JPH0214404B2 - - Google Patents
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- JPH0214404B2 JPH0214404B2 JP13251786A JP13251786A JPH0214404B2 JP H0214404 B2 JPH0214404 B2 JP H0214404B2 JP 13251786 A JP13251786 A JP 13251786A JP 13251786 A JP13251786 A JP 13251786A JP H0214404 B2 JPH0214404 B2 JP H0214404B2
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- Carbon Steel Or Casting Steel Manufacturing (AREA)
Description
〈産業上の利用分野〉
この発明は、全製鋼工程を通じての造滓剤(生
石灰等)使用量を極力抑えつつ高能率脱燐を行
い、品質の良好な鋼をコスト安く溶製する方法に
関するものである。 〈従来技術とその課題〉 近年、各種鋼材に対する品質要求は日増しに高
度化しており、これにともなつて製鋼法にも各種
の工夫が試みられ、様々な新しい手法が導入され
てきた。 このような中にあつて、最近、低燐鋼をより一
層低いコストで安定溶製する手段の開発に大きな
期待が寄せられるようになり、その実現に向けて
多くの研究が積み重ねられている。 ところで、製鋼トータルコストのミニマム化や
低燐鋼の安定溶製に関しては、従来、次のような
溶銑の予備脱燐法が提案され、一部実用化もなさ
れている。即ち、 ) トーピード内の溶銑に生石灰系のフラツク
ス又はソーダ灰をインジエクシヨンすることで
予備脱燐を行う方法、 ) 取鍋内の溶銑に生石灰系のフラツクスをイ
ンジエクシヨンしたりブラステイング(吹き付
け)することで予備脱燐を行う方法、 ) 高炉鋳床樋中の溶銑に生石灰系のフラツク
スをブラステイングして予備脱燐を行う方法。 しかしながら、前記)及び)の方法による
と比較的低い到達P含有量レベルを達成すること
はできるが、脱燐を“脱燐剤の浮上過程で進行す
る反応(トランジトリー・リアクター・リアクシ
ヨン)”に頼るため、脱燐フラツクスの利用効率
が必ずしも良くなく、また処理時間が長くかかる
分だけ処理時の抜熱が大きくなつて溶銑温度が低
下すると言う問題があり、一方、前記)の方法
では処理後の溶銑温度を先の2つの方法より高く
保つことができるが、脱燐処理が高炉から出銑さ
れた直後の溶銑に施される関係上脱燐処理温度が
約1400℃と高く、到達P含有量レベルそのものが
前記)及び)の方法よりも悪くなるとの不都
合があつて、いずれも決して満足できるものでは
なかつた。 その上、溶銑脱燐フラツクスとして生石灰等を
用いる場合には、その後の転炉吹錬で使用される
生石灰等の量をも合わせて考えると、前記いずれ
の方法によつても“該予備脱燐工程を省いて転炉
のみでの脱燐を行う方法“に比べて必要造滓剤量
(生石灰等の量)はそれほど大きく低減されない
ことも指摘されていたのである。 本発明者等は、上述のような観点から、製鋼コ
ストに大きく影響する造滓剤使用量を極力抑える
ことが可能で、しかも格別に新規な設備を必要と
することなく品質の良好な鋼を高能率生産し得る
方法を提供すべく、まず燐含有量の低い高品質鋼
の溶製に重要な役割を果たす生石灰等の造滓剤の
必要量について基礎的な検討を行つたが、これら
の検討結果より 「全製鋼工程を通じての造滓剤の必要量はスラ
グとメタルとを向流的に接触させる“スラグ―メ
タル向流精錬”によるときが最も少なくて良い
が、実際上は該向流精錬の完全な実現は殆ど不可
能であり、現状において最も労少なく造滓剤の使
用量を抑え得る可能性を秘めた製鋼手段として挙
げ得るものは、脱燐工程を2段階に分割してその
下工程で発生するスラグを上工程の脱燐剤として
使用する方法(即ち、溶銑脱燐用フラツクスの主
成分として転炉滓を用いる方法であつて、例えば
本出願人が先に特公昭55−30042号として提案し
たところの“転炉滓を炉外精錬での溶銑脱燐フラ
ツクスとして再利用する方法”に代表されるも
の)である」 ことを強く認識するに至つた。 しかしながら、これまでに提案された転炉滓再
利用による製鋼法は、炉外精錬を併用することも
あつて効率が良く工業的に満足できる作業条件を
安定して確保するのが非常に困難で高品質鋼の量
産手段としては今一歩躊躇されるものでしかなか
つた。 〈課題を解決するための手段〉 このようなことから、本発明者等は転炉滓再利
用による製鋼法の利点を十分にわきまえた上で、
該利点を損なわずに、また信頼性が確立されてい
ない格別に新規な処理設備を必要とすることもな
く、トータルの造滓剤使用量が少ない前記「2段
階脱燐工程を含む製鋼方法」を能率良くしかも安
定に実施し得る手段を模索しながら種々研究を行
つたところ、以下に示される事実を再認識し、ま
た新たな知見として強く認識するに至つた。即
ち、 (a) 溶銑の脱燐処理においては、脱燐効率からみ
て処理温度は出来るだけ低くする方が良いが、
該温度が余りに低くなり過ぎると次工程での操
業が不利となる上、処理後スラグへの粒鉄ロス
が多くなると言う問題が生じるので、該温度は
1300〜1350℃程度が最も良好である。しかしな
がら、実際の脱燐作業では“脱燐剤の添加”そ
のものが処理温度を低下する大きな要因となる
ので多少低目の上記温度を保持するのは極めて
困難である。もつとも、特開昭60−245708号公
報には、溶融状態の脱燐性スラグを溶銑の脱燐
剤として使用することで処理鍋内での脱燐処理
中の温度降下を或る程度抑え得るとの提案がな
されているが、それでも従来90℃程度であつた
温度降下が精々50℃程度に抑えられると言つた
効果が報告されているに過ぎず、実際作業上の
効果は期待される程のものではなかつた。 しかるに、脱燐促進のためになされる従来の
固酸インジエクシヨン等とは別観点で脱燐処理
時に適量の酸素ガスを吹き込むと、脱燐促進効
果の確保は勿論、処理溶銑の温度調整を非常に
簡単に行うことが可能となつて、前記処理温度
が容易かつ安定に維持されるようになること。 (b) フラツクスの脱燐能を十分に発揮せしめて脱
燐能率を上げるには、上述のような処理温度の
調整もさることながら、脱燐平衡状態を達成す
るための十分な撹拌を欠くことができないが、
高温の溶銑を高能率脱燐するに十分満足できる
効率の良い撹拌を短時間に実現するためには、
処理容器底部から吹き込まれるガスによるガス
撹拌が最も好ましいこと。 (c) 加えて、効率の良い脱燐処理を行うためには
脱燐剤中成分と溶銑中成分との急激な反応を容
認することも必要であり、また処理容器耐火物
の溶損に必要以上の格別な心配りを要する操業
姿勢も必ずしも好ましいものではなく、従来の
炉外精錬の概念を超える大胆な操業が必要とさ
れること。 (d) 2段階脱燐工程を含む製鋼法において脱燐作
業能率を上げ、造滓剤の使用量を極力少なくす
るためには、処理容器から大胆で能率の良い排
滓を行うことも極めて重要であること。 そこで、本発明者等は、上記事実を念頭におい
て更に研究を進めた結果、 「前述したように、トータルの造滓剤使用量を
極力抑え得る精錬としては脱燐スラグ―メタル向
流精錬が理想的ではあるが、完全に連続的ではな
くても使用履歴段階の異なる脱燐スラグを多段階
に分けて処理溶銑と接触させる“脱燐スラグ―メ
タル向流的多段精錬”によつても十分に顕著な効
果が得られる上、これまでの炉外精錬に関する知
見からは到底想到し得ないことではあるが、初期
脱燐処理段階(予備脱燐処理段階)で転炉、それ
も特に炉底から撹拌ガスを導入できる“上下両吹
き機能を有する複合吹錬転炉”を精錬容器として
適用し、比較的大胆な精錬を実施し得るようにす
ると、前記“脱燐スラグ―メタル向流的精錬”を
2段階で行つたとしても十分に満足できる省造滓
剤高品質精錬が可能となり、従来の溶銑処理鍋等
に代えて複合吹錬転炉を用いることによる設備コ
ストアツプを補償して余りある顕著な経済的効果
をも得ることができる上、現有転炉を使用すれば
