JPH0136519B2 - - Google Patents
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- JPH0136519B2 JPH0136519B2 JP58000179A JP17983A JPH0136519B2 JP H0136519 B2 JPH0136519 B2 JP H0136519B2 JP 58000179 A JP58000179 A JP 58000179A JP 17983 A JP17983 A JP 17983A JP H0136519 B2 JPH0136519 B2 JP H0136519B2
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Description
本発明は、金属缶特に飲料金属缶の製造方法に
関するもので、より詳細には、塗装金属素材か
ら、耐腐食性やフレーバー特性に優れた高絞り率
の飲料金属缶を、良好な加工作業性及び脱脂洗滌
性をもつて製造する方法に関する。 飲料用の金属容器としては、アルミ、ブリキ等
の金属素材を深絞り加工或いは絞りーしごき加工
に付してフランジ付のコツプ状缶体とし、これと
缶蓋とを二重巻締して成るツーピース缶や、或い
は上記素材をプレス加工に付してカツプ状の有底
下部体と、カツプ状の注ぎ口付上部体とを製造
し、これら下部体及び上部体を、その周状の開口
端部において重ね合せ接合して、ビン状の容器と
したものが使用されている。 この絞り加工乃至はプレス加工においては、加
工に先立つて、金属素材上に予じめ有機塗膜を設
けておくことが、絞り加工性や作業性の点でも、
また加工後の缶体に塗装を施こすという煩わしさ
がない点でも好ましいが、塗装金属素材を数段の
プレス加工によつて深絞りを行おうとする時には
未だ次の欠点がみられる。 即ち、公知の塗装金属素材では自ら一定の絞り
限界があり、この絞り限界を越えると、頭或いは
フランジの部分で該素材の破断を生じ易く、従つ
て径当りの高さの比率の大きい飲料缶を製造する
ことが困難となる。 また、このプレス加工に際して、絞り比が大き
くなると、素材上の塗膜に剥離や破断、クラツ
ク、ピンホール等の塗膜欠陥が生じ易くなり、内
容物への金属溶出(特に鉄溶出)や缶体の孔食等
の腐食が生じ易くなる。 更に、塗膜上にそれ自体公知の滑剤を塗布して
絞り加工性を向上させることも考えられるが、こ
の場合には塗膜上の滑剤を脱脂することが困難と
なり、また塗膜上に残存する滑剤が、微妙な風味
を生命とする飲料のフレーバーを損い易いという
致命的な欠点がある。 本発明者等は、炭素数8乃至24の脂肪酸成分を
有する液体グリセリド、エタノール及び非イオン
性界面活性剤を含有する水中油型水性エマルジヨ
ンを、塗装金属素材の塗膜面に施すと、優れた絞
り加工性と優れた脱脂洗滌性との組合せが得ら
れ、上述した諸欠点が全て解消された飲料用金属
缶が得られることを見出した。 即ち、本発明の目的は、上述した諸欠点が解消
された金属缶、特に飲料金属缶の成形法を提供す
るにある。 本発明の他の目的は、従来の成形法に比して絞
り限界を顕著に向上させ且つ脱脂洗滌性をも顕著
に向上させた飲料金属缶の成形法を提供するにあ
る。 本発明の更に他の目的は、潤滑成分を塗装金属
素材の塗膜面に一様にしかも均一に塗布すること
ができ、素材上の塗膜に欠陥を生ずることなし
に、高度の絞り加工を行うことが可能な飲料金属
缶の製法を提供するにある。 本発明によれば、予め有機樹脂塗膜を形成させ
た金属素材を数次の多段絞り加工に付し、金属缶
を製造する方法において、炭素数8乃至24の脂肪
酸成分を有する液体グリセリドを全体当り3乃至
50重量%、水混和性有機溶媒としてエタノールを
全体当り1乃至20重量%、及び非イオン性界面活
性剤をグリセリド当り0.5乃至10重量%含有する
水中油型水性乳化液を、前記素材の有機塗膜面上
に均一に塗布し、塗布後の素材を絞り成形に付
し、絞り成形で得られた缶を温間で水性媒体によ
る洗滌に付することを特徴とする金属缶の製造方
法が提供される。 本発明を以下に詳細に説明する。 プレス成形に付する金属素材の断面構造を示す
第1図において、この成形用金属素材1は、アル
ミ板、ブリキ等から成る金属基質2、該基質の両
表面に設けられた有機塗膜3a,3bから成つて
いる。 本発明は、これら有機塗膜3a,3bの表面
に、プレス加工に先立つて、炭素数8乃至24の脂
肪酸成分を有する液体グリセリド、エタノール及
び非イオン性界面活性剤を特定の量比で含有する
水中油型水性乳化液の層4a,4bを一様に塗布
し設けることに特徴を有するものである。 従来、金属素材のプレス成形等に際して、潤滑
剤を水性乳化液の形で用いることは一般に公知に
属する。しかしながら、この水性乳化液形の潤滑
剤は鉱油系のものであり、かかる鉱油系の水性潤
滑剤は、塗装金属材の塗膜面に施した場合、塗膜
面と強固になじみ、温水洗滌等の簡便な手段で
は、成形後の缶体塗膜面から脱脂することが困難
となる。しかも、この水性エマルジヨンは、塗膜
面に一様に塗布することも困難であり、水性エマ
ルジヨンの層が存在する部分では良好な潤滑効果
が得られるとしても、撥水された部分では塗膜の
損傷等が必らず生じることになる。 本発明では、潤滑成分としてグリセリドを選択
し、しかもこのグリセリドを非イオン性界面活性
剤で乳化された水性エマルジヨンの形で用いるこ
とにより、成形後の缶体を温間での水性媒体によ
る洗浄に付するという極めて簡単な操作で、塗膜
表面の脱脂洗浄が有効にしかも完全に行われるも
のである。また、この水性エマルジヨン中に少量
のエタノールを混入させたことにより、塗膜表面
の濡れ性が顕著に向上し、水性エマルジヨンの均
一な薄層が塗膜表面に一様に保持され、プレス成
形に際して優れた潤滑作用と、塗膜の冷却保護作
用とが行われるものである。 本発明で用いるエタノールは種々の水混和性有
機溶媒の内でも塗膜の濡れ性を向上させる作用に
特に優れており、また食品類のフレーバー保持性
にも優れている。 本発明に用いるグリセリドが塗装金属素材のプ
レス加工に際して、優れた脱脂洗滌性と加工性と
を示す理由は正確には不明であるが、次のような
