JPH0148777B2 - - Google Patents

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JPH0148777B2
JPH0148777B2 JP61107569A JP10756986A JPH0148777B2 JP H0148777 B2 JPH0148777 B2 JP H0148777B2 JP 61107569 A JP61107569 A JP 61107569A JP 10756986 A JP10756986 A JP 10756986A JP H0148777 B2 JPH0148777 B2 JP H0148777B2
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JP
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medical device
polymerizable
lipid
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polymerizable lipid
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Hiroshi Yoshioka
Kazuhiko Suzuki
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Terumo Corp
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Description

【発明の詳細な説明】 発明の背景 (技術分野) 本発明は、医療用具に関するものである。詳し
く述べると本発明は生体適合性の高い親水性表面
を有する医療用具に関するものである。
(先行技術) 人工臓器、人工血管、コンタクトレンズ、血液
回路、血液バツグ、血漿分離器、血液チユーブ、
組織ないし細胞培養用シヤーレなどの医療用具に
おいては、これらの表面が直接生体組織または体
液と接触するために、これら表面が接触する生体
組織または体液と相互作用を起こすことなく医療
用具本来の機能を生体と接触する条件下で十分に
発揮しうること、いわゆる生体適合性を有するこ
とが要求される。
従来より、このような医療用具の生体適合性を
良好なものとするために、医療用具を構成する材
質および性質、特にその表面部を構成する材質お
よび性質に関して数多くの研究がなされ実用化さ
れている。例えば、アニオン性重合体または適当
に配向したエレクトレツト重合体の如く、負に帯
電した表面、天然の抗凝固剤ヘパリンまたは合成
ヘパリン類似体を被覆した表面、固有に低い表面
自由エネルギーを有するに荷電した表面、アルブ
ミンを被覆した表面などが挙げられる。しかしな
がら、これらによつては十分に満足できる生体適
合性というものは得られず、生体とこれらの接触
表面との反応は問題を残すものである。最近、生
体膜がリン脂質二重層のマトリツクスから構成さ
れているということから、医療用具表面に生体適
合性を付与するあるいは親水化ということに脂
質、特にその安定性の面から重合性の脂質を利用
することが注目されている(エス.エル.リージ
エン、マクロモレキユール16 335(1983)[S.L.
Regen、Macromol.16 335(1983)]、特開昭56−
135、492号参照。)。このような重合性脂質として
は、疎水性アシル鎖に重合性官能基として共役ジ
インを有するポリアセチレン型脂質が合成され数
多くの研究がなされている。ポリアセチレン型脂
質の製法に関しては、米国特許第2816149号、同
第2941041号及び同第3065283号などに、紫外線照
射によるゲル化挙動に関しては、リングスドルフ
[H.Ringsdorf]ら(マクロモレキユール ケミ
ストリー[Macromol、Chem.、]180、1059
(1979)]などの文献に詳しい。しかしながら、現