設備のコストアツプは殆んど無くなる」 との思いも掛けない知見を得ることができた。 つまり、脱炭精錬に先立つ“転炉スラグを脱燐
剤として用いる溶銑の脱燐処理”の際に、従来の
工業技術概念では思いも寄らなかつた“上下両吹
き機能を有する複合吹錬転炉”を精錬容器として
精錬を実施すると、 ) 酸素ガスの吹込みを極めて容易かつ調節自
在に実施することができ、処理温度の調整・維
持が格別な配慮を要することなく十分な余裕下
で簡単・適切に行える、 ) 底吹きガス撹拌により、単なる溶銑処理鍋
では達成することの出来ない十分な被処理溶銑
の撹拌が行える、 ) スラグフオーミングに十分対処できるだけ
の余裕のあるフリーボード(湯面から容器上端
までの距離)が確保できるので、反応性に富ん
だ転炉スラグの大胆な使用が可能である、 ) 転炉では塩基性ライニングが施されている
ためスラグによる耐火物の溶損を極力軽減で
き、脱燐作業能率を上げ得る大胆な操業が可能
である、 ) 排滓を極めて容易かつ十分に行えるので脱
燐能率が顕著に向上する、 ) 構造的に十分な排ガス処理設備(集塵機)
設置が裏付けられているので、高品質鋼の作業
性の良い大量処理が可能である、 等の機能・作用が相乗された効果が確保できるこ
ととなるので、通常では不可能であつた前記(a)乃
至(d)項で示した条件等が全て満足されるようにな
り、2段階の脱燐スラグ―メタル向流的接触精錬
によつても、極めて少ない“全製鋼工程を通じた
造滓剤使用量”の下で高い脱燐効率にて品質の優
れた鋼を量産することが可能となるとの事実を見
出したのである。 この発明は、上記知見事項等に基づいてなされ
たものであり、 「第1図で示した如く、上下両吹き機能を有し
た2基の転炉を使用すると共に、そのうちの一方
を脱燐炉1、他方を脱炭炉2とし、前記脱燐炉1
内へ注入した溶銑3に前記脱炭炉2で発生した転
炉滓4を主成分とする精錬剤の添加を行い、撹拌
ガス吹き込みノズル5による底吹きガス撹拌を実
施しつつランス6より酸素ガスを上吹きすること
で脱燐炉1の溶銑3の温度を1200〜1400℃以下に
保ちながら溶銑脱燐を行つた後、得られた脱燐溶
銑を脱炭炉2にて脱炭並びに仕上脱燐すると言う
脱燐スラグ―メタルの向流的2段階接触精錬によ
り、極めて少ない量の造滓剤でもつて通常燐レベ
ルの鋼或いは低燐鋼を作業性良く低コストで製造
し得るようにした点」 に特徴を有するものである。 ここで、脱燐炉での処理温度を1400℃以下に調
整する理由は、溶銑処理温度がこれより高くなる
と脱炭ばかりが進行してスラグ中の全Fe量が低
くなり脱燐率が悪化するからである。一方、余り
に低温になると今度はスラグへの粒鉄ロスが増加
する。従つて、脱燐炉での処理温度は1200〜1400
℃と定めたが、好ましくは1250〜1370℃に調整す
るのが良い。そして、このような処理温度の維持
は上吹きランスからの酸素ガス吹き込み或いは炉
底羽口からの酸素ガス吹き込みの併用によつて行
われる。 つまり、上記脱燐炉での酸素ガス吹き込みは、
主として脱燐処理温度を保証するために行われる
のである。 従つて、ここでの上吹き酸素ランスは通常の転
炉ランスでも良いが、脱燐用に新作した小流量ラ
ンスであつても良い。そして、使用酸素ガス量は
処理前の溶銑温度や珪素含有量、転炉滓の温度、
脱燐炉の温もり具合、目的とする処理溶銑温度等
によつて決定されるが、概ね20Nm3/t以下で良
く、通常は5〜10Nm3/tが効果的である。因
に、このときの脱炭量は0.5%程度である。 前記「上下両吹き機能を有した転炉」は、現在
製鋼に使われている“上下吹き複合吹錬転炉”が
最も好ましいが、特に脱燐炉については精錬条件
が脱炭炉よりもマイルドであるため炉自体を更に
小さくしても良いので、脱燐専用に新設してもコ
スト的にそれほどの影響はなく、造滓剤使用量の
の低減効果や作業能率向上効果等のために従来の
処理鍋使用法に比べても経済的には十分有利とな
る。 脱燐炉で使用される精錬剤(脱燐フラツクス)
は脱炭炉で発生した転炉滓を主成分としたもので
あるが、上記転炉滓以外に酸化鉄及び蛍石を基本
の副成分として配合するのが良い。例えば、 転炉滓:40〜80重量%、 酸化鉄:20〜60重量%、 蛍石:0〜20重量% 程度の配合割合としたものが推奨される。勿論、
これに限定される訳ではないが、転炉滓を滓化し
て低融点の脱燐スラグとしたり脱燐が進行し易い
ようにスラグの酸化力を高めるためには酸化鉄の
併用は極めて重要である。なお、前記以外に付加
的に生石灰、ドロマイト或いは石灰石を配合して
も良いし、溶銑[Mn]向上のためにマンガン鉱
石や鉄マンガン鉱石を配合しても良い。また、媒
溶剤としては蛍石が一般的であるが、CaCl2,
Na2O・SiO2,Na2CO3等をそれぞれ単独に用い
ても良いし、或いは蛍石と併用しても良い。そし
て、転炉滓以外のこれら脱燐フラツクス原料は滓
化性の面から小さい粒径程好ましいが、一般に使
われている程度のものであれば何ら差し支えな
い。 ここで、脱炭炉で発生した転炉滓が有効な脱燐
剤となり得る理由は、脱燐反応(Pの酸化反応で
あつて生成物はP2O5)が発熱反応であるため、
脱炭炉終点温度(1650℃程度の高温)に比べて十
分に低温である脱燐炉での処理では熱力学的に反
応の進行が圧倒的に有利となり、従つて脱炭炉に
おいては脱燐能力が低下してしまつた脱炭炉滓で
あつても脱燐炉では十分な脱燐能力を発揮する点
にある。そして、それ故に、脱燐炉においては、
CaO/SiO2=2〜3程度と脱炭炉に比して低塩
基度であつても良好に脱燐が進行する。 脱燐炉で使用される精錬剤(脱燐フラツクス)
の量は溶製する鋼の[P]レベルにより決定され
るが、通常は50Kg/t程度で良い。 さて、脱燐炉で使用される精錬剤の主成分たる
転炉滓としては、脱炭炉で発生した溶融状態のも
のが熱経済的にも脱燐フラツクスの滓化性の面か
らも好ましいが(このように溶融状態のものを用
いる場合には耐火物を内張りした鍋を介して脱燐
炉に注滓される)、取り扱いの容易さ等を考慮し
た脱炭炉で得られたものを一旦冷却凝固させ、粒
状又は塊状に破砕してから用いても良い(なお、
この時も熱的な面からすればスラグの温度は高い
程良い)。ただ、この場合、脱燐炉での滓化性向
上のために粒径は小さい程良好であるが、転炉滓
は本来滓化性に富んでいることもあつて、粒径が
100mmを下回る程度でも格別な不都合を来たすこ
とがないし、これより大きくても使用可能であ
る。 なお、使用される転炉滓は、タイミングとして
は前回チヤージのものが良いが、それ以前に脱炭
炉から出たものや他の工場の脱炭炉で発生したも
のでも良いことは言うまでもない。 炉底から吹き込む撹拌ガスとしてはAr,CO2,
CO,N2,O2、空気等の何れであつても良い。そ
して、脱燐炉の炉底ガス撹拌の程度は通常の上下
両吹き複合吹錬におけると同程度(0.03〜0.2N
m3/min・t)で良いが、脱燐速度の向上を狙つ
てこれよりも更に多くして良いことは勿論であ
る。 以上のような条件で脱燐処理を行うと、通常、
20分以内で所望の脱燐を完了することができる。 脱炭炉での吹錬は基本的には通常の転炉吹錬の
場合と同じであるが、使用する造滓剤の量は少な
くて良い。即ち、従来の“高炉銑の転炉吹錬”に
おける造滓剤としては 生石灰…脱燐に必要(熱余裕のある場合には石灰
石が使用される)、 ドロマイト…主として転炉耐火物の溶損防止のた
めに用いられる、 蛍石…滓化促進剤、 硅砂又は珪石…塩基度調整のため必要により使
用、 鉄鉱石又はミルスケール…転炉終点温度調整用の
冷却剤として時々使用 なる組成のものを適用するのが一般的であつた
が、本発明での脱炭炉吹錬においても、仕上脱燐
のため例えば 生石灰…仕上脱燐に必要(目標とする[P]レベ
ルにより、第3図で示す如き最低量が
必要)、 ドロマイト…炉体溶損防止等のために生石灰使用
量の10%以上を加えるのが望ましく、
上限は生石灰量と同程度が目安であ
る、 蛍石…滓化促進剤として生石灰量の30%以下を目
安に添加(終点温度によつても異な
る)、 硅石…スラグの塩基度調整(CaO/SiO2>2.5、
通常は3.5以上とされる)のために必
要な場合もあるが、SiO2分は蛍石、
鉄鉱石、マンガン鉱石にも混入してい
るので添加しなくても良い場合が多