ものと考えられる。即ち、このグリセリドは、脂
肪酸に由来する無極性基(親油性基)とグリセリ
ド(グリセリンエステル)に由来する極性基とを
有するという化学構造上の特徴を有する。この化
学構造上の特徴により、プレス加工に際しては、
同様の極性基を有する塗膜表面に対して一様で、
連続した、しかも油膜強度の高い潤滑面を形成す
ると信じられる。更に、このような潤滑膜は、水
性エマルジヨンに含まれる非イオン性乳化剤の作
用及び上述した化学構造上の特徴により、洗滌時
の温水中に容易に再乳化分散し、優れた脱脂性能
が得られるものと認められる。 本発明に用いるグリセリド中の脂肪酸成分は、
8乃至24の炭素数、特に12乃至24の炭素数を有す
ることも重要であり、この炭素数が上記範囲より
も低いと、油膜強度が低く、満足すべき潤滑性能
が得られなくなる。一方、この炭素数が上記範囲
よりも高いと前述した再乳化分散が困難となつて
脱脂性能が低下する。 グリセリドを構成する脂肪酸としては、カプリ
ル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、
パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ア
ラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン
酸、等の飽和脂肪酸の他に、2―オクテン酸、カ
プロレイン酸、2―ラウロレイン酸、ミリストレ
イン酸、パルミトレイン酸、ペトロセリン酸、オ
レイン酸、エライジン酸、ゴンドイン酸、エルカ
酸、セラコレイン酸、リノール酸、リノエライジ
ン酸、エレオステアリン酸、リノレン酸、アラキ
ドン酸、クルパノドン酸等の不飽和脂肪酸等が挙
げられる。 これらの脂肪酸は、一般にトリグリセリドの形
で本発明の目的に使用されるが、このトリグリセ
リドは常温で液体であるという条件下において、
単独脂肪酸グリセリド或いは混合脂肪酸グリセリ
ドであることができる。トリグリセリドの適当な
例は次の通りである。トリカプリリン、1―オレ
オ―2,3―ジカプリン、1―カプリル―2,3
―ジオレイン、1―ラウロ―2,3―ジオレイ
ン、1―ラウロ―2,3―ジリノレイン、1―ミ
リスト―2,3―ジリノレイン、1―パルミト―
2,3―ジリノレイン、1―ステアロ―2,3―
ジリノレイン。 勿論、このトリグリセリドは、サフラワー油、
大豆油、ヒマワリ油、トウモロコシ油、綿実油、
ゴマ油、ナタネ油、コメ油、カボツク油、落花生
油、オリーブ油、パーム油、ヤシ油等の食用植物
油系混合グリセリドであつてよい。 本発明においては、上述したトリグリセリドを
用いることが望ましいが、所望によつては、ジグ
リセリドやモノグリセリドが混入されたものを用
いることもできる。 本発明においては、上述した液体グリセリドを
水性乳化液の形で用いる。この水性乳化液は、潤
滑性能の点で、3重量%以上、特に5重量%以上
のグリセリドを含有すべきであり、一方脱脂性能
や冷却効果の点では、エマルジヨン中のグリセリ
ド量は50重量%以下、特に40重量%以下とすべき
である。 本発明では、液体グリセリドの乳化分散剤とし
て非イオン性界面活性剤を使用する。即ち、非イ
オン性界面活性剤は、他の界面活性剤に比して、
塗膜表面の脱脂洗浄性に特に優れており、従つて
形成される塗装絞り缶はフレーバー特性に優れて
いるという利点を有する。非イオン性界面活性剤
としては、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキ
シエチレンアルキルフエニルエーテル、ポリオキ
シエチレン脂肪酸アミドエーテル、ポリオキシエ
チレンソルビタン脂肪酸部分エステル、トリエタ
ノールアミン脂肪酸エステル等を単独或いは2種
以上の組合せで使用される。これら界面活性剤
は、グリセリド当り0.5乃至10重量%の量で用い
るのがよい。 本発明に用いる水性乳化液は、少量のエタノー
ルを含有することも、塗膜面への濡れを改善する
上で極めて重要であり、このようなエタノールを
含有しない水性乳化液を用いた場合には、満足す
べき塗布性及び潤滑性は得られない。エタノール
は種々の水混和性有機溶媒の内でも、安全性、衛
生的特性の点で特に優れている。エタノールは水
性乳化液当り1乃至20重量%、特に2乃至15重量
%の量で用いるのがよい。 本発明の水性乳化液には、上述した必須成分に
加えて、それ自体公知の配合剤、例えば防錆剤、
金属イオン封鎖剤、消泡剤、酸化防止剤等を、そ
れ自体公知の処方に従つて配合することができ
る。 上記水性乳化液の素材有機塗膜面への塗布量は
著しく少ない量で顕著な効果が得られるのが本発
明の利点の一つでもあり、例えば一般的に言つ
て、不揮発性成分基準で、5乃至200mg/m2、特
に5乃至150mg/m2の塗布量で満足すべき結果が
得られる。この塗布量が上記範囲よりも少ない
と、潤滑性能が不満足となり、一方上記範囲より
も多いと脱脂操作に負担がかかり、経済性の上で
も、フレーバー特性の点でも不利になり易い。 本発明において、水性乳化液の塗膜面への塗布
は、ローラ塗布、スプレー塗布、浸漬塗布、泡塗
布等のそれ自体公知の手段で行われる。 尚、本発明に用いる塗装金属素材はそれ自体公
知のものであり、例えば金属素材としては、未処
理の鋼板(ブラツクプレート)、各種表面処理鋼
板、例えば錫メツキ鋼板(ブリキ)、亜鉛メツキ
鋼板、アルミメツキ鋼板、クロムメツキ鋼板等の
メツキ鋼板;電解クロム酸処理鋼板等の電解処理
鋼板;リン酸及び/又はクロム酸処理鋼板等の化
学処理鋼板や、アルミニウム等の軽金属板或いは
これらの複合材等が使用される。好適な金属素材
として、純アルミ或いはアルミ合金から成る圧延
アルミ素材があり、これらは絞り加工条件や目的
によつても相違するが、一般に0.15乃至0.80mm、
特に0.17乃至0.50mmの素材厚で使用される。好適
な他の金属素材として、鍍錫量、即ちベース・ボ
ツクス当りの錫ポンド数が0.1乃至1.0特に0.15乃
至0.75の範囲にあるものが使用される。この錫メ
ツキ層は、電解メツキされたままのノーリフロー
板(マツト板)でもよいし、また電解メツキ層を
熱溶融処理したリフロー板(ブライト板)でもよ