在開発されているポリアセチレン型脂質の場合、
分子内中の共役ジインは、極めて綿密な分子設計
に基づいて純有機化学的に多数の反応段階を経て
合成されその収率も低いものであるため、実用的
な面での大量合成が困難であるばかりでなく、該
ポリスチレン型脂質を非常に高価なものとしてし
まうため、その表面にこれらのポリスチレン型脂
質の重合被膜を有する医療用具は、数量的にもま
た経済的にもかなりの制約を受けてしまう。また
このポリスチレン型脂質の重合被膜は、化学的開
始剤や種々の電磁波、特に紫外線の照射によつて
重合を行なつて形成しているが、化学的開始剤を
用いると、これが最終製品中に残存することによ
り毒性の問題が生じ、また紫外線照射では、例え
ば医療用具がカテーテルである場合、その内面に
は紫外線が到達しないために、重合被膜を形成す
ることは不可能であつた。
発明の目的 従つて本発明は、新規な医療用具を提供するこ
とを目的とする。本発明は、また生体適合性の高
い医療用具を提供するとを目的とする。
本発明はさらに、新規な重合性脂質を利用した
医療用具を提供することを目的とする。
上記諸目的は、少なくとも生体と接触する部位
の表面に、疎水性アシル鎖として、一般式() で表されるエレオステアリン酸由来のアシル鎖を
少なくとも一つ有する重合性脂質の重合被膜を形
成してなる親水性表面を有することを特徴とする
医療用具により達成される。
本発明はまた、重合性脂質が、一般式() [ただし、式中Rは−(CH2−)2N (CH3)3、−(
CH2−)2N H3または−CH2−CH(N H3)−
COO である。]で表されるホスフオリピドから
なるものである医療用具を示すものである。本発
明はさらに、一般式()のRが−(CH2−)2N
(CH3)3である医療用具を示すものである。本発
明はさらに、重合被膜は重合性脂質を電磁波照射
により架橋重合形成されたものである医療用具を
示すものである。本発明はまた重合被膜は重合性
脂質を酸素と接触させることにより架橋重合させ
て形成されたものである医療用具を示すものであ
る。本発明はさらにまた、重合被膜は、重合性脂
質を電磁波照射および酸素接触させることにより
架橋重合させて形成されたものである医療用具を
示すものである。
発明の具体的説明 以下、本発明を実施態様に基づきより詳細に説
明する。
本発明の医療用具としては、生体、すなわち、
組織ないし体液等と接触する可能性のある、例え
ば、人工臓器、人工血管、コンタクトレンズ、血
液回路、血液バツグ、血漿分離器、血液チユー
ブ、カテーテル、組織ないし細胞培養用シヤーレ
などのものが含まれ得るが、もちろんこれらに限
定されるものではない。また、これらを構成する
材質も、合成樹脂、天然ないし合成ゴム、天然な
いし合成繊維、ガラス、金属、セラミツクス等い
かなるものであつてもよく、その表面は、疎水性
あるいは親水性のいずれであつてもよい。
しかして、本発明の医療用具は、少なくとも生
体と接触する部位の表面に、疎水性アシル鎖とし
て、一般式() で表されるエレオステアリン酸由来のアシル鎖を
少なくとも一つ有する重合性脂質の重合被膜を形
成してなる親水性表面を有することを特徴とする
ものである。
本明細書中において、「脂質」とは親水性の極
性部と少なくとも一つの長鎖脂肪族アシル鎖から
なる疎水性の非極性部を有する両親媒性化合物を
示し、例えばホスフアチジルコリン、ホスフアチ
ジルエーテルアミン、ホスフアチジルセリンおよ
びホスフアチジルグリセロールなどのようなホス
フオリピド類、スフインゴミエリンなどのような
スフインゴリピド類、セレブドシド、植物グリコ
リピドおよびガングリオシドなどのようなグリコ
リピド類、ホスフオノグリセリドなどのようなグ
リセリド類、グリセロールエーテル類、セラミド
−2−アミノエチルホスフオン酸およびホスフオ
ノグリセリドなどのようなホスフオノリピド類、
その他、ジアルキルホスフエート類、ジアルキル
ホスフオネート類、アルキルホスフイネートモノ
アルキルエステル類、N,N−二置換ジメチルア