い、 鉄鉱石又はミルスケール…温度調整用 と言つた組成のものが使用される。しかし、前述
したように、本発明での脱炭炉吹錬では脱燐炉で
脱燐が大部分進行した後であつて、必要脱燐量が
少なくて良いため、使用する造滓剤の量は従来の
転炉吹錬に比べ20〜40%程度と少なくて良い訳で
ある。 そして、脱炭炉吹錬では従来の高炉銑の転炉吹
錬に比べて造滓剤量が20〜40%と少ないので炉内
でのMnの還元歩留が上昇するが、そのためマン
ガン鉱石や鉄マンガン鉱石を添加して[Mn]濃
度を効率的に上昇させることもできる。ところ
で、この発明に係る製鋼法を実施する場合には、
出来れば適用される溶銑の事前脱硫処理を行うの
が良い。その第一の理由として該製鋼法では脱硫
の進行が極めて鈍いことが挙げられるが、他方で
は、事前脱硫していない溶銑を用いた場合には転
炉スラグ中のS含有量が上昇し、次のチヤージに
おける溶鋼S含有量を高めることも懸念されるか
らである。なお、前記事前脱硫は通常行われてい
る溶銑脱硫方法のいずれによつても良い。更に、
この方法に適用される原料溶銑のSi含有量も低い
程好ましい。なぜなら、溶銑中のSi含有量が多く
なるほど前記脱燐炉でのスラグ塩基度が低下して
脱燐能が落ち、全体での生石灰等の使用量が増加
するためである。このことは、通常程度の[P]
レベル鋼(P含有量が約0.012重量%)を溶製す
る際の「原料溶銑中のSi含有量」と「必要生石灰
量」との関係を示した第2図からも確認すること
ができる(因に、このときの原料溶銑中のP含有
量は0.1%)。それ故、溶銑のSi含有量は出来れば
0.3%以下、好ましくは0.2%以下に調整しておく
のが良策である。なお、脱炭炉の条件から処理後
の溶銑温度を少しでも高くしたいような場合、溶
銑のSi含有量は0.2%程度の方が有利なこともあ
り、工場のローカル条件によつて決定すべきであ
る。 さて、この発明によつて得られる効果はこれま
での説明で十分に理解される筈であるが、その主
なものを副次的な効果をも交えて次に列挙する。 〈発明の効果〉 転炉滓を溶銑脱燐フラツクスとして用いる
“2段向流精錬”であるため、全製鋼工程での
生石灰使用量が従来法に比べて大幅に減少し、
低燐鋼を極めて少ない生石灰量で吹錬すること
を可能とする。なお、第3図は、本発明の製鋼
法による「転炉終点における鋼中P含有量」と
「生石灰使用量」との関係を示すグラフである
が、この第3図からも、本発明によると燐含有
量の低い高品質鋼を少ない生石灰量で以つて十
分に溶製できることが明瞭である。従つて、処
理能率や以下に示す効果等をも併せて考慮すれ
ば、脱燐容器として複合吹錬転炉を使用したと
しても従来法に比べて十分な経済的有利性を確
保でき、更に遊休の現有転炉を使用すればコス
トメリツトは一段と向上する。 転炉滓中のFeOの有効利用がなされ、粒鉄や
地金の回収率が向上する。 一般に、脱炭炉でマンガン鉱石や鉄マンガン
鉱石を使用した場合にはこれらの約半分はMn
にまで還元されずに酸化物としてスラグ中に残
るが、この発明の方法おいては、該スラグを溶
銑脱燐フラツクスとして再使用するので上記残
留鉱石の有効利用がなされ、溶銑における
“[Mn]ロスの軽減”或いは“[Mn]上昇”に
役立つ。 使用する炉が転炉であるので、例えば脱燐炉
の場合でも、出鋼口から脱燐銑のみを鍋中へ出
銑してから炉内のスラグを溶滓鍋に排出でき、
他の脱燐法におけるよりも除滓が簡単でかつ高
脱燐率を確保できる。 使用する炉が上下両吹き機能を有した転炉で
あるので溶銑の強撹拌が出来て短時間処理が可
能となるので抜熱量が少なく、他の脱燐処理法
に比して熱経済上極めて有利である。特に溶融
転炉滓を用いる場合にはその顕熱分だけ更に熱
経済的に有利となる。 この発明の方法で使用される脱燐炉で発生す
るスラグは、P2O5含有量が4〜10%にもなつ
ているので肥料としての用途が開ける上、遊離
石灰が無いため路盤材としての有効利用も可能
である。 使用する炉が2つであるので、炉体に付着す
るP2O5に起因した脱燐不良の懸念は全くない。
つまり、脱燐炉では高P2O5のスラグが、そし
て脱炭炉では低P2O5スラグしか付着しないの
で脱炭炉での脱燐不良が起こらない。 しかも、溶融転炉滓を使用する場合には、脱
燐炉では溶銑を装入した後に溶融転炉滓が入れ
られるので、急激な爆発的反応が起きる心配が
なく、或る程度激しい反応が起きたとしても処
理容器が転炉であるので格別な不都合を招く恐
れも少ない。 底吹きガス撹拌を行いつつ脱燐を行うので、
従来の溶銑脱燐法の場合のように脱燐剤を粉状
近くにまで細かく粉砕しておく必要がなく、そ
の分のコスト低減が可能となる。 遊休転炉がある場合には、これを直ちに脱燐
炉として使うことが出来、格別な設備を準備す
る必要がない。 また、例えば転炉1/2基操業を行つている工
場の場合には一方の炉を脱燐炉とすることにより
転炉滓2/2基操業のような形態を採ることがで
き、新たな設備投資を必要とすることなくこの発
明の実施が可能である。そして、レンガ寿命のた
めに何れか一方を築炉する必要が生じた場合に
は、この間だけ転炉1基のみで従来の転炉吹錬を
行つて遊休炉を出さない方策も講じられ、非常に
柔軟性に富んだ精錬が可能である。 ところで、工場によつてはクレーン能力から2
杯注銑を行う場合があるが、この場合、処理を簡
単にするために脱燐炉では大半の溶銑を処理し、
追銑は脱炭炉で行うのが得策である。 次に、この発明を実施例により具体的に説明す
る。 〈実施例〉 実施例 1 まず、トーピード内で脱硫・脱珪処理した第1
表の上段に示される如き成分組成の溶銑160トン
を脱燐炉として使用する上下両吹き複合吹錬転炉
に注銑し、これに、同様形式の脱炭炉で発生した
転炉滓を冷却・凝固して30mm以下の粒径に破砕し
たもの20Kg/t、同様の粒径を持つ鉄鉱石16
石灰等)使用量を極力抑えつつ高能率脱燐を行
い、品質の良好な鋼をコスト安く溶製する方法に
関するものである。 〈従来技術とその課題〉 近年、各種鋼材に対する品質要求は日増しに高
度化しており、これにともなつて製鋼法にも各種
の工夫が試みられ、様々な新しい手法が導入され
てきた。 このような中にあつて、最近、低燐鋼をより一
層低いコストで安定溶製する手段の開発に大きな
期待が寄せられるようになり、その実現に向けて
多くの研究が積み重ねられている。 ところで、製鋼トータルコストのミニマム化や
低燐鋼の安定溶製に関しては、従来、次のような
溶銑の予備脱燐法が提案され、一部実用化もなさ
れている。即ち、 ) トーピード内の溶銑に生石灰系のフラツク
ス又はソーダ灰をインジエクシヨンすることで
予備脱燐を行う方法、 ) 取鍋内の溶銑に生石灰系のフラツクスをイ
ンジエクシヨンしたりブラステイング(吹き付
け)することで予備脱燐を行う方法、 ) 高炉鋳床樋中の溶銑に生石灰系のフラツク
スをブラステイングして予備脱燐を行う方法。 しかしながら、前記)及び)の方法による
と比較的低い到達P含有量レベルを達成すること
はできるが、脱燐を“脱燐剤の浮上過程で進行す
る反応(トランジトリー・リアクター・リアクシ
ヨン)”に頼るため、脱燐フラツクスの利用効率
が必ずしも良くなく、また処理時間が長くかかる
分だけ処理時の抜熱が大きくなつて溶銑温度が低
下すると言う問題があり、一方、前記)の方法
では処理後の溶銑温度を先の2つの方法より高く
保つことができるが、脱燐処理が高炉から出銑さ
れた直後の溶銑に施される関係上脱燐処理温度が
約1400℃と高く、到達P含有量レベルそのものが
前記)及び)の方法よりも悪くなるとの不都
合があつて、いずれも決して満足できるものでは
なかつた。 その上、溶銑脱燐フラツクスとして生石灰等を
用いる場合には、その後の転炉吹錬で使用される
生石灰等の量をも合わせて考えると、前記いずれ
の方法によつても“該予備脱燐工程を省いて転炉
のみでの脱燐を行う方法“に比べて必要造滓剤量
(生石灰等の量)はそれほど大きく低減されない
ことも指摘されていたのである。 本発明者等は、上述のような観点から、製鋼コ
ストに大きく影響する造滓剤使用量を極力抑える
ことが可能で、しかも格別に新規な設備を必要と
することなく品質の良好な鋼を高能率生産し得る
方法を提供すべく、まず燐含有量の低い高品質鋼
の溶製に重要な役割を果たす生石灰等の造滓剤の