い。素板厚は、一般に0.15乃至0.5mm、特に0.15乃
至0.35mmの範囲にあるものが使用される。 一方保護塗料としては、熱硬化性及び熱可塑性
樹脂から成る任意の保護塗料;例えばフエノー
ル・エポキシ塗料、アミノーエポキシ塗料等の変
性エポキシ塗料;例えば塩化ビニル―酢酸ビニル
共重合体、塩化ビニル―酢酸ビニル共重合体部分
ケン化物、塩化ビニル―酢酸ビニル―無水マレイ
ン酸共重合体、エポキシ変性―、エポキシアミノ
変性―或いはエポキシフエノール変性―ビニル樹
脂塗料等のビニル又は変性ビニル塗料;アクリル
樹脂系塗料;スチレン―ブタジエン系共重合体等
の合成ゴム系塗料等の単独又は2種以上の組合せ
が使用される。 これらの塗料は、エナメル或いはラツカー等の
有機溶媒溶液の形で、或いは水性分散液又は水溶
液の形で、ローラ塗装、スプレー塗装、浸漬塗
装、静電塗装、電気泳動塗装等の形で金属素材に
予め施こす。勿論、前記樹脂塗料が熱硬化性の場
合には、必要により塗料を焼付ける。 これら有機塗膜は、腐食防止及び絞り加工性向
上の見地から、一般に2乃至30μm、特に3乃至
20μmの厚み(乾燥状態)を有することが望まし
い。 本発明によれば、第2図に示す通り、水性乳化
液を塗布した塗装金属素材10を、しわ押え11
で押えた状態で、相対的に軸方向運動可能なポン
チ12とダイ13との間でプレス加工に付し、有
底の無継目カツプの形に成形する。この際、水性
乳化液の層を乾燥した後、プレス加工に賦するこ
とも考えられるが、一般には、塗布量が極めて少
ないこと及び後での脱脂操作が容易なことから、
塗布後の乳化液層をそのままの形、即ち湿潤状態
でプレス加工に付するのがよい。 本発明においては、プレス加工は、所望の形状
及び所望の高さ/径比率となる迄、ポンチ及びダ
イスの径を段々小さくしながら、数次にわたつて
プレス加工を行う。 この際、下記式 絞り比=加工前の径/加工後の径 で定義される絞り比を、一段のプレス加工で1.20
乃至2.10、特に1.30乃至1.90となるように、また
全体としての絞り比を、1.50乃至3.00、特に1.80
乃至2.70となるように行うことが望ましい。 本発明の顕著な利点は、このようにして形成さ
れる缶を温間で水性媒体による洗滌に付すること
で、潤滑に用いたグリセリドの脱脂洗浄が極めて
有効に行われることにある。洗滌時の温度は一般
に40乃至80℃の範囲にあるのがよく、このような
温間での洗滌により、グリセリドの再乳化分散が
著しく助長される。洗滌後の缶は、乾燥し、以後
の製缶操作に賦する。 即ち、ツーピース構造の通常の深絞り缶では、
必要によりネツクイン加工、フランジ加工を行
い、内容物を充填した後、缶蓋と二重巻締して缶
体とする。 また、周状側面継目を有するビン状の金属容器
の場合には、第3図に示す有底カツプから成る下
部体20と、開口を設けた逆向きカツプから成る
上部体21とを形成し、これら両者を第4図に示
すように、接着剤層22を介して重ね合せ接合し
て、ビン状容器とする。 本発明を次の例で説明する。 尚、以下の具体例で用いた水性乳化液の調整法
及び金属容器の評価法については次の通りであ
る。 〔水性乳化液の調整〕 なたね油(ナトリウムメトキシド―メタノー
ル/フツ化ホウ素―メタノールによるグリセリド
分解メチルエステル化法を用い、ガスクロマトグ
ラフイーにより求めた脂肪酸組成を表1に示す)
10重量%、水89.8重量%、ソルビタンモノラウレ
ート0.2重量%の混合液体を、ホモジナイザを用
いて均一に撹拌し水性乳化液を得た。次いで、こ
の乳化液当たり5重量%のエタノールを加え、均
一に撹拌する。このようにして得た水性乳化液を
E―1とする。 グリセリド(油脂)及びその含量を変える(グ
リセリドと水の合計含量は99.8%に保つ)以外は
E―1の調整と同様の方法を用いて、水性乳化液
E―2〜E―7を調整した。表1に、E―2〜E
―7に用いたグリセリド(油脂)及びその脂肪酸
組成、グリセリド(油脂)を含量を示す。 〔金属容器の評価〕 下記実施例、比較例に於ては、次に述べる方法
に従つて金属容器の評価を行つた。 (イ) 塗膜損傷 金属容器に、1%塩化ナトリウム水溶液を満た
し、7Vの電圧をかけ、その時流れた電流値
(mA)で評価した。各々10個ずつ測定し、それ
らの算術平均値を結果として採用した。 (ロ) 金属溶出 金属容器に合成炭酸飲料を充填し、室温で3ケ
月経時した後、原子吸光法により溶出金属量を測
定した。各々10個ずつ測定し、それらの算術平均
値を結果として採用した。 (ハ) フレーバー試験 金属容器に合成炭酸飲料を充填し、室温で3ケ
月経時した後、20人のパネルによつてフレーバー
試験を行つた。結果は5点法で評価し、5(良)
〜1(悪)として示した。 実施例 1 素板厚0.23mmのアルミ板(3004H19材)の内外
面に変性ビニル系塗料をそれぞれ全体の塗膜量が
150mg/dm2、60mg/dm2となるように塗布・焼
付けを行なつた後に、表1に示した水性乳化液
〔記号E―1〕を内、外面のビニル塗膜表面上に
常温中でロール方式によつて80mg/m2になるよう
に均一に塗布した。 その後、直径250mmの円板に打抜き、総絞り比
が2.26になるように通常のプレス加工で絞り成形
を行ない、接合部端縁の内径が110.6mmのカツプ
にした後、更に多段プレス加工によつて中心部に
直径30mmの注ぎ口を有する上部体を作製した。 一方、同じ液体滑剤を塗布した塗装板より上部
体同様の総絞り比2.26の絞り成形を行ない、更に
ネツキング加工によつて接合部端縁の外径が
110.6mmになるように下部体を作製した。 しかる後に、両部体共温間(70℃)でスプレー
洗滌を行ない、次いでオーブンで乾燥した。この
上部体と下部体を熱融着の接着剤を用いて加熱接
合し、容量約2の飲料金属容器を作製した。 これらの金属容器を作製する過程でプレス成形
性を評価し、一方で温間洗滌後の潤滑剤の残留量
について測定した。 また、この金属容器に合成炭酸飲料を充填した
後注ぎ口を密栓し、62℃10分の殺菌を施した上で
室温3ケ月経時させ、金属溶出量の測定及びフレ
ーバー(香味)の評価を行なつた。それらの結果
を表2に示す。 実施例 2〜5 液体滑剤として表1に示した水性乳化液〔記号