ンモニウムハライド、トリアルキルメチルアンモ
ニウムハライド、テトラアルキルアンモニウムハ
ライドなどのようなアルキルアンモニウムハライ
ド類、ジアルキルスルホサクシン酸エステル類、
2,3−ジアシロキシスクシン酸類等のような脂
質ないし脂質類緑化合物の骨格を有するものをさ
す。なお、これらのうちアルキルアンモニウムハ
ライド類などの骨格を有するものとは、その骨格
となる化合物のアルキル鎖の端部あるいは側部に
エステル結合によりアシル鎖が結合しているよう
な構造のものである。また上記脂質ないし脂質類
緑化合物群の名称は、脂質の骨格となる構造を示
すためのものであり、従つてその置換体および類
似化合物を含む広い意味で解釈されるべきで、例
えば該名称にいおて「アルキル」で表わした部分
がアルケニル、アルカジエニル、アルカトリエニ
ル、アルキニルなどの不飽和炭化水素基である化
合物も含まれる。
本発明の医療用具の親水性表面として形成され
る重合被膜を構成する重合性脂質は、上記のごと
き「脂質」の一種であつてその疎水性アシル鎖と
して、一般式()のアシル鎖が合成的に導入さ
れたものである。この重合性脂質としては生体適
合性の面から、上記に挙た骨格のうち、ホスフオ
リピド類、スフインゴリピド類、グリコリピド
類、グリセリド類、グリセロールエーテル類ある
いはホスフオノリピド類などのような天然に存在
する脂質の骨格を有するものが望ましく、特に一
般式() [ただし式中、Rは−(CH2−)2N (CH3)3(ホス
フアチジルコリン)、−(CH2−)2N CH3(ケフア
リン)または−CH2−CH(N H3)−COO (ホ
スフアチジルセリン)であり、またR1、R2は飽
和または不飽和炭化水素基である。]で表わされ
る生体膜の構成部分としても代表的なホスフオリ
ピド、さらに好ましくはホスフアチジルコリンの
骨格を有するものが望まれる。
一般式()で表わされる疎水性アシル基の上
記のような骨格構造を有する脂質への導入は、エ
レオステアリン酸を出発物質として公知の方法よ
り容易に行なうことができる。このエレオステア
リン酸は、一般式(′) CH3(CH2)3CH=CHCH=CHCH=CH(CH+)7C
OOH(′) で表わされる第9、11、13位に共役二重結合を有
する天然の不飽和脂肪酸であり、桐油中から容易
に抽出でき、混合脂肪酸の80〜95重量%を占めて
いる。この桐油を加水分解して得られる桐油脂肪
酸中にはエレオステアリン酸が60重量%以上、好
ましくは80重量%以上含有され、残余成分として
は飽和酸、オレイン酸、リノール酸等が含まれて
いる。本発明の医療用具の重合被膜を構成する重
合性脂質を調製するために、この桐油脂肪酸をそ
のまま天然不飽和脂肪酸として用いてもよく、ま
た必要によりカラムクロマトグラフイーおよび/
または再結晶等で精製してエレオステアリン酸の
みを取り出して用いてもよい。
例えば、ホスフオリピドの骨格へエレオステア
リン酸より一般式()で表わされるアシル鎖を
導入するには、以下のようにして行なわれる。も
う一つの出発物質となる脂質の親水性極性部は、
天然のホスフオリピド(その多くは、飽和脂肪族
アシル鎖の疎水性非極性部を有する。)より容易
にかつ多量に得ることができる。天然のホスフオ
リピドは加水分解させて、特にその金属錯体、例
えばカドミウム等の金属の錯体としてエレオステ
アリン酸とのエステル化反応に供される。エステ
ル化反応は、天然のホスフオリピドの加水分解物
ないしその金属錯体をクロロホルム、四塩化炭
素、塩化メチレン等の媒体中に加えて撹拌下に懸
濁させ、この懸濁液中にエレオステアリン酸の酸
無水物誘導体をホスフオリピド加水分解物100重
量部当り200〜400重量部、好ましくは300〜370重
量部および触媒を適当量加え、反応系内をアルゴ
ン、窒素、ヘリウム等の不活性ガスで置換した
後、5〜40℃、好ましくは15〜25℃の温度で暗所
にて24〜90時間、好ましくは40〜72時間反応させ
ることで行われる。触媒としては4−ジメチルア
ミノピリジンなどがあり、ホスフオリピド加水分
