JP7831423B2 - 高炉のガス流速分布計算装置、ガス流速計算方法及び操業方法 - Google Patents

高炉のガス流速分布計算装置、ガス流速計算方法及び操業方法

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Description

本発明は、高炉のガス流速分布計算装置、ガス流速計算方法及び操業方法に関する。
高炉操業ではトラブルのない安定操業を前提に、低還元材比操業、高出銑比操業という大きな目標がある。これらを実現するためには、上部から装入する原料の円周方向及び半径方向の分布状態の適正化という課題が存在する。
高炉操業では鉄鉱石、コークスなどの原料は、高炉の上部から装入され、高炉の炉下部に設置された羽口から吹き込まれた高温ガスによって昇温及び還元される。装入後の炉上部付近の原料の分布(装入物分布)が適正でない場合、下降していく原料の適正な昇温及び還元が阻害され、低還元材比での操業が維持困難な状態になる。また、装入物分布が適正でない場合、炉熱低下や吹抜けなどのトラブルを招くリスクが大きくなる。さらに、装入物分布が適正でない場合、炉壁近傍の高炉ガス流である周辺流が多くなり過ぎることにより、ヒートロスも多くなる。このため、高炉の炉内ガス流速分布を適正にすることで、装入原料の昇温や還元を適切に行うことができ、炉壁からのヒートロスの低減や吹き抜けなどのトラブルの発生を抑制することができる。また、高炉の炉内ガス流速分布を適正にすることで、結果として、使用コークス比率が低減することができ、操業コストを低減することができる。
高炉原料の装入面におけるガス流速の分布状態の把握は、装入した原料の分布状態や昇温が適切に行われるかの判断材料として重要である。しかし、高炉の炉内は、ダストが多く、吹き抜けなどによって500℃以上の高温になる時があるなど、悪環境である。このため、現時点では、特許文献1に示すようなセンサによる、高炉の炉内ガス流速分布の計測は、オンラインでの常時計測が難しく、またテンポラリでの計測も困難とされている。一方、高炉の炉内ガス流速分布を推定する手法として、特許文献2には、複数の測定点で測定されたガス温度及び原料高さ並びに炉内ガスの総ガス流量に基づいて、炉内ガス流分布を測定する方法が提案されている。
特開2013-11582号公報 特開2010-209404号公報
ところで、特許文献2の方法は、高炉の炉口部の外周から突き出し設置されている炉口ゾンデで計測した値の使用を前提としており、炉口ゾンデの半径方向に設置される数点の熱電対で温度計測を行っている。しかしながら、より多点の測温を行おうとすると、炉口ゾンデが原料装入に干渉して適正な装入ができなくなる。このため、特許文献2の方法では、半径方向の測温については多くとも4方向からの測温に留まっており、測定点数が少ないことから未測温の領域については測温値を内挿して推定している。しかしながら、このような方法では、局所的な流速の変化を測定することが難しく、未測温部の領域が多いことによって測定精度が低くなることが課題であった。
そこで、本発明は、上記の課題に着目してなされたものであり、高炉に装入された原料の装入面直上のガス流速分布を精度よく求めることができる、高炉のガス流速分布計算装置、ガス流速計算方法及び操業方法を提供することを目的としている。
(1)本発明の一態様によれば、高炉に間欠的に装入される原料の装入面の直上のガス温度分布を計測する温度計測部と、上記原料の装入高さを上記装入面で計測する高さ計測部と、上記ガス温度分布と上記装入高さとに基づいて、上記原料の装入面直上のガス流速分布を計算する計算部と、を備える、高炉のガス流速分布計算装置が提供される。
(2)上記(1)の高炉のガス流速分布計算装置において、上記温度計測部及び上記高さ計測部は、炉口ゾンデを用いない。
(3)上記(1)又は(2)の高炉のガス流速分布計算装置において、上記温度計測部は、音波式温度計であり、上記高さ計測部は、マイクロ波又はミリ波を用いた走査型の距離計である。
