JPH0311831B2 - - Google Patents

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JPH0311831B2
JPH0311831B2 JP24535083A JP24535083A JPH0311831B2 JP H0311831 B2 JPH0311831 B2 JP H0311831B2 JP 24535083 A JP24535083 A JP 24535083A JP 24535083 A JP24535083 A JP 24535083A JP H0311831 B2 JPH0311831 B2 JP H0311831B2
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soluble
acid
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solid acid
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Yoshiaki Ishino
Yoshio Hara
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Mishima Paper Manufacturing Co Ltd
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【発明の詳細な説明】
本発明は、塩基中和能力を有する水溶性シート
に関する。さらに詳しくは、本発明は、繊維状カ
ルボキシメチルセルロースから成る水溶性基材を
特定の酸に含浸もしくは塗布して成る水溶性シー
トであつて、塩基中和能力と保水性との二機能を
具備した水溶性シートに関する。 従来、繊維状カルボキシメチルセルロース(以
下、CMC−Naという)から成る水溶紙が機密文
書用紙、ラベル等の筆記、印刷用に、また使用後
に溶解流去させる産業用資材として、さらに婦
人、乳幼児の衛材用として用いられている。他
方、アルカリ液を使用する各種の産業用機器分
野、フアインケミカル工業分野等においては、使
用ずみのアルカリ液を自動的に中和し、保持する
プロセスコントロール材が要望されている。この
ため、特殊な中和タイミング層ポリマーが開発さ
れているが、製造が難かしく、価格の高いものと
なつていた。また、いわゆる吸水性樹脂の使用も
考えられるが、中和能力がないので上記要望を完
全には満たすものではなかつた。 本発明者は、上記プロセスコントロール材の具
備すべき特性が(イ)吸水性と保水性を有すること、
(ロ)アルカリ中和能力を有すること、(ハ)アルカリ中
和後も適当な保水性を有すること、等である点に
着目し、先ず水溶紙をプロセスコントロール材の
基材とすることの可能性について検討した。その
結果、水溶紙は、吸水量、保水量とも自重の50倍
以上であり、(イ)の条件を十分に満たすので、プロ
セスコントロール材の基材とし得る資質を有する
ことが判明した。そこで、本発明者は水溶紙を基
材として、これに酸を含浸させることによつて(ロ)
と(ハ)の特性を具備したプロセスコントロール材を
得ることを目的として鋭意研究を重ねた結果、含
浸すべき酸を特定すること、および含浸工程に一
定の条件を付することにより、(イ),(ロ),(ハ)の諸特
性をすべて具備したプロセスコントロール材が得
られることを見出し、本発明に到達した。 従来の水溶紙は、特公昭48−27605号に開示さ
れている如く、繊維状セルロースグリコール酸
(以下、CMC−Hという)を抄紙し、プレスパー
ト以降の湿紙匹に炭酸ソーダ、苛性ソーダなどの
アルカリ液を塗布含浸し、イオン交換してナトリ
ウム塩(CMC−Na)とした後、脱水し乾燥して
製造される。そして、その塩基飽和度は通常100
%である。また、吸水性、保水性についていえ
ば、たとえばエーテル化度0.43のCMC−H(ニチ
リン化学製)を100%用いて抄造した秤量約
80g/m2の水溶紙の吸水量は77g/g、保水量は
