平滑であるのに対し、他方の末端は、2ヌクレオチドオーバーハングを含む。好ましくは、2ヌクレオチドオーバーハングは、アンチセンス鎖の3’末端にある。2ヌクレオチドオーバーハングが、アンチセンス鎖の3’末端にある場合、末端の3つのヌクレオチドの間に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合があってもよく、3つのヌクレオチドのうち2つが、オーバーハングヌクレオチドであり、3番目のヌクレオチドは、オーバーハングヌクレオチドに隣接する対合ヌクレオチドである。一実施形態では、RNAi剤は、センス鎖の5’末端およびアンチセンス鎖の5’末端の両方における末端の3つのヌクレオチドの間に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合をさらに有する。一実施形態では、モチーフの一部であるヌクレオチドを含む、RNAi剤のセンス鎖およびアンチセンス鎖中の全てのヌクレオチドが、修飾ヌクレオチドである。一実施形態では、各残基が、独立して、例えば、交互のモチーフ中で、2’-O-メチルまたは3’-フルオロで修飾される。任意選択で、RNAi剤は、リガンド(好ましくは、GalNAc3)をさらに含む。
一実施形態では、RNAi剤は、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、センス鎖は、25~30ヌクレオチド残基長であり、5’末端ヌクレオチド(1位)から開始して、第1鎖の1~23位は、少なくとも8リボヌクレオチドを含み;アンチセンス鎖は、36~66ヌクレオチド残基長であり、3’末端ヌクレオチドから開始して、センス鎖の1~23位と対合する位置に少なくとも8リボヌクレオチドを含んで、二本鎖を形成し;アンチセンス鎖の少なくとも3’末端ヌクレオチドは、センス鎖と非対合であり、6つ以下の連続した3’末端ヌクレオチドは、センス鎖と非対合であるため、1~6ヌクレオチドの3’一本鎖オーバーハングを形成し;ここで、アンチセンス鎖の5’末端は、センス鎖と非対合である10~30の連続ヌクレオチドを含むため、10~30ヌクレオチドの一本鎖5’オーバーハングを形成し;センス鎖およびアンチセンス鎖を最大相補性のためにアラインメントすると、少なくともセンス鎖5’末端および3’末端ヌクレオチドは、アンチセンス鎖のヌクレオチドと塩基対合するため、センス鎖とアンチセンス鎖との間に実質的に二本鎖化した領域を形成し;アンチセンス鎖は、二本鎖核酸が哺乳動物細胞に導入されたときに標的遺伝子の発現を低下させるように、アンチセンス鎖長の少なくとも19リボヌクレオチドに沿って標的RNAと十分に相補的であり;センス鎖は、3つの連続ヌクレオチドに対する3つの2’-F修飾の少なくとも1つのモチーフを含み、ここで、これらのモチーフの少なくとも1つは、切断部位またはその近辺に存在する。アンチセンス鎖は、切断部位またはその近辺に、3つの連続ヌクレオチドに対する3つの2’-O-メチル修飾の少なくとも1つのモチーフを含む。
一実施形態では、RNAi剤は、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、RNAi剤は、少なくとも25かつ最大で29ヌクレオチドの長さを有する第1鎖と、5’末端から11位、12位、13位の3つの連続ヌクレオチドに対する3つの2’-O-メチル修飾の少なくとも1つのモチーフを含む、最大で30ヌクレオチドの長さを有する第2鎖とを含み;第1鎖の3’末端および第2鎖の5’末端が、平滑末端を形成し、第2鎖は、その3’末端で第1鎖より1~4ヌクレオチド長く、二本鎖領域は、少なくとも25ヌクレオチド長であり、第2鎖は、RNAi剤が哺乳動物細胞中に導入されたときに標的遺伝子の発現を低下させるように、第2鎖長の少なくとも19ヌクレオチドに沿って標的mRNAと十分に相補的であり、ここで、RNAi剤のダイサー切断(dicer cleavage)が、第2鎖の3’末端を含むsiRNAを優先的にもたらし、それにより、哺乳動物における標的遺伝子の発現を低下させる。任意選択で、RNAi剤は、リガンドをさらに含む。
一実施形態において、RNAi剤のセンス鎖は、3つの連続ヌクレオチドに対する3つの同一の修飾の少なくとも1つのモチーフを含み、モチーフの1つは、センス鎖の切断部位に存在する。
一実施形態では、RNAi剤のアンチセンス鎖は、3つの連続ヌクレオチドに対する3つの同一の修飾の少なくとも1つのモチーフを含み、モチーフの1つは、アンチセンス鎖の切断部位またはその近辺に存在する。
17~23ヌクレオチド長の二本鎖領域を有するRNAi剤の場合、アンチセンス鎖の切断部位は、典型的に、5’末端から10位、11位および12位の付近である。したがって、3つの同一の修飾のモチーフは、アンチセンス鎖の5’末端から最初のヌクレオチドから数え始めて、またはアンチセンス鎖の5’末端から、二本鎖領域内の最初の対合ヌクレオチドから数え始めて、アンチセンス鎖の9位、10位、11位;10位、11位、12位;11位、12位、13位;12位、13位、14位;または13位、14位、15位に存在し得る。アンチセンス鎖中の切断部位はまた、5’末端からのRNAiの二本鎖領域の長さに応じて変化し得る。
RNAi剤のセンス鎖は、鎖の切断部位に3つの連続ヌクレオチドに対する3つの同一の修飾の少なくとも1つのモチーフを含んでもよく;アンチセンス鎖は、鎖の切断部位またはその近辺に3つの連続ヌクレオチドに対する3つの同一の修飾の少なくとも1つのモチーフを有し得る。センス鎖およびアンチセンス鎖がdsRNA二本鎖を形成する場合、センス鎖およびアンチセンス鎖は、センス鎖に対する3ヌクレオチドの1つのモチーフおよびアンチセンス鎖に対する3つのヌクレオチドの1つのモチーフが、少なくとも1つのヌクレオチドの重複を有し、すなわち、センス鎖中のモチーフの3つのヌクレオチドの少なくとも1つが、アンチセンス鎖中のモチーフの3つのヌクレオチドの少なくとも1つと塩基対を形成するようにアラインメントされ得る。あるいは、少なくとも2つのヌクレオチドが重複してもよく、または全ての3つのヌクレオチドが重複してもよい。
一実施形態では、RNAi剤のセンス鎖は、3つの連続ヌクレオチドに対する3つの同一の修飾の2つ以上のモチーフを含み得る。第1のモチーフは、鎖の切断部位またはその近辺に存在してもよく、他のモチーフは、ウイング修飾(wing modification)であってもよい。本明細書において「ウイング修飾」という用語は、同じ鎖の切断部位またはその近辺のモチーフから離れた鎖の別の部分に存在するモチーフを指す。ウイング修飾は、第1のモチーフに隣接するか、または少なくとも1つ以上のヌクレオチドによって隔てられている。モチーフが、互いに直接隣接している場合、モチーフの化学構造は、互いに異なり、モチーフが、1つ以上のヌクレオチドによって隔てられている場合、化学構造は、同じかまたは異なり得る。2つ以上のウイング修飾が存在し得る。例えば、2つのウイング修飾が存在する場合、各ウイング修飾は、切断部位またはその近辺の第1のモチーフに対して一方の末端に、またはリードモチーフ(lead motif)のいずれかの側に存在し得る。
センス鎖と同様に、RNAi剤のアンチセンス鎖は、3つの連続ヌクレオチドに対する3つの同一の修飾の2つ以上のモチーフを含んでいてもよく、モチーフの少なくとも1つが、鎖の切断部位またはその近辺に存在する。このアンチセンス鎖はまた、センス鎖に存在し得るウイング修飾と同様の配列で1つ以上のウイング修飾を含み得る。
一実施形態では、RNAi剤のセンス鎖またはアンチセンス鎖に対するウイング修飾は、典型的に、鎖の3’末端、5’末端もしくは両方の末端に第1の1つまたは2つの末端を含まない。
別の実施形態では、RNAi剤のセンス鎖またはアンチセンス鎖に対するウイング修飾は、典型的に、鎖の3’末端、5’末端もしくは両方の末端の二本鎖領域内に第1の1つまたは2つの対合ヌクレオチドを含まない。
RNAi剤のセンス鎖およびアンチセンス鎖がそれぞれ、少なくとも1つのウイング修飾を含む場合、ウイング修飾は、二本鎖領域の同じ末端に位置してもよく、1つ、2つまたは3つのヌクレオチドの重複を有し得る。
RNAi剤のセンス鎖およびアンチセンス鎖がそれぞれ、少なくとも2つのウイング修飾を含む場合、センス鎖およびアンチセンス鎖は、1つの鎖からの2つの修飾がそれぞれ、二本鎖領域の1つの末端に位置して、1つ、2つまたは3つのヌクレオチドの重複を有し;1つの鎖からの2つの修飾がそれぞれ、二本鎖領域の他方の末端に位置して、1つ、2つまたは3つのヌクレオチドの重複を有し;1つの鎖からの2つの修飾がリードモチーフの各側に位置して、二本鎖領域中に1つ、2つまたは3つのヌクレオチドの重複を有するようにアラインメントされ得る。
一実施形態では、モチーフの一部であるヌクレオチドを含む、RNAi剤のセンス鎖およびアンチセンス鎖中の全てのヌクレオチドを修飾してもよい。各ヌクレオチドは、同じまたは異なる修飾で修飾されてもよく、この修飾は、非結合リン酸酸素および/または1つ以上の結合リン酸酸素の一方または両方の1つ以上の改変;リボース糖の成分、例えば、リボース糖の2’ヒドロキシルの改変;「脱リン(dephospho)」リンカーによるリン酸部分の大規模な置換;天然の塩基の修飾または置換;およびリボース-リン酸骨格の置換または修飾を含み得る。
核酸はサブユニットのポリマーであるため、例えば、塩基、またはリン酸部分、またはリン酸部分の非結合Oの修飾といった修飾の多くは、核酸内の繰り返される位置に存在する。場合により、修飾は、核酸中の目的の位置の全てに存在し得るが、多くの場合、そうではない。例として、修飾は、3’または5’末端位置のみに存在してもよく、末端領域、例えば、末端ヌクレオチド上の位置または鎖の最後の2、3、4、5、もしくは10のヌクレオチドのみに存在してもよい。修飾は、二本鎖領域、一本鎖領域、またはその両方に存在してもよい。修飾は、RNAの二本鎖領域のみに存在してもよいし、またはRNAの一本鎖領域のみに存在してもよい。例えば、非結合O位置におけるホスホロチオエート修飾は、一方または両方の末端のみに存在してもよく、末端領域、例えば、末端ヌクレオチド上の位置または鎖の最後の2、3、4、5、もしくは10ヌクレオチドのみに存在してもよく、あるいは二本鎖および一本鎖領域、特に、末端に存在してもよい。5’末端または両方の末端をリン酸化することができる。
例えば、安定性を高める、オーバーハング中に特定の塩基を含む、または一本鎖オーバーハング、例えば、5’もしくは3’オーバーハング、またはその両方に修飾ヌクレオチドもしくはヌクレオチド代用物(surrogate)を含むことが可能となるであろう。例えば、オーバーハング中にプリンヌクレオチドを含むことが望ましい場合がある。一部の実施形態では、3’または5’オーバーハング中の塩基の全部または一部を、例えば、本明細書に記載される修飾で修飾してもよい。修飾は、例えば、当技術分野で公知の修飾によるリボース糖の2’位における修飾の使用、例えば、核酸塩基のリボ糖の代わりにデオキシリボヌクレオチド、2’-デオキシ-2’-フルオロ(2’-F)もしくは2’-O-メチル修飾の使用、およびリン酸基の修飾、例えば、ホスホロチオエート修飾を含み得る。オーバーハングは、標的配列と相同である必要はない。
一実施形態では、センス鎖およびアンチセンス鎖の各残基は、独立して、LNA、HNA、CeNA、2’-メトキシエチル、2’-O-メチル、2’-O-アリル、2’-C-アリル、2’-デオキシ、2’-ヒドロキシル、または2’-フルオロで修飾される。鎖は、2つ以上の修飾を含み得る。一実施形態において、センス鎖およびアンチセンス鎖の各残基は、独立して、2’-O-メチルまたは2’-フルオロで修飾される。
少なくとも2つの異なる修飾が、典型的に、センス鎖およびアンチセンス鎖に存在する。それらの2つの修飾は、2’-O-メチルもしくは2’-フルオロ修飾、またはその他であってよい。
一実施形態では、Naおよび/またはNbは、交互のパターンの修飾を含む。「交互のモチーフ」という用語は、本明細書の用法では、1つ以上の修飾を有するモチーフを指し、各修飾が、1つの鎖の交互のヌクレオチドに存在する。交互のヌクレオチドは、1ヌクレオチドおきに1つ、もしくは3ヌクレオチドごとに1つ、または同様のパターンを指し得る。例えば、A、BおよびCがそれぞれ、ヌクレオチドに対する1つのタイプの修飾を表す場合、交互のモチーフは、「ABABABABABAB・・・」、「AABBAABBAABB・・・」、「AABAABAABAAB・・・」、「AAABAAABAAAB・・・」、「AAABBBAAABBB・・・」、または「ABCABCABCABC・・・」などであってよい。
交互のモチーフに含まれる修飾のタイプは、同じでも、異なっていてもよい。例えば、A、B、C、Dがそれぞれ、そのヌクレオチドに対する1つのタイプの修飾を表す場合、交互のパターン、すなわち、1ヌクレオチドおきの修飾は、同じであってもよいが、センス鎖またはアンチセンス鎖のそれぞれが、「ABABAB・・・」、「ACACAC・・・」「BDBDBD・・・」または「CDCDCD・・・」などの交互のモチーフ内の修飾のいくつかの可能性から選択され得る。
一実施形態では、本発明のRNAi剤は、アンチセンス鎖に対する交互のモチーフの修飾パターンに対してシフトされた、センス鎖に対する交互のモチーフの修飾パターンを含む。このシフトは、センス鎖のヌクレオチドの修飾基が、アンチセンス鎖のヌクレオチドの異なる修飾基に対応するか、その逆であるようなシフトであってもよい。例えば、センス鎖は、dsRNA二本鎖におけるアンチセンス鎖と対合する場合、センス鎖における交互のモチーフは、鎖の5’から3’へと「ABABAB」で開始してもよく、アンチセンス鎖における交互のモチーフは、二本鎖領域内の鎖の5’から3’へと「BABABA」で開始してもよい。別の例として、センス鎖における交互のモチーフは、鎖の5’から3’へと「AABBAABB」で開始してもよく、アンチセンス鎖における交互のモチーフは、二本鎖領域内の鎖の5’から3’へと「BBAABBAA」で開始してもよく、これにより、センス鎖とアンチセンス鎖との間の修飾パターンの完全なまたは部分的なシフトが存在する。
一実施形態では、RNAi剤は、センス鎖に対する2’-O-メチル修飾および2’-F修飾の交互のモチーフのパターンを含み、このパターンは、最初に、アンチセンス鎖に対する2’-O-メチル修飾および2’-F修飾の交互のモチーフのパターンに対するシフトを有し、すなわち、センス鎖に対する2’-O-メチル修飾ヌクレオチドが、アンチセンス鎖における2’-F修飾ヌクレオチドと塩基対を形成し、その逆も同様である。センス鎖の1位は、2’-F修飾から開始してもよく、アンチセンス鎖の1位は、2’-O-メチル修飾から開始してもよい。
センス鎖および/またはアンチセンス鎖への、3つの連続ヌクレオチドに対する3つの同一の修飾の1つ以上のモチーフの導入は、センス鎖および/またはアンチセンス鎖中に存在する最初の修飾パターンを分断する。驚くことに、センス鎖および/またはアンチセンス鎖に3つの連続ヌクレオチドに対する3つの同一の修飾の1つ以上のモチーフを導入することによる、センス鎖および/またはアンチセンス鎖の修飾パターンのこの分断は、標的遺伝子に対する遺伝子サイレンシング活性を高める。
一実施形態では、3つの連続ヌクレオチドに対する3つの同一の修飾のモチーフが、鎖のいずれかに導入されると、モチーフに隣接するヌクレオチドの修飾は、モチーフの修飾と異なる修飾である。例えば、モチーフを含む配列の一部は、「・・・NaYYYNb・・・」であり、ここで、「Y」は、3つの連続ヌクレオチドに対する3つの同一の修飾のモチーフの修飾を表し、「Na」および「Nb」は、Yの修飾と異なる、モチーフ「YYY」に隣接するヌクレオチドの修飾を表し、NaおよびNbは、同じかまたは異なる修飾であってよい。あるいは、Naおよび/またはNbは、ウイング修飾が存在する場合、存在してもまたは存在しなくてもよい。
RNAi剤は、少なくとも1つのホスホロチオエートまたはメチルホスホネートヌクレオチド間結合をさらに含んでもよい。ホスホロチオエートまたはメチルホスホネートヌクレオチド間結合の修飾は、鎖のいずれかの位置の、センス鎖もしくはアンチセンス鎖または両方の鎖の任意のヌクレオチドに存在し得る。例えば、ヌクレオチド間結合の修飾は、センス鎖および/またはアンチセンス鎖に対する全てのヌクレオチドに存在してもよく;各ヌクレオチド間結合の修飾は、センス鎖および/またはアンチセンス鎖において交互のパターンで存在してもよく;またはセンス鎖もしくはアンチセンス鎖は、交互のパターンで両方のヌクレオチド間結合の修飾を含み得る。センス鎖に対するヌクレオチド間結合の修飾の交互のパターンは、アンチセンス鎖と同じでも、異なっていてもよく、センス鎖に対するヌクレオチド間結合の修飾の交互のパターンは、アンチセンス鎖に対するヌクレオチド間結合の修飾の交互のパターンに対してシフトを有し得る。一実施形態では、二本鎖RNAi剤は、6~8ホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含む。一実施形態では、アンチセンス鎖は、5’末端での2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合および3’末端での2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含み、センス鎖は、5’末端または3’末端のいずれかに、少なくとも2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含む。
一実施形態では、RNAiは、オーバーハング領域にホスホロチオエートまたはメチルホスホネートヌクレオチド間結合の修飾を含む。例えば、オーバーハング領域は、2つのヌクレオチドの間にホスホロチオエートまたはメチルホスホネートヌクレオチド間結合を有する2つのヌクレオチドを含み得る。さらに、ヌクレオチド間結合の修飾を実施して、オーバーハングヌクレオチドを二本鎖領域内の末端の対合ヌクレオチドと結合させることもできる。例えば、少なくとも2、3、4、または全てのオーバーハングヌクレオチドが、ホスホロチオエートまたはメチルホスホネートヌクレオチド間結合によって結合されてもよく、任意選択で、オーバーハングヌクレオチドを、オーバーハングヌクレオチドに隣接する対合ヌクレオチドと結合させる、追加ホスホロチオエートまたはメチルホスホネートヌクレオチド間結合が存在してもよい。例えば、末端の3つのヌクレオチド間に少なくとも2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合が存在してもよく、3つのヌクレオチドの2つが、オーバーハングヌクレオチドであり、第3のヌクレオチドが、オーバーハングヌクレオチドに隣接する対合ヌクレオチドである。これらの末端の3つのヌクレオチドは、アンチセンス鎖の3’末端、センス鎖の3’末端、アンチセンス鎖の5’末端、および/またはアンチセンス鎖の5’末端に存在してもよい。
一実施形態では、2ヌクレオチドオーバーハングは、アンチセンス鎖の3’末端にあり、末端の3つのヌクレオチド間に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合が存在し、3つのヌクレオチドの2つが、オーバーハングヌクレオチドであり、第3のヌクレオチドが、オーバーハングヌクレオチドに隣接する対合ヌクレオチドである。任意選択で、RNAi剤は、センス鎖の5’末端およびアンチセンス鎖の5’末端の両方で、末端の3つのヌクレオチド間に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合をさらに有し得る。
一実施形態では、RNAi剤は、標的とのミスマッチ、二本鎖内のミスマッチ、またはそれらの組合せを含む。ミスマッチは、オーバーハング領域または二本鎖領域で生じ得る。塩基対は、解離または融解(例えば、特定の対合の結合または解離の自由エネルギーに対してであり、最も簡単な手法は、個々の対ごとに対を調べることであるが、類似のまたは同様の分析を使用してもよい)を促進する傾向に基づいて評価することができる。解離の促進に関しては:A:Uが、G:Cより好ましく;G:Uが、G:Cより好ましく;I:Cが、G:Cより好ましい(I=イノシン)。ミスマッチ、例えば、非正準または正準以外の対合(本明細書の他の箇所に記載される)が、正準な(A:T、A:U、G:C)対合より好ましく;ユニバーサル塩基を含む対合が、正準な対合より好ましい。
一実施形態では、RNAi剤は、A:U、G:U、I:Cの群から独立に選択されるアンチセンス鎖の5’末端からの二本鎖領域内の最初の1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの塩基対の少なくとも1つ、および二本鎖の5’末端におけるアンチセンス鎖の解離を促進するためのミスマッチ対、例えば、非正準もしくは正準以外の対合またはユニバーサル塩基を含む対合を含む。
一実施形態では、アンチセンス鎖の5’末端からの二本鎖領域内の1位におけるヌクレオチドは、A、dA、dU、U、およびdTからなる群から選択される。あるいは、アンチセンス鎖の5’末端からの二本鎖領域内の最初の1、2または3塩基対の少なくとも1つは、AU塩基対である。例えば、アンチセンス鎖の5’末端からの二本鎖領域内の第1の塩基対は、AU塩基対である。
別の実施形態では、センス鎖の3’末端のヌクレオチドは、デオキシ-チミン(dT)である。別の実施形態では、アンチセンス鎖の3’末端のヌクレオチドは、デオキシ-チミン(dT)である。一実施形態では、短い配列のデオキシ-チミンヌクレオチド、例えば、センスおよび/またはアンチセンス鎖の3’末端に対する2つのdTヌクレオチドがある。
一実施形態では、センス鎖配列は、式(I):
5’np-Na-(XXX)i-Nb-YYY-Nb-(ZZZ)j-Na-nq3’ (I)
によって表すことができ、式中、
iおよびjは、各々独立に、0または1であり;
pおよびqは、各々独立に、0~6であり;
各Naは、独立に、0~25の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し、各配列は、少なくとも2つの異なる修飾のヌクレオチドを含み;
各Nbは、独立に、0~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し;
各npおよびnqは、独立に、オーバーハングヌクレオチドを表し;
ここで、NbおよびYは、同一の修飾を有しておらず;
XXX、YYYおよびZZZは、各々独立に、3つの連続ヌクレオチドに対する3つの同一の修飾の1つのモチーフを表す。好ましくは、YYYは、全て2’-F修飾ヌクレオチドである。
一実施形態では、Naおよび/またはNbは、交互のパターンの修飾を含む。
一実施形態では、YYYモチーフは、センス鎖の切断部位またはその近傍に存在する。例えば、RNAi剤が、17~23ヌクレオチド長の二本鎖領域を有する場合、YYYモチーフは、5’末端から最初のヌクレオチドから数え始めて;または任意選択で、5’末端から、二本鎖領域内の最初の対合ヌクレオチドから数え始めて、センス鎖の切断部位またはその近傍に存在し得る(例えば、6位、7位、8位、7位、8位、9位、8位、9位、10位、9位、10位、11位、10位、11位、12位または11位、12位、13位に存在し得る)。
一実施形態では、iは1であり、jは0であり、またはiは0であり、jは1であり、あるいは、iおよびjの両方が1である。したがって、センス鎖は、以下の式:
5’np-Na-YYY-Nb-ZZZ-Na-nq3’ (Ib);
5’np-Na-XXX-Nb-YYY-Na-nq3’ (Ic);または
5’np-Na-XXX-Nb-YYY-Nb-ZZZ-Na-nq3’ (Id)
によって表すことができる。
センス鎖が、式(Ib)によって表される場合、Nbは、0~10、0~7、0~5、0~4、0~2または0の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。各Naは、独立に、2~20、2~15、または2~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し得る。
センス鎖が、式(Ic)によって表される場合、Nbは、0~10、0~7、0~5、0~4、0~2または0の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。各Naは、独立に、2~20、2~15、または2~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し得る。
センス鎖が、式(Id)によって表される場合、各Nbは、独立に、0~10、0~7、0~5、0~4、0~2または0の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。好ましくは、Nbは、0、1、2、3、4、5、または6である。各Naは、独立に、2~20、2~15、または2~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し得る。
X、YおよびZの各々は、互いに同じでも、異なっていてもよい。
他の実施形態では、iは0であり、jは0であり、センス鎖は、以下の式:
5’np-Na-YYY-Na-nq3’ (Ia)
によって表すことができる。
センス鎖が、式(Ia)によって表される場合、各Naは、独立に、2~20、2~15、または2~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し得る。
一実施形態では、RNAiのアンチセンス鎖配列は、式(II):
5’nq’-Na’-(Z’Z’Z’)k-Nb’-Y’Y’Y’-Nb’-(X’X’X’)l-Na’-np’3’ (II)
によって表すことができ、式中、
kおよびlは、各々独立に、0または1であり;
p’およびq’は、各々独立に、0~6であり;
各Na’は、独立に、0~25の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し、各配列は、少なくとも2つの異なる修飾のヌクレオチドを含み;
各Nb’は、独立に、0~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し;
各np’およびnq’は、独立に、オーバーハングヌクレオチドを表し;
ここで、Nb’およびY’は、同じ修飾を有しておらず;
X’X’X’、Y’Y’Y’およびZ’Z’Z’は、各々独立に、3つの連続ヌクレオチドに対する3つの同一の修飾の1つのモチーフを表す。
一実施形態では、Na’および/またはNb’は、交互のパターンの修飾を含む。
Y’Y’Y’モチーフは、アンチセンス鎖の切断部位またはその近辺に存在する。例えば、RNAi剤が、17~23ヌクレオチド長の二本鎖領域を有する場合、Y’Y’Y’モチーフは、5’末端から最初のヌクレオチドから数え始めて;または任意選択で、5’末端から、二本鎖領域内の最初の対合ヌクレオチドから数え始めて、アンチセンス鎖の9位、10位、11位;10位、11位、12位;11位、12位、13位;または13位、14位、15位に存在し得る。好ましくは、Y’Y’Y’モチーフは、11位、12位、13位に存在する。
一実施形態では、Y’Y’Y’モチーフは、全て2’-OMe修飾ヌクレオチドである。
一実施形態では、kは1で、lは0であるか、またはkは0で、lは1であるか、またはkおよびlはいずれも1である。
したがって、アンチセンス鎖は、以下の式:
5’nq’-Na’-Z’Z’Z’-Nb’-Y’Y’Y’-Na’-np’3’(IIb);
5’nq’-Na’-Y’Y’Y’-Nb’-X’X’X’-np’3’(IIc);または
5’nq’-Na’-Z’Z’Z’-Nb’-Y’Y’Y’-Nb’-X’X’X’-Na’-np’3’ (IId)
によって表すことができる。
アンチセンス鎖が、式(IIb)として表される場合、Nb’は、0~10、0~7、0~10、0~7、0~5、0~4、0~2または0の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。各Na’は、独立に、2~20、2~15、または2~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。
アンチセンス鎖が、式(IIc)として表される場合、Nb’は、0~10、0~7、0~10、0~7、0~5、0~4、0~2または0の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。各Na’は、独立に、2~20、2~15、または2~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。