必要量について基礎的な検討を行つたが、これら
の検討結果より 「全製鋼工程を通じての造滓剤の必要量はスラ
グとメタルとを向流的に接触させる“スラグ―メ
タル向流精錬”によるときが最も少なくて良い
が、実際上は該向流精錬の完全な実現は殆ど不可
能であり、現状において最も労少なく造滓剤の使
用量を抑え得る可能性を秘めた製鋼手段として挙
げ得るものは、脱燐工程を2段階に分割してその
下工程で発生するスラグを上工程の脱燐剤として
使用する方法(即ち、溶銑脱燐用フラツクスの主
成分として転炉滓を用いる方法であつて、例えば
本出願人が先に特公昭55−30042号として提案し
たところの“転炉滓を炉外精錬での溶銑脱燐フラ
ツクスとして再利用する方法”に代表されるも
の)である」 ことを強く認識するに至つた。 しかしながら、これまでに提案された転炉滓再
利用による製鋼法は、炉外精錬を併用することも
あつて効率が良く工業的に満足できる作業条件を
安定して確保するのが非常に困難で高品質鋼の量
産手段としては今一歩躊躇されるものでしかなか
つた。 〈課題を解決するための手段〉 このようなことから、本発明者等は転炉滓再利
用による製鋼法の利点を十分にわきまえた上で、
該利点を損なわずに、また信頼性が確立されてい
ない格別に新規な処理設備を必要とすることもな
く、トータルの造滓剤使用量が少ない前記「2段
階脱燐工程を含む製鋼方法」を能率良くしかも安
定に実施し得る手段を模索しながら種々研究を行
つたところ、以下に示される事実を再認識し、ま
た新たな知見として強く認識するに至つた。即
ち、 (a) 溶銑の脱燐処理においては、脱燐効率からみ
て処理温度は出来るだけ低くする方が良いが、
該温度が余りに低くなり過ぎると次工程での操
業が不利となる上、処理後スラグへの粒鉄ロス
が多くなると言う問題が生じるので、該温度は
1300〜1350℃程度が最も良好である。しかしな
がら、実際の脱燐作業では“脱燐剤の添加”そ
のものが処理温度を低下する大きな要因となる
ので多少低目の上記温度を保持するのは極めて
困難である。もつとも、特開昭60−245708号公
報には、溶融状態の脱燐性スラグを溶銑の脱燐
剤として使用することで処理鍋内での脱燐処理
中の温度降下を或る程度抑え得るとの提案がな
されているが、それでも従来90℃程度であつた
温度降下が精々50℃程度に抑えられると言つた
効果が報告されているに過ぎず、実際作業上の
効果は期待される程のものではなかつた。 しかるに、脱燐促進のためになされる従来の
固酸インジエクシヨン等とは別観点で脱燐処理
時に適量の酸素ガスを吹き込むと、脱燐促進効
果の確保は勿論、処理溶銑の温度調整を非常に
簡単に行うことが可能となつて、前記処理温度
が容易かつ安定に維持されるようになること。 (b) フラツクスの脱燐能を十分に発揮せしめて脱
燐能率を上げるには、上述のような処理温度の
調整もさることながら、脱燐平衡状態を達成す
るための十分な撹拌を欠くことができないが、
高温の溶銑を高能率脱燐するに十分満足できる
効率の良い撹拌を短時間に実現するためには、
処理容器底部から吹き込まれるガスによるガス
撹拌が最も好ましいこと。 (c) 加えて、効率の良い脱燐処理を行うためには
脱燐剤中成分と溶銑中成分との急激な反応を容
認することも必要であり、また処理容器耐火物
の溶損に必要以上の格別な心配りを要する操業
姿勢も必ずしも好ましいものではなく、従来の
炉外精錬の概念を超える大胆な操業が必要とさ
れること。 (d) 2段階脱燐工程を含む製鋼法において脱燐作
業能率を上げ、造滓剤の使用量を極力少なくす
るためには、処理容器から大胆で能率の良い排
滓を行うことも極めて重要であること。 そこで、本発明者等は、上記事実を念頭におい
て更に研究を進めた結果、 「前述したように、トータルの造滓剤使用量を
極力抑え得る精錬としては脱燐スラグ―メタル向
流精錬が理想的ではあるが、完全に連続的ではな
くても使用履歴段階の異なる脱燐スラグを多段階
に分けて処理溶銑と接触させる“脱燐スラグ―メ
タル向流的多段精錬”によつても十分に顕著な効
果が得られる上、これまでの炉外精錬に関する知
見からは到底想到し得ないことではあるが、初期
脱燐処理段階(予備脱燐処理段階)で転炉、それ
も特に炉底から撹拌ガスを導入できる“上下両吹
き機能を有する複合吹錬転炉”を精錬容器として
適用し、比較的大胆な精錬を実施し得るようにす
ると、前記“脱燐スラグ―メタル向流的精錬”を
2段階で行つたとしても十分に満足できる省造滓
剤高品質精錬が可能となり、従来の溶銑処理鍋等
に代えて複合吹錬転炉を用いることによる設備コ
ストアツプを補償して余りある顕著な経済的効果
をも得ることができる上、現有転炉を使用すれば
設備のコストアツプは殆んど無くなる」 との思いも掛けない知見を得ることができた。 つまり、脱炭精錬に先立つ“転炉スラグを脱燐
剤として用いる溶銑の脱燐処理”の際に、従来の
工業技術概念では思いも寄らなかつた“上下両吹
き機能を有する複合吹錬転炉”を精錬容器として
精錬を実施すると、 ) 酸素ガスの吹込みを極めて容易かつ調節自
在に実施することができ、処理温度の調整・維
持が格別な配慮を要することなく十分な余裕下
で簡単・適切に行える、 ) 底吹きガス撹拌により、単なる溶銑処理鍋
では達成することの出来ない十分な被処理溶銑
の撹拌が行える、 ) スラグフオーミングに十分対処できるだけ
の余裕のあるフリーボード(湯面から容器上端
までの距離)が確保できるので、反応性に富ん
だ転炉スラグの大胆な使用が可能である、 ) 転炉では塩基性ライニングが施されている
ためスラグによる耐火物の溶損を極力軽減で
き、脱燐作業能率を上げ得る大胆な操業が可能
である、 ) 排滓を極めて容易かつ十分に行えるので脱
燐能率が顕著に向上する、 ) 構造的に十分な排ガス処理設備(集塵機)
設置が裏付けられているので、高品質鋼の作業
性の良い大量処理が可能である、 等の機能・作用が相乗された効果が確保できるこ
ととなるので、通常では不可能であつた前記(a)乃
至(d)項で示した条件等が全て満足されるようにな
り、2段階の脱燐スラグ―メタル向流的接触精錬
によつても、極めて少ない“全製鋼工程を通じた
造滓剤使用量”の下で高い脱燐効率にて品質の優
れた鋼を量産することが可能となるとの事実を見
出したのである。 この発明は、上記知見事項等に基づいてなされ
たものであり、 「第1図で示した如く、上下両吹き機能を有し
た2基の転炉を使用すると共に、そのうちの一方
を脱燐炉1、他方を脱炭炉2とし、前記脱燐炉1
内へ注入した溶銑3に前記脱炭炉2で発生した転
炉滓4を主成分とする精錬剤の添加を行い、撹拌
ガス吹き込みノズル5による底吹きガス撹拌を実
施しつつランス6より酸素ガスを上吹きすること
で脱燐炉1の溶銑3の温度を1200〜1400℃以下に
保ちながら溶銑脱燐を行つた後、得られた脱燐溶
銑を脱炭炉2にて脱炭並びに仕上脱燐すると言う
脱燐スラグ―メタルの向流的2段階接触精錬によ
り、極めて少ない量の造滓剤でもつて通常燐レベ
ルの鋼或いは低燐鋼を作業性良く低コストで製造
し得るようにした点」 に特徴を有するものである。 ここで、脱燐炉での処理温度を1400℃以下に調
整する理由は、溶銑処理温度がこれより高くなる
と脱炭ばかりが進行してスラグ中の全Fe量が低
くなり脱燐率が悪化するからである。一方、余り
に低温になると今度はスラグへの粒鉄ロスが増加
する。従つて、脱燐炉での処理温度は1200〜1400
℃と定めたが、好ましくは1250〜1370℃に調整す
るのが良い。そして、このような処理温度の維持
は上吹きランスからの酸素ガス吹き込み或いは炉
底羽口からの酸素ガス吹き込みの併用によつて行
われる。 つまり、上記脱燐炉での酸素ガス吹き込みは、
主として脱燐処理温度を保証するために行われる
のである。 従つて、ここでの上吹き酸素ランスは通常の転
炉ランスでも良いが、脱燐用に新作した小流量ラ
ンスであつても良い。そして、使用酸素ガス量は
処理前の溶銑温度や珪素含有量、転炉滓の温度、
脱燐炉の温もり具合、目的とする処理溶銑温度等
によつて決定されるが、概ね20Nm3/t以下で良
く、通常は5〜10Nm3/tが効果的である。因
に、このときの脱炭量は0.5%程度である。 前記「上下両吹き機能を有した転炉」は、現在