(4)上記(1)~(3)のいずれか1つの高炉のガス流速分布計算装置において、上記計算部は、上記装入面の各部のガス温度の時系列データと、上記装入面の各部の上記ガス温度の外挿値と、上記装入面の各部の上記装入高さの変化から計算される装入厚みとに基づいて、上記原料の装入面の各部のガス流速を計算し、上記外挿値として、上記装入面の各部において、過去の上記原料の装入間の温度上昇データに対して、時定数が一次の増加関数をフィットさせた温度上昇曲線を用いる。
(5)本発明の一態様によれば、高炉に間欠的に装入される原料の装入面の直上のガス温度分布を計測し、上記原料の装入高さを上記装入面で計測し、上記ガス温度分布と上記装入高さとに基づいて、上記原料の装入面直上のガス流速分布を計算する、高炉のガス流速分布計算方法が提供される。
(6)上記(5)の高炉のガス流速分布計算方法において、上記ガス温度分布を計測する際、及び上記装入高さを計測する際に、炉口ゾンデを用いない。
(7)上記(5)又は(6)の高炉のガス流速分布計算方法において、上記ガス温度分布を計測する際に、音波式温度計を用い、上記装入高さを計測する際に、マイクロ波又はミリ波を用いた走査型の距離計を用いる。
(8)上記(5)~(7)のいずれか1つの高炉のガス流速分布計算装置において、ガス流速分布を計算する際に、上記装入面の各部のガス温度の時系列データと、上記装入面の各部の上記ガス温度の外挿値と、上記装入面の各部の上記装入高さの変化から計算される装入厚みとに基づいて、上記原料の装入面の各部のガス流速を計算し、上記外挿値として、上記装入面の各部において、過去の上記原料の装入間の温度上昇データに対して、時定数が一次の増加関数をフィットさせた温度上昇曲線を用いる。
(9)本発明の一態様によれば、高炉の操業時において、上記(5)~(8)のいずれか1つに記載の高炉のガス流速分布計算方法を用いて、上記高炉に装入された原料の装入面直上のガス流速分布を計算する、高炉の操業方法が提供される。
本発明の一態様によれば、高炉に装入された原料の装入面直上のガス流速分布を精度よく求めることができる、高炉のガス流速分布計算装置、ガス流速計算方法及び操業方法が提供される。
本発明の一実施形態に係るガス流速分布計算装置の構成例を示す構成図である。 ガス流速分布計算装置の一部装置の設置例を示す模式図である。 原料の装入面の所定位置における、原料の直上のガス及び装入された原料の温度推移の一例を示すグラフである。 実施例1におけるフィッティングの一例を示すグラフである。 実施例2における音波式温度計の測温点を示す説明図である。 実施例2におけるガス流速分布の計測結果を示すグラフである。
以下の詳細な説明では、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付し、重複する説明を省略する。各図面は模式的なものであり、現実のものとは異なる場合が含まれる。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において種々の変更を加えることができる。
<装置構成>
本発明の一実施形態における装置構成を、図1,2を用いて説明する。本実施形態の高炉2のガス流速分布計算装置1は、高炉2に装入された原料3の装入面直上のガス流速分布を計算する装置であり、温度計測部10と、高さ計測部11と、記憶部12と、計算部13と、表示部14とを備える。ガス流速分布計算装置1は、炉口ゾンデを用いないゾンデレスの構成である。
温度計測部10は、高炉2に装入された原料3の装入面の直上のガス温度分布を計測する。温度計測部10は、原料3の装入面の直上のガス温度分布をゾンデレスで遅くとも1分以内に計測可能な温度センサであることが好ましい。また、温度計測部10は、音波式温度計(音波式温度センサ)であることが好ましい。この場合、温度計測部10は、高炉2の炉口20の外周に設けられる複数の音波式温度センサからなる。温度計測部10としては、例えば、音速差に基づき温度分布を求めることが可能なドイツTMT社の高炉炉頂ガス温度測定システム「SOMA」などを用いることができる。温度計測部10によるガス温度分布の計測は、高炉2の操業中、連続して行われる。