アンチセンス鎖が、式(IId)として表される場合、各Nb’は、独立に、0~10、0~7、0~10、0~7、0~5、0~4、0~2または0の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。各Na’は、独立に、2~20、2~15、または2~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。好ましくは、各Nbは、0、1、2、3、4、5または6である。
他の実施形態では、kは0で、lは0であり、アンチセンス鎖は、以下の式:
5’nq’-Na’-Y’Y’Y’-Na’-np’3’ (Ia)
によって表すことができる。
アンチセンス鎖が、式(IIa)として表される場合、各Na’は、独立に、2~20、2~15、または2~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。
X’、Y’およびZ’の各々は、互いに同じでも、または異なっていてもよい。
センス鎖およびアンチセンス鎖の各ヌクレオチドは、独立に、LNA、HNA、CeNA、2’-メトキシエチル、2’-O-メチル、2’-O-アリル、2’-C-アリル、2’-ヒドロキシル、または2’-フルオロで修飾してもよい。例えば、センス鎖およびアンチセンス鎖の各ヌクレオチドは、独立に、2’-O-メチルまたは2’-フルオロで修飾される。各X、Y、Z、X’、Y’およびZ’は、特に、2’-O-メチル修飾または2’-フルオロ修飾を表し得る。
一実施形態では、RNAi剤のセンス鎖は、二本鎖領域が21ntであるとき、5’末端から最初のヌクレオチドから数え始めて、または任意選択で、5’末端から、二本鎖領域内の最初の対合ヌクレオチドで数え始めて、鎖の9位、10位および11位に存在するYYYモチーフを含んでもよく;Yは、2’-F修飾を表す。センス鎖は、二本鎖領域の反対側の末端にウイング修飾としてXXXモチーフまたはZZZモチーフをさらに含んでもよく;XXXおよびZZZは、各々独立して、2’-OMe修飾または2’-F修飾を表す。
一実施形態では、アンチセンス鎖は、5’末端から最初のヌクレオチドから数え始めて、または任意選択で、5’末端から、二本鎖領域内の最初の対合ヌクレオチドで数え始めて、鎖の11位、12位、13位に存在するY’Y’Y’モチーフを含んでもよく;Y’は、2’-O-メチル修飾を表す。アンチセンス鎖は、二本鎖領域の反対側の末端にウイング修飾としてX’X’X’モチーフまたはZ’Z’Z’モチーフをさらに含んでいてもよく;X’X’X’およびZ’Z’Z’は、各々独立して、2’-OMe修飾または2’-F修飾を表す。
上の式(Ia)、(Ib)、(Ic)、および(Id)のいずれか1つによって表されるセンス鎖はそれぞれ、式(IIa)、(IIb)、(IIc)、および(IId)のいずれか1つによって表されるアンチセンス鎖と二本鎖を形成する。
したがって、本発明の方法に使用するためのRNAi剤は、センス鎖およびアンチセンス鎖を含んでいてもよく、各鎖は、14~30のヌクレオチドを有し、RNAi二本鎖は、式(III):
センス:5’np-Na-(XXX)i-Nb-YYY-Nb-(ZZZ)j-Na-nq3’
アンチセンス:3’np-Na’-(X’X’X’)k-Nb’-Y’Y’Y’-Nb’-(Z’Z’Z’)l-Na’-nq’5’ (III)
によって表され、式中、
i、j、k、およびlは、各々独立に、0または1であり;
p、p’、qおよびq’は、各々独立に、0~6であり;
各NaおよびNa’は、独立に、0~25の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し、各配列は、少なくとも2つの異なる修飾のヌクレオチドを含み;
各NbおよびNb’は、独立に、0~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し;
各np’、np、nq’、およびnqは、各々存在してもしなくてもよく、独立に、オーバーハングヌクレオチドを表し;
XXX、YYY、ZZZ、X’X’X’、Y’Y’Y’、およびZ’Z’Z’は、各々独立に、3つの連続ヌクレオチドに対する3つの同一の修飾の1つのモチーフを表す。
一実施形態では、iは、0で、jは、0であり;またはiは、1で、jは0であり;またはiは、0で、jは、1であり;またはiおよびjの両方が、0であり;またはiおよびjの両方が、1である。別の実施形態では、kは、0で、lは、0であり;またはkは、1で、lは、0であり;kは0で、lは1であり;またはkおよびlの両方が、0であり;またはkおよびlの両方が、1である。
RNAi二本鎖を形成するセンス鎖およびアンチセンス鎖の例示的な組合せは、以下の式:
5’np-Na-YYY-Na-nq3’
3’np’-Na’-Y’Y’Y’-Na’nq’5’
(IIIa)
5’np-Na-YYY-Nb-ZZZ-Na-nq3’
3’np’-Na’-Y’Y’Y’-Nb’-Z’Z’Z’-Na’nq’5’
(IIIb)
5’np-Na-XXX-Nb-YYY-Na-nq3’
3’np’-Na’-X’X’X’-Nb’-Y’Y’Y’-Na’-nq’5’
(IIIc)
5’np-Na-XXX-Nb-YYY-Nb-ZZZ-Na-nq3’
3’np’-Na’-X’X’X’-Nb’-Y’Y’Y’-Nb’-Z’Z’Z’-Na-nq’5’
(IIId)
を含む。
RNAi剤が、式(IIIa)によって表される場合、各Naは、独立に、2~20、2~15、または2~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。
RNAi剤が、式(IIIb)によって表される場合、各Nbは、独立に、1~10、1~7、1~5、または1~4の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。各Naは、独立に、2~20、2~15、または2~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。
RNAi剤が、式(IIIc)として表される場合、各Nb、Nb’は、独立に、0~10、0~7、0~10、0~7、0~5、0~4、0~2または0の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。各Naは、独立に、2~20、2~15、または2~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。
RNAi剤が、式(IIId)として表される場合、各Nb、Nb’は、独立に、0~10、0~7、0~10、0~7、0~5、0~4、0~2または0の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。各Na、Na’は、独立に、2~20、2~15、または2~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。Na、Na’、NbおよびNb’の各々は、独立に、交互のパターンの修飾を含む。
式(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、および(IIId)中のX、YおよびZの各々は、互いに同じでも、異なっていてもよい。
RNAi剤が、式(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、および(IIId)によって表される場合、Yヌクレオチドの少なくとも1つが、Y’ヌクレオチドの1つと塩基対を形成し得る。あるいは、Yヌクレオチドの少なくとも2つが、対応するY’ヌクレオチドと塩基対を形成し;またはYヌクレオチドの全3つが全て、対応するY’ヌクレオチドと塩基対を形成する。
RNAi剤が、式(IIIb)または(IIId)によって表される場合、Zヌクレオチドの少なくとも1つが、Z’ヌクレオチドの1つと塩基対を形成し得る。あるいは、Zヌクレオチドの少なくとも2つが、対応するZ’ヌクレオチドと塩基対を形成し;またはZヌクレオチドの全3つが全て、対応するZ’ヌクレオチドと塩基対を形成する。
RNAi剤が、式(IIIc)または(IIId)として表される場合、Xヌクレオチドの少なくとも1つが、X’ヌクレオチドの1つと塩基対を形成し得る。あるいは、Xヌクレオチドの少なくとも2つが、対応するX’ヌクレオチドと塩基対を形成し;またはXヌクレオチドの全3つが全て、対応するX’ヌクレオチドと塩基対を形成する。
一実施形態では、Yヌクレオチドに対する修飾は、Y’ヌクレオチドに対する修飾と異なり、Zヌクレオチドに対する修飾は、Z’ヌクレオチドに対する修飾と異なり、および/またはXヌクレオチドに対する修飾は、X’ヌクレオチドに対する修飾と異なる。
一実施形態では、RNAi剤が、式(IIId)によって表される場合、Na修飾は、2’-O-メチルまたは2’-フルオロ修飾である。別の実施形態では、RNAi剤が、式(IIId)によって表される場合、Na修飾は、2’-O-メチルまたは2’-フルオロ修飾であり、np’>0であり、少なくとも1つのnp’が、ホスホロチオエート結合を介して隣接するヌクレオチドに結合される。また別の実施形態では、RNAi剤が、式(IIId)によって表される場合、Na修飾は、2’-O-メチルまたは2’-フルオロ修飾であり、np’>0であり、少なくとも1つのnp’が、ホスホロチオエート結合を介して隣接するヌクレオチドに結合され、センス鎖は、二価または三価の分枝鎖状リンカー(後述する)を介して結合された1つ以上のGalNAc誘導体に共役されている。別の実施形態では、RNAi剤が、式(IIId)によって表される場合、Na修飾は、2’-O-メチルまたは2’-フルオロ修飾であり、np’>0であり、少なくとも1つのnp’が、ホスホロチオエート結合を介して隣接するヌクレオチドに結合され、センス鎖は、少なくとも1つのホスホロチオエート結合を含み、センス鎖は、二価または三価の分枝鎖状リンカーを介して結合された1つ以上のGalNAc誘導体に共役されている。
一実施形態では、RNAi剤が、式(IIIa)によって表される場合、Na修飾は、2’-O-メチルまたは2’-フルオロ修飾であり、np’>0であり、少なくとも1つのnp’が、ホスホロチオエート結合を介して隣接するヌクレオチドに結合され、センス鎖は、少なくとも1つのホスホロチオエート結合を含み、センス鎖は、二価または三価の分枝鎖状リンカーを介して結合された1つ以上のGalNAc誘導体に共役されている。
一実施形態では、RNAi剤は、式(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、および(IIId)によって表される少なくとも2つの二本鎖を含む多量体であり、この二本鎖は、リンカーによって結合される。リンカーは、切断可能または切断不可能であり得る。任意選択で、多量体は、リガンドをさらに含む。二本鎖は各々、同じ遺伝子または2つの異なる遺伝子を標的とすることができ;または二本鎖の各々は、2つの異なる標的部位において同じ遺伝子を標的とすることができる。
一実施形態では、RNAi剤は、式(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、および(IIId)によって表される、3つ、4つ、5つ、6つまたはそれを超える二本鎖を含む多量体であり、この二本鎖は、リンカーによって結合される。リンカーは、切断可能または切断不可能であり得る。任意選択で、多量体は、リガンドをさらに含む。二本鎖は各々、同じ遺伝子または2つの異なる遺伝子を標的とすることができ;または二本鎖の各々は、2つの異なる標的部位において同じ遺伝子を標的とすることができる。
一実施形態では、式(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、および(IIId)によって表される、2つのRNAi剤は、5’末端で互いに、および3’末端の一方もしくは両方と結合され、任意選択でリガンドに共役されている。RNAi剤は各々、同じ遺伝子または2つの異なる遺伝子を標的とすることができ;またはRNAi剤の各々は、2つの異なる標的部位において同じ遺伝子を標的とすることができる。
様々な文献が、本発明の方法に用いることができる多量体RNAi剤を記載している。そうした文献として、それぞれの全内容を参照によって本明細書に援用する、国際公開第2007/091269号パンフレット、米国特許第7858769号明細書、国際公開第2010/141511号、同第2007/117686号、同第2009/014887号および同第2011/031520号パンフレットが挙げられる。
以下にさらに詳細に説明するように、RNAi剤に対する1つ以上の炭水化物部分の共役を含むRNAi剤は、RNAi剤の1つ以上の特性を最適化することができる。多くの場合、炭水化物部分は、RNAi剤の修飾サブユニットに結合されることになる。例えば、dsRNA剤の1つ以上のリボヌクレオチドサブユニットは、炭水化物リガンドに結合される別の部分、例えば、非炭水化物(好ましくは環状)担体で置換することができる。サブユニットのリボース糖がこのように置換されたリボヌクレオチドサブユニットは、本明細書において、リボース置換修飾サブユニット(RRMS)と呼ばれる。環状担体は、炭素環系であってよく、すなわち、全ての環原子が炭素原子またはヘテロ環系である、すなわち、1つ以上の環原子は、ヘテロ原子、例えば、窒素、酸素、イオウであってよい。環状担体は、単環系であってもよいし、または2つ以上の環、例えば、融合環を含有するものであってもよい。環状担体は、完全飽和環系であってもよいし、または1つ以上の二重結合を含むものでもよい。
リガンドは、担体を介してポリヌクレオチドに結合され得る。担体は、(i)少なくとも1つの「骨格結合点」、好ましくは2つの「骨格結合点」と、(ii)少なくとも1つの「係留結合点」を含む。「骨格結合点」は、本明細書の用法では、官能基、例えば、ヒドロキシル基、または一般に、骨格、例えば、リボ核酸のリン酸、もしくは修飾リン酸(例えば、イオウ含有)骨格への担体の組込みに利用可能で、しかもそれに好適な結合を指す。一部の実施形態における「係留結合点」(TAP)は、選択部分と結合する環状担体の構成環原子、例えば、炭素原子もしくはヘテロ原子(骨格結合点を賦与する原子と異なる)を指す。上記の選択部分は、例えば、炭水化物、例えば、単糖、二糖、三糖、四糖、オリゴ糖および多糖であってよい。任意選択で、選択部分は、介入テザーによって環状担体と結合される。したがって、環状担体は、多くの場合、官能基、例えば、アミノ基を含み、または一般に、別の化学実体、例えば、リガンドを構成環に組み込む、または係留するのに好適な結合を提供する。
RNAi剤は、担体を介してリガンドに共役させてもよく、担体は、環状基または非環状基であってよく;好ましくは、環状基は、ピロリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、[1,3]ジオキソラン、オキサゾリジニル、イソキサゾリジニル、モルホリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、キノキサリニル、ピリダジノニル、テトラヒドロフリル、およびデカリンから選択され;好ましくは、非環状基は、セリノール骨格またはジエタノールアミン骨格から選択される。
特定の実施形態では、本発明の方法に使用するためのRNAi剤は、表2および3のいずれか1つに列挙する薬剤の群から選択される薬剤である。これらの薬剤は、リガンドをさらに含んでもよい。
IV.リガンド共役iRNA
本発明のiRNAのRNAの別の修飾は、iRNAの活性、細胞分布、または細胞内取り込みを高める、1つ以上のリガンド、部分または複合体をRNAに化学的に連結することを伴う。このような部分としては、コレステロール部分(Letsinger et al.,(1989)Proc.Natl.Acid.Sci.USA,86:6553-6556)などの脂質部分;コール酸(Manoharan et al.,(1994)Biorg.Med.Chem.Let.,4:1053-1060);例えばベリル-S-トリチルチオール(Manoharan et al.,(1992)Ann.N.Y.Acad.Sci.,660:306-309;Manoharan et al.,(1993)Biorg.Med.Chem.Let.,3:2765-2770)、チオコレステロール(Oberhauser et al.,(1992)Nucl.AcidsRes.,20:533-538)などのチオエーテル;例えばドデカンジオールまたはウンデシル残基(Saison-Behmoaras et al.,(1991)EMBO J,10:1111-1118;Kabanov et al.,(1990)FEBS Lett.,259:327-330;Svinarchuk et al.,(1993)Biochimie,75:49-54)などの脂肪族鎖;例えばジ-ヘキサデシル-rac-グリセロールまたはトリエチル-アンモニウム1,2-ジ-O-ヘキサデシル-rac-グリセロ-3-ホスホネート(Manoharan et al.,(1995)Tetrahedron Lett.,36:3651-3654;Shea et al.,(1990)Nucl.Acids Res.,18:3777-3783)などのリン脂質;ポリアミンまたはポリエチレングリコール鎖(Manoharan et al.,(1995)Nucleosides&Nucleotides,14:969-973);またはアダマンタン酢酸(Manoharan et al.,(1995)Tetrahedron Lett.,36:3651-3654);パルミチル部分(Mishra et al.,(1995)Biochim.Biophys.Acta,1264:229-237);またはオクタデシルアミンまたはヘキシルアミノ-カルボニルオキシコレステロール部分(Crooke et al.,(1996)J.Pharmacol.Exp.Ther.,277:923-937)が挙げられるが、これに限定されるものではない。
一実施形態では、リガンドは、それが組み込まれたiRNA剤の分布、標的化または寿命を変化させる。好ましい実施形態では、リガンドは、例えばこのようなリガンドが不在である化学種と比較して、例えば分子、細胞または細胞型、例えば細胞内または器官内区画などの区画、身体の組織または器官または領域などの選択された標的に対する、改善された親和性を提供する。好ましいリガンドは、二重鎖化核酸中の二本鎖対合形成に加わらない。
リガンドは、タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン(HSA)、低密度リポタンパク質(LDL)、またはグロブリン);炭水化物(例えば、デキストラン、プルラン、キチン、キトサン、イヌリン、シクロデキストリン、N-アセチルグルコサミン、N-アセチルガラクトサミン、またはヒアルロン酸);または脂質などの天然物質を含み得る。リガンドはまた、例えば合成ポリアミノ酸などの合成ポリマーなど、組換えまたは合成分子であり得る。ポリアミノ酸の例はポリアミノ酸を含み、ポリリジン(PLL)、ポリL-アスパラギン酸、ポリL-グルタミン酸、スチレン-マレイン酸無水物共重合体、ポリ(L-ラクチド-コ-グリコリド(glycolied))共重合体、ジビニルエーテル-無水マレイン酸共重合体、N-(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド共重合体(HMPA)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリウレタン、ポリ(2-エチルアクリル酸)、N-イソプロピルアクリルアミドポリマー、またはポリホスファジンが挙げられる。ポリアミンの例としては、ポリエチレンイミン、ポリリジン(PLL)、スペルミン、スペルミジン、ポリアミン、擬ペプチド-ポリアミン、ペプチド模倣ポリアミン、デンドリマーポリアミン、アルギニン、アミジン、プロタミン、カチオン性脂質、カチオン性ポルフィリン、ポリアミン四級塩、またはαらせんペプチドである。
リガンドはまた、例えばレクチン、糖タンパク質、脂質またはタンパク質など、例えば腎細胞などの特定細胞型に結合する抗体である、細胞または組織標的化剤などの標的化基を含み得る。標的化基は、甲状腺刺激ホルモン、メラノトロピン、レクチン、糖タンパク質、界面活性剤プロテインA、ムチン炭水化物、多価乳糖、多価ガラクトース、N-アセチル-ガラクトサミン、N-アセチルグルコサミン多価マンノース、多価フコース、グリコシル化ポリアミノ酸、多価ガラクトース、トランスフェリン、ビスホスホネート、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、脂質、コレステロール、ステロイド、胆汁酸、葉酸、ビタミンB12、ビタミンA、ビオチン、またはRGDペプチドまたはRGDペプチド模倣体であり得る。
リガンドの他の例としては、染料、挿入剤(例えば、アクリジン)、架橋剤(例えば、ソラレン(psoralene)、マイトマイシンC)、ポルフィリン(TPPC4、テキサフィリン、サフィリン)、多環式芳香族炭化水素(例えば、フェナジン、ジヒドロフェナジン)、人工エンドヌクレアーゼ(例えば、EDTA)、例えばコレステロールなどの親油性分子、コール酸、アダマンタン酢酸、1-ピレン酪酸、ジヒドロテストステロン、1,3-ビス-O(ヘキサデシル)グリセロール、ゲラニルオキシヘキシル基、ヘキサデシルグリセロール、ボルネオール、メントール、1,3-プロパンジオール、ヘプタデシル基、パルミチン酸、ミリスチン酸、O3-(オレオイル)リトコール酸、O3-(オレオイル)コレン酸、ジメトキシトリチル、またはフェノキサジン)およびペプチド複合体(例えば、アンテナペディアペプチド、Tatペプチド)、アルキル化剤、ホスフェート、アミノ、メルカプト、PEG(例えば、PEG-40K)、MPEG、[MPEG]2、ポリアミノ、アルキル、置換アルキル、放射性標識マーカ、酵素、ハプテン(例えば、ビオチン)、輸送/吸収促進薬(例えば、アスピリン、ビタミンE、葉酸)、合成リボヌクレアーゼ(例えば、イミダゾール、ビスイミダゾール、ヒスタミン、イミダゾールクラスター、アクリジン-イミダゾール複合体、テトラアザ大環状化合物のEu3+複合体)、ジニトロフェニル、HRP、またはAPが挙げられる。
リガンドは、例えば糖タンパク質などのタンパク質;または例えば共リガンドに特異的親和性を有する分子などのペプチド;または例えば肝臓細胞などの指定された細胞型に結合する抗体などの抗体であり得る。リガンドはまた、ホルモンおよびホルモン受容体を含んでもよい。それらはまた、脂質、レクチン、炭水化物、ビタミン、補助因子、多価乳糖、多価ガラクトース、N-アセチル-ガラクトサミン、N-アセチル-グルコサミン多価マンノース、または多価フコースなどの非ペプチド化学種を含み得る。
リガンドは、例えば細胞の微小管、微小繊維、および/または中間径フィラメントを破壊することで、例えば細胞の細胞骨格を破壊することにより、細胞へのiRNA剤の取り込みを増大させ得る薬剤などの物質であり得る。薬剤は、例えばタキソン(taxon)、ビンクリスチン、ビンブラスチン、サイトカラシン、ノコダゾール、ジャプラキノリド(japlakinolide)、ラトランクリンA、ファロイジン、スウィンホリドA、インダノシン、またはミオセルビンであり得る。
一部の実施形態では、本明細書に記載されるiRNAに付着するリガンドは、薬物動態調節因子(PK調節因子)を指す。PK調節因子としては、親油性物質、胆汁酸、ステロイド、リン脂質類似体、ペプチド、タンパク質結合剤、PEG、ビタミンなどが挙げられる。例示的なPK調節因子としては、コレステロール、脂肪酸、コール酸、リトコール酸、ジアルキルグリセリド、ジアシルグリセリド、リン脂質、スフィンゴ脂質、ナプロキセン、イブプロフェン、ビタミンE、ビオチンなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。いくつかのホスホロチオエート結合を含むオリゴヌクレオチドも血清タンパク質に結合することが知られており、したがって例えば、主鎖中に複数のホスホロチオエート結合を含む、約5塩基、10塩基、15塩基、または20塩基オリゴヌクレオチドなどの短鎖オリゴヌクレオチドもリガンドとして(例えば、PK調節リガンドとして)本発明に適している。加えて、血清成分(例えば、血清タンパク質)に結合するアプタマーも、本明細書に記載される実施形態においてPK調節リガンドとして使用するのに適する。
本発明のリガンド共役オリゴヌクレオチドは、結合分子のオリゴヌクレオチド上への付加から誘導されるものなど、ペンダント反応性官能基を有するオリゴヌクレオチドの使用によって合成してもよい(下述)。この反応性オリゴヌクレオチドは、市販のリガンド、多様な保護基のいずれかを有する合成されたリガンド、または付着する結合部分を有するリガンドと、直接反応させてもよい。
本発明の複合体で使用されるオリゴヌクレオチドは、好都合にかつ慣例的に、周知の固相合成技術を通じて生成されてもよい。このような合成のための装置は、Applied Biosystems(Foster City,Calif.)をはじめとする、いくつかの供給業者によって販売される。加えてまたは代案として、当技術分野で公知のこのような合成のための他のあらゆる手段を用いてもよい。同様の技術を使用して、ホスホロチオエートおよびアルキル化誘導体などの他のオリゴヌクレオチドを調製することも知られている。
本発明のリガンド共役オリゴヌクレオチド、およびリガンド分子を保有する配列特異的結合ヌクレオシド中では、オリゴヌクレオチドおよびオリゴヌクレオシドは、標準ヌクレオチドまたはヌクレオシド前駆体、または既に結合部分を保有するヌクレオチドまたはヌクレオシド複合体前駆体、既にリガンド分子を保有するリガンド-ヌクレオチドまたはヌクレオシド-複合体前駆体、または非ヌクレオシドリガンドを保有する基本単位を使用して、適切なDNA合成機上で組み立ててもよい。
既に結合部分を有するヌクレオチド複合体前駆体を使用する場合、配列特異的結合ヌクレオシドの合成が典型的に完了し、次にリガンド分子が結合部分と反応されて、リガンド共役オリゴヌクレオチドが生成する。一部の実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドまたは結合ヌクレオシドは、市販されて、慣例的にオリゴヌクレオチド合成で使用される、標準ホスホラミダイトおよび非標準ホスホラミダイトに加えて、リガンド-ヌクレオシド複合体から誘導されるホスホラミダイトを使用して、自動合成装置によって合成される。
A.脂質複合体
一実施形態では、リガンドまたは複合体は、脂質または脂質ベースの分子である。このような脂質または脂質ベースの分子は、好ましくは、例えばヒト血清アルブミン(HSA)などの血清タンパク質と結合する。HSA結合リガンドは、例えば身体の非腎臓標的組織などの標的組織への複合体の分布を可能にする。例えば、標的組織は、肝臓の実質細胞をはじめとする肝臓であり得る。HSAに結合し得る他の分子もリガンドとして使用し得る。例えば、ネプロキシンまたはアスピリンを使用し得る。脂質または脂質ベースのリガンドは、(a)複合体の分解耐性を増大させ得、(b)標的細胞または細胞膜の標的化またはそれへの輸送を増大させ得、および/または(c)例えばHSAなどの血清タンパク質の結合を調節するのに使用し得る。
例えば、複合体の標的組織への結合を制御するなど、阻害のために、脂質ベースのリガンドを使用し得る。例えば、より強力にHSAに結合する脂質または脂質ベースのリガンドは、腎臓に標的化される可能性がより低く、したがって身体から除去される可能性がより低い。より弱くHSAに結合する脂質または脂質ベースのリガンドは、複合体を腎臓に標的化するのに使用し得る。
好ましい実施形態では、脂質ベースのリガンドはHSAに結合する。好ましくは、それは、複合体が好ましくは非腎臓組織に分布するように、十分な親和性でHSAと結合する。しかし、親和性は、HSAリガンド結合が逆転され得ない程度にまで、強力ではないことが好ましい。
別の好ましい実施形態では、複合体が好ましくは腎臓に分布するように、脂質ベースのリガンドはHSAと弱く結合し、または全く結合しない。腎細胞を標的とする他の部分も脂質ベースのリガンドに代えてまたはそれに加えて使用し得る。
別の態様では、リガンドは、例えば増殖細胞などの標的細胞に取り込まれる、ビタミンなどの部分である。これらは、例えばがん細胞などの悪性または非悪性型などの望まれない細胞増殖によって特徴付けられる障害を治療するのに、特に有用である。例示的なビタミンとしては、ビタミンA、E、およびKが挙げられる。他の例示的なビタミンとしては、例えば葉酸、B12、リボフラビン、ビオチン、ピリドキサールなどのBビタミン、または肝臓細胞などの標的細胞に取り込まれる他のビタミンまたは栄養素が挙げられる。またHSAおよび低密度リポタンパク質(LDL)も挙げられる。