52g/gと高く、保水量と吸水量の比率は67.5%
である。そして、水中での溶解過程は膨潤を経て
溶解するものであり、その膨潤度を本発明におい
ては保水量を以て示す。しかし、酸の含浸によつ
てCMC−NaのNa+イオンがH+イオンによつて
置換されるに従つて塩基飽和度が低下し、溶解状
態がコロイド状から繊維状ゲルの分散した状態へ
と変化する。そして、保水量も次第に小さくな
る。CMC−Naが完全にH+イオンによつて置換
されると、CMC−Hの塩基飽和度は0%となる
とともに水に不溶となり、保水量は自重の1〜2
倍まで低下する。即ち本発明水溶性シートが具備
すべき所定の保水量は水溶性という資質に従属す
るものである。ここで水溶性とは、通常、後述の
試験法による溶解液を肉眼で観察した場合にコロ
イド状を示す状態をいうが、繊維状ゲルが分散さ
れた状態であつてもよい。 水溶紙に含浸または塗布すべき酸は、水溶性を
妨げないことが必要で、換言すれば、含浸または
塗布に際してCMC−Naの塩基飽和度を一定水準
以上に維持しうる程度の弱酸でなければならな
い。塩基飽和度が低下するに従つて溶解時間が長
くなり遂には難溶性、不溶性となつて所定の保水
量を維持できなくなるからである。本発明では所
定の保水量を8g/g以上とし、これを維持し得
る塩基飽和度を40%以上とする。 本発明において、選択使用する酸の指標として
水中酸指数(pKa)を用いる。ここで水中酸指数
とは、電解質の水中における解離定数の逆数の対
数である。水中酸指数が高い酸ほど酸の強さは弱
く、CMC−Naの塩基飽和度は低下しにくい。本
発明では水中酸指数(以下、酸指数という)が
3.8以上の酸を用いる。また本発明水溶性シート
の構成材料たる酸は、前述の要件を満たすもので
あつても事実上潮解性があつてはならない。基材
たる水溶紙がCMC−Naから成るためその平衡水
分は約16%(20℃,65%RH)と高いので、成紙
中の水分を増加し、その結果互いに反応して塩基
飽和度を低下させるおそれがあるからである。従
つて、常温で固体であり事実上潮解性のない酸を
用いることが必要であり、また、これにより
CMC−Naが被覆され吸湿が抑制されることが望
ましい。 本発明水溶性シートは、水溶紙を基材として、
たとえば有機溶媒もしくは有機溶媒と水との混合
溶媒に前記特定の固体酸を溶解した溶液に該水溶
紙を含浸し、含浸工程においては前記した塩基飽
和度を一定水準以上に維持しつつ所定量の固体酸
を付着させ乾燥して製造される。滲透した酸は水
溶紙の網目状空隙を満たし一体となつている。そ
してこれを使用目的に応じた大きさ、形状に加工
してプロセスコントロール材として用いるとき
は、工程に発生したアルカリ液を吸収、保水しつ
つ自動的に中和するから、プロセスコントロール
材が外圧をうけない限り、崩壊せずに形態が保た
れ、他の工程を汚染するおそれがない。 かくして本発明によれば、繊維状カルボキシメ
チルセルロースもしくは繊維状カルボキシメチル
セルロースと製紙用繊維とから成る水溶性マトリ
ツクスに水溶性固体酸もしくは水溶性固体酸と水
溶性バインダーとが含浸もしくは塗布されて成る
ことを特徴とする塩基中和能力を有する水溶性シ
ートおよびその製造法が提供される。 以下に、本発明の構成を実験例を参照しつつ詳
細に設明する。 実験例 1 エタノール−水(1:1重量部)混合溶媒を用
い、酢酸(pKa4.756)の濃度を変えて基材を処
理し、塩基飽和度と酸処理紙の水溶性および保水
量との関係を調べて、第1表および第1図に示し
た。液体酸である酢酸を用いたのは、塩基飽和度
および保水量の測定が容易だからである。 基材としては、繊維状CMC−H(エーテル化度
0.43、ニチリン化学製)100%を用いて抄紙し、
炭酸ソーダ液を添加して製造した秤量80g/m2
水溶紙を用いた。酸処理は各濃度の酢酸溶液50ml
に試料絶乾1gを浸し2時間撹拌した後別し、
残渣を常法により洗浄して残留する酢酸を除去し
た後、60℃で減圧乾燥した。 塩基交換容量および塩基飽和度の測定は次の如
く行なつた。 無処理水溶紙および前記の酸処理試料をそれぞ