ガス温度分布の計測周期(サンプリング周期)は、特に限定されないが、少なくとも原料3の装入直後のガス温度の変化が分かる程度に設定されることが好ましい。例えば、ガス温度分布の計測周期は、1minであってもよい。音波式の温度計測部10においては、高炉2の炉口20の外周に設置された音の送受信機の数を増やすことで、計測した音速を用いて、音速とガス温度との関係に基づいた所定の方程式から計算される温度点を増やすことが可能である。さらに、その計算測温点値の内挿を行うことで原料3の装入面上部の温度全体を求めることが可能となる。つまり、本実施形態では、温度計測部10による計測によって、原料3の装入面の温度が得られる。なお、温度計測部10による計測には、音波式温度計等による温度点の温度の計測に加えて、上述の計算測温点の温度の推定が含まれてもよい。
高さ計測部11は、高炉2に装入された原料3の装入高さを装入面で計測する。装入高さとは、装入面の鉛直方向の高さ位置である。高さ計測部11は、原料3の装入面全体の装入高さをゾンデレスで計測可能であることが好ましく、マイクロ波又はミリ波を用いた走査型の距離計とすることがより好ましい。例えば、図2に示す例では、高さ計測部11は、炉口20の上部に設けられた走査型の距離計である。また、高さ計測部11には、例えば、WADECO社製の「ランスレス高炉3Dプロファイルメータ ミリスキャナー」を用いることができる。高さ計測部11による装入高さの計測は、高炉2の操業中、原料3が高炉2に装入されるタイミング毎のバッチ毎に行われる。
記憶部12は、温度計測部10で計測されるガス温度分布、及び高さ計測部11で計測される装入高さを取得し、記憶する記憶装置である。また、記憶部12は、高炉2の炉口20から排出されたガス流量である全ガス流量を上位計算機等から取得し、記憶する。全ガス流量は、炉口20又は炉口20より先に設けられた測定装置によって、高炉2の操業中、連続的に測定される。記憶部12は、ガス温度分布、装入高さ及び全ガス流量を時系列データとして記憶する。また、記憶部12に記憶されるガス温度分布は、時間平均処理したデータであってもよい。この場合、ガス温度分布の時間平均処理は不図示の計算手段又は温度計測部10によって行われる。さらに、記憶部12に記憶される装入高さは、バッチ毎の装入厚みであってもよい。装入厚みは、原料3を前回投入した状態から次に原料3が投入された後の装入高さの差分であり、不図示の計算手段又は高さ計測部11によって、装入面において計算される。さらに、記憶部12は、計算部13により計算されるガス流速分布も取得し、記憶する。
計算部13は、ガス温度分布と装入高さとに基づいて、原料3の装入面直上のガス流速分布を計算する計算装置である。計算部13は、記憶部12から、ガス温度分布、装入高さ及び全ガス流量を取得し、これらのデータを用いて原料3の装入面直上のガス流速分布を計算する。計算部13によるガス流速分布の計算方法の詳細については、後述する。計算されたガス流速分布は、記憶部12と表示部14に送られる。
表示部14は、計算部13で計算されたガス流速分布を表示する表示装置である。
<ガス流速分布の計算方法>
ガス流速分布の計算方法の一例を以下に示す。なお、ガス流速分布の計算方法は、特許文献2に記載の方法と同様であっても構わない。
まず、原理について説明するため、高炉2の操業プロセスでの現象について説明する。操業中の高炉2では、鉄鉱石やコークス等の原料3が旋回シュート(不図示)などを通して高炉2の炉上部から炉内に間欠的に装入される。また、高炉2では、炉下部に設置された羽口21から吹き込まれた高温の空気がコークスなどとの反応により還元性の炉内ガスとなり、装入物の隙間を通って炉頂部へ流入し、炉頂部から高炉本体外部へ排出される。このようなプロセスでは、高温の炉内ガスは、常温か常温よりもやや高い程度の温度と低い温度の原料3との間で熱交換を行なう。このため、原料3が高炉へ装入されると、その直後から熱交換の影響により炉頂部を流れる炉内ガス及び装入された原料3の温度がそれぞれ変化(下降及び上昇)する。