解物100重量部当り50〜100重量部、好ましくは80
〜85重量部使用される。反応後、白色の不溶物が
析出するので濾去し、溶媒を室温で減圧留去後ク
ロロホルム/メタノール/水の混合溶媒(容量比
=4/5/1)に再溶解してイオン交換樹脂と接
触させ、ついで洗い落とす。混合溶媒を減圧留去
後、少量のクロロホルムに溶解し、シリカゲルカ
ラム等によりクロロホルム、メタノール混合溶媒
で精製し、一般式() [ただし、式中Rは−(CH2−)2N (CH3)3、−(
CH2−)2N H3または−CH2−CH(N H3)−
COO などである。]で表わされるエレオステア
リン酸ホスフオリピドを得る。
得られる重合性脂質は使用する出発原料によつ
て異なり、例えば卵黄レシチンを使用する場合に
は一般式()で示されるエレオステアリン酸ホ
スフアチジルコリン、またケフアリンやホスフア
チジルセリン等を使用した場合にはこれらに対応
する重合性脂質が得られる。
このようにして得られる重合性脂質は、アシル
鎖として一般式()で表わされるような鎖中に
3個の共役二重結合を有するエレオステアリン酸
由来のアシル鎖を有するものであるので、光、紫
外線、β線、γ線、X線、などの電磁波、特に紫
外線を照射することによりこの疎水性アシル鎖中
の3個の共役二重結合が容易に架橋反応を起こし
重合性脂質同志が重合してゲル化し安定な状態を
形成する。この共役トリエン型の重合性脂質はそ
の吸光スペクトルの極大波長が270nm以上の比較
的低エネルギー位置にあり(第2図参照)、それ
自身が電磁波エネルギーによる重合を行なうため
重合開始剤や増感剤、還元剤などは必要とせず、
これらの添加による毒性の心配もない。さらに驚
くべきことに、この共役トリエン型の重合性脂質
は、単に空気中に放置することによつても重合反
応が生起することが見出された。すなわち該重合
性脂質は、酸素の存在によつて自動的に酸化重合
反応を開始するものであつて、この結果、電磁波
照射した場合と同様に安定な架橋重合体を形成す
るものである。このような重合の形態の差異によ
り重合被膜の化学構造における相違は考えられる
ものの、いずれも高い生体適合性を示すことは明
らかであつた。また該重合性脂質は、電磁波照射
および/または酸素接触を受ける前には、クロロ
ホルム、エーテル、メタノール、ジメチルホルム
アミド等に可溶であるが、照射および/または接
触を受け重合しゲル化すると、これらの溶媒に対
して全く不溶となり、架橋重合によつて著しい溶
解度の差が生じるものである。
本発明の医療用具は、このような重合性脂質の
重合被膜を少なくとも生体と接触する部位の表面
に有するものであるが、該重合性脂質が両親媒性
化合物であるため、該医療用具の表面性状が疎水
性である場合に、該表面に重合性脂質の疎水性の
非極性部、すなわちアシル鎖部分が配向して良好
な付着性を示し、かつ親水性の極性部が外側に向
くので処理表面を親水化することができる。なお
架橋重合を起こす感応基である共役トリエン基
は、アシル鎖中に存在するので、架橋重合させて
重合被膜が形成された後においても、親水性の極
性部の性質には変化はない。医療用具の表面に形
成される重合被膜はこのような重合性脂質の単分
子層膜あるいはこのような単分子層膜をラングミ
ユアー−ブロージエツト法(Langmuir−
Blodgett method LB法)等により累積させた累
積膜として与えられる以外に、リポソームの形態
でも形成される。すなわち上記のごとき重合性脂
質は水性溶媒中に超音波処理等で分散させると、
自動的に脂質に二重層構造よりなる小胞体、いわ
ゆるリポソームを形成する。該リポソームにおい
ては、その内方に重合性脂質の疎水基が、外方に
親水基が配向しており、従つてその外表面性状も
親水性である。このリポソーム相互には一種の引
力が働くものであるためリポソーム集合体による
膜を形成できさらにこのようなリポソーム状態に
おいても電磁波照射および/または酸素接触によ
り重合反応が生起するものである。
本発明の医療用具の製造方法としては、種々の
