JP7777817B2 - ヒドロシリル化反応触媒助剤 - Google Patents
ヒドロシリル化反応触媒助剤Info
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Description
項1.
アルカリ金属塩を含むヒドロシリル化反応触媒助剤。
項2.
アルカリ金属塩が、式(al-1):
MalORal (al-1)
(式中、Malはアルカリ金属を示し、Ralは炭素数1~6の直鎖若しくは分岐鎖アルキル基、又はアリール基を示す。)で表される塩、及び
式(al-2):
MalOCORal (al-2)
(式中、Malはアルカリ金属を示し、Ralは炭素数1~6の直鎖若しくは分岐鎖アルキル基、又はアリール基を示す。)で表される塩、並びに
アルカリ金属の炭酸塩、炭酸水素塩、硫酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、リン酸二水素塩、硝酸塩、亜硝酸塩、及びハロゲン化物塩
からなる群より選択される少なくとも1種
である、項1に記載の助剤。
項3.
アルカリ金属塩がアルカリ金属炭酸塩である、項1に記載の助剤。
項4.
アルカリ金属炭酸塩が、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、及び炭酸セシウムからなる群より選択される少なくとも1種である、項3に記載の助剤。
項5.
アルカリ金属塩が、水中での酸解離定数pKaが2以上である塩である、項1~4のいずれかに記載の助剤。
項6.
ヒドロシリル化反応触媒が、三座配位子金属錯体化合物を有する触媒である、項1~5のいずれかに記載の助剤。
項7.
三座配位子金属錯体化合物が、式(i):
並びに、式(ii):
からなる群より選択される少なくとも1種である、項6に記載の助剤。
項8.
三座配位子がターピリジンである、項6又は7に記載の助剤。
項9.
三座配位子金属錯体化合物を有する触媒が、
錯体固定化触媒であって、
三座配位子金属錯体化合物及び基材を備え、
三座配位子金属錯体化合物が基材に固定化された触媒である、項6に記載の助剤。
項10.
三座配位子金属錯体化合物を有する触媒が、以下の要件(a)~(e)の少なくとも1つを満たす、項9に記載の助剤。
(a):前記基材が、シリカ化合物基材又は表面に酸化皮膜を有する金属基材である
(b):三座配位子金属錯体化合物と基材とが、リンカー部によって結合されている
(c):三座配位子金属錯体化合物と基材とが、リンカー部によって結合されており、リンカー部と基材との結合が、シランカップリング結合である
(d):三座配位子金属錯体化合物と基材とが、リンカー部によって結合されており、リンカー部の全体又は一部が、アルコキシシラン由来である
(e):三座配位子がターピリジンである
項11.
三座配位子金属錯体化合物を有する触媒が、式(A):
[三座配位子金属錯体化合物]-[リンカー部]-[基材] (A)
で表される錯体固定化触媒であって、
当該[三座配位子金属錯体化合物]-が、式:
当該-[リンカー部]-*(*が基材側を示す)が、式:
触媒である、
項9又は10に記載の助剤。
項12.
ヒドロシリル化反応助触媒である、項1~11のいずれかに記載の助剤。
項13.