E―2,E―3,E―4,E―5〕を各々塗膜表
面に供する以外はいずれも実施例1と同様に多段
のプレス成形を行ない、約2容量の金属容器を
作製した。 これらのプレス成形性、滑剤の残留量、金属溶
出量、フレーバー(香味)の評価結果を表2に示
す。 実施例1〜5に供した水性乳化液を用いた方法
ではいずれの特性も良好な評価を得た。 特に脱脂・洗滌性及びフレーバー(香味)の点
で優れた特性を示し、本発明による方法での金属
容器を製造することの優秀性が明らかになつた。 比較例 1〜4 比較のため表1に示す如く、2種類の水性乳化
液〔記号E―6,E―7〕と、鉱物油を基油とす
る水性乳化液〔記号E―8〕となたね油単体〔記
号E―9〕の4種類の滑剤を用意した。これらの
滑剤は各々塗装したアルミ材の塗膜表面に供する
以外はいずれも実施例1と同様に多段プレス成形
を行ない、脱脂・洗滌後約2容量の金属容器を
作製した。この作製過程でプレス成形性、脱脂・
洗滌性について評価し、更に内容物を充填し各特
性の評価を行なつた。 その結果は表2に示す通りで4種類とも実施例
1〜5の水性乳化液を用いたものに比較し、著し
く脱脂・洗滌性が劣り、容器への適用が困難であ
ることが判明した。 特に、鉱物油を基油とした水性乳化液〔記号E
―8〕、なたね油〔記号E―9〕の場合には温間
洗滌だけでは十分な脱脂・洗滌が不可能であつ
て、フレーバー(香味)も著しく損うことが判明
した。 実施例 6 素板厚0.20mmの錫メツキ鋼板(ぶりき材、メツ
キ量#25/25、テンパーT―2)の内、外面にエ
ポキシ系塗料をそれぞれ全体の塗膜量が100mg/
dm2、50mg/dm2となるように塗布・焼付を行な
つた以外は実施例1と同様の水性乳化液を用い
て、プレス成形を行ない、上部体及び下部体のプ
レス成形性、脱脂・洗滌性及び金属容器にしての
特性の評価を実施した。 その結果、エポキシ塗料を塗布した錫メツキ鋼
板の場合にも、本発明の水性乳化液を形成させる
成形方法によれば、プレス成形性は勿論のこと、
脱脂・洗滌性、金属溶出及びフレーバー(香味)
の点でも何等異常はなく優れた容器を得ることが
判つた。
関するもので、より詳細には、塗装金属素材か
ら、耐腐食性やフレーバー特性に優れた高絞り率
の飲料金属缶を、良好な加工作業性及び脱脂洗滌
性をもつて製造する方法に関する。 飲料用の金属容器としては、アルミ、ブリキ等
の金属素材を深絞り加工或いは絞りーしごき加工
に付してフランジ付のコツプ状缶体とし、これと
缶蓋とを二重巻締して成るツーピース缶や、或い
は上記素材をプレス加工に付してカツプ状の有底
下部体と、カツプ状の注ぎ口付上部体とを製造
し、これら下部体及び上部体を、その周状の開口
端部において重ね合せ接合して、ビン状の容器と
したものが使用されている。 この絞り加工乃至はプレス加工においては、加
工に先立つて、金属素材上に予じめ有機塗膜を設
けておくことが、絞り加工性や作業性の点でも、
また加工後の缶体に塗装を施こすという煩わしさ
がない点でも好ましいが、塗装金属素材を数段の
プレス加工によつて深絞りを行おうとする時には
未だ次の欠点がみられる。 即ち、公知の塗装金属素材では自ら一定の絞り
限界があり、この絞り限界を越えると、頭或いは
フランジの部分で該素材の破断を生じ易く、従つ
て径当りの高さの比率の大きい飲料缶を製造する
ことが困難となる。 また、このプレス加工に際して、絞り比が大き
くなると、素材上の塗膜に剥離や破断、クラツ
ク、ピンホール等の塗膜欠陥が生じ易くなり、内
容物への金属溶出(特に鉄溶出)や缶体の孔食等
の腐食が生じ易くなる。 更に、塗膜上にそれ自体公知の滑剤を塗布して
絞り加工性を向上させることも考えられるが、こ
の場合には塗膜上の滑剤を脱脂することが困難と
なり、また塗膜上に残存する滑剤が、微妙な風味
を生命とする飲料のフレーバーを損い易いという
致命的な欠点がある。 本発明者等は、炭素数8乃至24の脂肪酸成分を
有する液体グリセリド、エタノール及び非イオン
性界面活性剤を含有する水中油型水性エマルジヨ
ンを、塗装金属素材の塗膜面に施すと、優れた絞
り加工性と優れた脱脂洗滌性との組合せが得ら
れ、上述した諸欠点が全て解消された飲料用金属
缶が得られることを見出した。 即ち、本発明の目的は、上述した諸欠点が解消
された金属缶、特に飲料金属缶の成形法を提供す
るにある。 本発明の他の目的は、従来の成形法に比して絞
り限界を顕著に向上させ且つ脱脂洗滌性をも顕著
に向上させた飲料金属缶の成形法を提供するにあ
る。 本発明の更に他の目的は、潤滑成分を塗装金属
素材の塗膜面に一様にしかも均一に塗布すること
ができ、素材上の塗膜に欠陥を生ずることなし
に、高度の絞り加工を行うことが可能な飲料金属
缶の製法を提供するにある。 本発明によれば、予め有機樹脂塗膜を形成させ
た金属素材を数次の多段絞り加工に付し、金属缶
を製造する方法において、炭素数8乃至24の脂肪
酸成分を有する液体グリセリドを全体当り3乃至
50重量%、水混和性有機溶媒としてエタノールを
全体当り1乃至20重量%、及び非イオン性界面活
性剤をグリセリド当り0.5乃至10重量%含有する
水中油型水性乳化液を、前記素材の有機塗膜面上
に均一に塗布し、塗布後の素材を絞り成形に付
し、絞り成形で得られた缶を温間で水性媒体によ
る洗滌に付することを特徴とする金属缶の製造方
法が提供される。 本発明を以下に詳細に説明する。 プレス成形に付する金属素材の断面構造を示す
第1図において、この成形用金属素材1は、アル
ミ板、ブリキ等から成る金属基質2、該基質の両
表面に設けられた有機塗膜3a,3bから成つて
いる。 本発明は、これら有機塗膜3a,3bの表面
に、プレス加工に先立つて、炭素数8乃至24の脂
肪酸成分を有する液体グリセリド、エタノール及
び非イオン性界面活性剤を特定の量比で含有する
水中油型水性乳化液の層4a,4bを一様に塗布
し設けることに特徴を有するものである。 従来、金属素材のプレス成形等に際して、潤滑
剤を水性乳化液の形で用いることは一般に公知に
属する。しかしながら、この水性乳化液形の潤滑
剤は鉱油系のものであり、かかる鉱油系の水性潤
滑剤は、塗装金属材の塗膜面に施した場合、塗膜
面と強固になじみ、温水洗滌等の簡便な手段で