方法が考えられるが、簡単には医療用具の少なく
とも生体と接触する部品の表面に、該重合性脂質
の溶液あるいはリポソーム懸濁液を塗布し、溶媒
あるいは分散媒を蒸発させることで被覆する。ま
た水面上に形成させた該重合性脂質の単分子層を
ラングミユアー−ブロージエツト法により医療用
具の表面上に累積させて行うこともできる。この
ようにして表面上を被覆した重合性脂質を電磁波
および/または酸素により架橋重合させ、重合性
脂質の重合被膜を表面上に担持固定させることが
できる。特に酸素により架橋重合される重合被膜
は、例えば医療用具がカテーテルである場合のよ
うに、生体と接触する内面には、紫外線等の電磁
波を照射することが困難であり、電磁波により架
橋重合される重合被膜が形成できないものであつ
ても、また医療用具が電磁波によつて劣化してし
まう虞れのある材質により構成されているもので
あつても形成できる。
このようにして得られる本発明の医療用具は、
少なくとも生体と接触する部位の表面に疎水性ア
シル鎖として一般式()で表わされるエレオス
テアリン酸由来のアシル鎖を少なくとも一つを有
する重合性脂質の重合被膜を形成してなる親水性
表面を有するものであり、該重合被膜の詳細な構
造は明らかではないが、生体膜の構成成分である
リン脂質と同様の構造を有する重合性脂質により
構成されたものであり、またその表面は親水性を
示すため生体適合性が高く、かつ架橋重合された
形態であるために安定した状態にあり、生体ある
いは溶媒等との接触によつても変化を生じない。
以下、本発明を実施例によつて具体的に説明す
る。なお、参考例して、用いられる重合性脂質の
合成例を合せて記載する。
参考例 つぎに実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説
明する。
エレオステアリン酸の無水物の製造 エレオステアリン酸80gに相当する桐油脂肪酸
を脱水蒸留直後の四塩化炭素600mlに溶解した、
この溶液にジシクロヘキシルカルボジイミド32.6
gを加え、容器内をアルゴンガスで置換して密封
し、そのまま25℃で24時間放置(時々撹拌)し
た。不溶成分を濾別し、蒸留乾固した。これをジ
クロロメタンを展開溶媒としてシリカゲルで精製
したところ、29%の収率でエレオステアリン酸無
水物が得られた。
卵黄レシチン(ホスフアチジルコリン)加水分
解物カドミウム錯体の製造 卵黄レシチン(キユーピーPL−100)45gを脱
水エーテル450mlに溶解し、不溶物を濾別後、10
%濃度のテトラブチルアンモニウムヒドロキシド
のメタノール溶液50mlを加え、25℃で温度で激し
く振盪した。反応の進行に伴なつて溶液は白濁
し、次第に層分離してくるので、これを静置し、
褐色油状物を充分沈澱させ、上澄をデカンテーシ
ヨンした。褐色油状物を脱水エーテル100mlで3
回洗浄したのち、脱水メタノール125mlに加熱溶
解させ、沸点還流下に脱色剤1gを加えて熱時濾
過した。冷却後、濾液に脱水エーテル250mlを加
え、析出沈澱を残してデカンテーーシヨンし、沈
澱を熱湯40mlに溶解させた。これに塩化カドミウ
ム5/2水和物8gを純水20mlに溶解したものを
加え、さらに活性炭2.5gおよび脱色剤2gを加
えて沸点還流後、濾紙および0.25μmミリポアフ
イルターにて濾過した。これにエタノール100〜
150mlを加えたところ、着色沈澱が生成したので、
これを除去した白濁溶液のみを採取し、さらにエ
タノール100〜150mlを加えて激しく振盪したとこ
ろ、白色結晶を析出してきた。0〜5℃の温度で
一夜静置後、析出結晶を濾集し、脱水メタノー
ル、脱水エーテルおよび脱水ベンゼンの順で結晶
を洗浄し、さらに五酸化リン上で80℃の温度で終
夜真空乾燥したところ、56%の収率でホスフアチ
ジルコリン加水分解物のカドミウム錯体が得られ
た。
エステル化による重合性脂質の製造 卵黄レチシン加水分解物カドミウム錯体6.74g
に、蒸留直後のクロロホルム160mlを加えて撹拌
下に懸濁させた。これに桐油脂肪酸無水物24.70