れ絶乾0.5g採り、これに0.5N苛性ソーダ20mlを加
え、2時間撹拌後、純水10mlを加え、0.5N塩酸
で電位差滴定し、この滴定値をAmlとした。ブラ
ンク試験として、試料を用いずに同様の操作を行
ない、この滴定値をBmlとした。 塩基交換溶量および塩基飽和度は、次式で求め
た。 塩基交換容量(mg当量/g)=
(B−A)×0.5×f/1000 ×1/W×1000 f:0.5N HClのフアクター W:試料絶乾重量(g) 塩基飽和度(%)=塩基交換容量−交換性H+量/塩基
交換容量×100=交換性塩基量/交換性塩基量+交換性H
+量×100 水溶性は約1gの試験片を300mlの水中に投入
し、マグネチツクスターラーで回転させ、試験片
が溶解するまでの秒数を測定した。120秒経過し
ても繊維の小塊が残るものを難溶とし、シート形
態が崩れないものを不溶とした。 保水量は、絶乾試料1gを水200ml中に入れて30
秒間撹拌した後、重量既知のポリエステル製布袋
に移し、遠心分離機により770Gで1分間脱水した
あとの重量を求め、絶乾試料1gあたりの重量で
あらわした。
【表】 第1表によれば、水溶性は塩基飽和度が53%以
上では無処理水溶紙と変らず、それ以下ではやや
溶解速度がおそくなる。塩基飽和度が低いものほ
どその溶解液中には繊維状ゲルの分散が顕著であ
つた。保水量については35.3%以下のものは塩基
飽和度0%の0.5モル塩酸処理紙と殆んど同程度
まで低下した。第1表の結果を図示した第1図に
よれば、塩基飽和度が40%以下では保水量が殆ん
ど最低になるので、本発明においては保水量を
8g/g以上とし、これを維持し得る塩基飽和度
は40%以上とする。 実施例 2 本発明に用いる酸を特定するために、エーテル
化度0.43の繊維状セルロースグリコール酸(以
下、CMC−Hという)を100%用いて抄紙し、炭
酸ソーダ液を添加して製造した80g/m2の水溶紙
を基材とし、含浸液としては酸指数の異なる種々
の酸をエタノールに溶解して15重量%の溶液を調
製した。一定量の水溶紙をそれぞれの酸溶液に約
10秒浸漬して加圧脱水し、80℃で乾燥して供試試
料を作成した。試験項目および試験結果は、第2
表のとおりであつた。表中、酸指数は2塩基酸以
上の酸はpKa1を示した。また、3cm×5cmの大
きさに切断した試料を0.1N苛性カリウム溶液25
ml中に入れて5分間撹拌した後、残留している苛
性カリウムを0.1N塩酸を用いて滴定し、資料に
よる苛性カリウムの中和量を求め、これを塩基中
和能力とした。 なお、保水量の測定は実験例1に準じて行な
い、表示値は基材たる水溶紙1g当りの保水量と
し、第1表と比較できるようにした。
【表】 第2表によれば、水溶性は酸指数によつて異な
るが、酸指数の高い酸の水溶性は無処理水溶紙と
全く変らない。グリコール酸(pKa3.831)では
溶解時間が遅くなり、リンゴ酸(pKa3.460)以
下の酸は不溶となる。保水量についても明瞭な分
岐点が見られ、リンゴ酸以下の酸では2g/g以
下となつた。酸の付着量は試料により差があつた
が、上記の傾向には殆んど影響していない。 従つて、前記第1図にあてはめると、この実験
においては、グリコル酸(pKa3.831)以上の酸
を用いることにより、塩基飽和度40%以上の本発
明水溶性シートが得られることが判明する。ま
た、本発明水溶性シートから付着した固体酸を溶
解除去して塩基飽和度を測定することは、繁雑な
実験操作を必要とするので、保水量を測定するこ
とにより、これを容易に推定することができる。 以上の結果から、本発明に用いる酸はpKaが
3.831以上の固体酸が好ましいが、水溶紙には通
常エーテル化度0.25〜0.65のCMC−Hを用いるこ
と、この実験には0.43のCMC−Hを用いたこと、
エーテル化度が大きいほど保水量が大で耐酸性も
増すこと等を考慮すれば、本発明に用いうる酸は
酸指数が3.8以上の固体酸であるということがで
きる。また、上記の要件を満たせば無機酸でもよ
い。 なお、この実験では乳酸(液体酸)についても