B.細胞透過剤
別の態様では、リガンドは細胞透過剤であり、好ましくはらせん細胞透過剤である。好ましくは、細胞透過剤は両親媒性である。例示的な細胞透過剤は、tatまたはアンテノペディア(antennopedia)などのペプチドである。細胞透過剤がペプチドである場合、それはペプチジル模倣薬、逆転異性体、非ペプチドまたは偽ペプチド結合、およびD-アミノ酸使用をはじめとする、修飾を受け得る。らせん剤は、好ましくは親油性および疎油性相を有するα-らせん剤である。
リガンドは、ペプチドまたはペプチド模倣体であり得る。ペプチド模倣薬(本明細書においてオリゴペプチド模倣薬とも称される)は、天然ペプチドに類似する定義された三次元構造に折り畳み可能な分子である。ペプチドおよびペプチド模倣薬のiRNA剤への付加は、細胞認識と吸収の促進などにより、iRNAの薬物動態分布に影響を及ぼし得る。ペプチドまたはペプチド模倣薬部分は、例えば、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、または50アミノ酸長など、約5~50アミノ酸長であり得る。
ペプチドまたはペプチド模倣薬は、例えば細胞透過性ペプチド、カチオン性ペプチド、両親媒性ペプチド、または疎水性ペプチド(例えば、主にTyr、TrpまたはPheからなる)であり得る。ペプチド部分は、デンドリマーペプチド、束縛ペプチドまたは架橋ペプチドであり得る。別の代案では、ペプチド部分は、疎水性膜移行配列(MTS)を含み得る。例示的な疎水性MTS含有ペプチドは、アミノ酸配列AAVALLPAVLLALLAP(配列番号27)を有するRFGFである。疎水性MTSを含有するRFGF類似体(例えば、アミノ酸配列AALLPVLLAAP(配列番号28))も標的部分であり得る。ペプチド部分は、細胞膜を越えて、ペプチド、オリゴヌクレオチド、およびタンパク質をはじめとする、多数の極性分子を輸送し得る「送達」ペプチドであり得る。例えば、HIV Tatタンパク質(GRKKRRQRRRPPQ(配列番号29))およびショウジョウバエ(Drosophila)アンテナペディアタンパク質(RQIKIWFQNRRMKWKK(配列番号30))からの配列は、送達ペプチドとして機能できることが分かっている。ペプチドまたはペプチド模倣薬は、ファージ-ディスプレイライブラリー、または1ビーズ1化合物(OBOC)コンビナトリアルライブラリーから同定されるペプチドなどのDNAのランダム配列によってコードされ得る(Lam et al.,Nature,354:82-84,1991)。細胞標的化目的のために、組み込まれたモノマー単位を通じて、dsRNA作用物質に係留されるペプチドまたはペプチド模倣体の例は、アルギニン-グリシン-アスパラギン酸(RGD)-ペプチド、またはRGD模倣体である。ペプチド部分は、約5アミノ酸~約40アミノ酸長に及び得る。ペプチド部分は、安定性を増大させ、または立体構造特性を誘導するような構造修飾を有し得る。下述の構造修飾のいずれかを使用し得る。
本発明の組成物および方法で使用されるRGDペプチドは、直鎖または環状であってもよく、例えばグリコシル化またはメチル化により修飾して、特定組織への標的化を容易にしてもよい。RGD含有ペプチドおよびペプチド模倣剤(peptidiomimemtics)としては、D-アミノ酸、ならびに合成RGD模倣体が挙げられる。RGDに加えて、インテグリンリガンドを標的にする他の部分を使用し得る。このリガンドの好ましい複合体は、PECAM-1またはVEGFを標的にする。
「細胞透過性ペプチド」は、例えば細菌または真菌細胞などの微生物細胞、またはヒト細胞などの哺乳類細胞などの細胞に浸透できる。微生物細胞透過性ペプチドは、例えばα-らせん直鎖ペプチド(例えば、LL-37またはセクロピン(Ceropin)P1)、ジスルフィド結合含有ペプチド(例えば、α-デフェンシン、β-デフェンシンまたはバクテネシン)、または1つまたは2つの主要アミノ酸(例えば、PR-39またはインドリシジン)のみを含有するペプチドであり得る。細胞透過性ペプチドはまた、核局在化シグナル(NLS)を含み得る。例えば、細胞透過性ペプチドは、HIV-1 gp41の融合ペプチドドメインおよびSV40大型T抗原のNLSに由来する、MPGなどの二分両親媒性ペプチドであり得る(Simeoni et al.,Nucl.Acids Res.31:2717-2724,2003)。
C.炭水化物複合体
本発明の組成物および方法の一部の実施形態では、iRNAオリゴヌクレオチドは、炭水化物をさらに含む。炭水化物共役iRNAは、本明細書に記載されるような核酸ならびに生体内治療用途に適する組成物の生体内送達に、有利である。本明細書の用法では、「炭水化物」は、各炭素原子に結合された酸素、窒素またはイオウ原子がある、少なくとも6個の炭素原子(直鎖、分枝または環状であり得る)を有する、1つ以上の単糖単位で構成される炭水化物自体;各炭素原子に結合された酸素、窒素またはイオウ原子がある、少なくとも6個の炭素原子(直鎖、分枝または環状であり得る)をそれぞれ有する、1つ以上の単糖単位で構成される炭水化物部分をその一部として有する化合物のいずれかである化合物を指す。代表的な炭水化物としては、糖類(単糖類、二糖類、三糖類、および約4、5、6、7、8、または9個の単糖単位を含有するオリゴ糖類)、およびデンプン、グリコーゲン、セルロース、および多糖類ガムなどの多糖類が挙げられる。特定の単糖類としては、C5以上(例えば、C5、C6、C7、またはC8)の糖類が挙げられ;二および三糖類としては、2または3個の単糖単位を有する糖類が挙げられる(例えば、C5、C6、C7、またはC8)。
一実施形態では、本発明の組成物および方法で使用される炭水化物複合体は単糖である。別の実施形態では、本発明の組成物および方法で使用される炭水化物複合体は、
からなる群から選択される。
一実施形態では、単糖は、
などのN-アセチルガラクトサミンである。
本明細書に記載される実施形態で使用される別の代表的な炭水化物複合体としては、限定はされないが、
(XまたはYの一方がオリゴヌクレオチドであるとき、他方は水素である)が挙げられる。
本発明の特定の実施形態では、GalNAcまたはGalNAc誘導体は、一価のリンカーを介して本発明のiRNA剤に結合されている。一部の実施形態では、GalNAcまたはGalNAc誘導体は、二価のリンカーを介して本発明のiRNA剤に結合されている。本発明のさらに他の実施形態では、GalNAcまたはGalNAc誘導体は、三価のリンカーを介して本発明のiRNA剤に結合されている。
一実施形態では、本発明の二本鎖RNAi剤は、iRNA剤に結合された1つのGalNAcまたはGalNAc誘導体を含む。別の実施形態では、本発明の二本鎖RNAi剤は、各々独立に複数の一価のリンカーによって二本鎖RNAi剤の複数のヌクレオチドに結合された複数の(例えば、2、3、4、5、または6つの)GalNAcまたはGalNAc誘導体を含む。
一部の実施形態では、例えば、本発明のiRNA剤の2本の鎖が、一方の鎖の3’末端とそれぞれの他方の鎖の5’末端との間で分断されていないヌクレオチド鎖によってつながることにより、複数の対を成さないヌクレオチドを含むヘアピンループを形成する1つのより大きい分子の一部であるとき、ヘアピンループ内にある対を成さないヌクレオチドの各々は、独立に、一価のリンカーを介して結合されたGalNAcまたはGalNAc誘導体を含み得る。ヘアピンループはまた、二重鎖の一方の鎖における延長したオーバーハングによって形成されてもよい。
一部の実施形態では、炭水化物複合体は、PK調節因子および/または細胞透過性ペプチドなどであるが、これに限定されるものではない、上述の1つ以上の追加的なリガンドをさらに含む。
本発明での使用に好適なさらに別の炭水化物複合体(リンカー)としては、それぞれの内容全体を参照によって本明細書に援用する、国際公開第2014/179620号および同第2014/179627号パンフレットに記載されているものがある。
D.リンカー
一部の実施形態では、本明細書に記載される複合体またはリガンドは、切断可能または切断不能であり得る様々なリンカーにより、iRNAオリゴヌクレオチドに付着し得る。
「リンカー」または「連結基」という用語は、例えば化合物の2つの部分に共有結合するなど、化合物の2つの部分を結合する有機部分を意味する。リンカーは、典型的に、直接結合、または酸素またはイオウなどの原子、NR8、C(O)、C(O)NH、SO、SO2、SO2NHなどの単位、または置換または非置換アルキル、置換または非置換アルケニル、置換または非置換アルキニル、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキニル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロシクリルアルケニル、ヘテロシクリルアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルキルアリールアルキル、アルキルアリールアルケニル、アルキルアリールアルキニル、アルケニルアリールアルキル、アルケニルアリールアルケニル、アルケニルアリールアルキニル、アルキニルアリールアルキル、アルキニルアリールアルケニル、アルキニルアリールアルキニル、アルキルヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールアルケニル、アルキルヘテロアリールアルキニル、アルケニルヘテロアリールアルキル、アルケニルヘテロアリールアルケニル、アルケニルヘテロアリールアルキニル、アルキニルヘテロアリールアルキル、アルキニルヘテロアリールアルケニル、アルキニルヘテロアリールアルキニル、アルキルヘテロシクリルアルキル、アルキルヘテロシクリルアルケニル、アルキルヘレロシクリルアルキニル(alkylhererocyclylalkynyl)、アルケニルヘテロシクリルアルキル、アルケニルヘテロシクリルアルケニル、アルケニルヘテロシクリルアルキニル、アルキニルヘテロシクリルアルキル、アルキニルヘテロシクリルアルケニル、アルキニルヘテロシクリルアルキニル、アルキルアリール、アルケニルアリール、アルキニルアリール、アルキルヘテロアリール、アルケニルヘテロアリール、アルキニルヘレロアリール(alkynylhereroaryl)などであるが、これに限定されるものではない原子鎖を含み、その1つ以上のメチレンは、O、S、S(O)、SO2、N(R8)、C(O)、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、置換または非置換複素環(式中、R8は水素、アシル、脂肪族または置換脂肪族である)によって中断されまたは終結され得る。一実施形態では、リンカーは、約1~24個の原子、2~24個の原子、3~24個の原子、4~24個の原子、5~24個の原子、6~24個の原子、6~18個の原子、7~18個の原子、7~17この原子、8~17個の原子、6~16個の原子、7~17個の原子、または8~16個の原子である。
切断可能連結基は、細胞外で十分に安定しているが、標的細胞への侵入時に切断されて、リンカーがつなぎ止めている2つの部分を放出するものである。好ましい実施形態では、切断可能連結基は、標的細胞中で、または第1の標準状態下(例えば、細胞内条件を模倣し、またはそれに相当するように選択し得る)で、対象の血中において、または第2の標準状態下(例えば、血中または血清に見られる条件を模倣し、またはそれに相当するように選択し得る)よりも、少なくとも約10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍以上、または少なくとも約100倍より迅速に切断される。
切断可能連結基は、例えばpH、酸化還元電位または分解性分子の存在などの切断作用物質の影響を受けやすい。一般に切断作用物質は、血清または血液中よりも細胞中でより一般的であり、またはより高いレベルまたは活性で見られる。このような分解性作用物質の例としては、例えば還元によって酸化還元切断可能連結基を分解し得る、細胞中に存在する、酸化または還元酵素またはメルカプタンなどの還元剤をはじめとする、特定の基質のために選択された、または基質特異性がない酸化還元剤;エステラーゼ;エンドソームまたは例えば5以下のpHをもたらすものなどの酸性環境をもたらし得る作用物質;一般酸、ペプチダーゼ(基質特異性であり得る)、およびホスファターゼとして作用することで、酸切断可能連結基を加水分解または分解し得る酵素が挙げられる。
ジスルフィド結合などの切断可能連結基は、pHに対する感受性が高くあり得る。ヒト血清のpHが7.4であるのに対し、細胞内平均pHはわずかにより低く、約7.1~7.3の範囲にわたる。エンドソームは、5.5~6.0の範囲のより酸性のpHを有し、リソソームは、約5.0のさらにより酸性のpHを有する。いくつかのリンカーは、好ましいpHで切断される切断可能連結基を有し、それによって細胞中のリガンドから、または細胞の所望の区画へ、カチオン性脂質が放出される。
リンカーは、特定の酵素によって切断可能な切断可能連結基を含み得る。リンカーに組み込まれる切断可能連結基のタイプは、標的とされる細胞に左右され得る。例えば、肝臓を標的化するリガンドは、エステル基を含むリンカーを通じてカチオン性脂質に連結され得る。肝細胞はエステラーゼに富み、したがってリンカーは、エステラーゼが豊富でない細胞型よりも、肝細胞中でより効率的に切断される。エステラーゼに富む他の細胞型としては、肺、腎皮質、および精巣の細胞が挙げられる。
ペプチド結合を含有するリンカーは、肝細胞および滑膜細胞などのペプチダーゼに富んだ細胞型を標的化する際に使用し得る。
一般に、切断可能連結基の候補の適合性は、候補連結基を切断する分解性作用物質(条件)の能力を検査することで評価し得る。切断可能連結基の候補は、血中において、または他の非標的組織との接触時に、切断に抵抗する能力についても検査することも望ましい。したがって、第1の条件が標的細胞中での切断を示すように選択され、第2の条件が他の組織または例えば血液または血清などの生体液中での切断を示すように選択される、第1および第2の条件間の切断の相対的感受性を判定し得る。評価は、無細胞系中、細胞中、細胞培養中、臓器または組織培養中、または全身の動物中で実施し得る。無細胞または培養条件で最初の評価を行い、全身の動物中でのさらなる評価によって確認することが有用なこともあり得る。好ましい実施形態では、有用な候補化合物は、血液または血清(または細胞外条件を模倣するように選択された生体外条件下)と比較して、細胞中(または細胞内条件を模倣するように選択された生体外条件下)で、少なくとも約2、4、10、20、30、40、50、60、70、80、90、または100倍より迅速に切断される。
i.酸化還元切断可能連結基
一実施形態では、切断可能連結基は、還元または酸化に際して切断される酸化還元切断可能連結基である。還元的切断可能連結基の一例は、ジスルフィド連結基(-S-S-)である。切断可能連結基候補が、適切な「還元的切断可能連結基」か、または例えば特定のiRNA部分および特定の標的作用物質と共に使用するのに適するかどうかを判定するために、本明細書に記載される方法に頼ることができる。例えば、候補は、例えば標的細胞などの細胞中で観察される切断速度を模倣する、当技術分野で公知の試薬を使用して、ジチオスレイトール(DTT)、または他の還元剤とのインキュベーションによって評価し得る。候補はまた、血液または血清条件を模倣するように選択される条件下で評価し得る。1つの候補化合物は、血中で最大で約10%切断される。他の実施形態では、有用な候補化合物は、血液(または細胞外条件を模倣するように選択された生体外条件下)と比較して、細胞中(または細胞内条件を模倣するように選択された生体外条件下)で、少なくとも約2、4、10、20、30、40、50、60、70、80、90または約100倍より迅速に分解される。候補化合物の切断速度は、細胞内媒体を模倣するように選択された条件下で標準酵素動態アッセイを使用して、細胞外媒体を模倣するように選択された条件と比較して判定し得る。
ii.リン酸ベースの切断可能連結基
別の実施形態では、切断可能なリンカーは、リン酸ベースの切断可能連結基を含む。リン酸ベースの切断可能連結基は、リン酸基を分解または加水分解する作用物質によって切断され得る。細胞中でリン酸基を切断する作用物質の一例は、細胞内のホスファターゼなどの酵素である。リン酸ベースの連結基の例は、-O-P(O)(ORk)-O-、-O-P(S)(ORk)-O-、-O-P(S)(SRk)-O-、-S-P(O)(ORk)-O-、-O-P(O)(ORk)-S-、-S-P(O)(ORk)-S-、-O-P(S)(ORk)-S-、-S-P(S)(ORk)-O-、-O-P(O)(Rk)-O-、-O-P(S)(Rk)-O-、-S-P(O)(Rk)-O-、-S-P(S)(Rk)-O-、-S-P(O)(Rk)-S-、-O-P(S)(Rk)-S-である。好ましい実施形態は、-O-P(O)(OH)-O-、-O-P(S)(OH)-O-、-O-P(S)(SH)-O-、-S-P(O)(OH)-O-、-O-P(O)(OH)-S-、-S-P(O)(OH)-S-、-O-P(S)(OH)-S-、-S-P(S)(OH)-O-、-O-P(O)(H)-O-、-O-P(S)(H)-O-、-S-P(O)(H)-O-、-S-P(S)(H)-O-、-S-P(O)(H)-S-、-O-P(S)(H)-S-である。好ましい実施形態は、-O-P(O)(OH)-O-である。これらの候補は、上述したものと類似の方法を使用して評価し得る。
iii.酸切断可能連結基
別の実施形態では、切断可能なリンカーは、酸切断可能連結基を含む。酸切断可能連結基は、酸性条件下で切断される連結基である。好ましい実施形態では、酸切断可能連結基は、pH約6.5以下(例えば、約6.0、5.75、5.5、5.25、5.0以下)の酸性環境内において、または一般酸として作用し得る酵素などの作用物質によって切断される。細胞内では、エンドソームおよびリソソームなどの特定の低pH細胞小器官が、酸切断可能連結基の切断環境を提供し得る。酸切断可能連結基の例としては、ヒドラゾン、エステル、およびアミノ酸エステルが挙げられるが、これに限定されるものではない。酸切断可能基は、一般式-C=NN-、C(O)O、または-OC(O)を有し得る。好ましい実施形態は、炭素がエステルの酸素に付着する場合(アルコキシ基)は、アリール基、置換アルキル基、またはジメチルペンチルまたはt-ブチルなどの三級アルキル基である。これらの候補は、上述したものと類似の方法を使用して評価し得る。
iv.エステルベースの連結基
別の実施形態では、切断可能なリンカーは、エステルベースの切断可能連結基を含む。エステルベースの切断可能連結基は、細胞内でエステラーゼおよびアミダーゼなどの酵素によって切断される。エステルベースの切断可能連結基の例としては、アルキレン、アルケニレン、およびアルキニレン基のエステルが挙げられるが、これに限定されるものではない。エステル切断可能連結基は、一般式-C(O)O-または-OC(O)-を有する。これらの候補は、上述したものと類似の方法を使用して評価し得る。
v.ペプチドベースの切断基
さらに別の実施形態では、切断可能なリンカーは、ペプチドベースの切断可能連結基を含む。ペプチドベースの切断可能連結基は、細胞内で、ペプチダーゼおよびプロテアーゼなどの酵素によって切断される。ペプチドベースの切断可能連結基は、アミノ酸の間に形成されて、オリゴペプチド(例えば、ジペプチド、トリペプチドなど)およびポリペプチドを生じる、ペプチド結合である。ペプチドベースの切断可能基には、アミド基(-C(O)NH-)は含まれない。アミド基は、あらゆるアルキレン、アルケニレンまたはアルキネレン(alkynelene)間に形成され得る。ペプチド結合は、アミノ酸の間に形成されて、ペプチドおよびタンパク質を生じる特殊なタイプのアミド結合である。ペプチドベースの切断基は、一般にアミノ酸の間に形成されて、ペプチドおよびタンパク質を生じるペプチド結合(すなわちアミド結合)に限定され、アミド官能基全体は含まない。ペプチドベースの切断可能連結基は、一般式-NHCHRAC(O)NHCHRBC(O)-を有し、式中、RAおよびRBは2つの隣接するアミノ酸のR基である。これらの候補は、上述したものと類似の方法を使用して評価し得る。
一実施形態では、本発明のiRNAは、リンカーを通じて炭水化物と共役されている。本発明の組成物および方法のリンカーを有するiRNA炭水化物複合体の非限定的な例としては、限定はされないが、
(XまたはYの一方がオリゴヌクレオチドであるとき、他方は水素である)が挙げられる。
本発明の組成物および方法の特定の実施形態では、リガンドは、二価または三価の分枝リンカーを通じて付着する1つ以上のGalNAc(N-アセチルガラクトサミン)誘導体である。
一実施形態では、本発明のdsRNAは、式(XXXII)~(XXXV)、
(式中、
q2A、q2B、q3A、q3B、q4A、q4B、q5A、q5B、およびq5Cは、独立して、0~20の各出現を表し、反復単位は、同一であるかまたは異なり得;
P
2A、P
2B、P
3A、P
3B、P
4A、P
4B、P
5A、P
5B、P
5C、T
2A、T
2B、T
3A、T
3B、T
4A、T
4B、T
4A、T
5B、T
5Cは、各出現についてそれぞれ独立して、不在、CO、NH、O、S、OC(O)、NHC(O)、CH
2、CH
2NHまたはCH
2Oであり;
Q
2A、Q
2B、Q
3A、Q
3B、Q
4A、Q
4B、Q
5A、Q
5B、Q
5Cは、各出現についてそれぞれ独立して、不在、アルキレン、置換アルキレンであり、1つ以上のメチレンは、O、S、S(O)、SO
2、N(R
N)、C(R’)=C(R’’)、C≡CまたはC(O)の1つ以上によって中断または終結され得;
R
2A、R
2B、R
3A、R
3B、R
4A、R
4B、R
5A、R
5B、R
5Cは、存在毎に各々独立して、存在しないか、NH、O、S、CH
2、C(O)O、C(O)NH、NHCH(R
a)C(O)、-C(O)-CH(R
a)-NH-、CO、CH=N-O、
またはヘテロシクリルであり;
L
2A、L
2B、L
3A、L
3B、L
4A、L
4B、L
5A、L
5BおよびL
5Cはリガンドを表し;すなわち各出現についてそれぞれ独立して、単糖(GalNAcなど)、二糖類、三糖、四糖、オリゴ糖、または多糖類であり;R
aは、Hまたはアミノ酸側鎖である)のいずれかで示される構造群から選択される、二価または三価の分枝リンカーと共役されている。三価の共役GalNAc誘導体は、式(XXXVI)、
(式中、L
5A、L
5BおよびL
5Cは、GalNAc誘導体などの単糖を表す)などの標的遺伝子の発現を阻害するために、RNAi剤と共に使用するのに特に有用である。
GalNAc誘導体に共役された適切な二価および三価の分枝リンカー基の例としては、式II、VII、XI、X、およびXIIIとして、上で列挙された構造が挙げられるが、これに限定されるものではない。
RNA複合体の調製を教示する、代表的な米国特許としては、そのそれぞれの内容全体を参照によって本明細書によりここに援用する、米国特許第4,828,979号明細書;米国特許第4,948,882号明細書;米国特許第5,218,105号明細書;米国特許第5,525,465号明細書;米国特許第5,541,313号明細書;米国特許第5,545,730号明細書;米国特許第5,552,538号明細書;米国特許第5,578,717号明細書、米国特許第5,580,731号明細書;米国特許第5,591,584号明細書;米国特許第5,109,124号明細書;米国特許第5,118,802号明細書;米国特許第5,138,045号明細書;米国特許第5,414,077号明細書;米国特許第5,486,603号明細書;米国特許第5,512,439号明細書;米国特許第5,578,718号明細書;米国特許第5,608,046号明細書;米国特許第4,587,044号明細書;米国特許第4,605,735号明細書;米国特許第4,667,025号明細書;米国特許第4,762,779号明細書;米国特許第4,789,737号明細書;米国特許第4,824,941号明細書;米国特許第4,835,263号明細書;米国特許第4,876,335号明細書;米国特許第4,904,582号明細書;米国特許第4,958,013号明細書;米国特許第5,082,830号明細書;米国特許第5,112,963号明細書;米国特許第5,214,136号明細書;米国特許第5,082,830号明細書;米国特許第5,112,963号明細書;米国特許第5,214,136号明細書;米国特許第5,245,022号明細書;米国特許第5,254,469号明細書;米国特許第5,258,506号明細書;米国特許第5,262,536号明細書;米国特許第5,272,250号明細書;米国特許第5,292,873号明細書;米国特許第5,317,098号明細書;米国特許第5,371,241号明細書、米国特許第5,391,723号明細書;米国特許第5,416,203号明細書、米国特許第5,451,463号明細書;米国特許第5,510,475号明細書;米国特許第5,512,667号明細書;米国特許第5,514,785号明細書;米国特許第5,565,552号明細書;米国特許第5,567,810号明細書;米国特許第5,574,142号明細書;米国特許第5,585,481号明細書;米国特許第5,587,371号明細書;米国特許第5,595,726号明細書;米国特許第5,597,696号明細書;米国特許第5,599,923号明細書;米国特許第5,599,928および5,688,941号明細書;米国特許第6,294,664号明細書;米国特許第6,320,017号明細書;米国特許第6,576,752号明細書;米国特許第6,783,931号明細書;米国特許第6,900,297号明細書;米国特許第7,037,646号明細書、米国特許第8,106,022号明細書が挙げられるが、これに限定されるものではない。
所与の化合物中の全ての位置が一様に修飾される必要はなく、事実上、前述の修飾の2つ以上が、単一化合物中に、またはiRNA内の単一ヌクレオシド中にさえ、組み込まれ得る。本発明は、キメラ化合物であるiRNA化合物も含む。
「キメラ(chimeric)」iRNA化合物または「キメラ(chimera)」は、本発明の文脈で、それぞれ少なくとも1つのモノマー単位から、すなわちdsRNA化合物の場合にはヌクレオチドから構成される、2つ以上の化学的に異なる領域を含有するiRNA化合物、好ましくはdsRNAである。これらのiRNAは、典型的に、iRNAに、ヌクレアーゼ分解に対する耐性の増大、細胞内取り込みの増大、および/または標的核酸に対する結合親和性の増大を与えるように、RNAが修飾される少なくとも1つの領域を含有する。iRNAの追加的な領域が、RNA:DNAまたはRNA:RNAハイブリッドを切断できる、酵素基質の役割を果たしてもよい。一例として、RNase Hは、RNA:DNA二本鎖のRNA鎖を切断する細胞エンドヌクレアーゼである。したがって、RNase Hの活性化はRNA標的の切断をもたらし、それによって遺伝子発現のiRNA阻害効率を大幅に高める。その結果、同一標的領域とハイブリダイズするホスホロチオエートデオキシdsRNAと比較して、キメラdsRNAが使用される場合、より短いiRNAにより、比較できる結果が得られることが多い。RNA標的の切断は、ゲル電気泳動、および必要に応じて当技術分野で公知の関連核酸ハイブリダイゼーション技術によって慣例的に検出し得る。