項1~12のいずれかに記載の助剤の存在下で、ヒドロシリル化触媒によりヒドロシリル化反応を行うことを含む、ヒドロシリル化された化合物の製造方法。
MalORal (al-1)
で表される塩、あるいは、式(al-2):
MalOCORal (al-2)
で表される塩が好ましく挙げられる。これらの式において、Malはアルカリ金属を示し、Ralは、炭素数1~6(1、2、3、4、5、又は6)の直鎖若しくは分岐鎖アルキル基、アリール基を示す。当該アルキル基としては、より具体的には、例えばメチル基、エチル基、プロピル基(n-プロピル基若しくはイソプロピル基)、ブチル基(n-ブチル基、イソブチル基、若しくはt-ブチル基)等が挙げられる。当該アリール基としては、例えばフェニル基等が挙げられる。式(al-1)の塩としては、より具体的には、例えばカリウムターシャリーブトキシド、ナトリウムターシャリーブトキシド等が挙げられる。また、式(a1-2)の塩としては、より具体的には、例えばピバル酸カリウム、ピバル酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム等が挙げられる。
[三座配位子金属錯体化合物]-[リンカー部]-[基材] (A)
で表される基が好ましく、式:
で表される基がより好ましい。
4’-ブロモ-2,2’:6’2”-ターピリジン(東京化成)、トリイソプロピルシリルアセチレン(東京化成)、CuI(和光純薬)、Pd(PPh3)2Cl2(和光純薬)、ジイソプロピルアミン(東京化成)、1.0 MテトラブチルアンモニウムフルオリドTHF溶液(東京化成)、4-エチニルベンゾアルデヒド(東京化成)、2-アセチルピリジン(東京化成)、アンモニア水(ナカライテスク)、水酸化ナトリウム(ナカライテスク)、p-トルアルデヒド(和光純薬)、N-ブロモスクシンイミド(ナカライテスク)、α,α-アゾビスイソブチロニトリル(ナカライテスク)、3-クロロプロピルトリエトキシシラン(東京化成)、アジ化ナトリウム(和光純薬)、トラブチルアンモニウムブロミド(和光純薬)、EDTAナトリウム(同仁化学)、CoBr2 (Aldrich)、Co(OAc)2 (Aldrich)、FeBr2 (Aldrich)、Fe(OAc)2 (Aldrich)、NiBr2・3H2O (Aldrich)、NiBr2 (和光純薬)、CuBr(ナカライテスク)、CuBr2(和光純薬)、MnCl2・4H2O(和光純薬)、MnBr2(Aldrich)、アスコルビン酸ナトリウム(ナカライテスク)、硫酸銅(和光純薬)、シリカゲル60(球状)(中性)(ナカライテスク)、3-aminopropyl-functionalized silica (Aldrich)、ジフェニルシラン(東京化成)、トリエトキシシラン(東京化成)、ペンタメチルジシロキサン(信越化学)、1-オクテン(東京化成)、スチレン(東京化成)、塩化アリル(和光純薬)、6-クロロ―1ヘキセン(和光純薬)、ビニルシクロヘキサン(東京化成)、5-ヘキセン-2-オン(東京化成)、アクリル酸メチル(東京化成)、酢酸アリル(和光純薬)、N,N-ジメチルアリルアミン(東京化成)
NMR: JEOL JMN-AL400(日本電子株式会社)
GC: 島津GC-2014(島津製作所)、カラム:Rtx-5MS(RESTEK、内径:0.25mm、膜厚:0.25μm、長さ:30m)
元素分析: JM10(株式会社ジェイ・サイエンス)
質量分析: The MStation(日本電子株式会社)
上記非特許文献34(Organometallics 2017, 36, 1727)に記載の方法に従
ってFe[H,Dipp,Me]Br2を合成した。また、上記非特許文献35(Inorg. Chem. 1988, 27, 2976-2981)に記載の方法に従ってCu(tpy)Br2を合成した。また、Mn(tpy)Br2、Ni(tpy)Br2、及びCo(tpy)Br2を以下のようにして合成した。
MnBr2 (107 mg, 0.5 mmol) を2.0 mL のエタノールに溶かした溶液に、 2,2’:6’2”-ターピリジン (117 mg, 0.5 mmol) を 2.0 mLのエタノールに溶かした溶液を加えた。室温での撹拌中に、淡黄色の沈殿が現れた。15分反応後、沈殿をろ別し、エタノール及びエーテル各10 mLで洗浄した。真空乾燥を行い、淡黄色の目的物([Mn(tpy)Br2])を 207 mg 得た (収率92%)。 Anal. Calcd for C15H11Br2N3Mn: C, 40.26; H, 2.67; N, 9.19. Found: C, 40.21; H, 2.47; N, 9.38. HRMS(FAB): [M-Br]+Calcd. for C15H11BrN3Mn: 366.9517; Found: 366.9498.