試験した(液体酸が本発明の目的達成のためには
不適当であることは既に説明した)が、その付着
量は8g/m2(基材の10重量%程度)が限度であ
り、また塩基中和能力も最大0.17当量/m2にすぎ
なかつた。従つて、本発明水溶性シートはこの程
度以上が望ましく、固体酸の付着量は基材の10重
量%以上、塩基中和能力は0.15g当量/m2以上が
実用的である。なお、本発明水溶性シートの溶解
試験の際の溶解液のPHはすべて3以下であつた。 付着量と塩基中和能力との関係については後述
する。 本発明の基材として用いる水溶紙は、繊維状カ
ルボキシメチルセルロースすなわちセルロースグ
リコール酸のナトリウム、カリウム等の1価金属
塩の短繊維から成る。通常、ナトリウム塩
(CMC−Na)が用いられる。CMC−Naから成
る水溶紙は、公知の他の繊維原料が配合されてい
てもよく、公知の方法により製造される。たとえ
ば、特公昭48−27605号に開示されているように、
CMC−H100%又はCMC−Hと40重量%以下の
晒クラフトパルプとの混合紙料を抄紙し、プレス
フエルト上の湿紙匹にアルカリ水溶液を添加して
CMC−Hを中和した後、脱水、乾燥して製造す
る。CHC−Hはエーテル化度が0.2〜1.0の範囲の
ものを用いる得るが、通常は0.25〜0.65のものを
用い、抄紙性、成紙の溶解性、強度等の点から、
0.40〜0.60のものが最もよく用いられる。0.65以
上になると繊維の膨潤が著しくなり抄造し難くな
るが、本発明の基材としては処理すべき酸の種類
によつては耐酸性を増すため0.65〜1.0のものを
用いる。0.25以下のCMC−Hは抄造し易いが、
製品の水溶性が劣る。 CMC−H以外の製紙用繊維としては、その種
類に特に制限はなく、一般のセルロスパルプ、レ
ーヨンなどの半合成繊維、ポリエチレンなどの合
成パルプ、アクリルニトリルなどの合成繊維等を
用い得るが、本発明の目的に対しては吸水性、保
水性のあるものが好ましく、通常は晒クラフトパ
ルプ、晒サルフアイトパルプ、溶解パルプ等のセ
ルロースパルプ及びレーヨンが用いられる。その
目的は、抄紙性の改善、本発明水溶性シートの強
度をあげ、また通気性を高め、吸水速度を速める
こと等にあるが、保水量は通常自重の1倍以下で
あるため多用は好ましくなく、CMC−Hの50重
量%以下を置換するにとどめる。 本発明に用いる酸溶液は、各種の有機溶媒もし
くは水と相溶性のある有機溶媒と水との混合溶媒
に所定量の固体酸を溶解するか、又は固体酸を粉
砕した微細粒子を難溶性もしくは不溶性の有機溶
媒中に分散し、この中に少量のバインダーを加え
て調製する。固体酸を溶解可能な有機溶媒として
は、メチルアルコール、エチルアルコール、プチ
ルアルコール、プロピルアルコールの如きアルコ
ール類、アセトン、エチルメチルケトン、メチル
プロピルケトンの如きケトン類、エチルエーテ
ル、イソプロピルエーテルの如きエーテル類を用
いることができる。水と相溶性のある有機溶媒と
しては、メチルアルコール、エチルアルコール、
ブチルアルコール、プロピルアルコールの如きア
ルコール類、アセトン、エチルメチルケトン、メ
チルプロピルケトンの如きケトン類を用いること
ができる。そして、通常は製造コストの点から、
メチルアルコール、エチルアルコール等の50重量
%混合水溶媒が用いられる。粉砕した固体酸の微
細粒子としては、たとえば250メツシユの標準篩
を通過した粉末を用いる。これを分散させる有機
溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等
の芳香族炭化水素類、ヘプタン、ヘキサン等の脂
肪族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル
等のエステル類、クロロホルム、メチレンクロラ
イド、n−ブチルクロライド等の塩素化炭化水素
類を用いることができる。なお、これらにメタノ
ール、エタノール、n−プロパノール等のアルコ
ール類、アセトン、エチルメチルケトン等のケト
ン類を添加してもよい。固体酸の微細粒子の分散