場合により、iRNAのRNAは、非リガンド基によって修飾し得る。iRNAの活性、細胞分布または細胞内取り込みを高めるために、いくつかの非リガンド分子がiRNAに共役結合されており、このような共役結合を実施する手順は、学術文献で入手できる。このような非リガンド部分は、コレステロールなどの脂質部分(Kubo,T.et al.,Biochem.Biophys.Res.Comm.,2007,365(1):54-61;Letsinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1989,86:6553)、コール酸(Manoharan et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.,1994,4:1053)、例えばヘキシル-S-トリチルチオールなどのチオエーテル(Manoharan et al.,Ann.N.Y.Acad.Sci.,1992,660:306;Manoharan et al.,Bioorg.Med.Chem.Let.,1993,3:2765)、チオコレステロール(Oberhauser et al.,Nucl.Acids Res.,1992,20:533)、例えばドデカンジオールまたはウンデシル残基などの脂肪族鎖(Saison-Behmoaras et al.,EMBO J.,1991,10:111;Kabanov et al.,FEBS Lett.,1990,259:327;Svinarchuk et al.,Biochimie,1993,75:49)、例えばジ-ヘキサデシル-rac-グリセロールまたはトリエチルアンモニウム1,2-ジ-O-ヘキサデシル-rac-グリセロ-3-H-ホスホネートなどのリン脂質(Manoharan et al.,Tetrahedron Lett.,1995,36:3651;Shea et al.,Nucl.Acids Res.,1990,18:3777)、ポリアミンまたはポリエチレングリコール鎖(Manoharan et al.,Nucleosides&Nucleotides,1995,14:969)、またはアダマンタン酢酸(Manoharan et al.,Tetrahedron Lett.,1995,36:3651)、パルミチル部分(Mishra et al.,Biochim.Biophys.Acta,1995,1264:229)、またはオクタデシルアミンまたはヘキシルアミノ-カルボニル-オキシコレステロール部分(Crooke et al.,J.Pharmacol.Exp.Ther.,1996,277:923)を含む。このようなRNA複合体の調製を教示する代表的な米国特許は、上に列挙した。典型的な共役結合プロトコルは、配列の1つ以上の位置にアミノリンカーを有するRNAの合成を伴う。次に、適切なカップリングまたは活性化試薬を使用して、アミノ基を共役結合される分子と反応させる。共役結合反応は、溶液相中で、RNAが固体支持体になおも結合されている間に、またはRNA切断に続いて実施することができる。HPLCによるRNA複合体精製は、典型的に純粋な複合体を与える。
IV.発明のiRNAの送達
細胞、例えばヒト対象などの対象(例えば、SCAP関連障害、例えば、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、例えば、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を有する対象など、それを必要としている対象)内の細胞への本発明のiRNAの送達は、いくつもの異なる方法で達成することができる。例えば、送達は、試験管内または生体内のいずれかで、細胞を本発明のiRNAに接触させることで実施してもよい。生体内送達はまた、例えばdsRNAなどのiRNAを含む組成物を対象に投与することで直接実施してもよい。代案としては、生体内送達は、iRNAをコードして発現を誘導する、1つ以上のベクターを投与することで、間接的に実施してもよい。これらの代替案は、下でさらに考察される。
一般に、(試験管内または生体内で)核酸分子を送達するあらゆる方法が、本発明のiRNAで使用するために適応させ得る(例えば、その内容全体を参照によって本明細書に援用する、Akhtar S.and Julian RL.,(1992)Trends Cell.Biol.2(5):139-144および国際公開第94/02595号パンフレットを参照されたい)。生体内送達では、iRNA分子を送達するために検討すべき要素としては、例えば、送達分子の生物学的安定性、非特異的効果の防止、および標的組織中の送達分子の蓄積が挙げられる。iRNAの非特異的効果は、例えば組織内への直接注射または移植または製剤を局所投与するなどの局所投与によって最小化し得る。治療部位への局所投与は、作用物質の局所濃度を最大化し、そうしなければ作用物質によって害を被り得る、または作用物質を分解し得る、全身組織の作用物質への曝露を限定し、iRNA分子のより低い総用量での投与を可能にする。いくつかの研究は、iRNAが局所的に投与された場合に成功裏の遺伝子産物ノックダウンを示している。例えば、カニクイザルにおける硝子体内注射による(Tolentino,MJ.et al.,(2004)Retina 24:132-138)、およびマウスにおける網膜下注射による(Reich,SJ.et al.(2003)Mol.Vis.9:210-216)、VEGF dsRNAの眼内送達は、いずれも加齢黄斑変性の実験モデルで新血管形成を防止することを示した。加えて、マウスにおけるdsRNAの直接腫瘍内注射は、腫瘍体積を低下させ(Pille,J.et al.(2005)Mol.Ther.11:267-274)、腫瘍を有するマウスの生存期間を延長し得た(Kim,WJ.et al.,(2006)Mol.Ther.14:343-350;Li,S.et al.,(2007)Mol.Ther.15:515-523)。RNA干渉は、直接注射によるCNSへの(Dorn,G.et al.,(2004)Nucleic Acids 32:e49;Tan,PH.et al.(2005)Gene Ther.12:59-66;Makimura,H.et a.l(2002)BMC Neurosci.3:18;Shishkina,GT.,et al.(2004)Neuroscience 129:521-528;Thakker,ER.,et al.(2004)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.101:17270-17275;Akaneya,Y.,et al.(2005)J.Neurophysiol.93:594-602)、および鼻腔内投与による肺への(Howard,KA.et al.,(2006)Mol.Ther.14:476-484;Zhang,X.et al.,(2004)J.Biol.Chem.279:10677-10684;Bitko,V.et al.,(2005)Nat.Med.11:50-55)局所性送達の成功が示されている。疾患を治療するために、iRNAを全身的に投与するために、RNAは修飾され、または代案としては薬物送達系を使用して送達され得;いずれの方法も、生体内エンド-およびエキソ-ヌクレアーゼによるdsRNAの迅速な分解を防止するように作用する。RNAまたは薬学的担体の修飾はまた、標的組織へのiRNA組成物の標的化も可能にし得、望ましくない非特異的効果が回避される。コレステロールなどの親油性基の化学的結合によってiRNA分子を修飾し、細胞内取り込みを高め分解を防止し得る。例えば、親油性コレステロール部分に共役結合されたApoBに対抗するiRNAがマウスに全身注射され、肝臓および空腸の両方でapoB mRNAノックダウンがもたらされた(Soutschek,J.et al.,(2004)Nature 432:173-178)。iRNAのアプタマーへの共役結合は、前立腺がんのマウスモデルにおいて腫瘍増殖を抑制し、腫瘍退縮を媒介することが示されている。(McNamara,JO.et al.,(2006)Nat.Biotechnol.24:1005-1015)。代案の実施形態では、iRNAは、ナノ粒子、デンドリマー、ポリマー、リポソーム、またはカチオン性送達系などの薬物送達システムを使用して送達され得る。正に帯電したカチオン性送達系は、iRNA分子(負に帯電)の結合を容易にして、負に帯電した細胞膜における相互作用も高めて、細胞によるiRNAの効率的な取り込みを可能にする。カチオン性脂質、デンドリマー、またはポリマーは、iRNAに結合され、またはiRNAを包む小胞またはミセルを形成するように誘導され得る(例えば、Kim SH.et al.,(2008)Journal of Controlled Release 129(2):107-116を参照されたい)。小胞またはミセルの形成は、全身投与した際にiRNAの分解をさらに防止する。カチオン性iRNA複合体を作成して投与する方法は、十分に当業者の能力の範囲内である(例えば、その内容全体を参照によって本明細書に援用する、Sorensen,DR.,et al.(2003)J.Mol.Biol 327:761-766;Verma,UN.et al.,(2003)Clin.Cancer Res.9:1291-1300;Arnold,AS et al.,(2007)J.Hypertens.25:197-205を参照されたい)。iRNAの全身性送達に有用な薬物送達系のいくつかのの非限定的例としては、DOTAP(Sorensen,DR.,et al(2003),前出;Verma,UN.et al.,(2003),前出)、オリゴフェクトアミン(Oligofectamine)、“solid nucleicacid lipidparticles”(Zimmermann,TS.et al.,(2006)Nature 441:111-114)、カルジオリピン(Chien,PY.et al.,(2005)Cancer Gene Ther.12:321-328;Pal,A.et al.,(2005)Int J.Oncol.26:1087-1091)、ポリエチレンイミン(Bonnet ME.et al.,(2008)Pharm.Res.8月16日オンライン先行発表;Aigner,A.(2006)J.Biomed.Biotechnol.71659)、Arg-Gly-Asp(RGD)ペプチド(Liu,S.(2006)Mol.Pharm.3:472-487)、およびポリアミドアミン(Tomalia,DA.et al.,(2007)Biochem.Soc.Trans.35:61-67;Yoo,H.et al.,(1999)Pharm.Res.16:1799-1804)が挙げられる。一部の実施形態では、全身投与のために、iRNAはシクロデキストリンと複合体を形成する。iRNAおよびシクロデキストリンの投与方法および医薬組成物は、その内容全体を参照によって本明細書に援用する米国特許第7,427,605号明細書にある。
A.本発明のiRNAをコードするベクター
SCAP遺伝子標的化iRNAは、DNAまたはRNAベクターに挿入された転写単位から発現され得る(例えば、Couture,A,et al.,TIG.(1996),12:5-10;Skillern,A.,et al.国際公開第00/22113号パンフレット;Conrad、国際公開第00/22114号パンフレット;およびConrad、米国特許第6,054,299号明細書を参照されたい)。発現は、使用される特定のコンストラクトおよび標的組織または細胞型次第で、一過性(数時間から数週間程度)または持続性(数週間から数ヶ月以上)であり得る。これらの導入遺伝子は、組み込み型または非組み込み型ベクターであり得る、直鎖コンストラクト、環状プラスミド、またはウイルスベクターとして導入し得る。導入遺伝子はまた、それが染色体外プラスミドとして遺伝するのを可能にするよう構築し得る(Gassmann,et al.,(1995)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92:1292)。
個々のiRNA鎖または鎖群は、発現ベクター上のプロモータから転写され得る。2つの別個の鎖を発現させて、例えばdsRNAを生成させる場合、(例えば、形質移入または感染によって)2つの別個の発現ベクターを標的細胞に同時導入し得る。代案としては、そのいずれも同一発現プラスミド上に位置するプロモータにより、dsRNAの個々の鎖を転写し得る。一実施形態では、dsRNAは、dsRNAがステムループ構造を有するように、リンカーポリヌクレオチド配列によって連結される逆位反復ポリヌクレオチドとして発現される。
iRNA発現ベクターは、一般にDNAプラスミドまたはウイルスベクターである。真核生物細胞に適合し、好ましくは脊椎動物細胞に適合する発現ベクターを使用して、本明細書に記載されるiRNA発現のための組換えコンストラクトを生成し得る。真核細胞発現ベクターは当技術分野で周知であり、いくつかの商業的供給元から入手できる。典型的にこのようなベクターは、所望の核酸断片を挿入するための好都合な制限酵素認識部位を含有させて、提供される。iRNA発現ベクターの送達は、静脈内または筋肉内投与などによる全身投与、患者から外植された標的細胞への投与とそれに続く患者への再導入、または所望の標的細胞に導入できるようにするあらゆる別の手段などであり得る。
本明細書に記載される方法および組成物と共に利用し得るウイルスベクターシステムとしては、(a)アデノウイルスベクター;(b)レンチウイルスベクター、モロニーマウス白血病ウイルスなどをはじめとするが、これに限定されるものではないレトロウイルスベクター;(c)アデノ随伴ウイルスベクター;(d)単純ヘルペスウイルスベクター;(e)SV40ベクター;(f)ポリオーマウイルスベクター;(g)乳頭腫ウイルスベクター;(h)ピコルナウィルスベクター;(i)例えばワクシニアウイルスベクターなどのオルソポックス、または例えばカナリア痘または鶏痘などのアビポックスなどのポックスウイルスベクター;および(j)ヘルパー依存性またはガットレスアデノウイルスが挙げられるが、これに限定されるものではない。複製欠陥ウイルスも有利であり得る。異なるベクターは、細胞のゲノムに組み込まれ、または組み込まれない。コンストラクトは、必要に応じて、形質移入のためのウイルス配列を含み得る。代案としては、コンストラクトは、例えばEPVおよびEBVベクターなどのエピソーム複製ができるベクターに組み込まれ得る。iRNAの組換え発現のためのコンストラクトは、一般に、標的細胞中のiRNA発現を確実にするための、例えばプロモータ、エンハンサーなどの調節因子を必要とする。ベクターおよびコンストラクトについて考慮すべき他の点は当技術分野において公知である。
V.本発明の医薬組成物
本発明はまた、本発明のiRNAを含有する医薬組成物および製剤も含む。一実施形態では、本発明で提供されるのは、本明細書に記載されるiRNAと、薬学的に許容できる担体とを含有する医薬組成物である。本iRNAを含有する医薬組成物は、SCAP遺伝子の発現または活性に関連する疾患または障害、例えば、SCAP関連疾患、例えば、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、例えば、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の治療に有用である。
かかる医薬組成物は、送達方法に基づいて製剤化される。一例は、非経口送達を介した全身投与用、例えば、静脈内(IV)送達、筋肉内(IM)送達によるか、または皮下(subQ)送達用に製剤化される組成物である。別の例は、例えば、連続ポンプ注入によるなど、肝臓への注入による肝臓への直接送達用に製剤化された組成物である。
本発明の医薬組成物は、SCAP遺伝子の発現を阻害するのに十分な投薬量で投与され得る。一般に、本発明のiRNAの好適な用量は、レシピエントの体重1キログラム当たり1日約0.001~約200.0ミリグラムの範囲、概して体重1キログラム当たり1日約1~50mgの範囲であり得る。典型的には、本発明のiRNAの好適な用量は、約0.1mg/kg~約5.0mg/kg、好ましくは約0.3mg/kgおよび約3.0mg/kgの範囲であり得る。
反復投与レジメンは、定期的な、例えば、1日おき~1年ごとの治療量のiRNAの投与を含み得る。特定の実施形態では、iRNAは、約1ヵ月ごとから約3ヵ月ごと(すなわち、3ヵ月に約1回)に投与する。
最初の治療レジメン後、より低い頻度で治療薬を投与することができる。
医薬組成物は1日1回投与することができ、またはiRNAは、1日を通して適切な間隔を置いた2つ、3つ、またはそれを超えるサブ用量として、またはさらには制御放出製剤からの持続注入もしくは送達を用いて投与することができる。その場合、各サブ用量に含まれるiRNAは、対応して少なくして1日の総投薬量を達成しなければならない。投薬量単位はまた、例えば数日間にわたるiRNAの徐放をもたらす従来の徐放製剤を用いて、数日間にわたる送達用に化合物化することもできる。徐放製剤は当技術分野において周知であり、本発明の薬剤で用いられ得るような特定の部位への薬剤の送達に特に有用である。この実施形態では、投薬量単位は、対応する複数の1日用量を含有する。
他の実施形態では、医薬組成物の単回用量が長時間持続し得るため、後続の用量は3、4、または5日以下の間隔、または1、2、3、または4週間以下の間隔を置いて投与される。本発明の一部の実施形態では、本発明の医薬組成物の単回用量が週1回投与される。本発明の他の実施形態では、本発明の医薬組成物の単回用量が2ヵ月に1回投与される。
当業者は、限定はしないが、疾患または障害の重症度、以前の治療、対象の総体的な健康および/または年齢、ならびに存在する他の疾患をはじめとする特定の要因が、対象を効果的に治療するのに必要な用量およびタイミングに影響し得ることを理解するであろう。さらには、治療有効量の組成物による対象の治療は、単回治療または一連の治療を含み得る。本発明に包含される個々のiRNAについての有効投薬量および生体内半減期の推定は、本明細書の他の部分に記載されるとおり、従来の方法を用いて、または適切な動物モデルを用いた生体内試験に基づいて行うことができる。
マウス遺伝学の進歩により、SCAPの発現の低下から利益を受けるであろうSCAP関連障害など、様々なヒト疾患の研究用にいくつものマウスモデルが作成されている。かかるモデルは、iRNAの生体内試験および治療有効用量の決定に使用することができる。好適なマウスモデルは当技術分野において公知であり、例えば、肥満(ob)遺伝子に突然変異を含む肥満(ob/ob)マウス(Wiegman et al.,(2003)Diabetes,52:1081-1089);LDL受容体のホモ接合性ノックアウトを含むマウス(LDLR-/-マウス;Ishibashi et al.,(1993)J Clin Invest 92(2):883-893);食餌性アテローム性動脈硬化症マウスモデル(Ishida et al.,(1991)J.Lipid.Res.,32:559-568);およびヘテロ接合性リポタンパク質リパーゼノックアウトマウスモデル(Weistock et al.,(1995)J.Clin.Invest.96(6):2555-2568)が挙げられる。
本発明の医薬組成物は、局所性または全身性の治療が所望されるかどうかに応じてかつ治療領域次第で、いくつかの方法で投与し得る。投与は、局所(例えば、経皮パッチによる)、例えばネブライザーをはじめとする、粉末または煙霧剤の吸入または吹送による経肺;気管内、鼻腔内、経表皮および経皮、経口または非経口であってもよい。非経口投与としては、静脈内、動脈内、皮下、腹腔内または筋肉内注射または点滴;例えば埋め込みデバイスを通じた真皮下投与;または例えば脳実質内、クモ膜下腔内または脳室内などの頭蓋内投与が挙げられる。
iRNAは、肝臓(例えば、肝臓の実質細胞)などの特定組織を標的化する様式で、送達され得る。
局所投与のための医薬組成物および製剤としては、経皮パッチ、軟膏、ローション、クリーム、ゲル、ドロップ、坐薬、スプレー、液体、および粉末が挙げられる。従来の薬学的担体、水性、粉末または油性基剤、増粘剤などが、必要でありまたは望ましい可能性もある。被覆コンドーム、手袋なども有用であり得る。適切な局所製剤としては、その中で、本発明で取り上げるiRNAが、脂質、リポソーム、脂肪酸、脂肪酸エステル、ステロイド、キレート化作用物質、および界面活性剤などの局所送達作用物質との混和材料中にあるものが挙げられる。適切な脂質およびリポソームとしては、中性(例えば、ジオレオイルホスファチジルDOPEエタノールアミン、ジミリストイルホスファチジルコリンDMPC、ジステアロリホスファチジル(distearolyphosphatidyl)コリン)、陰性(例えば、ジミリストイルホスファチジルグリセロールDMPG)およびカチオン性(例えば、ジオレオイルテトラメチルアミノプロピルDOTAPおよびジオレオイルホスファチジルエタノールアミンDOTMA)が挙げられる。本発明で取り上げるiRNAは、リポソーム内にカプセル化されることができ、またはそれと、特にカチオン性リポソームと、複合体形成することができる。代案としては、iRNAは、脂質、特にカチオン性脂質と複合体形成することができる。適切な脂肪酸およびエステルとしては、アラキドン酸、オレイン酸、エイコサン酸、ラウリン酸、カプリル酸、カプリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、ジカプレート、トリカプレート、モノオレイン、ジラウリン、グリセリル1-モノカプレート、1-ドデシルアザシクロヘプタン-2-オン、アシルカルニチン、アシルコリン、またはC1~20アルキルエステル(例えば、イソプロピルミリスチン酸IPM)、モノグリセリド、ジグリセリド、または薬学的に許容可能なその塩が挙げられるが、これに限定されるものではない。局所製剤は、参照によって本明細書に援用する、米国特許第6,747,014号明細書に詳述される。
A.膜様分子アセンブリーを含むiRNA製剤
本発明の組成物および方法で使用されるiRNAは、例えばリポソームまたはミセルなどの膜様分子アセンブリー内の送達のために調合し得る。本明細書の用法では、「リポソーム」という用語は、例えば1つの二重層以上の二重層など、少なくとも1つの二重層に配列された両親媒性脂質から構成される小胞を指す。リポソームは、親油性材料と水性内部から形成される膜を有する、単層のまたは多重膜小胞を含む。水性部分は、iRNA組成物を含有する。親油性材料は、水性内部を水性外部から隔離し、水性外部は、典型的にiRNA組成物を含まないが、場合により含んでもよい。リポソームは、活性成分の作用部位への移行と送達のために有用である。リポソーム膜は生体膜と構造的に類似するため、リポソームを組織に適用すると、リポソーム性二重層は細胞膜の二重層と融合する。リポソームと細胞の融合が進行するにつれて、iRNAを含む内部水性内容物が細胞内に送達され、そこではiRNAが標的RNAに特異的に結合し得、RNAiを媒介し得る。場合により、リポソームも特異的に標的化され、例えばiRNAを特定の細胞型に誘導する。
RNAi剤を含有するリポソームは、多様な方法によって調製し得る。一例では、リポソームの脂質成分は、脂質成分なしでミセルが形成されるように、洗剤に溶解される。例えば、脂質成分は、両親媒性カチオン性脂質または脂質複合体であり得る。洗剤は、高い臨界ミセル濃度を有し得、非イオン性であってもよい。例示的な洗剤としては、コール酸、CHAPS、オクチルグルコシド、デオキシコール酸、およびラウロイルサルコシンが挙げられる。次に、RNAi剤調製物は、脂質成分を含むミセルに添加される。脂質上のカチオン基はRNAi剤と相互作用して、RNAi剤周囲で凝縮してリポソームを形成する。凝縮後、例えば透析によって洗剤を除去し、RNAi剤のリポソーム調製物を得る。
必要に応じて、例えば凝縮を促進する担体化合物を、制御された添加によって縮合反応中に添加し得る。例えば、担体化合物は、核酸以外のポリマー(例えば、スペルミンまたはスペルミジン)であり得る。pHも調節して凝縮を支援し得る。
送達ビヒクルの構造的構成要素としてポリヌクレオチド/カチオン性脂質複合体を組み込む、安定したポリヌクレオチド送達ビヒクルを生成する方法は、例えばその内容全体を参照によって本明細書に援用する、国際公開第96/37194号パンフレットにさらに記載される。リポソーム形成は、Felgner,P.L.et al.,(1987)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 8:7413-7417;米国特許第4,897,355号明細書;米国特許第5,171,678号明細書;Bangham et al.,(1965)M.Mol.Biol.23:238;Olson et al.,(1979)Biochim.Biophys.Acta 557:9;Szoka et al.,(1978)Proc.Natl.Acad.Sci.75:4194;Mayhew et al.,(1984)Biochim.Biophys.Acta 775:169;Kim et al.,(1983)Biochim.Biophys.Acta 728:339;およびFukunaga et al.,(1984)Endocrinol.115:757に記載される例示的な方法の1つ以上の態様も含み得る。送達ビヒクルとして使用される適切なサイズの脂質凝集体を調製する一般に使用される技術としては、超音波処理、および凍結解凍と押出の組合せが挙げられる(例えば、Mayer et al.,(1986)Biochim.Biophys.Acta 858:161を参照されたい)。一貫して小型(50~200nm)で比較的均一な凝集体が所望される場合、顕微溶液化を使用し得る(Mayhew et al.,(1984)Biochim.Biophys.Acta 775:169)。これらの方法は、リポソーム内のRNAi剤調製品の詰め込みに容易に適応される。
リポソームは、2つの大まかなクラスに分類される。カチオン性リポソームは、負に帯電した核酸分子と相互作用して安定した複合体を形成する、正に帯電したリポソームである。正に帯電した核酸/リポソーム複合体は、負に帯電した細胞表面に結合してエンドソーム内部に取り入れられる。エンドソーム内の酸性pHのためにリポソームは破裂して、それらの内容物を細胞質内へ放出する(Wang et al.(1987)Biochem.Biophys.Res.Commun.,147:980-985)。
pH感受性または負電荷のリポソームは、核酸と複合体を形成せず、むしろそれらを封入する。核酸と脂質は、いずれも同様の荷電を持つため、複合体形成ではなく反発が起きる。それでもなおいくらかの核酸は、これらのリポソームの水性内部に封入される。pH感受性リポソームは、培養中で、チミジンキナーゼ遺伝子をコードする核酸を細胞単層に送達するのに使用されている。外来性遺伝子の発現は、標的細胞内で検出された(Zhou et al.(1992)Journal of Controlled Release,19:269-274)。
1つの主要タイプのリポソーム組成物は、天然由来ホスファチジルコリン以外に、リン脂質を含む。例えば、中性リポソーム組成物は、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)またはジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)から形成され得る。アニオン性リポソーム組成物が、一般にジミリストイルホスファチジルグリセロールから形成されるのに対し、アニオン性融合性リポソームは、主にジオレオイルスファチジルエタノールアミン(DOPE)から形成される。別のタイプのリポソーム組成物は、例えばダイズPC、および卵PCなどのホスファチジルコリン(PC)から形成される。別のタイプは、リン脂質および/またはホスファチジルコリンおよび/またはコレステロールの混合物から形成される。
試験管内および生体内でリポソームを細胞内に導入する他の方法の例としては、米国特許第5,283,185号明細書;米国特許第5,171,678号明細書;国際公開第94/00569号パンフレット;国際公開第93/24640号パンフレット;国際公開第91/16024号パンフレット;Felgner,(1994)J.Biol.Chem.269:2550;Nabel,(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.90:11307;Nabel,(1992)Human Gene Ther.3:649;Gershon,(1993)Biochem.32:7143;およびStrauss,(1992)EMBO J.11:417が挙げられる。
非イオン性リポソーム系、特に非イオン性界面活性剤とコレステロールを含む系が研究され、皮膚への薬剤送達におけるそれらの効用が判定されている。Novasome(商標)I(ジラウリン酸グリセリル/コレステロール/ポリオキシエチレン-10-ステアリルエーテル)およびNovasome(商標)II(ジステアリン酸グリセリル/コレステロール/ポリオキシエチレン-10-ステアリルエーテル)を含む非イオン性リポソーム製剤を使用して、マウス皮膚真皮内へシクロスポリンAが送達された。結果は、このような非イオン性リポソーム系が、皮膚の異なる層内へのシクロスポリンAの沈着を容易にする上で、効果的であることを示唆した(Hu et al.,(1994)S.T.P.Pharma.Sci.,4(6):466)。