NiBr2・3H2O (117 mg, 0.43 mmol) を25 mL のTHFに溶かした溶液に、 2,2’:6’2”-ターピリジン (100 mg, 0.43 mmol) を 5.0 mLのTHFに溶かした溶液を、10分かけて滴下した。室温で24時間撹拌すると、淡緑色の沈殿が生じた。沈殿をろ別し、THF及びエーテル各10 mLで洗浄した。真空乾燥を行い、淡緑色の目的物([Ni(tpy)Br2])を 194 mg 得た (収率86%)。吸湿性。 Anal. Calcd for C15H11Br2N3Ni・1.5H2O: C, 37.63; H, 2.95; N, 8.87. Found: C, 37.76; H, 3.37; N, 9.33. HRMS(FAB): [M-Br]+ Calcd. for C15H11BrN3Ni: 369.9190; Found: 369.9494.
CoBr2 (87.5 mg, 0.4 mmol) 及び2,2’:6’2”-ターピリジン (93.3 mg, 0.4 mmol) を 15 mLの THFに溶かした。室温での撹拌中に、茶色の沈殿が現れた。そこに 3 mLのメタノールを加えると、沈殿の色がエメラルドグリーンへと変わった。 24時間反応後、沈殿をろ別し、少量のメタノールで洗浄した。真空乾燥を行い、緑色の目的物([Co(tpy)Br2])を 170 mg 得た。(収率94%). Anal. Calcd for C15H11Br2N3Co・0.5H2O (M + 0.5H2O): C, 39.08; H, 2.62; N, 9.11. Found: C, 39.34; H, 2.53; N, 9.14. HRMS(FAB): [M-Br]+Calcd. for C15H11BrN3Co: 370.9468; Found: 370.9479.
[検討1]
1-オクテン(5.4 mmol)、ジフェニルシラン(5.4 mmol, Ph2SiH2)、及び2.4 mgのCo(tpy)Br2(0.0054 mmol,0.1 mol%)、様々な無機添加剤(0.108 mmol, 2.0 mol%)をシュレンク管に加えた後、10分間N2バブリングを行った。25℃または100℃で24時間反応を行った後、ドライシリカゲルカラムにより触媒および塩の除去を行った。得られた液体の生成物はGCにより定量を行った。
表1aでは様々なアルカリ金属塩を添加剤としたヒドロシリル化反応であったが、それぞれのアニオンの構造が異なるため、pKaではなく、アニオンの構造に由来する効果により添加剤としての効果が異なる可能性がある。そこで、ほぼ同一の構造のアニオン種でありながらpKa可変であるリン酸塩を添加剤として、Co(tpy)Br2を触媒とするヒドロシリル化反応を試みた。リン酸カリウム塩は、塩に含まれるカリウムイオンの数によりpKaを変えることが可能であるため、KH2PO4、K2HPO4、K3PO4を添加剤としてヒドロシリル化反応を行った(下記式)。結果を表1bに示す。
アミン類は水中におけるpKaの値が大きく、強い塩基性を示す。そのため、Co(tpy)Br2を触媒とするヒドロシリル化反応の添加剤に適していると考え、アミンを添加剤としたヒドロシリル化反応を行った(下記式)。結果を表1cに示す。
表1aのentry 17と18では、KFが添加剤として良好な結果を示した。ハロゲン化物塩は炭酸塩と並んで、取り扱いが容易で、かつ価格も安い。そこで、様々なハロゲン化物塩を添加剤としてヒドロシリル化反応を行った。結果を表1dに示す。
1.0 mLのジフェニルシラン(H2SiPh2, 5.4 mmol)と0.85 mLの1-オクテン又は0.62 mLのスチレン (5.4 mmol)、及び2.4 mgのCo(tpy)Br2(0.0054 mmol,0.1 mol%)、15 mgのK2CO3 (0.108 mmol, 2.0 mol%)をシュレンク管に加えた後、1分間N2バブリングを行った。100℃で24時間反応を行った後、ドライシリカゲルカラムにより触媒および塩の除去を行った。得られた液体の生成物はGCにより定量を行った。また、同様の反応を、1.0 mLのトリエトキシシラン(HSi(OEt)3, 5.4 mmol)及び0.62 mLのスチレン(5.4 mmol)を基質として検討した。