本実施形態に係るガス流速分布の計算方法は、上記の熱交換を表現可能な向流伝熱モデルに基づいた手法であり、原料3の装入タイミングにおける原料投入前後の温度変化と1バッチの原料装入速度(装入厚さ)とから、ガス流速分布の計算を行っている。
図3には、原料3の装入面の所定位置における、原料3の直上のガス及び装入された原料3の温度推移の一例を示す。図3では、前回の原料装入後のガス温度上昇、その後の原料装入によるガス温度下降、その後の温度上昇を表している。この図3を用いて、本実施形態のガス流速分布推定方法の計算方法を説明する。
図3において、ΔTgを下面ガス温度と上面ガス温度との差とする。下面ガス温度は、前回装入した原料3の温度を使用して、外挿により計算を行う。なお、下面ガス温度の推定方法の詳細は後述する。また、下面ガス温度は、計算に使用する原料厚みとなる原料3が装入された後の温度上昇を用いる。
向流伝熱の考え方より、Δt間でガス流速が変化しないとすると時間t1,t2において、それぞれ下記の(1)式及び(2)式が成り立つ。
Vg×Cg×ΔTg1= h×a×(Tg1-Ts1)×S×ΔZ ・・・(1)
Vg×Cg×ΔTg2= h×a×(Tg2-Ts2)×S×ΔZ ・・・(2)
ここで、
Vg: 炉口ガス流量[kg/h]
Cg: ガス比熱[kcal/kg℃]
Tg1: 時間t1におけるガス温度[℃]
Tg2: 時間t2におけるガス温度[℃]
Ts1: 時間t1における今回装入した原料の温度[℃]
Ts2: 時間t2における今回装入した原料の温度[℃]
h: 伝熱係数[kcal/m2h℃]
a: 単位容積当りの粒子表面積[m2/m3]
S: 炉頂部の断面積[m2]
ΔZ: 今回装入した原料の装入厚み[m]
(1)式及び(2)式より、K=h×a×Sとすると、下記(3)式となる。
ΔTs = Ts2-Ts1 = (Tg2-Tg1)-Vg×Cg×(ΔTg2-ΔTg1)/(K×ΔZ) ・・・(3)
ここで、
ΔTs: Δtにおける装入された原料の上昇温度[℃]
一方、Δt間で、ガスと固体とが向流にて交換した熱量は等しいので下記(4)式が成り立つ。
Cg×ΔTg×Vg×Δt= Cs×ΔTs×Vs×Δt ・・・(4)
ここで、
Cs: 固体比熱[kcal/kg℃]
さらに、Δtを1サンプリングとすると、(4)式は下記(5)式に近似できる。
(ΔTg1+ΔTg2)×Vg/2= ΔTs×Vs/2 ・・・(5)
ここで、
Vs: 装入物流量[kg/h](1バッチあたりの層厚)
図3に示す例では、温度データサンプリング周期(1min)と同程度の時間で、原料3の装入が行われている。また、t1とt2との時間差が小さいとして、ΔZ=Vsとすると、(3)式及び(5)式より、(6)式となる。
(Tg2-Tg1)-Vg×Cg×(ΔTg2-ΔTg1)/(K×ΔZ)= (ΔTg1+ΔTg2)×Vg/ΔZ ・・・(6)
よって、温度の近傍領域の流速[m/h]は、下記(7)式で示される。
Vg=(Tg2-Tg1)×ΔZ/〔Cg×(ΔTg2-ΔTg1)/K+(ΔTg1+ΔTg2)〕 ・・・(7)
(7)式における未知変数Kついては、すべての温度計値を対象に流速[m/h]を計算した後、温度計測温ポイントを中心として、ストックレベル高さ断面積領域を分割し、そこを通過する流量[m3/h]を計算する。そして、その総計が炉口の全ガス流量と一致するようにKをゴールシーク計算などで求める。
以上のような計算をすることで、原料3の装入面の所定位置におけるガス流速を計算することができる。本実施形態では、原料3の装入面の各部におけるガス流速を計算することで、装入面全体のガス流速分布を計算する。なお、ガス流速を計算する位置は、温度計測部10で測定している高さ位置とすることが好ましい。つまり、温度計測部10に音波式温度センサを用いる場合には、音波式温度センサの設置高さとすることが好ましい。また、高さ計測部11がマイクロ波又はミリ波を用いた走査型の距離計である場合、原料面を±50mm程度の精度で計測可能であり、上部からの原料装入の精度から考えて、装入面での原料の装入厚さが計測可能となる。
(下面ガス温度の推定方法)