製鋼に使われている“上下吹き複合吹錬転炉”が
最も好ましいが、特に脱燐炉については精錬条件
が脱炭炉よりもマイルドであるため炉自体を更に
小さくしても良いので、脱燐専用に新設してもコ
スト的にそれほどの影響はなく、造滓剤使用量の
の低減効果や作業能率向上効果等のために従来の
処理鍋使用法に比べても経済的には十分有利とな
る。 脱燐炉で使用される精錬剤(脱燐フラツクス)
は脱炭炉で発生した転炉滓を主成分としたもので
あるが、上記転炉滓以外に酸化鉄及び蛍石を基本
の副成分として配合するのが良い。例えば、 転炉滓:40〜80重量%、 酸化鉄:20〜60重量%、 蛍石:0〜20重量% 程度の配合割合としたものが推奨される。勿論、
これに限定される訳ではないが、転炉滓を滓化し
て低融点の脱燐スラグとしたり脱燐が進行し易い
ようにスラグの酸化力を高めるためには酸化鉄の
併用は極めて重要である。なお、前記以外に付加
的に生石灰、ドロマイト或いは石灰石を配合して
も良いし、溶銑[Mn]向上のためにマンガン鉱
石や鉄マンガン鉱石を配合しても良い。また、媒
溶剤としては蛍石が一般的であるが、CaCl2,
Na2O・SiO2,Na2CO3等をそれぞれ単独に用い
ても良いし、或いは蛍石と併用しても良い。そし
て、転炉滓以外のこれら脱燐フラツクス原料は滓
化性の面から小さい粒径程好ましいが、一般に使
われている程度のものであれば何ら差し支えな
い。 ここで、脱炭炉で発生した転炉滓が有効な脱燐
剤となり得る理由は、脱燐反応(Pの酸化反応で
あつて生成物はP2O5)が発熱反応であるため、
脱炭炉終点温度(1650℃程度の高温)に比べて十
分に低温である脱燐炉での処理では熱力学的に反
応の進行が圧倒的に有利となり、従つて脱炭炉に
おいては脱燐能力が低下してしまつた脱炭炉滓で
あつても脱燐炉では十分な脱燐能力を発揮する点
にある。そして、それ故に、脱燐炉においては、
CaO/SiO2=2〜3程度と脱炭炉に比して低塩
基度であつても良好に脱燐が進行する。 脱燐炉で使用される精錬剤(脱燐フラツクス)
の量は溶製する鋼の[P]レベルにより決定され
るが、通常は50Kg/t程度で良い。 さて、脱燐炉で使用される精錬剤の主成分たる
転炉滓としては、脱炭炉で発生した溶融状態のも
のが熱経済的にも脱燐フラツクスの滓化性の面か
らも好ましいが(このように溶融状態のものを用
いる場合には耐火物を内張りした鍋を介して脱燐
炉に注滓される)、取り扱いの容易さ等を考慮し
た脱炭炉で得られたものを一旦冷却凝固させ、粒
状又は塊状に破砕してから用いても良い(なお、
この時も熱的な面からすればスラグの温度は高い
程良い)。ただ、この場合、脱燐炉での滓化性向
上のために粒径は小さい程良好であるが、転炉滓
は本来滓化性に富んでいることもあつて、粒径が
100mmを下回る程度でも格別な不都合を来たすこ
とがないし、これより大きくても使用可能であ
る。 なお、使用される転炉滓は、タイミングとして
は前回チヤージのものが良いが、それ以前に脱炭
炉から出たものや他の工場の脱炭炉で発生したも
のでも良いことは言うまでもない。 炉底から吹き込む撹拌ガスとしてはAr,CO2,
CO,N2,O2、空気等の何れであつても良い。そ
して、脱燐炉の炉底ガス撹拌の程度は通常の上下
両吹き複合吹錬におけると同程度(0.03〜0.2N
m3/min・t)で良いが、脱燐速度の向上を狙つ
てこれよりも更に多くして良いことは勿論であ
る。 以上のような条件で脱燐処理を行うと、通常、
20分以内で所望の脱燐を完了することができる。 脱炭炉での吹錬は基本的には通常の転炉吹錬の
場合と同じであるが、使用する造滓剤の量は少な
くて良い。即ち、従来の“高炉銑の転炉吹錬”に
おける造滓剤としては 生石灰…脱燐に必要(熱余裕のある場合には石灰
石が使用される)、 ドロマイト…主として転炉耐火物の溶損防止のた
めに用いられる、 蛍石…滓化促進剤、 硅砂又は珪石…塩基度調整のため必要により使
用、 鉄鉱石又はミルスケール…転炉終点温度調整用の
冷却剤として時々使用 なる組成のものを適用するのが一般的であつた
が、本発明での脱炭炉吹錬においても、仕上脱燐
のため例えば 生石灰…仕上脱燐に必要(目標とする[P]レベ
ルにより、第3図で示す如き最低量が
必要)、 ドロマイト…炉体溶損防止等のために生石灰使用
量の10%以上を加えるのが望ましく、
上限は生石灰量と同程度が目安であ
る、 蛍石…滓化促進剤として生石灰量の30%以下を目
安に添加(終点温度によつても異な
る)、 硅石…スラグの塩基度調整(CaO/SiO2>2.5、
通常は3.5以上とされる)のために必
要な場合もあるが、SiO2分は蛍石、
鉄鉱石、マンガン鉱石にも混入してい
るので添加しなくても良い場合が多
い、 鉄鉱石又はミルスケール…温度調整用 と言つた組成のものが使用される。しかし、前述
したように、本発明での脱炭炉吹錬では脱燐炉で
脱燐が大部分進行した後であつて、必要脱燐量が
少なくて良いため、使用する造滓剤の量は従来の
転炉吹錬に比べ20〜40%程度と少なくて良い訳で
ある。 そして、脱炭炉吹錬では従来の高炉銑の転炉吹
錬に比べて造滓剤量が20〜40%と少ないので炉内
でのMnの還元歩留が上昇するが、そのためマン
ガン鉱石や鉄マンガン鉱石を添加して[Mn]濃
度を効率的に上昇させることもできる。ところ
で、この発明に係る製鋼法を実施する場合には、
出来れば適用される溶銑の事前脱硫処理を行うの
が良い。その第一の理由として該製鋼法では脱硫
の進行が極めて鈍いことが挙げられるが、他方で
は、事前脱硫していない溶銑を用いた場合には転
炉スラグ中のS含有量が上昇し、次のチヤージに
おける溶鋼S含有量を高めることも懸念されるか
らである。なお、前記事前脱硫は通常行われてい
る溶銑脱硫方法のいずれによつても良い。更に、
この方法に適用される原料溶銑のSi含有量も低い
程好ましい。なぜなら、溶銑中のSi含有量が多く
なるほど前記脱燐炉でのスラグ塩基度が低下して
脱燐能が落ち、全体での生石灰等の使用量が増加
するためである。このことは、通常程度の[P]
レベル鋼(P含有量が約0.012重量%)を溶製す
る際の「原料溶銑中のSi含有量」と「必要生石灰
量」との関係を示した第2図からも確認すること
ができる(因に、このときの原料溶銑中のP含有
量は0.1%)。それ故、溶銑のSi含有量は出来れば
0.3%以下、好ましくは0.2%以下に調整しておく
のが良策である。なお、脱炭炉の条件から処理後
の溶銑温度を少しでも高くしたいような場合、溶
銑のSi含有量は0.2%程度の方が有利なこともあ
り、工場のローカル条件によつて決定すべきであ
る。 さて、この発明によつて得られる効果はこれま
での説明で十分に理解される筈であるが、その主
なものを副次的な効果をも交えて次に列挙する。 〈発明の効果〉 転炉滓を溶銑脱燐フラツクスとして用いる
“2段向流精錬”であるため、全製鋼工程での
生石灰使用量が従来法に比べて大幅に減少し、
低燐鋼を極めて少ない生石灰量で吹錬すること
を可能とする。なお、第3図は、本発明の製鋼
法による「転炉終点における鋼中P含有量」と
「生石灰使用量」との関係を示すグラフである
が、この第3図からも、本発明によると燐含有
量の低い高品質鋼を少ない生石灰量で以つて十
分に溶製できることが明瞭である。従つて、処
理能率や以下に示す効果等をも併せて考慮すれ
ば、脱燐容器として複合吹錬転炉を使用したと
しても従来法に比べて十分な経済的有利性を確
保でき、更に遊休の現有転炉を使用すればコス
トメリツトは一段と向上する。 転炉滓中のFeOの有効利用がなされ、粒鉄や
地金の回収率が向上する。 一般に、脱炭炉でマンガン鉱石や鉄マンガン
鉱石を使用した場合にはこれらの約半分はMn
にまで還元されずに酸化物としてスラグ中に残
るが、この発明の方法おいては、該スラグを溶
銑脱燐フラツクスとして再使用するので上記残
留鉱石の有効利用がなされ、溶銑における
“[Mn]ロスの軽減”或いは“[Mn]上昇”に
役立つ。 使用する炉が転炉であるので、例えば脱燐炉
の場合でも、出鋼口から脱燐銑のみを鍋中へ出
銑してから炉内のスラグを溶滓鍋に排出でき、
他の脱燐法におけるよりも除滓が簡単でかつ高
脱燐率を確保できる。 使用する炉が上下両吹き機能を有した転炉で
あるので溶銑の強撹拌が出来て短時間処理が可