下記反応式に示すヒドロシリル化反応を、様々な量のK2CO3を加えて行った。その結果を表2bに示す。実験操作は上記と同様とし、K2CO3量は0.5~2.5 mol%の範囲で検討した。
K2CO3を助触媒としたヒドロシリル化反応の温度依存性について検討した。下記反応式の反応について、25~100℃の範囲で検討した。結果を表3に示す。
その他の炭酸塩の効果を調べるため、様々な炭酸塩を用いたヒドロシリル化反応を検討した。モデル反応としては、トリエトキシシランによるスチレンのヒドロシリル化を用い、様々な炭酸塩を2.0 mol%加えて、N2下、100℃で24時間反応を行った(下記反応式)。その結果を表5に示す。
様々な中心金属を有するtpy錯体を触媒として用いて、K2CO3を助剤(特に助触媒)とするヒドロシリル化反応を検討した。中心金属にはCoの他に、Fe、Niを選んだが、FeだけはM(tpy)Br2型の錯体が存在しないため、イミノビピリジンを3座配位子とする錯体(Fe(BPIDipp,Me)Br2)を用いて検討した。
以下のようにして錯体固定化触媒を調製した。
上記非特許文献36を参考に合成を行った。窒素気流下で4’-ブロモ-2,2’:6’2”-ターピリジン 1.0 g(3.2 mmol)、トリイソプロピルシリルアセチレン 1.8 mL (8.0 mmol)をTHF 10 mLに溶かし、更に、CuI 37 mg (0.19 mmol)とPd(PPh3)2Cl2 136 mg (0.19 mmol)を懸濁させた。最後にジイソプロピルアミン(iPr2NH、13.5 mL (96 mmol)を加えて反応を開始した。2時間、加熱還流条件で反応させると、黄色懸濁溶液が赤紫色になり、更に褐色へと変化した。濾過にて黒色沈殿を除去した後、エバポレーターで溶媒を留去した。残渣をアルミナカラム(溶出液 クロロホルム/ヘキサン =1/4)で精製した。溶媒留去後、真空乾燥を行い、淡黄色の粉末として化合物1を得た。収量1.27 g、収率96%。
上記非特許文献37を参考に合成を行った。500 mgの化合物1 (1.21 mmol)を3.0 mLのTHFに溶かし、更に1.0M テトラブチルアンモニウムフルオリドのTHF溶液 2.4 mLを加えた。1時間反応後、水 2.0 mLを加え、生成物をクロロホルム 5.0 mL × 2で抽出した。エバポレーターで溶媒を除去後に、アルミナカラム(溶出液 クロロホルム/ヘキサン =1/1)で精製した。溶媒留去後の淡黄色粉末にヘキサンを加えて洗浄した。真空乾燥を行い、化合物L1を得た。収量173 mg、収率56%。
上記非特許文献38に従って合成を行った。0.5 g の4-エチニルベンゾアルデヒド (3.84 mmol)及び0.86 mLの2-アセチルピリジン(7.68mmol)をエタノール 50 mLに溶かし、更に28%アンモニア水25 mLを加えた。最後に0.3 gのNaOH (7.5 mmol) を加えて、室温で3日間撹拌した。生じた白色沈殿をろ別し、更にクロロホルム-エタノールから再結晶した。得られた淡黄色の針状結晶を真空乾燥して化合物L2を得た。収量1.7 g、収率 32%。
上記非特許文献39に従って合成を行った。エタノール100 mLに4.84 gの2-アセチルピリジン (40 mmol)と2.4 gのp-トルアルデヒド (20 mmol) を溶かし、更に28%アンモニア水及び1.6 gのNaOH (40 mmol)を加えて、34℃で2日間撹拌した。反応後、生じた白色沈殿をろ別した。得られた白色固体を、熱エタノールに溶かし、氷冷して再結晶した。得られた針状結晶をろ別し、氷冷したエタノール 10 mLで洗浄した後、真空乾燥した。収量4.35 g、収率 70%。