は、成形後の缶体塗膜面から脱脂することが困難
となる。しかも、この水性エマルジヨンは、塗膜
面に一様に塗布することも困難であり、水性エマ
ルジヨンの層が存在する部分では良好な潤滑効果
が得られるとしても、撥水された部分では塗膜の
損傷等が必らず生じることになる。 本発明では、潤滑成分としてグリセリドを選択
し、しかもこのグリセリドを非イオン性界面活性
剤で乳化された水性エマルジヨンの形で用いるこ
とにより、成形後の缶体を温間での水性媒体によ
る洗浄に付するという極めて簡単な操作で、塗膜
表面の脱脂洗浄が有効にしかも完全に行われるも
のである。また、この水性エマルジヨン中に少量
のエタノールを混入させたことにより、塗膜表面
の濡れ性が顕著に向上し、水性エマルジヨンの均
一な薄層が塗膜表面に一様に保持され、プレス成
形に際して優れた潤滑作用と、塗膜の冷却保護作
用とが行われるものである。 本発明で用いるエタノールは種々の水混和性有
機溶媒の内でも塗膜の濡れ性を向上させる作用に
特に優れており、また食品類のフレーバー保持性
にも優れている。 本発明に用いるグリセリドが塗装金属素材のプ
レス加工に際して、優れた脱脂洗滌性と加工性と
を示す理由は正確には不明であるが、次のような
ものと考えられる。即ち、このグリセリドは、脂
肪酸に由来する無極性基(親油性基)とグリセリ
ド(グリセリンエステル)に由来する極性基とを
有するという化学構造上の特徴を有する。この化
学構造上の特徴により、プレス加工に際しては、
同様の極性基を有する塗膜表面に対して一様で、
連続した、しかも油膜強度の高い潤滑面を形成す
ると信じられる。更に、このような潤滑膜は、水
性エマルジヨンに含まれる非イオン性乳化剤の作
用及び上述した化学構造上の特徴により、洗滌時
の温水中に容易に再乳化分散し、優れた脱脂性能
が得られるものと認められる。 本発明に用いるグリセリド中の脂肪酸成分は、
8乃至24の炭素数、特に12乃至24の炭素数を有す
ることも重要であり、この炭素数が上記範囲より
も低いと、油膜強度が低く、満足すべき潤滑性能
が得られなくなる。一方、この炭素数が上記範囲
よりも高いと前述した再乳化分散が困難となつて
脱脂性能が低下する。 グリセリドを構成する脂肪酸としては、カプリ
ル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、
パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ア
ラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン
酸、等の飽和脂肪酸の他に、2―オクテン酸、カ
プロレイン酸、2―ラウロレイン酸、ミリストレ
イン酸、パルミトレイン酸、ペトロセリン酸、オ
レイン酸、エライジン酸、ゴンドイン酸、エルカ
酸、セラコレイン酸、リノール酸、リノエライジ
ン酸、エレオステアリン酸、リノレン酸、アラキ
ドン酸、クルパノドン酸等の不飽和脂肪酸等が挙
げられる。 これらの脂肪酸は、一般にトリグリセリドの形
で本発明の目的に使用されるが、このトリグリセ
リドは常温で液体であるという条件下において、
単独脂肪酸グリセリド或いは混合脂肪酸グリセリ
ドであることができる。トリグリセリドの適当な
例は次の通りである。トリカプリリン、1―オレ
オ―2,3―ジカプリン、1―カプリル―2,3
―ジオレイン、1―ラウロ―2,3―ジオレイ
ン、1―ラウロ―2,3―ジリノレイン、1―ミ
リスト―2,3―ジリノレイン、1―パルミト―
2,3―ジリノレイン、1―ステアロ―2,3―
ジリノレイン。 勿論、このトリグリセリドは、サフラワー油、
大豆油、ヒマワリ油、トウモロコシ油、綿実油、
ゴマ油、ナタネ油、コメ油、カボツク油、落花生
油、オリーブ油、パーム油、ヤシ油等の食用植物
油系混合グリセリドであつてよい。 本発明においては、上述したトリグリセリドを
用いることが望ましいが、所望によつては、ジグ
リセリドやモノグリセリドが混入されたものを用
いることもできる。 本発明においては、上述した液体グリセリドを
水性乳化液の形で用いる。この水性乳化液は、潤
滑性能の点で、3重量%以上、特に5重量%以上
のグリセリドを含有すべきであり、一方脱脂性能
や冷却効果の点では、エマルジヨン中のグリセリ
ド量は50重量%以下、特に40重量%以下とすべき
である。 本発明では、液体グリセリドの乳化分散剤とし
て非イオン性界面活性剤を使用する。即ち、非イ
オン性界面活性剤は、他の界面活性剤に比して、
塗膜表面の脱脂洗浄性に特に優れており、従つて
形成される塗装絞り缶はフレーバー特性に優れて
いるという利点を有する。非イオン性界面活性剤
としては、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキ
シエチレンアルキルフエニルエーテル、ポリオキ
シエチレン脂肪酸アミドエーテル、ポリオキシエ
チレンソルビタン脂肪酸部分エステル、トリエタ
ノールアミン脂肪酸エステル等を単独或いは2種
以上の組合せで使用される。これら界面活性剤
は、グリセリド当り0.5乃至10重量%の量で用い
るのがよい。 本発明に用いる水性乳化液は、少量のエタノー
ルを含有することも、塗膜面への濡れを改善する
上で極めて重要であり、このようなエタノールを
含有しない水性乳化液を用いた場合には、満足す
べき塗布性及び潤滑性は得られない。エタノール
は種々の水混和性有機溶媒の内でも、安全性、衛
生的特性の点で特に優れている。エタノールは水
性乳化液当り1乃至20重量%、特に2乃至15重量
%の量で用いるのがよい。 本発明の水性乳化液には、上述した必須成分に
加えて、それ自体公知の配合剤、例えば防錆剤、
金属イオン封鎖剤、消泡剤、酸化防止剤等を、そ
れ自体公知の処方に従つて配合することができ
る。 上記水性乳化液の素材有機塗膜面への塗布量は
著しく少ない量で顕著な効果が得られるのが本発
明の利点の一つでもあり、例えば一般的に言つ
て、不揮発性成分基準で、5乃至200mg/m2、特
に5乃至150mg/m2の塗布量で満足すべき結果が
得られる。この塗布量が上記範囲よりも少ない
と、潤滑性能が不満足となり、一方上記範囲より
も多いと脱脂操作に負担がかかり、経済性の上で