溶液に添加するバインダーは固体酸および基材を
溶解しない有機溶媒に可溶で、かつ水およびアル
カリ水溶液にも可溶なバインダーでなければなら
ない。この要件が満たされない場合には、フイル
ム状でで残留し、水溶性および塩基中和作用が妨
げられるからである。 好適なバインダーとしては、ポリビニルピロリ
ドン、カルボキシ変性酢酸ビニル重合物、スチレ
ン−無水マレイン酸共重合物等が例示できる。バ
インダーの添加量は、上記と同様の趣旨から、酸
に対して5〜15%の範囲とする。 固体酸は上記溶液状もしくは分散液状で用いる
場合のほか、融点が200℃以下の固体酸たとえば
アゼライン酸(106.5℃)、アジピン酸(153℃)、
コハク酸(185℃)、グルタル酸(97℃)などの場
合には、その溶融液に基材を含浸し、冷却して製
造することもできる。 上記した酸の溶液、分散液、溶融液を基材に適
用するには、含浸槽、塗布ロール等を有する通常
の含浸機、塗工機を用いる。酸溶液の濃度は高い
方が好ましく、たとえアゼライン酸の10重量%濃
度のメタノール−水(1:1重量部)混合溶液に
基材を含浸し、余剰をドクターで掻き取り80〜
100℃で乾燥する。この方法で基材の100重量%ま
で付着させることができる。100重量%以上では
粉落ちが大となり、また吸水速度が遅くなる。固
体酸の分散液は、塗工機を用いて基材に塗布す
る。塗布法では150重量%まで可能であり、また
溶融法では120重量%まで固体酸を付着させるこ
とができる。 次に、酸の付着量(g/m2)と塩基中和能力と
の関係を知るために、溶液含浸法、塗工法、溶融
含浸法とに別けて試料を作成し、比較を行なつ
た。基材とした水溶紙は、秤量約120gでエーテ
ル化度0.43のCMC−Na100%から成るものであ
る。溶液含浸法では、アゼライン酸およびアジビ
ン酸をそれぞれエタノール−水混合溶媒(1:1
重量部)に溶解した10重量%濃度の溶液を用い
た。塗工法では、コハク酸を粉砕して250メツシ
ユ標準篩通過分を100重量部調整し、またバイン
ダーとしてポリビニルピロリドン10重量部をクロ
ロホルム150重量部に溶解した溶液を調製し、粉
砕したコハク酸をこの溶液中に分散させた。ま
た、溶融含浸法では、アゼライン酸の溶融物を用
いた。これらの方法では、何れも、1回以上含浸
もしくは塗布を行なつて試料を作成した。酸の付
着量は含浸、塗布前後の試料の重量差により求
め、塩基中和能力は前記した方法により測定し
た。その結果を第2図に示した。図中、1はアゼ
ライン酸の溶液含浸法、2はアジピン酸の溶液含
浸法、3はコハク酸の塗工法、4はアゼライン酸
の溶融含浸法の場合のデーターである。なお、各
試料とも溶解性、保水量とも満足できるものであ
る。 第2図によれば、酸の付着量と塩基中和能力と
の間には比例関係があり、たとえば塩基中和能力
が約0.9g当量/m2の本発明水溶紙を得たい場合
には、アゼライン酸の溶液含浸法によれば75g/
m2付着させればよく、同じ溶融含浸法によれば68
g/m2付着させればよく、また、コハク酸の塗工
法によれば75g/m2を塗布すればよいことにな
る。図に溶液含浸法の例として示したアジピン酸
とアゼライン酸の直線は、付着させる方法が同じ
であれば平行することを示し、その直線の高さの
差は上記二塩基酸の場合、分子量の差を示し、分
子量の小さいアジピン酸の方が同一塩基中和能力
を得るのに付着量が少なくて済むことが判る。な
お、この実験においては、試料の測定水分(20
℃,65%RH)は最低6.8%、最高10.8%であり、
基材が固体酸によつて被覆され防湿効果が生じて
いると考えられた。 以上説明した如く、本発明水溶性シートは、塩
基中和能力を水溶紙が本来的に有する保水性を生
かしつつ水溶紙に付与するにあたつて、特定の条
件、即ち特定の酸を用い且つ基材への適用方法を
選ぶことによつて、CMC−Naという高分子塩と
酸との反応のバランスをとつて製造し得た新規な
水溶性シートであり、製造法もまた新規なもので
ある。本発明水溶性シートは、通常0.1Nないし
1N程度のアルカリ液の処理を目的とするプロセ