リポソームはまた、「立体的安定化」リポソームを含み、この用語は本明細書の用法では、1つ以上の特殊化された脂質を含むリポソームを指し、それは、リポソーム中に組み込まれると、このような特殊化された脂質を欠くリポソームと比較して、改善された循環寿命をもたらす。立体的安定化リポソームの例は、その中で、リポソームの小胞形成脂質部分の一部が、(A)モノシアロガングリオシドGM1などの1つ以上の糖脂質を含み、または(B)ポリエチレングリコール(PEG)部分などの1つ以上の親水性ポリマーで誘導体化されているものである。いかなる特定の理論による拘束も望まないが、当技術分野では、少なくともガングリオシド、スフィンゴミエリン、またはPEG誘導体化脂質を含有する立体的安定化リポソームでは、これらの立体的安定化リポソームの循環半減期の改善は、細網内皮系(RES)細胞への取り込み低下に由来するものと考えられる(Allen et al.,(1987)FEBS Letters,223:42;Wu et al.,(1993)Cancer Research,53:3765)。
1つ以上の糖脂質を含む様々なリポソームが、当技術分野で公知である。Papahadjopoulosら(Ann.N.Y.Acad.Sci.,(1987),507:64)は、モノシアロガングリオシドGM1、ガラクトセレブロシドサルフェートおよびホスファチジルイノシトールが、リポソームの血液半減期を改善する能力を報告した。これらの知見は、Gabizonら(Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,(1988),85,:6949)によって詳しく説明された。いずれもAllenらに付与された、米国特許第4,837,028号明細書および国際公開第88/04924号パンフレットは、(1)スフィンゴミエリンと、(2)ガングリオシドGM1またはガラクトセレブロシド硫酸エステルとを含む、リポソームを開示する。米国特許第5,543,152号明細書(Webbら)は、スフィンゴミエリンを含むリポソームを開示する。1,2-sn-ジミリストイルホスファチジルコリンを含むリポソームは、国際公開第97/13499号パンフレット(Limら)で開示される。
一実施形態では、カチオン性リポソームが使用される。カチオン性リポソームは、細胞膜に融合できる利点を有する。非カチオン性リポソームは、原形質膜と効率的に融合できないが、生体内でマクロファージに取り込まれ、RNAi剤をマクロファージに送達するのに使用され得る。
リポソームのさらなる利点としては、以下が挙げられる。天然リン脂質から得られるリポソームは、生体適合性かつ生分解性であり;リポソームには、幅広い水および脂質可溶性薬剤を組み込み得;リポソームは、それらの内部区画にカプセル化されたRNAi剤を代謝および分解から保護し得る(Rosoff,“Pharmaceutical Dosage Forms,”Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,volume 1,p.245)。リポソーム製剤の調製における重要な考察は、リポソームの脂質表面電荷、小胞サイズ、および水性容量である。
正に帯電した合成カチオン性脂質であるN-[1-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル]-N,N,N-トリメチルアンモニウム塩化物(DOTMA)を使用して、小型リポソームを形成し得、それは核酸と自然発生的に相互作用して、組織培養細胞の細胞膜の負に帯電した脂質と融合できる脂質-核酸複合体を形成し、RNAi剤送達をもたらす(DOTMAおよびそのDNAとの併用の説明については、例えばFelgner,P.L.et al.,(1987)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 8:7413-7417および米国特許第4,897,355号明細書を参照されたい)。
DOTMA類似体である1,2-ビス(オレオイルオキシ)-3-(トリメチルアンモニア)プロパン(DOTAP)をリン脂質と組み合わせて使用し、DNA錯化小胞を形成し得る。リポフェクチン(商標)Bethesda Research Laboratories,Gaithersburg,Md.)は、生体組織培養細胞に、高アニオン性核酸を送達するための効果的薬剤であり、それは負に帯電したポリヌクレオチドと自然発生的に相互作用して複合体を形成する、正に帯電したDOTMAリポソームを含む。十分に正に帯電したリポソームを使用すれば、得られる複合体上の正味電荷も正である。このようにして調製された正に帯電した複合体は、負に帯電した細胞表面に自然発生的に付着して、原形質膜と融合し、例えば組織培養細胞内に機能性核酸を効率的に送達する。別の市販のカチオン性脂質、1,2-ビス(オレオイルオキシ)-3,3-(トリメチルアンモニア)プロパン(「DOTAP」)(Boehringer Mannheim,Indianapolis,Indiana)は、オレオイル部分がエーテル結合でなくエステルによって結合されることで、DOTMAと異なる。
他の報告されたカチオン性脂質化合物としては、2つの脂質タイプの1つと共役されたカルボキシスペルミンをはじめとする、多様な部分と共役されているものが挙げられ、例えば、5-カルボキシスペルミルグリシンジオクタオレオイルアミド(「DOGS」)(Transfectam(商標),Promega,Madison,Wisconsin)およびジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン5-カルボキシスペルミル-アミド(「DPPES」)などの化合物が挙げられる(例えば、米国特許第5,171,678号明細書を参照されたい)。
別のカチオン性脂質複合体は、DOPEと組み合わされてリポソームに調合されているコレステロール(「DC-Chol」)による、脂質の誘導体化を含む(Gao,X.and Huang,L.,(1991)Biochim.Biophys.Res.Commun.179:280を参照されたい)。ポリリジンをDOPEに共役させて生成されるリポポリリジンが、血清存在下における形質移入に効果的であると報告されている(Zhou,X.et al.,(1991)Biochim.Biophys.Acta 1065:8)。特定の細胞系では、共役されたカチオン性脂質を含有するこれらのリポソームは、DOTMA含有組成物より低い毒性を示し、より効率的な形質移入を提供すると言われている。他の市販のカチオン性脂質製品としては、DMRIEおよびDMRIE-HP(Vical,La Jolla,California)、およびリポフェクタミン(DOSPA)(Life Technology,Inc.,Gaithersburg,Maryland)が挙げられる。オリゴヌクレオチドの送達に適した他のカチオン性脂質は、国際公開第98/39359号パンフレットおよび国際公開第96/37194号パンフレットに記載される。
リポソーム製剤は局所投与に特に適しており、リポソームは他の製剤に優るいくつかの利点を示す。このような利点としては、投与薬剤の高い全身性吸収に関連した副作用の低下、所望標的における投与薬剤の蓄積増大、およびRNAi剤を皮膚内に投与する能力が挙げられる。いくつかの実装では、リポソームは、RNAi剤を表皮細胞に送達するのに、また例えば皮膚内などの皮膚組織内へのRNAi剤の浸透を高めるのに使用される。例えば、リポソームは、局所的に塗布し得る。リポソームとして調合された治療薬の皮膚への局所送達が、実証されている(例えば、Weiner et al.,(1992)Journal of Drug Targeting,vol.2,405-410およびdu Plessis et al.,(1992)Antiviral Research:18,259-265;Mannino,R.J.and Fould-Fogerite,S.,(1998)Biotechniques 6:682-690;Itani,T.et al.,(1987)Gene 56:267-276;Nicolau,C.et al.(1987)Meth.Enzymol.149:157-176;Straubinger,R.M.and Papahadjopoulos,D.(1983)Meth.Enzymol.101:512-527;Wang,C.Y.and Huang,L.,(1987)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:7851-7855を参照されたい)。
非イオン性リポソームシステム、特に非イオン性界面活性剤とコレステロールを含むシステムが研究され、皮膚への薬剤送達におけるそれらの効用が判定されている。Novasome I(ジラウリン酸グリセリル/コレステロール/ポリオキシエチレン-10-ステアリルエーテル)およびNovasome II(ジステアリン酸グリセリル/コレステロール/ポリオキシエチレン-10-ステアリルエーテル)を含む非イオン性リポソーム製剤が、マウスの皮膚の真皮内に薬剤を送達するのに使用された。RNAi剤を含むこのような製剤は、皮膚疾患を治療するのに有用である。
iRNAを含むリポソームは、高度に変形可能にし得る。このような変形能は、リポソームの平均半径よりも小さい孔を通り抜けて、リポソームが浸透できるようにし得る。例えば、トランスファーソームは、変形可能なリポソームの一種である。トランスファーソーム(Transferosome)は、通常、界面活性剤である表面エッジ活性化剤を標準リポソーム組成物に添加して作成し得る。RNAi剤を含むトランスファーソームは、皮膚内のケラチノサイトにRNAi剤を送達するために、例えば感染によって皮下送達し得る。無傷の哺乳類皮膚を越えるために、脂質小胞は、適切な経皮勾配の影響下で、それぞれ直径が50nm未満の一連の細孔を通過しなくてはならない。さらに、脂質特性のために、これらのトランスファーソームは、自己最適化し(例えば、皮膚孔の形状に適応する)、自己修復し得、断片化することなく頻繁にそれらの標的に到達し得、自己装填することが多い。
本発明を適用できる他の製剤は、2008年1月2日に出願された米国仮特許出願第61/018,616号明細書;2008年1月2日に出願された米国仮特許出願第61/018,611号明細書;2008年3月26日に出願された米国仮特許出願第61/039,748号明細書;2008年4月22日に出願された米国仮特許出願第61/047,087号明細書、および2008年5月8日に出願された米国仮特許出願第61/051,528号明細書に記載される。2007年10月3日に出願されたPCT出願PCT/US2007/080331号明細書も、本発明を適用できる製剤を記載する。
トランスファーソームはなおも別のタイプのリポソームであり、薬物送達ビヒクルのための魅力的な候補である、高度に変形可能な脂質凝集体である。トランスファーソームは、非常に高度に変形可能であるために、小滴よりも小さい孔を通じて容易に浸透できる脂肪滴と説明され得る。トランスファーソームは、それらが使用される環境に適応でき、例えばそれらは自己最適化し(皮膚孔形状に適応する)、自己修復し、しばしば断片化することなくそれらの標的に到達し、自己装填することが多い。トランスファーソームを作成するために、通常、界面活性剤である表面縁活性化剤を標準リポソーム組成物に添加することができる。トランスファーソームは、血清アルブミンを皮膚に送達するのに使用されている。血清アルブミンのトランスファーソーム媒介送達は、血清アルブミンを含有する溶液の皮下注射と同程度に、効果的であることが示されている。
界面活性剤には、(マイクロエマルションをはじめとする)エマルションおよびリポソームなどの製剤における、幅広い応用がある。天然および合成の両方の多数の異なる界面活性剤型の特性の分類および格付けの最も一般的な方法は、親水性/親油性バランス(HLB)の使用による。親水性基(「ヘッド」としても知られている)の性質は、製剤中で使用される異なる界面活性剤を分類する、最も有用な手段を提供する(Rieger,Pharmaceutical Dosage Forms,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,1988,p.285)。
界面活性剤分子がイオン化されない場合、それは非イオン性界面活性剤に分類される。非イオン性界面活性剤には、医薬および美容製品における幅広い用途があり、広いpH価範囲にわたって使用できる。一般にそれらのHLB値は、それらの構造に応じて2~約18の範囲である。非イオン性界面活性剤としては、エチレングリコールエステル、プロピレングリコールエステル、グリセリルエステル、ポリグリセリルエステル、ソルビタンエステル、スクロースエステル、およびエトキシル化エステルなどの非イオン性エステルが挙げられる。脂肪アルコールエトキシレート、プロポキシル化アルコールおよびエトキシル化/プロポキシル化ブロックポリマーなどの非イオン性アルカノールアミドおよびエーテルもこのクラスに含まれる。ポリオキシエチレン界面活性剤は、非イオン性界面活性剤クラスの最もよく見られる構成員である。
界面活性剤分子が、水への溶解または分散時に負電荷を保有する場合、界面活性剤はアニオン性に分類される。アニオン性界面活性剤としては、石鹸などのカルボン酸塩、ラクチル酸アシル、アミノ酸のアシルアミド、硫酸アルキルおよびエトキシル化硫酸アルキルなどの硫酸エステル、アルキルベンゼンスルホネートなどのスルホネート、イセチオン酸アシル、タウリン酸アシルおよびスルホコハク酸アシル、およびリン酸アシルが挙げられる。アニオン性界面活性剤クラスの最も重要な構成員は、硫酸アルキルおよび石鹸である。
界面活性剤分子が、水への溶解または分散時に正電荷を保有する場合、界面活性剤はカチオン性に分類される。カチオン性界面活性剤としては、四級アンモニウム塩およびエトキシル化アミンが挙げられる。四級アンモニウム塩が、このクラスで最もよく使用される構成員である。
界面活性剤分子が、陽性または陰性電荷のいずれかを有する能力を有する場合、界面活性剤は両性に分類される。両性界面活性剤としては、アクリル酸誘導体、置換アルキルアミド、N-アルキルベタイン、およびリン脂質が挙げられる。
医薬品、製剤中およびエマルション中の界面活性剤の使用については、概説されている(Rieger,Pharmaceutical Dosage Forms,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,1988,p.285)。
本発明の方法で使用されるiRNAはまた、ミセル製剤として提供し得る。「ミセル」は、その中で、分子の疎水性部分が全て内側を向き、親水性部分が周囲の水性相に接したままであるように、両親媒性分子が球状構造に配列される、特定タイプの分子アセンブリーと、本明細書で定義される。環境が疎水性であれば、逆の配置が存在する。
経皮膜を通じた送達に適した混合ミセル調合物は、siRNA組成物、アルカリ金属C8~C22アルキル硫酸塩、およびミセル形成化合物の水溶液を混合して、調製してもよい。例示的なミセル形成化合物としては、レシチン、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸の薬学的に許容可能な塩、グリコール酸、乳酸、カモミール抽出物、キュウリ抽出物、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、モノオレイン、モノオレアート、モノラウレート、ルリヂサ油、月見草油、メントール、トリヒドロキシオキソコラニルグリシンとその薬学的に許容可能な塩、グリセリン、ポリグリセリン、リジン、ポリリジン、トリオレイン、ポリオキシエチレンエーテルおよびその類似体、ポリドカノールアルキルエーテルおよびその類似体、ケノデオキシコール酸、デオキシコール酸、およびそれらの混合物が挙げられる。ミセル形成化合物は、アルカリ金属アルキル硫酸塩の添加と同時に、またはその後に添加してもよい。混合ミセルは、成分を実質的にどのように混合しても形成するが、より小型のミセルを提供するために激しく混合される。
一方法では、siRNA組成物と、少なくともアルカリ金属アルキル硫酸塩とを含有する、第1のミセル組成物が調製される。次に、第1のミセル組成物は、少なくとも3つのミセル形成化合物と混合されて、混合ミセル組成物が形成する。別の方法では、ミセル組成物は、siRNA組成物、アルカリ金属アルキル硫酸塩、および少なくとも1つのミセル形成化合物を混合して調製され、激しい混合を伴う残りのミセル形成化合物の添加がそれに続く。
フェノールおよび/またはm-クレゾールを混合ミセル組成物に添加して、調合物を安定化し、細菌増殖から保護してもよい。代案としては、ミセル形成成分と共に、フェノールおよび/またはm-クレゾールを添加してもよい。グリセリンなどの等張剤も混合ミセル組成物形成後に添加してもよい。
ミセル調合物を噴霧として送達するために、調合物を煙霧剤計量分配装置に入れて、計量分配装置に噴霧剤を装填し得る。加圧下にある噴霧剤は、計量分配装置内で液体形態である。成分の比率は、水性相と噴霧剤相が1つになるように、すなわち1つの相になるように調節される。2つの相がある場合、例えば定量バルブを通じて内容物の一部を分散する前に、計量分配装置を振盪する必要がある。医薬品の分注用量は、定量バルブから精微噴霧で噴射される。
噴霧剤としては、水素含有クロロフルオロカーボン、水素含有フルオロカーボン、ジメチルエーテル、およびジエチルエーテルが挙げられる。特定の実施形態では、HFA 134a(1,1,1,2ーテトラフルオロエタン)を使用してもよい。
必須成分の特定濃度は、比較的簡単な実験法によって判定し得る。口腔を通じた吸収のために、注射を通じた用量、または胃腸管を通じた投与の例えば少なくとも2倍または3倍に増大させることが、往々にして望ましい。
B.脂質粒子
例えば、本発明のdsRNAなどのiRNAは、例えば、LNP、または他の核酸-脂質粒子などの脂質製剤中に完全にカプセル化してしてもよい。
本明細書で使用されるとき、用語「LNP」は安定核酸-脂質粒子を指す。LNPは、典型的に、カチオン性脂質、非カチオン性脂質、および粒子の凝集を妨げる脂質(例えば、PEG脂質複合体)を含有する。LNPは、静脈内(i.v.)注射に続いて長期循環寿命を示し、遠位部位(例えば、部位投与から物理的に離れた部位)に蓄積するため、全身的用途のために極めて有用である。LNPとしては、国際公開第00/03683号パンフレットに記載のカプセル化縮合剤-核酸複合体を含む「pSPLP」が挙げられる。本発明の粒子は、典型的に約50nm~約150nm、より典型的に約60nm~約130nm、より典型的に約70nm~約110nm、最も典型的に約70nm~約90nmの平均径を有して、実質的に無毒である。加えて、本発明の核酸-脂質粒子中に存在する場合、核酸は、水溶液中でヌクレアーゼ分解耐性である。核酸-脂質粒子、およびそれらを調製する方法は、例えば米国特許第5,976,567号明細書;米国特許第5,981,501号明細書;米国特許第6,534,484号明細書;米国特許第6,586,410号明細書;米国特許第6,815,432号明細書;米国特許出願公開第2010/0324120号明細書;および国際公開第96/40964号パンフレットで開示される。
一実施形態では、脂質と薬剤の比率(質量/質量比)(例えば、脂質対dsRNA比)は、約1:1~約50:1、約1:1~約25:1、約3:1~約15:1、約4:1~約10:1、約5:1~約9:1、または約6:1~約9:1の範囲である。上記に引用した範囲の中間にある範囲も、本発明の一部と考えられる。
カチオン性脂質は、例えばN,N-ジオレイル-N,N-ジメチルアンモニウム塩化物(DODAC)、N,N-ジステアリル-N,N-ジメチルアンモニウム臭化物(DDAB)、N-(I-(2,3-ジオレオイルオキシ)プロピル)-N,N,N-トリメチルアンモニウム塩化物(DOTAP)、N-(I-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル)-N,N,N-トリメチルアンモニウム塩化物(DOTMA)、N,N-ジメチル-2,3-ジオレイルオキシ)プロピルアミン(DODMA)、1,2-ジリノレイルオキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(DLinDMA)、1,2-ジリノレニルオキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(DLenDMA)、1,2-ジリノレイルカルバモイルオキシ-3-ジメチルアミノプロパン(DLin-C-DAP)、1,2-ジリノレイオキシ(Dilinoleyoxy)-3-(ジメチルアミノ)アセトキシプロパン(DLin-DAC)、1,2-ジリノレイオキシ(Dilinoleyoxy)-3-モルホリノプロパン(DLin-MA)、1,2-ジリノレオイル-3-ジメチルアミノプロパン(DLinDAP)、1,2-ジリノレイルチオ-3-ジメチルアミノプロパン(DLin-S-DMA)、1-リノレオイル-2-リノレイルオキシ-3-ジメチルアミノプロパン(DLin-2-DMAP)、1,2-ジリノレイルオキシ-3-トリメチルアミノプロパン塩化物塩(DLin-TMA.Cl)、1,2-ジリノレオイル-3-トリメチルアミノプロパン塩化物塩(DLin-TAP.Cl)、1,2-ジリノレイルオキシ-3-(N-メチルピペラジノ)プロパン(DLin-MPZ)、または3-(N,N-ジリノレイルアミノ)-1,2-プロパンジオール(DLinAP)、3-(N,N-ジオレイルアミノ)-1,2-プロパンジオ(propanedio)(DOAP)、1,2-ジリノレイルオキソ-3-(2-N,N-ジメチルアミノ)エトキシプロパン(DLin-EG-DMA)、1,2-ジリノレニルオキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(DLinDMA)、2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノメチル-[1,3]-ジオキソラン(DLin-K-DMA)またはそのアナログ、(3aR,5s,6aS)-N,N-ジメチル-2,2-ジ((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル)テトラヒドロ-3aH-シクロペンタ[d][1,3]ジオキソール-5-アミン(ALN100)、(6Z,9Z,28Z,31Z)-ヘプタトリアコンタ-6,9,28,31-テトラエン-19-イル-4-(ジメチルアミノ)ブタン酸(MC3)、1,1’-(2-(4-(2-((2-(ビス(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)エチル)(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)エチル)ピペラジン-1-イル)エチルアザンジイル)ジドデカン-2-オール(Tech G1)、またはその混合物であり得る。カチオン性脂質は、粒子中に存在する総脂質の約20モル%~約50モル%または約40モル%を構成し得る。
別の実施形態では、化合物2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノエチル-[1,3]-ジオキソランを使用して、脂質-siRNAナノ粒子を作成し得る。2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノエチル-[1,3]-ジオキソランの合成は、参照によって本明細書に援用する、2008年10月23日に出願された米国仮特許出願第61/107,998号明細書に記載される。
一実施形態では、脂質-siRNA粒子は、40%の2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノエチル-[1,3]-ジオキソラン:10%のDSPC:40%のコレステロール:10%のPEG-C-DOMG(モル百分率)を含み、粒度63.0±20nmのおよびsiRNA/脂質比0.027である。
イオン性/非カチオン性脂質は、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジオレオイルホスファチジルグリセリン(DOPG)、ジパルミトイルホスファチジルグリセリン(DPPG)、ジオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC)、パルミトイルオレオイルホスファチジルエタノールアミン(POPE)、ジオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン-4-(N-マレイミドメチル)-シクロヘキサン-1-カルボン酸(DOPE-mal)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジミリストイルホスホエタノールアミン(DMPE),ジステアロイル-ホスファチジル-エタノールアミン(DSPE)、16-O-モノメチルPE、16-O-ジメチルPE、18-1-transPE、1-ステアロイル-2-オレオイル-ホスファチジエタノールアミン(SOPE)、コレステロール、またはその混合物をはじめとすることができるが、これに限定されるものではない、アニオン性脂質または中性脂質とすることもできる。コレステロールが含まれる場合、非カチオン性脂質は、粒子中に存在する総脂質の約5モル%~約90モル%、約10モル%、または約58モル%であり得る。
粒子凝集を阻害する共役結合脂質は、例えば限定なしに、PEG-ジアシルグリセロール(DAG)、PEG-ジアルキルオキシプロピル(DAA)、PEG-リン脂質、PEG-セラミド(Cer)をはじめとする、ポリエチレングリコール(PEG)-脂質、またはその混合物であり得る。PEG-DAA複合体は、例えばPEG-ジラウリルオキシプロピル(Ci2)、PEG-ジミリスチルオキシプロピル(Ci4)、PEG-ジパルミチルオキシプロピル(Ci6)、またはPEG-ジステアリルオキシプロピル(C]8)であり得る。粒子凝集を妨げる共役結合脂質は、粒子中に存在する総脂質の0モル%~約20モル%または約2モル%であり得る。
一部の実施形態では、核酸-脂質粒子は、例えば、粒子中に存在する総脂質の約10モル%~約60モル%または約48モル%のコレステロールをさらに含む。
一実施形態では、リピドイドND98・4HCl(MW 1487)(その内容を参照によって本明細書に援用する、2008年3月26日に出願された米国特許出願第12/056,230号明細書を参照されたい)、コレステロール(Sigma-Aldrich)、およびPEG-セラミドC16(Avanti Polar Lipids)を使用して、脂質-dsRNAナノ粒子(すなわちLNP01粒子)を作成し得る。エタノール中の各原液は、次のように調製し得る:ND98、133mg/ml;コレステロール、25mg/ml;PEG-セラミドC16、100mg/ml。次に、ND98、コレステロール、およびPEG-セラミドC16の原液を例えば42:48:10のモル比で合わせ得る。合わせた脂質溶液は、最終エタノール濃度が約35~45%で最終酢酸ナトリウム濃度が約100~300mMになるように、(例えば、pH5の酢酸ナトリウム中で)水性dsRNAと混合し得る。脂質-dsRNAナノ粒子は、典型的に、混合に際して自然発生的に形成する。所望の粒度分布次第で、結果として生じるナノ粒子混合物は、例えばLipex Extruder(Northern Lipids,Inc)などのサーモバレル押出機を使用して、ポリカーボネートメンブラン(例えば、100nmカットオフ)を通じて押出し得る。場合により、押出ステップは省き得る。エタノール除去および同時緩衝液交換は、例えば透析または接線流濾過によって達成し得る。緩衝液は、例えば約pH6.9、約pH7.0、約pH7.1、約pH7.2、約pH7.3、または約pH7.4など、約pH7のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で交換し得る。
LNP01製剤は、例えば参照によって本明細書に援用する、国際公開第2008/042973号パンフレットに記載される。
さらなる例示的脂質-dsRNA製剤を以下の表に記載する。
SNALP(1,2-ジリノレニルオキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(DLinDMA))を含む製剤は、参照によって本明細書に援用する、2009年4月15日に出願された、国際公開第2009/127060号パンフレットに記載される。
XTCを含む製剤は、国際公開第2010/088537号パンフレット(この内容は、全て本明細書によって参照により本明細書に援用する)に記載される。
MC3を含む製剤は、例えばその内容全体を参照によって本明細書に援用する、2010年6月10日に出願された、米国特許出願公開第2010/0324120号明細書に記載される。
ALNY-100を含む製剤は、国際公開第2010/054406号パンフレット(この内容は、全て本明細書によって参照により本明細書に援用する)に記載される。
C12-200を含む製剤は、国際公開第2010/129709号パンフレット(この内容は、全て本明細書によって参照により本明細書に援用する)に記載される。