ガス流速の計算に用いられる下面ガス温度の推定方法について説明する。本実施形態では、下面ガス温度は、原料装入後の温度上昇曲線から求められる。温度上昇曲線は、過去の原料3の装入間におけるガス温度分布の時系列データである温度上昇データを用いて求められる。また、温度上昇曲線は、過去の少なくとも2サイクルの温度変化(原料装入後の温度上昇過程)から求められる。
音波式温度計で取得した炉口部温度の時系列データに対して、単純に移動平均やフィルタなどのデータ処理を適用すると、バッチ間(原料3の装入間)にあるノイズ的な変動に影響されてしまい、本来捉えたい現象とは異なる場合がある。前述したような原料装入時の物理特性を考慮すると、外挿する関数は上に凸の一次増加関数で、無限大時間先には一定値に収束する関数が適切と考えられる。このため、装入間の温度におけるmin-max間のデータを抜き出し、その間の温度値に時定数が一次の増加関数フィットさせることで温度上昇曲線が求められる。温度上昇曲線は、例えば、下記(8)式を用いて求めることができる。ここで、ゲインG、および時定数Tを調整してエラーが最小になるようにフィットさせる。
ここで、
y(t):時間tにおける温度[℃]
G:ゲイン
T:時定数
t:時間[s]
本実施形態のように音波式温度系を用いる場合、従来使用していたような炉口ゾンデの熱電対に比べて応答速度を速いため、細かな温度変動を検知してしまう。更に装入バッチ間の装入過程においては、装入時の原料3の流れ込みが発生し、原料3が装入された箇所では通気抵抗が増加し、原料3が装入されていない箇所では通気抵抗が減少する。また、旋回しながら原料3を装入しているため、装入過程(途中)においても流量分布・ガス温度が少し変化する場合がある。これらの要因から、装入間において温度は一意に増加せずに、上下に変動すると考えられる。装入時の高さ計測部11による計測は、原料装入が無いタイミングにおけるバッチ前後のデータを精度良く取得することができる。このため、流速計算のために必要なバッチ(原料装入開始~終了)間の代表的な一意に増加する温度の変化を獲得することがガス流束分布の推定精度向上のためには重要となる。そして、上記の関数へのフィッティングを行うことで、それが可能となる。なお、本実施形態では、原料の装入面の直上におけるガス温度分布と原料の装入高さとを計測するものとするが、この原料の装入面は障害物がないため、任意の領域とすることができるが、装入面全面であることが好ましい。
<変形例>
以上で、特定の実施形態を参照して本発明を説明したが、これら説明によって発明を限定することを意図するものではない。本発明の説明を参照することにより、当業者には、開示された実施形態とともに種々の変形例を含む本発明の別の実施形態も明らかである。従って、特許請求の範囲に記載された発明の実施形態には、本明細書に記載したこれらの変形例を単独または組み合わせて含む実施形態も網羅すると解すべきである。
例えば、上記実施形態では、ガス流速分布を求める際に、装入面の各部における流速を求めるとしたが、本発明はかかる例に限定されない。高炉2の操業においては、円周方向(同一半径位置)のガス流速分布を可能な限り均一にしたいため、円周方向のガス流速バランスから状態判断を行うこともできる。このため、装入面のガス流速の相対的なバランスだけを求めるようにしてもよい。この場合、上記実施形態の炉口20の全ガス流量を案分する必要はなく、炉口20の全ガス流量も用いる必要もない。
さらに、本発明は、高炉2の操業方法にも適用することができる。本発明に係る高炉2の操業方法では、高炉2の操業時において、上記実施形態及び変形例の高炉2のガス流速分布計算方法を用いて、高炉2に装入された原料3の装入面直上のガス流速分布を計算する。このような操業方法では、計算されたガス流速分布に応じて、原料装入の分布制御を改善することができるため、使用コークス比を低減することができる。
<実施形態の効果>