スコントロール材として利用されるが、この範囲
の濃度に限られるものではなく、またすべての無
機塩基、有機塩基その他弱酸と強塩基の塩などの
アルカリ性溶液に対しても広く用いることができ
る。また、その使用の態様としては、本発明水溶
性シートを通常のパルプ、紙やプラスチツクフイ
ルム等に積層して固定し、いわゆる中和タイミン
グ層として用いる場合のほか、単独にプロセスコ
ントロール材として用いることもできる。 以下に実施例をあげて本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらに限定されるものでは
ない。 なお、実施例には基材に他の製紙用繊維を配合
したものも挙げたが、この場合の溶解性は溶解分
散性として表示した。また、1N−NaOH溶液を
用いた保水量も例示したが、水を用いた場合と異
なり、繊維状ゲルを含まない完全なゲルとなつて
遠心脱水法では測定できないので、次の吸引過
法に従つた。すなわち、試料絶乾0.5gを所定の
アルカリ溶液100g中に入れて30秒間撹拌した後、
ポリエステル製布を敷いたブフナーロート上に注
ぎ、6.7mmHgで吸引別し、式 吸引過法保水量g/g=100−液重量/試料絶乾
重量 に従つて保水量を算出した。 実施例 1 エーテル化0.43のCMC−H(ニチリン化学製)
80重量部、溶解パルプ20重量部より成る紙料を用
いて公知の方法により秤量130g/m2の水溶紙を
製造した。固体酸としてはアゼライン酸
(pKa4.523)をエタノールに溶解して10重量%の
溶液を調製した。これを含浸機の含浸槽に移し水
溶紙を通した後70℃で熱風乾燥した。含浸工程の
含浸時間とプレスロールのニツプ圧を変えること
により酸付着量の異なる本発明水溶紙を3種類製
造した。第3表に夫々の特性値を示した。
【表】 第3表によればアゼライン酸のエタノール溶液
を含浸した本発明水溶性シートは秤量、厚さ、密
度および外観から一般の白色含浸加工紙に類似す
る。そして酸付着量は29〜60重量%であつた。こ
の範囲の付着量では水中および0.1N−NaOH溶
液中での溶解分散時間に殆んど差はなく何れも速
やかに溶解分散した。また保水量は17〜29g/g
であり、酸付着量が著しく多くなると減少するこ
とが判つた。しかし第1図によれば 本発明水溶性シート中のCMC−Naの塩基飽和
度は50%を確保していることが判る。0.1N−
NaOH溶液の保水量も水の場合と殆んど変らな
かつた。 1N−NaOH溶液を用いた試験では溶解分散時
間は水、0.1N−NaOH溶液の場合と殆んど異な
らなかつたが完全にゲル化し著しい膨潤を示し吸
引過法による保水量は何れも24g/gであつ
た。 塩基中和能力は0.32〜0.90g当量/m2と広い範
囲のものを得ることができた。なお、これらの水
溶性シートはシート水分(20℃,65%RH)が7
〜10%であり、基材の16%に比べると激減した。
このことはろう状のアゼライン酸が基材を被覆し
たことを示し、吸湿による塩基飽和度の低下、即
ち溶解分散法および保水性の低下を防止する効果
を有する。 実施例 2 実施例1の溶解パルプにかえてレイヨン20重量
部を用い、他は同様にして秤量130g/m2の水溶
紙を製造した。 アゼライン酸(pKa4.523、融点106.5℃)の溶
融含浸法により本発明水溶性シートを製造する。
含浸機の加熱含浸槽内で115℃に加熱したアゼラ
イン酸の溶融液中を通紙した後、放冷、固化し
67.3g/m2の付着量を有する秤量197.3g/m2
本発明水溶紙を得た。このものは厚さ224μm、密
度0.881g/cm3、塩基中和能力0.92g当量/m2
あつた。また溶解分散時間は水中で39秒、0.1N
NaOH溶液中で44秒であつた。溶解分散時間が
長いのは溶融含浸法では実施例1の溶液含浸法に
比しシート密度がかなり大きくなつたので液体が
滲透しにくいためと思われる。しかし保水量は18
g/g、吸引過法による1N−NaOH溶液保水
量は実施例1と同じ24g/gであつた。 実施例 3 実施例1と同様にして製造した秤量130g/m2