経口投与のための組成物および製剤としては、粉末または顆粒、微小粒子、ナノ微粒子、水または非水性媒体中の懸濁液または溶液、カプセル、ゲルカプセル、サッシェ剤、錠剤またはミニ錠剤が挙げられる。増粘剤、着香剤、希釈剤、乳化剤、分散助剤またはバインダーが望ましい可能性がある。一部の実施形態では、経口製剤は、その中で本発明で取り上げるDsRNAが、1つ以上の浸透促進界面活性剤およびキレート化剤と併せて投与されるものである。適切な界面活性剤としては、脂肪酸および/またはエステルまたはそれらの塩、胆汁酸および/またはそれらの塩が挙げられる。適切な胆汁酸/塩としては、ケノデオキシコール酸(CDCA)およびウルソデオキシケノデオキシコール酸(UDCA)、コール酸、デヒドロコール酸、デオキシコール酸、グルコール酸、グリコール酸、グリコデオキシコール酸、タウロコール酸、タウロデオキシコール酸、タウロ-24,25-ジヒドロ-フシジン酸ナトリウム、およびグリコジヒドロフシジン酸ナトリウムが挙げられる。適切な脂肪酸としては、アラキドン酸、ウンデカン酸、オレイン酸、ラウリン酸、カプリル酸、カプリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、ジカプレート、トリカプレート、モノオレイン、ジラウリン、グリセリル1-モノカプレート、1-ドデシルアザシクロヘプタン-2-オン、アシルカルニチン、アシルコリン、またはモノグリセリド、ジグリセリド、または薬学的に許容可能なその塩(例えば、ナトリウム)が挙げられる。一部の実施形態では、例えば胆汁酸/塩と組み合わされた脂肪酸/塩などの浸透促進剤の組合せが使用される。1つの例示的組合せは、ラウリン酸、カプリン酸、およびUDCAのナトリウム塩である。浸透促進剤としては、さらにポリオキシエチレン-9-ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン-20-セチルエーテルが挙げられる。本発明で取り上げるDsRNAは、噴霧乾燥粒子をはじめとする顆粒形態で、経口的に送達されてもよく、または複合体化してマイクロまたはナノ粒子を形成してもよい。DsRNA複合化剤としては、ポリアミノ酸;ポリイミン;ポリアクリレート;アクリル酸ポリアルキル、ポリオキセタン、ポリアルキルシアノアクリル酸;カチオン化ゼラチン、アルブミン、デンプン、アクリレート、ポリエチレングリコール(PEG)およびデンプン;ポリアルキルシアノアクリル酸;DEAE誘導体化ポリイミン、プルラン(pollulan)、セルロースおよびデンプンが挙げられる。適切な複合化剤としては、キトサン、N-トリメチルキトサン、ポリ-L-リジン、ポリヒスチジン、ポリオルニチン、ポリスペルミン、プロタミン、ポリビニルピリジン、ポリチオジエチルアミノメチルエチレンP(TDAE)、ポリアミノスチレン(例えば、p-アミノ)、ポリ(メチルシアノアクリル酸)、ポリ(エチルシアノアクリル酸)、ポリ(ブチルシアノアクリル酸)、ポリ(イソブチルシアノアクリル酸)、ポリ(イソヘキシルシナオアクリル酸(isohexylcynaoacrylate))、DEAE-メタクリレート、DEAE-ヘキシルアクリレート、DEAE-アクリルアミド、DEAE-アルブミンおよびDEAE-デキストラン、ポリアクリル酸メチル、ポリヘキシルアクリレート、ポリ(D,L-乳酸)、ポリ(DL-乳酸‐コ‐グリコール酸(PLGA)、アルギン酸塩、およびポリエチレングリコール(PEG)が挙げられる。dsRNAの経口製剤およびそれらの調製は、そのそれぞれを参照によって本明細書に援用する、米国特許第6,887,906号明細書、米国特許出願公開第20030027780号明細書、および米国特許第6,747,014号明細書に詳細に記載される。
非経口、脳実質内(脳内)、クモ膜下腔内、脳室内または肝臓内投与のための組成物および製剤は無菌水溶液を含むことができ、それはまた、緩衝液と、希釈剤と、浸透促進剤、担体化合物、および他の薬学的に許容可能な担体または賦形剤などをはじめとするが、これに限定されるものではない他の適切な添加剤とを含有し得る。
本発明の医薬組成物としては、溶液、エマルション、およびリポソーム含有製剤.が挙げられるが、これに限定されるものではない。これらの組成物は、既製液体、自己乳化固体および自己乳化半固体をはじめとするが、これに限定されるものではない、多様な成分から生成され得る。肝臓がんなどの肝臓の障害を治療する場合、特に好ましいのは、肝臓を標的とする製剤である。
好都合には単位剤形で提示され得る本発明の医薬製剤は、製薬産業で周知の従来の技術に従って調製され得る。このような技術は、活性成分を薬学的担体または賦形剤に組み合わせるステップを含む。一般に、製剤は、活性成分を液体担体または超微粒子固体担体またはその両方と一様に密接に組み合わせ、次に、必要に応じて生成物を整形することで調製される。
本発明の組成物は、錠剤、カプセル、ゲルカプセル、液体シロップ、軟質ゲル、坐薬、および浣腸などであるが、これに限定されるものではない、多数の可能な剤形のいずれかに調合され得る。本発明の組成物は、また、水性、非水性または混合媒体中の懸濁液として調合され得る。水性懸濁液は、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトールおよび/またはデキストランをはじめとする、懸濁液の粘度を増大させる物質をさらに含有し得る。懸濁液は、安定剤も含有し得る。
C.追加的な製剤
i.エマルション
本発明の組成物は、エマルションとして調製し調合し得る。エマルションは、典型的に、通常、直径が0.1μmを超える小滴形態で、別の液体中に分散する1つの液体の不均一系である(例えば、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Allen,LV.,Popovich NG.,and Ansel HC.,2004,Lippincott Williams&Wilkins(8th ed.),New York,NY;Idson,Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.199;Rosoff,Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,Volume 1,p.245;Block in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 2,p.335;Higuchi et al.,Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,1985,p.301を参照されたい)。エマルションは、密接に混合して互いに分散する、2つの不混和性液体相を含む、二相性システムであることが多い。一般にエマルションは、油中水型(w/o)または水中油型(o/w)のいずれかであり得る。水性相がバルク油性相中に微細分散して、微小滴として分散される場合、得られた組成物は、油中水型(w/o)エマルションと称される。代案としては、油性相がバルク水性相中に微細分散して、微小滴として分散される場合、得られた組成物は、水中油型(o/w)エマルションと称される。エマルションは、分散相と、水性相および油性相いずれかの中の溶液として、またはそれ自体が別個の相として存在し得る活性薬剤とに加えて、追加的な成分を含有し得る。乳化剤、安定剤、染料、および抗酸化物質などの医薬品賦形剤はまた、必要に応じてエマルション中に存在し得る。医薬品エマルションはまた、例えば油中水中油(o/w/o)および水中油中水型(w/o/w)エマルションなどの場合、2つを超える相を含む複数エマルションであり得る。このような複合体製剤は、単純な二成分エマルションが提供しない、特定の利点を提供することが多い。その中でo/wエマルションの個々の油滴が小さい水滴を囲い込む複数エマルションは、w/o/wエマルションを構成する。同様に、水の小球中に封入されて、油性連続相内で安定化される油滴システムは、o/w/oエマルションを提供する。
エマルションは、熱力学的安定性がわずかまたは皆無であることによって特徴付けられる。頻繁に、エマルションの分散または不連続相は、外部または連続相内によく分散し、乳化剤または製剤粘度の手段を通じて、この形態に保たれる。エマルション様式の軟膏基剤およびクリームの場合のように、エマルション相のいずれかが、半固体または固体であり得る。エマルションを安定化する別の手段は、エマルション相のいずれかに組み込まれ得る、乳化剤の使用を伴う。乳化剤は、広義に4つのカテゴリー分類され得る:合成界面活性剤、天然乳化剤、吸収基剤、および微細分散固体(例えば、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Allen,LV.,Popovich NG.,and Ansel HC.,2004,Lippincott Williams&Wilkins(8th ed.),New York,NY;Idson,Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.199を参照されたい)。
表面活性剤としても知られている合成界面活性剤は、エマルション製剤において幅広い用途があり、文献で概説されている(例えば、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Allen,LV.,Popovich NG.,and Ansel HC.,2004,Lippincott Williams&Wilkins(8th ed.),New York,NY;Rieger,Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.285;Idson,Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,1988,volume 1,p.199を参照されたい)。界面活性剤は典型的に両親媒性であり、親水性および疎水性部分を含む。親水性と疎水性の比率は、界面活性剤の親水性/親油性バランス(HLB)と称され、製剤の調製において界面活性剤を分類し選択する上での有益な手段である。界面活性剤は、親水性基の性質に基づいて、異なるクラスに分類され得る:非イオン性、アニオン性、カチオン性、および両性(例えば、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Allen,LV.,Popovich NG.,and Ansel HC.,2004,Lippincott Williams&Wilkins(8th ed.),New York,NY Rieger,Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.285を参照されたい)。
エマルション製剤で使用される天然乳化剤としては、ラノリン、蜜蝋、リン脂質、レシチン、およびアカシアが挙げられる。無水ラノリンおよび親水性ペトロラタムなど、水を吸い上げてw/oエマルションを形成し得るような親水特性を有する吸収基剤は、なおもそれらの半固体粘稠度を維持する。微細分散固体はまた、優れた乳化剤として、特に界面活性剤と組み合わされて、粘稠な調製品中で使用されている。これらとしては、重金属水酸化物などの極性無機固体、ベントナイトなどの非膨張性粘土、アタパルガイト、ヘクトライト、カオリン、モンモリロナイト、ケイ酸アルミニウムのコロイドおよびケイ酸アルミニウムマグネシウムのコロイド、顔料、および炭素またはトリステアリン酸グリセリルなどの非極性固形分が挙げられる。
多岐にわたる非乳化材料もエマルション製剤に含まれて、エマルションの特性に寄与する。これらとしては、脂肪、油、ワックス、脂肪酸、脂肪アルコール、脂肪酸エステル、湿潤剤、親水性コロイド、保存料、および抗酸化剤が挙げられる(Block,Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.335;Idson,Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.199)。
親水性コロイドまたは親水コロイドとしては、多糖類(例えば、アカシア、寒天、アルギン酸、カラゲナン、グアーガム、カラヤガム、およびトラガカント)、セルロース誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロースおよびカルボキシプロピルセルロース)、および合成ポリマー(例えば、カルボマー、セルロースエーテル、およびカルボキシビニルポリマー)などの天然ガムおよび合成ポリマーが挙げられる。これらは水中に分散しまたは水中で膨張して、分散相小滴周囲に強力な界面膜を形成することで、および外部相の粘度を増大させることで、エマルションを安定化するコロイド溶液を形成する。
エマルションは、微生物の増殖を容易に支持し得る、炭水化物、タンパク質、ステロール、およびリン脂質などのいくつかの成分を含有することが多いため、これらの製剤には保存料が組み込まれることが多い。エマルション製剤に含まれる一般に使用される保存料としては、メチルパラベン、プロピルパラベン、四級アンモニウム塩、塩化ベンザルコニウム、p-ヒドロキシ安息香酸のエステル、およびホウ酸が挙げられる。抗酸化剤も、一般にエマルション製剤に添加されて製剤の劣化を防止する。使用される抗酸化剤は、トコフェロール、没食子酸アルキル、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエンなどのフリーラジカルスカベンジャー;またはアスコルビン酸およびメタ重亜硫酸ナトリウムなどの還元剤;およびクエン酸、酒石酸、およびレシチンなどの抗酸化剤共力剤であり得る。
皮膚、経口、および非経口経路を通じたエマルション製剤の適用と、それらを製造する方法については、文献で概説されている。(例えば、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Allen,LV.,Popovich NG.,and Ansel HC.,2004,Lippincott Williams&Wilkins(8th ed.),New York,NY;Idson,Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.199を参照されたい)。経口送達のためのエマルション製剤は、調合の容易さ、ならびに吸収および生物学的利用能の観点からの効率のために、非常に広く使用されている(例えば、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Allen,LV.,Popovich NG.,and Ansel HC.,2004,Lippincott Williams&Wilkins(8th ed.),New York,NY;Rosoff,Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.245;Idson,Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.199を参照されたい)。鉱物油ベースの緩下剤、油溶性ビタミン、および高脂肪栄養剤は、一般にo/wエマルションとして経口投与されている材料の一つである。
ii.マイクロエマルション
本発明の一実施形態では、iRNAと核酸の組成物は、マイクロエマルションとして調合される。マイクロエマルションは、単一の光学的に等方性で熱力学的に安定している溶液である、水、油、および両親媒性物質のシステムと定義され得る(例えば、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Allen,LV.,Popovich NG.,and Ansel HC.,2004,Lippincott Williams&Wilkins(8th ed.),New York,NY;Rosoff,Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.245を参照されたい)。典型的に、マイクロエマルションは、最初に油を水性界面活性剤溶液に分散して、次に一般に中間鎖長のアルコールである、十分な量の第4の成分を添加し、透明なシステムを形成することで、調製されるシステムである。したがって、マイクロエマルションは、界面活性分子の界面膜によって安定化された、2つの不混和性液体の熱力学的に安定した等方的に透明な分散体として記述されている(Leung and Shah,Controlled Release of Drugs:Polymers and Aggregate Systems,Rosoff,M.,Ed.,1989,VCH Publishers,New York,pages 185-215)。マイクロエマルションは、通常、油、水、界面活性剤、共界面活性剤、および電解質をはじめとする、3~5成分の組合せを通じて調製される。マイクロエマルションが、油中水型(w/o)または水中油型(o/w)であるかどうかは、使用される油および界面活性剤の特性と、界面活性剤分子の極性頭部および炭化水素尾部の構造および幾何学的充填とに左右される(Schott,Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,1985,p.271)。
状態図を利用した現象学的アプローチは、広範に研究されており、マイクロエマルションの調合法に関する包括的知識が、当業者にもたらされている(例えば、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Allen,LV.,Popovich NG.,and Ansel HC.,2004,Lippincott Williams&Wilkins(8th ed.),New York,NY;Rosoff,Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.245;Block,Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.335を参照されたい)。従来のエマルションと比較して、マイクロエマルションは、水不溶性薬剤を自然発生的に形成される熱力学的に安定した小滴の配合物に可溶化する利点を提供する。
マイクロエマルションの調製で使用される界面活性剤としては、単独のまたは共界面活性剤と組み合わされた、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、Brij 96、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリグリセロール脂肪酸エステル、テトラグリセロールモノラウレート(ML310)、テトラグリセロールモノオレアート(MO310)、ヘキサグリセロールモノオレアート(PO310)、ヘキサグリセロールペンタオレアート(PO500)、デカグリセロールモノカプレート(MCA750)、デカグリセロールモノオレエート(MO750)、デカグリセロールセキオレアート(sequioleate)(SO750)、デカグリセロールデカオレアート(DAO750)が挙げられるが、これに限定されるものではない。通常、エタノール、1-プロパノール、および1-ブタノールなどの短鎖アルコールである共界面活性剤は、界面活性剤塗膜に浸透することにより界面流動性を増大させるのに役立ち、その結果、界面活性剤分子間に生じる隙間に起因する不規則塗膜を作り出す。しかし、マイクロエマルションは、共界面活性剤の使用なしに調製され得、アルコール非含有自己乳化マイクロエマルション系は、当技術分野で公知である。水性相は、典型的に、水、薬剤水溶液、グリセロール、PEG300、PEG400、ポリグリセロール、プロピレングリコール、およびエチレングリコール誘導体であり得るが、これに限定されるものではない。油相としては、Captex 300、Captex 355、Capmul MCM、脂肪酸エステル、中鎖(C8~C12)モノ、ジ、およびトリ-グリセリド、ポリオキシエチル化グリセリル脂肪酸エステル、脂肪アルコール、ポリグリコール化(polyglycolized)グリセリド、飽和ポリグリコール化C8-C10グリセリド、植物油、およびシリコーン油などの材料が挙げられるが、これに限定されるものではない。
マイクロエマルションは、薬剤可溶化と薬剤吸収改善の観点から、特に興味深い。脂質ベースのマイクロエマルション(o/wおよびw/oの両方)が、ペプチドをはじめとする薬剤の経口バイオアベイラビリティを高めるために、提案されている(例えば、米国特許第6,191,105号明細書;米国特許第7,063,860号明細書;米国特許第7,070,802号明細書;米国特許第7,157,099号明細書;Constantinides et al.,Pharmaceutical Research,1994,11,1385-1390;Ritschel,Meth.Find.Exp.Clin.Pharmacol.,1993,13,205を参照されたい)。マイクロエマルションは、薬剤可溶化改善、酵素加水分解からの薬剤保護、界面活性剤が誘発する膜の流動性と透過度の変化に起因する予想される薬剤吸収増強、調製の容易さ、固体剤形に比べた経口投与の容易さ、臨床効力改善、および毒性低下の利点をもたらす(例えば、米国特許第6,191,105号明細書;米国特許第7,063,860号明細書;米国特許第7,070,802号明細書;米国特許第 7,157,099号明細書;Constantinides et al.,Pharmaceutical Research,1994,11,1385;Ho et al.,J.Pharm.Sci.,1996,85,138-143を参照されたい)。マイクロエマルションは多くの場合、それらの成分を周囲温度で一緒に合わせた場合に自然発生的に形成することができる。これは、熱不安定性薬剤、ペプチドまたはiRNAを調合する場合に特に有利となり得る。マイクロエマルションは、美容および医薬用途の両方で、活性成分の経皮送達に効果的であった。本発明のマイクロエマルション組成物および製剤は、iRNAおよび核酸の胃腸管からの全身性吸収の増大を容易にし、ならびにiRNAおよび核酸の局所性細胞内取り込みを改善することが期待される。
本発明のマイクロエマルションは、ソルビタンモノステアレート(Grill 3)、Labrasol、および浸透促進剤などの追加的な成分および添加剤も含有して、製剤の特性を改善し、本発明のiRNAおよび核酸の吸収を高め得る。本発明のマイクロエマルション中で使用される浸透促進剤は、界面活性剤、脂肪酸、胆汁酸塩、キレート化剤、および非キレート化非界面活性剤の5つの広義のカテゴリーの1つに属すると分類され得る(Lee et al.,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1991,p.92)。これらの各クラスについては、上で論じた。
iii.微粒子
本発明のRNAi剤は、例えば微粒子などの粒子に組み込まれてもよい。微粒子は、噴霧乾燥によって製造し得るが、それはまた、凍結乾燥、蒸発、流動床乾燥、真空乾燥、またはこれらの技術の組合せをはじめとする他の方法によって製造してもよい。
iv.浸透促進剤
一実施形態では、本発明は、様々な浸透促進剤を用いて、核酸、特にiRNAの動物皮膚への効率的な送達をもたらす。ほとんどの薬剤は、イオン化および非イオン化形態の両方で、溶液中に存在する。しかし、通常、脂質可溶性または親油性薬剤のみが、細胞膜を容易に通過する。通過する膜が浸透促進剤で処理されれば、非親油性薬剤でさえも細胞膜を通過し得ることが発見されている。細胞膜横切る非親油性薬剤の拡散を促進することに加えて、浸透促進剤はまた、親油性薬剤の透過性を高める。
浸透促進剤は、5つの広義のカテゴリー、すなわち界面活性剤、脂肪酸、胆汁酸塩、キレート化作用物質、および非キレート化非界面活性剤の1つに属すると、分類され得る(例えば、Malmsten,M.Surfactants and polymers in drug delivery,Informa Health Care,New York,NY,2002;Lee et al.,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1991,p.92を参照されたい)。前述の浸透促進剤の各クラスについては、以下でより詳しく説明される。
界面活性剤(または「表面活性剤」)は、水溶液に溶解すると、溶液の表面張力、または水溶液と別の液体との界面張力を低下させて、粘膜を通じたiRNA吸収の改善をもたらす、化学物質である。胆汁塩および脂肪酸に加えて、これらの浸透促進剤としては、例えばラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン-9-ラウリルエーテル、およびポリオキシエチレン-20-セチルエーテル)(例えば、Malmsten,M.Surfactants and polymers in drug delivery,Informa Health Care,New York,NY,2002;Lee et al.,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1991,p.92を参照されたい);およびFC-43などのペルフルオロ化合物エマルション.Takahashi et al.,J.Pharm.Pharmacol.,1988,40,252)が挙げられる。
浸透促進剤として作用する様々な脂肪酸およびそれらの誘導体としては、例えばオレイン酸、ラウリン酸、カプリン酸(n-デカン酸)、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、ジカプレート、トリカプレート、モノオレイン(1-モノオレオイル-rac-グリセロール)、ジラウリン、カプリル酸、アラキドン酸、グリセロール1-モノカプレート、1-ドデシルアザシクロヘプタン-2-オン、アシルカルニチン、アシルコリン、そのC1~20アルキルエステル(例えば、メチル、イソプロピル、およびt-ブチル)、およびそのモノ-およびジ-グリセリド(すなわちオレアート、ラウレート、カプレート、ミリステート、パルミテート、ステアレート、リノレアートなど)が挙げられる。(例えば、Touitou,E.,et al.Enhancement in Drug Delivery,CRC Press,Danvers,MA,2006;Lee et al.,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1991,p.92;Muranishi,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1990,7,1-33;El Hariri et al.,J.Pharm.Pharmacol.,1992,44,651-654を参照されたい)。
胆汁の生理学的役割としては、脂質および脂溶性ビタミンの分散および吸収の促進が挙げられる(例えば、Malmsten,M.Surfactants and polymers in drug delivery,Informa Health Care,New York,NY,2002;Brunton,Chapter 38,Goodman&Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics,9th Ed.,Hardman et al.Eds.,McGraw-Hill,New York,1996,pp.934-935を参照されたい)。様々な天然胆汁酸塩、およびそれらの合成誘導体が、浸透促進剤として作用する。したがって、「胆汁酸塩」という用語は、胆汁の天然成分のいずれかならびにそれらの合成誘導体のいずれかを含む。適切な胆汁酸塩としては、例えばコール酸(またはその薬学的に許容可能なナトリウム塩、コール酸ナトリウム)、デヒドロコール酸(デヒドロコール酸ナトリウム)、デオキシコール酸(デオキシコール酸ナトリウム)、グルコール酸(グルコール酸ナトリウム)、グリコール酸(グリココール酸ナトリウム)、グリコデオキシコール酸(グリコデオキシコール酸ナトリウム)、タウロコール酸(タウロコール酸ナトリウム)、タウロデオキシコール酸(タウロデオキシコール酸ナトリウム)、ケノデオキシコール酸(ケノデオキシコール酸ナトリウム)、ウルソデオキシコール酸(UDCA)、タウロ-24,25-ジヒドロ-フシジン酸ナトリウム(STDHF)、グリコジヒドロフシジン酸ナトリウム、およびポリオキシエチレン-9-ラウリルエーテル(POE)が挙げられる。(例えば、Malmsten,M.Surfactants and polymers in drug delivery,Informa Health Care,New York,NY,2002;Lee et al.,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1991,page 92;Swinyard,Chapter 39,Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Ed.,Gennaro,ed.,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,1990,pages 782-783;Muranishi,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1990,7,1-33;Yamamoto et al.,J.Pharm.Exp.Ther.,1992,263,25;Yamashita et al.,J.Pharm.Sci.,1990,79,579-583を参照されたい)。