も、フレーバー特性の点でも不利になり易い。 本発明において、水性乳化液の塗膜面への塗布
は、ローラ塗布、スプレー塗布、浸漬塗布、泡塗
布等のそれ自体公知の手段で行われる。 尚、本発明に用いる塗装金属素材はそれ自体公
知のものであり、例えば金属素材としては、未処
理の鋼板(ブラツクプレート)、各種表面処理鋼
板、例えば錫メツキ鋼板(ブリキ)、亜鉛メツキ
鋼板、アルミメツキ鋼板、クロムメツキ鋼板等の
メツキ鋼板;電解クロム酸処理鋼板等の電解処理
鋼板;リン酸及び/又はクロム酸処理鋼板等の化
学処理鋼板や、アルミニウム等の軽金属板或いは
これらの複合材等が使用される。好適な金属素材
として、純アルミ或いはアルミ合金から成る圧延
アルミ素材があり、これらは絞り加工条件や目的
によつても相違するが、一般に0.15乃至0.80mm、
特に0.17乃至0.50mmの素材厚で使用される。好適
な他の金属素材として、鍍錫量、即ちベース・ボ
ツクス当りの錫ポンド数が0.1乃至1.0特に0.15乃
至0.75の範囲にあるものが使用される。この錫メ
ツキ層は、電解メツキされたままのノーリフロー
板(マツト板)でもよいし、また電解メツキ層を
熱溶融処理したリフロー板(ブライト板)でもよ
い。素板厚は、一般に0.15乃至0.5mm、特に0.15乃
至0.35mmの範囲にあるものが使用される。 一方保護塗料としては、熱硬化性及び熱可塑性
樹脂から成る任意の保護塗料;例えばフエノー
ル・エポキシ塗料、アミノーエポキシ塗料等の変
性エポキシ塗料;例えば塩化ビニル―酢酸ビニル
共重合体、塩化ビニル―酢酸ビニル共重合体部分
ケン化物、塩化ビニル―酢酸ビニル―無水マレイ
ン酸共重合体、エポキシ変性―、エポキシアミノ
変性―或いはエポキシフエノール変性―ビニル樹
脂塗料等のビニル又は変性ビニル塗料;アクリル
樹脂系塗料;スチレン―ブタジエン系共重合体等
の合成ゴム系塗料等の単独又は2種以上の組合せ
が使用される。 これらの塗料は、エナメル或いはラツカー等の
有機溶媒溶液の形で、或いは水性分散液又は水溶
液の形で、ローラ塗装、スプレー塗装、浸漬塗
装、静電塗装、電気泳動塗装等の形で金属素材に
予め施こす。勿論、前記樹脂塗料が熱硬化性の場
合には、必要により塗料を焼付ける。 これら有機塗膜は、腐食防止及び絞り加工性向
上の見地から、一般に2乃至30μm、特に3乃至
20μmの厚み(乾燥状態)を有することが望まし
い。 本発明によれば、第2図に示す通り、水性乳化
液を塗布した塗装金属素材10を、しわ押え11
で押えた状態で、相対的に軸方向運動可能なポン
チ12とダイ13との間でプレス加工に付し、有
底の無継目カツプの形に成形する。この際、水性
乳化液の層を乾燥した後、プレス加工に賦するこ
とも考えられるが、一般には、塗布量が極めて少
ないこと及び後での脱脂操作が容易なことから、
塗布後の乳化液層をそのままの形、即ち湿潤状態
でプレス加工に付するのがよい。 本発明においては、プレス加工は、所望の形状
及び所望の高さ/径比率となる迄、ポンチ及びダ
イスの径を段々小さくしながら、数次にわたつて
プレス加工を行う。 この際、下記式 絞り比=加工前の径/加工後の径 で定義される絞り比を、一段のプレス加工で1.20
乃至2.10、特に1.30乃至1.90となるように、また
全体としての絞り比を、1.50乃至3.00、特に1.80
乃至2.70となるように行うことが望ましい。 本発明の顕著な利点は、このようにして形成さ
れる缶を温間で水性媒体による洗滌に付すること
で、潤滑に用いたグリセリドの脱脂洗浄が極めて
有効に行われることにある。洗滌時の温度は一般
に40乃至80℃の範囲にあるのがよく、このような
温間での洗滌により、グリセリドの再乳化分散が
著しく助長される。洗滌後の缶は、乾燥し、以後
の製缶操作に賦する。 即ち、ツーピース構造の通常の深絞り缶では、
必要によりネツクイン加工、フランジ加工を行
い、内容物を充填した後、缶蓋と二重巻締して缶
体とする。 また、周状側面継目を有するビン状の金属容器
の場合には、第3図に示す有底カツプから成る下
部体20と、開口を設けた逆向きカツプから成る
上部体21とを形成し、これら両者を第4図に示
すように、接着剤層22を介して重ね合せ接合し
て、ビン状容器とする。 本発明を次の例で説明する。 尚、以下の具体例で用いた水性乳化液の調整法
及び金属容器の評価法については次の通りであ
る。 〔水性乳化液の調整〕 なたね油(ナトリウムメトキシド―メタノー
ル/フツ化ホウ素―メタノールによるグリセリド
分解メチルエステル化法を用い、ガスクロマトグ
ラフイーにより求めた脂肪酸組成を表1に示す)
10重量%、水89.8重量%、ソルビタンモノラウレ
ート0.2重量%の混合液体を、ホモジナイザを用
いて均一に撹拌し水性乳化液を得た。次いで、こ
の乳化液当たり5重量%のエタノールを加え、均
一に撹拌する。このようにして得た水性乳化液を
E―1とする。 グリセリド(油脂)及びその含量を変える(グ
リセリドと水の合計含量は99.8%に保つ)以外は
E―1の調整と同様の方法を用いて、水性乳化液
E―2〜E―7を調整した。表1に、E―2〜E
―7に用いたグリセリド(油脂)及びその脂肪酸
組成、グリセリド(油脂)を含量を示す。 〔金属容器の評価〕 下記実施例、比較例に於ては、次に述べる方法
に従つて金属容器の評価を行つた。 (イ) 塗膜損傷 金属容器に、1%塩化ナトリウム水溶液を満た
し、7Vの電圧をかけ、その時流れた電流値
(mA)で評価した。各々10個ずつ測定し、それ
らの算術平均値を結果として採用した。 (ロ) 金属溶出 金属容器に合成炭酸飲料を充填し、室温で3ケ
月経時した後、原子吸光法により溶出金属量を測
定した。各々10個ずつ測定し、それらの算術平均
値を結果として採用した。 (ハ) フレーバー試験 金属容器に合成炭酸飲料を充填し、室温で3ケ
月経時した後、20人のパネルによつてフレーバー
試験を行つた。結果は5点法で評価し、5(良)
〜1(悪)として示した。 実施例 1 素板厚0.23mmのアルミ板(3004H19材)の内外
面に変性ビニル系塗料をそれぞれ全体の塗膜量が
150mg/dm2、60mg/dm2となるように塗布・焼
付けを行なつた後に、表1に示した水性乳化液