能となるので抜熱量が少なく、他の脱燐処理法
に比して熱経済上極めて有利である。特に溶融
転炉滓を用いる場合にはその顕熱分だけ更に熱
経済的に有利となる。 この発明の方法で使用される脱燐炉で発生す
るスラグは、P2O5含有量が4〜10%にもなつ
ているので肥料としての用途が開ける上、遊離
石灰が無いため路盤材としての有効利用も可能
である。 使用する炉が2つであるので、炉体に付着す
るP2O5に起因した脱燐不良の懸念は全くない。
つまり、脱燐炉では高P2O5のスラグが、そし
て脱炭炉では低P2O5スラグしか付着しないの
で脱炭炉での脱燐不良が起こらない。 しかも、溶融転炉滓を使用する場合には、脱
燐炉では溶銑を装入した後に溶融転炉滓が入れ
られるので、急激な爆発的反応が起きる心配が
なく、或る程度激しい反応が起きたとしても処
理容器が転炉であるので格別な不都合を招く恐
れも少ない。 底吹きガス撹拌を行いつつ脱燐を行うので、
従来の溶銑脱燐法の場合のように脱燐剤を粉状
近くにまで細かく粉砕しておく必要がなく、そ
の分のコスト低減が可能となる。 遊休転炉がある場合には、これを直ちに脱燐
炉として使うことが出来、格別な設備を準備す
る必要がない。 また、例えば転炉1/2基操業を行つている工
場の場合には一方の炉を脱燐炉とすることにより
転炉滓2/2基操業のような形態を採ることがで
き、新たな設備投資を必要とすることなくこの発
明の実施が可能である。そして、レンガ寿命のた
めに何れか一方を築炉する必要が生じた場合に
は、この間だけ転炉1基のみで従来の転炉吹錬を
行つて遊休炉を出さない方策も講じられ、非常に
柔軟性に富んだ精錬が可能である。 ところで、工場によつてはクレーン能力から2
杯注銑を行う場合があるが、この場合、処理を簡
単にするために脱燐炉では大半の溶銑を処理し、
追銑は脱炭炉で行うのが得策である。 次に、この発明を実施例により具体的に説明す
る。 〈実施例〉 実施例 1 まず、トーピード内で脱硫・脱珪処理した第1
表の上段に示される如き成分組成の溶銑160トン
を脱燐炉として使用する上下両吹き複合吹錬転炉
に注銑し、これに、同様形式の脱炭炉で発生した
転炉滓を冷却・凝固して30mm以下の粒径に破砕し
たもの20Kg/t、同様の粒径を持つ鉄鉱石16
【表】
【表】
【表】
【表】
Kg/t、並びに蛍石4Kg/tとを混合状態で添加
して12分間の脱燐処理を行つた。 なお、使用した脱燐炉並びに脱炭炉は、上述の
ように何れも炉底よりガス吹き込み撹拌が可能な
160トン上下両吹き複合吹錬転炉であり、以下の
何れの実施例においても第2表に示すような操業
条件が採用された。 このようにして得られた脱燐銑(成分組成は第
1表の中段に示す)を一旦鍋中に出銑してから脱
炭炉に注銑し、通常の転炉操業で用いる生石灰の
10Kg/tと蛍石1Kg/tとを造滓剤として主吹錬
を実施した。なお、この際、終点温度(吹錬終了
温度)が1635℃となるように冷却材としての鉄鉱
石を適時添加した。 このとき発生した転炉滓は20Kg/tであり、こ
れを鉄鉱石及び蛍石と共に再び次のチヤージの脱
燐剤原料として脱燐炉に添加して脱燐を行うと言
う一連の操作を繰り返した。 この結果、全製鋼工程での使用生石灰量が10
Kg/tと言う少ない値で、第1表の下段に示すよ
うな鋼中P量が0.013重量%と言う溶鋼が得られ
た。この生石灰使用量は通常の転炉一回吹錬のと
きの約1/4である。 実施例 2 トーピード内で脱硫・脱珪処理した第3表の上
段に示される如き成分組成の溶銑160トンを脱燐
炉として使用する上下両吹き複合吹錬転炉に注銑
し、この上に、同様形式の脱炭炉で発生した溶融
状態の転炉滓であつて、一旦耐火物を内張りした
鍋に出滓したもの22Kg/tを注滓した後、更に粒
径30mm以下の鉄鉱石17Kg/tと蛍石4Kg/tを添
加して実施例1と同様、第2表に示す条件で10分
間脱燐処理した。 次いで、得られた脱燐銑(成分組成は第3表の
中段に示す)を一旦鍋中に出銑してから脱炭炉に
注銑し、通常の転炉操業で用いられる生石灰の10
Kg/t、蛍石1Kg/t及びドロマイト1Kg/tを
造滓剤として主吹錬を実施した。なお、この際、
終点温度(吹錬終了温度)が1640℃となるように
冷却材としての鉄鉱石を適時添加した。 このとき発生した転炉滓は22Kg/tであり、こ
れを鉄鉱石及び蛍石と共に再び次のチヤージの脱
燐剤原料として脱燐炉に添加して脱燐を行うと言
う一連の操作を繰り返した。 この結果、全製鋼工程での使用生石灰量が10
Kg/t、使用ドロマイト量が1Kg/tと言う少な
い造滓剤量で、第3表の下段に示すような鋼中P
量が0.011重量%と言う溶鋼が得られた。また、
第3表から分かるように、溶融転炉滓を用いた結
果溶銑脱燐処理後の温度も実施例1の場合に比べ
て有利となつている。 実施例 3 高炉鋳床樋内で脱珪した後、トーピード内で脱
硫したところの第4表の上段に示される成分組成
の溶銑160トンを脱燐炉として使用する上下両吹
き複合吹錬転炉に注銑し、これに、同様形式の脱
炭炉で発生した転炉滓を冷却・凝固して30mm以下
の粒径に破砕したもの26Kg/t、同様の粒径を持
つ鉄鉱石20Kg/t、並びに蛍石5Kg/tとを混合
状態で添加して、実施例1と同様、第2表に示す
条件で13分間脱燐処理した。 次いで、得られた脱燐銑(成分組成は第4表の
中段に示す)を一旦鍋中に出銑してから脱炭炉に
注銑し、通常の転炉操業で用いられる生石灰の13
Kg/t及び蛍石1Kg/tを造滓剤として主吹錬を
実施した。なお、終点温度(吹錬終了温度)が
1630℃となるように冷却材としての鉄鉱石を適時
添加した。 このとき発生した転炉滓は26Kg/tであり、こ
れを鉄鉱石及び蛍石と共に再び次のチヤージの脱
燐剤原料として脱燐炉に添加して脱燐を行うと言
う一連の操作を繰り返した。 この結果、全製鋼工程を通じての使用生石灰量
が13Kg/tで、実施例1の場合よりも3Kg/tの
増量が必要となつたが、従来法に比べるとやはり
少ない生石灰使用量で製鋼作業を終了出来た。 実施例 4 高炉銑をトーピード内で脱硫したところの第5
表の上段に示される成分組成の溶銑160トンを脱
燐炉として使用する上下両吹き複合吹錬転炉に
して12分間の脱燐処理を行つた。 なお、使用した脱燐炉並びに脱炭炉は、上述の
ように何れも炉底よりガス吹き込み撹拌が可能な
160トン上下両吹き複合吹錬転炉であり、以下の
何れの実施例においても第2表に示すような操業
条件が採用された。 このようにして得られた脱燐銑(成分組成は第
1表の中段に示す)を一旦鍋中に出銑してから脱
炭炉に注銑し、通常の転炉操業で用いる生石灰の
10Kg/tと蛍石1Kg/tとを造滓剤として主吹錬
を実施した。なお、この際、終点温度(吹錬終了
温度)が1635℃となるように冷却材としての鉄鉱
石を適時添加した。 このとき発生した転炉滓は20Kg/tであり、こ
れを鉄鉱石及び蛍石と共に再び次のチヤージの脱
燐剤原料として脱燐炉に添加して脱燐を行うと言
う一連の操作を繰り返した。 この結果、全製鋼工程での使用生石灰量が10
Kg/tと言う少ない値で、第1表の下段に示すよ
うな鋼中P量が0.013重量%と言う溶鋼が得られ
た。この生石灰使用量は通常の転炉一回吹錬のと
きの約1/4である。 実施例 2 トーピード内で脱硫・脱珪処理した第3表の上
段に示される如き成分組成の溶銑160トンを脱燐
炉として使用する上下両吹き複合吹錬転炉に注銑
し、この上に、同様形式の脱炭炉で発生した溶融
状態の転炉滓であつて、一旦耐火物を内張りした
鍋に出滓したもの22Kg/tを注滓した後、更に粒
径30mm以下の鉄鉱石17Kg/tと蛍石4Kg/tを添
加して実施例1と同様、第2表に示す条件で10分
間脱燐処理した。 次いで、得られた脱燐銑(成分組成は第3表の
中段に示す)を一旦鍋中に出銑してから脱炭炉に
注銑し、通常の転炉操業で用いられる生石灰の10
Kg/t、蛍石1Kg/t及びドロマイト1Kg/tを
造滓剤として主吹錬を実施した。なお、この際、
終点温度(吹錬終了温度)が1640℃となるように
冷却材としての鉄鉱石を適時添加した。 このとき発生した転炉滓は22Kg/tであり、こ
れを鉄鉱石及び蛍石と共に再び次のチヤージの脱
燐剤原料として脱燐炉に添加して脱燐を行うと言