本発明との関連で使用されるキレート化剤は、金属イオンと複合体を形成することにより、それを溶液から除去して、粘膜を通したiRNA吸収の改善をもたらす化合物と定義され得る。本発明における浸透促進剤としてのそれらの使用に関して、ほとんどのDNAヌクレアーゼは、触媒作用のために二価の金属イオンを要し、キレート化剤によって阻害されるため、キレート化作用物質は、デオキシリボヌクレアーゼ阻害物質の役割も果たすという追加的利点を有する(Jarrett,J.Chromatogr.,1993,618,315-339)。 適切なキレート化作用物質としては、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA)、クエン酸、サリチル酸塩(例えば、サリチル酸ナトリウム、5-メトキシサリチル酸、およびホモバニレート(homovanilate))、コラーゲンのN-アシル誘導体、ラウレス-9、およびβ-ジケトン(エナミン)のN-アミノアシル誘導体が挙げられるが、これに限定されるものではない。(例えば、Katdare,A.et al.,Excipient development for pharmaceutical,biotechnology,and drug delivery,CRC Press,Danvers,MA,2006;Lee et al.,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1991,page 92;Muranishi,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1990,7,1-33;Buur et al.,J.Control Rel.,1990,14,43-51を参照されたい)。
本明細書の用法では、非キレート化非界面活性剤浸透促進化合物は、キレート化作用物質としてまたは界面活性剤として有意でない活性を実証するが、それでもなお消化器粘膜を通じてiRNAの吸収を高める化合物と定義し得る(例えば、Muranishi,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1990,7,1-33を参照されたい)。このクラスの浸透促進剤としては、例えば不飽和環式尿素、1-アルキル-および1-アルケニルアザシクロ-アルカノン誘導体(Lee et al.,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1991,page 92);およびジクロフェナクナトリウム、インドメタシンおよびフェニルブタゾンなどの非ステロイド性抗炎症剤(Yamashita et al.,J.Pharm.Pharmacol.,1987,39,621-626)が挙げられる。
細胞レベルのiRNA取り込みを高める作用物質も本発明医薬および他の組成物に添加し得る。例えば、リポフェクチンなどのカチオン性脂質(Junichiらに付与された米国特許第5,705,188号明細書)、カチオン性グリセロール誘導体、およびポリリジンなどのポリカチオン性分子(Lolloらに付与された国際公開第97/30731号パンフレット)もdsRNAの細胞内取り込みを高めることが知られている。市販される形質移入試薬の例としては、例えば特に、Lipofectamine(商標)(Invitrogen;Carlsbad,CA)、Lipofectamine 2000(商標)(Invitrogen;Carlsbad,CA)、293fectin(商標)(Invitrogen;Carlsbad,CA)、Cellfectin(商標)(Invitrogen;Carlsbad,CA)、DMRIE-C(商標)(Invitrogen;Carlsbad,CA)、FreeStyle(商標)MAX(Invitrogen;Carlsbad,CA)、Lipofectamine(商標)2000 CD(Invitrogen;Carlsbad,CA)、Lipofectamine(商標)(Invitrogen;Carlsbad,CA)、RNAiMAX(Invitrogen;Carlsbad,CA)、Oligofectamine(商標)(Invitrogen;Carlsbad,CA)、Optifect(商標)(Invitrogen;Carlsbad,CA)、X-tremeGENE Q2 Transfection Reagent(Roche;Grenzacherstrasse,Switzerland)、DOTAP Liposomal Transfection Reagent(Grenzacherstrasse,Switzerland)、DOSPER Liposomal Transfection Reagent(Grenzacherstrasse,Switzerland)、またはFugene(Grenzacherstrasse,Switzerland)、Transfectam(登録商標)Reagent(Promega;Madison,WI)、TransFast(商標)Transfection Reagent(Promega;Madison,WI)、Tfx(商標)-20 Reagent(Promega;Madison,WI)、Tfx(商標)-50 Reagent(Promega;Madison,WI)、DreamFect(商標)(OZ Biosciences;Marseille,France)、EcoTransfect(OZ Biosciences;Marseille,France)、TransPassa D1 Transfection Reagent(New England Biolabs;Ipswich,MA,USA)、LyoVec(商標)/LipoGen(商標)(Invitrogen;San Diego,CA,USA)、PerFectin Transfection Reagent(Genlantis;San Diego,CA,USA)、NeuroPORTER Transfection Reagent(Genlantis;San Diego,CA,USA)、GenePORTER Transfection Reagent(Genlantis;San Diego,CA,USA)、GenePORTER 2 Transfection reagent(Genlantis;San Diego,CA,USA)、Cytofectin Transfection Reagent(Genlantis;San Diego,CA,USA)、BaculoPORTER Transfection Reagent(Genlantis;San Diego,CA,USA)、TroganPORTER(商標)transfection Reagent(Genlantis;San Diego,CA,USA)、RiboFect(Bioline;Taunton,MA,USA)、PlasFect(Bioline;Taunton,MA,USA)、UniFECTOR(B-Bridge International;Mountain View,CA,USA)、SureFECTOR(B-Bridge International;Mountain View,CA,USA)、またはHiFect(商標)(B-Bridge International,Mountain View,CA,USA)が挙げられる。
エチレングリコールおよびプロピレングリコールなどのグリコール;2-ピロールなどのピロール;アゾン;およびリモネンおよびメントンなどのテルペンをはじめとする他の作用物質が、投与された核酸の浸透を高めるのに利用され得る。
v.担体
本発明の特定の組成物は、また配合中に担体化合物が組み込まれる。本明細書の用法では、「担体化合物」または「担体」は、不活性(すなわちそれ自体は生物学的活性を有しない)であるが、例えば生物学的に活性の核酸を分解し、またはその循環からの除去を促進することで、生物学的活性を有する核酸の生物学的利用能を低下させる、生体内過程によって核酸と認識される核酸またはその類似体を指し得る。核酸および担体化合物の、典型的に後者の物質の過剰量での同時投与は、恐らく通常の受容体に対する担体化合物と核酸間の競合のために、肝臓、腎臓または他の循環外貯蔵所で回収される核酸量の実質的低下をもたらし得る。例えば、肝臓組織内の部分的ホスホロチオエートdsRNAの回収は、それが、ポリイノシン酸、硫酸デキストラン、ポリシチジック(polycytidic)または4-アセトアミド-4’-イソチオシアノ-スチルベン-2,2’-ジスルホン酸と同時投与された場合に低下し得る(Miyao et al.,DsRNA Res.Dev.,1995,5,115-121;Takakura et al.,DsRNA&Nucl.Acid Drug Dev.,1996,6,177-183。
vi.賦形剤
担体化合物とは対照的に、「薬学的担体」または「賦形剤」は、1つ以上の核酸を動物に送達するための、薬学的に許容可能な溶媒、懸濁剤またはあらゆる他の薬理学的に不活性なビヒクルである。賦形剤は液体または固体であり得、核酸および所与の医薬組成物の他の成分と組み合わせた際に、所望の嵩、粘稠度などを提供するように、計画される投与様式を念頭に置いて選択される。典型的な薬学的担体としては、結合剤(例えば、α化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースなど);増量剤(例えば、乳糖および他の糖類、微結晶セルロース、ペクチン、ゼラチン、硫酸カルシウム、エチルセルロース、ポリアクリレートまたはリン酸水素カルシウムなど);潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、滑石、シリカ、二酸化ケイ素のコロイド、ステアリン酸、ステアリン酸金属塩、水素化植物油、コーンスターチ、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウムなど);崩壊剤(例えば、デンプン、デンプングリコール酸ナトリウムなど);および湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウムなど)が挙げられるが、これに限定されるものではない。
核酸と有害反応しない、経口投与に適する、薬学的に許容可能な有機または無機賦形剤を使用して、本発明の組成物を調合し得る。適切な薬学的に許容可能な担体としては、水、塩溶液、アルコール、ポリエチレングリコール、ゼラチン、乳糖、アミロース、ステアリン酸マグネシウム、滑石、ケイ酸、粘性パラフィン、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。
核酸の局所投与のための製剤は、無菌および非無菌水性溶液、アルコールなどの共通溶剤中の非水性溶液、または液体または固体油基剤中の核酸溶液を含み得る。溶液はまた、緩衝液、希釈剤、および他の適切な添加剤も含有し得る。核酸有害反応しない、経口投与に適する、薬学的に許容可能な有機または無機賦形剤を使用し得る。
適切な薬学的に許容可能な賦形剤としては、水、塩溶液、アルコール、ポリエチレングリコール、ゼラチン、乳糖、アミロース、ステアリン酸マグネシウム、滑石、ケイ酸、粘稠なパラフィン、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。
vii.他の成分
本発明の組成物は、医薬組成物中に従来法で見られる他の補助剤成分を、当技術分野で確立されたそれらの使用レベルで、さらに含有し得る。したがって、例えば、組成物は、例えば、止痒剤、渋味剤、局所麻酔薬または抗炎症剤などの追加的な適合性薬理的活性材料を含有することができ、または染料、着香剤、保存料、抗酸化剤、乳白剤、増粘剤、および安定剤などの本発明の組成物の様々な剤形を物理的に調合する上で有用な追加的材料を含有し得る。しかし、このような材料は、添加した場合、本発明の組成物の成分の生物学的活性に過度に干渉すべきでない。製剤は滅菌され得、必要に応じて製剤の核酸と有害に相互作用しない、例えば、潤滑剤、保存料、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧圧力に影響を及ぼす塩、緩衝液、着色料、着香料および/または芳香族物質などの助剤と混合される。
水性懸濁液は、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトールおよび/またはデキストランをはじめとする、懸濁液の粘度を増大させる物質を含有し得る。懸濁液は、安定剤も含有し得る。
一部の実施形態では、本発明で取り上げる医薬組成物は、(a)1つ以上のiRNA化合物、および(b)非RNAi機序によって機能し、SCAP関連障害の治療に有用な1つ以上の薬剤を含む。このような薬剤の例としては、抗炎症剤、抗脂肪症薬、抗ウイルス、および/または抗線維症薬が挙げられるが、これに限定されるものではない。加えて、シリマリンなどの肝臓を保護するのに一般に使用される他の物質も、本明細書に記載されるiRNAと併用し得る。肝臓疾患の治療に有用な他の薬剤としては、テルビブジンと、エンテカビルと、テラプレビルおよび例えばTungらに付与された米国特許出願公開第2005/0148548号明細書、米国特許出願公開第2004/0167116号明細書、および米国特許出願公開第2003/0144217号明細書;およびHaleらに付与された米国特許出願公開第2004/0127488号明細書で開示されたものなどのプロテアーゼインヒビターが挙げられる。
このような化合物の毒性および治療効果は、例えばLD50(集団の50%に致死性の用量)およびED50(集団の50%に治療的に有効な用量)を判定するための細胞培養物または実験動物中などで、標準薬学的手順によって判定し得る。毒性および治療効果間の用量比が治療指数であり、それはLD50/ED50比として表し得る。高い治療指数を示す化合物が、好ましい。
細胞培養アッセイと動物実験から得られるデータは、ヒトで使用するための投与範囲を策定するのに使用し得る。本発明で取り上げる組成物の投与量は、一般に、毒性がわずかまたは皆無であるED50をはじめとする、循環濃度の範囲内にある。投与量は、用いられる剤形および利用される投与経路に応じて、この範囲内で変動し得る。本発明で取り上げる方法で使用されるあらゆる化合物について、最初に、治療有効用量を細胞培養アッセイから推定し得る。用量は、細胞培養中で判定される、IC50(すなわち症状の最大半量阻害を達成する試験化合物濃度)をはじめとする、化合物の、または適切な場合には標的配列のポリペプチド産物の、循環血漿濃度範囲を達成する(例えば、ポリペプチド濃度の低下を達成する)ように、動物モデル中で策定されてもよい。このような情報を使用して、ヒトにおける有用な用量をより正確に判定し得る。血漿中のレベルは、例えば高速液体クロマトグラフィーによって測定し得る。
本明細書で取り上げるiRNAは、上で考察されるそれらの投与に加えて、SCAP発現によって媒介される病理過程の治療に効果的な他の既知の作用物質と組み合わせて、投与し得る。いずれにしても処置を行う医師は、当技術分野で公知のまたは本明細書に記載される、有効性の標準的手段を使用して観察される結果に基づいて、iRNA投与の量およびタイミングを調節し得る。
VI.SCAP発現の阻害方法
本発明はまた、細胞におけるSCAP遺伝子の発現を阻害する方法も提供する。本方法は、細胞におけるSCAPの発現を阻害するのに有効な量のRNAi剤、例えば二本鎖RNAi剤と細胞を接触させて、それにより細胞におけるSCAPの発現を阻害することを含む。本発明の特定の実施形態において、SCAPは肝臓細胞において優先的に阻害される。
例えば、二本鎖RNAi剤などのiRNAと細胞の接触は、試験管内または生体内のいずれで実施してもよい。iRNAと生体内の細胞の接触は、例えば、ヒト対象などの対象内の細胞または細胞群をiRNAと接触させることを含む。また、細胞を接触させる試験管内および生体内方法の組合せも可能である。細胞の接触は、前述したように、直接または間接的のいずれであってもよい。さらに、細胞の接触は、本明細書に記載のまたは当技術分野で公知の任意のリガンドをはじめとする、標的化リガンドによって達成することもできる。一部の実施形態では、標的化リガンドは、例えば、GalNAc3リガンドなどの炭水化物部分、または目的の部位にRNAi剤を誘導するいずれか他のリガンドである。
「阻害する」という用語は、本明細書の用法では、「低下する」、「サイレンシングする」、「下方制御する」、「抑制する」および他の類似用語と置き換え可能に用いられ、あらゆるレベルの阻害を含む。
語句「SCAPの発現を阻害する」は、本明細書で使用されるとき、任意のSCAP遺伝子(例えば、マウスSCAP遺伝子、ラットSCAP遺伝子、サルSCAP遺伝子、またはヒトSCAP遺伝子など)ならびにSCAPタンパク質をコードするSCAP遺伝子の変異体または突然変異体の発現の阻害を含む。したがって、SCAP遺伝子は、野生型SCAP遺伝子、突然変異体SCAP遺伝子、または遺伝子操作された細胞、細胞集団、または生物のコンテクストにおけるトランスジェニックSCAP遺伝子であり得る。
「SCAP遺伝子の発現を阻害する」には、少なくとも約20%の阻害など、SCAP遺伝子の任意のレベルの阻害、例えば、SCAP遺伝子の発現の少なくとも部分的な抑制が含まれる。特定の実施形態では、阻害は、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%である。
SCAP遺伝子の発現は、SCAP遺伝子発現に関連する任意の変数のレベル、例えば、SCAP mRNAレベルまたはSCAPタンパク質レベルに基づいて評価し得る。SCAPの発現はまた、血清脂質、トリグリセリド、コレステロール(LDL-C、HDL-C、VLDL-C、IDL-Cおよび総コレステロールを含む)、または遊離脂肪酸のレベルに基づいて間接的に評価してもよい。SCAPの発現はまた、SREPBレベルおよび/またはPNPLA3レベルのレベルに基づいて間接的に評価してもよい。
阻害は、これらの変数の1つ以上の絶対または相対レベルを対照レベルと比較した低下によって評価し得る。対照レベルは、当技術分野で利用されている任意のタイプの対照レベル、例えば、投与前ベースラインレベル、または未処理の、もしくは対照(例えば、緩衝液単独対照または不活性薬剤対照など)によって処理された同様の対象、細胞、またはサンプルから決定されるレベルであってよい。
特定の実施形態では、代用マーカを用いてSCAPの阻害を検出することができる。例えば、許容できる診断およびモニタリング基準によって実証されるとおりの、SCAP発現を低下させる薬剤によるSCAP関連障害、例えば肝障害の有効な治療とは、SCAPの臨床的に関連性のある低下を実証することと理解され得る。
本発明の方法の一部の実施形態において、SCAP遺伝子の発現は、少なくとも20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%、またはアッセイの検出レベル未満まで阻害される。特定の実施形態では、本方法は、例えばSCAPの発現を低下させる薬剤による対象の治療後の臨床的に関連性のある転帰によって実証されるとおりの、SCAPの発現の臨床的に関連性のある阻害を含む。
SCAP遺伝子の発現の阻害は、SCAP遺伝子が転写されるところである、かつSCAP遺伝子の発現が阻害されるように(例えば、その1つ以上の細胞を本発明のiRNAと接触させることによるか、またはその細胞が存在している、または存在した対象に本発明のiRNAを投与することにより)処理された第1の細胞または細胞集団(かかる細胞は、例えば、対象から得られたサンプル中に存在し得る)によって発現されるmRNAの量を、第1の細胞または細胞集団と実質的に同一であるがそのような処理を受けていない第2の細胞または細胞集団(iRNAで処理されていない、または目的の遺伝子を標的とするiRNAで処理されていない1つ以上の対照細胞)と比較したときの低下によって示され得る。阻害の程度は、
の点で表され得る。
他の実施形態では、SCAP遺伝子の発現の阻害は、SCAP遺伝子発現と機能的に関係があるパラメータ、例えば、SCAPタンパク質発現またはSCAPシグナル伝達経路の低下の点で評価し得る。SCAP遺伝子サイレンシングが、内因性または発現コンストラクトからの異種のいずれにしろ、SCAPを発現する任意の細胞で、および当技術分野において公知の任意のアッセイにより決定されてもよい。
SCAPタンパク質の発現の阻害は、細胞または細胞群により発現されるSCAPタンパク質のレベル(例えば、対象由来のサンプル中で発現されるタンパク質のレベル)の低下によって明らかにすることができる。上に説明したように、mRNA抑制の評価のために、処置細胞または細胞群におけるタンパク質発現レベルの阻害は、対照細胞または細胞群におけるタンパク質のレベルのパーセンテージとして同様に表すことができる。
SCAP遺伝子の発現の阻害を評価するために使用することができる対照細胞または細胞群としては、本発明のRNAi剤とまだ接触していない細胞または細胞群が挙げられる。例えば、対照細胞または細胞群は、RNAi剤による対象の処置前に、個別の対象(例えば、ヒトもしくは動物対象)から得ることができる。
細胞または細胞群により発現されるSCAP mRNAのレベルは、mRNA発現を評価するための当技術分野で公知の任意の方法を用いて決定することができる。一実施形態では、サンプル中のSCAPの発現レベルは、例えば、SCAP遺伝子のmRNAなどの転写ポリヌクレオチド、またはその部分を検出することにより決定される。RNAは、例えば、酸性フェノール/グアニジンイソチオシアネート抽出(RNAzol B;Biogenesis)、RNeasy(商標)RNA調製キット(Qiagen(登録商標))またはPAXgene(PreAnalytix,Switzerland)の使用をはじめとする、RNA抽出技術を用いて、細胞から抽出することができる。リボ核酸ハイブリダイゼーションを用いる典型的なアッセイフォーマットとしては、核ランオン(nuclear run-on)アッセイ、RT-PCR、RNase保護アッセイ)、ノーザンブロッティング、in situハイブリダイゼーション、およびマイクロアレイ分析が挙げられる。循環SCAP mRNAは、その全内容を参照によって本明細書に援用する、PCT公開国際公開第2012/177906号パンフレットに記載の方法を用いて検出することができる。一部の実施形態では、SCAPの発現のレベルは、核酸プローブを用いて決定される。「プローブ」という用語は、本明細書の用法では、特定のSCAPに選択的に結合することができる任意の分子を指す。プローブは、当業者によって合成することができるし、または適切な生物学的調製物から得ることもできる。プローブは、標識されるように、特にデザインしてもよい。プローブとして使用することができる分子の例として、限定はしないが、RNA、DNA、タンパク質、抗体、および有機分子が挙げられる。
単離されたmRNAは、ハイブリダイゼーションまたは増幅アッセイに用いることができ、限定はしないが、こうしたものとして、サザンまたはノーザン分析、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)分析およびプローブアレイが挙げられる。mRNAレベルの一決定方法は、単離されたmRNAを、SCAP mRNAとハイブリダイズすることができる核酸分子(プローブ)と接触させるステップを含む。一実施形態では、例えば、アガロースゲル上で単離mRNAを泳動させ、ゲルからのmRNAをニトロセルロースなどの膜に移すことにより、mRNAを固体表面上に固定化し、プローブと接触させる。別の実施形態では、プローブは、例えば、Affymetrix遺伝子チップアレイを用いて、固体表面上に固定化し、mRNAをプローブと接触させる。当業者は、公知のmRNA検出方法を、SCAP mRNAのレベルの決定に使用するために容易に適合させることができる。
サンプル中のSCAPの発現のレベルを決定するための別の方法は、例えば、RT-PCR(Mullis,1987,米国特許第4,683,202号明細書に記載の実験的な実施形態)、リガーゼ連鎖反応(Barany(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:189-193)、自家持続配列複製法(Guatelli et al.(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:1874-1878)、転写増幅システム(Kwoh et al.(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:1173-1177)、Q-βレプリカーゼ(Q-Beta Replicase)(Lizardi et al.(1988)Bio/Technology 6:1197)、ローリングサークル複製(Lizardi et al.,米国特許第5,854,033号明細書)またはいずれか他の核酸増幅法による、例えばサンプル中のmRNAの核酸増幅および/または逆転写酵素(cDNAを生成するための)の工程後、当業者には周知の技術を用いて、増幅された分子の検出を含む。これらの検出スキームは、特に、核酸分子が非常に少数存在する場合、核酸分子の検出に有用である。本発明の具体的な態様では、SCAPの発現のレベルは、定量蛍光RT-PCR(すなわち、TaqMan(商標)System)または実施例2におけるDual-Glo(登録商標)Luciferaseアッセイにより定量する。
SCAP mRNAの発現レベルは、メンブレンブロット(例えば、ノーザン、サザン、ドットなどのハイブリダイゼーション分析に使用されているものなど)、またはマイクロウェル、サンプルチューブ、ゲル、ビーズもしくはファイバー(または結合核酸を含む任意の固体支持体)を用いて、モニターすることができる。参照によって本明細書に援用する、米国特許第5,770,722号、同第5,874,219号、同第5,744,305号、同第5,677,195号および同第5,445,934号明細書を参照されたい。SCAP発現レベルの決定は、溶液中の核酸プローブの使用も含み得る。
一部の実施形態では、mRNAのレベルは、分岐状DNA(bDNA)アッセイまたはリアルタイムPCR(qPCR)を用いて評価する。このPCR方法の使用については、本明細書に提示する実施例の中で説明および例示する。かかる方法はまた、SCAP核酸、SREBP核酸またはPNPLA3核酸の検出にも使用することができる。
SCAPタンパク質発現のレベルは、タンパク質レベルの測定のために、当技術分野で公知の任意の方法を用いて決定することもできる。こうした方法としては、例えば、電気泳動、キャピラリー電気泳動、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)、薄層クロマトグラフィー(TLC)、高拡散クロマトグラフィー、液体またはゲル沈降反応、吸収分光法、比色アッセイ、分光光度アッセイ、フローサイトメトリー、免疫拡散法(一元もしくは二元)、免疫電気泳動、ウエスタンブロッティング、放射性免疫アッセイ(RIA)、酵素結合イムノソルベントアッセイ(ELISA)、免疫蛍光アッセイ、電気化学発光アッセイなどが挙げられる。かかるアッセイはまた、SCAPタンパク質、SREBPタンパク質またはPNPLA3タンパク質の存在または複製の指標となるタンパク質の検出にも使用することができる。
一部の実施形態では、SCAP関連疾患の治療における本発明の方法の有効性は、SCAP mRNAレベル(肝生検による)の低下によって評価される。
本発明の方法の一部の実施形態では、iRNAが対象内の特定の部位に送達されるように、iRNAを対象に投与する。SCAPの発現の阻害は、対象内の特定の部位、例えば肝臓から得られたサンプル中のSCAP mRNAまたはSCAPタンパク質のレベルの測定値またはレベルの変化を用いて評価し得る。特定の実施形態では、本方法は、例えばSCAPの発現を低下させる薬剤による対象の治療後の臨床的に関連性のある転帰によって実証されるとおりの、SCAPの発現の臨床的に関連性のある阻害を含む。