〔記号E―1〕を内、外面のビニル塗膜表面上に
常温中でロール方式によつて80mg/m2になるよう
に均一に塗布した。 その後、直径250mmの円板に打抜き、総絞り比
が2.26になるように通常のプレス加工で絞り成形
を行ない、接合部端縁の内径が110.6mmのカツプ
にした後、更に多段プレス加工によつて中心部に
直径30mmの注ぎ口を有する上部体を作製した。 一方、同じ液体滑剤を塗布した塗装板より上部
体同様の総絞り比2.26の絞り成形を行ない、更に
ネツキング加工によつて接合部端縁の外径が
110.6mmになるように下部体を作製した。 しかる後に、両部体共温間(70℃)でスプレー
洗滌を行ない、次いでオーブンで乾燥した。この
上部体と下部体を熱融着の接着剤を用いて加熱接
合し、容量約2の飲料金属容器を作製した。 これらの金属容器を作製する過程でプレス成形
性を評価し、一方で温間洗滌後の潤滑剤の残留量
について測定した。 また、この金属容器に合成炭酸飲料を充填した
後注ぎ口を密栓し、62℃10分の殺菌を施した上で
室温3ケ月経時させ、金属溶出量の測定及びフレ
ーバー(香味)の評価を行なつた。それらの結果
を表2に示す。 実施例 2〜5 液体滑剤として表1に示した水性乳化液〔記号
E―2,E―3,E―4,E―5〕を各々塗膜表
面に供する以外はいずれも実施例1と同様に多段
のプレス成形を行ない、約2容量の金属容器を
作製した。 これらのプレス成形性、滑剤の残留量、金属溶
出量、フレーバー(香味)の評価結果を表2に示
す。 実施例1〜5に供した水性乳化液を用いた方法
ではいずれの特性も良好な評価を得た。 特に脱脂・洗滌性及びフレーバー(香味)の点
で優れた特性を示し、本発明による方法での金属
容器を製造することの優秀性が明らかになつた。 比較例 1〜4 比較のため表1に示す如く、2種類の水性乳化
液〔記号E―6,E―7〕と、鉱物油を基油とす
る水性乳化液〔記号E―8〕となたね油単体〔記
号E―9〕の4種類の滑剤を用意した。これらの
滑剤は各々塗装したアルミ材の塗膜表面に供する
以外はいずれも実施例1と同様に多段プレス成形
を行ない、脱脂・洗滌後約2容量の金属容器を
作製した。この作製過程でプレス成形性、脱脂・
洗滌性について評価し、更に内容物を充填し各特
性の評価を行なつた。 その結果は表2に示す通りで4種類とも実施例
1〜5の水性乳化液を用いたものに比較し、著し
く脱脂・洗滌性が劣り、容器への適用が困難であ
ることが判明した。 特に、鉱物油を基油とした水性乳化液〔記号E
―8〕、なたね油〔記号E―9〕の場合には温間
洗滌だけでは十分な脱脂・洗滌が不可能であつ
て、フレーバー(香味)も著しく損うことが判明
した。 実施例 6 素板厚0.20mmの錫メツキ鋼板(ぶりき材、メツ
キ量#25/25、テンパーT―2)の内、外面にエ
ポキシ系塗料をそれぞれ全体の塗膜量が100mg/
dm2、50mg/dm2となるように塗布・焼付を行な
つた以外は実施例1と同様の水性乳化液を用い
て、プレス成形を行ない、上部体及び下部体のプ
レス成形性、脱脂・洗滌性及び金属容器にしての
特性の評価を実施した。 その結果、エポキシ塗料を塗布した錫メツキ鋼
板の場合にも、本発明の水性乳化液を形成させる
成形方法によれば、プレス成形性は勿論のこと、
脱脂・洗滌性、金属溶出及びフレーバー(香味)
の点でも何等異常はなく優れた容器を得ることが
判つた。
【表】
【表】
【表】
実施例6および比較例5
素板厚0.23mmのアルミ板(3004H19材)の内外
面に変性ビニル系塗料をそれぞれ全体の塗膜量が
150mg/dm2、60mg/dm2となるように塗布・焼
付けを行なつた後に、表3に示した水性乳化液を
内、外面のビニル塗膜表面上に常温中でロール方
式によつて80mg/m2になるように均一に塗布し
た。 その後、直径250mmの円板に打抜き、総絞り比
が2.26になるように通常のプレス加工で絞り成形
を行ない、接合部端縁の内径が110.6mmのカツプ
にした後、更に多段プレス加工によつて中心部に
直径30mmの注ぎ口を有する上部体を作製した。 一方、同じ液体滑剤を塗布した塗装板より上部
体同様の総絞り比2.26の絞り成形を行ない、更に
ネツキング加工によつて接合部端縁外径が110.6
mmになるように下部体を作製した。 しかる後に、両部体共温間(70℃)でスプレー
洗滌を行ない、次いでオーブンで乾燥した。この
上部体と下部体を熱融着の接着剤を用いて加熱接
合し、容量約2の飲料金属容器を作製した。 この金属容器に合成炭酸飲料を充填した後注ぎ
口を密栓し、62℃、10分の殺菌を施した後フレー
バーの評価を行つた。また、一部は室温で1ケ月
経時した後、フレーバーの評価を行つた。 フレーバー評価は、20人のパネルによつて行
い、結果は5点法で評価し、5(良)〜1(悪)と
して示した。 水性乳化液の組成およびフレーバー試験結果を
表3に示す。 この結果から明らかな通り、脂肪酸のアルカリ
金属石けん乳化剤とした水性エマルジヨンでは加
工後の塗膜から脱脂することが難しく、得られる
缶はフレーバー特性の劣るものとなつた。
面に変性ビニル系塗料をそれぞれ全体の塗膜量が
150mg/dm2、60mg/dm2となるように塗布・焼
付けを行なつた後に、表3に示した水性乳化液を
内、外面のビニル塗膜表面上に常温中でロール方
式によつて80mg/m2になるように均一に塗布し
た。 その後、直径250mmの円板に打抜き、総絞り比
が2.26になるように通常のプレス加工で絞り成形
を行ない、接合部端縁の内径が110.6mmのカツプ
にした後、更に多段プレス加工によつて中心部に
直径30mmの注ぎ口を有する上部体を作製した。 一方、同じ液体滑剤を塗布した塗装板より上部
体同様の総絞り比2.26の絞り成形を行ない、更に
ネツキング加工によつて接合部端縁外径が110.6
mmになるように下部体を作製した。 しかる後に、両部体共温間(70℃)でスプレー
洗滌を行ない、次いでオーブンで乾燥した。この
上部体と下部体を熱融着の接着剤を用いて加熱接
合し、容量約2の飲料金属容器を作製した。 この金属容器に合成炭酸飲料を充填した後注ぎ
口を密栓し、62℃、10分の殺菌を施した後フレー
バーの評価を行つた。また、一部は室温で1ケ月