上記非特許文献39に従って合成した。反応は窒素気流下で行った。0.80 gの化合物2 (2.47 mmol)及び0.53 gのN-ブロモスクシンイミド(NBS, 2.97 mmol)を、10 mLの四塩化炭素に溶解した。その後、α,α-アゾビスイソブチロニトリル 33 mg (0.20 mmol)を加えて反応を開始した。加熱還流条件下で2時間反応させた後、生じた沈殿をろ過により除去した。エバポレーターにより溶媒を除去した後、エタノールより再結晶を行った。得られた淡黄色の針状結晶を真空乾燥して、化合物L3を得た。収量0.63 g、収率63%。
クリック修飾法による基材への錯体触媒固定方法の例を下記スキーム1に示す。スキーム1は、クリック修飾法により化合物L1をシリカゲルへ固定するスキームである。
シリカゲル5.0 gを1.0%(v/v) 化合物(Si-C3-N3)のトルエン溶液50 mLに加え、激しく撹拌した。110℃で3時間反応させた後に室温に戻し、シリカゲルをろ別回収した。得られたシリカゲルを、トルエン、次いでエーテルで洗浄し(各10 mL × 3)、最後に真空乾燥をして、シリカ表面に化合物(Si-C3-N3)を固定化した。収量5.0 g。このようにして得られた、化合物(Si-C3-N3)固定化シリカを、本実施例の記載においては、単にSi-N3と表記することがある(スキーム1参照)。
上記非特許文献42及び非特許文献43を参考にtpyの修飾を行った。64 mg のCuSO4 (0.40 mmol)を溶解した水20 mLと21 mgのL1を (0.080 mmol) 溶解したDMSO溶液60 mLを混合した。得られた溶液に2.0 gのSi-N3を分散させ、0.96 gのアスコルビン酸ナトリウム (4.85 mmol) を加えて反応を開始した。室温で3時間反応させると、反応液はこげ茶色となった。こげ茶色のシリカゲルを遠心分離により回収した。回収したシリカゲルは、0.1 M EDTAナトリウム水溶液100 mL中で一晩撹拌した。得られた淡黄色のシリカゲルを遠心分離にて回収し、水、メタノール、アセトン、次いでエーテルにて洗浄した(各20 mL × 3)。最後に真空乾燥を行い、淡黄色粉末として1.9 gの、化合物L1で修飾されたSi-N3を得た。このようにして得られた、化合物L1で修飾されたSi-N3を、本実施例の記載においては、単にSi-L1と表記することがある(スキーム1参照)。
Si-N3 5gを用い、化合物L1の代わりに化合物L2を用いた以外は、上記Si-L1の合成と同様の手法で合成を行い、化合物L2で修飾されたSi-N3を得た。収量4.7g。このようにして得られた、化合物L2で修飾されたSi-N3を、本実施例の記載においては、単にSi-L2と表記することがある。
アミノカップリング法による基材への錯体触媒固定化方法の例を下記スキーム2に示す。スキーム2は、アミノカップリング法により化合物L3をシリカゲルへ固定するスキームである。
化合物L3 0.25 g (0.61 mmol)をトルエン 5.0 mlに溶解し、アミノ修飾シリカゲル 1.0 gを加えた。室温で撹拌を続けると、溶け残っていた化合物L3が消失した。24時間撹拌後、シリカゲルを遠心分離で回収し、トルエン20 mL、アセトン20 mL、エーテル20 mLで洗浄した。真空乾燥により、淡黄色の、化合物L3で修飾されたアミノ修飾シリカゲル1.2 g 得た。このようにして得られた、化合物L3で修飾されたアミノ修飾シリカゲルを、本実施例の記載においては、単にSi-L3と表記することがある。
0.25 mmol の金属塩MX2(M = Mn, Fe, Co, Ni, X = Cl, Br, OAc)またはCuBrを水10 mLに溶かし、500 mgの三座配位子修飾シリカゲル(Si-Ln;すなわち、Si-L1、Si-L2、又はSi-L3)を加えた。室温で24時間撹拌した後、遠心分離により回収した。得られたシリカゲルを水、メタノール、エーテル(各5.0 mL × 2)で洗浄し、真空乾燥を行った。これにより、470-490 mgのシリカゲル固定化金属錯体(Si-M(Ln)X2/H2O)を得た。
上記Si-M(Ln)X2/H2Oの調製と同様の反応を水ではなくTHF中で行った。得られたシリカゲルの洗浄は、THF及びエーテル(各5.0 mL × 2)で行い、その後、真空乾燥を行った。これにより、470-490 mgのシリカゲル固定化金属錯体触媒(Si-M(Ln)X2/THF)を得た。