(1)本発明の一態様に係る、高炉2のガス流速分布計算装置1は、高炉2に間欠的に装入される原料3の装入面の直上のガス温度分布を計測する温度計測部10と、原料3の装入高さを装入面で計測する高さ計測部11と、ガス温度分布と装入高さとに基づいて、原料3の装入面直上のガス流速分布を計算する計算部13と、を備える。
上記(1)の構成によれば、原料3の装入面におけるガス流速分布を計算することで、局所的な流速の変化も測定できることから、
(2)上記(1)の高炉2のガス流速分布計算装置1において、温度計測部10及び高さ計測部11は、炉口ゾンデを用いない。
ここで、特許文献2のように炉口ゾンデを用いる方法では、炉口ゾンデ(アーム数)を増やすことで多点での温度測定が可能となる。しかし、原料の装入厚さを計測するプロフィールメータの計測と干渉するため、プロフィールメータによる装入面での精度の良い計測が阻害される。同様に、炉口ゾンデがあるプロフィールメータで原料の装入厚さを多くの箇所において行うには、プロフィールメータが設けられた炉口ゾンデを多方向から装入して計測するといった手段も考えられる。しかし、この場合、原料装入や炉口ガス温度の測定と干渉するため、特許文献2における検討では半径方向一か所でしか計測されておらず、精度良く流速分布全体を計算することは困難であった。一方、上記(2)の構成によれば、炉口ゾンデ等の原料装入面の直上に設置されるアームを用いないため、原料装入等の他の動作に干渉することなく、装入面でのガス流速分布を計測できる。また、温度計測部10と高さ計測部11同士の干渉も防止することができる。
(3)上記(1)又は(2)の高炉2のガス流速分布計算装置1において、温度計測部10は、音波式温度計であり、高さ計測部11は、マイクロ波又はミリ波を用いた走査型の距離計である。
上記(3)の構成によれば、温度の応答が遅い熱電対を前提とした特許文献2のような方法に比べて、炉口の変化を短時間で計測可能となるため、より高い精度で炉内ガス流速分布を計測することができる。
(4)上記(1)~(3)のいずれか1つの高炉2のガス流速分布計算装置1において、計算部13は、装入面の各部のガス温度の時系列データと、装入面の各部のガス温度の外挿値と、装入面の各部の装入高さの変化から計算される装入厚みとに基づいて、原料3の装入面の各部のガス流速を計算し、外挿値として、装入面の各部において、過去の原料の装入間の温度上昇データに対して、時定数が一次の増加関数をフィットさせた温度上昇曲線を用いる。
上記(4)の構成によれば、外挿値として精度の高い値を推定することができるため、より高い精度で炉内ガス流速分布を計測することができる。
(5)本発明の一態様に係る高炉のガス流速分布計算方法は、高炉2に間欠的に装入される原料の装入面の直上のガス温度分布を計測し、原料の装入高さを装入面で計測し、ガス温度分布と装入高さとに基づいて、原料の装入面直上のガス流速分布を計算する。
(6)上記(5)の高炉のガス流速分布計算方法において、ガス温度分布を計測する際、及び装入高さを計測する際に、炉口ゾンデを用いない。
(7)上記(5)又は(6)の高炉のガス流速分布計算方法において、ガス温度分布を計測する際に、音波式温度計を用い、装入高さを計測する際に、マイクロ波又はミリ波を用いた走査型の距離計を用いる。
(8)上記(5)~(7)のいずれか1つの高炉のガス流速分布計算方法において、ガス流速分布を計算する際に、装入面の各部のガス温度の時系列データと、装入面の各部のガス温度の外挿値と、装入面の各部の装入高さの変化から計算される装入厚みとに基づいて、原料の装入面の各部のガス流速を計算し、外挿値として、装入面の各部において、過去の原料の装入間の温度上昇データに対して、時定数が一次の増加関数をフィットさせた温度上昇曲線を用いる。
上記(5)~(8)の構成によれば、上記(1)~(4)の構成と同様な効果が得られる。
(9)本発明の一態様に係る高炉の操業方法は、高炉2の操業時において、上記(5)~(8)のいずれか1つに記載の高炉のガス流速分布計算方法を用いて、高炉に装入された原料の装入面直上のガス流速分布を計算する、高炉の操業方法が提供される。