本明細書で使用されるとき、分析物のレベルを検出または決定するという用語は、材料、例えばタンパク質、RNAが存在するかどうかを決定するステップの実施を意味するものと理解される。本明細書で使用されるとき、検出または決定する方法には、用いられる方法の検出レベル未満である分析物レベルの検出または決定が含まれる。
VII.SCAP関連疾患の治療または予防方法
本発明はまた、細胞におけるSCAP発現を低下させかつ/または阻害するための、本発明のiRNAの使用方法および/または本発明のiRNAを含有する組成物も提供する。本方法は、細胞を本発明のdsRNAと接触させることと、SCAP遺伝子のmRNA転写物の分解を達成するのに十分な時間にわたって細胞を維持し、それにより細胞におけるSCAP遺伝子の発現を阻害することとを含む。遺伝子発現の低下は、当技術分野において公知の任意の方法によって評価することができる。例えば、SCAPの発現の低下は、当業者にとってルーチンの方法、例えば、ノーザンブロッティング、qRT-PCRを用いてSCAPのmRNA発現レベルを決定することにより;ウエスタンブロッティング、免疫学的技法など、当業者にとってルーチンの方法を用いてSCAPのタンパク質レベルを決定することにより決定し得る。SCAPの発現の低下はまた、SCAPの生物学的活性の低下、例えば、血清脂質、トリグリセリド類、コレステロールおよび/または遊離脂肪酸のレベルの低下、SREPBまたはPNPLA3のレベルの低下によって間接的に評価してもよい。
本発明の方法では、細胞は試験管内または生体内で接触させてもよく、すなわち細胞は対象内にあってもよい。
本発明の方法を用いた治療に好適な細胞は、SCAP遺伝子を発現する任意の細胞であってよい。本発明の方法における使用に好適な細胞は、哺乳類細胞、例えば、霊長類細胞(ヒト細胞または非ヒト霊長類細胞、例えば、サル細胞またはチンパンジー細胞など)、非霊長類細胞(雌ウシ細胞、ブタ細胞、ラクダ細胞、ラマ細胞、ウマ細胞、ヤギ細胞、ウサギ細胞、ヒツジ細胞、ハムスター、モルモット細胞、ネコ細胞、イヌ細胞、ラット細胞、マウス細胞、ライオン細胞、トラ細胞、クマ細胞、またはスイギュウ細胞など)、鳥類細胞(例えば、アヒル細胞またはガチョウ細胞)、またはクジラ細胞であり得る。一実施形態では、細胞はヒト細胞、例えばヒト肝臓細胞である。
SCAP発現は、細胞において少なくとも約5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または約100%だけ阻害される。好ましい実施形態では、SCAP発現は少なくとも20%だけ阻害される。
本発明の生体内方法は、iRNAを含有する組成物を対象に投与することを含んでもよく、ここで、iRNAは、治療しようとする哺乳類のSCAP遺伝子のRNA転写物の少なくとも一部と相補的なヌクレオチド配列を含む。治療しようとする生物がヒトなどの哺乳類である場合、本組成物は、限定はされないが、経口、腹腔内、または非経口経路、例えば、頭蓋内(例えば、脳室内、実質内および髄腔内)、静脈内、筋肉内、皮下、経皮、気道(エアロゾル)、鼻腔、直腸、および局所(頬側および舌下を含む)投与を含めた、当技術分野において公知の任意の手段によって投与することができる。特定の実施形態では、本組成物は静脈内注入または注射によって投与される。特定の実施形態では、本組成物は皮下注射によって投与される。
一部の実施形態では、投与はデポー注射による。デポー注射はiRNAを長時間にわたって一定して放出し得る。したがって、デポー注射によれば、所望の効果、例えば所望のSCAP阻害、または治療上もしくは予防上の効果を達成するのに必要な投与頻度が減少し得る。デポー注射はまた、よりばらつきの少ない血清濃度ももたらし得る。デポー注射には、皮下注射または筋肉内注射が含まれ得る。好ましい実施形態では、デポー注射は皮下注射である。
一部の実施形態では、投与はポンプによる。ポンプは、外部ポンプまたは外科的に埋め込まれたポンプであってもよい。特定の実施形態では、ポンプは、皮下に埋め込まれた浸透圧ポンプである。他の実施形態では、ポンプは、薬物注入ポンプである。薬物注入ポンプは、静脈内、皮下、動脈内、または硬膜外注入に用いられ得る。好ましい実施形態では、薬物注入ポンプは皮下注入ポンプである。他の実施形態では、ポンプは、iRNAを肝臓に送達する外科的に埋め込まれたポンプである。
投与方法は、所望されるのが局所治療か、それとも全身治療かに基づいて、および治療する範囲に基づいて選択され得る。投与経路および投与部位は、ターゲティングを増強するように選択され得る。
一態様において、本発明はまた、哺乳類におけるSCAP遺伝子の発現を阻害する方法も提供する。本方法は、哺乳類の細胞におけるSCAP遺伝子を標的とするdsRNAを含む組成物を哺乳類に投与することと、SCAP遺伝子のmRNA転写物の分解を達成するのに十分な時間にわたって哺乳類を維持し、それにより細胞におけるSCAP遺伝子の発現を阻害することとを含む。遺伝子発現の低下は、当技術分野において公知の任意の方法により、および本明細書に記載される方法、例えばqRT-PCRにより評価することができる。タンパク質産生の低下は、当技術分野において公知の任意の方法により、および本明細書に記載される方法、例えばELISAにより評価することができる。一実施形態では、穿刺肝生検サンプルが、SCAP遺伝子および/またはタンパク質発現の低下をモニタリングするための組織材料となる。
本発明は、それを必要としている対象の治療方法をさらに提供する。本発明の治療方法は、対象、例えば、SCAP発現の低下および/または阻害から利益を受けるであろう対象に、SCAP遺伝子を標的とするiRNAまたはSCAP遺伝子を標的とするiRNAを含む医薬組成物の治療有効量で本発明のiRNAを投与することを含む。
本発明はまた、対象の血漿トリグリセリドレベルを低下させる方法も提供する。本方法は、対象、例えばSCAP発現の低下および/または阻害から利益を受けるであろう対象に、SCAP遺伝子を標的とするiRNAまたはSCAP遺伝子を標的とするiRNAを含む医薬組成物の治療有効量で本発明のiRNAを投与することを含む。
加えて、本発明は、脂肪症を有する対象もしくは脂肪症を発症するリスクがある対象、例えば、イヌシン抵抗性を有する対象もしくは肥満の対象における脂肪症からNASHへの進行;またはNASHを有する対象もしくは肝硬変を発症するリスクがある対象におけるNASHから肝硬変への進行など、対象におけるNAFLDの進行を阻害する方法を提供する。本方法は、本明細書に提供されるdsRNAまたは医薬組成物のいずれかの治療有効量を対象に投与し、それにより対象におけるNAFLDの進行を阻害することを含む。
本発明のiRNAは、「遊離iRNA」として投与し得る。遊離iRNAは、医薬組成物の非存在下で投与される。ネイキッドiRNAは好適な緩衝溶液中にあり得る。緩衝溶液は、酢酸塩、クエン酸塩、プロラミン、炭酸塩、またはリン酸塩、またはこれらの任意の組合せを含み得る。一実施形態では、緩衝溶液はリン酸緩衝生理食塩水(PBS)である。iRNAを含有する緩衝溶液のpHおよびオスモル濃度は、対象への投与に好適となるように調整することができる。
あるいは、本発明のiRNAは、dsRNAリポソーム製剤など、医薬組成物として投与されてもよい。
SCAP遺伝子発現の低下および/または阻害から利益を受けるであろう対象は、SCAP関連障害を有する対象である。用語「SCAP関連疾患」には、SCAP遺伝子発現、複製、またはタンパク質活性の低下から利益を受けるであろう疾患、障害または病態が含まれる。SCAP関連疾患の非限定的な例としては、例えば、脂肪肝(脂肪症)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、肝硬変、肝臓内の脂肪蓄積、肝炎、肝細胞壊死、肝線維症、肥満症、または非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、高脂血症、高リポタンパク血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、アテローム性動脈硬化症、膵炎、非インスリン依存性真性糖尿病、冠動脈心疾患、および脳血管疾患が挙げられる。別の実施形態では、SCAP関連疾患は非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)である。別の実施形態では、SCAP関連疾患は非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)である。別の実施形態では、SCAP関連疾患は肝硬変である。別の実施形態では、SCAP関連疾患はインスリン抵抗性である。別の実施形態では、SCAP関連疾患はインスリン抵抗性でない。一実施形態では、SCAP関連疾患は肥満症である。
本発明は、例えば、SCAP発現の低下および/または阻害から利益を受けるであろう対象、例えばSCAP関連障害を有する対象を治療するための、iRNAまたはその医薬組成物を他の医薬品および/または他の治療法、例えば公知の医薬品および/または公知の治療法、例えば、これらの障害の治療に現在用いられているものなどと組み合わせた使用についての方法をさらに提供する。例えば、特定の実施形態では、SCAPを標的とするiRNAが、例えば本明細書の他の部分に記載されるとおりのSCAP関連障害の治療において有用な薬剤と組み合わせて投与される。例えば、SCAP発現の低下から利益を受けるであろう対象、例えばSCAP関連障害を有する対象の治療に好適な追加の薬剤には、1つ以上の血清脂質を降下させる薬剤が含まれ得る。かかる薬剤の非限定的な例としては、HMGCR阻害薬、例えばスタチンなど、コレステロール合成阻害薬を挙げることができる。スタチン系としては、アトルバスタチン(リピトール(Lipitor))、フルバスタチン(レスコール(Lescol))、ロバスタチン(メバコール(Mevacor))、ロバスタチン持続放出(アルトプレブ(Altoprev))、ピタバスタチン(リバロ(Livalo))、プラバスタチン(プラバコール(Pravachol))、ロスバスタチン(クレストール(Crestor))、およびシンバスタチン(ゾコール(Zocor))を挙げることができる。SCAP関連障害の治療において有用な他の薬剤としては、コレスチラミンおよび他の樹脂などの胆汁酸封鎖剤;ナイアシンなどのVLDL分泌阻害薬;プロブコールなどの親油性抗酸化剤;アシル-CoAコレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害薬;ファルネソイドX受容体拮抗薬;ステロール調節結合タンパク質切断活性タンパク質(SCAP)アクチベーター;ミクロゾームトリグリセリド転移タンパク質(MTP)阻害薬;ApoE関連ペプチド;およびSCAPに対する治療用抗体を挙げることができる。追加の療法剤としてはまた、コレステリルエステル転送タンパク質(CETP)阻害薬など、高密度リポタンパク質(HDL)を上昇させる薬剤も挙げることができる。さらに、追加の療法剤としてはまた、栄養補助食品、例えば魚油も挙げることができる。iRNAおよび追加の療法剤は同時におよび/または同じ併用で、例えば非経口的に投与されてもよく、または追加の療法剤は、別個の組成物の一部としてまたは別個の時間におよび/または当技術分野において公知のまたは本明細書に記載される別の方法によって投与することができる。
一実施形態では、本方法は、標的SCAP遺伝子の発現が約1、2、3、4、5、6、7、8、12、16、18、24時間、28、32、または約36時間などにわたって低下するように、本明細書で取り上げる組成物を投与することを含む。一実施形態では、標的SCAP遺伝子の発現は、長時間、例えば、少なくとも約2、3、4日間またはそれを超えて、例えば、約1週間、2週間、3週間、または4週間またはそれを超えて低下する。
好ましくは、本明細書で取り上げる方法および組成物に有用なiRNAは、標的SCAP遺伝子のRNA(一次またはプロセシング済み)を特異的に標的化する。iRNAを用いてこれらの遺伝子の発現を阻害するための組成物および方法は、本明細書に記載されるとおり調製および実施することができる。
本発明の方法に従うdsRNAの投与は、SCAP関連障害を有する患者におけるそうした疾患または障害の重症度、兆候、症状、および/またはマーカの低下をもたらし得る。これに関連して、「低下」は、このようなレベルの統計的に有意な低下を意味する。低下は、例えば、少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または約100%であり得る。
疾患の治療または予防の効能は、例えば、疾患進行、疾患寛解、症状重症度、疼痛減少、生活の質、治療効果維持に必要な薬剤用量、疾病マーカのレベルまたは治療対象もしくは予防目標である、所与の疾患に適した、あらゆる他の測定可能パラメータレベルを測定することによって評価することができる。このようなパラメータのいずれか1つ、またはパラメータの任意の組合せを測定することによって治療または予防の有効性をモニターすることは、十分に当業者の能力の範囲内である。例えば、SCAP関連障害の治療の有効性は、例えば、1つ以上の血清脂質値の定期的なモニタリングによって評価し得る。後期読取り値を初期読取り値と比較することにより、医師は治療が有効かどうかの指標を得る。このようなパラメータのいずれか1つ、またはパラメータの任意の組合せを測定することで、治療または予防の有効性をモニターすることは、十分に当業者の能力の範囲内である。SCAPを標的にするiRNAまたはその医薬組成物の投与と関連して、SCAP関連障害「に対して効果的」とは、臨床的に適切な様式での投与が、少なくとも統計学的に有意な割合の患者に、症状改善、治癒、疾患低減、延命、生活の質改善、またはSCAP関連障害および関連原因の治療に精通している医者により、好ましいと一般に認められている他の効果などの有益な効果をもたらすことを意味する。
病態の1つ以上のパラメータに統計的に有意な改善がある場合、または処置がなければ予期される症状悪化または発症の欠如により、治療または予防効果は明らかである。一例として、疾患の測定可能なパラメータの少なくとも10%の、好ましくは少なくとも20%、30%、40%、50%以上の好ましい変化は、効果的な治療を示唆し得る。所与のiRNA薬剤またはその薬剤の配合物の有効性はまた、当技術分野で公知の所与の疾患のための実験動物モデルを使用して、判定し得る。実験動物モデルを使用する場合、治療の有効性は、マーカまたは症状の統計的に有意な低下が観察される場合に証明される。
あるいは、有効性は、一例に過ぎないが、チャイルド・ピュースコア(時にチャイルド・ターコット・ピュースコア)など、臨床的に認められている疾患重症度のグレード分類尺度に基づいて診断の当業者が決定するとおりの疾患の重症度の低下によって測定することができる。例えば、適切な尺度を用いて測定された疾患の重症度の低下をもたらす任意の正の変化が、本明細書に記載されるとおりのiRNAまたはiRNA製剤を用いた適切な治療を表す。
対象には、約0.01mg/kg~約200mg/kgなど、治療量のdsRNAを投与することができる。
本iRNAは、静脈内注入によってある期間にわたり定期的に投与することができる。特定の実施形態では、初期治療レジメン後、治療は、頻度を下げて投与することができる。本iRNAの投与は、例えば、細胞、組織、血液、尿または患者の他のコンパートメントにおけるSCAPレベルを少なくとも約5%、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、39、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または少なくとも約99%またはそれを超えて低下させることができる。好ましい実施形態では、本iRNAの投与は、例えば、細胞、組織、血液、尿または患者の他のコンパートメントにおけるSCAPレベルを少なくとも20%低下させることができる。
iRNAの総用量の投与前に5%輸液反応などのより少ない用量を患者に投与して、アレルギー反応などの悪影響についてモニターすることができる。別の実施例では、サイトカイン(例えば、TNF-αまたはINF-α)レベル増大などの望まれない免疫賦活性効果について、患者をモニターすることができる。
あるいは、本iRNAは、皮下に、すなわち皮下注射によって投与することができる。1回以上の注射を用いてiRNAの所望の1日用量を対象に送達してもよい。注射は、ある期間にわたって繰り返されてもよい。投与は定期的に繰り返されてもよい。特定の実施形態では、初期治療レジメン後、治療は、頻度を下げて投与することができる。反復用量レジメンには、一日おきなど、または年1回に至るまでの定期的な治療量のiRNAの投与が含まれ得る。特定の実施形態では、iRNAは約月1回~約年4回(すなわち、約3ヵ月に1回)投与される。
特に定義しない限り、本明細書で使用される全ての科学技術用語は、本発明が属する技術分野の当業者が一般的に理解するのと同じ意味を有する。本発明において取り上げるiRNAおよび方法の実施または試験には、本明細書に記載されるものと同様のまたは均等な方法および材料を使用し得るが、好適な方法および材料を以下に記載する。本明細書において言及される刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、全て全体として参照により援用される。矛盾が生じる場合、定義を含め、本明細書が優先するものとする。加えて、材料、方法、および例は例示に過ぎず、限定することを意図するものではない。
実施例1.iRNA設計、合成、選択、および試験管内評価
本実施例は、SCAP iRNA剤の設計、合成、選択、および試験管内評価方法について記載する。
試薬供給元
試薬の供給元が本明細書で具体的に示さない場合、このような試薬は、分子生物学用途の品質/純度規格の分子生物学用試薬のあらゆる供給業者から得られてもよい。
バイオインフォマティクス
カスタムRおよびPythonスクリプトを用いて、ヒトSCAP遺伝子、「ヒト(Homo sapiens)SREBFシャペロン」(ヒト:NCBI refseqID NM_012235;NCBI GeneID:22937)、ならびに毒性種SCAPオルソログ(カニクイザル:XM_005546963;マウス:NM_001103162;ラット:NM_001100966)を標的とするsiRNA剤の組を設計した。ヒトNM_012235 REFSEQ mRNA、バージョン2は、4255塩基の長さを有する。このsiRNA設計の組の理論的根拠および方法は以下のとおりである:10位~4255位におけるあらゆる可能な19mer siRNAの予想される有効性を、多数の脊椎動物遺伝子を標的とする20,000を超える個別的なsiRNA設計からのmRNAノックダウンの直接的な測定から得られた線形モデルで決定した。ヒトとカニクイザルとの間で完全なまたはほぼ完全なマッチを有するSCAP siRNAのサブセットを設計した。マウスおよびラットSCAPオルソログと完全なまたはほぼ完全なマッチを有するさらなるサブセットを設計した。ヒト、カニクイザルおよびマウスSCAPオルソログと完全なまたはほぼ完全なマッチを有するさらなるサブセットを設計した。ヒト、カニクイザル、マウス、およびラットSCAPオルソログと完全なまたはほぼ完全なマッチを有するさらなるサブセットを設計した。siRNAの各鎖について、カスタムPythonスクリプトを総当たり攻撃検索(brute force search)で使用して、siRNAと、標的種トランスクリプトーム内の全ての可能なアラインメントとの間のミスマッチの数および位置を測定した。ここではアンチセンスオリゴヌクレオチドの2~9位として画定されるシード領域内、ならびにここではアンチセンスオリゴヌクレオチドの10~11位として画定されるsiRNAの切断部位内のミスマッチに追加重みを付与した。ミスマッチの相対的重みは、シードミスマッチ、切断部位、およびアンチセンス19位までの他の位置について2.8;1.2:1であった。最初の位置のミスマッチは無視した。各鎖について、それぞれ重み付けしたミスマッチの値を合計することにより、特異性スコアを計算した。ヒトにおけるアンチセンススコアが>=2.2であり、かつ予想される有効性が>=SCAP転写物の50%ノックダウンであるsiRNAを優先した。
SCAP配列の合成
SCAP一本鎖および二重鎖の合成
Mermade 192シンセサイザー(BioAutomation)において固体支持体媒介性ホスホラミダイト化学を用いて1μmolスケールでSCAP siRNA配列を合成した。固体支持体は、カスタムGalNAcリガンドまたはユニバーサル固体支持体(AM biochemical)を充填した制御孔性ガラス(500°A)であった。補助合成試薬、2’-Fおよび2’-O-メチルRNAならびにデオキシホスホロアミダイトは、Thermo-Fisher(Milwaukee,WI)およびHongene(中国)から取得した。2’F2’-O-メチル、RNA、DNAおよび他の修飾ヌクレオチドは、対応するホスホロアミダイトを用いて配列に導入した。3’GalNAc共役一本鎖の合成は、GalNAc修飾CPG支持体上で実施した。アンチセンス一本鎖の合成には、カスタムCPGユニバーサル固体支持体を使用した。全ホスホロアミダイト(アセトニトリル中100mM)のカップリング時間は、活性剤として5-エチルチオ-1H-テトラゾール(ETT)(アセトニトリル中0.6M)を用いて、5分であった。ホスホロアミダイト結合は、無水アセトニトリル/ピリジン(1:1v/v)中の3-((ジメチルアミノ-メチリデン)アミノ)-3H-1,2,4-ジチアゾール-3-チオン(DDTT、Chemgenes(Wilmington,MA,USAから入手)の50mM溶液を用いて生成した。酸化時間は、3分であった。全ての配列は、DMT基を最終的に除去して合成した(「DMTオフ」)。
固体相合成の完了後、一本鎖を固体支持体から切断し、200μLの水性メチルアミン試薬を用い、密封した96深型ウェルプレート内で、60℃で20分間脱保護した。tert-ブチルジメチルシリル(TBDMS)基で保護される2’リボ残基(2’OH)を含む配列については、TEA.3HF(トリエチルアミン三フッ化水素酸塩)試薬を用いて、第2段階の脱保護を実施した。メチルアミン脱保護溶液に、200μLのジメチルスルホキシド(DMSO)および300μLのTEA.3HF試薬を添加し、溶液を60℃でさらに20分間インキュベートした。切断および脱保護ステップの終了時に、合成プレートを室温に到らせ、1mLのアセトニトリル:エタノール混合物(9:1)の添加により沈殿させた。プレートを2時間かけて-80℃に冷却し、マルチチャンネルピペットを用いて、上清を慎重にデカンテーションした。オリゴヌクレオチドペレットを20mM NaOAc緩衝液中に再懸濁させ、A905オートサンプラーおよびFrac950画分収集器を装備したAKTA Purifier Systemで、5mL HiTrapサイズ排除カラム(GE Healthcare)を用いて脱塩した。脱塩したサンプルは96ウェルプレートに収集された。各配列からのサンプルをLC-MSにより分析し、同一性を確認し、UV(260nm)で定量し、選択したサンプルセットをIEXクロマトグラフィーにより分析して純度を決定した。
SCAP一本鎖のアニーリングをTecan液体処理ロボット上で実施した。等モル量のセンスおよびアンチセンス一本鎖の混合物を合わせ、96ウェルプレート内でアニーリングした。相補的一本鎖を合わせた後、96ウェルプレートを密封し、100℃のオーブン内で10分間加熱し、2~3時間かけてゆっくりと室温に到らせた。各二重鎖の濃度を1×PBS中10uMに正規化し、次に試験管内スクリーニングアッセイにかけた。
修飾SCAPセンスおよびアンチセンス鎖配列の詳細なリストは表2に示し、および未修飾SCAPセンスおよびアンチセンス鎖配列の詳細なリストは表3に示す。
試験管内スクリーニング:
細胞培養およびトランスフェクション:
1ウェル(Invitrogen、Carlsbad CA.カタログ番号13778-150)当たり4.9μlのOpti-MEM+0.1μlのリポフェクタミンRNAiMaxを384ウェルプレート中の1ウェル当たり5μlのsiRNA二重鎖に加えることにより、初代マウス肝細胞(PMH)(GIBCO)および初代カニクイザル肝細胞(PCH)(Celsis)をトランスフェクトし、室温で15分間インキュベートした。次に、このsiRNA混合物に、約5×103細胞を含有する40μlのウィリアムE培地(Life Tech)を加えた。細胞を24時間インキュベートした後、RNAを精製した。10nMおよび0.1nMで単回投与実験を実施した。
DYNABEAD mRNA単離キット(Invitrogen、品番:610-12)を使用した全RNA単離
DYNABEAD(Invitrogen、カタログ番号61012)を使用し、BioTek-EL406プラットフォームでの自動化プロトコルを用いて、RNAを単離した。50μlの溶解/結合緩衝液と、3μlの磁性ビーズを含有する25μlの溶解緩衝液を、細胞を含むプレートに添加した。電磁シェーカ上でプレートを室温で10分間インキュベートした後、磁性ビーズを捕捉し、上清を除去した。次に、ビーズ結合RNAを150μlの洗浄緩衝液Aで2回洗浄し、洗浄緩衝液Bで1回洗浄した。次に、ビーズを150μlの溶離緩衝液で洗浄し、再度捕捉して、上清を除去した。
ABIハイキャパシティcDNA逆転写キット(Applied Biosystems、Foster City、CA、カタログ番号4368813)を用いたcDNA合成:
1反応当たり1μl 10×緩衝液、0.4μl 25×dNTP、1μlランダムプライマー、0.5μl逆転写酵素、0.5μl RNアーゼ阻害薬および6.6μlのH2Oを含有する10μlのマスターミックスを各ウェルの単離RNAに加えた。プレートを密閉し、混合し、および電磁気振盪機において室温で10分間インキュベートし、次に37℃で2時間インキュベートした。次に、プレートを81℃で8分間インキュベートした。
リアルタイムPCR:
384ウェルプレート(Roche カタログ番号04887301001)内の1ウェル当たり0.5μlのヒトGAPDH TaqManプローブ(4326317E)、0.5μl ヒトSCAP(Hs00168352_m1)、および5μl Lightcycler 480プローブマスターミックス(Roche カタログ番号04887301001)を含有するマスターミックスに2μlのcDNAを加えた。LightCycler480リアルタイムPCRシステム(Roche)でΔΔCt(RQ)アッセイを用いてリアルタイムPCRを行った。各二重鎖につき少なくとも2回試験し、データは、非標的化対照siRNAでトランスフェクトした細胞に対して正規化した。
相対倍数変化を計算するため、ΔΔCt法を用いてリアルタイムデータを分析し、非標的化対照siRNAでトランスフェクトした細胞で実施したアッセイに対して正規化した。このアッセイの結果は表4に示す。
実施例2.さらなるiRNA剤の設計、合成、選択、および試験管内評価
本実施例は、さらなるSCAP iRNA剤の設計、合成、選択、および試験管内評価方法について記載する。
バイオインフォマティクス
カスタムRおよびPythonスクリプトを用いて、ヒトSCAP、「ヒト(Homo sapiens)SREBFシャペロン」(ヒト:NCBI refseqID NM_012235;NCBI GeneID:22937)を標的とするさらなるsiRNAの組を設計した。ヒトSCAP REFSEQ mRNAは4268塩基の長さを有する。
さらなる修飾SCAPセンスおよびアンチセンス鎖配列の詳細なリストは表5に示し、およびさらなる未修飾SCAPセンスおよびアンチセンス鎖配列の詳細なリストは表6に示す。
試験管内Hep3bスクリーニング
細胞培養およびトランスフェクション
1ウェル(Invitrogen、Carlsbad CA.カタログ番号13778-150)当たり4.9μlのOpti-MEMおよび0.1μlのリポフェクタミンRNAiMaxを384-ウェルプレート中の1ウェル当たり5μlのsiRNA二重鎖に加えることにより、Hep3B細胞(ATCC)をトランスフェクトし、室温で15分間インキュベートした。次に、このsiRNA混合物に約5×103細胞を含有する40μlのウィリアムE培地(Life Tech)を加えた。細胞を24時間インキュベートした後、RNAを精製した。10nMで単回投与実験を実施した。
上記の実施例1に関して記載した方法を用いて全RNAの単離、cDNA合成、およびリアルタイムPCRを実施した。この単回用量スクリーニングの結果は表7に示す。