炭酸塩は基本的に有機溶媒に不溶であるため、溶液系の反応溶液から生成物と分離することは容易である。この性質は、錯体触媒をシリカゲル等の固体上に固定化した不均一触媒系と極めて相性が良い。すなわち、錯体固定化触媒及び炭酸塩をともに濾過や遠心分離で反応系から回収して、生成物と分離した後、回収された触媒と炭酸塩は再度利用可能である。
前述の通り、トリエトキシシラン(HSi(OEt)3)を基質とするヒドロシリル化触媒反応において、固定化触媒の活性はK2CO3の添加(好ましくは触媒量のK2CO3の添加)により劇的に向上することが判った。この原因を考察したところ、一つの可能性として、前述の反応系中の炭酸カリウム(K2CO3)は、ジブロモコバルト錯体が触媒活性種に誘導されるために有効な助剤として作用したのではないかと考えられた。そこで次に様々な助剤を添加して、トリエトキシシランによるスチレンのヒドロシリル化反応(下記式参照)を検討した。その結果を、表7に示す。
Si-Co(L1)Br2/H2Oを用いたヒドロシリル化反応では、上記の通り2.5 mol%の炭酸カリウムを添加した反応で良好な結果を得た。基質に対し、必要な炭酸カリウムの量を調査するために、様々な量の炭酸カリウムを添加して、同様のヒドロシリル化反応を行った。結果を表8に示す。
その他の炭酸塩の触媒活性化能を調査するため、様々な炭酸塩を用いたヒドロシリル化反応を試みた。
炭酸カリウムにより活性化された固定化触媒の繰り返しヒドロシリル化反応に対する耐久性の検討を行った。下記式に示す反応を行った後、遠心分離により固定化触媒および炭酸カリウムを固体として除去し、反応溶液のGC測定によりヒドロシリル化生成部の定量を行った。回収された固定化触媒および炭酸カリウムは、トルエン、エーテルで洗浄後に次の反応に使用した。繰り返し反応を行った結果を表10に示す。
Si-Co(L1)Br2/H2Oを触媒とし、炭酸塩にK2CO3を用いたトリエトキシシランによるスチレンのヒドロシリル化反応を空気下で行った。
Claims (8)
- アルカリ金属塩を含むヒドロシリル化反応触媒助剤であり、
アルカリ金属塩が、アルカリ金属の炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩、リン酸水素塩、及び硝酸塩からなる群より選択される少なくとも1種であり、
ヒドロシリル化反応触媒が、三座配位子金属錯体化合物を有する触媒であり、三座配位子金属錯体化合物が、式(i):
(式中、MはFe、Co、Ni、Mn、又はCuを示し、Xは同一又は異なって、Cl、Br、-OR X 、-OC(O)R X 、又は-OHを示す。R X は、2個有る場合には同一又は異なって、アリール基、又は炭素数1~6の直鎖若しくは分岐鎖状アルキル基を示す。)で表される化合物である、助剤。 - アルカリ金属塩がアルカリ金属炭酸塩である、請求項1に記載の助剤。
- アルカリ金属炭酸塩が、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、及び炭酸セシウムからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の助剤。
- アルカリ金属塩が、水中での酸解離定数pKaが2以上である塩である、請求項1~3のいずれかに記載の助剤。
- 三座配位子金属錯体化合物を有する触媒が、
錯体固定化触媒であって、
三座配位子金属錯体化合物及び基材を備え、
三座配位子金属錯体化合物が基材に固定化された触媒であり、
三座配位子金属錯体化合物を有する触媒が、式(A):
[三座配位子金属錯体化合物]-[リンカー部]-[基材] (A)
で表される錯体固定化触媒であって、
当該[三座配位子金属錯体化合物]-が、式:
(式中、MはFe、Co、Ni、Mn、又はCuを示し、Xは同一又は異なって、Cl、Br、-OR X 、-OC(O)R X 、又は-OHを示す。R X は、2個有る場合には同一又は異なって、アリール基、又は炭素数1~6の直鎖若しくは分岐鎖状アルキル基を示す。)で表される基であり、