本発明者らが実施した実施例1について説明する。実施例1では、温度計測部10である音波式温度計で計測された温度一点に対して、(8)式を適用してフィットさせることで、温度上昇曲線を求めた。使用した温度データは、バッチ間のデータとし、原料装入後~次回装入直前までのデータを切り出して使用した。このデータはバッチ間のデータであるが、データ自体は一意に増加しているものではなく、途中で低下した後上昇することが確認できた。バッチ間の全投入原料に対しての平均的な温度上昇が判れば、計算目的は満たせる。図4に実施例の結果を示す。図4に示すようにこの関数を用いることで、温度計算、特に外挿温度を計算する際にノイズ的な変動に影響されることなく、適切な温度値を求めることが可能であることが確認できた。
実施例2では、実施例1と同じ計算を音波式温度計の各測温点に対して適用し、各測定点のガス流速計算を行い、求めた各測定点のガス流速値の比率に応じて、全体のガス流速流量値を按分して、ガス流速分布を求めた。なお、測定点は、図5に示す全57点(〇が測定点、半径方向7点×円周方向8点+中心1点)である。
実施例2におけるガス流量分布の計算結果を図6に示す。なお、図6において測温点以外は内挿計算で表示用の値の計算を行っている。この結果は、想定のいわゆるW型の流速分布と一致しており、円周方向でのバランスも若干ながら異なるも確認できた。以上の結果から、上記実施形態に係る高炉のガス流速分布測定装置及びガス流速分布測定方法によれば、精度よくガス流速を計測できることが確認できた。なお、音波式温度計を用いることで、さらに多くの測定点(例えば、図5の測定点から径方向或いは周方向にずれた測定点)における温度を測定することができるため、ガス流速をより高い精度で計測することもできる。
1 ガス流速分布計算装置
10 温度計測部
11 高さ計測部
12 記憶部
13 計算部
14 表示部
2 高炉
20 炉口
21 羽口
3 原料

Claims (3)

  1. 高炉に間欠的に装入される原料の装入面全面の直上のガス温度分布の時系列データを計測する音波式温度計を有し、炉口ゾンデを用いない温度計測部と、
    前記原料の装入高さを前記装入面全面で、前記原料の装入されるタイミング毎のバッチ毎に計測する、マイクロ波又はミリ波を用いた走査型の距離計を有し、炉口ゾンデを用いない高さ計測部と、
    前記ガス温度分布と前記装入高さとに基づいて、前記原料の装入面直上のガス流速分布を計算する計算部と、
    を備え、
    前記計算部は、前記装入面の各部のガス温度の時系列データと、過去の前記原料の装入間に上下に変動しながら増加する時系列データである温度上昇データに対し時定数が一次の増加関数をフィットさせた温度上昇曲線に基づく前記装入面の各部の前記ガス温度の外挿値と、前記装入面の各部の前記装入高さの変化から計算される装入厚みとに基づいて、前記原料の装入面の各部のガス流速を計算する、高炉のガス流速分布計算装置。
  2. 高炉に間欠的に装入される原料の装入面全面の直上のガス温度分布の時系列データを、炉口ゾンデを用いないで、音波式温度計を用いて計測し、
    前記原料の装入高さを、炉口ゾンデを用いないで、マイクロ波又はミリ波を用いた走査型の距離計を用いて、前記装入面の全面で、前記原料の装入されるタイミング毎のバッチ毎に計測し、
    前記ガス温度分布と前記装入高さとに基づいて、前記原料の装入面直上のガス流速分布を計算し、
    前記ガス流速分布を計算する際に、前記装入面の各部のガス温度の時系列データと、過去の前記原料の装入間に上下に変動しながら増加する時系列データである温度上昇データに対し時定数が一次の増加関数をフィットさせた温度上昇曲線に基づく前記装入面の各部の前記ガス温度の外挿値と、前記装入面の各部の前記装入高さの変化から計算される装入厚みとに基づいて、前記原料の装入面の各部のガス流速を計算する、高炉のガス流速分布計算方法。
  3. 高炉の操業時において、請求項2に記載の高炉のガス流速分布計算方法を用いて、前記高炉に装入された原料の装入面直上のガス流速分布を計算する、高炉の操業方法。
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