gおよび触媒である。4−ジメチルアミノピリジ
ン5.61gを加え、容器内をアルゴンガスで置換し
たのち、密栓し、暗所で25℃の温度で60時間撹拌
しながら反応させた。このとき、白色不溶物が析
出したので、これを濾別し、溶媒を室温下減圧留
去後、メタノール/クロロホルム/水=5/4/
1混合溶媒100mlに再溶解させる。この溶液を再
度濾過して濾液をイオン交換樹脂AG−501−X8
(D)(Bio−Red)カラムに注入し、先の混合溶
媒500mlで洗い落した。この溶媒を250℃の温度で
減圧留去したのち、クロロホルムに再溶解してシ
リカゲルカラムによる精製を行なつたところ、30
%の収率でエレオステアリン酸ホスフアチジルコ
リンが得られた。その赤外線吸収スペクトルは、
第1図のとおりであつた。
重合性リン脂質からのリポソームの製造 エレオステアリン酸ホスフアチジルコリン200
mgをクロロホルム6mlに溶解した。このようにし
て得られた脂質溶液をナス型フラスコに入れ、エ
バポレータで溶媒を完全に除去してナス型フラス
コ底面に脂質膜を形成させた。これにヘペスバツ
フア(Hepes buffer)(10mM、PH8.0)10mlを添
加してボルテツクスミキサーで振盪した後、チツ
プ型超音波照射機(40〜50W)でアルゴン気流下
に10分間処理した。処理液は白濁状態から透明分
散液となり、リポソームの形成が確認された。ま
た、走査型電子顕微鏡により直径0.2〜0.5μmの
球状粒子が観察され、リポソームの形成が確認さ
れた。
実施例 1 上記参考例で得られたエレオステアリン酸ホス
フアチジルコリンの1重量%メタノール溶液をポ
リスチレン製の組織培養用シヤーレに塗布して乾
燥した。このポリスチレン製シヤーレに対し75W
水銀灯により空気中室温下で6時間紫外線照射を
行なつた。シヤーレを蒸留水で十分洗浄後、ポリ
スチレン製シヤーレ表面の水滴の接触角を測定し
た。エレオステアリン酸ホスフアチジルコリンの
重合被覆の形成されていない対照用のポリスチレ
ンシヤーレにおける接触角66°であるのに対し、
上記処理を施したシヤーレの表面の接触角は21゜
であつた。
実施例 2 上記参考例で得られたエレオステアリン酸ホス
フアチジルコリンの1重量%メタノール溶液をポ
リスチレン製の組織培養用シヤーレ上に塗布し乾
燥した。このポリスチレン製シヤーレに対し、
75W水銀灯により窒素雰囲気中室温で12時間紫外
線照射を行なつた。このポリスチレンシヤーレに
MEM培地で1×105個(細胞)/mlに調製した
Hela−S3細胞浮遊液5mlを分注し、48時間培養
を行なつた。48時間経過の後、このシヤーレ表面
を顕微鏡で観察すると、細胞が生着、伸展、増殖
していることが確認された。
実施例 3 上記参考例で得られたエレオステアリン酸ホス
フアチジルコリン500mgを含むクロロホルム溶液
を100mlのナス型フラスコに入れ、ロータリ−エ
バポレーターでクロロホルムを減圧留去して、フ
ラスコ内面にエレオステアリン酸ホスフアチジル
コリンの薄膜を形成させた。これを空気中暗所に
室温下で一週間放置した。この結果エレオステア
リン酸ホスフアチジルコリンは空気中の酸素によ
り重合ゲル化し、クロロホルム、エーテル、メタ
ノール等の有機溶媒および水に対して全く不溶と
なつた。
実施例 4 上記参考例で得られたエレオステアリン酸ホス
フアチジルコリンのリポソームを1重量%含有す
るヘペスバツフア懸濁液をガラス製のシヤーレ上
に塗布し乾燥させた。これに75W水銀灯により空
気中室温下にて6時間紫外線照射を行なつた。こ
の結果シヤーレ表面にはクロロホルム、エーテ
ル、メタノール等有機溶媒および水に対して全く
不溶な被膜が形成されたことが確認された。
これとは別にリポソームをサンプル濃度10mg/
mlとし、75Wの水銀ランプを光源として照射距離
12cmとして脱気下において水温25℃の水浴中で紫
外線を照射したところ第2図に示すようにトリエ
ンに基づく272nmにおける吸光度が照射時間の経
過とともに減少していることから重合が進行して