当該-[リンカー部]-*(*が基材側を示す)が、式:
(式中、Zは結合手又は
を示し、nは1、2、3、4、5、又は6を示し、*は基材側を示し、R i 及びR ii は同一又は異なって、アリール基、又は炭素数1、2、3、4、5、若しくは6のアルキル基、あるいは-O-*を示す。ただし、少なくとも1つの*は基材に結合しており、それ以外の*は別のリンカー部のSi原子に結合していてもよい。)で表される基か、又は式:
(式中、Z、n、*、R i 及びR ii は前記に同じ。ただし、少なくとも1つの*は基材に結合しており、それ以外の*は別のリンカー部のSi原子に結合していてもよい。)で表される基である、
触媒である、
請求項1~4のいずれかに記載の助剤。 - 前記基材が、シリカ化合物基材又は表面に酸化皮膜を有する金属基材である、請求項5に記載の助剤。
- ヒドロシリル化反応助触媒である、請求項1~6のいずれかに記載の助剤。
- 請求項1~7のいずれかに記載の助剤の存在下で、ヒドロシリル化触媒によりヒドロシリル化反応を行うことを含む、ヒドロシリル化された化合物の製造方法。
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|---|---|---|---|---|
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| WO2016208554A1 (ja) | 2015-06-23 | 2016-12-29 | 公立大学法人大阪市立大学 | 鉄錯体化合物とそれを用いた有機ケイ素化合物の製造方法 |
| JP2018504452A (ja) | 2014-12-19 | 2018-02-15 | ダウ コーニング コーポレーションDow Corning Corporation | 配位子成分、関連する反応生成物、活性化反応生成物、ヒドロシリル化触媒、及び配位子成分を含むヒドロシリル化硬化性組成物、及びそれを調製するための関連する方法 |
| JP2018065103A (ja) | 2016-10-20 | 2018-04-26 | 国立大学法人京都大学 | 有機物を担持した光触媒の製造方法、及び有機物担持光触媒 |
| JP2018118925A (ja) | 2017-01-25 | 2018-08-02 | 公立大学法人大阪市立大学 | 鉄錯体触媒を用いたカルボニル化合物のヒドロシリル化反応によるアルコキシシランの製造方法 |
| JP2021037510A (ja) | 2019-08-29 | 2021-03-11 | 公立大学法人大阪 | 錯体固定化触媒 |
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-
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- 2021-10-06 JP JP2021164450A patent/JP7777817B2/ja active Active
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Non-Patent Citations (3)
| Title |
|---|
| Applied Organometallic Chemistry,2013年11月26日,vol.28,p.86-90,DOI:10.1002/aoc.3084 |
| Chemistry Letters,2019年,vol.48,p.1196-1198,DOI:10.1246/cl.190521 |
| Nature Chemistry,2017年,vol.9,p.595-600,DOI:10.1038/NCHEM.2697 |
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JP2022062691A (ja) | 2022-04-20 |
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