う一連の操作を繰り返した。 この結果、全製鋼工程での使用生石灰量が10
Kg/t、使用ドロマイト量が1Kg/tと言う少な
い造滓剤量で、第3表の下段に示すような鋼中P
量が0.011重量%と言う溶鋼が得られた。また、
第3表から分かるように、溶融転炉滓を用いた結
果溶銑脱燐処理後の温度も実施例1の場合に比べ
て有利となつている。 実施例 3 高炉鋳床樋内で脱珪した後、トーピード内で脱
硫したところの第4表の上段に示される成分組成
の溶銑160トンを脱燐炉として使用する上下両吹
き複合吹錬転炉に注銑し、これに、同様形式の脱
炭炉で発生した転炉滓を冷却・凝固して30mm以下
の粒径に破砕したもの26Kg/t、同様の粒径を持
つ鉄鉱石20Kg/t、並びに蛍石5Kg/tとを混合
状態で添加して、実施例1と同様、第2表に示す
条件で13分間脱燐処理した。 次いで、得られた脱燐銑(成分組成は第4表の
中段に示す)を一旦鍋中に出銑してから脱炭炉に
注銑し、通常の転炉操業で用いられる生石灰の13
Kg/t及び蛍石1Kg/tを造滓剤として主吹錬を
実施した。なお、終点温度(吹錬終了温度)が
1630℃となるように冷却材としての鉄鉱石を適時
添加した。 このとき発生した転炉滓は26Kg/tであり、こ
れを鉄鉱石及び蛍石と共に再び次のチヤージの脱
燐剤原料として脱燐炉に添加して脱燐を行うと言
う一連の操作を繰り返した。 この結果、全製鋼工程を通じての使用生石灰量
が13Kg/tで、実施例1の場合よりも3Kg/tの
増量が必要となつたが、従来法に比べるとやはり
少ない生石灰使用量で製鋼作業を終了出来た。 実施例 4 高炉銑をトーピード内で脱硫したところの第5
表の上段に示される成分組成の溶銑160トンを脱
燐炉として使用する上下両吹き複合吹錬転炉に
【表】
【表】
【表】
注銑し、これに、同様形式の脱炭炉で発生した転
炉滓を冷却・凝固して50mm以下の粒径に破砕した
もの36Kg/tと、同様の粒径を持つ鉄鉱石30Kg/
t及び蛍石2Kg/tとを混合状態で添加して、実
施例1と同様、第2表に示す条件で15分間脱燐処
理した。 次いで、得られた脱燐銑(成分組成は第5表の
中段に示す)を一旦鍋中に出銑してから脱炭炉に
注銑し、通常の転炉操業で用いられる生石灰の18
Kg/t及び蛍石2Kg/tを造滓剤として主吹錬を
実施した。なお、この際、終点温度(吹錬終了温
度)が1640℃となるように冷却材としての鉄鉱石
を適時添加した。 このとき発生した転炉滓は36Kg/tであり、こ
れを鉄鉱石及び蛍石と共に再び次のチヤージの脱
燐剤原料として脱燐炉に添加して脱燐を行うと言
う一連の操作を繰り返した。 この結果得られた溶鋼の成分組成を第5表の下
段に併せて示す。 上述のように、Si含有量が0.50重量%と言う高
い値の溶銑を用いた場合には全製鋼工程を通じて
の使用生石灰量も18Kg/tとなり、実施例1の場
合に比して8Kg/tもの増量が必要となつたが、
これでも従来法(転炉シングルスラグ吹錬のみを
行う方法)に必要な生石灰使用量40Kg/tよりも
十分に少ない値で製鋼作業を終了出来た。 実施例 5 トーピード内で脱硫・脱珪処理した第6表の上
段に示される如き成分組成の溶銑160トンを脱燐
炉として使用する上下両吹き複合吹錬転炉に注銑
し、この上に、同様形式の脱炭炉で発生した溶融
状態の転炉滓であつて、一旦耐火物を内張りした
鍋に出滓したもの30Kg/tを注滓した後、更に粒
径30mm以下の鉄鉱石23Kg/tと蛍石6Kg/tを添
加して実施例1と同様、第2表に示す条件で12分
間脱燐処理した。 次いで、得られた脱燐銑(成分組成は第6表の
中段に示す)を一旦鍋中に出銑してから脱炭炉に
注銑し、通常の転炉操業で用いられる生石灰の15
Kg/t、蛍石2Kg/t及びドロマイト1Kg/tを
造滓剤として主吹錬を実施した。なお、この際、
終点温度(吹錬終了温度)が1650℃となるように
冷却材としての鉄鉱石を適時添加した。 このとき発生した転炉滓は30Kg/tであり、こ
れを鉄鉱石及び蛍石と共に再び次のチヤージの脱
燐剤原料として脱燐炉に添加して脱燐を行うと言
う一連の操作を繰り返した。 この結果得られた低燐銑の成分組成を第6表の
下段に併せて示す。 上述のように、この場合には、転炉吹錬終点時
におけるP含有量が0.005重量%と言う極めて高
品質の低燐鋼が、「実施例1」及び「実施例2」
におけるような通常[P]レベル鋼の溶製の場合
よりも5Kg/t多いだけの15Kg/tと言う少ない
生石灰使用量で以つて短時間に得られた。 実施例 6 トーピード内で脱硫・脱珪処理した第7表の上
段に示される如き成分組成の溶銑160トンを脱燐
炉として使用する上下両吹き複合吹錬転炉に注銑
し、これに、同様形式の脱炭炉で発生した転炉滓
を冷却・凝固して20mm以下の粒径に破砕したもの
20Kg/t、同様の粒径を持つ鉄鉱石16Kg/t、並
びに蛍石4Kg/tとを混合状態で添加して12分間
の脱燐処理を行つた。 次いで、得られた脱燐銑(成分組成は第7表の
中段に示す)を一旦鍋中に出銑してから脱炭炉に
注銑し、通常の転炉操業で用いられる生石灰の10
Kg/t、蛍石1Kg/t及びドロマイト1Kg/tを
造滓剤として添加すると共に、8Kg/tの鉄マン
ガン鉱石(全Fe含有量:22重量%、全Mn含有
量:42重量%)をも添加して主吹錬を実施した。
なお、この際、終点温度(吹錬終了温度)が1640
℃となるように冷却材としての鉄鉱石を適時添加
した。 このとき発生した転炉滓は20Kg/tであり、こ
れを鉄鉱石及び蛍石と共に再び次のチヤージの脱
燐剤原料として脱燐炉に添加して脱燐を行うと言
う一連の操作を繰り返した。 この結果、全製鋼工程での使用生石灰量が10
Kg/tと言う少ない量で第7表の下段に示すよう
な吹錬終点鋼中P量:0.014重量%が達成される
と共に、吹錬終点鋼中のMn量を0.40重量%と
「実施例1」の場合に比べて高くすることが出来、
その後のマンガン合金鉄を節減することが出来
た。 なお、この場合には、転炉滓中のMnOが12重
量%と「実施例1」の場合のそれ(MnO:4.5重
量%)に比べて高かつたので、脱燐処理後の
[Mn]も0.26重量%と、「実施例1」の場合のそ
れ(溶銑中のMn量:0.19重量%)よりも高くな
つていた。 〈効果の総括〉 以上に説明した如く、この発明によれば、製鋼
工程の全体を通じて必要な造滓剤量を低く抑えな
がらも、品質の良好な鋼を高い生産性の下で製造
することが可能となり、高品質鋼の製造コストを
低減してその利用分野を一層拡大する道を開くな
ど、産業上極めて有用な効果がもたらされる。
炉滓を冷却・凝固して50mm以下の粒径に破砕した
もの36Kg/tと、同様の粒径を持つ鉄鉱石30Kg/
t及び蛍石2Kg/tとを混合状態で添加して、実
施例1と同様、第2表に示す条件で15分間脱燐処
理した。 次いで、得られた脱燐銑(成分組成は第5表の
中段に示す)を一旦鍋中に出銑してから脱炭炉に
注銑し、通常の転炉操業で用いられる生石灰の18
Kg/t及び蛍石2Kg/tを造滓剤として主吹錬を
実施した。なお、この際、終点温度(吹錬終了温
度)が1640℃となるように冷却材としての鉄鉱石
を適時添加した。 このとき発生した転炉滓は36Kg/tであり、こ
れを鉄鉱石及び蛍石と共に再び次のチヤージの脱
燐剤原料として脱燐炉に添加して脱燐を行うと言
う一連の操作を繰り返した。 この結果得られた溶鋼の成分組成を第5表の下
段に併せて示す。 上述のように、Si含有量が0.50重量%と言う高
い値の溶銑を用いた場合には全製鋼工程を通じて
の使用生石灰量も18Kg/tとなり、実施例1の場
合に比して8Kg/tもの増量が必要となつたが、
これでも従来法(転炉シングルスラグ吹錬のみを
行う方法)に必要な生石灰使用量40Kg/tよりも
十分に少ない値で製鋼作業を終了出来た。 実施例 5 トーピード内で脱硫・脱珪処理した第6表の上
段に示される如き成分組成の溶銑160トンを脱燐
炉として使用する上下両吹き複合吹錬転炉に注銑
し、この上に、同様形式の脱炭炉で発生した溶融
状態の転炉滓であつて、一旦耐火物を内張りした
鍋に出滓したもの30Kg/tを注滓した後、更に粒
径30mm以下の鉄鉱石23Kg/tと蛍石6Kg/tを添
加して実施例1と同様、第2表に示す条件で12分