経時した後、フレーバーの評価を行つた。 フレーバー評価は、20人のパネルによつて行
い、結果は5点法で評価し、5(良)〜1(悪)と
して示した。 水性乳化液の組成およびフレーバー試験結果を
表3に示す。 この結果から明らかな通り、脂肪酸のアルカリ
金属石けん乳化剤とした水性エマルジヨンでは加
工後の塗膜から脱脂することが難しく、得られる
缶はフレーバー特性の劣るものとなつた。
第1図はプレス成形に付する金属素材の構造を
示す断面図、第2図は金属素材の絞り工程を説明
するための断面図、第3乃至4図は本発明による
プレス成形法を説明するための金属容器の一具体
例を示す図であつて、 引照数字1は金属素材、2は金属基質、3a,
3bは有機塗膜、4a,4bは液体滑剤の溶液
層、10は塗装金属素材、11はしわ押え、12
はポンチ、13はダイ、20は下部体、21は上
部体、22は接着剤層、23は接合部端縁を夫々
示す。
示す断面図、第2図は金属素材の絞り工程を説明
するための断面図、第3乃至4図は本発明による
プレス成形法を説明するための金属容器の一具体
例を示す図であつて、 引照数字1は金属素材、2は金属基質、3a,
3bは有機塗膜、4a,4bは液体滑剤の溶液
層、10は塗装金属素材、11はしわ押え、12
はポンチ、13はダイ、20は下部体、21は上
部体、22は接着剤層、23は接合部端縁を夫々
示す。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 予め有機樹脂塗膜を形成させた金属素材を数
次の多段絞り加工に付し、金属缶を製造する方法
において、炭素数8乃至24の脂肪酸成分を有する
液体グリセリドを全体当り3乃至50重量%、エタ
ノールを全体当り1乃至20重量%、及び非イオン
性界面活性剤をグリセリド当り0.5乃至10重量%
含有する水中油型水性乳化液を、前記素材の有機
塗膜面上に均一に塗布し、塗布後の素材を絞り成
形に付し、絞り成形で得られた缶を温間で水性媒
体による洗滌に付することを特徴とする金属缶の
製造方法。 2 液体グリセリドが食用植物油である特許請求
の範囲第1項記載の方法。 3 水性乳化液を、不揮発性成分基準で素材有機
塗膜面に5乃至200mg/m2の量で施す特許請求の
範囲第1項記載の方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP58000179A JPS59124996A (ja) | 1983-01-06 | 1983-01-06 | 金属缶の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP58000179A JPS59124996A (ja) | 1983-01-06 | 1983-01-06 | 金属缶の製造方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPS59124996A JPS59124996A (ja) | 1984-07-19 |
| JPH0136519B2 true JPH0136519B2 (ja) | 1989-08-01 |
Family
ID=11466775
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP58000179A Granted JPS59124996A (ja) | 1983-01-06 | 1983-01-06 | 金属缶の製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPS59124996A (ja) |
Families Citing this family (7)
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|---|---|---|---|---|
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| JPS61263746A (ja) * | 1985-05-17 | 1986-11-21 | 日本製箔株式会社 | 成形用金属薄板 |
| JPS61263747A (ja) * | 1985-05-17 | 1986-11-21 | 日本製箔株式会社 | 成形用金属薄板 |
| JPS62153392A (ja) * | 1985-12-27 | 1987-07-08 | Miyoshi Oil & Fat Co Ltd | 潤滑性組成物 |
| JPS62131734U (ja) * | 1986-02-07 | 1987-08-20 | ||
| JP4865170B2 (ja) * | 2001-09-17 | 2012-02-01 | 昭和電工パッケージング株式会社 | アルミニウム箔プレス成形用潤滑剤並びにそれを用いた食品包装材の成形方法および成形された食品包装容器 |
| JP4919427B2 (ja) * | 2006-10-03 | 2012-04-18 | 日新製鋼株式会社 | 溶融めっき鋼板の温間加工方法 |
Family Cites Families (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPS55133488A (en) * | 1979-04-03 | 1980-10-17 | Kaarusuhamunsu Orujiefuaburiik | Metal working emulsion |
| JPS55144096A (en) * | 1979-04-25 | 1980-11-10 | Showa Alum Corp | Production of aluminum article |
-
1983
- 1983-01-06 JP JP58000179A patent/JPS59124996A/ja active Granted
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPS59124996A (ja) | 1984-07-19 |
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