の水溶液を基材としてコハク酸(pKa4.207)の
塗工法により本発明水溶性シートを製造する。
250メツシユ標準篩を通過したコハク酸微細粉末
を準備した。またクロロホルム150重量部にポリ
ビニルピロリドン10重量部を溶解した溶液を作
り、これに上記コハク酸微粉末100重量部を投入
して塗工用分散液を調製した。この分散液をアプ
リケーターバーにより基材に塗布し75℃の熱風で
乾燥し、付着量の異なる2種類の本発明水溶性シ
ートを得た。その物性を第4表に示した。
【表】 第4表によればコハク酸の微細粒子分散液を基
材に塗工するにあたり有機溶媒およびバインダー
を選択することにより、水および0.1N−NaOH
溶液中における溶解分散時間が基材と全く変らな
いものを得ることができる。従つて塗工法による
ものは塩基中和の速さが要求されるプロセスに好
適である。なお、このものの保水量は何れも17〜
18g/gであつた。 実施例 4 エーテル化度0.65のCMC−H(ニチリン化学
製)を100%用いて製造した秤量130g/m2の水溶
紙を基材とし、含浸液としてはアジピン酸
(pKa4.430)の15重量%エタノール溶液を用い
た。これを含浸機の含浸槽に移し含浸速度2m/
minで水溶紙を通した後70℃で熱風乾燥し秤量
160.4g/m2の本発明水溶紙を得た。アジピン酸
付着量30g/m2、塩基中和能力0.60g当量/m2
溶解性は水中で27秒、0.1N−NaOH溶液中で22
秒、保水量は28g/gであり、1N−NaOH溶液
の吸引過法による保水量は28gであつた。 なお水分は10.8%としたので在庫中に製品が変
質するおそれはない。
【図面の簡単な説明】
第1図は保水量と塩基飽和度との関係を示す図
表であり、第2図は酸の付着量と塩基中和能力と
の関係を示す図表である。 第2図において、1はアゼライン酸の溶液含浸
法、2はアジピン酸の溶液含浸法、3はコハク酸
の塗工法、4はアゼライン酸の溶融含浸法の各場
合を示す。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 繊維状カルボキシメチルセルロースまたは繊
    維状カルボキシメチルセルロースと製紙用繊維と
    から形成された水溶性マトリツクスに水溶性固体
    酸または水溶性固体酸と水溶性バインダーとが含
    浸または塗布されて成ることを特徴とする塩基中
    和能力を有する水溶性シート。 2 水溶性固体酸の水中酸指数が3.8以上である
    特許請求の範囲第1項記載の塩基中和能力を有す
    る水溶性シート。 3 塩基中和能力が0.15g当量/m2以上である特
    許請求の範囲第1項または第2項に記載の塩基中
    和能力を有する水溶性シート。 4 繊維状カルボキシメチルセルロースから成る
    水溶紙または繊維状カルボキシメチルセルロース
    に製紙用繊維を混合して成る水溶紙を基材とし、
    これに水中酸指数が3.8以上で事実上潮解性のな
    い水溶性固体酸を含浸または塗布し、且つ前記含
    浸または塗布した紙匹中の繊維状カルボキシメチ
    ルセルロースの塩基飽和度を40%以上に維持しつ
    つ、該水溶性固体酸を該基材に対し乾物として10
    重量%以上付着させることを特徴とする塩基中和
    能力を有する水溶性シートの製造法。 5 水溶性固体酸を有機溶媒または有機溶媒と水
    との混合溶媒に溶解した溶液の形で含浸または塗
    布する特許請求の範囲第4項記載の塩基中和能力
    を有する水溶性シートの製造法。 6 水溶性固体酸を溶融物の形で含浸または塗布
    する特許請求の範囲第4項記載の塩基中和能力を
    有する水溶性シートの製造法。 7 水溶性固体酸を水およびアルカリ可溶性バイ
    ンダーとともに有機溶媒中に分散した分散液の形
    で含浸または塗布する特許請求の範囲第4項記載
    の塩基中和能力を有す水溶性シートの製造法。
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