いることが確認された。
発明の具体的効果 以上述べたように本発明は、少なくとも生体と
接触する部位の表面に、疎水性アシル鎖として、
一般式()で表わされるエレオステアリン酸由
来のアシル鎖を少なくとも一つ有する重合性脂質
の重合被膜を形成してなる親水性表面を有するこ
とを特徴とする医療用具であるから、生体、すな
わち組織ないし体液等と接触する部位の表面は、
生体膜を構成する成分とほぼ同様の構造を有する
重合性脂質により構成されたものであり、またそ
の表面は親水性を示すため、非常に生体適合性が
高く、かつ該表面は架橋重合された重合被膜形態
であるために安定した状態にあり、使用時に生体
とあるいは、使用前に溶媒等と接触しても変化を
生じることなく極めて優れた医療用具である。ま
たこのような重合被膜を構成する重合性脂質は、
天然に得られるエレオステアリン酸および天然に
得られる脂質を出発物質として簡単、大量かつ安
価に合成され得るものであるので、最終製品であ
る医療用具を量的にまたコスト的に限定する虞れ
もない。さらにこの医療用具は該重合性脂質を医
療用具表面へ適当な方法で塗布した後、該塗布面
に光、紫外線、β線、γ線、X線などの電磁波を
照射するおよび/または酸素を接触させることで
重合性脂質を架橋重合させ重合被膜を形成すると
いう簡単な方法で製造でき、特に酸素と接触させ
ることのみによつても製造可能であることから、
従来のポリアセチレン型脂質を用いては不可能で
あつた、例えばカテーテルの内面のような紫外線
等の電磁波の到達しない部分に重合被膜を形成さ
せる必要のある医療用具、あるいは電磁波照射に
よつて劣化を起こしてしまう虞れのある材質によ
り構成されている医療用具などの場合においても
優れた生体適合性を有する医療用具を提供できる
ものである。
このような効果は、一般式()で表わされる
エレオステアリン酸由来のアシル鎖を少なくとも
一つ有する重合性脂質がエレオステアリン酸ホス
フオリピド、さらに好ましくはエレオステアリン
酸ホスフアチジルコリンである場合はより顕著な
ものとなる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の医療用具の重合被膜を構成す
る重合性脂質の一例に関する赤外吸収スペクトル
のチヤートであり、また第2図はこの重合脂質の
リポソーム形態における紫外線照射による重合の
程度を示す吸収スペクトルのチヤートである。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 少なくとも生体と接触する部位の表面に、疎
    水性アシル鎖として、一般式() で表されるエレオステアリン酸由来のアシル鎖を
    少なくとも一つ有する重合性脂質の重合被膜を形
    成してなる親水性表面を有することを特徴とする
    医療用具。 2 重合性脂質が、一般式() [ただし、式中Rは−(CH2−)2N (CH3)3、−(
    CH2−)2N H3または−CH2−CH(N H3)−
    COO である。]で表されるホスフオリピドから
    なるものである特許請求の範囲第1項に記載の医
    療用具。 3 一般式()のRが−(CH2−)2N (CH3)3
    である特許請求の範囲第2項に記載の医療用具。 4 重合被膜は重合性脂質を電磁波照射により架
    橋重合させて形成されたものである特許請求の範
    囲第1項〜第3項のいずれか一つに記載の医療用
    具。 5 重合被膜は重合性脂質を酸素と接触させるこ
    とにより架橋重合させて形成されたものである特
    許請求の範囲第1項〜第3項のいずれか一つに記
    載の医療用具。 6 重合被膜は重合性脂質を電磁波照射および酸
    素接触させることにより架橋重合させて形成され
    たものである特許請求の範囲第1項〜第3項のい
    ずれか一つに記載の医療用具。
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