間脱燐処理した。 次いで、得られた脱燐銑(成分組成は第6表の
中段に示す)を一旦鍋中に出銑してから脱炭炉に
注銑し、通常の転炉操業で用いられる生石灰の15
Kg/t、蛍石2Kg/t及びドロマイト1Kg/tを
造滓剤として主吹錬を実施した。なお、この際、
終点温度(吹錬終了温度)が1650℃となるように
冷却材としての鉄鉱石を適時添加した。 このとき発生した転炉滓は30Kg/tであり、こ
れを鉄鉱石及び蛍石と共に再び次のチヤージの脱
燐剤原料として脱燐炉に添加して脱燐を行うと言
う一連の操作を繰り返した。 この結果得られた低燐銑の成分組成を第6表の
下段に併せて示す。 上述のように、この場合には、転炉吹錬終点時
におけるP含有量が0.005重量%と言う極めて高
品質の低燐鋼が、「実施例1」及び「実施例2」
におけるような通常[P]レベル鋼の溶製の場合
よりも5Kg/t多いだけの15Kg/tと言う少ない
生石灰使用量で以つて短時間に得られた。 実施例 6 トーピード内で脱硫・脱珪処理した第7表の上
段に示される如き成分組成の溶銑160トンを脱燐
炉として使用する上下両吹き複合吹錬転炉に注銑
し、これに、同様形式の脱炭炉で発生した転炉滓
を冷却・凝固して20mm以下の粒径に破砕したもの
20Kg/t、同様の粒径を持つ鉄鉱石16Kg/t、並
びに蛍石4Kg/tとを混合状態で添加して12分間
の脱燐処理を行つた。 次いで、得られた脱燐銑(成分組成は第7表の
中段に示す)を一旦鍋中に出銑してから脱炭炉に
注銑し、通常の転炉操業で用いられる生石灰の10
Kg/t、蛍石1Kg/t及びドロマイト1Kg/tを
造滓剤として添加すると共に、8Kg/tの鉄マン
ガン鉱石(全Fe含有量:22重量%、全Mn含有
量:42重量%)をも添加して主吹錬を実施した。
なお、この際、終点温度(吹錬終了温度)が1640
℃となるように冷却材としての鉄鉱石を適時添加
した。 このとき発生した転炉滓は20Kg/tであり、こ
れを鉄鉱石及び蛍石と共に再び次のチヤージの脱
燐剤原料として脱燐炉に添加して脱燐を行うと言
う一連の操作を繰り返した。 この結果、全製鋼工程での使用生石灰量が10
Kg/tと言う少ない量で第7表の下段に示すよう
な吹錬終点鋼中P量:0.014重量%が達成される
と共に、吹錬終点鋼中のMn量を0.40重量%と
「実施例1」の場合に比べて高くすることが出来、
その後のマンガン合金鉄を節減することが出来
た。 なお、この場合には、転炉滓中のMnOが12重
量%と「実施例1」の場合のそれ(MnO:4.5重
量%)に比べて高かつたので、脱燐処理後の
[Mn]も0.26重量%と、「実施例1」の場合のそ
れ(溶銑中のMn量:0.19重量%)よりも高くな
つていた。 〈効果の総括〉 以上に説明した如く、この発明によれば、製鋼
工程の全体を通じて必要な造滓剤量を低く抑えな
がらも、品質の良好な鋼を高い生産性の下で製造
することが可能となり、高品質鋼の製造コストを
低減してその利用分野を一層拡大する道を開くな
ど、産業上極めて有用な効果がもたらされる。
第1図は、この発明に係る製鋼法の概要を示し
た概略模式図、第2図は、通常の[P]含有レベ
ル鋼を溶製する際の「溶銑のSi含有量」と「処理
に必要な生石灰量」との関係を示すグラフ、第3
図は、転炉吹錬終点における鋼中P含有量とCaO
使用量との関係を示すグラフである。 図面において、1…脱燐炉、2…脱炭炉、3…
溶銑、4…転炉滓、4′…転炉滓を主成分とする
脱燐スラグ、5…撹拌ガス吹き込みノズル、6…
ランス。
た概略模式図、第2図は、通常の[P]含有レベ
ル鋼を溶製する際の「溶銑のSi含有量」と「処理
に必要な生石灰量」との関係を示すグラフ、第3
図は、転炉吹錬終点における鋼中P含有量とCaO
使用量との関係を示すグラフである。 図面において、1…脱燐炉、2…脱炭炉、3…
溶銑、4…転炉滓、4′…転炉滓を主成分とする
脱燐スラグ、5…撹拌ガス吹き込みノズル、6…
ランス。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 溶銑の精錬に当つて上下両吹き機能を有した
2基の転炉を使用し、かつその一方を脱燐炉、他
方を脱炭炉として、前記脱燐炉内へ注入した溶銑
に前記脱炭炉で発生した転炉滓を主成分とする精
錬剤を添加すると共に、底吹きガス撹拌を行いつ
つ酸素ガスを上吹きすることで溶銑温度を1200〜
1400℃に保ちながら溶銑脱燐を行い、次いで得ら
れた脱燐溶銑を脱炭炉にて脱炭並びに仕上脱燐す
ることを特徴とする、脱燐スラグ―メタルの向流
的2段階接触精錬を伴う製鋼方法。 2 脱炭炉で発生した転炉滓を溶融状態で脱燐炉
内の溶銑に添加する、特許請求の範囲第1項記載
の製鋼方法。 3 脱炭炉で発生した転炉滓を一旦冷却凝固させ
た後脱燐炉内の溶銑に添加する、特許請求の範囲
第1項記載の製鋼方法。 4 脱燐炉内へ注入する被処理溶銑がSi:0.30重
量%以下まで予備脱珪処理されたものである、特
許請求の範囲第1乃至3項のいずれかに記載の製
鋼方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP13251786A JPS62290815A (ja) | 1986-06-07 | 1986-06-07 | 製鋼方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP13251786A JPS62290815A (ja) | 1986-06-07 | 1986-06-07 | 製鋼方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPS62290815A JPS62290815A (ja) | 1987-12-17 |
| JPH0214404B2 true JPH0214404B2 (ja) | 1990-04-09 |
Family
ID=15083175
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP13251786A Granted JPS62290815A (ja) | 1986-06-07 | 1986-06-07 | 製鋼方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPS62290815A (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPH11269524A (ja) * | 1998-03-19 | 1999-10-05 | Nippon Steel Corp | 溶銑予備処理方法 |
Families Citing this family (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPH03115515A (ja) * | 1989-09-27 | 1991-05-16 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 廃棄転炉スラグ量低減製鋼方法 |
| JP2003048793A (ja) * | 2001-08-02 | 2003-02-21 | Nkk Corp | 緩効性カリ肥料の製造方法 |
-
1986
- 1986-06-07 JP JP13251786A patent/JPS62290815A/ja active Granted
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPH11269524A (ja) * | 1998-03-19 | 1999-10-05 | Nippon Steel Corp | 溶銑予備処理方法 |
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPS62290815A (ja) | 1987-12-17 |
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Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| EXPY | Cancellation because of completion of term |